特許第6014834号(P6014834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014834光透過性樹脂のレーザ溶着方法および光透過性樹脂のレーザ溶着装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6014834
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】光透過性樹脂のレーザ溶着方法および光透過性樹脂のレーザ溶着装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/16 20060101AFI20161013BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20161013BHJP
【FI】
   B29C65/16
   B23K26/00
【請求項の数】16
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-131669(P2016-131669)
(22)【出願日】2016年7月1日
【審査請求日】2016年7月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000195649
【氏名又は名称】精電舎電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 公彦
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 裕樹
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−248322(JP,A)
【文献】 特開2011−143653(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0000812(US,A1)
【文献】 特表2012−500120(JP,A)
【文献】 特表2009−532236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/16
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の第一の樹脂材と第二の樹脂材とを当接させ、これらの第一および第二の樹脂材をレーザ溶着するレーザ装置であって、
レーザ光照射手段と、
前記第一の樹脂材の外周形状に対応した断面形状を持ち、表面がレーザ光を反射する反射面をなし、第二の樹脂材を当接させた状態で第一の樹脂材を載置して受容可能な凹部溝と、当該凹部溝の上方の両側にあって、表面がレーザ光を反射する反射面をなす壁部と、を持つ反射治具と、
前記壁部の上に載置して取り付けられたとき、前記反射治具の凹部溝と壁部に対向する反射面と、前記レーザ光照射手段で発生したレーザ光を通すレーザ光通過孔とを持つ反射蓋と、を有し、
レーザ光照射手段で発生させたレーザ光は、前記壁部上に取り付けられた反射蓋のレーザ光通過孔から、前記第二の樹脂材を当接させて凹部溝に載置された第一の樹脂材に向けて照射され、
前記第一の樹脂材と第二の樹脂材を通過したレーザ光は、前記凹部溝、壁部および反射蓋の反射面を繰り返し反射する間に、前記第一の樹脂材及び前記第二の樹脂材を加熱して溶着させるように構成したことを特徴とするレーザ溶着装置。
【請求項2】
光透過性の第一の樹脂材と第二の樹脂材とを当接させ、これらの第一および第二の樹脂材をレーザ溶着するレーザ装置であって、
レーザ光照射手段と、
前記第一の樹脂材の外周形状に対応した断面形状を持ち、表面がレーザ光を反射する反射面をなし、第二の樹脂材を当接させた状態で第一の樹脂材を載置して受容可能な凹部溝と、当該凹部溝の上方の両側にあって、表面がレーザ光を反射する反射面をなす壁部と、前記レーザ光照射手段で発生したレーザ光を通すレーザ光通過孔と、を持つ反射治具と、
前記壁部の上に載置して取り付けられたとき、前記反射治具の凹部溝と壁部に対向する反射面を持つ反射蓋を有し、
レーザ光照射手段で発生させたレーザ光は、前記反射治具のレーザ光通過孔から前記反射蓋の反射面に照射されて、当該反射面で反射し、前記第二の樹脂材を当接させて凹部溝に載置された第一の樹脂材に向けて照射され、
前記第一の樹脂材と第二の樹脂材を通過したレーザ光は、前記凹部溝、壁部および反射蓋の反射面を繰り返し反射する間に、前記第一の樹脂材及び前記第二の樹脂材を加熱して溶着させるように構成したことを特徴とするレーザ溶着装置。
【請求項3】
前記反射治具と前記反射蓋の間に挟持され、前記反射治具の凹部溝に載置された第一の樹脂材と第二の樹脂材を前記反射治具の凹部溝に与圧する与圧部材を設けた請求項1または請求項2のいずれかに記載のレーザ溶着装置。
【請求項4】
更に、遠赤外レーザを吸収する材料でできた前記与圧部材と、
前記レーザ光照射手段として、近赤外線レーザ光を出力する第一のレーザ光照射手段と、遠赤外線レーザ光を出力する第二のレーザ光照射手段と、を用い、
第一のレーザ光照射手段は近赤外線レーザ光を出力して、与圧部材、第二の樹脂材、第一の樹脂材を照射し、近赤外線レーザ光を反射治具の凹部溝で反射させて再び、第一の樹脂材、第二の樹脂材、与圧部材を照射し、反射蓋の反射面で反射させることを繰り返し、第一の樹脂材と第二の樹脂材を発熱させ、両者を溶着させる、とともに、第二のレーザ光照射手段は、遠赤外線レーザを出力して、与圧部材を照射し、前記与圧部材を発熱させて前記与圧部材の熱で前記第一の樹脂材と第二の樹脂材を温めるようにした請求項3に記載のレーザ溶着装置。
【請求項5】
前記反射治具の凹部溝の上方の両側に設けた壁部に、前記前記反射蓋に対して開口する斜面を形成して、レーザ光を当該斜面の反射面と前記反射蓋の反射面により反射させたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一に記載したレーザ溶着装置。
【請求項6】
前記反射蓋の反射面を球面とした請求項1から4のいずれか一に記載したレーザ溶着装置。
【請求項7】
前記反射蓋の反射面を円筒面とした請求項1から4のいずれか一に記載したレーザ溶着装置。
【請求項8】
前記反射蓋の円筒面とした反射面の円筒面の長手方向の両端に反射部を設けたことを特徴とする請求項7に記載したレーザ溶着装置。
【請求項9】
前記反射治具に対して反射蓋を相対的に移動自在にしたことを特徴とする請求項1または4のいずれか一に記載のレーザ溶着装置。
【請求項10】
前記反射治具に対して反射蓋を相対的に往復移動しながら進むようにしたことを特徴とする請求項1または4のいずれか一に記載のレーザ溶着装置。
【請求項11】
前記反射治具または前記反射蓋に温度センサを設け、前記反射治具または前記反射蓋から検出した温度により、レーザ光出力レベルあるいは反射蓋の移動速度を制御するようにしたことを特徴とする請求項1から10のいずれか一に記載したレーザ溶着装置。
【請求項12】
更に、前記反射治具および前記反射蓋の少なくとも一方に冷却手段を設け、前記反射治具または前記反射蓋から検出した温度により、前記冷却手段を制御して、前記反射治具および反射蓋の少なくとも一方を冷却するようにしたことを特徴とする請求項11に記載のレーザ溶着装置。
【請求項13】
前記レーザ光照射手段は、レーザ光の光束を絞る光学レンズを有し、当該レンズで一旦絞ったレーザ光の光束を、レーザ光通過孔から第一の樹脂材と第二の樹脂材に向けて再び広がるように照射するようにした請求項1から4のいずれか一に記載したレーザ溶着装置。
【請求項14】
光透過性の第一の樹脂材に第二の樹脂材を当接させ、
前記第一の樹脂材の外周形状に対応した断面形状を持ち、表面がレーザ光を反射する反射面をなし、第二の樹脂材を当接させた状態で第一の樹脂材を載置して受容可能な凹部溝と、当該凹部溝の上方の両側にあって、表面がレーザ光を反射する反射面をなすとともに、前記凹部溝から開口する斜面を持つ壁部と、を持つ反射治具に、前記第2の樹脂材と当接させた前記第1の樹脂材を当該凹部溝の反射面と当接するように嵌合し、
前記壁部の上に載置して取り付けられたとき、前記反射治具の凹部溝と壁部に対向する反射面と、前記レーザ光照射手段で発生したレーザ光を通すレーザ光通過孔とを持つ反射蓋を、前記壁部の上に載置して取り付け、
前記壁部上に取り付けられた反射蓋のレーザ光通過孔をレーザ光が通る位置にレーザ光照射手段を取り付け、
レーザ光照射手段により前記凹部に向けてレーザ光を照射して、前記第1の樹脂材あるいは前記第1の樹脂材及び第2の樹脂材を通過したレーザ光を前記反射面により反射させ、更に、前記第一の樹脂材と第二の樹脂材を通過したレーザ光が、前記凹部溝、壁部および反射蓋の反射面を繰り返し反射する間に、前記第1の樹脂材及び前記第2の樹脂材を加熱して、溶着させることを特徴とするレーザ溶着方法。
【請求項15】
光透過性の第一の樹脂材に第二の樹脂材を当接させ、
前記第一の樹脂材の外周形状に対応した断面形状を持ち、表面がレーザ光を反射する反射面をなし、第二の樹脂材を当接させた状態で第一の樹脂材を載置して受容可能な凹部溝と、当該凹部溝の上方の両側にあって、表面がレーザ光を反射する反射面をなす壁部と、を持つ反射治具に、前記第2の樹脂材と当接させた前記第1の樹脂材を当該凹部溝の反射面と当接するように嵌合し、
前記反射治具の凹部溝に載置された第一の樹脂材と第二の樹脂材を前記反射治具の凹部溝に与圧する与圧部材を前記反射治具に取り付け、
前記壁部の上に載置して取り付けられたとき、前記反射治具の凹部溝と壁部に対向する反射面と、前記レーザ光照射手段で発生したレーザ光を通すレーザ光通過孔とを持つ反射蓋を、前記壁部の上に載置して取り付け、
前記壁部上に取り付けられた反射蓋のレーザ光通過孔をレーザ光の通る位置にレーザ光照射手段を取り付け、
レーザ光照射手段により前記凹部に向けてレーザ光を照射して、前記第1の樹脂材あるいは前記第1の樹脂材及び第2の樹脂材を通過したレーザ光を前記反射面により反射させ、更に、前記第一の樹脂材と第二の樹脂材を通過したレーザ光が、前記凹部溝、壁部および反射蓋の反射面を繰り返し反射する間に、前記第1の樹脂材及び前記第2の樹脂材を加熱して、溶着させることを特徴とするレーザ溶着方法。
【請求項16】
光透過性の第一の樹脂材に第二の樹脂材を当接させ、
前記第一の樹脂材の外周形状に対応した断面形状を持ち、表面がレーザ光を反射する反射面をなし、第二の樹脂材を当接させた状態で第一の樹脂材を載置して受容可能な凹部溝と、当該凹部溝の上方の両側にあって、表面がレーザ光を反射する反射面をなす壁部と、を持つ反射治具に、前記第2の樹脂材と当接させた前記第1の樹脂材を当該凹部溝の反射面と当接するように嵌合し、
前記反射治具の凹部溝に載置された第一の樹脂材と第二の樹脂材を前記反射治具の凹部溝に与圧する遠赤外レーザを吸収する材料でできた与圧部材を前記反射治具に取り付け、
前記壁部の上に載置して取り付けられたとき、前記反射治具の凹部溝と壁部に対向する反射面と、前記レーザ光照射手段で発生したレーザ光を通すレーザ光通過孔とを持つ反射蓋を、前記壁部の上に載置して取り付け、
前記壁部上に取り付けられた反射蓋のレーザ光通過孔のレーザ光が通る位置に近赤外線レーザ光を出力する第一のレーザ光照射手段と、遠赤外線レーザ光を出力する第二のレーザ光照射手段とを取り付け、
第一のレーザ光照射手段で近赤外線レーザ光を出力して、与圧部材、第二の樹脂材、第一の樹脂材を照射し、近赤外線レーザ光を反射治具の凹部溝で反射させて再び、第一の樹脂材、第二の樹脂材、与圧部材を照射し、反射蓋の反射面で反射させることを繰り返し、第一の樹脂材と第二の樹脂材を発熱させ、両者を溶着させる、とともに、第二のレーザ光照射手段で、遠赤外線レーザを出力して、与圧部材を照射し、前記与圧部材を発熱させて前記与圧部材の熱で前記第一の樹脂材と第二の樹脂材を温めるようにしたレーザ溶着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二以上の光透過性の樹脂にレーザ光を照射して溶着するレーザ溶着方法およびレーザ溶着装置に関し、特に光透過性の樹脂である筒状又は管状等の中空をした第一の樹脂材と、当該第一の樹脂材内に挿入された筒状若しくは管状等の中空の樹脂材又は棒状等の中実の第二の樹脂材とを溶着するレーザ溶着方法と、レーザ溶着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光透過性の樹脂である筒状又は管状等の中空の第一の樹脂材と、当該第一の樹脂材内に挿入された筒状若しくは管状等の中空の樹脂材又は棒状等の中実の第二の樹脂材とを溶着するレーザ溶着方法としては、出願人が発明した、凹部溝のある反射治具を用いて溶着する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、鼻カニューレやカテーテルなどの医療用樹脂材のレーザ溶着をすることができる他、各種の光透過性の樹脂材を、レーザ光を照射して溶着することができる。
すなわちこのレーザ溶着方法では、図26A図26Bのように、第一の樹脂材1に第二の樹脂材2を挿入した状態で、第一の樹脂材1の下半分の外周面を反射治具の凹部溝3aに嵌め、図27のように、レーザ光照射手段5から当該凹部溝3aの上に載置した第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に向けてレーザ光6を照射する。すると、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を通過したレーザ光6が凹部溝3aの表面で反射して、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の通過と反射を繰り返す。レーザ光6は第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に吸収されて、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は発熱し互いに溶着する。
しかし、上記従来のレーザ溶着装置では、図27の断面と同じ平面におけるレーザ光の反射についてよく検討されていたが、図27の断面に対して垂直な、いわゆる第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向のレーザ光の反射については十分には検討されていなかった。すなわち、(A)レーザ光を、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向の一点に集中させるのか、(B)レーザ光を、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向の一定長さの範囲に集中させるのか、(C)レーザ光を、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向に移動させるのか、などについて深く検討されていなかった。
そのため、レーザ光源のエネルギーの利用が十分でなく、大出力のレーザ出力装置が必要であった。レーザ光の照射範囲に限定したレーザ溶着はできるが、パイプなどの管状の長尺の光透過性樹脂材を長い範囲を連続的に均一に溶着することが難しかった。反射治具の温度が一定せず、レーザ溶着強度等の溶着品質が均一にならなかった。反射治具が放熱して一定温度に戻るのに時間がかかり、レーザ溶着のサイクル時間が長くて生産性が悪かった。
【0003】
また、他の従来例として図28図29に示したように、第一の樹脂材と第二の樹脂材を、樹脂材に非接触の反射面で取り巻いて、反射面の開口からレーザ光を照射して、第一の樹脂材と第二の樹脂材を溶着する方法も知られている。
ちなみに、図28では、チューブ部分のチューブ壁の熱吸収特性が互いに異なる少なくとも2つの物質層100、200から構築され、これらの層の1つがレーザ放射に対する熱吸収特性に優れた領域を少なくとも部分的に備えている。チューブ部分はミラー300に非接触で囲まれていて、レーザ照射手段500からのレーザ光600がミラー300で反射してチューブ部分を繰り返し照射すると発熱し、レーザ照射が終わると冷却、固化して溶着される。
また、図29では、管状部品110と吸収プラスチック部品210にレーザ光610を照射して溶着している。管状部品110と吸収プラスチック部品210は、円筒ミラー310に非接触で囲まれていて、円筒ミラー310は分散したレーザ光610を反射して、分散したレーザ光を管状部品110と吸収プラスチック部品210まで再循環させる。円筒ミラー310は、図29に示されるように、レーザ光が再反射を続けて、最終的にレーザ光が溶接される管状部品110と吸収プラスチック部品210の周囲の全方向から入射するような形状を有している。レーザ光の反射を繰り返すと、管状部品110と吸収プラスチック部品210は溶着する。しかし、図28図29の断面図の平面に垂直な、いわゆる第一の樹脂材100(110)と第二の樹脂材200(210)の長手方向のレーザ光の反射については上記と同じく深く検討されていなかった。そして、上記の問題は解決されていなかった(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
更に他の従来例として図30に示した第一の樹脂材120と第二の樹脂材220を一対の鏡320,330で挟み、第一の樹脂材120と第二の樹脂材220の斜めからレーザ光を照射して、第一の樹脂材120と第二の樹脂材220を溶着する方法が知られている。
しかし、図30の断面に垂直な、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の紙面の奥行き方向のレーザ光の反射については上記と同じく深く検討されていなかった。そして、上記の問題は解決されていなかった(例えば、特許文献4参照)。
結局、従来のレーザ溶着装置では、上記に説明したように、一品生産的にレーザ溶着ができるにとどまっていた。すなわち、二以上の光透過性の樹脂を量産的にレーザ溶着するために大出力のレーザ出力手段がないと溶着が上手にできない、長尺の光透過性樹脂材の連続溶着が上手にできない、溶着品質が均一でない、生産性が悪い、という、レーザ溶着装置を量産的に用いるための種々の課題が未解決のままであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−202876号公報
【特許文献2】特表2009−532236号公報
【特許文献3】特表2010−527296号公報
【特許文献4】特開2011−5816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、第一の樹脂材と第二の樹脂材の短手方向(断面方向)と長手方向(軸方向)方向のレーザ光の反射に新技術を用いることで、レーザ光源のエネルギーの利用を向上させ、小出力のレーザ出力手段でレーザ溶着を可能とする課題解決手段の提供を目的にしている。
そして、斯かる課題解決手段に基づいて、従来の付随的な種々の課題を解決することを目的としている。すなわち、長尺の光透過性樹脂材の長手方向の一定範囲長さを均一に溶着することを可能とする、反射治具と反射蓋の温度を安定させて、レーザ溶着強度等の溶着品質を均一にすることを可能とする、反射治具等の冷却を短時間に行い、レーザ溶着のサイクル時間を短くして生産性を上げることを可能とする、等の、量産的に利用可能なレーザ溶着方法およびレーザ溶着装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレーザ溶着装置は、光透過性の第一の樹脂材と第二の樹脂材とを当接させ、これらの第一および第二の樹脂材をレーザ溶着するレーザ装置であって、レーザ光照射手段と、前記第一の樹脂材の外周形状に対応した断面形状を持ち、表面がレーザ光を反射する反射面をなし、第二の樹脂材を当接させた状態で第一の樹脂材を載置して受容可能な凹部溝と、当該凹部溝の上方の両側にあって、表面がレーザ光を反射する反射面をなす壁部と、を持つ反射治具と、前記反射治具の凹部溝と壁部に対向する反射面と、前記レーザ光照射手段で発生したレーザ光を通すレーザ光通過孔を持ち、前記壁部の上に載置して取り付けられる反射蓋と、を有し、レーザ光照射手段で発生させたレーザ光は、前記壁部上に取り付けられた反射蓋のレーザ光通過孔から、前記第二の樹脂材を当接させて凹部溝に載置された第一の樹脂材に向けて照射され、前記第一の樹脂材と第二の樹脂材を通過したレーザ光は、前記凹部溝、壁部および反射蓋の反射面を繰り返し反射する間に、前記第一の樹脂材及び前記第二の樹脂材を加熱して溶着させるように構成している。
【0008】
このように構成したことにより、レーザ光を反射治具の凹部溝および壁部の反射面と、反射蓋の反射面との間で第一の樹脂材及び前記第二の樹脂材に向けて繰り返し反射させて、レーザ光源のエネルギーの利用を向上させて、小出力のレーザ出力手段で所定のレーザ溶着を可能にする課題を解決している。
本発明のレーザ溶着装置は、反射蓋の反射面を球面にして、レーザ光が長手方向においてレーザ光照射の中心付近に集中するように反射させたり、反射蓋の反射面を円筒面と斜面を組み合わせた形にして、レーザ光が長手方向においてレーザ光照射の中心付近の一定長さの範囲に集中するようにしたりしている。また、レーザ光照射手段を反射蓋に載せ、記反射治具に沿って移動可能にしている。
【0009】
このように構成したことにより、レーザ光源のエネルギーを効率よく利用して長尺物の光透過樹脂材を溶着可能にしている。また、光透過樹脂材が固定された反射治具に沿ってレーザ光を移動させて、長尺物の光透過樹脂材を長手方向に長い範囲で均一に溶着可能にする課題を解決している。
本発明のレーザ溶着装置は、温度制御手段と、反射治具または前記反射蓋に温度センサを設け、前記反射治具または前記反射蓋で検出した温度により、レーザ光出力レベルあるいは反射蓋の反射治具に対する移動速度を制御している。
【0010】
このように構成したことにより、反射治具と反射蓋と第一の樹脂材と第二の樹脂材の温度制御をして一定温度範囲内でレーザ溶着を行うようにして、レーザ溶着強度等の溶着品質を均一にすることを可能とする課題を解決している。
本発明のレーザ溶着装置は、反射治具または前記反射蓋に冷却手段を設け、前記反射治具または前記反射蓋から検出した温度により、冷却手段を制御して、前記反射治具または前記反射蓋を冷却するようにしている。
【0011】
このように構成したことにより、反射治具と反射蓋が加熱されてから冷却されるまでの温度サイクルの時間を短縮して、レーザ溶着の生産性を上げることを可能とする課題を解決している。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、レーザ光を反射治具と反射蓋との間で繰り返し反射させて、レーザ光源のエネルギーの利用を向上させたレーザ溶着装置を供給可能とし、長尺物の光透過樹脂材を連続的に均一に溶着できるレーザ溶着装置を供給可能とし、温度制御をして、レーザ溶着の品質の均一性を向上させたレーザ溶着装置を供給可能とし、冷却手段によりレーザ溶着の温度サイクルを短くして、レーザ溶着の生産性を向上させたレーザ溶着装置を供給可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の要部断面図。
図2図1に示す要部断面図に、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を示した図。
図3】本発明の実施形態1のレーザ溶着装置のレーザ光照射時のレーザ光の軌跡を示した、溶着される樹脂材の長手方向に沿う要部断面図。
図4】本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の外観斜視図。
図5】本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の第一の変形例を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図6】本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の第二の変形例を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図7】本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の第三の変形例を示した外観斜視図。
図8】本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の第四の変形例を示した平面図。
図9A】本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の第五の変形例を示した要部断面図。
図9B図9Aの要部断面図に、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた図。
図10】本発明の実施形態2のレーザ溶着装置を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図11】本発明の実施形態3のレーザ溶着装置を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図12】本発明の実施形態3のレーザ溶着装置の第一の変形例を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図13】本発明の実施形態3のレーザ溶着装置の第二の変形例を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図14】本発明の実施形態3のレーザ溶着装置の第三の変形例を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図15】本発明の実施形態4のレーザ溶着装置の、レーザ溶着作業をしているときの外観斜視図。
図16】本発明の実施形態4のレーザ溶着装置のレーザ光照射時のレーザ光の軌跡を示し、溶着される樹脂材の長手方向に沿う要部断面図。
図17】本発明の実施形態5のレーザ溶着装置を示し、レーザ溶着作業をしているときの外観斜視図。
図18図17の要部断面図に、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を示した図。
図19】本発明の実施形態5のレーザ溶着装置の動作手順を示したフロー図。
図20】本発明の実施形態5のレーザ溶着装置の変形例を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図21】本発明の実施形態5のレーザ溶着装置の変形例の動作手順を示したフロー図。
図22】本発明の実施形態6のレーザ溶着装置を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図23】本発明の実施形態7のレーザ溶着装置を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図24】本発明の実施形態8のレーザ溶着装置を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図25】本発明の実施形態9のレーザ溶着装置を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図26A】従来のレーザ溶着装置を示し、第一樹脂材、第二樹脂材および反射治具の位置関係を示した分解斜視図。
図26B】従来のレーザ溶着装置で、第一樹脂材と第二樹脂材を反射治具に載置示した状態を示した斜視図。
図27】従来のレーザ溶着装置の、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を示した要部断面図。
図28】従来の他のレーザ溶着装置を示し、同装置の要部断面図。
図29】従来の更に他のレーザ溶着装置を示し、レーザ光照射時のレーザ光の軌跡を加えた要部断面図。
図30】従来の、更に又他のレーザ溶着装置を示し、同装置の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図面と共に説明する。図1は、本発明の実施形態1のレーザ溶着装置を示し、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2、反射治具3、反射蓋4、そしてレーザ光照射手段5の位置関係を示した要部断面図である。但し、レーザ光出力のための制御装置、電源装置については図示を省略してある。
図1において、溶着させる管状の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は、第一の樹脂材1に第二の樹脂材2が挿入され、互いに当接した状態で、反射治具3の凹部溝3aに載置されている。反射治具3の樹脂材を受容する凹部溝3aの断面形状は、第一の樹脂材1の下半分の外周と密着する半円形をしていて、第一の樹脂材1の外周と当接する凹部溝3aの両側の上方に壁部(W)がある。図1では、凹部溝3aの上方に開口する斜面3b、3cのある壁部(W)が、開口に向かって拡開するように形成されている。
反射治具3の材料は、レーザ光を反射する金属材、例えばアルミニウムである。そして、反射治具3の凹部溝3aと壁部(W)の斜面3b、3cの表面は、鏡面にしてあり、レーザ光を反射する。凹部溝3aと斜面3b、3cの表面を鏡面にする方法としては、アルミニウムブロックの表面を鏡面研磨する方法、表面がアルミ箔で裏面に接着剤を塗布した鏡面テープ(T)を貼り付ける方法、表面を金属メッキする方法、表面に金属蒸着する方法、表面をコーティングする方法などがある。
図1では、反射治具3の凹部溝3aと壁部(W)の斜面3b、3c、反射蓋4の表面に、それぞれレーザ光を反射するアルミニュウムの薄い鏡面テープ(T1,T2)を、アルミ箔面を表にして貼り付けた姿を示している。なお、図1では、鏡面テープ(T1,T2)の厚さは、発明理解のために現実のものよりも厚く記載している。
図1では、管状の第一の樹脂材1の中心より下半分の外周面が反射治具3の凹部溝3aに密着している。第一の樹脂材1の上半分の外周面は、空間3dを挟んで反射蓋4と対峙している。反射治具3の上には、反射蓋4が、反射面4aを下にして着脱自在に載置されて取り付けられる。反射面4aは、反射治具3の壁部(W)の斜面3b、3cの先端をアーチ状に結ぶ球面でできている。反射面4aの表面は鏡面にしてあり、図1では、反射治具3と同様に、レーザ光を反射するアルミニュウムの薄い鏡面テープ(T1)がアルミ箔面を表にして貼り付けた姿を図示している。
図1では、反射蓋4の反射面4aの球面の中心Oを、管状の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の中心Oと一致させている。このことを発明理解のため、管状の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の外周面の中心Oからの距離をそれぞれ、半径R1、と示し球面をした反射面4aと中心Oからの距離を半径Rと図示した。
図2では、図1のレーザ光照射手段5からレーザ光が出力されたときのレーザ光6の軌跡を一点鎖線で示している。反射蓋4の中央上部には、レーザ光通過孔4bがあいている。レーザ光照射手段5は、レーザ光6がレーザ光通過孔4bを通して第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に向けて照射するように、反射蓋4の上に載置されている。
レーザ光通過孔4bの直径Dは、図1図2では誇張して大きく描いているが、実際には、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の大きさと材質、レーザ光照射手段5の出力等で定められる。レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6は、反射治具3の凹部溝3aに載置されている第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に照射される。
図2で、レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6は、例えば、レーザ光6aとして第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を貫通し、反射治具3の凹部溝3aで反射してレーザ光6b、6cと順次屈折して反射蓋4の反射面4aに達し、反射蓋4の反射面4aで反射して再び、反射治具3の凹部溝3a、壁部(W)の斜面3b、3cに向かう。
【0015】
なお、反射治具3の凹部溝3a、壁部(W)の斜面3b、3cと、反射蓋4の反射面4aではレーザ光6が反射するが、反射率は100%でないためレーザ光6の一部が吸収される。図1の反射治具3と反射蓋4は、アルミニュウムのブロックを削り出したものであり、ある程度の熱容量があり、レーザ光6を吸収して発熱し、保温されるとともに、外表面から放熱される。
【0016】
第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は、レーザ光の透過率(あるいは吸収率)に応じた割合のレーザ光を吸収して発熱する。また、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面の表面粗さが粗いとレーザ光が、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面のわずかな隙間で反射して発熱する。そして、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が当接面で溶融し、その後、レーザ光の照射を終了すると、固化して溶着する。
【0017】
特に溶着強度が必要な場合等には、予め、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面を粗面化しておくと良い。粗面化の方法としては、例えば、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面の一方にサンドペーパで細かい凹凸をつけたり、文目つき金属ローレットを押し付けて細かい凹凸をつけたり、第一の樹脂材1か第二の樹脂材2の一方の成形時に成形金型で細かい凹凸をつけたり、サンドブラスト処理して細かい凹凸をつけたりしておけば良い。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面の細かい凹凸のわずかな隙間でレーザ光は確実に反射して発熱し、レーザ光の照射を終了すると、固化して溶着する。
レーザ光の照射が1回であれば、それほどの発熱は期待できないが、本発明では、レーザ光の繰り返し反射により何度もレーザ光が通過する。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は、それぞれレーザ光を吸収して発熱する。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面にごく細かい凹凸があれば、ごく細かい凹凸のある当接面で繰り返し反射して発熱する。
本発明で、予め第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面を粗面化しておくとしても、粗面化は、ごく細かい凹凸を付けるだけで良い。ごく細かい凹凸であれば、発熱により溶融して溶着面が透明になるという利点がある。
図3は、管状をしている第一の樹脂材1の長手方向に沿って切断した本発明の実施形態1の断面図である。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は長手方向の長さがあるため、反射蓋4の長手方向の両端(図4では左右端)には、隔離壁4c、4dが設けてある。隔離壁4c、4dは反射蓋4の下面から第一の樹脂材1の上半分の外周面に至る空間を占める形をしていて、反射蓋4と第一の樹脂材1の上半分の外周面に向き合っている空間3dを長手方向に隔離して、熱とレーザ光6が外部に逃げないようにしている。反射面4aと連なる隔離壁4c、4dの内面は鏡面としている。図3では、反射面4aと同様に、隔離壁4c、4dの内面にアルミニュウムの薄い鏡面テープ(T1)を、アルミ箔面を表にして貼り付けていることを示した。
図3では、レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6の内、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過したレーザ光6が、反射治具3の凹部溝3aで反射して、レーザ光透過孔4b直下の外側に向かったときの軌跡を一点鎖線で示した。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過したレーザ光6が、反射治具3の凹部溝3aで反射して、レーザ光透過孔4b直下の外側に向かったときは、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過した後、反射蓋4の反射面4aで反射して、レーザ光透過孔4bの直下、つまりレーザ光照射範囲の中心に向かう。このように、反射蓋4に球面の反射面4aを形成しておくと、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が長手方向に長くても、レーザ光6の照射は、レーザ光照射範囲の中心に集まる。従来のレーザ溶着装置にはなかった、本発明特有の効果である。
図4に、本発明の実施形態1のレーザ装置の外観斜視図を示す。図2図4に示したレーザ光の軌跡を見れば、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に向けて照射されたレーザ光照射手段5からのレーザ光6は、反射治具3の凹部溝3a、壁部(W)の斜面3b、3cと反射蓋4の反射面4aで反射を繰り返すが、レーザ光6の照射範囲の中心から外側に拡散せず、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向についてもレーザ光6の照射範囲の中心に集まることが理解される。
このように、本発明のレーザ溶着装置は、レーザ光照射手段5から出力されるレーザ光6を繰り返し反射させて、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2にレーザ光を繰り返し照射している。そして、レーザ光源のエネルギーのレーザ溶着のエネルギーとしての利用を向上させ、小出力のレーザ溶着装置で必要なレーザ溶着を実現するという課題を解決している。
なお本発明のレーザ溶着装置としては、光透過性樹脂である第一の樹脂材1と第二の樹脂材2をレーザ溶着するレーザ溶着装置を説明しているが、光透過性樹脂といっても、レーザ光の透過率が高く、ほとんどのレーザ光が透過して、一部のレーザ光が吸収されるものから、ある程度のレーザ光を透過するが、ある程度のレーザ光を吸収するレーザ光透過率が比較的高くないものにも適用することができる。
(実施形態1の第一の変形例)
上記で説明した反射蓋4の反射面4aの球面の中心Oと第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の中心Oは、上下方向にずらしてもよい。反射面4aの球面の中心Oを上方に移動すれば、レーザ光の反射光は上方に集まる。このことを利用して、図5に示した実施形態1のレーザ溶着装置の第一の変形例のように、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の断面が上下に長い形状のときには、球面の中心Oを上方に移動して、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の上下中央にレーザ光の反射光を集めて、発熱温度を全体的に平均化することができる。
球面の中心Oを下方に移動すれば、レーザ光の反射光は第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の下方に集まる。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の断面が上下に短軸の楕円形状のときには、球面の中心Oを下方に移動して、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の上下中央にレーザ光の反射光を集めて、発熱温度を全体的に平均化することができる。反射蓋4の反射面4aの球面の中心Oのずらし方は、実際のレーザ溶着結果から経験的に最適となるように設定すれば良い。
(実施形態1の第二の変形例)
図6に、本発明の実施形態1の第二の変形例のレーザ光照射時のレーザ光の軌跡を示した要部断面図を示した。実施形態1の第二の変形例では、反射治具3のアルミニュウム・ブロックを削り出した部分3Aを、凹部溝3aの高さ、つまり凹部溝3aと当接する第一の樹脂材1の下半分の外周面の高さまでとし、それ以上の壁部(W)の部分3Pをプラスチック製として、表面にレーザ光反射用の鏡面テープ(T2)を貼ったものとしている。また、反射蓋4Pもプラスチック製として、表面にレーザ光反射用の鏡面テープ(T1)を貼ったものとしている。
図1の反射治具3と反射蓋4は、アルミニュウムのブロックを削り出したものであり、ある程度の熱容量があり、レーザ光6を吸収して発熱し、保温されるとともに、外表面から放熱されることは、既に説明したとおりである。第二変形例の反射治具3でも、凹部溝3aより下の部分3Aは、レーザ光照射手段5からレーザ光を直接照射されて高温になる。しかし、凹部溝3aより上の部分3Pである壁部(W)と反射蓋4Pは、一度以上反射したレーザ光を受ける。そのため、凹部溝3aより下の部分3Aと同様に放熱したのでは、温度差ができる。
そこで、実施形態1の第二の変形例では、反射治具3のアルミニュウム・ブロックを削り出した部分3Aを、凹部溝3aの高さ、つまり凹部溝3aと当接する第一の樹脂材1の半分の外周面の高さまでとし、凹部溝3aの上にある壁部(W)の部分3Pを合成樹脂(プラスチック)製として、表面にレーザ光反射用の鏡面テープ(T2)を貼ったものとしている。また、反射蓋4Pも合成樹脂製として表面にレーザ光反射用の鏡面テープ(T1)を貼ったものとしている。
このことにより、プラスチック製部分3Pとした壁部(W)と反射蓋4Pでは、アルミニュウム・ブロック部3Aの凹部溝3aから伝熱される熱と、反射光として照射されるレーザ光による熱を放熱しにくいように保温し、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を全体的にほぼ同じ温度で囲むようにして、発熱温度を全体的に平均化するようにしている。
(実施形態1の第三の変形例)
図7に、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が長手方向に長い管状をしている場合に用いる本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の第三の変形例を示した。図7では、長手方向の長さを長くした反射治具3の凹部溝3a上に、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を載置している。そして、反射蓋4の上に、レーザ光照射手段5を載せ、反射蓋4を図7の中央の白抜き矢印(M)で示す向きに移動できるようにしている。反射蓋4を図7の中央の白抜き矢印(M)で示す向きに移動すると、反射蓋4の移動に応じて、レーザ光6が第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向の長い範囲を順次移動して照射する。レーザ光6は、反射蓋4下の一定の範囲内で反射を繰り返すので、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2のレーザ光6が照射された範囲で順次発熱し、連続的にレーザ溶着される。
(実施形態1の第四の変形例)
図8に、本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の第四の変形例を示した。図8は、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を長手方向に折れ曲がった形でレーザ溶着する場合の平面図であり、長手方向に折れ曲がった形をしている反射治具3と、反射治具3の凹部溝3aに載置され長手方向に折れ曲がった形の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が示されている。反射治具3と第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の上には、四角形をした反射蓋4があり、反射蓋4にはレーザ光照射手段5が一体に取り付けられていて、白抜き矢印(M1〜M2)で示したように、左上(矢印M1)へ、上(矢印M2)へ、次に右上(矢印M3)へ順に移動することが示されている。
反射蓋4を図8の白抜き矢印の方向に移動すると、反射蓋4の移動に応じて、レーザ光6(図8には図示せず)が第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向の長い範囲を順次移動して照射する。レーザ光6は、反射蓋4下の一定の範囲内で反射を繰り返すので、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2のレーザ照射された範囲が順次発熱し、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が長手方向に折れ曲がった形のまま連続的にレーザ溶着される。
このように、長尺物の光透過樹脂材を連続的に溶着できるレーザ溶着装置を供給可能とする課題を解決している。
(実施形態1の第五の変形例)
図9A図9Bに本発明の実施形態1の第五の変形例を示した。図9A図9Bでは、反射治具3の反射面である凹部溝3aの形を変えている。図9A図9Bでは、第一の樹脂材1の下方の外周面、すなわち凹部溝3aの断面円弧状の底部面と壁部(W)の斜面3b、3cが接するようにしている。なお、反射治具3の凹部溝3aと斜面3b、3cの表面は鏡面研磨加工した仕上げ面、つまり、鏡面テープを貼り付けていない鏡面反射面を示している。
先に従来技術として説明した、出願人の発明による特開2013-202876号公報では、第一の樹脂材1の下方の外周面に斜面3b、3cが接する反射治具を用いたときは、2つのレーザ光照射手段をそれぞれの斜面に沿って配置することを示したが、本発明では、反射治具3の上に反射蓋4を取り付け、反射蓋4の上に、レーザ光透過孔からレーザ光を出力する1つのレーザ光照射手段5を載せて、レーザ光透過孔からのレーザ光を反射治具3と反射蓋4で反射を繰り返し、レーザ光6が第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に繰り返して貫通して発熱せることにより、1つのレーザ光照射手段5でレーザ溶着を可能にしている。
(実施形態2)
本発明の実施形態2について説明する。本発明の実施形態2は、本発明の実施形態1に、反射治具3と反射蓋4の温度制御手段と冷却手段を追加したレーザ溶着装置である。
なお、本明細書では、実施形態1の各部に相当し同一の機能を果たす部分には、同一の番号を付して、説明を省略している。例えば、管状の第一樹脂材1に相当し第一樹脂材1の機能を果たすものは、平板状をしていても「第一樹脂材1」というように表示した。以下、実施形態2を図面と共に説明する。
【0018】
図10は、本発明の実施形態2のレーザ溶着装置の概略構成を示したものである。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を反射治具3の凹部溝3aに載置し、反射治具3の一対の斜面3b、3cを第一の樹脂材1の下の外周面に接して開口するように設け、反射治具3の上には、反射蓋4が、反射面4aを下にして載置されている。反射面4aは、反射治具3の斜面3b、3cの上端縁をアーチ状に結ぶ球面または円筒面等の曲面でできている。
そして、反射蓋4の中央上部にはレーザ光照射手段5が載置されている。反射蓋4のレーザ光照射手段5を載置した所には、レーザ光通過孔4bがあいている。レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6は、レーザ光通過孔4bから、反射治具3の凹部溝3aに載置されている第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に照射される。
本発明の実施形態2では、図10に黒点で示した温度センサ(熱電対)7が反射治具3の内部に、温度センサ(熱電対)8が反射蓋4の内部にそれぞれ埋め込まれている。温度センサ7、8は、温度制御手段9に接続している。温度制御手段9は、レーザ光照射手段5の出力を温度センサ7、8の測定結果温度に基づいてオンオフ制御、あるいはフィードバック制御し、反射治具3と反射蓋4の温度を一定範囲内に保っている。
図10では、温度センサ7、8は、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の温度を直接測定するものでないため、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の温度変化を予測してレーザ光の出力を制御する。レーザ光透過性の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は、実際に用いる材質と大きさに応じた目標温度設定を行う。なお、熱電対の温度センサ7、8の代わりに、赤外線情報から温度を検出する非接触温度センサで第一の樹脂材1の表面温度を直接測定するようにしてもよい。なお、非接触温度センサを用いたレーザ溶着装置の構成は、実施形態7として図22を用いて後述する。
本発明の実施形態2のレーザ溶着装置は、反射治具3と反射蓋4の温度を予め定めた一定の温度範囲内に保つ温度制御をして、レーザ溶着の品質の均一性を向上させたレーザ溶着装置を供給可能とする課題を解決している。
また図10では、反射治具3に冷却用空洞3e、3fをあけていて、常温以下の空気などの冷却材を吹き付ける冷却ノズル10、11を取り付けている。冷却用空洞3e、3fは、反射治具3の外部に連通していて、冷却ノズル10、11から吹き付けられた冷却材は、反射治具3の熱を奪って、熱とともに反射治具3の外部に放出される。また、反射蓋4には、反射蓋4の下方の空間3dに向けて常温以下の空気などの冷却材を吹き付ける冷却ノズル12を取り付けている。空間3dは、反射蓋4の外部に連通していて、冷却ノズル12から吹き付けられた冷却材は、空間3dの熱を奪って、熱とともに反射蓋4の外部に放出される。
冷却ノズル10、11、12には、冷却手段13から常温以下の空気などの冷却材が供給される。冷却手段13は、温度制御手段9に接続している。温度制御手段9は、冷却手段13を温度センサ(熱電対)7、8の測定結果温度に基づいて、冷却ノズル10、11、12から冷却材の供給温度、供給量などを制御をして、反射治具3と反射蓋4の温度を予め定めた一定温度範囲内に冷却する。
このように、本発明の実施形態2は、本発明の実施形態1に、反射治具3と反射蓋4の温度制御手段9と冷却手段13を追加したレーザ溶着装置である。反射治具3と反射蓋4の温度を予め定めた一定温度範囲内にする温度制御をして、レーザ溶着の品質の均一性を向上させたレーザ溶着装置を供給可能とする課題を解決している。
そして、更に冷却ノズル10、11、12と冷却手段13を追加した構成では、レーザ溶着終了後、反射治具3と反射蓋4を冷却手段13で冷却し、レーザ溶着作業の温度サイクルを短くして、レーザ溶着の生産性を向上する課題を解決している。
なお図10では、温度センサ7、8をそれぞれ反射治具3と反射蓋4に埋め込んで、両方の温度を検出して温度制御することを説明したが、いずれか一つの温度センサを用いる構成としてもよい。また、冷却ノズル10、11、12についても、いずれか一つの冷却ノズルを用いる構成としてもよい。
(実施形態3)
本発明の実施形態3について説明する。本発明の実施形態3は、レーザ光を透過する平板状の第一の樹脂材と同じく平板状の第二の樹脂材をレーザ溶着するレーザ溶着装置である。以下、図面と共に説明する。なお図面では、第一と第二の樹脂材のように、これまで説明した実施形態と多少形状が変わっていても、同一機能を果たすものについては同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、本発明の実施形態3のレーザ溶着装置の概略構成を示したものである。平板状の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を、これらを当接した状態で反射治具3の凹部溝3aに載置し、反射治具3の一対の壁部(W)の斜面3b、3cを第一の樹脂材1の外周面から上方に拡開して開口するように設け、反射治具3の上には、反射蓋4が、反射面4aを下にして載置されている。反射面4aは、反射治具3の壁部(W)の斜面3b、3cの上端縁を結ぶ球面又は円筒面等の曲面でできている。
そして、反射蓋4の中央上部にはレーザ光照射手段5が載置されている。反射蓋4のレーザ光照射手段5を載置した所には、レーザ光通過孔4bがあいている。レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6は、反射治具3の凹部溝3aに載置されている第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に照射される。
ここまでは、本発明の実施形態1の構成と基本的に同じであるが、レーザ溶着する第一の樹脂材と第二の樹脂材が平板状である点に特徴がある。すなわち、反射治具3の凹部溝3aは、断面長方形状の第一の樹脂材1の底面1aと側面1bに対応した凹溝形状をしている。
第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は、レーザ光の吸収率に応じた割合でレーザ光を吸収して発熱する。また、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面の表面粗さが粗いとレーザ光が、当接面のわずかな隙間で反射して発熱する。そして、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が当接面で溶融し、その後、レーザ光の照射が終了して固化し、溶着する。
反射治具の凹部溝の形状を平板状の第一の樹脂材の外周の形状と同じにしたことにより、レーザ光を透過する平板状の第一の樹脂材と第二の樹脂材をレーザ溶着することが出来る。
なお、平板状の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面に与圧を与えた状態でレーザ光6を照射した方が、両者が確実に溶着する。そのため、平板状の第一の樹脂材1と同じく平板状の第二の樹脂材2の当接面に与圧を与えるようにしている。つまり、反射治具3と反射蓋4の間に、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の両方よりもレーザ光を透過する材質、例えば折り曲げた形のガラス板でできた与圧部材50を挟み、与圧部材50で、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を反射治具3の凹部溝3aに押し付けて、与圧を与えている。
(実施形態3の第一と第二の変形例)
図12図13に、本発明の実施形態3の第一と第二の変形例を示した。図12では、第一の樹脂材1の底面の両端縁から上方に拡開して開口するように壁部(W)の斜面3b、3cが設けられている。図13では、第二の樹脂材2の上面の両端縁から上方に拡開して開口するように壁部(W)の斜面3b、3cが設けられている。第一と第二の変形例では、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の材質と大きさ、レーザ光出力手段の出力に応じて、壁部(W)の斜面3b、3cが設けられる位置を図12図13のいずれかを選定して、レーザ溶着強度等のレーザ溶着品質を確保することができる。図12図13では、与圧部材50の表面に鏡面テープ(T2)を貼り、反射治具3の壁部(W)の斜面3b、3cの上にある与圧部材50の表面でレーザ光6を反射させている。
(実施形態3の第三の変形例)
図14は、本発明の実施形態3の第三の変形例を示した。第一の樹脂材や第二の樹脂材となるバルーンカテーテルやカテーテルチューブは、赤色光及び近赤外線光に対し不透明な、つまり赤色光及び近赤外線光を吸収する熱可塑性ポリマー材料で形成されるが、図14では、第一の樹脂材と第二の樹脂材に与圧を与える与圧部材51を、近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材、例えばシリコン(シリコンゴムゴム)に添加物を入れて不透明にして遠赤外のレーザ光を吸収するようにしたものを用い、厚さの厚い四辺形平板状の与圧部材51Aの周囲をアルミニュウム製の枠51Bで支持する構造にしている。平板状の与圧部材51Aと枠51Bを別部品にした方が作りやすく、強度が得られるためである。
図14では、近赤外線レーザ光を出力する第一のレーザ光照射手段5Aと、遠赤外線レーザ光を出力する第二のレーザ光照射手段5Bを反射蓋4の上に取り付けている。
第一のレーザ光照射手段5Aは、例えば半導体レーザであり、当該レーザ光の波長は700nm〜1200nmの範囲であり、好ましくは800nm〜1000nmである。第二のレーザ光照射手段5Bは、例えばCO2レーザであり遠赤外のレーザ光を照射する。当該レーザ光の波長は例えば10640nmである。
第一のレーザ光照射手段5Aは近赤外線レーザ光Raを出力して、与圧部材51A、第二の樹脂材2、第一の樹脂材1を照射し、近赤外線レーザ光Raを反射治具の凹部溝3aで反射させて再び、第一の樹脂材1、第二の樹脂材2、与圧部材51Aを照射し、反射蓋の反射面4aで反射させることを繰り返し、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を発熱させ、両者を溶着させる。
一方、第二のレーザ光照射手段5Bは、遠赤外線レーザを出力して、与圧部材51を照射し、発熱させている。この与圧部材51を発熱させると第二の樹脂部材2の上側外周面が与圧部材51の熱で温められる。そのため、第一と第二の樹脂部材は、それぞれ一定温度範囲に温度上昇した、反射治具3の凹部溝3a、壁部(W)、与圧部材51に囲まれた状態で、レーザ光が繰り返し照射されて発熱し、溶着する。遠赤外線レーザを出力するレーザ光照射手段5Bは、必要に応じて随時用いられる。
(実施形態4)
本発明の実施形態4では、反射蓋14の反射面となる曲面を円筒面14eと長手方向の一対の斜面14f、14fで形成した例を示した。図15のように、反射治具3の上には、反射蓋14が載置されている。反射蓋14は、円筒面14eと長手方向の一対の斜面14f、14fで形成してある。反射蓋14の上面にはレーザ光通過孔14bがあいている。反射蓋14の下面の長手方向の両側端には、隔離壁14c、14dが第一の樹脂材1の上面周囲の隙間を埋めるように設けてある。
レーザ光照射手段5では、内蔵した絞りレンズ(光学レンズ)5aでレーザ光6の光束を絞り、細いレーザ光6を反射蓋14の上面にあけたレーザ光通過孔14bから第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に向けて再び広がるように照射している。レーザ光6は、反射蓋14の上面にあけたレーザ光通過孔14bを通ると、第一の樹脂材1の上面に広がって、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を貫通し、反射治具3の凹部溝3aの反射面で反射する。凹部溝3aで反射したレーザ光6は、再び、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を貫通し、反射蓋14の反射面14aで反射し、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を繰り返し照射する。
図16は、本発明の実施形態4のレーザ溶着装置の第一の樹脂材1の長手方向で切断した断面図である。反射蓋14の長手方向の両端には、隔離壁14c、14dが設けてある。隔離壁14c、14dは反射蓋14の下面から第一の樹脂材1の上半分の外周面に至る形をしている。隔離壁14c、14dの上端からは斜め上方に一対の斜面14f、14fが伸びていて、反射蓋14の中央部は、長手方向に沿った円筒面14eになっている。
隔離壁14c、14d、一対の斜面14f、14f、円筒面14eの内面は鏡面にしていて、第一の樹脂材1の上半分の外周面に向き合っている空間3dから熱とレーザ光が逃げないようにしている。
なお、図15では記載を省略したが、図16では、レーザ光照射手段5と反射蓋のレーザ光通過孔14bの間からレーザ光6が漏れないように反射蓋の上方部分にレーザ光案内部分14gを形成していることを示した。
図16では、レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6の内、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過したレーザ光が、反射治具3の凹部溝3aの反射面で反射して、レーザ光照射範囲の中心に対して外側に向かったときの軌跡を示した。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過したレーザ光が、反射治具3の凹部溝3aで反射して、照射範囲の中心に対して外側に向かったときは、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過した後、反射蓋14により照射範囲の中心に向かうことになる。このように、反射蓋14に隔離壁14c、14dと、一対の斜面14f、14fと、円筒面14eを組み合せて形成しておくと、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は長手方向に長くても、レーザ光の照射は反射蓋14下のレーザ光照射範囲の中心に向かう。
但し、本発明の実施形態1の反射蓋4の反射面4aを球面とした図3と比べれば、レーザ光6は、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の特定部分に集中せず、長手方向の一定長さの範囲内で反射を繰り返す。その長手方向の一定範囲内では、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の温度が一定温度範囲内に加熱される。そのため、反射蓋14の反射面を両端の斜面14f、14fと中央の円筒面を組み合わせて、長手方向に広い範囲で溶着することができる。
(実施形態4の変形例)
図17に、実施形態4の変形例のレーザ溶着装置を示した。これは、反射蓋14が反射治具3の上を反射治具3に沿って自走するレーザ溶着装置である。反射蓋14には、自走式モノレールのように反射治具3の側面を挟む一対の走行輪19と、駆動モータ17で駆動される駆動輪18が取り付けられている。
一対の走行輪19と駆動モータ17で駆動される駆動輪18が、反射治具3の側面を挟んでいるので、駆動モータ17を一方向に回転すると反射治具3に沿って一方向に進み、反対方向に回転すると逆方向に進む。そのため正転と反転を組み合わせて進むことにより、例えば2mm前進して1mm後退し、再び2mm前進して1mm後退するような、前進と後退を繰り返して少しずつ進むという進み方もできる。前進と後退を繰り返して少しずつ進む進み方をすれば、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は長手方向に長い範囲を一定温度に保ちつつ移動させ、長手方向に連続的に均一にレーザ溶着することができる。
(実施形態5)
本発明の実施形態5を図18に示す。本発明の実施形態5のレーザ溶着装置は、発明の実施形態4の構成に、更に温度制御と駆動モータ17の駆動制御を追加して組み合わせたレーザ溶着装置である。図18では、反射治具3と反射蓋14の温度検出に接触式温度センサ27、28を用いて、反射治具3と反射蓋14の温度を検出しながら、反射蓋14を反射治具3の長手方向に移動できるようにしている。
図18では、反射蓋14の温度検出に接触式温度センサ28を用いた図を示したが、反射蓋14の温度検出には、熱電対を埋め込んだタイプのものとしてもよい。
温度センサ27、28で検出した温度データは、温度制御手段20aに伝えられる。温度制御手段20aは、駆動モータ17の駆動制御手段20bを制御して駆動モータ17を動かし、反射蓋14を反射治具3の側面に沿って長手方向に移動させる。反射蓋14に取り付けられているレーザ光照射手段5も、反射蓋14と同時に、反射治具3の側面に沿って長手方向に移動する。
図19に、本発明の実施形態5のレーザ溶着装置の動作手順をフロー図として示した。図19の動作手順としては、本発明の実施形態5のレーザ溶着装置が、(1)初期値設定したレーザ光出力レベル、進行速度でレーザ光照射と走行を開始する。(2)第一所定距離(L)まで、初期値設定のレーザ光照射と前進走行を行う。次に、(3)所定距離だけ後退走行する。(4)、(2)のと前進走行と(3)の後退走行を繰り返す。第二所定距離(L2)まで進むと、レーザ光出力レベルと進行速度を変更して、レーザ光照射と走行を行う。(5)、(2)のと前進走行と(3)の後退走行の繰り返しと(4)のレーザ光出力レベルと進行速度を変更する動作を繰り返す。第三所定距離(L)まで進むとレーザ光照射と走行を停止する。但し、反射治具と反射蓋の温度が異常温度範囲に入ったら、レーザ光出力レベル、進行速度を変えて、異常温度範囲から正常温度範囲に戻す動作をさせている。
図19の動作手順を各ステップ順に詳しく説明すると、以下のようになる。すなわち、図19では、まず操作者がレーザ溶着装置で、レーザ光出力レベル、進行速度の初期値設定をすると(ステップST1)、レーザ溶着装置は、レーザ光出力と走行を開始する(ステップST2)。所定時間経過後、第一所定距離(L)移動したか、否かを確認する(ステップST3)。「No」であれば、レーザ光出力と走行を続け、「Yes」になれば、「所定距離×1/n(nは任意の整数)」を後退する(ステップST4)。そして、反射治具3と反射蓋14の温度が所定範囲内に入っているか、否かを確認する(ステップST5)。「No」であれば、反射治具3と反射蓋14の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、「Yes」であれば、第二所定距離(L)移動したか、否かを確認する(ステップST6)。「No」、つまり第二所定距離(L)を移動していなければ、ステップST3に戻り、ステップST4(後退)、ST5(温度確認)、ST6(移動距離確認)の手順を繰り返す。ステップST6で「Yes」、つまり第二所定距離(L)を移動したら、レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更する(ステップST7)。そして、レーザ光出力と走行を続け、所定時間経過後、第三所定距離(L)移動したか否かを確認する(ステップST8)。「No」、つまり第三所定距離(L)を移動していなければ、ステップST3(移動距離確認)に戻り、ステップST4(後退)、ST5(温度確認)、ST6(移動距離確認)、ST7(レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更)の手順を繰り返す。ステップST8で「Yes」、つまり第三所定距離(L)を移動したら、レーザ光出力と走行を停止する(ステップST9)。
なお、ステップST5(温度確認)の判定で「No」、つまり反射治具3や反射蓋4という治具の温度が所定範囲内に入っていないときは、治具の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、判定結果が「Yes」、つまり異常温度の範囲であれば、異常温度範囲から正常温度範囲に戻るように、レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更して(ステップST7)、レーザ光出力と走行を続ける。ステップST10の判定結果が「No」、つまり異常温度の範囲に入っていなければ、レーザ光出力レベル、進行速度、nはそのまま、変更しないで、レーザ光出力と走行を続ける。
実施形態5は、温度制御と駆動モータ17の駆動制御を組み合わせたレーザ溶着装置であり、上記のように、反射治具3と反射蓋14の温度を測定し、反射治具3と反射蓋14の温度に応じて、反射蓋14を反射治具3上で長手方向に移動し、反射治具3と反射蓋14で囲んだ空間を所定温度で移動させている。このことにより、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を長手方向に連続的に均一に溶着している。
なお、図19のフロー図は、第一、第二、第三の所定距離(L、L、L)を適切に入力することで汎用的に利用できる一例を示したもので、必要により任意の他のフロー図を用いてもよいことは、もちろんである。
(実施形態6)
本発明の実施形態6を図20に示す。本発明の実施形態6のレーザ溶着装置は、本発明の実施形態5の構成に冷却手段29を追加し、温度制御手段20aと駆動モータ17の駆動制御手段20bと冷却手段29を組み合わせたレーザ溶着装置である。
反射治具3の下面には、常温以下の温度の空気等の冷却材を吹付けて冷やすための冷却溝3g、3hが長手方向に2条、伸びている。反射治具3の下方のアーム部分には、冷却ノズル10、11の先端が冷却溝3g、3hに向けて取り付けてある。反射蓋14にも冷却ノズル12が取り付けてある。冷却ノズル10、11、12は冷却手段29につながっていて、冷却手段29が各冷却ノズル10、11、12に、常温以下の温度の空気等の冷却材を送って、反射治具3の冷却溝3g、3hと、反射蓋14の下方の空間に冷却材を供給できるようにしている。その他の構成は、図18で示した構成と同じである。
図21に、本発明の実施形態5のレーザ溶着装置の動作手順をフロー図として示した。図21の動作手順は、(1)初期値設定したレーザ光出力レベル、進行速度でレーザ光照射と走行を開始する。(2)第一所定距離(L)まで、初期値設定のレーザ光照射と走行を行う。次に、(3)所定距離だけ戻る。(4)、(2)と(3)を繰り返し、第二所定距離(L)まで進むと、レーザ光出力レベル、進行速度を変更して、レーザ光照射と走行を行う。(5)、(2)(3)(4)の動作を繰り返し、第三所定距離(L)まで進むとレーザ光照射と走行を停止する。但し、反射治具と反射蓋の温度が異常温度範囲に入ったら、冷却手段29を動作させて、常温以下の空気等の冷却材を冷却ノズルが吹き出す。そして、レーザ光出力レベル、進行速度を変えて、異常温度範囲から正常温度範囲に戻す動作をさせている。
図21の動作手順は、既に説明した図19の動作手順のステップST10の反射治具3と反射蓋14の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、判定結果が「Yes」、つまり異常温度の範囲と判定したときに、冷却手段29を動作させて、常温以下の空気等の冷却材を冷却ノズルが吹き出す動作(ステップST11)を追加したものである。
異常温度範囲に達したと判定したときに、反射治具と反射蓋を冷却手段で強制的に冷却し、迅速に正常温度範囲に戻るようにしている。念のため、図21の動作手順を詳しく説明すると、以下のようになる。
すなわち、図21では、まず操作者がレーザ溶着装置で、レーザ光出力レベル、進行速度の初期値設定をすると(ステップST1)、レーザ溶着装置は、レーザ光出力と走行を開始する(ステップST2)。所定時間経過後、第一所定距離(L)移動したか、否かを確認する(ステップST3)。「No」であれば、レーザ光出力と走行を続け、「Yes」になれば、「所定距離×1/n」を後退する(ステップST4)。そして、治具の温度は所定範囲内に入っているか、否かを確認する(ステップST5)。「No」であれば、治具の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、「Yes」であれば、第二所定距離(L)移動したか、否かを確認する(ステップST6)。「No」、つまり第二所定距離(L)を移動していなければ、ステップST3に戻り、ステップST4(後退)、ST5(温度確認)、ST6(移動距離確認)の手順を繰り返す。ステップST6で「Yes」、つまり第二所定距離(L)を移動したら、レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更する(ステップST7)。そして、レーザ光出力と走行を続け、所定時間経過後、第三所定距離(L)移動したか否かを確認する(ステップST8)。「No」、つまり第三所定距離(L)を移動していなければ、ステップST3に戻り、ステップST4(後退)、ST5(温度確認)、ST6(移動距離確認)、ST7(レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更)の手順を繰り返す。ステップST8で「Yes」、つまり第三所定距離(L)を移動したら、レーザ光出力と走行を停止する(ステップST9)。
なお、ステップST5の判定で「No」、つまり治具の温度が所定範囲内に入っていないときは、治具の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、判定結果が「Yes」、つまり異常温度の範囲であれば、異常温度範囲から正常温度範囲に戻るように、冷却手段を動作させて、常温以下の空気等の冷却材を冷却ノズルが吹き出す動作をする(ステップST11)。そしてステップST5に戻り、ステップST5の判定で「Yes」、つまり治具の温度が所定範囲内に入るまで、ステップST11の冷却動作を繰り返す。
ステップST10の判定結果が「No」、つまり異常温度の範囲でなければ、図19のフロー図と同じくステップ8に進み、レーザ光出力と走行を続ける。
図21のフロー図では、レーザ溶着の一つ動作手順を示したが、ステップST1の「レーザ光出力レベル、進行速度の初期値設定」を、「レーザ反射治具3と反射蓋4の温度に基づいた最適な初期値に自動設定する」としておけば、図21のフロー図を繰り返すことで、同じレーザ溶着作業を繰り返すことができる。
また、ステップST9の次に、冷却手段を動作させて、常温以下の空気等の冷却材を冷却ノズルが吹き出す動作をする「冷却手段で冷却する」というステップST12を追加すれば、反射治具3と反射蓋4の温度を短時間で常温に戻すことができる。
なお、図21のフロー図は、第一、第二、第三の所定距離(L、L、L)を適切に入力することで汎用的に利用できる一例を示したもので、必要により任意の他のフロー図を用いてもよいことは、もちろんである。
(実施形態7)
本発明の実施形態7は、赤外線情報等から温度を検出する非接触温度センサで第一の樹脂材1の表面温度を直接測定するようにした点に特徴がある。図22に、本発明の実施形態7のレーザ溶着装置の要部断面図を示した。図22では、反射蓋14に非接触温度センサ38を取り付け、非接触温度センサ38で第一の樹脂材1の表面の赤外線温度情報を非接触で直接読み取るようにしている。
既に図10で説明した、実施形態2のレーザ溶着装置では、反射治具3と反射蓋4にそれぞれ熱電対7、8を埋め込んで温度を検出していた。これは、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の温度を間接的に測定するものであった。本発明の実施形態7のレーザ溶着装置では、非接触温度センサ38で第一の樹脂材1の表面の赤外線温度情報を非接触で直接読み取るようにしている。そのため、第一の樹脂材1の表面温度を迅速かつ精度よく制御することができる。
【0019】
本発明の実施形態7のレーザ溶着装置では、元々分離している別部品である反射治具3と反射蓋14を重ねて使用する構造であるため、両者を分解して、非接触温度センサ38の表面を清浄にメンテナンスすることが容易である。他の構造は、実施形態1から実施形態7までと同じであるので、説明を省略する。
(実施形態8)
本発明の実施形態8は、反射蓋24を小型・軽量化した点に特徴がある。図23に、本発明の実施形態6のレーザ溶着装置の要部断面図を示した。図23では、反射蓋24として、薄板状の球面プレートを用いている。実施形態1から実施形態7までは、反射蓋4として、アルミニュウムのブロックを所定形状に削り出したもの、あるいは斜面と円筒面をつないだものを示したが、実施形態8では、アルミニュウムの薄い平板を塑性変形させて球面プレートを作り、下面を鏡面にした反射蓋24を用いている。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の大きさが小さく、短時間に溶着できる場合は、反射蓋24の熱容量が小さくて良いからである。
なお、反射蓋24の材料をアルミニュウムの薄い平板の代わりにプラスチック板として、プラスチック板の表面にレーザ光透過孔のあいた鏡面テープ(T)を貼った構造にしてもよい。他の構造は、実施形態1から実施形態7までと同じであるので、説明を省略する。
(実施形態9)
本発明の実施形態9では、図24に示したように、反射蓋44の材質をレーザ光透過性の樹脂材にして、反射蓋44の下面には反射面44aを形成しているが、レーザ光照射手段5から出力されるレーザ光が通過する範囲には反射面44aを形成していないレーザ光透過孔44Hの部分を形成している。これは、反射蓋44が全体としてレーザ光透過性の樹脂材という通気性の孔のあいていない蓋であっても、光学的にレーザ光が通過する部分があれば、その部分が光学的にレーザ光通過孔として機能する。反射蓋44に通気性の孔があいていないので、第一の樹脂材1の上方の空間から外側に熱が逃げない利点がある。レーザ光通過孔は、少なくとも光学的にレーザ光を通す孔であればよいことを説明した。
【0020】
本発明の実施形態9は、光学的にレーザ光を通過するレーザ光通過孔44Hのあいた反射蓋44で、レーザ光6を第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に照射するようにしたレーザ溶着装置である。反射蓋44に通気性のレーザ光通過孔をあけずにレーザ光を照射して、第一の樹脂材1の上方の空間から外側に熱が逃げない状態で、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を溶着できる。
(実施形態10)
本発明の実施形態10は図25に示したように、レーザ光照射手段5を反射治具3に取り付け、通気性の孔のあいていない反射蓋34で、レーザ光6を第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に照射するようにしたレーザ溶着装置である。いわゆる反射炉型のレーザ溶着装置であり、反射蓋34にレーザ光通過孔をあけずに、反射治具3に設けたレーザ光通過孔3hからレーザ光を照射して、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を溶着できる。
【0021】
なお上記実施形態1から実施形態10の説明では、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を管状の樹脂材、又は板状の樹脂材とした例を説明したが、その他の中空円筒で長さの短い筒状をした第一の樹脂材1と第二の樹脂材2のレーザ溶着や、筒状あるいは管状をした第一の樹脂材1と中実の棒状の第二の樹脂材2のレーザ溶着や、ブロック状の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2のレーザ溶着にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、筒状又は管状等の中空の第一の樹脂材と、当該第一の樹脂材内に挿入された筒状若しくは管状等の中空の樹脂材又は棒状等の中実の第二の樹脂材とを溶着するレーザ溶着に適用することができる他、ブロック状の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2のレーザ溶着にも適用することができる。
そして、鼻カニューレやカテーテルなどの医療用樹脂材のレーザ溶着をすることができる他、各種の光透過性の樹脂材を、レーザ光を照射して溶着することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 第一の樹脂材
2 第一の樹脂材
3 反射治具
3a 凹部溝
3b、3c 壁部の斜面
4 反射蓋
4a 反射蓋の反射面
4b レーザ光照射孔
5 レーザ光照射手段
6 レーザ光
7 反射治具の温度センサ
8 反射蓋の温度センサ
9 温度制御手段
10,11 反射治具の冷却材送出ノズル
12 反射蓋の冷却材送出ノズル
13 冷却手段
T 鏡面テープ
W 壁部
【要約】
【課題】従来のレーザ溶着装置では、大出力のレーザ出力手段でないと溶着が上手にできない。長尺の光透過性樹脂材の連続溶着が上手にできない。溶着品質が均一でない。生産性が悪い、という課題があった。
【解決手段】表面がレーザ光を反射する反射面をそれぞれが有し、第一の樹脂材の外周形状に対応した断面形状を持つ凹部溝と当該凹部溝の両側上方に形成した壁部とを備える反射治具を用い、レーザ光を透過する第一の樹脂材と第二の樹脂材を当該凹部溝に載置し、反射治具の上に、反射治具の凹部溝に対向する反射面を有する反射蓋を載置し、レーザ光照射手段により凹部溝に向けてレーザ光を照射して、第一の樹脂材と第二の樹脂材を通過したレーザ光を反射治具の凹部溝、壁部および反射蓋の各反射面間で繰り返し反射させて、第一の樹脂材及び第二の樹脂材を加熱して、溶着させている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27
図28
図29
図30