(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インナパネル(20i)には、前記回動軸(31b)と前記ロータリーダンパ(50)を囲繞するように支持する支持溝(20ig)が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車(1)の物品収納構造。
前記インナパネル(20i)には、前記支持溝(20ig)が設けられた側とは反対側に、前記回動軸(31b)の他端部(31bf)を回転可能に支持する軸受け孔(20ih)が設けられたことを特徴とする請求項5に記載の自動二輪車(1)の物品収納構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の物品収納部では、蓋部材を回転可能に支持するアーム部材が、回動軸に対して径方向外側に張り出したアーム状の部材であるため、回動軸周りの構造が大きくなってしまうという問題があった。また、スプリングを組み付けるための構造が必要となるので、蓋部材の取り付け構造が複雑化して、物品収納部が大型化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓋部材の取り付け構造を簡素化して、物品収納部をコンパクトにすることができる自動二輪車の物品収納構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動二輪車の物品収納構造は、車両外側を覆うカバー部材と、前記カバー部材の内側に配置され、物品を収納可能な物品収納部と、前記物品収納部の開口部を開閉する蓋部材と、を備える自動二輪車の物品収納構造であって、前記蓋部材には、前記蓋部材の外面に沿う回動軸心を形成する回動軸が設けられ、前記回動軸は、前記蓋部材から左右両端側に突出して形成され、前記回動軸心上かつ前記回動軸の側方に、前記回動軸の一端部に係合して前記蓋部材の回動を減衰させるロータリーダンパが設けられ、前記蓋部材の自重により前記蓋部材が開き、車両前部のヘッドパイプの後面側を覆うリアカバーと乗車シートとの間に跨ぎ空間が形成され、前記リアカバーには、車体外側に位置するアウタパネルと前記アウタパネルの内側に位置するインナパネルとが重なり合うように設けられ、前記回動軸の前記一端部及び前記ロータリーダンパが、前記アウタパネルと前記インナパネルとの間に保持され、前記回動軸と前記ロータリーダンパとを前記インナパネル側へ一緒に押え付ける押えステーが設けられ、前記押えステーは、前記アウタパネルに覆われる。
【0007】
上記自動二輪車の物品収納構造において、前記ロータリーダンパは、前記回動軸心に沿った略円柱状の本体部と、前記本体部の一端に設けられ、前記回動軸の前記一端部に連結されるダンパ作用部と、前記本体部の外周面から径方向に突出して形成され、前記カバー部材に係止される回動防止突起と、を備えてもよい。
【0010】
上記自動二輪車の物品収納構造において、前記インナパネルには、前記回動軸と前記ロータリーダンパを囲繞するように支持する支持溝が設けられてもよい。
【0011】
上記自動二輪車の物品収納構造において、前記インナパネルには、前記支持溝が設けられた側とは反対側に、前記回動軸の他端部を回転可能に支持する軸受け孔が設けられてもよい。
【0012】
上記自動二輪車の物品収納構造において、前記蓋部材は、内側蓋部及び外側蓋部を有し、前記内側蓋部は、前記外側蓋部よりも高剛性に形成され、前記内側蓋部に前記回動軸が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記自動二輪車の物品収納構造によれば、蓋部材に、蓋部材の外面に沿う回動軸心を形成する回動軸が設けられ、回動軸心上に、回動軸の一端部に係合して蓋部材の回動を減衰させるロータリーダンパが設けられる。したがって、蓋部材の回動軸の周辺の取り付け構造を簡素化することができ、物品収納部をコンパクトにすることができる。
【0014】
また、ロータリーダンパが、回動軸心に沿った略円柱状の本体部と、本体部の一端に設けられ、回動軸の一端部に連結されるダンパ作用部と、本体部の外周面から径方向に突出して形成され、カバー部材に係止される回動防止突起と、を備える。したがって、ロータリーダンパと回動軸との連結構造、及びロータリーダンパの固定構造をコンパクトに設けることができる。
【0015】
さらに、ロータリーダンパが、車体外側に位置するアウタパネルと車体内側に位置するインナパネルとの間に保持される。したがって、アウタパネルとインナパネルとの間のスペースを有効活用して、跨ぎ空間を十分に確保しつつ、蓋部材の開閉構造をコンパクトに配置することができる。
【0016】
また、回動軸とロータリーダンパをインナパネル側に押え付ける押えステーが設けられるため、回動軸とロータリーダンパをインナパネルに強固に固定することができる。また、回動軸とロータリーダンパとを別々に固定しなくてよいため、部品点数が削減でき、収納構造をコンパクトにすることができる。
【0017】
さらに、インナパネルに、回動軸とロータリーダンパを囲繞するように支持する支持溝が設けられる。したがって、インナパネルによる回動軸とロータリーダンパの支持面を大きくして、保持力を向上することができる。また、回動軸とロータリーダンパの組み付け時において、回動軸とロータリーダンパが支持溝に嵌り込むように保持されるので、両部材の仮止めができ、組み付け性を向上することができる。
【0018】
また、インナパネルには、支持溝が設けられた側とは反対側に、回動軸の他端部を回転可能に支持する軸受け孔が設けられる。したがって、蓋部材の組み付け時において、回動軸の他端部を軸受け孔に挿通させた後、回動軸の一端部を支持溝に支持させることにより蓋部材を組み付けることが可能となる。従って、蓋部材の組み付け性を向上することができる。
【0019】
さらに、外側蓋部よりも高剛性に形成される内側蓋部に回動軸が設けられる。したがって、物品収納部の気密性を向上することができると共に、蓋部材を開いた状態における風などに対する耐久性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図8を参照して、本発明に係る自動二輪車の物品収納構造の第1実施形態について、具体的に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、また、図中に示すFr,Rr,U,D,R,Lは実施形態における車両の前方向,後方向,上方向,下方向,右方向,左方向を示すものである。
【0022】
本実施形態の自動二輪車1は、
図1に示すように、車体フレーム10を備え、この車体フレーム10は、その車両前部10aに設けられるヘッドパイプ15と、ヘッドパイプ15から後方且つ下方に延びるダウンチューブ52と、ダウンチューブ52の中間部から略後方に延びる前フレーム51と、ダウンチューブ52の下端から後方に延びるロアチューブ53と、ロアチューブ53の後端から上方に延びた後、後方且つ上方に延びるリアフレーム62と、を備える。そして、車体フレーム10は、カバー部材20により外側が覆われている。
【0023】
また、自動二輪車1は、ヘッドパイプ15に回転自在に取り付けられるフロントフォーク17と、フロントフォーク17の上端部に取り付けられるハンドル11と、フロントフォーク17の下端部に回転自在に取り付けられる前輪18と、ロアチューブ53の後端部に上下にスイング可能に取り付けられるパワーユニット55と、パワーユニット55の後端部に取り付けられる後輪19と、パワーユニット55の後端とリアフレーム62との間に取り付けられるリアショック54と、備える。
【0024】
なお、
図1中の符号63はフロントフェンダ、64はリアフェンダ、65はサイドスタンド、66は排気管、67は消音器である。また、運転者Mは、ハンドル11の後方に配置された乗車シート12に着座し、足を後述する低床部57に載せ、ハンドル11を握って乗車する。
【0025】
カバー部材20は、ヘッドパイプ15の前方を覆うフロントカバー20fと、ヘッドパイプ15の後方を覆うリアカバー20rと、リアカバー20rの下縁に連なり後方に延びるサイドカバー20sと、サイドカバー20sの前部の下縁に連なり略水平に形成される低床部57と、を有する。また、リアカバー20rと乗車シート12とにより、乗車シート12の前方側に跨ぎ空間RSが形成されている。
【0026】
本実施形態における物品収納構造では、物品収納部30は、
図1及び
図2に示すように、車両前部10aのヘッドパイプ15の後面側の跨ぎ空間RSを形成するリアカバー20rの後方壁面20rbに開口部30aを有している。物品収納部30は、この開口部30aを開閉する蓋部材31を備えている。従って、
図2に示すように、物品収納部30の開口部30aは、車体後方に向かって開口されている。
【0027】
物品収納部30は、例えば、
図3に示すように、開口部30aに臨む第1奥壁31wに電源供給ソケット40を有する第1収納空間30fiと、第1収納空間30fiよりも車両前方かつ下方側に第2奥壁32wを有する第2収納空間30seとからなる収納空間30sを備えている。また、収納空間30sを形成する上部壁33wには、後述する蓋部材31の係止フック31fを係止する係合孔39aが設けられている。なお、電源供給ソケット40は、例えば携帯電話などの外部電気機器100の接続端子部100tを接続するためのソケット接続口40aを備えている。
【0028】
物品収納部30においては、蓋部材31は、例えば、
図2及び
図3に示すように、下方側に回動軸31bを備えて上下方向に開閉(矢印X方向)する構造となっている。蓋部材31には、回動軸31bが設けられている。回動軸31bはカバー部材20の外面31sに沿って左右方向に延びる回動軸心Cを形成する。そして、この回動軸心C上には、回動軸31bの回動を減衰させるロータリーダンパ50が配置されている。また、蓋部材31は、上端右側には、係止フック31f(
図4参照)を備えており、開口部30aを開閉自在な構造となっている。
【0029】
蓋部材31は、
図4に示すように、下部側の側面壁31aから左右両端側に突出する回動軸31bを備えている。即ち、回動軸31bは、リアカバー20rの内側へ向かって延出された側面壁31aに蓋部材31の横幅よりも大きい全長L1を有して形成されている。回動軸31bは、回動軸心Cを外面31sに略沿うように形成されている。
【0030】
また、蓋部材31は、外側蓋部31u及び内側蓋部31iを備えており、開口部30aを閉じたときに、外側蓋部31uの外面31sが、跨ぎ空間RSに突出しないようにリアカバー20rの後方壁面20rbに略沿う形状に形成されている。
【0031】
図5に示すように、蓋部材31は、外側蓋部31uの内側に内側蓋部31iを締結用のビス31vにて固定した構造である。内側蓋部31iは、開口部30aの開口縁部30aeの内側に入り込むように形成され、外側蓋部31uは、開口縁部30aeの外側を覆うように形成される。このため、物品収納部30の開口部30aは蓋部材31により確実に閉じられる。
【0032】
内側蓋部31iは、その中央部分に蓋部材31の厚み方向の断面において略台形状の中央台形部31cを有し、この中央台形部31cの外周側に、外周縁部31eを有している。外周縁部31eは、蓋部材31の厚み方向の内側に向かって折り返すように突出している。従って、内側蓋部31iは、中央台形部31cと外周縁部31eを有することにより、外側蓋部31uよりも高精度且つ高剛性に形成されている。そして、外周縁部31eは、開口部30aの内側に入り込んだときに、開口縁部30aeに当接する部分であるため、この外周縁部31eによって開口部30aを確実に閉じることができる。また、内側蓋部31iは、外側蓋部31uとの締結用のビス31vを通す2つの取付け孔31hと、外側蓋部31uに形成される係止フック31fを貫通させる穴部31jと、を有する。
【0033】
外側蓋部31uには、前述のごとく回動軸31bが左右方向に延出され、係止フック31fが蓋部材31の開閉方向に沿って突設されている。さらに、外側蓋部31uには、内側蓋部31iを取り付けるための2つのボス部31kが突設されている。また、回動軸31bには、一端部31be(装着時において右側)に、回動軸心Cの方向に沿って切り込まれた係合溝31mが設けられている。回動軸31bの他端部31bf(装着時において左側)に、小径部31nが設けられている。小径部31nは、段差部31dを有して先端側において小径となっている。なお、左右両端側に突出した回動軸31bの剛性を高めるために、側面壁31a間には、補強用のリブ31rが設けられている。
【0034】
ロータリーダンパ50は、
図3、
図4及び
図5に示すように、回動軸心Cに沿った回動軸31bと略同じ太さの略円柱状の本体部50aと、本体部50aの一端に設けられ、回動軸31bの係合溝31mに嵌り込み連結されるダンパ作用部50bと、本体部50aの外周面から径方向に突出して形成され、後述するインナパネル20iのスリット孔20isに係止される回動防止突起50dと、を備える。
【0035】
このロータリーダンパ50においては、本体部50aが適宜固定されている状態で、ダンパ作用部50bが回動軸心Cの周りを回転するような力を受けたときに、この回転にブレーキをかけ、回動を減速させることができる。従って、例えば、蓋部材31が自重によって開くときに、蓋部材31の回動を減衰させて、開き動作を円滑にすることができる。なお、このロータリーダンパ50の構造は、特に限定するものではないが、例えば、回転面同士の摩擦を利用した方式、オイルの抵抗によって蓋部材31の回動にブレーキをかける方式など種々の形態を利用することができる。
【0036】
次に、
図6〜
図8を参照して、本実施形態における蓋部材31及びロータリーダンパ50の取り付け構造について説明する。
【0037】
本実施形態のリアカバー20rは、
図6に示すように、その後方壁面20rbに、車体外側に位置するアウタパネル20uと車体内側に位置するインナパネル20iとが重なり合う二重構造を有している。そして、インナパネル20iには、開口部30aの下側かつ左右両側に蓋部材31を取り付ける構造を備えている。即ち、開口部30aの左側には、回動軸31bの小径部31nを回転可能に受容する軸受け孔20ihを備える左側支持部20ioが設けられている。開口部30aの右側には、右側支持部20idが設けられている。右側支持部20idは、ロータリーダンパ50と共に回動軸31bを保持可能な支持溝20igを有する。
【0038】
この蓋部材31を装着するときは、左側支持部20io及び右側支持部20idに回動軸31bを組み込むが、最初に、
図7に示すように、他端部31bfの小径部31nを軸受け孔20ihに差し込むように装着する。このとき、左側支持部20ioにおいて、小径部31nと大径部31lとの段差部31dが軸受け側壁20iwに当接することで、回動軸31bの左右方向の位置決めがなされる。
【0039】
一方、右側支持部20idにおいては、
図6に示すように、回動軸31bを横断面円弧形状の支持溝20igに対応させると共に、ロータリーダンパ50を回動軸31bの右側に配置する。ここで、ロータリーダンパ50については、ダンパ作用部50bを回動軸31bの係合溝31mに嵌合させると共に回動防止突起50dを支持溝20ig内に形成されたスリット孔20isに嵌合させるように装着する。
【0040】
その後、右側支持部20idにおいては、
図8に示すように、回動軸31b及びロータリーダンパ50を押さえる押えステー60を装着する。この押えステー60には、回動軸31bとロータリーダンパ50を囲繞する横断面半円形の囲繞部60aが設けられ、囲繞部60aの上下両側の平坦部60bには、それぞれ取付け穴60hが設けられている。従って、下側の取付け穴60hを固定突起20ipに嵌め込み且つ上側の取付け穴60hに固定ビス80をビス受け孔20imにねじ込むことで、回動軸31bとロータリーダンパ50とがインナパネル20i側へ一緒に押え付けられる。
【0041】
このように蓋部材31を、インナパネル20iに固定した後に、アウタパネル20uを被せて例えば嵌合部材などの適宜固定部材を介してインナパネル20i上に重ねる。この結果、ロータリーダンパ50が、アウタパネル20uとインナパネル20iとの間に挟持された状態でカバー部材20に設けられる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の自動二輪車1の物品収納構造によれば、蓋部材31に、蓋部材31の外面に沿う回動軸心Cを形成する回動軸31bが設けられ、回動軸心C上に、回動軸31bの一端部31beに係合して蓋部材31の回動を減衰させるロータリーダンパ50が設けられる。したがって、蓋部材31の回動軸31bの周辺の取り付け構造を簡素化することができ、物品収納部30をコンパクトにすることができる。また、蓋部材31の自重により蓋部材31が開き、従来のような蓋部材を付勢させ開くためのスプリングが不要なため、蓋部材31の取り付け構造を更に簡素化して、物品収納部30を更にコンパクトにすることができる。
【0043】
また、本実施形態の自動二輪車1の物品収納構造によれば、ロータリーダンパ50が、回動軸心Cに沿った略円柱状の本体部50aと、本体部50aの一端に設けられ、回動軸31bの一端部31beに連結されるダンパ作用部50bと、本体部50aの外周面から径方向に突出して形成され、カバー部材20の支持溝20igのスリット孔20isに係止される回動防止突起50dと、を備える。したがって、ロータリーダンパ50と回動軸31bとの連結構造、及びロータリーダンパ50の固定構造をコンパクトに設けることができる。
【0044】
また、本実施形態の自動二輪車1の物品収納構造によれば、ロータリーダンパ50が、車体外側に位置するアウタパネル20uと車体内側に位置するインナパネル20iとの間に保持される。したがって、アウタパネル20uとインナパネル20iとの間のスペースを有効活用して、跨ぎ空間RSを十分に確保しつつ、蓋部材31の開閉構造をコンパクトに配置することができる。また、外観からロータリーダンパ50が露呈しないので、外観性が向上する。
【0045】
また、本実施形態の自動二輪車1の物品収納構造によれば、回動軸31bとロータリーダンパ50をインナパネル20i側に押え付ける押えステー60が設けられる。したがって、回動軸31bとロータリーダンパ50をインナパネル20iに強固に固定することができる。また、回動軸31bとロータリーダンパ50とを一体的に固定するため、部品点数が削減でき、収納構造をコンパクトにすることができる。
【0046】
また、本実施形態の自動二輪車1の物品収納構造によれば、インナパネル20iに、回動軸31bとロータリーダンパ50を囲繞するように支持する支持溝20igが設けられる。したがって、インナパネル20iによる回動軸31bとロータリーダンパ50の支持面を大きくして、保持力を向上することができる。また、回動軸31bとロータリーダンパ50の組み付け時において、回動軸31bとロータリーダンパ50が支持溝20igに嵌り込むように保持されるので、両部材の仮止めができ、組み付け性を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態の自動二輪車1の物品収納構造によれば、インナパネル20iの支持溝20igが設けられた側とは反対側に、回動軸31bの他端部31bfを回転可能に支持する軸受け孔20ihが設けられる。したがって、蓋部材31の組み付け時において、回動軸31bの他端部31bfを軸受け孔20ihに挿通させた後、回動軸31bの一端部31beを支持溝20igに支持させることにより蓋部材31を組み付けることが可能となる。従って、蓋部材31の組み付け性を向上することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、
図9〜
図12を参照して、本発明に係る自動二輪車の物品収納構造の第2実施形態について、具体的に説明する。なお、第2実施形態においては、上記第1実施形態と同じ構造については、図示ならびに説明を適宜省略し、第1実施形態と異なった構造及びその周辺構造のみを図示する。また、第1実施形態と同じ構成要素については、同符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施形態の蓋部材31Aは、
図9及び
図10に示すように、開口部30aの開口縁部30aeの内側に入り込むように形成される内側蓋部31iと、開口縁部30aeの外側を覆うように形成される外側蓋部31uと、を備える構造については、第1実施形態と同様である。しかし、回動軸31bが内側蓋部31iに設けられる構造、回動軸31bの形状、押えステー70の取り付け構造が異なっている。また、本実施形態においても、内側蓋部31iは、中央台形部31cと外周縁部31eを有することにより、外側蓋部31uよりも高剛性に形成されている。
【0050】
本実施形態の内側蓋部31iの下端には、下方に延びる延出部31zが形成されており、この延出部31zの左右両端から回動軸31bが突出している。この回動軸31bの一端部31beには、第1実施形態と同様に係合溝31mが形成されている。また、回動軸31bの係合溝31mに隣接する外周面には、所定長さの円周リブ31pが周方向に沿って形成されている。また、回動軸31bの他端部31bfは、外側蓋部31uの車幅方向外端部よりも内側に配置されており、回動軸31bの全長L2は、第1実施形態の回動軸31bの全長L1よりも短く設定されている。従って、本実施形態の回動軸31bは、剛性が高く、回転部分の強度及び耐久性を高めることができる。
【0051】
次に、
図11および
図12を参照して、本実施形態における蓋部材31Aの取り付け構造について説明する。
【0052】
蓋部材31Aを取付ける際には、第1実施形態と同様に、回動軸31bの左側の先端を図示しない軸受け孔(
図6に示す軸受け孔20ihと略同様の構成)に挿入させると共に、
図11に示すように、ロータリーダンパ50と回動軸31bの係合溝31mとを嵌め合わせた状態で支持溝20igに装着する。このとき、ロータリーダンパ50の回動防止突起50dを、スリット孔20isに差し込むようにする。このように、ロータリーダンパ50と回動軸31bとが装着された後に、押えステー70を装着する。
【0053】
なお、押えステー70は、第1実施形態と同様に、ロータリーダンパ50及び回動軸31bを囲繞するように押さえることができる横断面半円形の囲繞部70aを備え、囲繞部70aの上端側の平坦部70bには取付け穴70hが形成されているが、下端側の平坦部70cには、取付け穴70hが形成されておらず単に平坦形状である。
【0054】
従って、押えステー70の装着では、
図11及び
図12に示すように、下端側の平坦部70cを長形のスリット長孔20itに差し込むと共に、取付け穴70hを挿通させた固定ビス80をビス受け孔20imにねじ込むようにして装着する。その後、押えステー70を覆うように、図示しないアウタパネル20uを装着する。このように装着された押えステー70は、ロータリーダンパ50及び回動軸31bをインナパネル20i側へ確実に押さえつけるだけでなく、端縁70eを円周リブ31pの側面に接するように対応しているので、回動軸31bの回動軸心C方向の位置規制もしている。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の自動二輪車1の物品収納構造によれば、外側蓋部31uよりも高剛性に形成される内側蓋部31iに回動軸31bが設けられるため、物品収納部30の気密性を向上することができると共に、蓋部材31Aを開いた状態における風などに対する耐久性を向上することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0056】
なお、本発明は上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、物品収納部30を車両左側に配置したが、これ限定されず、車両右側に配置してもよい。
また、上記実施形態では、物品収納部30の蓋部材31,31Aは、上下方向に開閉する構造としたが、これに限定されず、水平方向に開閉する構造としてもよい。
また、上記実施形態では、本発明をフロントカバーとリアカバーとの間の空間に配置される物品収納部に適用する場合を例示したが、これに限定されず、カバー部材の内側に配置される物品収納部であれば、いずれの場所の物品収納部に本発明を適用してもよい。また、上記実施形態においては、蓋部材31の一端部31beにロータリーダンパ50を設けているが、一端部31beと他端部31bfとを置き換え、ロータリーダンパ50及びロータリーダンパ取付構造を車両の左側に設けても良い。