(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分析が、伸長され、変異が導入された前記複数のポリヌクレオチドの少なくとも1個を発現させ、そこから発現されたポリペプチドを分析することを含む、請求項4に記載の方法。
少なくとも1個のプライマーが鋳型のポリヌクレオチド上の異なる位置に少なくとも2個の変更を含み、且つ少なくとも2個のフォワードプライマー又は少なくとも2個のリバースプライマーが鋳型のポリヌクレオチド上の同一の位置に異なる変更を含む、請求項1に記載の方法。
少なくとも1個のプライマーが、それぞれ1個の縮重部位を含む縮重プライマーのセットであり、目的とする突然変異が前記縮重部位における異なる多様なヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
少なくとも1個のプライマーが、前記鋳型のポリヌクレオチドの少なくとも1個のコドンに対応する少なくとも1個の縮重コドン、及び前記鋳型のポリヌクレオチドの前記コドンに隣接する配列に相同性を有する少なくとも1個の隣接する配列を含む縮重プライマーのセットである、請求項1に記載の方法。
前記フォワードプライマーがフォワード群に分類され、前記リバースプライマーがリバース群に分類され、前記フォワード群のプライマー及び前記リバース群のプライマーが、互いに独立して、前記鋳型のポリヌクレオチド上の位置に関係なく、対応する群の中で等濃度となるように標準化され、標準化後に等量のフォワードプライマーとリバースプライマーとが反応に添加される、請求項1に記載の方法。
前記鋳型のポリヌクレオチド上のプライマーの位置に応じてプライマーを複数の群に組織化し;ここで、前記鋳型上の同一の選択された領域に亘るプライマーを1個の群に含め;
グループ化されたプライマーをそれぞれの群の中で等濃度となるように標準化し、
1つの群のフォワードプライマーをフォワード群に集めて、フォワードプライマーのそれぞれの群の間で濃度が等しくなるように標準化し、
1つの群のリバースプライマーをリバース群に集めて、リバースプライマーのそれぞれの群の間で濃度が等しくなるように標準化し、
集められた等量のフォワードプライマー及びリバースプライマーを反応に添加することを、工程(b)の前に含む請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
TMCA法は、多数の変更を含む特定の遺伝子の変異体、又は組み合わせられた遺伝子ライブラリーを効率的且つ迅速に生成することができ;最小限の費用と努力しか必要とされず;「必要性」に応じて、偏った組み合わせライブラリーを作製するように仕立てることができる。上記TMCA法はライゲーション工程を採用しなくても行うことができ、それゆえ、多数の突然変異を生成する方法を単純化することができる。特定のライブラリーの「必要性」は実験により異なる。見込まれる突然変異の位置−「必要性」−は、例えば、1)合理的に設計されたアミノ酸の変更か、2)酵素上で所望の効果を奏するように実験的に決められた個々のアミノ酸の変更(GSSM
SM及びスクリーニングの試みにより決められる)のいずれであってもよい。それぞれのライブラリーは、見込まれる突然変異の位置を、特定の数だけ備えて作製される。見込まれる突然変異の位置において、より多い又はより少ない突然変異を有する子世代となるように偏らせてライブラリーを作製することが好ましいかもしれない。同様に、特定の突然変異又は特定の突然変異の位置に指向されて、又はこれに反して偏りが存在するライブラリーを作製することが好ましいかもしれない。
【0021】
本明細書において記載されたものと類似する又は等価な全ての方法及び材料は、本明細書に記載されている適切な方法及び材料とともに、本発明を実行又は試験するのに使用することができる。本明細書において言及された全ての文献、特許出願、特許、及びその他の引用は、その全体が引用により組み込まれる。更に、材料、方法、及び実施例は例示に過ぎず、特に明示しない限り限定されるものではない。
【0022】
本件出願において、本発明者らは、概略的に
図3に示されるテイラードマルチサイトコンビナトリアルアセンブリーの方法を設計した。比較のため、
図1及び
図2は、それぞれの突然変異部位が、異なるアミノ酸の2個以上の突然変異を有する可能性があるエボリューション−遺伝子部位飽和突然変異生成(「GSSM」)を示す。上記エボリューション−GSSM
SMは特定の遺伝子にヌクレオチドの変更を導入するために使用することができ、エボリューション−GSSM
SMを使用して、あるオープンリーディングフレームの各コドンを、一度に1以上の残基において、他の全てのアミノ酸に突然変異させることができる。このようにして、TMCA法により作製されたライブラリー中の子世代のポリペプチドが、複数の突然変異、好ましくは、2個以上、より好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、5個以上、6個以上、8個以上、10個以上、及びより好ましくは12個以上の突然変異を含みうる一方で、単一のクローンが1個の変更を有するDNAを含むGSSM
SMライブラリーが作製される。
【0023】
上記GSSM
SM技術を使用することで、一度に1個の残基が変更され、20アミノ酸全てに及ぶ。ライブラリーはスクリーニングされ、活性が向上した突然変異体(up−mutant)が同定される。TMCA反応は、単一の分子の複数の位置に突然変異を作成するように設計されている。上記TMCA反応は、GSSM
SMライブラリーから同定され、活性が向上した突然変異体(up−mutant)を組み合わせるために使用することができる。上記TMCA反応の条件の下では、複数のPCR産物が形成されることが期待される。上記PCR産物は、細胞に形質転換されて、増幅されることが期待されない。
【0024】
本発明の文脈においては、本明細書において使用される「アミノ酸」なる用語は、アミノ基(−−NH
2)及びカルボキシル基(−COOH)を−好ましくは、遊離の基として、或いはペプチド結合の一部として縮合された後の基として−有する全ての有機化合物に言及するものである。「20個の天然アミノ酸」は本発明の技術分野において、以下のアミノ酸に言及するものとして理解される:アラニン(ala又はA)、アルギニン(arg又はR)、アスパラギン(asn又はN)、アスパラギン酸(asp又はD)、システィン(cys又はC)、グルタミン酸(glu又はE)、グルタミン(gln又はQ)、グリシン(gly又はG)、ヒスチジン(his又はH)、イソロイシン(ile又はI)、ロイシン(leu又はL)、リジン(lys又はK)、メチオニン(met又はM)、フェニルアラニン(phe又はF)、プロリン(pro又はP)、セリン(ser又はS)、スレオニン(thr又はT)、トリプトファン(trp又はW)、チロシン(tyr又はY)、及びバリン(val又はV)。
【0025】
「増幅」(「ポリメラーゼ伸長反応」)なる用語は、ポリヌクレオチドの複製物の数が増加することを意味する。
【0026】
「〜に対応する」なる用語は、本明細書において、ポリヌクレオチド配列が引用されたポリヌクレオチド配列の全て若しくは一部に相同である(即ち、同一であり、厳密に進化的に関係していることではない)こと、又はポリペプチド配列が引用されたポリペプチド配列と同一であることを意図して使用される。逆に、「〜に相補的な」なる用語は、本明細書において、相補的な配列が、引用されたヌクレオチド配列の全て若しくは一部に相同であることを意図して使用される。例示すれば、「TATAC」なるヌクレオチド配列は、引用された「TATAC」に対応し、引用された「GTATA」なる配列に相補的になる。
【0027】
「プライマー」は、本明細書において、鋳型の核酸に対合可能であり、DNA増幅の開始点としての役割を果たす核酸鎖として定義される。上記プライマーは上記鋳型のポリヌクレオチドの特定の領域に完全に又は部分的に相補的であってもよい。非相補的ヌクレオチドは、本明細書において、不一致として定義される。不一致は、上記プライマーの内部、又は上記プライマーのいずれかの端部に位置していてもよい。単一のヌクレオチドの不一致、より好ましくは2個、そしてより好ましくは3個以上の連続する又は連続しない不一致がプライマー内に存在していることが好ましい。上記プライマーは、6ヌクレオチドから200ヌクレオチド、好ましくは20ヌクレオチドから80ヌクレオチド、より好ましくは43ヌクレオチドから65ヌクレオチドを有する。より好ましくは、上記プライマーは10ヌクレオチド、15ヌクレオチド、20ヌクレオチド、25ヌクレオチド、30ヌクレオチド、35ヌクレオチド、40ヌクレオチド、45ヌクレオチド、50ヌクレオチド、55ヌクレオチド、60ヌクレオチド、65ヌクレオチド、70ヌクレオチド、75ヌクレオチド、80ヌクレオチド、85ヌクレオチド、90ヌクレオチド、95ヌクレオチド、100ヌクレオチド、105ヌクレオチド、110ヌクレオチド、115ヌクレオチド、120ヌクレオチド、125ヌクレオチド、130ヌクレオチド、135ヌクレオチド、140ヌクレオチド、145ヌクレオチド、150ヌクレオチド、155ヌクレオチド、160ヌクレオチド、165ヌクレオチド、170ヌクレオチド、175ヌクレオチド、180ヌクレオチド、185ヌクレオチド、又は190ヌクレオチドを有する。「フォワードプライマー」は、本明細書において、鋳型のポリヌクレオチドのマイナス鎖に相補的なプライマーとして定義される。「リバースプライマー」は、本明細書において、鋳型のヌクレオチドのプラス鎖に相補的なプライマーとして定義される。上記フォワードプライマーと上記リバースプライマーとは、重複したヌクレオチド配列を含んでいないことが好ましい。「重複したヌクレオチド配列を含んでいない」とは、本明細書において、プラス鎖とマイナス鎖が互いに相補的である部分において、フォワードプライマーが鋳型のヌクレオチドのマイナス鎖の領域に対合せず、リバースプライマーが鋳型のヌクレオチドのプラス鎖の領域に対合しないこととして定義される。鋳型のヌクレオチドの同一の鎖に対合するプライマーについては、「重複したヌクレオチド配列を含んでいない」とは、上記プライマーが上記鋳型のヌクレオチドの同一の鎖の同一の領域に相補的な配列を含んでないことを意味する。
【0028】
上記プラス鎖は、センス鎖と同一であり、コーディング鎖又は非鋳型鎖とも呼称できる。これは、(Uの代わりにTを有する点を除いては)mRNAと同一の配列を有する鎖である。他方の鎖は、鋳型鎖、マイナス鎖、又はアンチセンス鎖と呼称され、mRNAに相補的である。
【0029】
「上記鋳型のポリヌクレオチドの同一の選択された領域に亘るプライマー」は、本明細書において、目的とする突然変異が縮重部位における多様な異なるヌクレオチドである、それぞれ少なくとも1個の縮重部位を有する縮重プライマーのセット;鋳型のヌクレオチドの少なくとも1個のコドンに対応する、少なくとも1個の縮重コドンを含む縮重プライマーのセット;又はそれらの組み合わせと定義される。例えば、3個のコドンの突然変異であるY276F/S282L、S282H、S282P、S282R、又はS282C/L284F(例えば、
図4、
図15、又は
図16を参照)の全ての可能な組み合わせに対するプライマーのセットは、上記鋳型の同一の領域に亘るプライマーである。「上記鋳型のポリヌクレオチドの同一の選択された領域に亘るプライマー」は、例えば特定のプライマーのセットであってもよい。
【0030】
DNAの「消化」は、上記DNAの特定の配列のみに作用する制限酵素を使用した上記DNAの酵素的開裂を意味する。本明細書で使用される多様な制限酵素は商業的に入手可能であり、それらの反応条件、補因子、及び他の要件は当業者に知られているように使用される。分析の目的では、典型的には1μgのプラスミド又はDNA断片が、約2単位の酵素とともに、約20μlの緩衝液中で使用される。プラスミドを構築するためのDNA断片の単離の目的では、典型的には5μgから50μgのDNAが、20単位から250単位の酵素を用いて、より大きな容量で消化される。特定の制限酵素についての緩衝液及び基質の適切な量は、製造業者により特定される。通常、37℃で1時間のインキュベーション時間が採用されるが、供給者からの指示に従って変更してもよい。消化後に、反応物をゲル上で電気泳動してもよい。
【0031】
「組み換え型」酵素は、組み換えDNA技術によって製造された、即ち、所望の酵素をコードする外来のDNA構築物により形質転換された細胞から製造された酵素を意味する。「合成された」酵素は、化学合成によって調製された酵素である。
【0032】
「制限部位」なる用語は、制限酵素の活性を発揮するために必要な認識配列を意味し、酵素的開裂部位を含む。開裂部位が、曖昧さの少ない配列(即ち、制限部位の発生頻度を決める第一の決定因子を含む配列)を含む制限部位の一部に含まれてもよいし、含まれていなくてもよいことが理解される。そのため、多くの場合には、関連する制限部位は内部に開裂部位を有する(例えば、EcoRI部位であれば、G/AATTC)か、まさに隣接した開裂部位を有する曖昧さの少ない配列のみを有する(例えば、EcoRII部位であれば、/CCWGG)。他の場合には、関連する制限酵素(例えば、Eco57I部位又はCTGAAG(16/14))は、外部に開裂部位を有する曖昧さの少ない配列(例えば、Eco57I部位であれば、上記CTGAAG配列)を有する(例えば、Eco67I部位のN16の位置)。酵素(例えば、制限酵素)がポリヌクレオチドを「開裂する」と言及されるとき、制限酵素がポリヌクレオチドの開裂を触媒するか、容易にすることを意味するものと理解される。
【0033】
制限部位において「曖昧な塩基の要件」は、完全に特定されていないヌクレオチドの塩基の要件−即ち、(限定されない例示では、A、C、G、及びTから選択される特定の塩基のような)特定の塩基ではなく、少なくとも2個以上の塩基のいずれか1個あってもよいこと−を意味する。塩基の曖昧さを示すために、本明細書以外にも本技術分野で用いられ共通して受け入れられている略記載は、以下のものが挙げられる:R=G又はA;Y=C又はT;M=A又はC;K=G又はT;S=G又はC;W=A又はT;H=A、C、又はT;B=G、T、又はC;V=G、C、又はA;D=G、A、又はT;N=A、C、G、又はT。
【0034】
「引用された配列」は配列比較の基礎として使用された配列と定義される;引用された配列は、例えば、全長cDNAの区分や配列表の中で定められる遺伝子配列のような、より長い配列のサブセットであってもよいし、完全長cDNA又は遺伝子配列を含むものであってもよい。一般的に、引用された配列は、少なくとも20ヌクレオチド長であり、少なくとも25ヌクレオチド長であることがたびたびあり、多くの場合、少なくとも50ヌクレオチド長である。2本のポリヌクレオチドは、それぞれ(1)2本のポリヌクレオチドの間で同様の配列(即ち、完全なポリヌクレオチド配列の一部分)を含んでいてもよいし、(2)2本のポリヌクレオチドの間で相違した配列を更に含んでいてもよいので、2本(又はそれ以上)のポリヌクレオチドの間での配列比較は、典型的には、「比較ウインドウ」上で2本のポリヌクレオチドの配列を比較して、配列相同性の部分領域を同定し、比較することによって行われる。
【0035】
本明細書において使用される「比較ウインドウ」は、少なくとも20塩基の連続したヌクレオチド位置の概念上の区分を意味し、ポリヌクレオチド配列は、少なくとも連続した20ヌクレオチドの引用された配列と比較されてもよく、且つ2本の配列の最適なアラインメントのために、比較ウインドウにおける上記ポリヌクレオチド配列の一部分は、上記引用された配列(付加及び欠失を含まない)に比較して20%以下の付加又は欠失(即ち、ギャップ)を含んでいてもよい。比較ウインドウを配置するための、配列の最適なアラインメントは、Smithの局部的相同性アルゴリズム(Smith and Waterman,Adv Appl Math,1981;Smith and Waterman,J Teor Biol,1981;Smith and Waterman,J Mol Biol,1981;Smith et al,J Mol Evol,1970)、Needlemanの相同性アラインメントアルゴリズム(Needleman and Wuncsch,1970)、Pearsonの類似性検索法(Pearson and Lipman,1988)、電子化されたこれらのアルゴリズムの実行(Wisconsin Genetics Software Pakage Release 7.0,Genetic Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.中のGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)、又は検査によって行われ、多様な方法により生成された、最善のアラインメント(即ち、比較ウインドウに亘って最も高い相同性の割合を生じるもの)が選択される。
【0036】
「保存的アミノ酸置換」は、類似の側鎖を有する残基の互換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり;脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びスレオニンであり;アミドを有する側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、及びヒスチジンであり;硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システィン及びメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換は:バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、及びアスパラギン−グルタミンである。
【0037】
引用されたポリペプチドに言及する場合、「断片」、「誘導体」、及び「類似体」なる用語は、引用されたペプチドの生物学的機能又は生物学的活性と少なくとも実質的に同一の、少なくとも1つの生物学的機能又は生物学的活性を保持したポリペプチドを含む。更に、「断片」、「誘導体」、又は「類似体」の用語は、開裂により改変されることにより著しく高い活性を有する成熟した酵素を生成しうる低活性のプロタンパク質のような「プロ体」分子により例示される。
【0038】
「遺伝子」なる用語は、ポリペプチド鎖の生成に関係するDNAの区分を意味する;遺伝子は、個別のコーディング区分(エキソン)の間に介在する配列(イントロン)の他にも、コーディング領域に先行する及びこれに続く領域(リーダー及びトレーラー)も含む。
【0039】
「非相同の」なる用語は、1個の一本鎖核酸配列が、もう1個の一本鎖核酸配列又はその相補鎖にハイブリダイズできないことを意味する。従って、非相同の領域は、ポリヌクレオチドの領域又はポリヌクレオチドが、それらの配列中に、もう1個の核酸又はポリヌクレオチドにハイブリダイズできない領域を有することを意味する。そのような領域は、例えば突然変異の領域である。
【0040】
「相同の」又は「略相同の」なる用語は、1個の一本鎖核酸配列が相補的な一本鎖核酸配列にハイブリダイズできることを意味する。ハイブリダイゼーションの度合いは、後述するように、配列間の同一性の程度、並びに温度及び塩濃度のようなハイブリダイゼーション条件を含む多数の要件に依存しうる。同一性を有する領域は5bpを越えることが好ましく、上記同一性を有する領域は10bpを超えることがより好ましい。
【0041】
「同一の」又は「同一性」なる用語は、2本の核酸配列が同一の配列又は相補的な配列を有することを意味する。従って、「同一性を有する領域」は、ポリヌクレオチドの領域又はポリヌクレオチド全体が、もう1個のポリヌクレオチドの領域又はポリヌクレオチドと同一であるか相補的であることを意味する。
【0042】
「単離された」なる用語は、その材料が元々の環境(もしその材料が自然発生のものであれば、自然環境)から分離されていることを意味する。例えば、生きている動物に存在する自然発生のポリヌクレオチド又は酵素は単離されていないものの、自然系において共存する材料の一部又は全部から分離された同様のポリヌクレオチド又は酵素は単離されている。斯かるポリヌクレオチドは、ベクターの一部分となっていてもよいし、及び/又は斯かるポリヌクレオチド又は酵素は組成物の一部であってもよく、且つ斯かるベクター及び組成物は自然環境の一部ではないという点において、やはり単離されていることとなる。
【0043】
「単離された核酸」と記載されることによって、核酸−例えば、DNA分子又はRNA分子−は、それが由来する生物体における自然発生のゲノム中に存在するときは、それが通常、直接連続している5’隣接配列及び3’隣接配列と直接連続していないことを意味する。このため、上記用語は、例えば、プラスミド、又はウイルスベクターのようなベクターに組み込まれた核酸;外来細胞のゲノム(又は、自然に見られる位置とは異なる位置における場合は、同種の細胞のゲノム)に組み込まれた核酸;及び分離された分子として存在する核酸、例えばPCR増幅若しくは制限酵素消化により製造されるDNA断片、又はin vitro翻訳で製造されるRNA分子を記述する。上記用語は、同様に、例えば融合タンパク質の製造に用いられる、追加のポリペプチド配列をコードする、ハイブリッド遺伝子の一部をなす組み換え核酸をも記述する。
【0044】
「ライゲーション」は、複数の核酸鎖の間で、リン酸ジエステル結合を形成する方法を意味する(Sambrook et al,1982,p.146;Sambrook,1989)。DNAリガーゼは、一本鎖切断(DNAの両方の相補鎖について1箇所の切断)を有する2本のDNA鎖を一本に連結できる。二本鎖切断については、相補的な鎖を鋳型として使用することにより、異なる種類のDNAリガーゼにより修繕できるが、最終のリン酸ジエステル結合を形成して完全にDNAを修復するには、依然としてDNAリガーゼが必要である。別段に規定されない限り、ライゲーションは知られた緩衝液を用い、0.5μgの略等モル量の結合されるべき(複数の)DNA断片あたり、10単位のT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を用いて成し遂げられる。「生成物は連結されなかった」とは、プライマーを使用して環状二本鎖鋳型ポリヌクレオチドの全体を増幅して得られた核酸の(複数の)端部の間で、リン酸ジエステル結合が形成されないことを意味する。
【0045】
「突然変異」なる用語は、野生型又は親世代の核酸配列の配列中の変更、又はペプチドの配列中の変更として定義される。斯かる突然変異はトランジション又はトランスバージョン等の点突然変異であってもよい。突然変異は1個以上のヌクレオチド配列又はコードされたアミノ酸配列の変更であってもよい。上記突然変異は、欠失、挿入、又は重複であってもよい。
【0046】
本明細書においては、縮重した「N,N,N」ヌクレオチド配列はトリプレットを示し、ここで「N」はA、C、G、又はTでありうる。
【0047】
本明細書で物に付されて使用される「自然発生の」なる用語は、物が自然に見出されうるという事実を意味する。例えば、自然にある原料から単離することができ、研究室においてヒトによって意図的に改変が加えられていない生物体(ウイルスを含む)中に存在するポリペプチド配列又はポリヌクレオチド配列は、自然発生のものである。一般的に、自然発生の、なる用語は、当該種に典型的であろう、非病的な(病気になっていない)個体に存在する物を意味する。
【0048】
本明細書において、「核酸分子」は一本鎖の場合は少なくとも1塩基、二本鎖の場合は少なくとも1塩基対からなる。更に、核酸分子は、何ら限定されるものではないが、専有的又はキメラ的に、以下の群により例示される核酸を含有する分子の如何なる群にも属する:RNA、DNA、ゲノム核酸、非ゲノム核酸、自然発生の又は自然発生でない核酸、及び合成された核酸。これは、限定されない例としては、ミトコンドリア、リボソームRNA等、如何なる細胞内小器官に付随する核酸、及び自然発生の成分とともに、1以上の自然発生ではない成分をキメラ的に含む核酸分子も含む。加えて、「核酸分子」は部分的に、特に限定されるものではないが、アミノ酸及び糖類等に例示される1以上の非ヌクレオチド系成分を有していてもよい。従って、限定されるものではないが、例としては、部分的にはヌクレオチド系であり、部分的にはタンパク質系であるリボザイムは、「核酸分子」と認められる。加えて、限定されるものではないが、例としては、放射性標識又は代替的には非放射性標識等、検出できる成分により標識された核酸分子も、同様に「核酸分子」と認められる。
【0049】
特定のタンパク質又はポリペプチド「をコードする核酸配列」、「のDNAコード配列」、又は「をコードする核酸配列」なる用語は、適切な制御配列の制御下に置かれることにより、タンパク質又はポリペプチドに転写され、翻訳されるDNA配列を意味する。「プロモーター配列」は細胞内においてRNAポリメラーゼが結合可能であり、下流(3’方向)のコーディング配列の転写を開始可能なDNA制御領域である。上記プロモーターは、上記DNA配列の一部である。この配列領域は開始コドンを3’末端に有する。上記プロモーター配列は、バックグラウンドを超えて検出可能な水準で転写を開始するのに必要な要素である最小数の塩基を有するものである。しかしながら、上記RNAポリメラーゼが上記配列に結合した後は、転写は(プロモーターの3’末端の)上記開始コドンから開始され、転写は3’方向に向かって下流に進行する。上記プロモーター配列の内部では、転写開始部位(便宜上、ヌクレアーゼSIによりマッピングされる)と、RNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)とが見出されるであろう。
【0050】
「タンパク質又はペプチドをコードする核酸」、「タンパク質又はペプチドをコードするDNA」、又は「タンパク質又はペプチドをコードするポリヌクレオチド」なる用語、及びその他の同義の用語は、追加のコーディング及び/又は非コーディング配列を有するポリヌクレオチドに加えて、タンパク質又はペプチドのコーディング配列のみを含むポリヌクレオチドを含む。
【0051】
従って、限定されない実施態様としては、「核酸ライブラリー」は1個以上の核酸分子の、ベクター系の収集物を含む。もう一つの異なる実施態様においては、「核酸ライブラリー」は核酸分子の非ベクター系の収集物を含む。更にもう一つの好ましい実施態様においては、「核酸ライブラリー」は、部分的にはベクター系であり、部分的には非ベクター系である核酸分子の組み合わせられた収集物を含む。好ましくは、ライブラリーを含む分子の収集物は、個々の核酸分子の種に応じて検索可能且つ分離可能である。
【0052】
「オリゴヌクレオチド」(又は、同義的には「オリゴ」)は、化学的に合成されてもよい一本鎖のポリヌクレオチド、又は相補的な二本のポリヌクレオチド鎖のいずれかを意味する。斯かる合成オリゴヌクレオチドは、5’リン酸を有しても、有していなくてもよい。5’リン酸を有していないものは、キナーゼの存在下でATPを用いてリン酸を追加しない限り、もう1個のオリゴヌクレオチドと連結しない。合成されたオリゴヌクレオチドは、脱リン酸化されていない断片と結合する。
【0053】
本明細書において、「親世代のヌクレオチドのセット」なる用語は、1以上の区別可能なポリヌクレオチド種からなるセットである。通常、この用語は、好ましくは親世代のセット(「親世代」、「初めの」、及び「鋳型」なる用語が置き換え可能に使用される)に突然変異生成を行うことにより得られる子世代のポリヌクレオチドのセットに言及する際に使用される。
【0054】
本明細書において、「生理的条件」なる用語は、生きた生物体に適合可能な及び/又は生きた培養酵母細胞又は培養哺乳動物細胞において、細胞内に典型的に実在する、温度、pH、イオン強度、粘度、及び同様の生化学的パラメーターを意味する。例えば、典型的な研究室の培養条件の下で培養された酵母細胞の細胞内の条件は、生理的な条件である。in vitro転写混合物用の好適なin vitro反応条件は、一般的に、生理的条件である。一般的に、in vitroの生理的条件は以下の条件を含む:50mMから200mMのNaCl又はKCl、pH6.5からpH8.5、20℃から45℃、及び0.001mMから10mMの2価カチオン(例えば、Mg
++、Ca
++):好ましくは、約150mMのNaCl又はKCl、pH7.2から7.6、5mMの2価カチオンであり、0.01%から1.0%の非特異的タンパク質(例えば、BSA)を含むことが多い。多くの場合、非イオン性界面活性剤(Tween、NP−40、Triton X−100)を、通常は約0.001体積%から2体積%、典型的には0.05体積%から0.2体積%の割合で存在させることができる。実験者は、慣用の方法に従って、特定の水性の条件を選択することができる。一般的ガイダンスとしては、以下の緩衝化した水性の条件が適用可能である:10mMから250mM NaCl;5mMから50mM Tris−塩酸;pH5からpH8;2価カチオン、金属キレート剤、非イオン性界面活性剤、膜画分、消泡剤、及び/又は微量成分の任意的追加。
【0055】
標準的な慣例(5’から3’方向への記述)を用いて、本明細書において二本鎖ポリヌクレオチドの配列を記載する。
【0056】
「関連したポリヌクレオチド」なる用語は、ポリヌクレオチドの領域が同一であること、及びポリヌクレオチドの領域が非相同であること意味する。
【0057】
「特異的ハイブリダイゼーション」は、本明細書において、第一のポリヌクレオチドと第二のポリヌクレオチド(例えば、別のものであるが、実質的に上記第一のポリヌクレオチドと同一の配列を有するポリヌクレオチド)の間でのハイブリッド形成と定義され、実質的に関連していないポリヌクレオチド配列は混合物中でハイブリッドを形成しない。
【0058】
「厳密なハイブリダイゼーション条件」は、ハイブリダイゼーションが、配列間で少なくとも90%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、もっとも好ましくは少なくとも97%の同一性があるときのみに起こることを意味する。本明細書によって、引用により全体が組み込まれるSambrook et al,1989を参照されたい。
【0059】
「野生型」なる用語は、上記ポリヌクレオチドが如何なる突然変異も含まないことを意味する。「野生型」のタンパク質は、タンパク質が自然に見出される活性のレベルで活性なものであり、自然にみられるアミノ酸配列を有することを意味する。
【0060】
元々のポリヌクレオチドの供給源は、個々の生物体から単離されてもよく(「単離物」)、所定の培地中で培養された生物体の収集物から単離されてもよく(「集積培養物」)、又は、もっとも好ましくは、培養されていない生物体から単離されてもよい(「環境試料」)。生物学的に多様な未開発の資源を入手できるので、培養に依存しない取り扱いを使用して、環境試料から新規の生物活性をコードするポリペプチドを誘導することが、もっとも好ましい。
【0061】
ポリペプチドの調製に利用できる微生物は、真性細菌及び古細菌等の原核微生物、並びに菌類、藻類、及び原生動物等の下等な真核微生物を含む。ポリヌクレオチドは環境試料から単離でき、その場合、核酸は生物体を培養せずに回収してもよいし、1以上の培養した生物体から回収してもよい。一形態において、斯かる微生物は、超好熱菌、好冷菌、低温菌、好塩性生物、好圧菌、及び好酸菌等の極限微生物であってもよい。
【0062】
以上に記載されたようにして選択され、単離されたポリヌクレオチドは、好適な宿主細胞に導入される。当該選択されたポリヌクレオチドは、既に、適切な制御配列を有するベクター中にあることが好ましい。上記宿主細胞は、哺乳動物細胞のような高等真核細胞であってもよいし、酵母細胞のような下等真核細胞であってもよいし、また好ましくは、上記宿主細胞は、細菌細胞のような原核生物であってもよい。上記構築物の上記宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、及び電気穿孔法(Davis et al,1986)によって行うことができる。
【0063】
適切な宿主の代表例としては、以下のものが挙げられる:E.coli及びPseudomonas fluorescens等の細菌細胞;バクテリオファージ;酵母、Pichia pastoris、及びAspergillus niger等の菌類細胞;Drosophila S2及びSpodoptera Sf9等の昆虫細胞;CHO、COS、又はBowes melanoma等の動物細胞;アデノウイルス;並びに植物細胞。上記TMCAライブラリーは、例えば、E.coli細胞の中のプラスミド形式で作製でき、次いで上記ライブラリーが他の宿主に更に導入できる。適切な宿主の選択は、本明細書の教示から当業者に自明な事項の範囲であるとみなされる。
【0064】
特に、組み換えタンパク質を発現する上で採用される多様な哺乳動物細胞の培養系に関して、哺乳類の発現系の例は、“SV40−transformed simian cells support the replication of early SV40 mutants”(Sluzman,1980)に記載されたサル腎臓繊維芽細胞のCOS−7系;例えば、C127、3T3、CHO、Hela、及びBHK細胞系等、適合可能なベクターを発現することが可能なその他の細胞系を含む。哺乳動物の発現ベクターは、複製開始点;好適なプロモーター及びエンハンサー;任意の必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びスプライスアクセプター部位、転写終結配列、並びに5’フランキング配列を含む。上記SV40の組み込みにより得られるDNA配列、及びポリアデニル化部位は、必要な非転写性遺伝因子を提供するために用いることができる。
【0065】
目的とするポリヌクレオチドを有する宿主細胞は、プロモーターを活性化し、形質転換体を選択し、又は遺伝子を増幅するために好適となるように改変された、慣用の栄養培地で培養することができる。温度、pH等の培養条件は、発現用に選択された上記宿主細胞について、従前使用されていた条件とし、斯かる条件は当業者に自明なものである。
【0066】
使用することができる発現ベクターの代表例は上記ウイルス粒子、バキュロ・ウイルス、ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、バクテリア人工染色体、ウイルスDNA(例えば、牛痘、アデノウイルス、梅毒ウイルス、仮性狂犬病、及びSV40派生物)、PI−系人工染色体、酵母プラスミド、酵母人工染色体、及び目的とする特定の宿主(バチルス、アスペルギルス、及び酵母等)に特異的なその他の任意のベクターであってもよい。従って、例えば、上記DNAは、ポリペプチドを発現するために、多様な発現ベクターのうち任意の1つに含まれていてもよい。斯かるベクターは、染色体性DNA、非染色体性DNA、及び合成DNA配列を含む。多数の好適なベクターが当業者に知られており、商業的に入手可能である。以下のベクターは例として提供される;原核生物性のもの:pQEベクター(キアゲン社)、pBluescriptプラスミド、pNHベクター、ラムダ−ZAPベクター(ストラタジーン社)、ptrc99a、pKK223−3、pDR540、pRIT2T(ファーマシア社);真核生物性のもの:pXT1、pSG5(ストラタジーン社)、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVLSV40(ファーマシア社)。しかしながら、他の如何なるプラスミド又は他の如何なるベクターもそれらが宿主中で複製可能で生存可能である限りにおいて使用できる。本発明においては、低コピー数のベクターも高コピー数のベクターも採用することができる。
【0067】
本発明で使用される好ましい型のベクターは、F因子の複製開始点を有する。E.coliの上記F因子(即ち、稔性因子)は、接合時のそれ自身の高頻度の転移と、細菌染色体自身の低頻度の転移をもたらすプラスミドである。特に好ましい実施態様においては、「フォスミド」又は細菌人工染色体ベクター(BAC)と呼ばれるクローニングベクターが使用される。これらはE.coli F因子から派生したものであり、ゲノムDNAの巨大な区分に安定して組み込むことができる。混合され、培養されていない環境試料からのDNAを組み込んだ場合、安定な「環境DNAライブラリー」の形で、巨大なゲノム断片を獲得することができる。
【0068】
本発明に用いられるベクターのもう一つの好ましい類型はコスミドベクターである。コスミドベクターは元来、ゲノムDNAの巨大な区分をクローン化し、増殖させるために設計された。コスミドベクターへのクローン化は”Molecular Cloning:A laboratory Manual”(Sambrook et al,1989)に、詳細に記載されている。
【0069】
上記発現ベクター中の上記DNA配列は、RNA合成を指向する適切な発現制御配列(プロモーター)に動作可能なように連結されている。特定の名称を付された細菌性プロモーターは、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダ P
R、P
L、及びtrpを含む。真核性のプロモーターはCMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウイルスに由来するLTR、及びマウスメタロチオネイン−I含む。好適なベクター及びプロモーターの選択は、当業者の水準の範囲内である。上記発現ベクターは、翻訳開始のためのリボソーム結合部位、及び転写ターミネーターを含む。上記ベクターはまた、発現増幅のための適切な配列を含んでいてもよい。CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベクター又は選択マーカーを備える他のベクターを使用することにより、如何なる所望の遺伝子からもプロモーター領域を選択することができる。
【0070】
加えて、上記発現ベクターは、好ましくは1個以上の選択マーカー遺伝子を有し、真核生物培養向けのジヒドロ葉酸レダクターゼ又はネオマイシン耐性、又はE.coliにおけるテトラサイクリン又はアンピシリン耐性のような、形質転換された宿主細胞の選択のための表現型上の特徴を提供する。
【0071】
一般的に、組み換え発現ベクターは、複製開始点;例えば、E.coliのアンピシリン耐性遺伝子、S.cerevisiaeのTRP1遺伝子等、上記宿主細胞の形質転換を許容する選択マーカー;及び高度に発現される遺伝子に由来し、下流の構造遺伝子の転写を指向するプロモーターを有する。斯かるプロモーターは、とりわけ、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)等の糖分解の酵素、アルファ因子、酸性ホスファターゼ、又は熱ショックタンパク質をコードするオペロンに由来しうる。異種の構造配列は、翻訳開始配列、翻訳終結配列、そして好ましくは翻訳されたタンパク質のペリプラズム空間又は細胞外の培地への分泌を指向させうるリーダー配列と適切に同調するように組み立てられる。
【0072】
クローン化の戦略は、ベクターにより決められるプロモーター及び内在性のプロモーターの両者による発現を許容する;ベクターによる発現促進は、E.coli内で機能しない内在性のプロモーターを有する遺伝子の発現に重要であるかもしれない。
【0073】
微生物から単離され又は微生物に由来する上記DNAは、選択されたDNAの探索に先立ってベクター又はプラスミドに挿入されることが好ましい。斯かるベクター又はプラスミドは、プロモーター、エンハンサー等の発現制御配列を有するものであることが好ましい。斯かるポリヌクレオチドは、ベクター及び/又は組成物の一部であってもよく、斯かるベクターや組成物がポリヌクレオチドを取り巻く自然環境の一部でないという点で、単離されたものとなる。特に好ましいファージ又はプラスミド、及びそれらへの導入及びパッケージ化の方法は、本明細書に記載されたプロトコルに詳細に記載されている。
【0074】
精製された形態の核酸の如何なる供給源も開始時の核酸として使用可能である(「鋳型ポリヌクレオチド」とも規定される)。従って、上記方法は、DNA、又はメッセンジャーRNAを含むRNAを使用でき、DNA又はRNAは一本鎖であってもよく、好ましくは二本鎖である。加えて、DNA、RNAそれぞれ一本の鎖を有するDNA−RNAハイブリッドが使用できる。上記核酸配列は、突然変異が導入される核酸配列のサイズに応じて、さまざまな長さであってもよい。特定の核酸配列は、50塩基対から50000塩基対であることが好ましく、50塩基対から11000塩基対であることがより好ましい。
【0075】
上記核酸は、例えば、pBR322等のプラスミド;クローン化したDNA若しくはRNA;又は細菌、酵母、ウイルス、及び植物若しくは動物等の高等生物体等、多様な供給源の天然のDNA若しくはRNA等の如何なる供給源からも取得することができる。DNA又はRNAは血液又は組織材料から抽出してもよい。上記鋳型ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド連鎖反応(PCR、米国特許第4,683,202号及び米国特許第4,683,195号を参照)を用いた増幅により取得することができる。或いは、上記ポリヌクレオチドは、細胞に存在するベクターに存在してもよく、上記細胞を培養し、本技術分野に知られた方法により細胞から核酸を抽出することによって十分な核酸を入手することができる。
【0076】
突然変異を有する特定の核酸配列の、始めのわずかな集団は、さまざまな異なる方法によって作製することができる。突然変異は、変異性PCRにより作製することができる。変異性PCRは信頼性の低い重合条件を使用し、長い配列に亘って低いレベルの点突然変異を無作為に導入する。或いは、突然変異は、オリゴヌクレオチドにより指向される突然変異生成によって、上記鋳型ポリヌクレオチドに導入することができる。オリゴヌクレオチドにより指向される突然変異においては、制限酵素による消化を使用することにより、ポリヌクレオチドの短い配列が上記ポリヌクレオチドから除去され、元々の配列からさまざまな塩基が変更された、合成されたポリヌクレオチドに置き換えられる。上記ポリヌクレオチド配列は、化学的突然変異生成によっても変更することができる。化学的な突然変異原は、例えば亜硫酸水素ナトリウム、亜硝酸、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、または葉酸を含む。ヌクレオチド前駆体の類似体であるその他の物質としては、ニトロソグアニジン、5−ブロモウラシル、2−アミノプリン、又はアデニンを含む。一般的にこれらの物質は、上記PCR反応において、ヌクレオチドの前駆体に替えて添加され、これにより上記配列に突然変異を生成する。プロフラビン、アクリフラビン、キナクリン等のインターカレーション物質も使用することができる。ポリヌクレオチド配列の無作為突然変異生成は、X線又は紫外光の照射によっても成し遂げることができる。一般的には、斯くして突然変異を起こさせたプラスミドヌクレオチドをE.coliに導入し、ハイブリッドプラスミドのライブラリーのプールとして増殖させる。
【0077】
或いは、特定の核酸の混合された小さな集団が、自然に見出されてもよく、それらは同一の遺伝子又は同類の異なる種の同一の遺伝子(即ち、同族の遺伝子)の異なる対立遺伝子からなってもよい。或いはそれらは、例えば免疫グロブリン遺伝子のように、一つの種の中において見出される同類のDNA配列であってもよい。
【0078】
上記特定の核酸配列の上記混合された集団がひとたび生成すれば、上記ポリヌクレオチドは、本技術分野に周知の技術を用いて直接使用することができるし、適切なクローニングベクターに挿入することもできる。
【0079】
ベクターの選択は、本発明の方法において採用される上記ポリヌクレオチド配列の大きさ及び上記宿主細胞に依存する。本発明の上記鋳型は、プラスミド、ファージ、コスミド、ファージミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、レオウイルス、パラミクソウイルス等)、又はそれらの選択された部分(例えば、被覆タンパク質、スパイク糖タンパク質、キャプシドタンパク質)であってもよい。例えば、コスミド及びファージミド等のベクターは、巨大なポリヌクレオチドを安定して増殖させることができるので、突然変異生成される特定の核酸配列が巨大である場合はコスミド及びファージミドが好ましい。
【0080】
単純化のため、本発明の上記TMCA法を、6箇所の異なる位置における6個の点突然変異を会合させる試みを例にとって説明する。
【0081】
まず、6本のプライマーが設計され合成される。各プライマーは、野生型の配列と比較して、1個の点突然変異を有する。遺伝子に対合するため、3本のオリゴがフォワードプライマーとして設計されると共に、3本のオリゴがリバースプライマーとして設計される(
図5)。6本のオリゴ全ては共に混合され、実施例に詳細に説明された条件でTMCA反応を構成するために使用される。その後、TMCA反応の完了はアガロースゲルで検証し、上記反応が成功したかを決定する。DpnI制限酵素がTMCA反応物に添加され、鋳型の環状DNAを破壊する。DpnIを作用させるため、上記鋳型DNAはDNAをメチル化可能なE.coli宿主から得たものでなくてはならない。DpnIで処理された反応物はE.coli細胞に形質転換され、所望の突然変異を有するDNAを回収する。上記形質転換体は、シーケンシング又は所望の検定でスクリーニングされる。
【0082】
本発明の方法は、6個の位置のものに限定されるものではない。変異位置の数が多いもの又は少ないものもこの方法により集めることができる。同様に、1個の位置について1個の変更のみ有するものに限定されるものでもない。同一の部位の異なる変更も対象とするために、それぞれのプライマーに1個の変更が導入された複数のプライマーを設計することができる。E.coliは実証のために使用された;しかしながら、他の細菌性の宿主もこの方法のために有効である。本発明の方法は点突然変異を導入するのみではなく、欠失、挿入、または縮重プライマーを使用した複数の突然変異を作製できる。
【0083】
上記TMCA反応は、プライマーの濃度、プライマーのTm(鋳型への対合温度)、DNAポリメラーゼ、鋳型濃度、上記プライマーと異なる宿主との組み合わせ等によって変更することにより、異なる位置の変更をどのように集めるかを制御することができる。
【0084】
上記会合は、in vitro若しくはin vivo、又は両者の組み合わせで起こすことができる。
図5は遺伝子に対合するプライマーの地図を図解する。本発明の方法の主な用途は、GSSM
SMにより活性が向上した突然変異体(up−mutant)の組み合わせの再構築の用途である。しかしながら、本発明の方法は、以下に列挙した他の如何なる用途においても有効とすることができる。
【0085】
1.TMCAは、遺伝子に、突然変異、欠失、及び挿入等、特定の変更を加えるために使用できる。
2.TMCAは、野生型の遺伝子を基礎として、特定の遺伝子変異体を作製するために使用できる。
3.TMCAは、突然変異、欠失、又は挿入を組み合わせるために使用することもできる。
4.TMCAは、突然変異、欠失、または挿入の組み合わせのライブラリーを、制御可能な様式により作製するために使用することができる。
5.TMCAは、複数位置の組み合わせのGSSM
SMライブラリーを作成するために使用することができる。
【0086】
一般に本発明は、複数の位置に多様な突然変異の異なる組み合わせを有する、子世代の複数のポリヌクレオチドを製造するための方法を提供する。上記方法は、少なくとも以下の1以上の工程の組み合わせにより、部分的に実行することができる:
【0087】
(第一の、又は鋳型の)ポリヌクレオチドの配列情報を取得すること。例えば、上記配列は、野生型のものであっても、突然変異した野生型のものであっても、自然発生ではない配列であってもよい。上記配列情報は、完全なポリヌクレオチドのものであってもよいし、結合部位をコードする配列、結合特異性を決める部位をコードする配列、触媒作用を決める部位をコードする配列、基質特異性を決める部位をコードする配列等の配列を含む目的とする一部の領域のものであってもよい。上記ポリヌクレオチド配列は、オープンリーディングフレーム、遺伝子、ポリペプチドをコードする配列、又は酵素をコードする配列を含んでいてもよく、シグナル配列若しくは分泌配列を有していても有していなくてもよい。
【0088】
ポリヌクレオチドの上記配列に沿って、3個、4個、5個、6個、8個、10個、12個、20個、又はそれより多い位置の突然変異等、目的とする3個以上の突然変異を同定すること。上記突然変異は、ポリヌクレオチド配列のレベルのものであってもよいし、例えばコドン等、上記ポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列の変異であってもよい。位置は絶対的位置によりあらかじめ定められていてもよいし、周囲の残基や相同性との関係によってあらかじめ定められていてもよい。上記突然変異の両側近傍に存在する配列が知られていることが好ましい。それぞれの突然変異部位は、異なるアミノ酸についての突然変異であるといったように、2以上の突然変異を含んでもよい。斯かる突然変異は、上述したとおり、及び米国特許第6,171,820号、米国特許第6,562,594号、米国特許第6,764,835号に記載されているとおり、Gene Site Saturation Mutagenesis(GSSM)を用いて同定することができる。
【0089】
上記鋳型配列に対して、目的とする上記突然変異を含むプライマーを提供すること。上記プライマーは合成されたオリゴヌクレオチドであってもよい。好ましくは、プライマーは目的とする突然変異毎に提供される。上記突然変異は、1個以上のヌクレオチドの変更、又は1個以上のコードされたアミノ酸配列の変更であってもよいし、挿入又は欠失であってもよい。従って、目的とする3個の突然変異を有する位置には3個のプライマーを使用できる。上記プライマーは、目的とする突然変異がいずれかのヌクレオチド又はいずれかの天然アミノ酸の範囲内での変更となるように、又はその範囲のサブセットとなるように縮重した部位を有するプライマーのプールとしても提供されうる。例えば、脂肪族のアミノ酸残基となるようにされた突然変異を提供するプライマーのプールが提供されうる。
【0090】
上記プライマーは、フォワードプライマー又はリバースプライマーとして、好ましくは少なくとも1個のフォワードプライマーと少なくとも1個のリバースプライマーとして、より好ましくは各プライマーの数が比較的バランスの取れたものとして(例えば、3個のフォワードと4個のリバース)調製することができる。例えば、1F、2F、3F、4R、5R、7Rといったように、3個のフォワードプライマーは比較的近隣するように選択することができ、リバースプライマーも同様に近隣するように選択することができる。突然変異がお互いに近傍に位置している場合、1箇所以上の位置に突然変異を有しているか、複数の位置に突然変異の異なる組み合わせを有しているプライマーを使用することが便利である。
【0091】
上記鋳型ポリヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを提供すること。プラスミド又は、クローニングベクター、シーケンシングベクター、若しくは発現ベクターに見られるように、上記ポリヌクレオチドは好ましくは環状であり、より好ましくはスーパーコイル形成されたものである。上記ポリヌクレオチドは一本鎖(「ssDNA」)であってもよく、好ましくは二本鎖(「dsDNA」)である。例えば、上記TMCA法は、スーパーコイル形成された(「sc」)dsDNAの鋳型を95℃で1分間加熱工程に供するが、上記鋳型はssDNAとならない(Lavy,NAR,28(12):e57(i−vii)(2000)参照,sc dsDNAを95℃で5分間加熱してもssDNA分子とならず、加熱後に分子を冷却すれば元に戻すことができることが示されている(page ii−iii、
図2))。
【0092】
プライマーが鋳型のポリヌクレオチドに対合可能な条件下で、反応混合物の上記鋳型のポリヌクレオチドにプライマーを添加すること。好ましくは、上記プライマーは単一の反応混合物中のポリヌクレオチドに添加されるが、実験計画に従って、複数の反応物に添加されてもよい。
【0093】
プライマーのポリメラーゼ伸長を行い、好ましくは環状の鋳型分子に沿って、伸長を完全に進行させること。伸長生成物(本明細書では、「子世代」又は「改変され、伸長されたポリヌクレオチド」と規定される)は慣用の方法によって増幅される。
【0094】
上記生成物は長さ、配列、所望の核酸の性質について、分析され、ポリヌクレオチドとして及び/又はポリペプチドとして発現されてもよい。他の分析方法としては、in situハイブリダイゼーション、配列スクリーニング、又は発現スクリーニングが挙げられる。上記分析は、所望の特性についての、1回以上の回数のスクリーニングと選択を有していてもよい。
【0095】
上記生成物は、細胞、又は無細胞系などの他の発現システムに形質転換される。無細胞系はDNA複製、修復、組み換え、転写に関連した酵素、又は翻訳のための酵素を含んでいてもよい。典型的な宿主は、細菌性の細胞及び細胞株、酵母細胞及び細胞株、植物細胞及び細胞株、並びに動物細胞及び細胞株を含み、E.coli、Pseudomonas fluorescens、Pichia pastoris、及びAspergillus nigerを含む。例えば、E.coliのXL1−Blue又はStb12株が宿主として使用できる。E.coliを(所望されない鋳型を反応後に除去するのに使用することができる)DpnIと共に使用する場合、上記鋳型DNAは、DNAをメチル化するE.coliの宿主から得られるものであってよい。上記細胞は子世代のポリヌクレオチドの発現に用いることができる。
【0096】
ポリヌクレオチドの発現生成物、又はポリペプチドの発現生成物は、細胞から回収し、長さ、配列、核酸の所望の性質を分析し、ペプチドとして発現させることができる。上記分析は、所望とされる性質についての1回以上のスクリーニング及び選択を含んでいてもよい。
【0097】
本発明の方法は、実施例中に例示される条件1A、7A、及び13Aのような異なる反応条件で同一の又は異なるプライマーを用いて使用され、異なる組み合わせ又は数の突然変異を有する生成物を生じさせてもよい。
【0098】
上述された方法を行うことにより、本発明は上記方法により製造され、所望の性質についてスクリーニングされ又は選択されることができる1個以上のポリヌクレオチドを提供することもできる。1個以上の子世代のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドとして発現させることができ、必要に応じて所望の性質についてスクリーニングされ、選択される。従って、本発明は、本発明の方法により製造されたポリヌクレオチド及びポリペプチドのライブラリーの他にも、本発明の方法により製造されたポリヌクレオチド及びポリペプチドを提供する。本発明は更に、ライブラリーをスクリーニングし、選択することによるライブラリーのスクリーニングを提供し、これにより1個以上のポリヌクレオチド又はポリペプチドを取得することができる。
【0099】
本発明の一つの態様においては、複数の改変されたポリペプチドを生成するための好ましい方法は、以下の工程を含む。
【0100】
(a)少なくとも3個のプライマーを、単一の反応混合物の中の二重鎖の鋳型のポリヌクレオチドに添加すること;ここで、上記少なくとも3個のプライマーは重複しておらず;上記少なくとも3個のプライマーのそれぞれは、他のプライマーとは異なる少なくとも1個の突然変異を含み;少なくとも1個のプライマーは、上記鋳型のマイナス鎖に対合可能なフォワードプライマーであり;少なくとも1個のプライマーは、上記鋳型のプラス鎖に対合可能なリバースプライマーであり;及び
【0101】
(b)上記反応混合物をポリメラーゼ伸長反応に供し、上記少なくとも3個のプライマーから、伸長され、改変された複数のポリヌクレオチドを得ること。
【0102】
本発明のもう一つの態様では、細胞が、リガーゼで処理されていない伸長された複数の生成物により形質転換される。もう一つの態様では、伸長され、改変された複数のポリヌクレオチドが細胞から回収される。本発明のもう一つの実施態様では、例えば、伸長され、改変された複数のポリヌクレオチドのうちの少なくとも1個を発現し、そこから発現されたポリペプチドを分析することにより、伸長され、改変された複数のポリヌクレオチドが分析される。もう一つの実施態様では、目的とする突然変異を含み、伸長され、改変された複数のポリヌクレオチドを選択する。
【0103】
一つの実施態様では、上記鋳型のポリヌクレオチドが、例えばプラスミドDNAやベクターDNA等の環状DNAである。もう一つの実施態様では、上記環状DNAはスーパーコイル形成されたDNAである。
【0104】
もう一つの態様では、鋳型のポリヌクレオチドについての配列情報が取得され、目的とする3以上の突然変異を鋳型ヌクレオチドに沿って同定することができる。もう一つの実施態様では、伸長し、改変された生成物を細胞に形質転換される前に、ポリメラーゼ伸長により取得された生成物を分析することができる。
【0105】
本発明のもう一つの態様では、ポリメラーゼ伸長により得られた生成物を、酵素、好ましくは制限酵素、より好ましくはDpnI制限酵素で処理して、上記鋳型のポリヌクレオチド配列を破壊する。上記処理された生成物は、細胞、好ましくはE.coli細胞に形質転換される。
【0106】
もう一つの実施態様では、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、より好ましくは少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、又はそれ以上のプライマーが使用される。一つの実施態様では、それぞれのプライマーは単一の点突然変異を有する(
図4A)。もう一つの実施態様では、2個のフォワードプライマーと、2個のリバースプライマーは、上記鋳型のポリヌクレオチド上の同一の位置に異なる変更を含む(
図4B)。本発明のもう一つの態様では、少なくとも1個のプライマーが、上記鋳型のポリヌクレオチドの異なる位置に、少なくとも2個の変更を含む(
図4C)。さらにもう一つの実施態様では、少なくとも1個のプライマーが、鋳型のポリヌクレオチド上の同一の位置に少なくとも2個の変更を含み、少なくとも2個のフォワード又はリバースプライマーが上記鋳型ポリヌクレオチドの同一の部位に異なる変更を含む(
図4D)。
【0107】
一つの実施態様では、フォワードプライマーがフォワード群に分類され、リバースプライマーがリバース群に分類され、上記フォワード群のプライマー及び上記リバース群のプライマーが、互いに独立して、上記鋳型のポリヌクレオチド上の位置に関係なく、対応する群の中で等濃度となるように標準化され、標準化後に等量のフォワードプライマーとリバースプライマーとが反応に添加される。この標準化方法において、一部の位置の組み合わせは偏っていてもよい。この偏りは、例えば、複数のプライマーを有する位置に比較した、単一のプライマーを有する一つの位置における比較的低いプライマー濃度に起因する。「位置の偏り」は、そのフォワード群又はリバース群の中において、他の位置に比較して、一つの位置においてプライマーの組み込みに強い選択を示す、結果として生じるポリヌクレオチドを意味する。これは、そのフォワードプライマーの群、又はリバースプライマーの群の中において、単一のプライマーの位置において突然変異の高い確率を有するものの、もう一つの位置において突然変異の低い確率を有する可能性がある、改変されたポリヌクレオチドの組み合わせをもたらす。この偏りは、TMCAの目的が
全ての可能な鋳型への変更の組み合わせを有する子世代のポリヌクレオチドを生成することである場合には好ましくない。上記偏りは、例えば、上記プライマーを、各位置が同等にされたプールに標準化することにより是正することができる。第2回のTMCA法において第1回のTMCA法において得られた一部の変異体を使用した2回のTMCA法を行うことは、鋳型に複数の変更を有する所望の子世代のポリヌクレオチドの収率を向上させることができる。
【0108】
もう一つの実施態様においては、上記プライマーの標準化が以下のようにして行われる;鋳型のポリヌクレオチド上のプライマーの位置に応じて、プライマーを複数の群に組織化すること−ここで、上記鋳型上、同一の選択された領域に亘るプライマーを1個の群に含める;グループ化されたプライマーをそれぞれの群の中で等濃度になるように標準化すること;1個の群のフォワードプライマーをフォワード群に集め、上記フォワードプライマーのそれぞれの群の間で濃度が等しくなるように標準化すること;1個の群のリバースプライマーをリバース群に集め、リバースプライマーのそれぞれの群の間で濃度が等しくなるように標準化すること;集められた等量の上記フォワードプライマー及び上記リバースプライマーを反応に添加すること。位置の組み合わせについては、偏りは観察されなかった。
【0109】
一つの実施態様においては、それぞれ1個の縮重部位を有する縮重プライマーのセットが提供されるが、ここで、目的とする上記突然変異は上記縮重部位におけるさまざまな異なるヌクレオチドである。もう一つの態様においては、鋳型の上記ヌクレオチドの少なくとも1個のコドンに対応する少なくとも1個の縮重コドン、および上記鋳型のポリヌクレオチドの配列の上記コドンに隣接する配列に相同性を有する少なくとも1個の隣接する配列を有する縮重プライマーのセットが提供される。もう一つの実施態様においては、上記縮重コドンがN,N,Nであり、20個の天然アミノ酸のいずれかをコードする。もう一つの実施態様においては、上記縮重コドンが20個未満の天然アミノ酸をコードする。
【0110】
異なる実施態様においては、目的とする突然変異を含む改変された複数のポリヌクレオチドを製造する好ましい方法は、以下の工程を含む。
【0111】
(a)少なくとも2個のプライマーを単一の反応混合物中の二重鎖の鋳型ポリヌクレオチドに添加すること;ここで、前記少なくとも2個のプライマーは重複しておらず;前記少なくとも2個のプライマーのそれぞれは、他のプライマーと異なる少なくとも1個の突然変異を含み;少なくとも1個のプライマーは、上記鋳型のマイナス鎖に対合可能なフォワードプライマーであり、少なくとも1個のプライマーは、上記鋳型のプラス鎖に対合可能なリバースプライマーである;
【0112】
(b)上記反応混合物をポリメラーゼ伸長反応に供し、上記少なくとも2個のプライマーから、伸長され、改変された複数のポリヌクレオチドを得ること;
【0113】
(c)伸長され、改変された上記複数のポリヌクレオチドを酵素で処理して上記鋳型ヌクレオチドを破壊すること;
【0114】
(d)リガーゼによって処理されていない、伸長され、改変された上記ポリヌクレオチドを、細胞に形質転換すること;
【0115】
(e)伸長され、改変された複数のポリヌクレオチドを細胞から回収すること;及び
【0116】
(f)目的とする突然変異を含む、伸長され、改変された複数のポリヌクレオチドを選択すること。
【実施例】
【0117】
以下に示す実施例は、鋳型又は遺伝子の複数の位置における単一の突然変異が、単純な単一の反応混合物の中で、首尾よく組み合わされることを示すが、これは突然変異を生成する知られた方法に基づいて予測されなかった。実験から得られた可能な組み合わせの分布は、統計的計算から得られた分布パターンと類似したものであった。上記反応は、必要性を踏まえて、偏った組み合わせを生成するように仕立てることができる。
【0118】
GSSM
SM技術の下では、上記TMCA技術は、上記鋳型のポリヌクレオチドのプラス鎖及びマイナス鎖の両方に対合する相補的プライマーを採用しない。本TMCA発明のために記載された(単一の温度サイクル反応についてフォワード群とリバース群を含む)プライマーを有する温度サイクリングによる伸長から合理的に予想されることは、フォワードプライマー及びリバースプライマー個々の組から規定される、増幅された線形のポリヌクレオチドの排他的コレクションが生成するということである。上記TMCA条件の設定は、標準的なPCR条件とほとんど同一である。上記TMCA反応においては、複数のPCR生成物が製造され、ここで、それぞれの生成物が有する突然変異の数は、単一の反応において使用されるプライマーのセットにより網羅される突然変異の完全なセットよりも少なくなる、例えば、6個のプライマーが使用され、それぞれのプライマーが1個の突然変異を有する場合に、突然変異が6個よりも少なくなることが予測されるだろう。更に、上記PCR生成物は、細胞に形質転換され、増幅されることが予期されない。驚くべきことに、上記TMCA法は、1個の分子中に複数の変更を含む特定の遺伝子変異体を生成できると共に、ライゲーション工程を採用することなく実施することができ、以って複数の突然変異を生成する方法を単純化する。
【0119】
<実施例1;TMCA法の例示的手順を以下に示す>
TMCA反応
↓
DpnI処理
↓
宿主への形質転換
↓
スクリーニング
【0120】
1.TMCA反応の設定
条件1
Pfu 10×緩衝液 2.5μl
DMSO 2.5μl
dNPT混合液(10mM) 0.5μl
鋳型DNA(25ng/μl) 1μl
Pfuターボ 0.5μl
水 14μl
フォワードプライマー(5μM) 2μl
リバースプライマー(5μM) 2μl
合計 25μl
【0121】
条件2
Pfx Accu 緩衝液 5μl
鋳型DNA(25ng/μl) 1μl
Pfx Accuprime 0.4μl
水 37.6μl
フォワードプライマー(5μM) 3μl
リバースプライマー(5μM) 3μl
合計 50μl
【0122】
条件3
Pfx Accu緩衝液 2.5μl
鋳型DNA(25ng/μl) 1μl
Pfx Accuprime 0.2μl
水 17.3μl
フォワードプライマー(5μM) 2μl
リバースプライマー(5μM) 2μl
合計 25μl
【0123】
サイクル Robocyler Perkin−Elmer
始めの変性 95℃;1分 93℃;3分
変性 95℃;45秒 95℃;45秒 |
対合 50℃;1分 50℃;45秒 |20サイクル
伸長 68℃;2分/kb 68℃;2分/kb |
改良 68℃;5分 68℃;5分
4℃;無期限 4℃;無期限
2.TMCA反応物のうち50を電気泳動に供し、上記反応が成功しているかを決定する。
3.Dpn1制限酵素のうち10を3μlの水と1μlの緩衝液4(ニューイングランドバイオラボ社)で希釈する。TMCA反応物のそれぞれに、希釈した酵素を5μlずつ加える。37℃で4時間から8時間保温する。
4.標準的な形質転換の手順により、Dpn1で処理した反応物をE.coli細胞に形質転換する。
5.シーケンシング又は所望の検定により、結果として生じたコロニーをスクリーニングする。
【0124】
<実施例2>
最初の実験では、遺伝子上の6箇所の位置が選択されて組み合わされた(
図5)。反応は、3箇所の位置のフォワードプライマーと残る3箇所の位置の3個のリバースプライマーとを用いて設計された。上記反応から得られた変異体は、シーケンシングにより同定された。64個の異なる可能な組み合わせが存在した。条件1の下では、より少ない数の突然変異部位を有する変異体がより多く生成した(
図6)。条件2及び2の下では、より多い数の突然変異部位を有する変異体がより多く生成した。組み合わされたデータ(合計)からの全ての可能な組み合わせの分布は、統計的な計算による分布パターンと類似していた(
図6)。
図7の一つの曲線は、突然変異体の予測されるカバー率(%)を示し、もう一つの曲線は、0クローンから600クローンがスクリーニングされたときの、完全なカバーの可能性を示す。予測されるカバー率(%)の曲線上の円(即ち、78%、95%、99%、及び100%)は、96クローン、192クローン、288クローン、又は384クローンがスクリーニングされたときの予測されるカバー率を示す。予測されるカバー率(%)の曲線の下の四角(即ち、70%、91%、95%、及び98%)は、実験データから得られる実際のカバー率を示す。上記データでは、予測されるカバー率と実際のカバー率との間でのほぼ完全な一致を示す。
【0125】
表1 6個の突然変異のアセンブリー
【0126】
<実施例3>
第2の実験において、遺伝子上の4箇所の位置が選択され、組み合わせた(
図8)。上記反応は、2箇所の位置のフォワードプライマーと残る2箇所の位置の2個のリバースプライマーとを用いて設計された。上記反応により得られた変異体は、シーケンシングにより同定された。16個の異なる可能な組み合わせが存在した。第1の実験と同様に、条件1はより少ない数の突然変異部位を有する変異体をより多く生成し、条件2及び3はより多い数の突然変異部位を有するより変異体をより多く生成した(
図9及び
図10)。組み合わされたデータ(合計)からの全ての可能な組み合わせの分布は、統計的計算から得られる分布パターンと類似していた(
図9及び
図10)。
【0127】
表2 4個の突然変異のアセンブリー
【0128】
<実施例4>
第3の実験において、遺伝子上の3箇所の位置が選択され、組み合わされた(
図11)反応は、2箇所の位置のフォワードプライマーと、第3の位置の1個のリバースプライマーを用いて設計された。上記反応から得られた変異体は、シーケンシングにより同定された。この場合において、8個の異なる可能な組み合わせが存在した。条件9Bの下では、24コロニーのシーケンシングによって、8個の変異体全てが回収された。
図12参照。
【0129】
<実施例5>
熱的安定性を改善し、リパーゼの特異的活性を向上させるために、GSSM
SMにより活性が向上した13個の突然変異(up−mutant)が選択された(5箇所の位置)(
図13)。3箇所の位置(N168S、N171E、及びM176W)は共にグループ化され、単一のプライマーに含まれた。ライブラリーの大きさは、6×6×2×2×2=228となった。反応は、以下の方法により準備された:フォワードプライマーがフォワード群に分類され、リバースプライマーがリバース群に分類され、そしてフォワード群のプライマーとリバース群のプライマーが、互いに独立に、対応する群の中で鋳型のポリヌクレオチドの位置に関係なく等濃度になるように標準化され、標準化された後に等量の上記フォワードプライマーと上記リバースプライマーが反応溶物に添加された。位置1と位置2の組み合わせは偏っていた(
図13、及び
図14A、B、C)。位置1及び位置3の組み合わせ、又は位置2及び位置3の組み合わせと比較して、位置1及び位置2の組み合わせにおいて、可能な特有の変異体のより低い確率が実現した。2回のTMCA反応が行われた。第2の回において、第1の回から得られた変異体のうちの一部が使用された。720クローンのシーケンシングの後(2.5×ライブラリーの被覆率)、第1の回の288の特有の変異体のうち46%が得られた。ここで、1×被覆率のシーケンシングは、シーケンシングされた変異体(子世代)の数が可能な特有の変異体の数に等しいことを意味し、従って、2.5×被覆率は、シーケンシングされた変異体(子世代)の数が可能な特有の変異体の数(288)の2.5倍であることを示す。2回のTMCA反応が行われた。第2の回において、第1の回により得られた変異体の一部が鋳型のポリヌクレオチドとして使用された。第2の回において、それぞれのTMCA反応に使用されたプライマーは、第1の回において得られなかった変異体を得られるように仕立てられた。第2の回の後、288の特有な変異体の95.5%が得られた。スクリーニングの後、このライブラリーから、10個の活性が向上した突然変異体(up−mutant)が得られた(
図14A、B、C)。
【0130】
実施例は、上記TMCA法が組み合わせライブラリーを効率的に作製することを可能にすることを示す。突然変異体の位置に応じていくつかの制限が明確になるが、代替する方法が設計されることにより、これらの制限を解消することができる。新たな改良された改変は、偏りを著しく減少させることができる。TMCA反応を多数回行って、いくらかの偏りを解消することができる。上記TMCA法は、複数の酵素や複数のベクター系に有効であることが示された。ベクターの大きさの制限は11kbにも及びうる。