(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の例について詳細に説明する。
【0018】
図1〜2に示すように、ポンプユニット10は、入口11及び出口12を有する板状の筐体13と、筐体13内に収容されるマイクロポンプ15(
図3参照)と、発光ダイオード18とを備え、マイクロポンプ15(
図3参照)を用いて、入口11から流体を吸引し、吸引した流体を出口12から流出するものである。
【0019】
図3に示すように、筐体13は、入口側収容板13Aと、出口側収容板13Bとを有する。入口側収容板13Aの面13ASには、マイクロポンプ15を取り付けるための凹部13Kが形成される。面13ASにおいて、凹部13Kは、格子状に並べられる。また、図示は省略するが、出口側収容板13Bの面13BSにも、マイクロポンプ15を取り付けるための凹部が形成される。面13BSに設けられた凹部は、面13AS、13BS同士を合わせるように各収容板13A、13Bを重ねたときに、凹部13Kと正対する位置に設けられる。面13AS、13BS同士を合わせるように各収容板13A、13Bを重ねると、入口側収容板13Aの凹部13Kと出口側収容板13Bの凹部とにより、マイクロポンプ15の収容空間が形成される。したがって、収容板13A、13Bのいずれか一方の収容板に設けられた凹部にマイクロポンプ15を載置することにより、マイクロポンプ15は、m行×n列の格子状(例えば、4行×4列)に配される。そして、面13AS、13BS同士を合わせるように各収容板13A、13Bを重ねることにより、マイクロポンプ15は、格子状に並んだ状態で筐体13に内蔵される。
【0020】
筐体13に内蔵された複数のマイクロポンプ15(ポンプ群)は、最上流行(図中のm1行)に並べられたマイクロポンプ15によりなる最上流行グループ21と、最下流行(図中のm4行)に並べられたマイクロポンプ15によりなる最下流行グループ24と、最上流行グループ21及び最下流行グループ24の間にて行方向(図中のm2行、m3行)に並べられたマイクロポンプによりなる中間行グループ22、23とを形成する。
【0021】
筐体13には、流体の流路が形成される。流路は、筐体13に内蔵されたマイクロポンプ15の吸入口及び吐出口をつなぎ、筐体13において入口11から出口12に向けて流体が搬送されるように、形成される。なお、流路については後述する。
【0022】
マイクロポンプ15として、例えば、特許文献WO2008/069266で提案されているものを用いることができる。
図4及び
図5に示すように、マイクロポンプ15は、吸入口31A及び吐出口31Bが形成されたケース31と、ケース31に内蔵され、吸入口31Aから吐出口31Bまで気体を搬送するポンプデバイス32と、ケース31の外部に露出する給電用端子33とを備える。
【0023】
図5に示すように、ポンプデバイス32は、給電用端子33と電気的に接続され、電圧の印加により変形可能な圧電素子32Aと、圧電素子の作動によって変形可能な変形箱32Bとを備える。変形箱32Bは、ダイヤフラム32BAと振動壁32BBとを有する。ダイヤフラム32BAは、変形箱32Bのうち吸入口31Aに対向する部分に設けられる。振動壁32BBは、変形箱32Bのうち吐出口31Bに対向する部分に設けられる。ダイヤフラム32BAと振動壁32BBとの間には、一次ブロア室32Kが形成される。ダイヤフラム32BAの吸入口31Aに対向する面には、圧電素子32Aが取り付けられる。さらに、振動壁32BBには、一次ブロア室32Kの内外で流体を移動させるための開口32BDが、吐出口31Bと正対する位置に形成される。
【0024】
圧電素子32Aによってダイヤフラム32BAが振動すると、ケース31及びポンプデバイス32によって形成された二次ブロア室32Lと、一次ブロア室32Kとの間で流体が移動する。流体の移動により、振動壁32BBが共振する。ダイヤフラム32BAと振動壁32BBの振動によって、吸入口31Aから流体が吸い込まれる。吸入口31Aから吸い込まれた流体は、二次ブロア室32Lを通過して、吐出口31Bから放出される。マイクロポンプ15は、流体を搬送するブロア用途に適しており、逆止弁を用いることなく搬送できる。
【0025】
ダイアフラム32BAの振動数は、例えば、1kHz以上であり、18kHz以上27kHz以下であることが好ましい。また、ダイアフラム32BAの振動数は、非可聴領域であることが好ましい。これにより、ポンプデバイス32を有する装置(例えば、呼吸補助装置)を患者に着用させても、患者にはポンプデバイス32の動作音が聞こえない結果、動作音による不快感を患者に与えずに済む。
【0026】
さらに、マイクロポンプ15は、ポンプデバイス32の故障を検知するためのセンサユニット36を備える。センサユニット36は、吐出口31Bにおける流体の静圧Pを検知する圧力センサと、吐出口31Bにおける流体の流量Qを検知する流量センサとを有する。
【0027】
マイクロポンプ15は、板状に形成され、極めて小さい(例えば、縦20mm×横20mm×厚み2mm程度)ものの、入力正弦波を15Vpp(Volt peak to peak)で26kHzとした場合で、最大約1L/分の流体を搬送でき、また最大静圧2kPaを得ることが出来る(
図6参照)。
【0028】
マイクロポンプ15は、圧電素子32Aによるダイヤフラム32BAの振動で流体を搬送することから、搬送可能な流体の体積に自ずと限界があり、この静圧/流量特性も
図6に示すような傾向(例えば、比例乗数が負の一次関数、またはそれに近いもの)を示す。例えば約1kPaの静圧を得ようとすると、流量Qは0.5L/分となる。なお、入力正弦波を10Vpp、20Vppとすれば、圧電素子32Aの振幅が変化するので、入力正弦波に応じた流量Q及び静圧Pを得ることができる。すなわち、入力正弦波のVppを滑らかに変化させた場合には、流量Q及び静圧Pを滑らかに変化させることができる。あるいは、入力正弦波の周波数を変化させれば、流量Q及び静圧Pを変化させることができる。すなわち、入力正弦波の周波数を滑らかに変化させた場合には、流量Q及び静圧Pを滑らかに変化させることができる。ただし、流量Q及び静圧Pには、圧電素子32Aの能力やマイクロポンプ15の構成部品の強度や耐久性によって上限がある。通常は定格のVpp及び周波数で使用される。
【0029】
なお、マイクロポンプ15は、上述したような、1つの圧電素子32Aをダイヤフラム32BAに貼り付けたモノモルフ(ユニモフル)構造を有するものでもよいし、2つの圧電素子32Aを互いに貼り合わせて振動量を増やすバイモフル構造を有するものでもよい。マイクロポンプ15の構造は、流体の搬送等、目的に応じて最適なものを採用すれば良い。なお、マイクロポンプ15は、逆止弁を用いることなく気体を搬送できるが、マイクロポンプ15に代えて、吸入口又は吐出口に逆止弁を備えるマイクロポンプを適用しても良い。
【0030】
図3及び
図7に示すように、筐体13は、外部電源供給端子37と、コントローラ38と、配線39とを備える。外部電源供給端子37は筐体13に露呈するように設けられる。コントローラ38と配線39とは、入口側収容板13Aに設けられる。配線39は、外部電源供給端子37と、コントローラ38とを電気的に接続する。また、バス85Hは、コントローラ38と、発光ダイオード18と、それぞれのマイクロポンプ15に設けられた給電用端子33とを電気的に接続する。コントローラ38の詳細は後述する。
【0031】
筐体13は、入口直結機構と、出口直結機構と、入口直結機構及び出口直結機構をつなぐ流路形成機構と、を有する。
【0032】
図8〜9に示すように、入口直結機構は、最上流行グループ21(図中のm1行)に属するすべてのマイクロポンプ15の吸入口31Aと、入口11とを直結する入口直結流路41である。入口直結流路41は、入口側収容板13Aに形成される。入口直結流路41には切換弁41Zが設けられる。切換弁41Zは、最上流行グループ21(図中のm1行)に属する複数のマイクロポンプ15の吸入口31Aと入口11とが連通する並列状態と、最上流行グループ21(図中のm1行)に属するマイクロポンプ15のうちいずれか1つの吸入口31Aと入口11とが連通する直列状態と、の間で切り替え自在である。なお、切換弁41Zが並列状態である場合、最上流行グループ21(図中のm1行)に属するすべてのマイクロポンプ15の吸入口31Aが入口11と連通していてもよいし、最上流行グループ21(図中のm1行)に属するマイクロポンプ15のうち一部のマイクロポンプ15の吸入口31Aが入口11と連通しつつ、残りのマイクロポンプ15の吸入口31Aが入口11と連通していない状態でもよい。
【0033】
出口直結機構は、最下流行グループ24(図中のm4行)の吐出口31B及び出口12を直結する出口直結流路42である。出口直結流路42は、出口側収容板13Bに形成される。
【0034】
また、流路形成機構は、入口側収容板13A及び出口側収容板13Bに形成される。流路形成機構は、前述した切換弁41Zと、中間流路43と、中間流路43に設けられた開閉機構とを有する。中間流路43は、最上流吐出口流路51Bと、中間吸入口流路52Aと、中間吐出口流路52Bと、中間吸入口流路53Aと、中間吐出口流路53Bと、最下流吸入口流路54Aと、直列流路61〜63と、列パイバス流路71〜73と、を有する。
【0035】
最上流吐出口流路51Bは、最上流行グループ21(図中のm1行)に属するすべてのマイクロポンプ15の吐出口31B同士をつなぐ。中間吸入口流路52Aは、中間行グループ22(図中のm2行)に属するすべてのマイクロポンプ15の吸入口31A同士をつなぎ、中間吐出口流路52Bは、中間行グループ22(図中のm2行)に属するすべてのマイクロポンプ15の吐出口31B同士をつなぐ。同様に、中間吸入口流路53Aは、中間行グループ23(図中のm3行)に属するすべてのマイクロポンプ15の吸入口31A同士をつなぎ、中間吐出口流路53Bは、中間行グループ23(図中のm3行)に属するすべてのマイクロポンプ15の吐出口31B同士をつなぐ。最下流吸入口流路54Aは、最下流行グループ24(図中のm4行)に属するすべてのマイクロポンプ15の吸入口31A同士をつなぐ。
【0036】
また、各吸入口流路52A〜54Aは、切換弁41Z及び入口直結流路41を介して、入口11とつながり、各吐出口流路51B〜53Bは、出口直結流路42を介して出口12とつながる。なお、各吸入口流路52A〜54Aと入口11とは、切換弁41Zの状態に関わらず連通していてもよいし、切換弁41Zが並列状態である場合に連通し切換弁41Zが直列状態である場合に遮断されるとしてもよい。例えば、吸入口流路52Aは位置P
52A(
図9参照)にて、また、吸入口流路53Aは位置P
53A(
図9参照)にて、それぞれ、入口直結流路41とつながる。そして、吸入口流路54Aは位置P
53Aにて流路53Aとつながる。同様に、吐出口流路53Bは位置P
53B(
図9参照)にて、また、吐出口流路52Bは位置P
52B(
図9参照)にて、それぞれ出口直結流路42と連通する。吐出口流路51Bは位置P
52B(
図9参照)にて流路52Bと連通する。
【0037】
直列流路61は、吐出口流路51Bと吸入口流路52Aとをつなぐ。同様に、直列流路62は、吐出口流路52Bと吸入口流路53Aとをつなぎ、直列流路63は、吐出口流路53Bと吸入口流路54Aとをつなぐ。
【0038】
吐出口流路51Bと直列流路61との接続位置には、弁51Yが設けられる。弁51Yは、弁51Yよりも下流側(出口12側)の吐出口流路51Bを開きつつ直列流路61を閉じる並列状態と、弁51Yよりも下流側(出口12側)の吐出口流路51Bを閉じつつ直列流路61を開く直列状態との間で遷移自在である。なお、並列状態及び直列状態のいずれにおいて、弁51Yよりも上流側(吐出口31B側)の吐出口流路51Bを開いたままである。
【0039】
同様に、吐出口流路52Bと流路62との接続位置には、弁52Yが設けられ、吐出口流路53Bと直列流路63との接続位置には、弁53Yが設けられる。弁52Yは、弁52Yよりも下流側(出口12側)の吐出口流路52Bを開きつつ直列流路62を閉じる並列状態と、弁52Yよりも下流側(出口12側)の吐出口流路52Bを閉じつつ直列流路62を開く直列状態との間で遷移自在である。なお、並列状態及び直列状態のいずれにおいて、弁52Yよりも上流側(吐出口31B側)の吐出口流路52Bは開いたままである。同様に、弁53Yは、弁53Yよりも下流側(出口12側)の吐出口流路53Bを開きつつ直列流路63を閉じる並列状態と、弁53Yよりも下流側(出口12側)の吐出口流路53Bを閉じつつ直列流路63を開く直列状態との間で遷移自在である。なお、並列状態及び直列状態のいずれにおいて、弁53Yよりも上流側(吐出口31B側)の吐出口流路53Bは開いたままである。
【0040】
吸入口流路52Aと直列流路61との接続位置には、弁52Xが設けられる。弁52Xは、直列流路61を閉じつつ他の流路を開ける並列状態と、弁52Xよりも上流側(入口11側)の吸入口流路52Aを閉じつつ他の流路を開ける直列状態と、弁52Xよりも下流側の吸入口流路52Aを閉じつつ他の流路を開けるバイパス状態との間で遷移自在である。同様にして、吸入口流路53Aと直列流路62との接続位置には弁53Xが設けられ、吸入口流路54Aと直列流路63との接続位置には弁54Xが設けられる。弁53Xは、直列流路62を閉じつつ他の流路を開ける並列状態と、弁53Xよりも上流側(入口11側)の吸入口流路53Aを閉じつつ他の流路を開ける直列状態と、弁53Xよりも下流側の吸入口流路53Aを閉じつつ他の流路を開けるバイパス状態との間で遷移自在である。弁54Xは、直列流路63を閉じつつ他の流路を開ける並列状態と、弁54Xよりも上流側(入口11側)の吸入口流路54Aを閉じつつ他の流路を開ける直列状態と、弁54Xよりも下流側の吸入口流路54Aを閉じつつ他の流路を開けるバイパス状態との間で遷移自在である。
【0041】
弁81は、位置P
52Aよりも下流側の入口直結流路41に設けられる。同様に、弁82は弁52Xよりも下流側の吸入口流路52Aに設けられ、弁83は弁53Xよりも下流側の吸入口流路53Aに設けられる。
【0042】
列パイバス流路71は、弁82及び弁52Xの間の吸入口流路52Aと弁81とをつなぐ。同様に、列パイバス流路72は、弁83及び弁53Xの間の吸入口流路53Aと弁82とをつなぐ、列パイバス流路73は、マイクロポンプ15及び弁54Xの間の吸入口流路54Aと弁83とをつなぐ。
【0043】
弁81は、列パイバス流路71を閉じつつ他の流路を開ける通常状態と、弁81よりも下流側の入口直結流路41を閉じつつ他の流路を開けるバイパス状態と、弁81よりも上流側の入口直結流路41を閉じつつ他の流路を開ける遮断状態との間で遷移自在である。弁82は、列パイバス流路72を閉じつつ他の流路を開ける通常状態と、弁82よりも下流側の吸入口流路52Aを閉じつつ他の流路を開けるバイパス状態と、弁82よりも上流側の吸入口流路52Aを閉じつつ、他の流路を開ける遮断状態との間で遷移自在である。弁83は、列パイバス流路73を閉じつつ他の流路を開ける通常状態と、弁83よりも下流側の吸入口流路53Aを閉じつつ他の流路を開けるバイパス状態と、弁83よりも上流側の吸入口流路53Aを閉じつつ、他の流路を開ける遮断状態との間で遷移自在である。
【0044】
なお、開閉機構は、弁52X〜54X、51Y〜53Y、81〜83によりなる。また、第1流路形成部は、吸入口流路52A〜54Aと弁52X〜54Xとによって構成され、第2流路形成部は、直列流路61〜63と弁51Y〜53Yとによって、第3流路形成部は、吐出口流路51B〜53Bと弁51Y〜53Yとによって、構成される。さらに、行バイパス流路は、吸入口流路52A〜54Aによって構成される。
【0045】
図9に示すように、出口直結流路42のうち出口12近傍には、センサユニット45が設けられる。センサユニット45は、出口直結流路42のうち出口12近傍における流体の静圧Pを検知する圧力センサ45Pと、出口直結流路42のうち出口12近傍における流体の流量Qを検知する流量センサ45Qとを有する。
【0046】
コントローラ38は、ハード構成としてCPU85A、第1記憶媒体85B、第2記憶媒体85C、第3記憶媒体85D、入力装置85E、表示装置85F、入出力インタフェース85G、バス85Hを備える(
図10参照)。CPU85Aはいわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されてコントローラ38の各種機能を実現する。第1記憶媒体85BはいわゆるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)であり、CPU85Aの作業領域として使用されるメモリである。第2記憶媒体85CはいわゆるROM(リード・オンリー・メモリ)であり、CPU85Aで実行される基本OSを記憶するためのメモリである。第3記憶媒体85Dは、磁気ディスクを内蔵したハードディスク装置、CDやDVDやBDを収容するディスク装置、不揮発性の半導体フラッシュメモリ装置などで構成されており、CPU85Aで実行される各種プログラム、各センサのセンシングデータ等が保存される。入力装置85Eは入力キーやキーボード、マウスであり、各種情報を入力する装置である。表示装置85Fはディスプレイであって、各種動作状態を表示する。入出力インタフェース85Gは、弁52X〜54X、51Y〜53Y、81〜83、切換弁41Z、各マイクロポンプ15(
図8参照)や、各センサユニット36、45(
図5及び
図9参照)へ所定の電力を供給するとともに、弁52X〜54X、51Y〜53Y、81〜83、切換弁41Z、各センサユニット36、45、各マイクロポンプ15との間で所定の制御信号の入出力を行う。更に、入出力インタフェース85Gは、外部のパーソナルコンピュータからプログラム等のデータを取得したり、同パーソナルコンピュータに対して計測結果を出力したりすることもできる。バス85Hは、CPU85A、第1記憶媒体85B、第2記憶媒体85C、第3記憶媒体85D、入力装置85E、表示装置85F、入出力インタフェース85Gなどを一体的に接続して通信を行うための配線である。
【0047】
なお、配線85Hは、入口側収容板13Aに設けられた凹部13K(
図3参照)に露出するように形成されることが好ましい(
図9参照)。これにより、凹部13Kへのマイクロポンプ11の収容を行えば、凹部13Kに収容されたマイクロポンプ11の外部電源供給端子37が、配線85と電気的に接続される。こうして、凹部13Kへのマイクロポンプ11の収容により、当該マイクロポンプ11への配線を行うことができる。なお、配線85Hは、入口側収容板13A及び出口側収容板13Bのうち少なくともいずれか一方の凹部に露出するように形成されていればよい。なお、入口側収容板13A及び出口側収容板13Bのうち他方の凹部には、凹部に収容されたマイクロポンプ11の外部電源供給端子37を、一方の凹部に向けて付勢する付勢部材(板バネやコイルバネ等)85Jを露出するように設けてもよい。付勢部材が伝導性を有する場合には、付勢部材と配線85Hとを電気的に接続させてもよい。
【0048】
コントローラ38に保存された制御プログラムがCPU85Aにより実行されると、コントローラ38は、
図11に示すように、ポンプ給電制御部94と、故障検知部95と、ポンプ代替制御部96と、流路形成制御部97と、警告報知部98として機能する。
【0049】
ポンプ給電制御部94は、あらかじめ入力装置85Eの操作等により設定された運転条件に従って、所定のマイクロポンプ15のポンプデバイス32へ給電する。運転条件とは、例えば、所望の静圧P及び所望の流量Qの流体がポンプユニット10の出口12(
図5参照)から出される条件をいう。
【0050】
故障検知部95は、マイクロポンプ15に設けられたセンサユニット36の各センサからセンシング信号を読み取り、センシング信号に示される測定値が許容範囲を超えているか否かを判定する。ここで、許容範囲は、入力装置85Eの操作等により設定された上限値及び下限値の間の値である。この上限値及び下限値は、ポンプデバイス32の劣化や故障など、所期の能力を発揮できないマイクロポンプ15から出た流体の静圧P及び流量Qが、許容範囲外となるように設定される。また、故障検知部95は、各センサからの測定値のすべてが許容範囲内である場合には、当該測定値が測定されたマイクロポンプ15は正常状態と判定し、各センサからの測定値のうち少なくとも一方が許容範囲を超えている場合には、当該測定値が測定されたマイクロポンプ15を故障状態と判定する。さらに、故障検知部95は、故障信号を出力する。故障信号には、故障と判定されたマイクロポンプ15の識別子(例えば、i行目×j行目に配されたマイクロポンプ)の情報が含まれる。
【0051】
ポンプ代替制御部96は、故障検知部95から故障信号が出力されたか否かを判定する。そして、ポンプ代替制御部96は、故障信号を受信可能である。また、ポンプ代替制御部96は、ポンプ給電制御部94によって給電されたマイクロポンプ15の給電リスト情報を、ポンプ給電制御部94から読み込み可能である。さらに、ポンプ代替制御部96は、待機状態のマイクロポンプ15のマイクロポンプ15の有無を判定する。ここで、待機状態とは、故障と判定されていない状態(正常状態)であって、電力の供給が停止されている状態(給電停止状態)である。
【0052】
流路形成制御部97は、センサユニット36、46からのセンシング信号を参照して、
出口12における流量Q及び静圧Pが所定のものとなる、あるいは近づくように、開閉機構である弁52X〜54X、51Y〜53Y、81〜83の開閉操作を行なう。
【0053】
警告報知部98は、発光ダイオード18の点灯及び消灯の制御を行う。なお、警告機としては、発光ダイオード18に限らず、ブザーなどを用いてもよい。
【0054】
次に、コントローラ38によるポンプユニット10の制御例を説明する。ポンプ給電制御部94により、すべてのマイクロポンプ15が運転状態になる。流路形成制御部97によって、弁81〜83が通常状態にセットされ、弁52X〜54X,51Y〜53Yが直列状態にセットされると、入口11から入った流体は、列方向に並ぶマイクロポンプ15を経由して、出口12から出る(
図12参照)。このように、流体が通過したマイクロポンプ15の数が増えると、出口12から出る流体の静圧Pは、流量Qに優先して増大する。こうして、ポンプユニット10は、出口12から出る流体の静圧Pが流量Qに優先して増大する状態(圧力優先搬送状態)となる。
【0055】
流路形成制御部97によって、切換弁41Zが並列状態にセットされ、弁81〜83が通常状態にセットされ、弁52X〜54X,51Y〜53Yが並列状態にセットされると、入口11から入った流体は、マイクロポンプ15の吸入口ごとに分岐して、マイクロポンプ15に入る。マイクロポンプ15の吐出口から出た流体は、再び合流して出口12から出る(
図13参照)。これにより、ポンプユニット10は、出口12から出る流体の流量Qが静圧Pに優先して増大する状態(流量優先搬送状態)となる。
【0056】
また、流路形成制御部97によって、切換弁41Zが並列状態にセットされ、弁81〜83が通常状態にセットされ、弁52X〜54X,51Y〜52Yが直列状態に、弁53Yが並列状態にセットされると、出口12から出る流体の流量Q及び静圧Pは、先の2例の間の値をとる。
【0057】
このように、各弁52X〜54X,51Y〜52Yを個別に制御することにより、出口12から出る流体の流量Q及び静圧Pを、所望のものにすることができる。
【0058】
ここで、ポンプ給電制御部94によって給電されるマイクロポンプ15のうち、ポンプデバイス32が正常に作動しない状態(以下、故障状態と称する)のものが含まれると、出口12から出る流体の流量Q及び静圧Pを精度よく制御することができない。
【0059】
そこで、故障状態のマイクロポンプ15に代用可能な予備のマイクロポンプ15を、予めポンプユニット10に設けることが好ましい。
【0060】
例えば、
図14に示すように、マイクロポンプ15が格子状(4行×4列)に並んでいる場合において、4列目及び4行目に位置する全てのマイクロポンプ15を予備用のマイクロポンプ15とする。
【0061】
まず、ポンプ給電制御部94は、1〜3行目×1〜3列目のマイクロポンプ15のみに対して給電する。1〜3行目×1〜3列目のマイクロポンプ15は運転状態となり、予備用のマイクロポンプ15は給電停止状態となる。流路形成制御部97によって、切換弁41Zが並列状態に、1〜3列目の弁81〜83は通常状態に、4列目の弁81〜83は遮断状態に、1〜3列目の弁51Y〜52Yは直列状態に、1〜3列目の弁53Yは並列状態に、1〜3列目の弁52X〜54Xは直列状態に、それぞれセットされる。加えて、1〜3列目の弁54Xや4列目の弁52X〜54Xや弁51Y〜53Yを直列状態にセットしてもよい。これにより、ポンプユニット10は、出口12から出る流体の静圧Pは、流量Qに優先して増大する状態となる。
【0062】
ここで、コントローラ38は、次のような制御を行う。故障検知部95は、それぞれのセンサユニット36からセンシング信号を読み取る。センシング信号の読み取りタイミングは、一定期間ごとでもよいし、連続的でもよい。故障検知部95は、読み取ったセンシング信号によって示される測定値が、許容範囲内から外れているか否かを判定する。各測定値が許容範囲内である場合、故障検知部95は、当該センシング信号を読み取ったマイクロポンプ15は正常状態であると判定する。一方、各測定値が許容範囲から外れた場合、故障検知部95は、当該センシング信号を読み取ったマイクロポンプ15は故障状態であると判定する。そして、故障状態のマイクロポンプ15があると判定された場合、故障検知部95は故障信号を出力する。
【0063】
ポンプ代替制御部96は、故障検知部95から故障信号が出力されたか否かを判定する。ポンプ代替制御部96が「故障検知部95から故障信号が出力された」と判定すると、「ポンプユニット10に内蔵されるマイクロポンプ15のうち、待機状態のマイクロポンプ15があるか否か」を判定する。ポンプ代替制御部96が、待機状態のマイクロポンプ15があると判定した場合には、ポンプ給電制御部94は、当該待機状態のマイクロポンプ15から選択されたマイクロポンプ15(以下、選択マイクロポンプ15と称する)に、給電を開始する。なお、ポンプ給電制御部94は、故障状態と判定されたマイクロポンプ15の給電を停止することが好ましい。次に、流路形成制御部97は、故障と判定されたマイクロポンプ15に代えて、選択マイクロポンプ15に流体が流れるように、各弁51Y〜53Y、52X〜54X、81〜83の開閉操作を行う。これにより、ポンプユニット10に故障状態のマイクロポンプ15が存在していても、所望の静圧P及び所望の流量Qの流体を、ポンプユニット10の出口12から出すことができる。
【0064】
次に、故障状態のマイクロポンプ15の代わりに予備のマイクロポンプ15が用いられるようにする流路形成制御部97の制御内容を説明する。
【0065】
まず、2行目×3列目のマイクロポンプ15が故障状態と判定された場合、流路形成制御部97は、待機状態である予備用のマイクロポンプ15から任意のマイクロポンプ15を選択する。
【0066】
ここで、代替のマイクロポンプ15として、2行目×4列目のマイクロポンプ15が選択された場合、流路形成制御部97は、3列目の弁52X及び4列目の弁53Xをバイパス状態に、4列目の弁52X及び3列目弁53Xを並列状態に、4列目の弁52Yを直列状態に4列目の弁82を通常状態にセットする。これにより、1行目×3列目のマイクロポンプ15を通った流体は、2行目×3列目のマイクロポンプ15に代わって、2行目×4列目のマイクロポンプ15へ通った後、3行目×3列目のマイクロポンプ15を通る(
図15参照)。このため、所期の流量Q及び所期の静圧Pの流体を出口12から出すことができる。
【0067】
また、代替のマイクロポンプ15として、4行目×3列目のマイクロポンプ15が選択された場合、流路形成制御部97は、3列目の弁82をバイパス状態に、3列目の弁83を通常状態に、3列目の弁53Y、54Xを直列状態にする。なお、3列目の弁53Xは直列状態であることが好ましい。これにより、1行目×3列目のマイクロポンプ15を通った流体は、2行目×3列目のマイクロポンプ15を通らずに、3行目×3列目のマイクロポンプ15へ通った後、4行目×3列目のマイクロポンプ15を通る(
図16参照)。このため、所期の流量Q及び所期の静圧Pの流体を出口12から出すことができる。
【0068】
一方、ポンプ代替制御部96が、停止状態のマイクロポンプ15がないと判定した場合には、警告報知部98は、発光ダイオード18の点灯及び消灯の制御によって、ポンプユニット10の異常状態を報知することができる。これにより、所望の静圧P及び所望の流量Qの流体を出力できないポンプユニット10の使用を回避することができる。
【0069】
以上、ポンプユニット10によれば、マイクロポンプ15が格子状に配置されており、
流路形成機構、すなわち、中間流路43と中間流路43に設けられた開閉機構(各弁)とにより、各マイクロポンプ15の直列接続と並列接続を、合理的に組み合わせて制御することが可能となる。結果、マイクロポンプ15単体では流量及び静圧が不足する用途であっても、複数のマイクロポンプ15を組み合わせて利用できるので、従来のブロアやシリンジポンプと同様に用いることができる。また、マイクロポンプ15の寸法は小さいので、これを複数配置しても、従来のブロア等と比較して小さく且つ軽量に構成できる。特に、並列数と直列数の組合せとなる多様なバリエーションを、マイクロポンプ15のON/OFFや、開閉機構(各弁)の制御によってデジタル的に制御することが可能となるので、制御構成も極めて簡潔にすることができる。また更に、従来のブロアやシリンジポンプの場合、それら1つが故障すると、全体の流体の搬送が滞ることになるが、上記のポンプユニット10によれば、個々のマイクロポンプ15が故障しても、他のマイクロポンプ15で補うことが出来るので、信頼性や安全性を高めることも可能となる。
【0070】
特にポンプユニット10では、マイクロポンプ15が直列接続される圧力優先搬送状態において、上流行に属するマイクロポンプ15の数よりも、下流行のマイクロポンプ15の数が同等又は小さくなっている。結果、無駄なマイクロポンプ15の動作が抑制されるので消費電力を低減させることが可能となり、例えばバッテリー駆動の用途に特に適している。
【0071】
また更に、ポンプユニット10では、各行に配置される複数のマイクロポンプ15の全体に対して、まとめて接続関係を切り換える。結果、弁の構成が簡潔となり、メンテナンス性を向上させている。
【0072】
なお、ポンプユニット10の入口11は、1つでもよいし、複数でもよい。複数の入口11は、入口直結流路41につなげてもよいし、最上流行グループ21に属するマイクロポンプ15に直接つなげてもよい。また、中間行グループは、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0073】
上記実施形態では、筐体13において、最上流行グループ21と中間行グループ22、23と最下流行グループ24とを、この順に並べたが、本発明はこれに限られず、例えば、最上流行グループ21、最下流行グループ24、中間行グループ22、23の順、や最下流行グループ24、中間行グループ22、23、最上流行グループ21の順などとしてもよい。
【0074】
上記実施形態では、筐体13において、マイクロポンプ15を格子状に並べたが、本発明はこれに限られず、マイクロポンプ15を一行または一列に並べてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、マイクロポンプ15を筐体13に嵌着させたが、本発明はこれに限られず、マイクロポンプ15と筐体13とを一体に形成してもよい。
【0076】
上記実施形態では、マイクロポンプ15を平面上において格子状に並べられたが、本発明はこれに限られず、複数のマイクロポンプ15が互いに重なるように配されていてもよい。例えば、一のマイクロポンプ15の出口12の上方に、二のマイクロポンプ15の入口11が位置するように、マイクロポンプ15を積層してもよい(
図17〜20参照)。
【0077】
図17〜18に示すポンプユニット10は、入口11及び出口12を有する筐体13と、筐体13内に収容されるポンプユニット15とを有する。ポンプユニット15を収容するためのポンプユニット収容孔13Xを有する筐体13は、第1筐体形成ブロック13Lと第2筐体形成ブロック13Rとからなる。第1筐体形成ブロック13L及び第2筐体形成ブロック13Rには、それぞれ所定の凹み部が形成される。凹み部が互いに対向するように第1筐体形成ブロック13L及び第2筐体形成ブロック13Rを組み合わせることにより、ポンプユニット収容孔13Xが形成される。
【0078】
図18〜19に示すように、筐体13内には、筐体13内にて入口11から出口12に向かってこの順に並べられるマイクロポンプ15A、15B、15Cと、マイクロポンプ15A及びマイクロポンプ15Bの間に配される流路ブロック13SAと、マイクロポンプ15B及びマイクロポンプ15Cの間に配される流路ブロック13SBとが、配される。
【0079】
また、筐体13には、マイクロポンプ15Aの吸入口31A及び入口11をつなぐ入口直結流路41と、マイクロポンプ15Cの吐出口31B及び出口12をつなぐ出口直結流路42とが形成される。入口直結流路41は、マイクロポンプ15Aの吸入口31A及び入口11を直結する直結路41Aと、直結路41Aから分岐する分岐路41Bとを備える。分岐路41Bは、マイクロポンプ15A、15B、15Cに沿うようにして、マイクロポンプ15Cの吸入口31Aの近傍まで延びる。出口直結流路42は、マイクロポンプ15Cの吐出口31B及び出口12を直結する直結路42Aと、直結路42Aから分岐する分岐路42Bとを備える。分岐路42Bは、マイクロポンプ15C、15B、15Aに沿うようにして、マイクロポンプ15Aの吐出口31Bの近傍まで延びる。
【0080】
図18、20に示すように、流路ブロック13SAは直方体状に形成される。流路ブロック13SAには、マイクロポンプ15Aの吐出口31B及びマイクロポンプ15Bの吸入口31Aを直結する直列流路90Aと、直列流路90Aを開閉する直列弁90ABと、直列弁90ABよりも吐出口31B側の直列流路90A及び分岐路42Bを直結する吐出側並列流路92Aと、吐出側並列流路92Aを開閉する吐出側並列弁92ABと、直列弁90ABよりも吸入口31A側の直列流路90A及び分岐路41Bを直結する吸入側並列流路91Aと、吸入側並列流路91Aを開閉する吸入側並列弁91ABと、が形成される。なお、煩雑になることを避けるために、
図20における各弁90AB、91AB、92ABの図示を省略する。流路ブロック13SBも、流路ブロック13SAと同様であり、すなわち、直方体状に形成され、マイクロポンプ15Bの吐出口31Bとマイクロポンプ15Cの吸入口31Aとを直結する直列流路90Bと、直列流路90Bを開閉する直列弁90BBと、直列弁90BBよりも吐出口31B側の直列流路90B及び分岐路42Bを直結する吐出側並列流路92Bと、吐出側並列流路92Bを開閉する吐出側並列弁92BBと、直列弁90BBよりも吸入口31A側の直列流路90B及び分岐路41Bを直結する吸入側並列流路91Bと、吸入側並列流路91Bを開閉する吸入側並列弁91BBと、が形成される。
【0081】
直列流路90Aは、マイクロポンプ15Aの吐出口31Bと対向する流路ブロック13SAの吐出口側面13ALからマイクロポンプ15Bの吸入口31Aと対向する流路ブロック13SAの吸入口側面13AUまで貫通するように形成される。筐体13において、マイクロポンプ15Aの筐体と吐出口側面13ALとが接するため、吐出口側面13ALに形成された溝13LMとマイクロポンプ15Aとによって、吐出側並列流路92Aが形成される。筐体13において、マイクロポンプ15Bの筐体と吸入口側面13AUとが接するため、吸入口側面13AUに形成された溝13UMとマイクロポンプ15Aとによって、吸入側並列流路91Aが形成される。同様に、直列流路90Bは、マイクロポンプ15Bの吐出口31Bと対向する流路ブロック13SBの吐出口側面13BLからマイクロポンプ15Cの吸入口31Aと対向する流路ブロック13SBの吸入口側面13BUまで貫通するように形成される。筐体13において、マイクロポンプ15Aの筐体と吐出口側面13BLとが接するため、吐出口側面13BLに形成された溝とマイクロポンプ15Aとによって、吐出側並列流路92Bが形成される。筐体13において、マイクロポンプ15Cの筐体と吸入口側面13BUとが接するため、吸入口側面13BUに形成された溝とマイクロポンプ15Cとによって、吸入側並列流路91Bが形成される。
【0082】
切換弁41Z、直列弁90AB、90BB、吸入側並列弁91AB、91BB、及び吐出側並列弁92AB、92BBの開閉操作は、コントローラ38(
図7参照)によって行われる。
【0083】
次に、
図17〜20に示すポンプユニット10の作用について説明する。
【0084】
切換弁41Zは並列状態に、直列弁90AB、90BBは閉状態に、吸入側並列弁91AB、91BB、及び吐出側並列弁92AB、92BBは開状態に、それぞれセットされる(
図19参照)。入口11から入った流体は、入口直結流路41、吸入側並列流路91A、及び吸入側並列流路91Bを介して分配され、分配された流体は、それぞれマイクロポンプ15A〜15Cの吸入口31Aに吸入される。マイクロポンプ15A〜15Cでは、それぞれ、ポンプデバイス32(
図5参照)が吸入口31Aから吸入された流体を圧縮する。マイクロポンプ15A〜15Cにて圧縮された流体は、吐出口31Bから出て、吐出側並列流路92A、吐出側並列流路92B、及び出口直結流路42を介して、合流した後、出口12から出る。
【0085】
切換弁41Zは直列状態に、直列弁90AB、90BBは開状態に、吸入側並列弁91AB、91BB、及び吐出側並列弁92AB、92BBは閉状態に、それぞれセットされる(
図18参照)。入口11から入った流体は、入口直結流路41を介して、マイクロポンプ15Aの吸入口31Aへ吸入される。マイクロポンプ15Aでは、ポンプデバイス32(
図5参照)が吸入口31Aから吸入された流体を圧縮する。マイクロポンプ15Aにて圧縮された流体は、吐出口31Bから出て、直列流路90Aを介して、マイクロポンプ15Bの吸入口31Aに吸入される。マイクロポンプ15Bの吸入口31Aから吸入された流体は、ポンプデバイス32(
図5参照)によって圧縮され、その後、吐出口31B及び直列流路90Bを介してマイクロポンプ15Cの吸入口31Aへ吸入される。同様にして、マイクロポンプ15Cの吸入口31Aから吸入された流体は、ポンプデバイス32(
図5参照)によって圧縮され、その後、吐出口31B及び出口直結流路42を介して、出口12から出る。
【0086】
ポンプユニット10によれば、切換弁41Z、直列弁90AB、90BB、吸入側並列弁91AB、91BB、及び吐出側並列弁92AB、92BBの開閉操作によって、出口12から出る流体の静圧P及び流量Qを適宜調節することができる。
【0087】
また、吐出口側面13ALに形成された溝13LMとマイクロポンプ15Aとによって、吐出側並列流路92Aが形成されるため、吐出側並列流路92Aの形成の手間を短縮することができる。同様に、吸入口側面13AUに形成された溝13UMとマイクロポンプ15Aとによって、吸入側並列流路91Aが形成されるため、吸入側並列流路91Aの形成の手間を短縮することができる。
【0088】
なお、
図9に示す筐体13でも同様であり、流路形成板13AA〜13ADによって入口側収容板13Aを形成することが好ましい。流路形成板13AA〜13ADは、それぞれ、所定の位置に、厚み方向に形成された貫通孔を有する。また、流路形成板13AA〜13ADは、それぞれ、他の流路形成板と対向する面の所定の位置に溝を有する。流路形成板13AA〜13ADを重ねるように組み合わせると、流路形成板13AA〜13ADに形成された貫通孔及び溝によって、各流路41、52A〜54A、71〜73や、各流路の61〜63の上流部分が形成される。同様にして、流路形成板13BA〜13BBによって出口側収容板13Bを形成することが好ましい。流路形成板13BA〜13BBは、それぞれ、厚み方向に形成された貫通孔と、他の流路形成板と対向する面上に形成された溝とを所定の位置に有する。流路形成板13BA〜13BBを重ねるように組み合わせると、流路形成板13BA〜13BBに形成された貫通孔及び溝によって、各流路42、51B〜53Bや、各流路の61〜63の下流部分が形成される。
【0089】
また、上記実施形態では、一のマイクロポンプ15の出口12と二のマイクロポンプ15の入口11とが正対するように配したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図21に示すように、複数のマイクロポンプ15を斜め方向に重ねてもよい。
斜め方向に重なる複数のマイクロポンプ15からなるポンプユニット10は、物と物との隙間などの小さなスペースに設置可能である。
【0090】
ポンプユニット10を、医療用の呼吸補助装置700に適用した例を
図22A及び
図22Bに示す。この呼吸補助装置700は、呼吸用の気体が通過する流路702と、この流路702内に配置されて、呼気方向及び吸気方向にそれぞれ加速用の空気を放出可能な呼気ノズル704及び吸気ノズル706と、流路702の外表面に周方向に沿って配置されるポンプユニット10と、ポンプユニット10を駆動するバッテリ710を備えて構成される。流路702内に配置される呼気及び吸気ノズル704、706の近傍には、それぞれ、ベンチュリー壁720が配置される。なお、バッテリ710については、離れた場所に配置したり、電源ラインを接続することで省略したりすることもできる。
【0091】
更にポンプユニット10の出口12(
図1参照。以下、統合吐出口ともいう)には、呼吸切替弁725が配置される。この呼吸切替弁725は、統合吐出口から吐出される空気を、呼気ノズル704から放出させる場合と、吸気ノズル706から放出させる場合を切り換える。
図23Aに示されるように、呼気ノズル704から空気を放出させる場合は、この空気がベンチュリー壁720によって広がることで呼気側が負圧状態となり、吸気側(肺側)から排出される二酸化炭素を呼び込んで、呼気方向に流す。結果、呼気動作を補助することができる。一方、
図23Bに示されるように、吸気ノズル706から空気を放出させる場合は、この空気がベンチュリー壁720によって広がることで吸気側が負圧状態となり、吸気側から供給される酸素を吸い込んで呼気方向(肺側)に流れる。結果、吸気動作を補助することができる。
【0092】
この呼吸補助装置700によれば、流路702を構成する配管自体に、小型化されたポンプユニット10が直接固定されるので、呼吸補助装置700を極めてコンパクトに構成することが出来る。更に、流路702とポンプユニット10とが一体化されるので、使用者の体の動作に連動して流路702が動いても、この流路702とポンプユニット10が一緒に動くので、呼気及び吸気ノズル704、706と、ポンプユニット10の接続が途切れないで済む。従って、呼吸補助動作の安定性が増すと同時に、使用者も体を動かしやすくなる。
【0093】
更に、ポンプユニット10から呼気及び吸気ノズル704、706までの距離が短くなるので、呼吸補助動作の応答性を高めることが出来る。
【0094】
なお、この呼吸補助装置700は、使用者の口から気管に向かって挿入される挿管チューブと連続するようにして、用いることが可能であるが、例えば
図24に示されるように、鼻マスク830に対して流路702を接続して用いることもできる。更に、鼻マスクに適用する場合は、例えば
図25に示される呼吸補助装置800のように、鼻マスク830の外周面にポンプユニット10を直接固定することが好ましく、全体の安定性が増す。また、ここでは、1台のポンプユニット10を呼吸切替弁725で切り換えて、呼気ノズル又は吸気ノズルに供給する場合を例示したが、2台のポンプユニット10を用意して、それぞれ呼気ノズル、吸気ノズルに接続するようにしても良い。
【0095】
尚、本発明のポンプユニット及び呼吸補助装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。