(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
駆動輪のn個の歯の一部からなる選択的なサブセットと、前記アクチュエータリングの(n+X)個の歯の一部からなる選択的なサブセットとの間の係合と離間の完全な1サイクルにおいて、
前記第1の駆動アクチュエータと、前記第2の駆動アクチュエータの両方において、それぞれ前記アクチュエータリングを押して、前記アクチュエータリングの(n+X)個の歯の一部からなるサブセットが、駆動輪のn個の歯の一部からなるサブセットと噛み合いする初期位置から、前記第1の駆動アクチュエータによって次の位置へ移動させ、
前記アクチュエータリングの(n+X)個の歯の異なる一部からなるサブセットと、前記駆動輪のn個の歯の異なる一部からなるサブセットが噛み合うように、前記アクチュエータリングを引っ張るとともに、前記第2の駆動アクチュエータが前記アクチュエータを押し続け、前記第1の駆動アクチュエータと、前記第2の駆動アクチュエータがそれぞれアクチュエータリングを引っ張ることで、前記アクチュエータリングの(n+X)個の歯のさらに異なる一部からなるサブセットと、前記駆動輪のn個の歯のさらに異なる一部からなるサブセットが噛み合うことで次の位置へ移動させ、
前記第1の駆動アクチュエータが、前記アクチュエータリングを押すとともに、第2の駆動アクチュエータが前記アクチュエータを引っ張り、前記アクチュエータリングの(n+X)個の歯のさらに異なる一部からなるサブセットと、前記駆動輪のn個の歯のさらに異なる一部からなるサブセットが噛み合うことで、次の位置へ移動させ、
前記第1の駆動アクチュエータ及び前記第2の駆動アクチュエータがそれぞれ前記アクチュエータを押し、前記アクチュエータリングの(n+X)個の歯のさらに異なる一部からなるサブセットと、前記駆動輪のn個の歯のさらに異なる一部からなるサブセットが噛み合うことで、初期位置へ戻る構成であることを特徴とする、請求項1に記載の微小電気機械システム(MEMS)による電子機器駆動用装置。
前記歯数nを300〜1000の範囲内の値とし、かつ、前記Xを1〜4の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の微小電気機械システム(MEMS)による電子機器駆動用装置。
前記駆動アクチュエータ装置によって、前記駆動輪が、時計まわり、または反時計まわりに、回転するとともに、前記駆動アクチュエータ装置が、二つの駆動アクチュエータを備えていることを特徴とする請求項1に記載の微小電気機械システム(MEMS)による電子機器駆動用装置。
前記アクチュエータリングの(n+X)個の歯の一部からなる少なくともサブセットが、常に、駆動輪のn個の歯の一部からなるサブセットと、噛み合いすることを特徴とする請求項4に記載の微小電気機械システム(MEMS)による電子機器駆動用装置。
前記アクチュエータリングの(n+X)個の歯の一部からなる少なくともサブセットが、常に、駆動輪のn個の歯の一部からなるサブセットと、噛み合いすることを特徴とする請求項1に記載の微小電気機械システム(MEMS)による電子機器駆動用装置。
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータのいずれかが、駆動部位から外側に向かって伸びる駆動部位と、第1の長さを有する第1のアーム、及び、第1のアームから離れた場所に設けてある第2のアームであって、第1の長さとは異なる長さを有する第2のアームと、を有し、
かつ、前記第1のアーム及び第2のアームのいずれかが、前記駆動部位に結合する第1の端部と、前記アクチュエータリングに結合した、所定距離だけ離れた端部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の微小電気機械システム(MEMS)による電子機器駆動用装置。
前記駆動部位が、直線状、L字状、またはT字状のいずれか一つであることを特徴とする請求項7に記載の微小電気機械システム(MEMS)による電子機器駆動用装置。
前記アクチュエータリングの(n+X)個の歯のうち1個またはそれ以上と、前記駆動輪のn個の歯のうち1個またはそれ以上と、が連続的に噛み合う工程を含み、歯の係合及び離間に関する少なくとも一つの完全なサイクルにおいて、前記駆動輪が(360×X/n)度回転することを特徴とする請求項9に記載の微小電気機械システム(MEMS)による電子機器駆動方法。
【背景技術】
【0002】
一方向性及び双方向性の駆動ユニットとして用いられる微小電気機械システム(MEMS)は、良く知られた駆動関連技術である。
例えば、1つの周知のMEMS駆動ユニットは、少なくとも4個のMEMSアクチュエータ部分を有する双方向性装置である。そして、それは、駆動輪に対して少なくとも2点の独立した領域で嵌合する2対の個々のMEMSアクチュエータを有している。
すなわち、MEMS駆動ユニットは、駆動輪をそれぞれの方向に回転させるために、1対のMEMSアクチュエータ部分を必要とするものの、そこにおいて、1対のMEMSアクチュエータが動作させている一方で、別の1対のMEMSアクチュエータが駆動輪との接触から離間する動作を行うものである。
したがって、アクチュエータ部分の他の1対が、逆の駆動方向に駆動輪を回転させるためには必要である。
よって、いずれの方向にも駆動輪を動かすためには、1対のアクチュエータ部分が駆動輪と噛み合うととともに、他の1対のアクチュエータ部分において、駆動輪から、離間しなければならないと言える。
また、4つの個々のアクチュエータ部分は、静電的には活動域であって、そこにおいて、1対のMEMSアクチュエータの範囲内の1つの領域は、駆動輪を動かすために接線の駆動力すなわちトルクを発生させるためにある。そして、1対の他の領域は駆動ユニットを駆動輪とかみ合うことから引き抜くために、放射方向に力を発生させるためにある。
すなわち、前述のタイプのMEMS駆動ユニット(駆動装置)は、このように4つの静電的部分としてのアクチュエータを必要とすると言える。
【0003】
また、他の駆動アクチュエータを含む駆動装置の構造設計については、米国特許第7,592,737号に開示されている。
かかる駆動装置の構造設計によれば、被駆動要素と、一連の歯と噛み合う位置において係合するように操作可能な駆動要素と、を有するMEMS駆動装置が提供されている。
そして、当該MEMS駆動装置の一組の独立した駆動アクチュエータは、駆動要素をヒステリシス型に運動させ、被駆動要素と係合および離間する旨の動作をする。
もう一つの独立したMEMSアクチュエータは、半径方向に駆動し、望ましくない回転を防止するため、駆動要素に係合されなければならないが、その際、一組の駆動アクチュエータは、係合状態から離間される。
【0004】
しかしながら、既存の最高水準の技術であっても問題点があり、当該技術の前進が望ましく、かつ、達成可能であると考えられている。
例えば、前述の設計の各々において、要求される、より多くの必要なアクチュエータがある。
すなわち、上記の最初に述べた駆動装置においては、4個のMEMSアクチュエータが必要であり、米国特許第7,592,737号の別な実施形態によれば、少なくとも3台のMEMSアクチュエータが必要である。
加えて、かかる駆動装置は、構成が複雑であるため、駆動輪の最小化、または望ましくない回転の防止には適さないという問題がある。
【0005】
したがって、2個のMEMSアクチュエータを用いて、必要な目的が達成できる駆動装置を提供することが望ましいと言える。
さらに、本願発明の駆動装置の改良された設計において、好ましい実施形態は、駆動輪の恒常的な係合を提供し、ひいては、望ましくない回転運動を防止できることが望ましいと言える。
加えて、本願発明の設計によれば、従来必要とされた機能のすべてを達成するために必要だった数よりも、制御信号の数を減少させることが望ましいと言える。
よって、本願明細書において開示されるように、従来技術の電子機器駆動用装置における問題点の解決や他の目的達成も課せられている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、上述した本願発明の特徴や、それ以外の特徴につき、明細書の好適実施形態に記載してあるが、適宜、上記図面を参照しながら説明する。
但し、各図面において、同様の部材または部位には同様の符号を用いている。但し、各図面のすべての部材または部位に符号を付しているわけではない点に留意すべきである。
【0018】
まず、
図1(a)及び
図1(b)において、それぞれ符号10及び10Aで示した双方向性の微小電子機械システム(MEMS)による駆動装置が、本願発明の好ましい実施形態による構成を示している。
そして、本願の明細書において、MEMSによる駆動装置10が参照されるが、以下において更に開示されるように、アーム105、205及びアーム105A、205Aの構成が異なることを除き、MEMSによる駆動装置10Aも同様に機能する。
また、好ましい実施形態において、MEMSによる駆動装置10は、外側周囲に沿ってn個(nは、正の整数であり、好ましくは300〜1000の範囲内の値である。)の歯を有するとともに、所定直径を有する駆動輪20と、駆動輪の直径よりも大きい内側内径を有するアクチュエータリング30を備えている。
そして、かかるアクチュエータリング30は、内側周囲に沿って、(n+X)個(Xは少なくとも1であり、好ましくは1、2、3または4の整数である。)の歯を有しており、当該アクチュエータリングの(n+X)の歯が、運動進行(回転進行)に伴い、駆動輪20のn個の歯の異なる一部分(部分集合体)と、係合及び離間をするように構成されている。
しかしながら、駆動輪の歯数であるnが、上記の数よりも小さいか、または、大きい場合も可能であって、その場合であっても本願発明の範囲に含まれる。
同様に、Xに関しても、設計要件として要求された場合や、または望ましい場合、4より大きくても良い。
【0019】
また、駆動装置10は、駆動アクチュエータ装置を含んでおり、すなわち、アクチュエータリング30と連結され、ヒステリシス型の動作において当該アクチュエータリング30を駆動させ、ひいては、駆動輪20を回転させるための駆動アクチュエータ装置40である。
そして、好ましい実施形態において、駆動アクチュエータ装置40は、以下の構成を有している。
すなわち、アクチュエータリング30に連結されており、第1の方向にアクチュエータリング30を選択的に引っ張ることにより、第1の方向とは反対方向に選択的に押すための第1の駆動アクチュエータ100と、アクチュエータリング30に連結されており、第2の方向にアクチュエータリング30を選択的に引っ張ることにより、第2の方向とは反対方向に選択的に押すための第2の駆動アクチュエータ200と、から構成されている。
【0020】
ここで、説明の便宜上、本明細書中において“第1の”方向は、“X”(例えば、水平)方向とし、“第2の”方向は“Y”(例えば、垂直)方向として記載するが、これは、あくまで例示的な目的のためである。
【0021】
そして、以下において更に詳述されるように、駆動輪20のn個の歯の一部からなる選択的なサブセット(部分集合体)と、アクチュエータリング30の(n+X)個の歯の一部からなる選択的サブセット(対向する部分集合体)との係合と離間が、完全に1サイクルして終了した後、駆動輪20は、X個の歯に基づいて(360×X/n)度だけ回転させられる。
【0022】
より具体的には、アクチュエータリング30のヒステリシス型(繰り返し型)の動作によって、アクチュエータリング30の歯は、駆動輪20の歯と順次係合して、次いで、離間する。そして、この噛み合いの効果により駆動輪20が回転することになる。
【0023】
また、駆動輪20及びアクチュエータリング30の好適な寸法は、当業者に十分理解されるものであり、常用の設計的な選択事項である。
例えば、駆動輪及びアクチュエータリング上の歯の形状は、三角形が好適であるが、本明細書中に開示されるように、噛み合いの際にそれぞれの歯の間で干渉する可能性を低減させるために、台形などの他の形状にしても良い。
そして、本願発明の好ましい実施形態において、駆動輪20の歯数は、一例であるが、300及び600である。
一方、アクチュエータリング30の好ましい歯の数は、駆動輪20の歯数より1だけ多い数であって、本明細書中における2つの好ましい実施形態においては、それぞれ301及び601である。
なお、疑義を避けるためであるが、以下の図においては、説明の便宜上の理由で、駆動輪20の歯数であっても、歯数300または600よりも少なく描写されている。
【0024】
つまり、MEMSアクチュエータの櫛状部の非常に微細な構造や、そのような微細な櫛状部の可動部が取り得る限定された行程(ストローク)のため、それぞれの歯のサイズ及びピッチについても、対応して非常に微細でなければならない。
したがって、図中において、駆動輪20の歯数は60であり、かつ、アクチュエータリングの歯数が61であるが、実際の歯数はそれらよりも著しく大きいことが好ましい。
さらに、当業者に理解されるように、駆動輪20及びアクチュエータリング30における歯数の選択によって、当該駆動輪、ひいてはMEMSユニット全体の所定のサイズが導かれる。
【0025】
さらに、駆動輪20の好ましい歯数nの範囲は、約300〜約1000であり、特に好ましくは、300または600である。
一方、アクチュエータリングの歯数は、本明細書中で示すように、駆動輪の歯数よりもX(整数)だけ大きい数である。
そして、Xは以下に示す理由により、好ましくは1であるが、例えば、1を超えて、2、3または4のいずれかとすることも可能である。
【0026】
すなわち、比較的小さいサイズの駆動輪20では、好ましい実施形態として、駆動輪20の歯数を300とし、アクチュエータリングの歯数を301とすることである。
また、少し大きい装置サイズの場合、駆動輪20の歯数を600としてもよく、したがって、アクチュエータリング30の歯数は601となる。
【0027】
ここで、駆動輪20とアクチュエータリング30との歯数の差、すなわちXについて、1が好ましい理由は、以下のとおりである。
すなわち、駆動輪20とアクチュエータリング30の直径は、駆動輪20とアクチュエータリング30が係脱しないことを保証するために十分小さく、かつ、近似している。
したがって、駆動輪20とアクチュエータリング30の歯数の差Xが1より大きい状態においては、アクチュエータリング30が弾性的に中間位置に移動し、駆動輪20はアクチュエータリング30の中心のいずれかに配置されるリスクが増大する場合があるためである。
そして、そのような状態では、駆動輪20とアクチュエータリング30との間でいかなる係合も、噛み合わせもなされない可能性が生じる場合があるためである。
【0028】
なお、駆動アクチュエータ100及び200の詳細は、駆動アクチュエータ100と“X方向”の駆動アクチュエータ、及び、駆動アクチュエータ200と“Y方向”の駆動アクチュエータが同一視され、アクチュエータリング30の動作に関連してより詳細に述べられる。
しかしながら、y方向の駆動アクチュエータ200は、x方向の駆動アクチュエータ100と同様に機能し、構成されているため、より具体的な言及は、x方向の駆動アクチュエータ100に対してなされる。
この種の駆動アクチュエータに関する詳細のために、米国特許第7,592,737号を参照することができ、その全文に記載された内容が、本明細書に記載されているごとく、全面的に参考とされる。
【0029】
また、
図1(a)の好ましい実施形態において、“x方向”の駆動アクチュエータ100は、以下の構成を有している。
すなわち、アーム105の形状を有し、以下において更に開示される駆動部位120から外側に向かって伸びる駆動部位を有している。
図1(a)において示されるように、アーム105は線形(すなわち、l)または“L”の形状とみなせる。ただし、これはあくまで参照する際の主観的な判断に依存するものである。
また、
図1(b)の好ましい実施形態において、”x方向”の駆動アクチュエータ100Aは以下の構成を有している。
すなわち、アーム105Aの形状を有し、以下において更に開示される駆動部位120Aから外側に向かって伸びる駆動部位を有するが、これは駆動部位120と同一である。
図1(b)において示されるように、アーム105Aは“T”の形状とみなせるが、あらゆる側面において、駆動アクチュエータ装置40と駆動動作装置40Aは同一である。
また、アーム105及び105Aは、MEMSの構成部分であって、好適態様としては、固くて、非弾性であることが好ましい。
そして、アーム106または106A、及び、アーム108または108Aの2つの追加のアームが、アーム105または105Aにそれぞれ接続される。
また、アーム106及び106A、アーム108及び108Aは、アーム105及び105Aの設計や形状に応じて、それぞれ同一または図示されるように2つの異なる長さを有することが可能である。
そして、それぞれの末端は、アクチュエータリング30に接続され、それぞれ
図1(a)及び
図1(b)に示される位置において、一体としてMEMS構造を形成している。
しかしながら、アーム106は、アーム106Aと同一の長さであることが意図され、アーム108はアーム108Aと同一の長さであることが意図されている。
したがって、アーム106及び106Aの末端は、アクチュエータリング30の四分円I、具体的には、アクチュエータリング30を通る水平軸に対して原則的に45度となる点に接続される。
よって、アーム108及び108Aの末端は、好ましくは、一体的なMEMSの構成の部分として、y軸に沿うとみなされる位置で、アクチュエータリング30に接続する。
【0030】
同様の配置状況が、y方向の駆動アクチュエータ200に関して存在する。
例えば、
図1(a)の好ましい実施形態において、“y方向”駆動アクチュエータ200は、以下の構成を有している。
すなわち、アーム205の形状を有し、駆動部位220から外側に向かって伸びる駆動部位を有するが、これは駆動部位120と同一に機能する。
図1(a)において示されるように、アーム205は、線形(すなわち、l)または“L”の形状とみなせる。
図1(b)に示す“y方向”の駆動アクチュエータ200Aも、アーム205Aの形状を有し、駆動部位220Aから外側に向かって伸びる駆動部位を有するが、これは駆動部位220と同一である。
図1(b)において、アーム205Aは“T”の形状とみなせる。ここにおいても、アーム205及びアーム205Aは、アーム105及び105Aと同様、固く非弾性であることが好ましい。
また、同様に、アーム206または206A、及び、アーム208または208Aの2つの追加のアームが、それぞれアーム205または205Aに接続される。
そして、アーム206または206Aは、アーム106または106Aと同じ長さであり、アーム208または208Aはアーム108または108Aと同じ長さであることが好ましい。
同様に、それぞれ図示されているように、206または206Aと、208または208Aのそれぞれの末端は、同じ方式でアクチュエータリング30に一体的なMEMSの構成として接続される。
例えば、アーム206及び206Aの末端は、アクチュエータリング30の四分円I、具体的には、アクチュエータリング30を通る水平軸に対して原則的に45度となる点に接続される。
したがって、アーム208及び208Aの末端は、好ましくはアクチュエータリング30に同様の方法で接続される。すなわち、X軸に沿うとみなされる位置であり、原則的にアーム206及び206Aの第1の接続点から反時計回りに135度の位置に接続される。よって、それぞれ、
図1(a)及び
図1(b)にそれらの位置が示される。
【0031】
また、それぞれ、アーム106または106A、及び、アーム108または108Aは駆動部位120、120Aの動きの方向に対して、平行となるように設けてあることが好ましい。
そして、それぞれ、アーム206または206A、及び、アーム208または208Aは駆動部位220、220Aの動きの方向に対して平行であることが好ましい。
【0032】
ここで、x方向の駆動アクチュエータにおける少なくとも2本の細長いアーム106または106A、及び、108または108A,及びy方向の駆動アクチュエータにおける少なくとも2本の細長いアーム206または206A、及び、アーム208または208Aの好ましい理由は、著しい回転をさせることなく、アクチュエータリング30に“x”及び“y”方向それぞれにおいて平行方向に変位することを許容するためである。
すなわち、2本のそれぞれのアームは、それぞれ駆動アクチュエータ100または200、及び、100Aまたは200Aに連結され、2つの平行四辺形サスペンションと同様に機能する。
そこでは、駆動アクチュエータ100または100Aが、アクチュエータリング30の変位をx方向のみとなるようにコントロールすることができる。
また、もう一方の駆動アクチュエータ200または200Aは、アクチュエータリング30の変位をy方向のみとなるようにコントロールすることができる。
また、
図1(a)及び
図1(b)に示されるように、二本の細長いアームの長さが同一でなければ、アクチュエータの少しの回転運動を伴う十分な平行関係の変位が得られることになる。
【0033】
また、それぞれの駆動アクチュエータにおける2本以上の細長いアームは、必ずしも必要ではないことが理解されるが、横向きに曲がるために十分な柔軟性がある限り、2本以上の態様も可能である。
【0034】
さらに、すぐに理解されるように、アーム106、106A及び108、108Aはアクチュエータリング30を“X”方向、具体的には、右方向(例えば、
図1(a)及び
図1(b)において“Xpos”矢印で示される)と左方向(例えば、
図1(a)及び
図1(b)において“Xneg”矢印で示される)に移動させることができる。
【0035】
同様に、アーム206、206A及び208、208Aは、アクチュエータリング30を“Y”方向、具体的には、上方向(例えば、
図1(a)及び
図1(b)において“Ypos”矢印で示される)と下方向(例えば、
図1(a)及び
図1(b)において“Yneg”矢印で示される)に移動させることができる。
【0036】
したがって、“X方向”の駆動アクチュエータ100及び“y方向”の駆動アクチュエータ200は、好ましくは、以下においてx方向駆動アクチュエータ100に特に関連して述べられる櫛構造を有する静電モジュールであり、“y方向”の駆動アクチュエータも同一の方法で、動作するとともに機能する。
したがって、“x方向”の駆動アクチュエータに関する詳細が、以下において提供されるが、本出願における駆動アクチュエータ100に対するすべての参照は等しくアクチュエータ100Aに対してもあてはまる。そして、駆動アクチュエータ200に対するすべての参照も等しくアクチュエータ200Aにあてはまる。
【0037】
また、“X方向”の駆動アクチュエータ100は、“固定部位”115と“駆動部位”120と、から形成されており、後者にアーム105が接続される。
ここで、“固定”とは要素、部材または部位に関し基材に埋め込まれたものに対して使用されるものであり、“駆動”とは、要素、部材または部位に関し、以下において言及される弾性的なサスペンションによって基材から数ミクロン上方に配置されるものに対して使用される。
【0038】
そして、固定部位115は、放射状電極125を有しており、当該放射状電極125から、固定された一組の平行な櫛状部130が外側に伸長している。
ここで、櫛状部130は、主ロッドと主ロッドに接続している一組の平行な指状部を有し、該指状部は主ロッドに垂直な方向に伸長している。
【0039】
また、“駆動部位”120は、一般的なU字型を有しており、固定部位115の周囲に伸長するフレーム135を含んでいる。
当該フレーム135は、弾性サスペンションからなるリンク140及び140Bを埋め込むことによって末端が基材に接続されている。
また、櫛状部145は、フレーム135から外側に伸長しており、同じように、主ロッドと主ロッドに接続している一組の平行な指状部を有しており、当該指状部は、主ロッドに垂直な方向に伸長している。
【0040】
また、固定部位115の櫛状部130、及び駆動部位120の櫛状部145は、それぞれ平行配置されており、交互に配置されている。
そして、それぞれの指状部が、交互に配置されるように、一方の櫛状部145が、他方の櫛状部130に対向するように配置される。
【0041】
ここで、“y方向”の駆動アクチュエータ200は、“x方向”の駆動アクチュエータに対して、垂直方向に向いていることを除き、当該“Y方向”の駆動アクチュエータ200は、“x方向”の駆動アクチュエータ100と同様の構造を備えている。
【0042】
したがって、動作時においては、交互に配置された櫛状部の指状部は、平板型キャパシタ(コンデンサ)と同等であり、その内一方のプレートは“x方向”の駆動アクチュエータ100の電極125または対応する“y方向”の駆動アクチュエータの電極225に接続されている。
もう一方のプレートは、それぞれ“x方向”の駆動アクチュエータ100の埋め込まれたリンク140Aまたは140B及び“y方向”の駆動アクチュエータ200の埋め込まれたリンク240Aまたは240Bにより接地している。
【0043】
また、“x方向”の駆動アクチュエータ100に関しては、所定電圧が、放射状電極125に印加された時、この電圧が固定部位115と、駆動部位120との間にポテンシャルの差を形成する。
したがって、電場が、櫛状部130、145の間の、指状部によって構成されるキャパシタンス(コンデンサ)の板間に形成される。
この形成された電場は、一方の櫛状部145を、固定部位の櫛状部130に対して、指状部に平行な方向に動かす静電力を生成し、それによってアーム105が対応する方向へ移動する。
すなわち、櫛状部の指状部の間で働く静電力は、フレーム135の移動を引き起こし、結果として、アクチュエータリング30に対するXpos方向へのアーム105の線形運動につながる。
【0044】
同様の動作が、y方向に駆動するアクチュエータ200に関して発生する。
すなわち、所定電圧が、電極225に印加されると、静電力が生成され、アクチュエータリング30に対するYpos方向へのアーム205の線形運動を引き起こす。
【0045】
別の言い方をすれば、もし電極125に連結する櫛状部130と、駆動部位120に接続する櫛状部145との間、または、電極225と関連または接続した櫛状部と、駆動部位220と関連または接続した櫛状部との間に電圧差が与えられなければ、静電力は発生せず、アクチュエータリング30はそれぞれの櫛状部間の弾性力によって休止位置に保持されることになる。
この初期位置は、
図1(a)及び
図1(b)において開始位置として示され、
図5において1つの完全な動作サイクル後の終了位置として示される。
一方、仮に電極125に連結する櫛状部130と、駆動部位120に接続する櫛状部145との間、及び/または、電極225と関連または接続した櫛状部と、駆動部位220と関連または接続した櫛状部との間に電圧差が与えられた場合は静電力が対応するx方向及び/またはy方向に発生し、アクチュエータリング30は対応するx方向及び/またはy方向に引っ張られる。
【0046】
なお、駆動アクチュエータ100及び200に関する詳細については、本願発明において必ずしも必須記載の構成内容ではなく、上述した米国特許第7,592,737号の記載が適宜参照される。
【0047】
次に、
図2〜
図5を参照して、本願発明を説明する。
そして、これらの図面は、アクチュエータリング30の運動と、駆動輪20の回転の連続的な段階を例示する。
【0048】
まず、図示の目的上、
図1(a)は、アクチュエータリング30の例示的な初期位置として見なすことができる。
すなわち、
図1(a)において、x方向の駆動アクチュエータ100及びy方向の駆動アクチュエータ200のいずれも、作動状態にはない。
したがって、それぞれのばね特性により、x方向の駆動アクチュエータ100のアーム105は、図面中のXneg方向にアクチュエータリング30を“押して”いる状態(押圧状態)である。
そして、y方向の駆動アクチュエータ200は、図面中のYneg方向に、アクチュエータリング30を“押して”いる状態(押圧状態)である。
この方法によると、x方向の駆動アクチュエータ100と、y方向の駆動アクチュエータ200の動作によって、基本的に、アクチュエータリング30が、駆動輪20の四分円Iにおける45度領域に、押し当たることになる(
図1(a)及び
図1(b)参照)。
この状態のx方向の駆動アクチュエータ100と、y方向の駆動アクチュエータ200の動作において、アクチュエータリング30と、駆動輪20の間の嵌合は、四分円Iの45度領域で最も深いことになる。
この状態において、
図1(a)示すように、“1”で示される駆動輪20の歯が、アクチュエータリング30の歯に嵌合しており、“A”で示すアクチュエータリング30の歯の左側に嵌合していることになる。
【0049】
次に、
図2に示されるように、“x”方向の駆動アクチュエータ100の作動により、アーム105がアクチュエータリング30を、図中に記載されたXpos方向に引っ張ることになる。
したがって、“y方向”の駆動アクチュエータは、故意に非作動状態としており、ばね特性により、“y方向”の駆動アクチュエータ200は、アーム205にアクチュエータリングをYneg方向に“押し”続けることになる。
よって、結果的に、アクチュエータリング30は、駆動輪20の四分円IIにおける45度領域に押し付けられる。
この状態でのx方向の駆動アクチュエータ100と、y方向の駆動アクチュエータの動作により、この四分円IIの45度領域において、アクチュエータリング30と駆動輪20の間で、最も深い嵌合が存在することになる。
なお、ここにおいて、駆動輪の歯であって、“1”と示されたものは、依然として係合しており、アクチュエータリングの歯“A”の左側へ係合しているが、歯“A”は、歯“1”の右側にわずかに離れている。
【0050】
次に、
図3を参照して、説明する。
この状態において“x方向”の駆動アクチュエータ100は、依然として作動状態にあり、アーム105はアクチュエータリング30をXpos方向に“引っ張って”いる。
さらに、“y方向”の駆動アクチュエータ200もまた、作動状態であり、同じようにアクチュエータリング30をYpos方向に“引っ張って”いる。
この動作方法における“x方向”の駆動アクチュエータ100と、“y方向”の駆動アクチュエータ200により、アクチュエータリング30を、原則的に四分円IIIの45度領域において駆動輪20を押し付ける(
図1参照)。
したがって、この状態でのx方向の駆動アクチュエータ100と、y方向の駆動アクチュエータ200により、この四分円IIIの45度領域において、アクチュエータリング30と駆動輪20の間で、もっとも深い嵌合が存在することになる。
そして、この状態において、駆動輪の歯であって、“1”と示されたものは、アクチュエータリングの歯から離間し始めており、わずかにアクチュエータリングの歯“A”から左方にある。
【0051】
次に、
図4を参照して、さらに説明する。
この状態において“x方向”の駆動アクチュエータ100は、再度非作動状態にあり、アーム105はアクチュエータリング30を、図面中のXpos方向に“押して”いる。
一方、“y方向”の駆動アクチュエータ200は、依然として作動状態であり、同じようにアクチュエータリング30を、図面中のYpos方向に“引っ張って”いる。
この方法における“x方向”の駆動アクチュエータ100と“y方向”の駆動アクチュエータ200の動作により、アクチュエータリング30を、原則的に四分円IVの45度領域において駆動輪20を押し付けることになる。
この状態でのx方向の駆動アクチュエータ100と、y方向の駆動アクチュエータにより、この四分円IVの45度領域において、アクチュエータリング30と駆動輪20と間で、最も深い嵌合が存在することになる。
この状態において、駆動輪の歯であって、“1”と示されたものは、再度アクチュエータリング30に係合を始めるが、歯“A”を過ぎて右方に存在している。
【0052】
そして最後に、
図5を参照して説明する。
この状態において、“x方向”の駆動アクチュエータ100及び“y方向”の駆動アクチュエータが、それぞれ非作動状態となる。
したがって、アーム105及び205はそれぞれのばね特性によって、もう一度各々アクチュエータリング30を、図面中のXneg方向とYneg方向にそれぞれ“押している”。
この方法における“x方向”の駆動アクチュエータ100と“y方向”の駆動アクチュエータ200の動作により、アクチュエータリング30を、再度、原則的に四分円Iの45度領域において、駆動輪20を押し付けることになる。
この状態での非作動のx方向の駆動アクチュエータ100と非作動のy方向の駆動アクチュエータ200に関し、この四分円Iの45度領域において、アクチュエータリング30と、駆動輪20との間で、最も深い嵌合が存在することになる。
この状態において、“1”で示される駆動輪20の歯は、今やアクチュエータリング30の歯“A”を通り過ぎ、そしてアクチュエータリング30の歯“A”の右方に位置するのが見受けられる。
【0053】
このように、上記のことから理解することが可能であるように、アクチュエータリング30は、図面中のXpos方向のヒステリシス型の運動において、初めに、Xpos方向、次にYpos方向、続いてXneg方向、そして最後にYneg方向へ移動し(回転はしない)、結果として、この1つの完全なサイクルの過程で、駆動輪20の外部の歯は、アクチュエータリング30の内側の歯数の分だけ接触することになる。
そして、アクチュエータリング30の歯数は、駆動輪20の歯数より多いので、駆動輪20は、アクチュエータリング30と駆動輪20の歯数との差分だけ、ちょうど回転することになる。
その上、例示された実施形態においては、アクチュエータリング30と、駆動輪20との歯数の違いは1である。
従って、上述した一連の工程により、歯1つ分だけ駆動輪が、より回転するという結果となる。
【0054】
そして、上述したとおり、駆動輪は、(360×X/n)度の回転に相当するx個の歯の分だけ回転させられる。
また、好ましい実施形態においては、1個の歯の分だけ回転させられる。
上述した好ましい例を用いるならば、nが300であり、xが1の場合、すなわち駆動輪の歯数が300であり、アクチュエータリングの歯数が301の場合、アクチュエータリングの1つの完全な駆動サイクルは、駆動輪を1.2度回転させることになる。
しかしながら、駆動輪20の数が同じであり、アクチュエータリング30の歯数が増加することで差分が大きくなる場合は、アクチュエータリング30の移動の全流れによって、より深い駆動輪の回転となる。
例えば、もし歯数の差分が2であり、駆動輪の歯数が300のままであるならば、駆動輪は、係合と離間の完全な1サイクルで2.4度回転することになる(すなわち、
図1から
図5に示す通りである。)。
当業者であれば理解できるように、さらなるn及び/またはxの変化は、係合と離間に完全な1サイクルに対して異なる回転量となる。
【0055】
また、
図6は、上述した
図1〜
図5についてのシーケンスを実施するためのx方向の駆動アクチュエータ100及びy方向の駆動アクチュエータ200の作動及び非作動の例示的な信号伝達スキームを説明する。
【0056】
すなわち、当業者によって理解されるように、信号の頻度は、駆動輪20の形状及び寸法、さらには歯車や、例えば駆動輪20によって駆動する指示針によって適宜変更することが好ましい。
また、他の信号及び制御特徴及び詳細については、当業者により理解される範囲で変更可能である。
【0057】
よって、本願発明の駆動装置や駆動方法は、例えば、時計のモーターへ適用するのに都合が良いと言える。
したがって、例えば、本願発明によれば、従来の駆動歯車列が、駆動輪とステッピングモーターとを交換することにより簡潔化されることを可能とする。
また、別の駆動方法としては、さらなる簡潔化において、従来の輪列は、駆動される表示指示針に連結しうる駆動輪20と交換されることが可能である。
すなわち、駆動輪を表示アームに直接接続することは、更なる構成の簡略化を可能とし、従来必要不可欠だった歯車類の削減や除去につながることになる。
【0058】
これらの実施形態のいずれにおいても、通常の熟練した設計者であれば、適当なトルク、制約、ギアの削減などを調整して、適宜決定する方法を知っているはずである。
したがって、例えば、
図7及び
図8が参照され、それぞれ、本願発明の好ましい実施形態が組み込まれているMEMSによる駆動ユニットのブロック図と、上述された構成を含む例示的な時計を示し、本願発明の好ましい実施形態と
図7に示される機能とを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0059】
また、
図7及び8において図示したように、本願発明の好ましい実施形態は、好ましくは、電子機器(電子デバイス)の一つとしての時計に組み込まれるが、当業者は、本願発明の効果及び利点がより変化に富み、広範囲に適用されることが理解される。
この目的達成のため、従来の腕時計以外の電子機器における、本願発明の幾つかの利用範囲を開示する米国特許第7,113,450号の主題は、全文内容が、本願の明細書に記載されているごとく全面的に組み込まれる。
しかしながら、好ましい本願の実施形態としての計時装置や腕時計であるものの、そのような計時装置等が、本願発明にとって必ずしも必須ではない他の特徴や部材から構成されることも理解されるだろう。
【0060】
上記観点や、当業者に良く知られた他の概念、本明細書中で開示された1つまたはそれ以上の駆動輪20を、回転させるために一つまたはそれ以上の歯車及び/または歯車列及び/または表示指示器それ自体に接続することや、表示針(例えば、時針、分針及び/または秒針)のような1つまたはそれ以上の表示指示器及び/またはリング及び/または線形表示針までをも動かすために接続することは、当業者の技術の範囲内としてよく知られている内容として、その詳細な説明については、省略するものとする。
そして、確かに、米国特許第7,113,450号に開示された内容は、本願発明の構成を考慮する上で参考とされる。
例えば、上述のように、例示的な駆動輪20は、伝統的なステッピングモーターの回転子及び/または従来の歯車列と交換しうる。
また、どのような電子機器においてもそのような駆動輪20の数は因子の数によって変わるが、使用される表示指示器の数に限定されるわけでない
例えば、対応する歯車や歯車列により駆動輪20と関連する表示指示器が互いに接続される場合、本願譲受人に多くの発明による例示的な構成が存在し、上述の米国特許第7,113,450号に限定されるわけではない。
【0061】
さらに、
図7に、符号500で示される、より大きな装置の例示的なブロック図を示す。
ここにおいて、当該装置500は、本明細書において開示されるMEMSによる駆動装置10及び10Aの1つを利用すべく、備えている
したがって、かかる装置500は、コントローラ(通常、符号600で示される)、電圧増倍器及びドライバー(通常、符号700で示される)、MEMS駆動装置(装置10または10Aのいずれでも良く、
図7においては装置10Aを表示するが、単なる例であり限定されない)を有している。
【0062】
以上の説明から理解されるように、また、開示され、さらには、従来技術の対比において理解されるように、本願によれば、駆動輪20は、好ましくいずれの方向にも、少ない増分で回転することが可能である。
また、使用されるすべての表示指示器の望ましい動作または回転をもたらす適切なギア比を設計することは、設計者の設計技術の範囲内であることも理解される。
例えば、ギア比等が非常に小さいことは、正確な増分や表示寸法が提供されることを意味しており、表示針の漸増的な回転に望ましいと言える。
したがって、少なくとも、特定の回転率(歯車)が、適切に時針、分針及び/または秒針などのような、表示針を適切に回転及び/または移動させるように設定することが好ましい。
【0063】
さらに、コントローラ600は、好ましくは電子時計であって、典型的に使用する一体のマイクロコントローラまたはASICである。
したがって、従来技術において理解されるように、電圧倍増器及びドライバー700に対して、
図6にて開示したように、制御信号を出力させて、動作させることができる。
そして、電圧倍増器/ドライバー700が接続されており、時計に含まれる駆動装置10及び/または10Aのそれぞれを動かすために必要なパルス信号やその他必要な信号を出力することができる。
すなわち、
図7において、駆動装置10または10Aのみが含まれていることが示されているが、これは単に構成例であり、特段の理由なく、これらの構成に限定されるものではない。
よって、上記説明を鑑みれば、複数のMEMSによる駆動装置が、コントローラ600と電圧倍増器/ドライバー700に対して、公知の方法で接続することが可能であり、それらのすべては技術者や設計者にとっては設計的事項である。
この駆動方法において、“x方向”の駆動アクチュエータ100と“y方向”の駆動アクチュエータ200は、それぞれ上述した方向に駆動し、そして本明細書に開示されるようにそれぞれ駆動輪20を回転させることが可能となる。
そして、これらは電子機器の内部に組み込まれることも十分可能である。
さらに、必要に応じて、コントローラ600の構成と機能に関する詳細内容に関しては、米国特許第7,113,450号に開示されたコントローラを参照することができる。
改めて言えば、すべての詳細、例えば、表示制御、回路設計、コントローラの機能、本願発明を使用した実施形態の例は、米国特許第7,113,450号に見出すことができ、かかる特許の内容は全文が本明細書に記載されているごとく、全面的に組みこまれる。
したがって、好ましい実施形態において、従来の電池または水素系封止燃料電池(“E−cell”)が、電力供給装置500として使用される。
【0064】
また、
図8は、複数のMEMS駆動装置が組み込まれている符号1000で示される例示的な時計を示す。
また、複数のMEMS装置は、総称として符号10、符号10Aで示され、装置10または装置10Aが参照されることが意図されている。
ここで、駆動装置10及び/または10Aをそれぞれ動作させるために、1つまたは複数のコントローラ600及び電圧倍増器/ドライバー700の設定を活用出来ることは、当技術分野の当業者であれば十分理解される通りである。
【0065】
さらに、
図8は、4つのMEMSによる駆動装置10または10Aを示しており、それぞれ例示的な歯車列505、510、515及び520を備え、当技術分野の当業者に理解されるとおり、順に1つまたはそれ以上の駆動表示器に接続される。
しかしながら、上述のとおり、好ましい実施形態においては、所望により歯車列を省略し、直接表示指示器に接続する駆動輪20を有することが可能である。
加えて、前述の駆動装置は、逆の方向への動作も可能であるという追加の利点を有している。
すなわち、
図1〜
図5のシーケンスで示されるように、時計回り方向の逆である反時計回りの方向に、駆動輪20を回転させることも可能である。
これは開示内容から理解されるように、“x方向”の駆動アクチュエータ及び“y方向”の駆動アクチュエータの作動と停止の順番を逆にすることで容易に達成される。
【0066】
以上のように、本願発明はMEMS技術を利用した電子機器に用いられる改良された駆動装置を提供するものである。
したがって、例えば、本願発明はそのようなMEMS技術を利用した双方向性の駆動装置を提供するために必要なアクチュエータ部品の数を減らすことが可能である。
加えて、本願発明の好適な実施形態によれば、アクチュエータリングと、駆動輪が係脱することがないことから、駆動輪の不要な回転により表示指標に与えられるずれや較正不能の予防ができる。
その上、駆動装置により制御される表示機能や指示内容の正確さを提供することが可能であり、さらに、本願発明は従来技術より小さく、かつより強い駆動装置の構成を提供することができる。
【0067】
以上の説明からも理解される通り、本願発明によれば、目的は効率的に達成でき、さらに、発明の技術的思想の範囲を逸脱することなく種々の変更が可能となる。
そして、それらは、何れも本願発明の範囲内にあるものであり、添付の図面を参照して説明した上記の記載から限定的に解釈されなければならないものではない。
また、本願発明は、請求の範囲の記載に基づくとともに、明細書に記載された全ての包括的及びより具体的な構成が包含されるものである。