(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、医療現場で、は針刺し事故等が問題となっている。特に血液媒介感染症であるB型肝炎やC型肝炎、後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome ; AIDS)の 患者に使用した針等の鋭利な器材による事故は、医療従事者などの他者に感染する危険性がある。そこで厚生省は、これらを「感染性廃棄物」として適正に廃棄処理をするように「医療用廃棄物処理ガイドライン」を定め規制を強化した。
【0003】
従来、事故防止のために、使用した注射針はプラスチック製のキャップに差し込むこと(リキャップ)が一般に行われていた。しかし皮肉なことに、リキャップの時に、最も針刺し事故が多いといわれている。そのため、リキャップせずにそのまま注射針を廃棄できるよう、幾種類もの携帯用廃棄容器が提案・製品化され、実際に病院で広く利用されているものもある。
【0004】
たとえば後掲特許文献1には、注射器やアンプル等の鋭利な医療廃棄物を使用後すぐに安全に廃棄できる医療用ゴミ箱として、剛性の優れた熱可塑性樹脂製で、側面が特定の蛇腹形状をしたゴミ箱の構成が開示されており、これにより、針刺し事故等の医療事故を防止し得るとしている。
【0005】
その他にも、使用済み注射針ユニットの取り外しを行う際に、使用者が使用済み注射針ユニットに直接、手を触れず簡単に取り外しをすることができる廃棄針用回収容器(特許文献2)や、注射針を安全に処理するとともに再使用不能とするために、保護筒体に変形手段と保持手段とを設け、注射具を挿入して注射針の先端を硬質の変形手段に突き当てて曲げ変形させ、注射筒に突起からなる保持手段を圧接して容易に抜け出さないようにした処理具(特許文献3)なども、従来提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これら文献開示の先行技術も含め、訪問看護師が患者宅に訪問し、注射等の行為を行なった後の事故を効果的に防止するための、携帯可能で簡易な廃棄用容器が、未だ存在しない。したがって訪問看護においては、危険を承知でリキャップが行われている。また、病院内と異なり、訪問看護の場合には患者の感染症情報を十分に把握しきれていない現状がある。このような状況に加え、AIDSなどの感染症においては現在、医療の進歩により長期在宅療養が可能となっており、訪問看護においてもかかる感染症の利用者が増加している。したがって、訪問看護師を針刺し事故から確実に守るための対策は、喫緊の要事である。
【0008】
もし、このような危険な状況が放置される中で、針刺し事故による訪問看護師の感染が報告されるようになると、看護師自身の治療のための就業中止や、業務に危機感を感じた訪問看護師の離職、および就職率の低下が生じ、その結果、地域全体で患者等を守る仕組みが崩壊していくことが大いに懸念される。
【0009】
したがって本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の状況を踏まえ、医療現場、特に訪問看護による在宅看護時に発生している注射針による針刺し事故等を防ぐために、注射針、注射器、注射筒およびアンプル等の鋭利な医療廃棄物を使用後すぐに安全に廃棄できる、設置用または携帯用の医療廃棄物容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した。その結果、注射針、注射器、注射筒およびアンプル等の鋭利な医療廃棄物を使用後すぐに安全に封入できるように、注射針部をゴム等の部材に刺し入れて係止させ、注射部本体等を、成形性や剛性等の物性に優れた樹脂材料からなる密封容器に封印し、在宅看護の現場から訪問看護ステーション等に帰着した時点で、注射針部等が刺され係止された部材ごと注射器等を所定の医療用廃棄ボックスに廃棄するようにすることで、安全かつ簡単に処理できることを見出した。そして、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0011】
〔1〕 使用後の注射器等の医療廃棄物を収容するための
開閉可能な蓋を有する密閉可能な
箱形の本体と、該注射器の注射針等の医療廃棄物における鋭利な部位を刺して係止させるために該本体内に収容されている一または複数の
弾性材料製の針刺し体と
を備えてなる
携帯用の医療廃棄物容器であって、使用後の注射器等の医療廃棄物の一時的保管に使用するためのものであり、該針刺し体を該本体内に取り付けるための、または一時的に保持するための一対の針刺し体支持構造が一または複数設けられており、該針刺し体支持構造は、該針刺し体をその両端から挟んだ状態で、両針刺し体支持構造を結ぶ直線の軸周りに回動可能な構造であることを特徴とする、医療廃棄物容器。
〔2〕 前記針刺し体支持構造は、前記針刺し体をその両端から押圧し挟んだ状態で、両針刺し体支持構造を結ぶ直線の軸周りに回動可能な構造であることを特徴とする、〔1〕に記載の医療廃棄物容器。
【0012】
〔3〕 前記針刺し体の内部には、刺された注射針等の医療廃棄物における鋭利な部位の貫通を阻止する耐貫通部材が設けられていることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載の医療廃棄物容器。
〔4〕 前記本体には、注射器等の医療廃棄物収容時に用いる収容口と別に、収容された注射器等の医療廃棄物を排出するための排出口が設けられていることを特徴とする、〔1〕ないし〔3〕のいずれかに記載の医療廃棄物容器。
【0013】
〔5〕 前記排出口を必要時に開口するための開閉手段が設けられていることを特徴とする、〔4〕に記載の医療廃棄物容器。
〔6〕 前記排出口は前記本体の側面に設けられ、前記開閉手段の操作により前記注射器等の医療廃棄物を前記針刺し体に刺さったままで排出できることを特徴とする、〔5〕に記載の医療廃棄物容器。
【0014】
〔7〕 前記開閉手段とは独立して、前記針刺し体支持構造による前記針刺し体の支持を解除するための解除手段が設けられており、該解除手段は一方の針刺し体支持構造に結合していて、前記本体外から該一方の針刺し体構造に対する押圧または解除を行うものであることを特徴とする、〔6〕に記載の医療廃棄物容器。
〔8〕 前記開閉手段の操作によって同時に前記針刺し体支持構造による前記針刺し体の支持が解除されるよう構成されていることを特徴とする、〔6〕に記載の医療廃棄物容器。
【発明の効果】
【0015】
本発明の医療廃棄物容器は上述のように構成されるため、これによれば、注射針、注射器、注射筒およびアンプル等の鋭利な医療廃棄物を、使用後すぐに、かかる鋭利な部位に手を触れることなく、安全に廃棄することができる。したがって、医療現場、特に訪問看護による在宅看護時に発生している注射針による針刺し事故等の医療事故を確実に防止することができる。
【0016】
特に本発明は携帯性にも優れ、また、医療現場、殊に訪問看護時における使用済み注射器等の感染性廃棄物の、速やかかつ安全な廃棄・密封処理ができるため、医療事故を未然に確実に防止でき、医療従事者の不慮の感染・罹病を効果的に防止することができる。そして、看護師自身の治療のための就業中断や、業務に危機感を感じた訪問看護師の離職、および就職率の低下を未然に防止できる。
【0017】
本発明の医療廃棄物容器によれば、在宅における注射等業務をより安全なものとし、訪問看護活動を安心して継続することができ、患者に対する適切な医療・看護の供給を維持することができる。今後、全国的に地域における在宅医療・訪問看護の需要は増加していくと予想されるが、本発明はかかる地域医療の適切な維持に貢献することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の医療用廃棄物容器の基本構成を示す説明図である。
【
図2A】本発明の医療用廃棄物容器における作用を示す説明図である。
【
図2B】本発明の医療用廃棄物容器における作用を示す説明図である。
【
図3】本発明医療廃棄物容器の針刺し体の構成例を示す要部断面視の説明図である。
【
図4A】本発明医療廃棄物容器の使用方法例を示す説明図である。
【
図4B】本発明医療廃棄物容器の使用方法例を示す説明図である。
【
図4C】本発明医療廃棄物容器の使用方法例を示す説明図である。
【
図6A】実施例2の使用手順を示す写真である(準備段階)。
【
図6B】実施例2の使用手順を示す写真である(準備段階)。
【
図6C】実施例2の使用手順を示す写真である(収容・保管段階)。
【
図6D】実施例2の使用手順を示す写真である(収容・保管段階)。
【
図6E】実施例2の使用手順を示す写真である(収容・保管段階)。
【
図6F】実施例2の使用手順を示す写真である(排出段階)。
【
図6G】実施例2の使用手順を示す写真である(排出段階)。
【
図6H】実施例2の使用手順を示す写真である(排出段階)。
【
図7A】実施例2の詳細設計例を示す設計図である(平面・底面・長手方向側面)。
【
図7B】実施例2の詳細設計例を示す設計図である(端部方向からの断面)。
【
図7C】実施例2の詳細設計例を示す設計図である(保持部材の構造)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明について、詳細に説明する。
図1は、本発明の医療用廃棄物容器の基本構成を示す説明図である。図示するように本医療用廃棄物容器10は、使用後の注射器等の医療廃棄物9を収容するための密閉可能な本体1と、注射器の注射針等の医療廃棄物9における鋭利な部位9Nを刺して係止させるために本体1内に収容されている一または複数の針刺し体3とからなることを、主たる構成とする。図では医療廃棄物9として注射器を示しているが、これに限定されず、アンプル、翼状針など皮膚を傷つけ得る鋭利な部位を有する医療器具・医療用具は、全て医療用廃棄物に該当する。
【0020】
本体1の材料は、収容する医療廃棄物9を密閉でき、物理的に容易に変形しない物性を備えている限り、合成樹脂その他いかなるものであってもよい。なお、アクリル樹脂等の透明ないしは半透明の材料を用いれば、容器10内部の収容状態を視認でき、便利であるとともに安全性の面でも好ましい。また、形状その他の具体的仕様も、医療用廃棄物9の密閉収容が可能な限り、限定されない。もっとも後述するように、医療用廃棄物9の収容・保管・廃棄に便利な各機能を備えることが望ましい。
【0021】
針刺し体3の材料は、医療廃棄物9における鋭利な部位9Nを刺して係止させ、容易には抜け出ないようにすることのできるものである限り、合成ゴム等の弾性材料、その他いかなる材料も用いることができる。また図では1個のみが収容されている状態を示しているが、2個以上が収容されてもよい。なお針刺し体3は、本医療廃棄物10を使用する際に本体1内に収容されていればよく、不使用時には収容されていることを要しない。
【0022】
かかる構成により、本医療廃棄物容器10においては、まずその収容口となる開口部12が開かれ、既に本体1内に収容されている針刺し体3に対して、医療廃棄物9の鋭利な部位9Nが刺し入れられ、鋭利な部位9Nは針刺し体3に係止される。その後、医療廃棄物9は本体1内に収容され、開口部12が閉じられ、本体1が密封状態とされる。このようにして、医療廃棄物9の本医療廃棄物容器10への収容・保管が完了する。
【0023】
本医療廃棄物容器10は、病院内の所定箇所など特定の場所に設置・固定して用いてもよいが、特に看護師等医療従事者が携帯し、使用後の注射器等の医療廃棄物の一時的保管に使用するためのものとしてもよい。これにより、訪問看護に従事する看護師等が訪問先で本医療廃棄物容器10を用い、これに収容し一時的に保管した医療廃棄物9を、病院等に戻った後にそこに設置されている廃棄箱等に廃棄し、医療廃棄物容器10を次回の使用に供せる状態に戻す、という使用方法を行うことができる。
【0024】
図2A、2Bは、本発明の医療用廃棄物容器における作用を順に示す説明図である。各図において、(b)は(a)に対する右側面図である。これらに図示するように本医療廃棄物容器は、針刺し体23を本体内に取り付けるための、または一時的に保持するための針刺し体支持構造25、25が設けられることとし、針刺し体支持構造25、25は、針刺し体23を両端から押圧した状態で軸周りに回動可能な構造とすることができる。なお、本発明に係る針刺し体23等は、各図では略円筒形の形態で示されるが、回動可能である限り、形状は特に限定されない。
【0025】
かかる構成により、針刺し体23は針刺し体支持構造25、25によってその両端を押圧されることで本体内に支持される。後述するようにかかる針刺し体支持構造25の押圧による支持は、解除可能になされるようにする。支持された針刺し体23には、医療廃棄物29の鋭利な部位29Nが刺し入れられてこれに係止され(
図2A)、その後医療廃棄物29は針刺し体支持構造25−25の軸周りに回動がなされ(
図2B)、本体内での密閉収容・保管に適した姿勢に置かれる。
【0026】
図3は、本発明医療廃棄物容器の針刺し体の構成例を示す要部断面視の説明図である。図示するように本医療廃棄物容器は、その針刺し体33の内部に、刺された注射針等の医療廃棄物における鋭利な部位39Nの貫通を阻止する耐貫通部材33Hが設けられ、その上(表側)に刺し入れ用部材33Sが設けられた構成とすることができる。
【0027】
かかる構成により、医療廃棄物の鋭利な部位39Nが針刺し体33の刺し入れ用部材33Sに刺し入れられていっても(図中(a))、先端部が耐貫通部材33Hのところまでくるとそれ以上の刺し入れが阻止される。これにより、鋭利な部位39Nが針刺し耐33を貫通して反対側に突出することがなく、収容・保管・廃棄の全過程において、万が一にも針刺し事故等の発生することが、有効に防止される。
【0028】
図4A、4Bおよび4Cは、本発明医療廃棄物容器の使用方法例を示す説明図である。このうち、
図4Aは針刺し体が本体内に収容される段階、
図4Bは医療廃棄物が容器に収容・密閉保管される段階、
図4Cは医療廃棄物が容器から廃棄される段階を示す。使用方法を説明する前にまず、これらに図示されているところにより本医療廃棄物容器の望ましい構成例について説明する。なお、排出口418を正面として、
図4A(a)、(b)、
図4B(c)、(d)の左図、
図4C(f)および(g)は正面視の図、
図4B(d)の右図および
図4C(e)は右側面視の図である。
【0029】
これらに図示するように本構成例の医療廃棄物容器410の本体41には、注射器等の医療廃棄物49収容時に用いる収容口412とは別に、収容された注射器等の医療廃棄物49を排出するための排出口418が設けられている。医療廃棄物を排出する口を、収容口と共通化することも本発明からは排除されないが、それぞれ専用の箇所とすることによって、収容−保管−排出(廃棄)の流れを一本にでき、単純化・明瞭化でき、医療事故防止を目的とする本発明における安全性確保の効果を一層確実なものとすることができる。排出口418は、図示するように側面に設けることもできるが、たとえば底面に設けることも、本発明からは排除されない。
【0030】
本医療廃棄物容器410では、排出口418を必要時に開口するための開閉手段(図示せず)を設けた構成とすることができる。開閉手段は、通常は排出口418を本体41に対して密閉状態を形成するように結合させておき、医療廃棄物49を排出する必要のある時だけに簡単な操作によってこれを開放し、排出終了後は当該操作の解除を行うことによって元のように閉じる作用を行えるものであれば、バネ式、磁石式、その他従来公知の適宜の方式のものとすることができる。
【0031】
図示するように本医療廃棄物容器410の排出口418は、本体41の側面に設けることとし、開閉手段の操作により、注射器等の医療廃棄物49を、針刺し体43に刺さったままの状態で排出可能な構成とすることができる。これにより、排出口418に直接手を触れることなくこれを開口させて、本体41内に収容保管されていた医療廃棄物49を、安全に排出することができる。
【0032】
また、開閉手段とは独立して、針刺し体支持構造45A、45Bによる針刺し体43の支持を解除可能な構成とすることができる。図には例として、針刺し体支持構造45Aに結合していて本体41外から針刺し体支持構造45Aに対する押圧および解除を行うための解除手段46を示している。これには、具体的にはバネ式など、適宜の方式を用いることができる。
【0033】
これにより、まず針刺し体支持構造45A、45Bによる針刺し体43に対する支持が解除され、医療廃棄物49が刺さったままの状態の針刺し体43は本体41内の底部に位置することになり、排出口418が開口されればいつでも外部へ排出され得る状態となる。その後で、開閉手段によって排出口418を開口し、針刺し体43に刺さったままの状態で医療廃棄物49を排出することができる。あるいは逆に、各図に示したように、先に排出口418を開口し、その後で針刺し体支持構造45A、45Bによる支持解除をすることとしても、もちろんよい。
【0034】
このように、排出口418開口過程と支持解除過程を別にすることは、自動的に針刺し体43の支持解除と排出口418の開放が同時になされるようにする場合と比べて、個々の過程への注意がよりなされ、作業の安全性をより一層確実なものとすることができる効果がある。もっとも、開閉手段の操作によって同時に針刺し体支持構造による前記針刺し体の支持が解除されるという構成も、決して本発明の範囲から除外されるものではない。
【0035】
次に、各図に示した(a)〜(g)に沿って、本発明医療廃棄物容器410の使用方法例を説明する。
(a)本体41の収容口412が開けられ、針刺し体43の設置を開始する。解除手段46を外方に引く操作が行われ、それに結合した針刺し体支持構造45Aが45Bと離間し、針刺し体43をセットするスペースが形成される。
【0036】
(b)針刺し体43を、針刺し体支持構造45A、45Bによって両側から支持し、固定する。図では、針刺し体支持構造45Bは本体41内に固定した構造とし、一方針刺し体支持構造45Aは解除手段46が結合した状態に形成してある。(a)で開始した解除手段46を外方に引く操作を解除することで、針刺し体支持構造45Aは内方に戻り、針刺し体43に対する押圧が行われ、針刺し体43は両支持構造45A、45Bによって挟み込まれ、固定する。収容口412は密閉される。以上で、医療廃棄物49の収容・保管に供するための準備が整う。
【0037】
(c)収容口412が開けられ、使用済みの注射器等の医療廃棄物49の収容が開始される。鋭利な部位49Nが針刺し体43に刺し入れられる。そして、収容・保管形態となるよう、医療廃棄物49が下方に回動される。
【0038】
(d)回動が完了して収容口412を閉じられる状態となった後、収容口412は密閉される。以上で、医療廃棄物49の収容・保管がなされる。
【0039】
(e)医療廃棄物49の排出が必要になった時、排出口418が開かれる。これは、図示しない開閉手段によって行うものとすることができる。この時点では、針刺し体支持構造45A、45Bによる針刺し体43に対する支持解除はなされておらず、針刺し体43およびそれに刺さったままの医療廃棄物49は本体41内に留まった状態である。
【0040】
(f)ついで、解除手段46が操作され、針刺し体支持構造45Aは本体41内でその外方へ向かい引かれ、これにより針刺し体43に対する支持が解除される。
【0041】
(g)針刺し体43およびこれに刺さったままの医療廃棄物49は、排出口418から本体41外へと排出される。以上で、本医療廃棄物容器410に収容・保管されていた医療廃棄物49の外部への排出が完了し、医療廃棄物容器410を次回の使用に供する場合は、(a)の手順に戻り、再び順に繰り返される。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明がかかる実施例に限定されるものではない。
<実施例1 20cc注射器・翼状針廃棄用の携帯用注射針廃棄容器>
容器本体は、廃棄前の針が収納されているか否かが蓋をした状態でも判るように、アクリル樹脂等の透明または半透明な素材により製作した。寸法は、収納対象の仕様を考慮し、縦10cm、横20cm、高さ5cm(または2.5cm)とした。
【0043】
つまり、20cc注射器の仕様は針先から吸子頭までの長さが17cm、幅4.5cm、高さ2.5cmであり、1回の訪問看護時に注射針廃棄が2回なされる場合が多いため、2本の注射器を封入できる仕様としたものである。なお、最小限の仕様としては高さ2.5cmでよいが、上下二段構造にして(高さ5cm)、下段に消耗品であるところの後記弾性部材収容スペースを設ける構造としてもよい。
【0044】
注射針を挿入・係止させるための弾性部材(針刺し体 長さ3cm程度)と、弾性部材を保持するための部材(保持部材)は、携帯用注射針廃棄容器内の一端部および中央付近に設けた。保持部材はネジ構造を備えて形成した。これによって本容器には、翼状針ならば4本を収容することができるようにした。また、注射器1本と翼状針2本のパターンで収容することもできる。
【0045】
なお、弾性部材は消耗品であり、交換用弾性部材は、たとえば訪問看護ステーションに常備しておき、訪問看護ステーション帰着時に針とともに使用済みの弾性部材が廃棄された後、新たな弾性部材を取り付けて次の訪問看護に備えるものとすることができる。
【0046】
容器本体の一端には開閉可能な蓋が設けられており、訪問看護ステーション帰着時にこの蓋を開放することによって、直接手を触れずに、封入されていた廃棄用注射器および注射針を、係止された弾性部材と共に、所定の医療用廃棄ボックスに廃棄することができるようにした。なお、蓋開閉の構造はネジ利用、バネ利用、磁石利用、その他適宜の方法を用いるものとすることができる。
【0047】
本例では、コイルバネによって通常は閉じている状態を保持するための牽引部を開閉用の蓋に設けるとともに、スライド操作によって蓋を開くためのスイッチ設ける構成とした。さらに、スイッチ操作の際のスライド移動の力と連動して、保持部材(ネジ構造による)が弾性部材の保持を解除する方向に移動してラッチ機構が解除されるように構成した。なお、開閉用の蓋と、弾性部材を保持するための保持部材の一方とが直接連動し、それによって、蓋の開きと同時に保持が解除される構造としてもよい。
【0048】
弾性部材は2つの保持部材間に挟みこまれて保持される。弾性部材が保持部材に設けられた溝に沿ってガイドされて90°回動できるよう、保持部材を形成した。注射器使用後、弾性部材に対して上部から略垂直に注射針を刺して係止させ、その後、注射器を90°倒す(回動させる)ことによって容器内に収めることができるようにした。つまり注射器を倒した状態にした後、上蓋を閉めて容器を密閉状態にするようにしたものである。
【0049】
なお、弾性部材は二層構造にて形成した。すなわち、注射針が挿入される外側の層と、その内側に設けた、注射針のさらなる挿入を阻止するための耐貫通層である。これにより、弾性部材における針の貫通を防止することとした。
【0050】
次に、本実施例の携帯用注射針廃棄容器の使用方法の例を説明する。
看護師は、採血・静脈注射前あるいはまた点滴終了後の抜針前等に、本廃棄容器の上段の上蓋を開けておく。採血・静脈注射後あるいはまた点滴終了後の抜針後に、使用済注射針・翼状針を、挿入・係止用の弾性部材に刺し、注射器を接続したまま(ただし輸液セットとの接続は外して)、容器内に収まったことを確認し、蓋を閉めて密閉状態とする。
【0051】
その後、訪問看護ステーションに戻った際、開閉用の蓋の箇所を下に向けた状態にして、蓋開閉用のスイッチをスライドさせる。すると、これと連動して保持部材のネジ構造が弾性部材の保持を解除する方向に移動し、ラッチ機構が解除される。ラッチ機構の解除と共に、弾性部材に刺された状態のままで使用済注射針・翼状針が容器から排出される。
【0052】
ところで、本実施例の携帯用注射針廃棄容器は、上述したように上下二段構造とし、上段部は針収容用に、また下段部は消耗品である弾性部材等の収納用としてもよい。なお、弾性部材を上段の所定の位置に手で支持して開閉用の蓋を閉じることによって、蓋と保持部材との連動によって弾性部材を回動可能に保持する構造としてもよい。
【0053】
二段構造ではないいわば最小限仕様の携帯小型タイプの場合には、訪問看護ステーションに備えられた交換用弾性部材を新たに取り付け、次の訪問看護に備えることとする。
【0054】
<実施例2 改良型医療廃棄物容器>
実施例1は、開閉用の蓋の開口と弾性部材の保持解除を連動して行う構造の医療廃棄物容器であったが、かかる連動方式とは異なる方式とし、その他の改良を加えた実施例2について、図を用いつつ説明する。
図5は、実施例2の概観を示す写真である。また、
図6A〜6Hは実施例2の使用手順を示す写真である。このうち
図6A、6Bは準備段階、
図6C〜6Eは収容・保管段階、
図6F〜6Hは排出段階を示す。図示するように本容器810には、針刺し体支持構造としても機能することのできる仕切り壁84が設けられ、針刺し体83は合計4個セットできる構成である。
【0055】
まず、容器810の収容口812を開き(
図6A、6B)、針刺し体(弾性部材、ストップメイト)83を針刺し体支持構造(保持部材、ストップメイト操作ツマミ)85、85にセットする。ついで、使用済みの注射器や翼状針の医療廃棄物89を、上方からストップメイト83に刺し入れる。このことにより咄嗟の事態が生じても針刺しを起こさず、安全を確保したうえで対処できる(
図6C)。次に注射器を接続したまま(ただし輸液セットとの接続は外して)、倒して寝かせた姿勢で容器本体81内に収納する(
図6D)。必要に応じてその他の医療廃棄物88も同様に収納し、後は収容口812を閉めるだけの状態となる(
図6E)。それから収容口812を閉め、注射器等89が内部に収容・保管された状態で、容器810を密閉状態にする(図示せず)。
【0056】
ストップメイト操作ツマミ85を外側に引きながら90°回して固定することで、ストップメイト83の保持状態は解除されるが、さらに確かなものとするために、容器810全体を軽く振る(図示せず)。その後、排出口818を開くための開閉レバー87を手前に引く操作によって排出口818を開くことで(
図6F。
図5も参照)、使用開始以後、終始医療廃棄物89に手を触れることなく、これをストップメイト83ごと廃棄することができる(
図6G。また
図6Hも参照)。
【0057】
なお、実施例2の詳細設計例を、
図7A〜7Cに示す。
図7Aには平面・底面(天地逆)・長手方向側面の各図、
図7Bには端部方向からの断面
図2相(収容口閉状態・開状態)、
図7Cには保持部材の構造例を示す。なおまた、ここに記載された寸法を初めとする詳細設計はあくまでも例であり、本発明がこれらに限定されるものではない。