【0017】
特に溶着強度が必要な場合等には、予め、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面を粗面化しておくと良い。粗面化の方法としては、例えば、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面の一方にサンドペーパで細かい凹凸をつけたり、文目つき金属ローレットを押し付けて細かい凹凸をつけたり、第一の樹脂材1か第二の樹脂材2の一方の成形時に成形金型で細かい凹凸をつけたり、サンドブラスト処理して細かい凹凸をつけたりしておけば良い。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面の細かい凹凸のわずかな隙間でレーザ光は確実に反射して発熱し、レーザ光の照射を終了すると、固化して溶着する。
レーザ光の照射が1回であれば、それほどの発熱は期待できないが、本発明では、レーザ光の繰り返し反射により何度もレーザ光が通過する。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は、それぞれレーザ光を吸収して発熱する。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面にごく細かい凹凸があれば、ごく細かい凹凸のある当接面で繰り返し反射して発熱する。
本発明で、予め第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面を粗面化しておくとしても、粗面化は、ごく細かい凹凸を付けるだけで良い。ごく細かい凹凸であれば、発熱により溶融して溶着面が透明になるという利点がある。
図3は、管状をしている第一の樹脂材1の長手方向に沿って切断した本発明の実施形態1の断面図である。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は長手方向の長さがあるため、反射蓋4の長手方向の両端(
図4では左右端)には、隔離壁4c、4dが設けてある。隔離壁4c、4dは反射蓋4の下面から第一の樹脂材1の上半分の外周面に至る空間を占める形をしていて、反射蓋4と第一の樹脂材1の上半分の外周面に向き合っている空間3dを長手方向に隔離して、熱とレーザ光6が外部に逃げないようにしている。反射面4aと連なる隔離壁4c、4dの内面は鏡面としている。
図3では、反射面4aと同様に、隔離壁4c、4dの内面にアルミニュウムの薄い鏡面テープ(T1)を、アルミ箔面を表にして貼り付けていることを示した。
図3では、レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6の内、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過したレーザ光6が、反射治具3の凹部溝3aで反射して、レーザ光透過孔4b直下の外側に向かったときの軌跡を一点鎖線で示した。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過したレーザ光6が、反射治具3の凹部溝3aで反射して、レーザ光透過孔4b直下の外側に向かったときは、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過した後、反射蓋4の反射面4aで反射して、レーザ光透過孔4bの直下、つまりレーザ光照射範囲の中心に向かう。このように、反射蓋4に球面の反射面4aを形成しておくと、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が長手方向に長くても、レーザ光6の照射は、レーザ光照射範囲の中心に集まる。従来のレーザ溶着装置にはなかった、本発明特有の効果である。
図4に、本発明の実施形態1のレーザ装置の外観斜視図を示す。
図2〜
図4に示したレーザ光の軌跡を見れば、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に向けて照射されたレーザ光照射手段5からのレーザ光6は、反射治具3の凹部溝3a、壁部(W)の斜面3b、3cと反射蓋4の反射面4aで反射を繰り返すが、レーザ光6の照射範囲の中心から外側に拡散せず、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向についてもレーザ光6の照射範囲の中心に集まることが理解される。
このように、本発明のレーザ溶着装置は、レーザ光照射手段5から出力されるレーザ光6を繰り返し反射させて、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2にレーザ光を繰り返し照射している。そして、レーザ光源のエネルギーのレーザ溶着のエネルギーとしての利用を向上させ、小出力のレーザ溶着装置で必要なレーザ溶着を実現するという課題を解決している。
なお本発明のレーザ溶着装置としては、光透過性樹脂である第一の樹脂材1と第二の樹脂材2をレーザ溶着するレーザ溶着装置を説明しているが、光透過性樹脂といっても、レーザ光の透過率が高く、ほとんどのレーザ光が透過して、一部のレーザ光が吸収されるものから、ある程度のレーザ光を透過するが、ある程度のレーザ光を吸収するレーザ光透過率が比較的高くないものにも適用することができる。
(実施形態1の第一の変形例)
上記で説明した反射蓋4の反射面4aの球面の中心O
1と第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の中心O
2は、上下方向にずらしてもよい。反射面4aの球面の中心O
1を上方に移動すれば、レーザ光の反射光は上方に集まる。このことを利用して、
図5に示した実施形態1のレーザ溶着装置の第一の変形例のように、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の断面が上下に長い形状のときには、球面の中心O
1を上方に移動して、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の上下中央にレーザ光の反射光を集めて、発熱温度を全体的に平均化することができる。
球面の中心O
1を下方に移動すれば、レーザ光の反射光は第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の下方に集まる。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の断面が上下に短軸の楕円形状のときには、球面の中心O
1を下方に移動して、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の上下中央にレーザ光の反射光を集めて、発熱温度を全体的に平均化することができる。反射蓋4の反射面4aの球面の中心O
1のずらし方は、実際のレーザ溶着結果から経験的に最適となるように設定すれば良い。
(実施形態1の第二の変形例)
図6に、本発明の実施形態1の第二の変形例のレーザ光照射時のレーザ光の軌跡を示した要部断面図を示した。実施形態1の第二の変形例では、反射治具3のアルミニュウム・ブロックを削り出した部分3Aを、凹部溝3aの高さ、つまり凹部溝3aと当接する第一の樹脂材1の下半分の外周面の高さまでとし、それ以上の壁部(W)の部分3Pをプラスチック製として、表面にレーザ光反射用の鏡面テープ(T2)を貼ったものとしている。また、反射蓋4Pもプラスチック製として、表面にレーザ光反射用の鏡面テープ(T1)を貼ったものとしている。
図1の反射治具3と反射蓋4は、アルミニュウムのブロックを削り出したものであり、ある程度の熱容量があり、レーザ光6を吸収して発熱し、保温されるとともに、外表面から放熱されることは、既に説明したとおりである。第二変形例の反射治具3でも、凹部溝3aより下の部分3Aは、レーザ光照射手段5からレーザ光を直接照射されて高温になる。しかし、凹部溝3aより上の部分3Pである壁部(W)と反射蓋4Pは、一度以上反射したレーザ光を受ける。そのため、凹部溝3aより下の部分3Aと同様に放熱したのでは、温度差ができる。
そこで、実施形態1の第二の変形例では、反射治具3のアルミニュウム・ブロックを削り出した部分3Aを、凹部溝3aの高さ、つまり凹部溝3aと当接する第一の樹脂材1の半分の外周面の高さまでとし、凹部溝3aの上にある壁部(W)の部分3Pを合成樹脂(プラスチック)製として、表面にレーザ光反射用の鏡面テープ(T2)を貼ったものとしている。また、反射蓋4Pも合成樹脂製として表面にレーザ光反射用の鏡面テープ(T1)を貼ったものとしている。
このことにより、プラスチック製部分3Pとした壁部(W)と反射蓋4Pでは、アルミニュウム・ブロック部3Aの凹部溝3aから伝熱される熱と、反射光として照射されるレーザ光による熱を放熱しにくいように保温し、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を全体的にほぼ同じ温度で囲むようにして、発熱温度を全体的に平均化するようにしている。
(実施形態1の第三の変形例)
図7に、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が長手方向に長い管状をしている場合に用いる本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の第三の変形例を示した。
図7では、長手方向の長さを長くした反射治具3の凹部溝3a上に、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を載置している。そして、反射蓋4の上に、レーザ光照射手段5を載せ、反射蓋4を
図7の中央の白抜き矢印(M)で示す向きに移動できるようにしている。反射蓋4を
図7の中央の白抜き矢印(M)で示す向きに移動すると、反射蓋4の移動に応じて、レーザ光6が第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向の長い範囲を順次移動して照射する。レーザ光6は、反射蓋4下の一定の範囲内で反射を繰り返すので、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2のレーザ光6が照射された範囲で順次発熱し、連続的にレーザ溶着される。
(実施形態1の第四の変形例)
図8に、本発明の実施形態1のレーザ溶着装置の第四の変形例を示した。
図8は、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を長手方向に折れ曲がった形でレーザ溶着する場合の平面図であり、長手方向に折れ曲がった形をしている反射治具3と、反射治具3の凹部溝3aに載置され長手方向に折れ曲がった形の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が示されている。反射治具3と第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の上には、四角形をした反射蓋4があり、反射蓋4にはレーザ光照射手段5が一体に取り付けられていて、白抜き矢印(M1〜M2)で示したように、左上(矢印M1)へ、上(矢印M2)へ、次に右上(矢印M3)へ順に移動することが示されている。
反射蓋4を
図8の白抜き矢印の方向に移動すると、反射蓋4の移動に応じて、レーザ光6(
図8には図示せず)が第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の長手方向の長い範囲を順次移動して照射する。レーザ光6は、反射蓋4下の一定の範囲内で反射を繰り返すので、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2のレーザ照射された範囲が順次発熱し、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が長手方向に折れ曲がった形のまま連続的にレーザ溶着される。
このように、長尺物の光透過樹脂材を連続的に溶着できるレーザ溶着装置を供給可能とする課題を解決している。
(実施形態1の第五の変形例)
図9A、
図9Bに本発明の実施形態1の第五の変形例を示した。
図9A、
図9Bでは、反射治具3の反射面である凹部溝3aの形を変えている。
図9A、
図9Bでは、第一の樹脂材1の下方の外周面、すなわち凹部溝3aの断面円弧状の底部面と壁部(W)の斜面3b、3cが接するようにしている。なお、反射治具3の凹部溝3aと斜面3b、3cの表面は鏡面研磨加工した仕上げ面、つまり、鏡面テープを貼り付けていない鏡面反射面を示している。
先に従来技術として説明した、出願人の発明による特開2013-202876号公報では、第一の樹脂材1の下方の外周面に斜面3b、3cが接する反射治具を用いたときは、2つのレーザ光照射手段をそれぞれの斜面に沿って配置することを示したが、本発明では、反射治具3の上に反射蓋4を取り付け、反射蓋4の上に、レーザ光透過孔からレーザ光を出力する1つのレーザ光照射手段5を載せて、レーザ光透過孔からのレーザ光を反射治具3と反射蓋4で反射を繰り返し、レーザ光6が第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に繰り返して貫通して発熱せることにより、1つのレーザ光照射手段5でレーザ溶着を可能にしている。
(実施形態2)
本発明の実施形態2について説明する。本発明の実施形態2は、本発明の実施形態1に、反射治具3と反射蓋4の温度制御手段と冷却手段を追加したレーザ溶着装置である。
なお、本明細書では、実施形態1の各部に相当し同一の機能を果たす部分には、同一の番号を付して、説明を省略している。例えば、管状の第一樹脂材1に相当し第一樹脂材1の機能を果たすものは、平板状をしていても「第一樹脂材1」というように表示した。以下、実施形態2を図面と共に説明する。
【0018】
図10は、本発明の実施形態2のレーザ溶着装置の概略構成を示したものである。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を反射治具3の凹部溝3aに載置し、反射治具3の一対の斜面3b、3cを第一の樹脂材1の下の外周面に接して開口するように設け、反射治具3の上には、反射蓋4が、反射面4aを下にして載置されている。反射面4aは、反射治具3の斜面3b、3cの上端縁をアーチ状に結ぶ球面または円筒面等の曲面でできている。
そして、反射蓋4の中央上部にはレーザ光照射手段5が載置されている。反射蓋4のレーザ光照射手段5を載置した所には、レーザ光通過孔4bがあいている。レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6は、レーザ光通過孔4bから、反射治具3の凹部溝3aに載置されている第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に照射される。
本発明の実施形態2では、
図10に黒点で示した温度センサ(熱電対)7が反射治具3の内部に、温度センサ(熱電対)8が反射蓋4の内部にそれぞれ埋め込まれている。温度センサ7、8は、温度制御手段9に接続している。温度制御手段9は、レーザ光照射手段5の出力を温度センサ7、8の測定結果温度に基づいてオンオフ制御、あるいはフィードバック制御し、反射治具3と反射蓋4の温度を一定範囲内に保っている。
図10では、温度センサ7、8は、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の温度を直接測定するものでないため、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の温度変化を予測してレーザ光の出力を制御する。レーザ光透過性の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は、実際に用いる材質と大きさに応じた目標温度設定を行う。なお、熱電対の温度センサ7、8の代わりに、赤外線情報から温度を検出する非接触温度センサで第一の樹脂材1の表面温度を直接測定するようにしてもよい。なお、非接触温度センサを用いたレーザ溶着装置の構成は、実施形態7として
図22を用いて後述する。
本発明の実施形態2のレーザ溶着装置は、反射治具3と反射蓋4の温度を予め定めた一定の温度範囲内に保つ温度制御をして、レーザ溶着の品質の均一性を向上させたレーザ溶着装置を供給可能とする課題を解決している。
また
図10では、反射治具3に冷却用空洞3e、3fをあけていて、常温以下の空気などの冷却材を吹き付ける冷却ノズル10、11を取り付けている。冷却用空洞3e、3fは、反射治具3の外部に連通していて、冷却ノズル10、11から吹き付けられた冷却材は、反射治具3の熱を奪って、熱とともに反射治具3の外部に放出される。また、反射蓋4には、反射蓋4の下方の空間3dに向けて常温以下の空気などの冷却材を吹き付ける冷却ノズル12を取り付けている。空間3dは、反射蓋4の外部に連通していて、冷却ノズル12から吹き付けられた冷却材は、空間3dの熱を奪って、熱とともに反射蓋4の外部に放出される。
冷却ノズル10、11、12には、冷却手段13から常温以下の空気などの冷却材が供給される。冷却手段13は、温度制御手段9に接続している。温度制御手段9は、冷却手段13を温度センサ(熱電対)7、8の測定結果温度に基づいて、冷却ノズル10、11、12から冷却材の供給温度、供給量などを制御をして、反射治具3と反射蓋4の温度を予め定めた一定温度範囲内に冷却する。
このように、本発明の実施形態2は、本発明の実施形態1に、反射治具3と反射蓋4の温度制御手段9と冷却手段13を追加したレーザ溶着装置である。反射治具3と反射蓋4の温度を予め定めた一定温度範囲内にする温度制御をして、レーザ溶着の品質の均一性を向上させたレーザ溶着装置を供給可能とする課題を解決している。
そして、更に冷却ノズル10、11、12と冷却手段13を追加した構成では、レーザ溶着終了後、反射治具3と反射蓋4を冷却手段13で冷却し、レーザ溶着作業の温度サイクルを短くして、レーザ溶着の生産性を向上する課題を解決している。
なお
図10では、温度センサ7、8をそれぞれ反射治具3と反射蓋4に埋め込んで、両方の温度を検出して温度制御することを説明したが、いずれか一つの温度センサを用いる構成としてもよい。また、冷却ノズル10、11、12についても、いずれか一つの冷却ノズルを用いる構成としてもよい。
(実施形態3)
本発明の実施形態3について説明する。本発明の実施形態3は、レーザ光を透過する平板状の第一の樹脂材と同じく平板状の第二の樹脂材をレーザ溶着するレーザ溶着装置である。以下、図面と共に説明する。なお図面では、第一と第二の樹脂材のように、これまで説明した実施形態と多少形状が変わっていても、同一機能を果たすものについては同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、本発明の実施形態3のレーザ溶着装置の概略構成を示したものである。平板状の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を、これらを当接した状態で反射治具3の凹部溝3aに載置し、反射治具3の一対の壁部(W)の斜面3b、3cを第一の樹脂材1の外周面から上方に拡開して開口するように設け、反射治具3の上には、反射蓋4が、反射面4aを下にして載置されている。反射面4aは、反射治具3の壁部(W)の斜面3b、3cの上端縁を結ぶ球面又は円筒面等の曲面でできている。
そして、反射蓋4の中央上部にはレーザ光照射手段5が載置されている。反射蓋4のレーザ光照射手段5を載置した所には、レーザ光通過孔4bがあいている。レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6は、反射治具3の凹部溝3aに載置されている第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に照射される。
ここまでは、本発明の実施形態1の構成と基本的に同じであるが、レーザ溶着する第一の樹脂材と第二の樹脂材が平板状である点に特徴がある。すなわち、反射治具3の凹部溝3aは、断面長方形状の第一の樹脂材1の底面1aと側面1bに対応した凹溝形状をしている。
第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は、レーザ光の吸収率に応じた割合でレーザ光を吸収して発熱する。また、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面の表面粗さが粗いとレーザ光が、当接面のわずかな隙間で反射して発熱する。そして、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2が当接面で溶融し、その後、レーザ光の照射が終了して固化し、溶着する。
反射治具の凹部溝の形状を平板状の第一の樹脂材の外周の形状と同じにしたことにより、レーザ光を透過する平板状の第一の樹脂材と第二の樹脂材をレーザ溶着することが出来る。
なお、平板状の第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の当接面に与圧を与えた状態でレーザ光6を照射した方が、両者が確実に溶着する。そのため、平板状の第一の樹脂材1と同じく平板状の第二の樹脂材2の当接面に与圧を与えるようにしている。つまり、反射治具3と反射蓋4の間に、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の両方よりもレーザ光を透過する材質、例えば折り曲げた形のガラス板でできた与圧部材50を挟み、与圧部材50で、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を反射治具3の凹部溝3aに押し付けて、与圧を与えている。
(実施形態3の第一と第二の変形例)
図12と
図13に、本発明の実施形態3の第一と第二の変形例を示した。
図12では、第一の樹脂材1の底面の両端縁から上方に拡開して開口するように壁部(W)の斜面3b、3cが設けられている。
図13では、第二の樹脂材2の上面の両端縁から上方に拡開して開口するように壁部(W)の斜面3b、3cが設けられている。第一と第二の変形例では、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の材質と大きさ、レーザ光出力手段の出力に応じて、壁部(W)の斜面3b、3cが設けられる位置を
図12か
図13のいずれかを選定して、レーザ溶着強度等のレーザ溶着品質を確保することができる。
図12と
図13では、与圧部材50の表面に鏡面テープ(T2)を貼り、反射治具3の壁部(W)の斜面3b、3cの上にある与圧部材50の表面でレーザ光6を反射させている。
(実施形態3の第三の変形例)
図14は、本発明の実施形態3の第三の変形例を示した。第一の樹脂材や第二の樹脂材となるバルーンカテーテルやカテーテルチューブは、赤色光及び近赤外線光に対し不透明な、つまり赤色光及び近赤外線光を吸収する熱可塑性ポリマー材料で形成されるが、
図14では、第一の樹脂材と第二の樹脂材に与圧を与える与圧部材51を、近赤外のレーザ光を透過し遠赤外のレーザ光を吸収する素材、例えばシリコン(シリコンゴムゴム)に添加物を入れて不透明にして遠赤外のレーザ光を吸収するようにしたものを用い、厚さの厚い四辺形平板状の与圧部材51Aの周囲をアルミニュウム製の枠51Bで支持する構造にしている。平板状の与圧部材51Aと枠51Bを別部品にした方が作りやすく、強度が得られるためである。
図14では、近赤外線レーザ光を出力する第一のレーザ光照射手段5Aと、遠赤外線レーザ光を出力する第二のレーザ光照射手段5Bを反射蓋4の上に取り付けている。
第一のレーザ光照射手段5Aは、例えば半導体レーザであり、当該レーザ光の波長は700nm〜1200nmの範囲であり、好ましくは800nm〜1000nmである。第二のレーザ光照射手段5Bは、例えばCO2レーザであり遠赤外のレーザ光を照射する。当該レーザ光の波長は例えば10640nmである。
第一のレーザ光照射手段5Aは近赤外線レーザ光Raを出力して、与圧部材51A、第二の樹脂材2、第一の樹脂材1を照射し、近赤外線レーザ光Raを反射治具の凹部溝3aで反射させて再び、第一の樹脂材1、第二の樹脂材2、与圧部材51Aを照射し、反射蓋の反射面4aで反射させることを繰り返し、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を発熱させ、両者を溶着させる。
一方、第二のレーザ光照射手段5Bは、遠赤外線レーザを出力して、与圧部材51を照射し、発熱させている。この与圧部材51を発熱させると第二の樹脂部材2の上側外周面が与圧部材51の熱で温められる。そのため、第一と第二の樹脂部材は、それぞれ一定温度範囲に温度上昇した、反射治具3の凹部溝3a、壁部(W)、与圧部材51に囲まれた状態で、レーザ光が繰り返し照射されて発熱し、溶着する。遠赤外線レーザを出力するレーザ光照射手段5Bは、必要に応じて随時用いられる。
(実施形態4)
本発明の実施形態4では、反射蓋14の反射面となる曲面を円筒面14eと長手方向の一対の斜面14f、14fで形成した例を示した。
図15のように、反射治具3の上には、反射蓋14が載置されている。反射蓋14は、円筒面14eと長手方向の一対の斜面14f、14fで形成してある。反射蓋14の上面にはレーザ光通過孔14bがあいている。反射蓋14の下面の長手方向の両側端には、隔離壁14c、14dが第一の樹脂材1の上面周囲の隙間を埋めるように設けてある。
レーザ光照射手段5では、内蔵した絞りレンズ(光学レンズ)5aでレーザ光6の光束を絞り、細いレーザ光6を反射蓋14の上面にあけたレーザ光通過孔14bから第一の樹脂材1と第二の樹脂材2に向けて再び広がるように照射している。レーザ光6は、反射蓋14の上面にあけたレーザ光通過孔14bを通ると、第一の樹脂材1の上面に広がって、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を貫通し、反射治具3の凹部溝3aの反射面で反射する。凹部溝3aで反射したレーザ光6は、再び、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を貫通し、反射蓋14の反射面14aで反射し、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を繰り返し照射する。
図16は、本発明の実施形態4のレーザ溶着装置の第一の樹脂材1の長手方向で切断した断面図である。反射蓋14の長手方向の両端には、隔離壁14c、14dが設けてある。隔離壁14c、14dは反射蓋14の下面から第一の樹脂材1の上半分の外周面に至る形をしている。隔離壁14c、14dの上端からは斜め上方に一対の斜面14f、14fが伸びていて、反射蓋14の中央部は、長手方向に沿った円筒面14eになっている。
隔離壁14c、14d、一対の斜面14f、14f、円筒面14eの内面は鏡面にしていて、第一の樹脂材1の上半分の外周面に向き合っている空間3dから熱とレーザ光が逃げないようにしている。
なお、
図15では記載を省略したが、
図16では、レーザ光照射手段5と反射蓋のレーザ光通過孔14bの間からレーザ光6が漏れないように反射蓋の上方部分にレーザ光案内部分14gを形成していることを示した。
図16では、レーザ光照射手段5で発生したレーザ光6の内、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過したレーザ光が、反射治具3の凹部溝3aの反射面で反射して、レーザ光照射範囲の中心に対して外側に向かったときの軌跡を示した。第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過したレーザ光が、反射治具3の凹部溝3aで反射して、照射範囲の中心に対して外側に向かったときは、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を透過した後、反射蓋14により照射範囲の中心に向かうことになる。このように、反射蓋14に隔離壁14c、14dと、一対の斜面14f、14fと、円筒面14eを組み合せて形成しておくと、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は長手方向に長くても、レーザ光の照射は反射蓋14下のレーザ光照射範囲の中心に向かう。
但し、本発明の実施形態1の反射蓋4の反射面4aを球面とした
図3と比べれば、レーザ光6は、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の特定部分に集中せず、長手方向の一定長さの範囲内で反射を繰り返す。その長手方向の一定範囲内では、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の温度が一定温度範囲内に加熱される。そのため、反射蓋14の反射面を両端の斜面14f、14fと中央の円筒面を組み合わせて、長手方向に広い範囲で溶着することができる。
(実施形態4の変形例)
図17に、実施形態4の変形例のレーザ溶着装置を示した。これは、反射蓋14が反射治具3の上を反射治具3に沿って自走するレーザ溶着装置である。反射蓋14には、自走式モノレールのように反射治具3の側面を挟む一対の走行輪19と、駆動モータ17で駆動される駆動輪18が取り付けられている。
一対の走行輪19と駆動モータ17で駆動される駆動輪18が、反射治具3の側面を挟んでいるので、駆動モータ17を一方向に回転すると反射治具3に沿って一方向に進み、反対方向に回転すると逆方向に進む。そのため正転と反転を組み合わせて進むことにより、例えば2mm前進して1mm後退し、再び2mm前進して1mm後退するような、前進と後退を繰り返して少しずつ進むという進み方もできる。前進と後退を繰り返して少しずつ進む進み方をすれば、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2は長手方向に長い範囲を一定温度に保ちつつ移動させ、長手方向に連続的に均一にレーザ溶着することができる。
(実施形態5)
本発明の実施形態5を
図18に示す。本発明の実施形態5のレーザ溶着装置は、発明の実施形態4の構成に、更に温度制御と駆動モータ17の駆動制御を追加して組み合わせたレーザ溶着装置である。
図18では、反射治具3と反射蓋14の温度検出に接触式温度センサ27、28を用いて、反射治具3と反射蓋14の温度を検出しながら、反射蓋14を反射治具3の長手方向に移動できるようにしている。
図18では、反射蓋14の温度検出に接触式温度センサ28を用いた図を示したが、反射蓋14の温度検出には、熱電対を埋め込んだタイプのものとしてもよい。
温度センサ27、28で検出した温度データは、温度制御手段20aに伝えられる。温度制御手段20aは、駆動モータ17の駆動制御手段20bを制御して駆動モータ17を動かし、反射蓋14を反射治具3の側面に沿って長手方向に移動させる。反射蓋14に取り付けられているレーザ光照射手段5も、反射蓋14と同時に、反射治具3の側面に沿って長手方向に移動する。
図19に、本発明の実施形態5のレーザ溶着装置の動作手順をフロー図として示した。
図19の動作手順としては、本発明の実施形態5のレーザ溶着装置が、(1)初期値設定したレーザ光出力レベル、進行速度でレーザ光照射と走行を開始する。(2)第一所定距離(L
1)まで、初期値設定のレーザ光照射と前進走行を行う。次に、(3)所定距離だけ後退走行する。(4)、(2)のと前進走行と(3)の後退走行を繰り返す。第二所定距離(L
2)まで進むと、レーザ光出力レベルと進行速度を変更して、レーザ光照射と走行を行う。(5)、(2)のと前進走行と(3)の後退走行の繰り返しと(4)のレーザ光出力レベルと進行速度を変更する動作を繰り返す。第三所定距離(L
3)まで進むとレーザ光照射と走行を停止する。但し、反射治具と反射蓋の温度が異常温度範囲に入ったら、レーザ光出力レベル、進行速度を変えて、異常温度範囲から正常温度範囲に戻す動作をさせている。
図19の動作手順を各ステップ順に詳しく説明すると、以下のようになる。すなわち、
図19では、まず操作者がレーザ溶着装置で、レーザ光出力レベル、進行速度の初期値設定をすると(ステップST1)、レーザ溶着装置は、レーザ光出力と走行を開始する(ステップST2)。所定時間経過後、第一所定距離(L
1)移動したか、否かを確認する(ステップST3)。「No」であれば、レーザ光出力と走行を続け、「Yes」になれば、「所定距離×1/n(nは任意の整数)」を後退する(ステップST4)。そして、反射治具3と反射蓋14の温度が所定範囲内に入っているか、否かを確認する(ステップST5)。「No」であれば、反射治具3と反射蓋14の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、「Yes」であれば、第二所定距離(L
2)移動したか、否かを確認する(ステップST6)。「No」、つまり第二所定距離(L
2)を移動していなければ、ステップST3に戻り、ステップST4(後退)、ST5(温度確認)、ST6(移動距離確認)の手順を繰り返す。ステップST6で「Yes」、つまり第二所定距離(L
2)を移動したら、レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更する(ステップST7)。そして、レーザ光出力と走行を続け、所定時間経過後、第三所定距離(L
3)移動したか否かを確認する(ステップST8)。「No」、つまり第三所定距離(L
3)を移動していなければ、ステップST3(移動距離確認)に戻り、ステップST4(後退)、ST5(温度確認)、ST6(移動距離確認)、ST7(レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更)の手順を繰り返す。ステップST8で「Yes」、つまり第三所定距離(L
3)を移動したら、レーザ光出力と走行を停止する(ステップST9)。
なお、ステップST5(温度確認)の判定で「No」、つまり反射治具3や反射蓋4という治具の温度が所定範囲内に入っていないときは、治具の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、判定結果が「Yes」、つまり異常温度の範囲であれば、異常温度範囲から正常温度範囲に戻るように、レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更して(ステップST7)、レーザ光出力と走行を続ける。ステップST10の判定結果が「No」、つまり異常温度の範囲に入っていなければ、レーザ光出力レベル、進行速度、nはそのまま、変更しないで、レーザ光出力と走行を続ける。
実施形態5は、温度制御と駆動モータ17の駆動制御を組み合わせたレーザ溶着装置であり、上記のように、反射治具3と反射蓋14の温度を測定し、反射治具3と反射蓋14の温度に応じて、反射蓋14を反射治具3上で長手方向に移動し、反射治具3と反射蓋14で囲んだ空間を所定温度で移動させている。このことにより、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2を長手方向に連続的に均一に溶着している。
なお、
図19のフロー図は、第一、第二、第三の所定距離(L
1、L
2、L
3)を適切に入力することで汎用的に利用できる一例を示したもので、必要により任意の他のフロー図を用いてもよいことは、もちろんである。
(実施形態6)
本発明の実施形態6を
図20に示す。本発明の実施形態6のレーザ溶着装置は、本発明の実施形態5の構成に冷却手段29を追加し、温度制御手段20aと駆動モータ17の駆動制御手段20bと冷却手段29を組み合わせたレーザ溶着装置である。
反射治具3の下面には、常温以下の温度の空気等の冷却材を吹付けて冷やすための冷却溝3g、3hが長手方向に2条、伸びている。反射治具3の下方のアーム部分には、冷却ノズル10、11の先端が冷却溝3g、3hに向けて取り付けてある。反射蓋14にも冷却ノズル12が取り付けてある。冷却ノズル10、11、12は冷却手段29につながっていて、冷却手段29が各冷却ノズル10、11、12に、常温以下の温度の空気等の冷却材を送って、反射治具3の冷却溝3g、3hと、反射蓋14の下方の空間に冷却材を供給できるようにしている。その他の構成は、
図18で示した構成と同じである。
図21に、本発明の実施形態5のレーザ溶着装置の動作手順をフロー図として示した。
図21の動作手順は、(1)初期値設定したレーザ光出力レベル、進行速度でレーザ光照射と走行を開始する。(2)第一所定距離(L
1)まで、初期値設定のレーザ光照射と走行を行う。次に、(3)所定距離だけ戻る。(4)、(2)と(3)を繰り返し、第二所定距離(L
2)まで進むと、レーザ光出力レベル、進行速度を変更して、レーザ光照射と走行を行う。(5)、(2)(3)(4)の動作を繰り返し、第三所定距離(L
3)まで進むとレーザ光照射と走行を停止する。但し、反射治具と反射蓋の温度が異常温度範囲に入ったら、冷却手段29を動作させて、常温以下の空気等の冷却材を冷却ノズルが吹き出す。そして、レーザ光出力レベル、進行速度を変えて、異常温度範囲から正常温度範囲に戻す動作をさせている。
図21の動作手順は、既に説明した
図19の動作手順のステップST10の反射治具3と反射蓋14の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、判定結果が「Yes」、つまり異常温度の範囲と判定したときに、冷却手段29を動作させて、常温以下の空気等の冷却材を冷却ノズルが吹き出す動作(ステップST11)を追加したものである。
異常温度範囲に達したと判定したときに、反射治具と反射蓋を冷却手段で強制的に冷却し、迅速に正常温度範囲に戻るようにしている。念のため、
図21の動作手順を詳しく説明すると、以下のようになる。
すなわち、
図21では、まず操作者がレーザ溶着装置で、レーザ光出力レベル、進行速度の初期値設定をすると(ステップST1)、レーザ溶着装置は、レーザ光出力と走行を開始する(ステップST2)。所定時間経過後、第一所定距離(L
1)移動したか、否かを確認する(ステップST3)。「No」であれば、レーザ光出力と走行を続け、「Yes」になれば、「所定距離×1/n」を後退する(ステップST4)。そして、治具の温度は所定範囲内に入っているか、否かを確認する(ステップST5)。「No」であれば、治具の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、「Yes」であれば、第二所定距離(L
2)移動したか、否かを確認する(ステップST6)。「No」、つまり第二所定距離(L
2)を移動していなければ、ステップST3に戻り、ステップST4(後退)、ST5(温度確認)、ST6(移動距離確認)の手順を繰り返す。ステップST6で「Yes」、つまり第二所定距離(L
2)を移動したら、レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更する(ステップST7)。そして、レーザ光出力と走行を続け、所定時間経過後、第三所定距離(L
3)移動したか否かを確認する(ステップST8)。「No」、つまり第三所定距離(L
3)を移動していなければ、ステップST3に戻り、ステップST4(後退)、ST5(温度確認)、ST6(移動距離確認)、ST7(レーザ光出力レベル、進行速度、nを変更)の手順を繰り返す。ステップST8で「Yes」、つまり第三所定距離(L
3)を移動したら、レーザ光出力と走行を停止する(ステップST9)。
なお、ステップST5の判定で「No」、つまり治具の温度が所定範囲内に入っていないときは、治具の温度が異常温度の範囲になったか否かを判定し(ステップST10)、判定結果が「Yes」、つまり異常温度の範囲であれば、異常温度範囲から正常温度範囲に戻るように、冷却手段を動作させて、常温以下の空気等の冷却材を冷却ノズルが吹き出す動作をする(ステップST11)。そしてステップST5に戻り、ステップST5の判定で「Yes」、つまり治具の温度が所定範囲内に入るまで、ステップST11の冷却動作を繰り返す。
ステップST10の判定結果が「No」、つまり異常温度の範囲でなければ、
図19のフロー図と同じくステップ8に進み、レーザ光出力と走行を続ける。
図21のフロー図では、レーザ溶着の一つ動作手順を示したが、ステップST1の「レーザ光出力レベル、進行速度の初期値設定」を、「レーザ反射治具3と反射蓋4の温度に基づいた最適な初期値に自動設定する」としておけば、
図21のフロー図を繰り返すことで、同じレーザ溶着作業を繰り返すことができる。
また、ステップST9の次に、冷却手段を動作させて、常温以下の空気等の冷却材を冷却ノズルが吹き出す動作をする「冷却手段で冷却する」というステップST12を追加すれば、反射治具3と反射蓋4の温度を短時間で常温に戻すことができる。
なお、
図21のフロー図は、第一、第二、第三の所定距離(L
1、L
2、L
3)を適切に入力することで汎用的に利用できる一例を示したもので、必要により任意の他のフロー図を用いてもよいことは、もちろんである。
(実施形態7)
本発明の実施形態7は、赤外線情報等から温度を検出する非接触温度センサで第一の樹脂材1の表面温度を直接測定するようにした点に特徴がある。
図22に、本発明の実施形態7のレーザ溶着装置の要部断面図を示した。
図22では、反射蓋14に非接触温度センサ38を取り付け、非接触温度センサ38で第一の樹脂材1の表面の赤外線温度情報を非接触で直接読み取るようにしている。
既に
図10で説明した、実施形態2のレーザ溶着装置では、反射治具3と反射蓋4にそれぞれ熱電対7、8を埋め込んで温度を検出していた。これは、第一の樹脂材1と第二の樹脂材2の温度を間接的に測定するものであった。本発明の実施形態7のレーザ溶着装置では、非接触温度センサ38で第一の樹脂材1の表面の赤外線温度情報を非接触で直接読み取るようにしている。そのため、第一の樹脂材1の表面温度を迅速かつ精度よく制御することができる。