特許第6014767号(P6014767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014767レーザ光を収束するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014767
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】レーザ光を収束するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/09 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   G02B27/09
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-530386(P2015-530386)
(86)(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公表番号】特表2015-529348(P2015-529348A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】EP2013068368
(87)【国際公開番号】WO2014037442
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】102012108347.9
(32)【優先日】2012年9月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502383340
【氏名又は名称】リモ パテントフェルヴァルトゥング ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】LIMO Patentverwaltung GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】ミトラ,トーマス
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−017744(JP,A)
【文献】 特開昭63−124019(JP,A)
【文献】 特開平11−143388(JP,A)
【文献】 特表2008−524662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/09
B23K 26/00
H01L 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業面(5)においてレーザ光(1)を収束するための方法において、レーザ光(1)は、再帰反射体手段の光学軸(O)に対して実質的に平行に伝播し、レンズ頂点(S1,S2)がオフセット(d)を有しているシリンダレンズ手段(3)の第1の透過セクション(32)を通過して伝達され、第1の透過セクション(32)とは異なるシリンダレンズ手段(3)の第2の透過セクション(33)を通過して、作業面(5)に収束されるように再帰反射体手段によって後方反射されるように、偏向ミラー(2)によって偏向されることを特徴とする方法。
【請求項2】
光路において、再帰反射体手段の頂点のライン(42,62)および/またはシリンダレンズ手段(3)のレンズ頂点(S1,S2)は、レーザ光(1)の入射ビームの角度および/またはレーザ光(1)の出射ビームの角度が調整可能であるように変更されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
再帰反射体手段として、反転プリズム(4)が用いられることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
再帰反射体手段(4)として、偏向ミラー(6)が用いられることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
作業面にレーザ光を収束するための装置において、
偏向ミラー(2)と、
シリンダレンズ手段(3)であって、レンズ頂点(S1,S2)がオフセット(d)を有し、第1の透過セクション(32)と、第1の透過セクション(32)とは異なる第2の透過セクション(33)とを含むシリンダレンズ手段(3)と、
光学軸(O)を有する再帰反射体手段と、を有し、
該装置の光路に、偏向ミラー(2)が、装置の運転中レーザ光(1)が、再帰反射体手段の光学軸(O)に実質的に平行に伝播し、シリンダレンズ手段(3)の第1の透過セクション(32)を通過して、次いで、レーザ光(1)がシリンダレンズ手段(3)の第2の透過セクション(33)を通過して作業面(5)に収束されることができるように、再帰反射体手段によって後方反射されるように偏向することが可能であるように構成されてなることを特徴とする装置。
【請求項6】
反転プリズム(4)としての再帰反射体手段は、第1の光偏向面(40)と第2の光偏向面(41)とを有して構成されてなることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
反転プリズム(4)の第1の光偏向面(40)と第2の光偏向面(41)との間に、頂点ライン(42)が形成され、該装置は頂点ライン(42)を移動させる手段を備えることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
再帰反射体手段は、第1のミラー面(60)と第2のミラー面(61)とを備える反転ミラー(6)として構成されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
反転ミラー(6)の第1の偏向面(60)と第2の偏向面(61)との間に頂点ライン(62)が形成され、該装置は頂点ライン(62)を移動させるための手段を備えることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
該装置は、シリンダレンズ手段(3)のレンズ頂点(S1,S2)を移動させるための手段を備えることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を収束するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定義:光またはレーザビームとの記載は、可視光の範囲に限定されない。むしろ、光またはレーザビームとの記載は、本願明細書の枠内においては、FIR(遠赤外線)からXUV(超紫外線)までの全波長領域における電磁ビームに関して用いられる。レーザビームまたは光の伝播方向とは、特に、レーザビームが、平面波でない場合、または少なくとも部分的に収束または発散する場合においては、レーザビームの中間伝播方向を意味する。レーザビーム、光ビーム、部分ビーム、またはビームについては、明確に別段の記載がない場合には、幾何光学の理想的ビームを意味するのではなく、現実の光ビーム、たとえば、無限小ではなく、拡大するビーム断面を有するレーザビームなどを意味する。たとえば、ガウスプロファイルを有する、または、高ガウスプロファイルまたはトップハットプロファイルなどの変形ガウスプロファイルを有するレーザビームである。トップハット分布、またはトップハット強度分布、またはトップハットプロファイルとは、少なくとも方向に関して、実質的に矩形関数(rect(x))によって記載される強度分布を意味する。その場合、実際の強度分布は、矩形関数からの逸脱部を有する、または傾斜した側部を有し、またトップハット分布またはトップハットプロファイルと呼ぶことも可能である。
【0003】
技術の水準においては、作業面において、長くかつ比較的狭いレーザラインを、次のようにして発生させている。レーザ光源から、特に、第1の方向(いわゆる遅軸方向)に相並んで配設された複数のエミッタを有するレーザダイオードバーから、放射され、光学手段によってコリメートされたレーザ光を、高精度に作製されたシリンダレンズ手段を用いて作業面に向け、その結果として、作業面に焦点または射影を生じさせている。かかるシリンダレンズ手段は、縦方向に、シリンダ軸に対して平行に延びるレンズ頂部を有する。作業平面に、精密に規定されるレーザラインを得るためには、レーザ光のフォーカシングのために利用されるシリンダレンズ手段は、縦方向において、頂部が極めて真っ直ぐに延びるものでなければならない。したがって、長くて、幅が狭くて、かつ精細に射影されるレーザラインは、利用されるシリンダレンズ手段の質によってほとんど決定される。レンズ頂部領域におけるいわゆる場所の誤りは、不安定なラインの幅に表れる、射影の誤りにつながるものである。技術の水準においては、作業平面に精細で線形の強度分布を発生させるために必要となるような、精密なシリンダレンズ手段を作製することは、大きな問題がある。
【0004】
図1には、2つの、X方向に互いに連結されたシリンダレンズ断片30,31、たとえば、互いにしっかりと固定されて結合されたシリンダレンズ要素から形成されるシリンダレンズ断片30,31を含んでなるシリンダレンズ手段3が示されている。理想的な場合、レンズ頂部は、可能な限り、Mと表示されたラインに沿って延びるべきであって、そのラインは、精密に線形の強度分布が作業面内に得られるようにするために、シリンダレンズ手段3の外表面の中心線である。両シリンダレンズ断片30,31のレンズ頂点S1,S2は、ここではラインMに沿って理想的に延びるのではなく、オフセットdを有していることは明らかである。第1のシリンダレンズ断片30と第2のシリンダレンズ断片31のレンズ頂点S1,S2は、ラインMと並んで延び、したがって、オフセットdが形成される。ここで注記するが、シリンダレンズ断片30,31のレンズ頂点S1,S2間のオフセットdの大きさは、縮尺どおりに示されておらず、単に簡略的に図示して説明するためのものでしかない。従来のシリンダレンズ手段3の場合、オフセットdは通常<0.5mmである。
【0005】
かかるシリンダレンズ手段3が、トップハット角度分布を有するコリメートされるべきレーザビームを、作業面に収束するだけのために利用されるときには、図2に示したように理想的なライン形状から外れている強度分布となる。作業平面5には、焦点位置欠陥を有する強度分布が生じる。レーザビームの、第1のシリンダレンズ断片30を通過した部分の強度I1と、レーザビームの、第2のシリンダレンズ断片31を通過した部分の強度I2とは、x方向に対して直交してオフセットd’を有し、作業面5における強度I1,I2のオフセットd’は、両シリンダレンズ断片30,31のレンズ頂点S1,S2のオフセットに対応する。たとえば、シリンダレンズ断片30,31が、オフセットd=0.2mmを有している場合、作業面5における強度I1,I2のオフセットd’も0.2mmになる。
【0006】
頂点に欠陥があるという問題は、たとえば、2つのシリンダレンズ断片30,31が、2つの互いにしっかりと固定されて結合されたシリンダレンズ要素から形成されている、シリンダレンズ手段3を用いて上述された。しかしながら、頂点の欠陥の問題は、レンズ頂点S1,S2が、回避できないことが多い製造上の精度の理由から、シリンダ軸に平行に理想的に真っ直ぐ延びるのではなく、オフセットdを有する、単体で成るシリンダレンズ手段3の場合にも起こり得る。
【発明の概要】
【0007】
本発明の課題は、レーザビームを作業面に収束するための方法および装置であって、それほど精密に製造されていないシリンダレンズ手段であっても利用することを可能とし、または、複数のシリンダレンズ要素から構成されるシリンダレンズ手段を適用することを可能とし、そして、作業面に線形強度分布を生じさせることを可能とする方法および装置を提供することである。
【0008】
この課題を解決することによって、請求項1の特徴を有する、レーザ光を収束するための方法が提供される。装置については、この課題は、請求項5の特徴を有するレーザ光を収束するための装置によって解決される。下位の請求項は、本発明の好ましいさらなる実施形態に対応する。
【0009】
発明に従った、作業面においてレーザ光を収束するための方法においては、レーザ光は、再帰反射体手段の光学軸に対して実質的に平行に伝播し、レンズ頂点がオフセットを有しているシリンダレンズ手段の第1の透過セクションを通過して伝達され、第1の透過セクションとは異なるシリンダレンズ手段の第2の透過セクションを通過して、作業面に収束されるように再帰反射体手段によって後方反射されるように、偏向ミラーによって偏向される。発明に従った方法は、シリンダレンズ手段のレンズ頂点のオフセットを、有利な方法で補償することを可能とし、したがって、作業面におけるこの補償に関係なく、実質的に線形の強度分布を発生させることが可能となる。
特に好ましい実施形態においては、光路において、再帰反射体手段の頂点のラインおよび/またはシリンダレンズ手段のレンズ頂点は、レーザ光の入射ビームの角度および/またはレーザ光の出射ビームの角度が調整可能であるように変更される。こうすることによって、作業面へレーザ光を収束する場合のより高い自由度が達成される。
【0010】
好ましい実施形態において、再帰反射体手段としては反転プリズムが用いられる。他の実施形態においては、再帰反射体手段として、偏向ミラーを用いることも可能である。反転プリズムまたは偏向ミラーは、非常に容易に、かつ安価に作製することが可能であり、したがって、ここで挙げる方法の場合、再帰反射体手段としての利用が特に適している。
【0011】
請求項5に従えば、作業面にレーザ光を収束するための装置は、
偏向ミラーと、
シリンダレンズ手段であって、レンズ頂点がオフセットを有し、第1の透過セクションと、第1の透過セクションとは異なる第2の透過セクションとを含むシリンダレンズ手段と、
光学軸を有する再帰反射体手段と、を有し、
該装置の光路に、偏向ミラーが、装置の運転中レーザ光が、再帰反射体手段の光学軸に実質的に平行に伝播し、シリンダレンズ手段の第1の透過セクションを通過して、次いで、レーザ光がシリンダレンズ手段の第2の透過セクションを通過して作業面に収束されることができるように、再帰反射体手段によって後方反射されるように偏向することが可能であるように構成されてなる。発明に従った装置は、有利な方法において、シリンダレンズ手段のレンズ頂点のオフセットの補償を可能とし、したがって、作業面にオフセットに関係なく、実質的に線形の強度分布を発生させることが可能である。レーザ光源とシリンダレンズ手段との間に偏向ミラーを配設することによって、シリンダレンズ手段が、再帰反射体手段に到達するレーザ光の入射ビームに対して垂直にならないように方向づけられることによって、偏向ミラー上へのレーザ光の入射ビームと、シリンダレンズ手段を最初に通過して、再帰反射体手段を通過した後のレーザ光の出射ビームとの入射点の分離を達成する。
【0012】
発明に従った方法または発明に従った装置の基本的概念は、レーザ光源のレーザ光が、収束レンズを形成するシリンダレンズを直接通過して作業面に到達するのではないというところにある。そうではなく、再帰反射体手段は、有利な方法においては、レンズ頂点の位置的欠陥を、シリンダレンズ手段上に到達するビームに対するレンズ頂点のオフセットが、作業面上に像形成するレーザビームに最小のオフセットが生じるだけであるように補正するための位置にあるように設けられる。しかしながら、典型的利用においては、これは通常、変動するライン幅よりもそれほど重大ではない。
【0013】
好ましい実施形態においては、反転プリズムとしての再帰反射体手段は、第1の光偏向面と第2の光偏向面とを有して構成されてなる。これら光偏向面のそれぞれにおいて、内部全反射の物理的原理に従ってレーザ光が90°偏向され、したがって、反転プリズム上に到達するレーザ光は合計で180°偏向される。反転プリズムの前後では、反転プリズムの光学軸に対して実質的に平行にレーザ光が伝播される。また、反転プリズムの光偏向面をミラー面として構成することも可能である。
【0014】
特に好ましい実施形態においては、反転プリズムの第1の光偏向面と第2の光偏向面との間に、頂点ラインが形成され、該装置は頂点ラインを移動させる手段を備えるように構成される。反転プリズムの頂点ラインを(および反転プリズム自体も)移動させることによって、レーザ光の入射ビームと出射ビームとの角度の関係を有利な方法で適切にすることが可能である。
【0015】
他の実施形態において、再帰反射体手段は、第1のミラー面と第2のミラー面とを備える反転ミラーとして構成されてもよい。これら2つのミラー面のそれぞれにおいて、レーザ光は90°偏向され、したがって、反転ミラー上に到達するレーザ光は合計180°偏向されることになる。反転プリズムの前後でレーザ光は、反転ミラーの光学軸に実質的に平行に伝播する。
【0016】
好ましい実施形態においては、反転ミラーの第1の偏向面と第2の偏向面との間に頂点ラインが形成され、該装置は頂点ラインを移動させるための手段を備えることが可能である。反転ミラーの頂点ラインの(および反転ミラー自身の)移動によって、レーザ光の入射ビームと出射ビームとの角度の関係を適切にすることが可能である。
【0017】
さらなる、特に好ましい実施形態においては、該装置は、シリンダレンズ手段のレンズ頂点を移動させるための手段を備えて構成することが可能である。シリンダレンズ手段の頂点ラインを(およびシリンダレンズ手段自身も)移動させることによって、レーザ光の入射ビームと出射ビームとの角度の関係をさらに適切にすることが可能である。
【0018】
さらなる特徴と利点は、添付の図を参照して、以下の好適な実施形態についての説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】頂点欠陥を有するシリンダレンズ手段の平面図である。
図2】作業面に、図1に従ったシリンダレンズ手段を用いて収束されたレーザ光の強度分布の概略図である。
図3】本発明の第1の実施形態に従って構成されてなる、レーザ光を収束するための装置の概略図である。
図4】本発明の第2の実施形態に従って構成されてなる、レーザ光を収束するための装置の概略図である。
図5図3または図4に従った装置を用いて作業面に集束されたレーザ光の強度分布の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図3図5を参照して、以下に本発明の2つの実施形態について詳細に説明する。図3および図4においては、以下の説明を簡略にするために、2次元のデカルト座標系が示されており、該座標系は、互いに垂直なy方向およびz方向を定義している。x方向は、図の平面に対して、y方向およびz方向に対して垂直に延びる。
【0021】
本発明の第1の実施形態に従って構成されてなる、レーザ光1を収束するための装置が、図3に示されている。該装置に到達するレーザ光1は、本明細書においては簡単化のために図示されていないレーザ光源から、特に、複数の発光体であって、第1の方向(いわゆる遅軸方向)に互いに間隔をあけて並んで設けられた発光体を含むレーザダイオードバーから発光され、適切な、同様に図示されていない光学手段によってコリメートされる。レーザ光源のレーザ光1がまず伝播する伝播方向は、ここではz方向である。
【0022】
レーザ光1を収束するための装置は、この実施形態においては、偏向ミラー2と、シリンダ軸がx方向に(ここでは紙面に延びる)延びるシリンダレンズ手段3と、本実施形態において反転プリズム4によって形成されてなる再帰反射体手段であって、互いに90°の角度をなし、それによって頂点ライン42を形成している第1の偏向面40と第2の偏向面41とを有している、再帰反射体手段とを含んでなる。頂点ライン42に垂直に、反転プリズム4の光学軸が延びている。反転プリズム4は、到達するレーザ光1を180°偏向するために設けられている。シリンダレンズ手段3は、図1に示されているように構成されてなる。2つのシリンダレンズ断片30,31の頂点S1,S2は、図1に示されたオフセットd>0mmを有している。
【0023】
z方向に伝播されてコリメートされるレーザ光1は、まず、レーザ光1の伝播方向が、偏向ミラー2において反射した後、反転プリズム4の光学軸Oに対して平行に延びるようにレーザ光1を偏向することが可能であるように、装置の光路において傾斜されて設けられている偏向ミラー2上に到達する。レーザ光1は、外縁から中心線Mまで延びる(図1参照)、第1および第2のシリンダレンズ断片30,31の部分領域によって構成されているシリンダレンズ手段3の、長括弧によって示されている、第1の透過セクション32を通過する。このレーザ光1は、第1の透過セクション32を通過するとき、レンズ頂点S1,S2のオフセットdにさらされる。次いでレーザ光1は、反転プリズム4上に到達し、第1の光偏向面40と第2の光偏向面41において、それぞれ90°偏向される。したがって、反転プリズム4上に到達するレーザ光1は、合計180°偏向される。
【0024】
180°偏向されたレーザ光1は、反転プリズム4の光学軸Oに対して実質的に平行に伝播し、次いで、これも同様に長括弧で示されている、シリンダレンズ手段3の第2の透過セクション33に到達する。第2の透過セクション33は、第1の透過セクション32とは異なり、外縁から中心ラインMまで延びる、第1および第2のシリンダレンズ断片30,31の部分領域によって形成される。レーザ光1は、第1の透過セクション32を通過するとき、レンズ頂点S1,S2のオフセットにさらされる。レーザ光1は、シリンダレンズ手段3の第2の透過セクション33を通過し、シリンダレンズ手段3の第2の透過セクション33の彎曲した光出射面において、図5に概略的に示されているように、実質的に線形の強度分布が生じる作業面5に収束されるように屈折させられる。
【0025】
図5に明らかなように、図に示された、レーザ光1を収束するための装置によって、レンズ頂点S1,S2のオフセットdに関係なく、所望の線形強度分布Iを作業面5に生じさせることが可能である。2つのシリンダレンズ断片30,31の頂点S1,S2が、たとえばオフセットd=0.2mmを有している場合(たとえば、製造の精度が悪かったために、または、シリンダレンズ手段3が、2つの固定されて互いに結合されたシリンダレンズ要素から製造されているために)、ここに示す、レーザ光1を収束するための装置は、作業面5において、強度分布Iのオフセットが、x方向に垂直には、ほとんど測定されないように、2つのシリンダレンズ断片30,31の頂点S1,S2のオフセットを補正し、補償することが可能である。さらに研究によって、たとえば、両シリンダレンズ断片30,31の頂点S1,S2のオフセットが0.4mm程度の場合、作業面5の焦点における強度分布のオフセットは、10μm程度(頂点欠陥のおよそ1/40)にしかならない。
【0026】
図4を参照すると、本発明の第2の実施形態に従って構成される、レーザ光1を収束するための装置が示されている。この装置の基本的構成は、第1の実施形態の基本的構成に対応している。本装置も、偏向ミラー2と、シリンダレンズ手段3と、この実施形態においては反転ミラー6によって形成されている再帰反射体手段とを含んでなる。反転ミラー6は、第1のミラー面60と第2のミラー面61とを有し、これらは互いに90°の角度をなし、頂点ライン62を形成している。頂点ライン62に垂直に、反転ミラー6の光学軸Oが延びている。
【0027】
レーザ光源のコリメートされたレーザ光1は、まずz方向に伝播し、偏向ミラー2に到達する。偏向ミラー2は、装置の光路に、レーザ光1の伝播方向が、偏向ミラー2で反射した後、反転ミラー6の光学軸Oに対して実質的に平行に延びるようにレーザ光1を偏向できるように、装置の光路に、傾斜して設けられている。
【0028】
レーザ光1は、第1の実施形態と同様に、シリンダレンズ手段3の第1の透過セクション32を通過する。この場合、レーザ光1は、第1の透過セクション32を通過するとき、レンズ頂点S1,S2のオフセットdにさらされる。次いで、レーザ光1は、反転ミラー6の第1のミラー面60上に到達し、該ミラー面によって90°偏向される。レーザ光1は、次いで、反転ミラー6の第2のミラー面61上に到達し、ここでさらにまた90°偏向される。反転ミラー6によって、到達するレーザ光1は、合計180°偏向される。180°偏向されたレーザ光1は、次いで、すでに上で述べたように、第1の透過セクション32とは異なる、シリンダレンズ手段3の第2の透過セクション33上に到達する。レーザ光1は、第1の透過セクション32を通過するとき、またレンズ頂点S1,S2のオフセットにさらされる。レーザ光1は、シリンダレンズ手段3の第2の透過セクション33を通過し、シリンダレンズ手段3の第2の透過セクション33の彎曲した光出射面において、図5に示したように、再び線形強度分布Iが生じる作業面5に収束されるように屈折する。
【0029】
ここで述べている本発明の2つの実施形態の基礎にある概念は、レーザ光源のレーザ光1が、収束レンズを形成するシリンダレンズ手段3を直接通過して作業面5上に到達するのではなく、再帰反射体手段(特に、反転プリズム4または反転ミラー6)が設けられているということであり、該再帰反射体手段によって、シリンダレンズ手段3の第1の透過セクション30を通過したレーザ光1を 、第1の透過セクション32とは異なる第2の透過セクション33をレーザ光1が通過し、作業面5上に収束されることが可能となるように180°偏向することが可能である。レーザ光1は、第1の透過セクション32および第2の透過セクション33を通過する場合、レンズ頂点S1,S2のオフセットにさらされる。再帰反射体手段は、有利な方法で、シリンダレンズ手段3上に到達するレーザ光1に対するレンズ頂点S1,S2のオフセットdが、作業面5上へと射影されるレーザ光1のオフセットを最小にするように、レンズ頂点S1,S2の位置欠陥を補正するために設けられている。この「欠陥」は、作業面5に射影が生じる角度にもある。しかしながら、これは典型的利用においては通常、変動するライン幅ほど問題がなく、ずっと重要性が低いものである。
【0030】
さらにまた、シリンダレンズ手段3の頂点S1,S2の移動によって、および/または反転プリズム4もしくは反転ミラー6の頂点ライン42,62の移動によって、レーザ光1の入射ビーム、およびレーザ光1の出射ビームの角度を有利な方法で調整することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5