特許第6014831号(P6014831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014831気液分離フィルター及び圧縮空気用の空気清浄器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014831
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】気液分離フィルター及び圧縮空気用の空気清浄器
(51)【国際特許分類】
   B01D 46/24 20060101AFI20161013BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20161013BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20161013BHJP
   F04B 39/16 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B01D46/24 A
   B01D46/52 C
   B01D39/16 D
   F04B39/16 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-63378(P2012-63378)
(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-193035(P2013-193035A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】高牟禮 英冶
【審査官】 中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−094578(JP,A)
【文献】 特開平04−118013(JP,A)
【文献】 特開平11−165010(JP,A)
【文献】 特開2011−189325(JP,A)
【文献】 特開平07−081817(JP,A)
【文献】 特開昭56−017606(JP,A)
【文献】 特開2004−255230(JP,A)
【文献】 特開2011−156499(JP,A)
【文献】 実開昭57−039621(JP,U)
【文献】 米国特許第04878929(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/、46/、50/
F04B 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の薄壁であって該薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて通気構造材になっている筒状スクリーンと、
該筒状スクリーンの外周側を取り巻く筒状に設けられて汚染気体を濾過する濾過部と、
以上の筒状のフィルター構成部品にかかる両端を接着剤によってシールすると共に固定する一対の端板とを備える気液分離フィルターであって、
前記濾過部が、液体のミストによって膨潤する素材からなる繊維材によって設けられた薄不織布状のフィルター布状材を、実質的に伸長させるように引っ張らないで多数回にわたって巻き付けて多数層に形成することで構成され、液体のミストによって膨潤した際には皺を生じるように設けられていることを特徴とする気液分離フィルター。
【請求項2】
筒状の薄壁であって該薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて内周側の通気構造材になっている内筒スクリーンと、
該内筒スクリーンの外周側を取り巻く筒状に設けられて汚染気体を一次的に濾過する第1濾過部と、
筒状の薄壁であって該薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて前記第1濾過部を取り巻いて外周側の通気構造材になっている外筒スクリーンと、
該外筒スクリーンの外周側を取り巻く筒状に設けられて前記第1濾過部で濾過された汚染気体を二次的に濾過する第2濾過部と、
以上の筒状のフィルター構成部品にかかる両端を接着剤によってシールすると共に固定する一対の端板とを備える気液分離フィルターであって、
前記第2濾過部が、液体のミストによって膨潤する素材からなる繊維材によって設けられた薄不織布状のフィルター布状材を、実質的に伸長させるように引っ張らないで多数回にわたって巻き付けて多数層に形成することで構成され、液体のミストによって膨潤した際には皺を生じるように設けられていることを特徴とする気液分離フィルター。
【請求項3】
前記第1濾過部が、ガラス繊維によって設けられた濾紙材がプリーツ状に形成されて設けられていることを特徴とする請求項2記載の気液分離フィルター。
【請求項4】
前記薄不織布状のフィルター布状材を構成する繊維材が、メルトブロー製法によるポリプロピレン繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の気液分離フィルター。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の筒状の気液分離フィルターが装着されて構成される圧縮空気用の空気清浄器であって、前記気液分離フィルターが起立されて前記一対の端板が上下に位置するように装着される構造に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧縮空気用の空気清浄器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の薄壁であってその薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて通気構造材になっている筒状スクリーンと、その筒状スクリーンの外周側を取り巻く筒状に設けられて汚染気体を濾過する濾過部と、以上の筒状のフィルター構成部品にかかる両端を接着剤によってシールすると共に固定する一対の端板とを備える気液分離フィルターに関し、圧縮空気を供給するコンプレッサーとそのコンプレッサーから供給された圧縮空気を利用する空気圧機器とを接続する圧縮空気配管の中途部に配置され、気液分離フィルターが内蔵されて圧縮空気を濾過することで清浄化する圧縮空気用の空気清浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本出願人によって、複数の通気孔が形成された中空構造の芯材の周囲に濾材が配設されて濾過部が形成されると共に、芯材の内側に供給された気体が濾過部を通過させられる際に濾材によって濾過対象物を濾過するフィルターであって、上記の濾過部としての第1濾過部および第2濾過部を備え、第1濾過部が、繊維状の第1濾材形成物をシート状に加工した上記の濾材としての第1濾過シートと、繊維状の第2濾材形成物をシート状に加工した上記の濾材としての第2濾過シートとの積層体を芯材の周囲に巻回して形成され、第2濾過部が、第1濾過シートを巻回することなく第2濾過シートを芯材の周囲における第1濾過部よりも外周側に巻回して形成されているフィルター及びフィルター製造方法(特許文献1参照)が開示されている。これによれば、製造コストを十分に低減できる(特許文献1参照)。
【0003】
また、第2濾過材について、例えば通気性のあるスポンジ状のポリウレタンフォームが、筒状の外周側に巻かれてオイル凝集分離用の濾過材として用いられているフィルター(気液分離フィルター)がある。この気液分離フィルターでは、経時的な材料の劣化によって、気液分離効率を極端に低下させる場合がある。なお、外見的に濾材の状態変化が現れた頃には、性能が著しく低下している。
【0004】
また、オイル凝集分離用の濾過材としては、厚手のフェルト状のポリエステル繊維不織布を採用した例もあるが、このポリエステル繊維不織布では、濾過材を構成するフィルター繊維同士が接着(溶着や接着剤など)によって三次元的に固定されている。これによれば、フィルター繊維同士のズレが生じにくく、フィルター繊維に係るオイル膨潤によってポアサイズが小さくなって目詰まりしやすく圧力損失(通気抵抗)が高くなりやすい場合がある。なお、この場合には、外見では交換時期を判断できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−189325号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
気液分離フィルター及び圧縮空気用の空気清浄器に関して解決しようとする問題点は、従来の濾過材では、オイルなどの液体のミストによって膨潤されることや濾過材自身の劣化によって、気液分離効率や圧力損失などのフィルター性能が低下し、フィルター寿命が短くなることにある。
そこで本発明の目的は、液体のミストを気体中からより低い圧力損失でより高効率に分離してフィルター寿命をより延長できる気液分離フィルター及び圧縮空気用の空気清浄器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る気液分離フィルターの一形態によれば、筒状の薄壁であって該薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて通気構造材になっている筒状スクリーンと、該筒状スクリーンの外周側を取り巻く筒状に設けられて汚染気体を濾過する濾過部と、以上の筒状のフィルター構成部品にかかる両端を接着剤によってシールすると共に固定する一対の端板とを備える気液分離フィルターであって、前記濾過部が、液体のミストによって膨潤する素材からなる繊維材によって設けられた薄不織布状のフィルター布状材を、実質的に伸長させるように引っ張らないで多数回にわたって巻き付けて多数層に形成することで構成され、液体のミストによって膨潤した際に皺を生じるように設けられている。
【0008】
また、本発明に係る気液分離フィルターの一形態によれば、筒状の薄壁であって該薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて内周側の通気構造材になっている内筒スクリーンと、該内筒スクリーンの外周側を取り巻く筒状に設けられて汚染気体を一次的に濾過する第1濾過部と、筒状の薄壁であって該薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて前記第1濾過部を取り巻いて外周側の通気構造材になっている外筒スクリーンと、該外筒スクリーンの外周側を取り巻く筒状に設けられて前記第1濾過部で濾過された汚染気体を二次的に濾過する第2濾過部と、以上の筒状のフィルター構成部品にかかる両端を接着剤によってシールすると共に固定する一対の端板とを備える気液分離フィルターであって、前記第2濾過部が、液体のミストによって膨潤する素材からなる繊維材によって設けられた薄不織布状のフィルター布状材を、実質的に伸長させるように引っ張らないで多数回にわたって巻き付けて多数層に形成することで構成され、液体のミストによって膨潤した際に皺を生じるように設けられている。
【0009】
また、本発明に係る気液分離フィルターの一形態によれば、前記第1濾過部が、ガラス繊維によって設けられた濾紙材がプリーツ状に形成されて設けられていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係る気液分離フィルターの一形態によれば、前記薄不織布状のフィルター布状材を構成する繊維材が、メルトブロー製法によるポリプロピレン繊維であることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る圧縮空気用の空気清浄器の一形態によれば、上記の筒状の気液分離フィルターが装着されて構成される圧縮空気用の空気清浄器であって、前記気液分離フィルターが起立されて前記一対の端板が上下に位置するように装着される構造に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る気液分離フィルター及び圧縮空気用の空気清浄器によれば、液体のミストを気体中からより低い圧力損失でより高効率に分離してフィルター寿命をより延長できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る気液分離フィルターの形態例を示す断面図である。
図2】本発明に係る圧縮空気用の空気清浄器の形態例を示す断面図である。
図3】フィルター繊維及び濾過材の初期状態と膨潤後の状態を示す説明図である。
図4】本発明に係る気液分離フィルターの未使用状態の形態例を示す写真である。
図5】本発明に係る気液分離フィルターを使用することによって濾過材を構成する繊維が膨潤して皺が生じた後の形態例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る気液分離フィルター及び圧縮空気用の空気清浄器の形態例を、添付図面(図1〜5)に基づいて詳細に説明する。
本発明は、筒状の薄壁であってその薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて通気構造材になっている筒状スクリーン30と、その筒状スクリーン30の外周側を取り巻く筒状に設けられて汚染気体を濾過する濾過部31と、以上の筒状のフィルター構成部品30、31にかかる両端を接着剤によってシールすると共に固定する一対の端板41、42とを備える気液分離フィルターに関する。
【0015】
そして、濾過部31が、液体のミストによって膨潤する素材からなる繊維材によって設けられた薄不織布状のフィルター布状材32を、多数回にわたって巻き付けて多数層に形成することで構成され、液状のミストによって膨潤した際には皺33を生じるように設けられている。
【0016】
本形態例は、筒状の薄壁であってその薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて内周側の通気構造材になっている内筒スクリーン20と、その内筒スクリーン20の外周側を取り巻く筒状に設けられて汚染気体を一次的に濾過する第1濾過部21と、筒状の薄壁であってその薄壁の全体に多数の通気孔が設けられて第1濾過部21を取り巻いて外周側の通気構造材になっている外筒スクリーン30と、その外筒スクリーン30の外周側を取り巻く筒状に設けられて第1濾過部21で濾過された汚染気体を二次的に濾過する第2濾過部31と、以上の筒状のフィルター構成部品20、21、30、31にかかる両端を接着剤によってシールすると共に固定する一対の端板41、42とを備える気液分離フィルターに関する。
【0017】
そして、第2濾過部31が、オイルや水などの液体のミストによって膨潤する素材からなる繊維材によって設けられた薄不織布状のフィルター布状材32を、実質的に伸長させるように引っ張らないで多数回にわたって巻き付けて多数層に形成することで構成され、オイルや水などの液体のミストによって膨潤した際には皺33を生じるように設けられている。なお、巻き付け層数は、例えば20〜30層になっている。
液体のミストによって膨潤した濾過材層である濾過部(第2濾過部)31は、皺33が生じるように波状化することで、その濾過部31のポアサイズを小さくすると共に、濾過面積を増大させることができる。これにより、気液分離の分離効率が向上した状態で安定でき、圧力損失の上昇を防止してフィルターの寿命を延長できる。
【0018】
また、本形態例では、第1濾過部21が、ガラス繊維によって設けられた濾紙材がプリーツ状に形成されて設けられている。
これによれば、ガラス繊維による濾紙材自体がフィルタエレメントとして高性能であると共に、プリーツ状に形成することで濾過面積を増大させて通気流速を低減できることから、通気抵抗が小さい濾過層を適切に構成できる。このため、オイルミストや水ミストなどのミスト、及びダストを、効率よく分離・捕捉でき、圧力損失を低減できると共に分離・捕集効率を高めることができる。
【0019】
また、本形態例の薄不織布状のフィルター布状材32を構成する繊維材が、メルトブロー製法によるポリプロピレン繊維である。これによれば、極細のフィルター繊維を製造することができ、圧力損失が低い状態で高い分離・捕集効率を実現できる高性能のフィルター布状材32を構成できる。そして、多層に巻回された状態で液体のミストによって膨潤されて好適な皺を形成するフィルター布状材32を構成できるため、濾過面積を増大させて気液分離フィルター10の性能をより高めることができる。
【0020】
次に、以上の構成に係る気液分離フィルター10の作用効果について図3に基づいて詳細に説明する。
本形態例の気液分離フィルター10は、オイルミストなどの粒子を捕集し、オイルミストなどの液体ミストに濡れていく湿潤の過程において、濾過部(第2濾過部)31としてフィルタエレメントを構成するオイル凝集分離用の濾過材のフィルター繊維がオイルなどの液体を吸収し、繊維の直径及び表面積が大きくなる膨潤(図3(a)参照)の性質を利用するものである。
【0021】
この濾過部(第2濾過部)31の膨潤による作用としては、図3(b)に示すように、孔径(ポアサイズ)が小さくなるため、捕集効率や分離効率を適切且つ迅速に高めることができる。しかし、単にポアサイズが小さくなるのではなく、図3(c)に示すように、全体的に伸長して皺33を形成するように設けられているため、表面積が大きくなり、必要以上にポアサイズが小さくなることはない。これによれば、捕集効率や分離効率が安定化することになり、フィルター寿命を延長できる。高温、高湿で、継続試験を行った結果、安定した捕集効率や分離効率を維持できた。
【0022】
本形態例の筒体の形状に設けられた気液分離フィルター10においては、図5の写真に示すように筒体の軸心に直交する方向の横縞状の皺33が生じ易い。これは、一対の端板41、42間の寸法は変化しないように固定・規制されているのに対して、直径方向には外側へ向う方向について何ら規制されていないためである。すなわち、軸心と平行な軸方向の長さが、筒状スクリーン(外筒スクリーン)30や内筒スクリーン20と一対の端板41、42で拘束されて一定の長さに維持されるが、第2濾過部31が膨潤して延びる。
【0023】
これによれば、第2濾過部31は、膨潤することによって全ての方向に全体的に伸長するが、軸方向には逃げ場がないことになり、その伸長分が横縞状の皺33として出現する。その横縞状の皺33は、軸方向に直交する方向へ延びる凹凸が形成されることで、リング状の溝部33aとリング状の筋条部33bとが設けられることで出現する。
これに対し、第2濾過部31の軸心に直交する径方向については、外側に規制するものがないため、第2濾過部31の直径は膨潤することによって拡大する。このように、第2濾過部31が拡径するため、縦縞状の皺はほとんど出現しない。
【0024】
また、本形態例の第2濾過部31は、薄不織布状のフィルター布状材32を、多数層に巻き付けるだけで、最端部32aはめくれないように巻き止めのため接着するが、フィルター布状材32の層間同士を接着することはない。すなわち、二次元的な広がりの薄不織布状のフィルター布状材32を接着しないで巻回した形態であり、そのフィルター布状材32の布の薄い厚さ分についてはフィルター繊維同士を三次元的に接着した状態になっているが、第2濾過部31の厚さ方向の全体に亘ってフィルター繊維同士が三次元的に接着した状態にはなっていない。このように第2濾過部31が構成されているため、皺33を形成し易い構造になっている。
【0025】
本形態例のフィルター布状材32を構成するポリプロピレン繊維は、エレクトレット処理を施すことができる。エレクトレット処理されたフィルター布状材32によれば、フィルター性能を向上できると共に、製造工程で巻回する際にめくれにくく、巻かれた形体を保持しやすいため、生産性を向上できる利点がある。
また、濾過部31の軸方向の長さを筒状スクリーン30よりも長く設け、初期の段階で皺33がよるように縮めて一対の端板41、42の間に固定してもよい。これによれば、より濾過面積を増大させることができ、フィルター性能をより向上できる。
【0026】
ところで、本形態例の気液分離フィルター10においては、第1濾過部21と外筒スクリーン30の間は凝集スペースになっており、外筒スクリーン30は、オイルなどの凝集した液体が伝って流れ落ちるためのガイド材としても機能している。また、本形態例の第1濾過部21はプリーツ状に形成されているため、隣り合うプリーツの外側面の間に形成される空隙が、凝集スペースとして好適に確保され、凝集効果が高まる。そして、第2濾過部31に横縞状の皺33が生じることによって、第2濾過部31の皺33の部分で外筒スクリーン30の外周面により確実に接触する形態になる。この接触はリング状の筋条部33bによって強くなされることになる。反対に、リング状の溝部33aは、外筒スクリーン30の外周面に接触しないで凝集スペースとなる空隙を形成するように機能する。このように接触することで、第2濾過部31の層内で凝集されて生じたオイルなどの液体が、外筒スクリーン30に移ってその外筒スクリーン30の表面に沿って流れやすくなる。これによれば、第2濾過部31の目詰まりを防止でき、フィルター性能をより向上できる。
【0027】
また、筒状スクリーン(外筒スクリーン)30の材質は、オイルミストを分離する場合は、例えばステンレススチールよりも親油性の高いアルミニウムの方が良い。このように、筒状スクリーン30の材質を選択すれば、オイルが筒状スクリーン30を伝って流れ落ちやすくなり、凝集されたオイルを素早く重力などの作用によって流し、気液分離フィルター10の目詰まりを防止できる。
【0028】
本形態例の第2濾過部31は、極細繊維径のポリプロピレン繊維を利用しているが、オイルに膨潤する特性をもつポリエチレン繊維やアクリル繊維などの他の素材を用いることもできる。また、水ミストを分離するための気液分離フィルター10については、フィルター繊維として、ナイロンなどの素材を利用することができる。
【0029】
次に、以上に説明した気液分離フィルター10が装着されて構成される圧縮空気用の空気清浄器102の形態例について、図2に基づいて説明する。
この形態例は、圧縮空気を供給するコンプレッサー100とそのコンプレッサー100によって供給された圧縮空気を利用する空気圧機器105とを接続する圧縮空気配管103の中途部に配置され、気液分離フィルター10が内蔵されて圧縮空気を濾過することで清浄化する圧縮空気用の空気清浄器102になっている。102aは空気清浄器102のエアインレットであり、102bはエアアウトレットである。102cは空気清浄器12のケーシングである。
【0030】
この圧縮空気用の空気清浄器102であっては、気液分離フィルター10が起立されて一対の端板(上側の端板41、下側の端板42)が上下に位置するように装着される構造に設けられている。これによれば、凝集された液体が、重力によって起立した鉛直の筒状スクリーン(外筒スクリーン)30を伝って好適に落下することができ、濾過部(第2濾過部)31の目詰まりを防止して、フィルター性能を向上できる。
なお、41aは接続口部であり、上側の端板41に設けられ、空気清浄器102のエアインレット102aの流路に接続されるように設けられている。これにより、気液分離フィルター10の内側に汚染空気が導入され、気液分離フィルター10を内から外へ通過した清浄空気がエアアウトレット102bから排出される。
【0031】
本発明係る圧縮空気用の空気清浄器は、圧縮空気に限定されず、他の圧縮気体についても適応して使用できる。
【0032】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0033】
10 気液分離フィルター
20 内筒スクリーン
21 第1濾過部
30 外筒スクリーン(筒状スクリーン)
31 第2濾過部(濾過部)
32 フィルター布状材
32a 最端部
33 皺
33a リング状の溝部
33b リング状の筋条部
41 上側の端板
41a 接続口部
42 下側の端板
100 コンプレッサー
101 圧縮空気除湿装置
102 空気清浄器
102a エアインレット
102b エアアウトレット
102c ケーシング
103 圧縮空気配管
105 空気圧機器
図1
図2
図3
図4
図5