特許第6014840号(P6014840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014840
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】薄板用緩衝材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20161013BHJP
   B65D 59/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B65D81/02
   B65D59/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-252516(P2013-252516)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-107827(P2015-107827A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2015年3月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591287978
【氏名又は名称】太陽インダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095603
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 一郎
(72)【発明者】
【氏名】表 克浩
(72)【発明者】
【氏名】小田 篤史
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−264361(JP,A)
【文献】 特開2013−233997(JP,A)
【文献】 特表2012−505126(JP,A)
【文献】 実開平06−027633(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 59/00
B65D 81/00−81/17
B65D 85/48,85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂で成形され薄板状の部品の周縁部を保護する薄板用緩衝材であって、
中空の凸状に形成され対向配置された一対の側壁部と、一対の前記側壁部の間に前記薄板状の部品の板厚よりも幅広に形成された溝部と、前記溝部の長手方向の両端部に前記溝部の底面より低い位置に突出して形成された段差部と、各々の前記側壁部の内壁から前記溝部に向かって突出し前記溝部の長手方向に互い違いに配置されて前記部品の周縁部を挟持する突起部と、が一体に成形され、対向する前記突起部と前記突起部の間に前記薄板状の部品の周縁部が挿通される隙間が形成され、前記溝部が前記薄板状の部品の周縁部の端面を支持する底面を備えたことを特徴とする薄板用緩衝材。
【請求項2】
前記突起部の根元側の前記側壁部の上面部に形成された孔部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の薄板用緩衝材。
【請求項3】
前記溝部の長手方向の途中に前記溝部と交差して前記溝部より深いV字状に形成された切り込み部と、前記切り込み部の底部に形成された薄肉状のヒンジ部と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の薄板用緩衝材。
【請求項4】
前記ヒンジ部の長手方向に沿って形成されたミシン目を備えたことを特徴とする請求項3に記載の薄板用緩衝材。
【請求項5】
前記突起部の先端側の上隅に円弧状に形成された面取り部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の薄板用緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の板金部品やガラスなどの薄板状の部品の周縁部を簡単かつ確実に保護することができる薄板用緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用ドアパネルやフード等の板状部材を輸送する場合、その縁部が輸送中の衝撃によって変形・損傷するおそれがある。従来から、そのような板状部材の縁部には縁部保護材を取り付け、輸送中の衝撃を吸収して板状部材の縁部の変形・損傷を防止している。
例えば(特許文献1)には、弾性を有する発泡材からなる保護材主体と、保護材主体の長手方向に形成される溝状の挿入用切込み部と、挿入用切込み部と交差させて形成されるとともに保護材主体を折り曲げるためのヒンジ部を残して形成される折曲用切込み部とを備えた板状部材の縁部保護材が開示されている。
また、(特許文献2)には、サッシの外枠のコーナーに宛てがうことができるL字形に構成されており、外枠へ宛てがわれる内側コーナー面に、外枠の外周に突出する取付用フランジ部が差し込まれる差し込み溝が形成されており、内側コーナー面とは反対側の外側コーナー面には、外枠の周方向に巻き付けられる止めバンドを収容するバンド溝が形成されたサッシ用保護材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−45438号公報
【特許文献2】特開2000−264361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)の板状部材の縁部保護材は、落下時の衝撃などにより板状部材が挿入用切込み部の直角状のエッジ部で折れ曲がることがあり、部品の保護の信頼性に欠けるという課題を有していた。
また、(特許文献1)の板状部材の縁部保護材の保護材主体は弾性を有する発泡材で形成されるが、板状部材の縁部を衝撃から保護するために、中実に形成され剛性を有するので、質量があるだけでなく、積み重ねた際に嵩張り、荷崩れも発生し易く、収納時の省スペース性、取扱い性に欠けるという課題を有している。
(2)(特許文献2)のサッシ用保護材は、L字形に形成されているため、サッシの外枠のコーナーに宛てがうことはできるが、直線部の保護には用いることができず、用途が限定され、汎用性に欠けるという課題を有している。
また、(特許文献2)のサッシ用保護材は、差し込み溝の内側に突出部を設けることにより、差し込み溝に差し込まれる取付用フランジ部の厚さが多少違っても、突出部の弾性変形によって取付用フランジ部を左右から挟み付けようとするものであるが、突出部の上面がサッシ用保護材の内側面と面一に形成されているので、取付用フランジ部を差し込み難く、梱包の作業性に欠けるだけでなく、断面V字形をなす差し込み溝に対し、突出部が垂直に立っているため、突出部が変形し難く、固定安定性に欠けるという課題を有している。
さらに、このため、(特許文献2)のサッシ用保護材は、外側コーナー面に形成されたバンド溝に、外枠の周方向に沿うように止めバンドを巻き付けて固定しなければならず、梱包の作業性に欠けるという課題を有している。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、軽量で、省資源性、量産性に優れ、薄板状の部品の周縁部を確実に保護することができ、落下などの衝撃を受けても部品に直接負荷が加わり難く、部品の変形・損傷を防止することができ、部品の保護の信頼性、安定性に優れ、部品への着脱が容易でありながら、適度な嵌め合い力を保つことができ、梱包の作業性、固定の確実性に優れ、またスタッキングして容易に持ち運ぶことができ、搬送性に優れると共に、保管時に嵩張らず、省スペース性に優れるだけでなく、部品の周縁の直線部にもコーナー部にも対応することができる汎用性に優れた薄板用緩衝材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段及びそれによって得られる作用、効果】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の薄板用緩衝材は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の薄板用緩衝材は、合成樹脂で成形され薄板状の部品の周縁部を保護する薄板用緩衝材であって、中空の凸状に形成され対向配置された一対の側壁部と、一対の前記側壁部の間に前記部品の板厚よりも幅広に形成された溝部と、前記溝部の長手方向の両端部に前記溝部の底面より低い位置に突出して形成された段差部と、各々の前記側壁部の内壁から前記溝部に向かって突出し前記溝部の長手方向に互い違いに配置されて前記部品の周縁部を挟持する突起部と、が一体に成形され、対向する前記突起部と前記突起部の間に形成され薄板状の前記部品の周縁部が挟持される隙間を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用、効果を有する。
(1)一対の側壁部の間に部品の板厚よりも幅広に形成された溝部と、各々の側壁部の内壁から溝部に向かって突出し溝部の長手方向に互い違いに配置されて部品の周縁部を挟持する突起部を備えることにより、薄板状の部品の周縁部を挟持するために細くて深い溝を形成する必要がなく、形状自在性、量産性に優れる。
(2)部品の周縁部を挟持する突起部が、各々の側壁部の内壁から溝部に向かって突出し溝部の長手方向に互い違いに配置されるので、対向する突起と突起の隙間を精度よく形成することができ、極めて肉厚の薄い部品でも確実に保持して固定することができ、部品の固定の確実性、保護の信頼性に優れる。
(3)対向配置された一対の側壁部が中空の凸状に形成されるので、軽量で、取扱い性、省資源性に優れるだけでなく、スタッキングして持ち運ぶことができ、搬送性に優れると共に、保管時に嵩張らず、省スペース性にも優れる。
(4)真空成形では、細くて深い溝を形成することは困難であるが、溝部を部品の板厚よりも幅広に形成し、各々の側壁部の内壁から溝部に向かって突出する突起部を溝部の長手方向に互い違いに配置することにより、互い違いに対向する突起部と突起部の間に薄板状の部品の厚さに対応した隙間を形成し、部品の周縁部を確実に挟持することができる。
(5)溝部の長手方向の両端部に溝部の底面より低い位置に突出して形成された段差部を有することにより、上部からの荷重により側壁部が潰れてしまうことを防止でき、形状安定性、耐久性に優れる。
(6)一定以上の荷重が加わった時に、段差部が変形して衝撃を吸収することにより、側壁部で部品を傷付けることを防止でき、部品の保護の信頼性に優れる。
【0007】
ここで、薄板用緩衝材は合成樹脂で成形されるが、側壁部、溝部、突起部を一体に成形したものが好ましい。特に真空成形や圧空成形は設計自在性、量産性、省資源性に優れ、好ましい。薄板用緩衝材の材質としては、ポリプロピレン、ポリサルフォン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどを用いることができるが、真空成形の場合は、特に柔らかくてねばりのあるポリプロピレンが好適に用いられる。尚、薄板用緩衝材が半透明の場合、落下などの衝撃により白化するが、顔料などにより白色に着色することにより、白化が目立たなくなり、美感性に優れる。
また、薄板用緩衝材の底部外周に鍔状の外周底面板を形成することにより、側壁部の強度を向上させることができ、形状安定性、耐久性に優れる。
側壁部や突起部の形状、寸法、配置などは、薄板用緩衝材で保護する部品の寸法、板厚、質量などに応じて、適宜、選択することができる。特に、突起部の寸法や配置は、部品の周縁部に形成される凹凸の寸法や位置に応じて、これらと干渉しないように設計することにより、部品の周縁部の所定の位置を確実に保持して保護することができる。尚、互い違いに配置された3個以上の突起部を有することにより、部品の保持安定性に優れる。
段差部の形状や寸法は適宜、選択することができる。段差部の形状によっても異なるが、段差部の高さは溝部の底面までの高さの2/5〜2/3程度が好ましく、段差部の横幅(長さ)は溝部の幅の2/5〜2/3程度が好ましい。
段差部の高さが、溝部の底面までの高さの2/5より低くなるか、2/3より高くなるにつれ、或いは段差部の横幅(長さ)が、溝部の幅の2/5より短くなるか、2/3より長くなるにつれ、緩衝力が低下し易く、部品の保護の信頼性に欠ける傾向があり、いずれも好ましくない。但し、原料の樹脂の種類によって多少、異なる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の薄板用緩衝材であって、前記突起部の根元側の前記側壁部の上面部に形成された孔部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1の作用、効果に加え、以下のような作用、効果を有する。
(1)突起部の根元側の側壁部の上面部に形成された孔部を有することにより、突起部が形成された側壁部の内壁が変形し易くなり、落下などの衝撃が加わった場合でも、突起部の両側を支持する内壁のバネ性によって衝撃が吸収され、部品が突起部で押圧され難く、部品の変形や破損を防止することができ、部品の保護の信頼性、安定性に優れる。
【0009】
ここで、孔部は突起部の根元側の側壁部の上面部に形成されるが、孔部が突起部の背面側に位置するため、突起部の根元側の外周が、側壁部の上面部や外壁に拘束され難く、バネ性を有する。
孔部は側壁部の上面部の長手方向に沿って長孔状に形成される。孔部の長さは突起部の幅の1.5倍〜3倍程度が好ましい。孔部の長さが突起部の幅の1.5倍より短くなるにつれ、突起部の外周の内壁のバネ性が低下して、落下時の衝撃などにより溝部の底面に荷重が加わった際に、両側の側壁部全体が内側に倒れ易く、突起部によって部品が圧縮されて変形が発生し易くなる傾向があり、3倍より大きくなるにつれ、側壁部の剛性が低下し、突起部が外側に変形し易くなり、部品を挟持する力が不足して部品の固定安定性が低下し易くなる傾向があり、いずれも好ましくない。但し、原料の樹脂の種類によって多少、異なる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の薄板用緩衝材であって、前記溝部の長手方向の途中に前記溝部と交差して前記溝部より深いV字状に形成された切り込み部と、前記切り込み部の底部に形成された薄肉状のヒンジ部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用、効果に加え、以下のような作用、効果を有する。
(1)溝部の長手方向の途中に溝部と交差して溝部より深いV字状に形成された切り込み部と、切り込み部の底部に形成された薄肉状のヒンジ部を有することにより、ヒンジ部で簡単に折り曲げて変形させ、90度或いは90度よりも大きな鈍角に折れ曲がった部品のコーナー部を保護することができ、汎用性、機能性に優れる。
【0013】
ここで、切り込み部の角度は適宜、選択することができるが、片側の斜面の傾斜角度を45度とし、両側で90度となるように形成しておけば、90度に折れ曲がった部品のコーナー部(エッジ)だけでなく、90度よりも大きな鈍角に折れ曲がった部品のコーナー部にも対応することができ、汎用性に優れる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の薄板用緩衝材であって、前記ヒンジ部の長手方向に沿って形成されたミシン目を備えた構成を有している。
この構成により、請求項3の作用、効果に加え、以下のような作用、効果を有する。
(1)ヒンジ部の長手方向に沿って形成されたミシン目を有することにより、部品の寸法などに応じて、ヒンジ部で容易に切り離して長さを調整することができ、汎用性に優れる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の薄板用緩衝材であって、前記突起部の先端側の上隅に円弧状に形成された面取り部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用、効果に加え、以下のような作用、効果を有する。
(1)突起部の先端側の上隅に円弧状に形成された面取り部を有することにより、部品の端部を突起部と突起部との隙間にスムーズに挿通することができ、作業性に優れる。
(2)突起部の先端側の上隅の面取り部が円弧状に形成されているので、落下時の衝撃などにより、側壁部と共に突起部が溝部の内側に傾倒した場合でも、突起部の角で部品を圧迫して傷付けることがなく、部品保護の信頼性に優れる。
【0016】
ここで、面取り部をテーパ状に形成した場合、面取り部の下端側の角部で部品を傷付けてしまうので、面取り部は円弧状に形成することが好ましい。
【0017】
溝部の底面に形成された補強リブを有する場合、底面の曲げ強度を向上させることができ、落下の衝撃などにより溝部の底面が変形し難く、側壁部と共に突起部が溝部の内側に傾倒することを防ぎ、突起部によって部品を圧迫して傷付けることがなく、形状安定性、部品保護の信頼性に優れる。
側壁部の外壁面に形成された補強リブを有する場合、側壁部の外壁の強度を向上させて、側壁部の変形(湾曲)や潰れなどを効果的に防止することができ、形状安定性、耐久性に優れる。
【0018】
ここで、溝部の底面に形成する補強リブは凹溝状に形成することが好ましい。また、その配置や形状パターンは適宜、選択することができるが、溝部の幅方向及び長手方向のそれぞれと平行に形成した補強リブを組合せて配置することにより、底面全体の曲げ強度を効果的に向上させることができる。
側壁部の外壁面に形成する補強リブは側壁部の外壁に凹溝状に形成することが好ましい。また、その数や配置は適宜、選択することができるが、外壁の高さ方向と平行に形成することにより、側壁部の曲げ強度を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1の薄板用緩衝材を示す模式斜視図
図2】実施の形態1の薄板用緩衝材を示す模式平面図
図3】実施の形態1の薄板用緩衝材を示す模式側面図
図4】実施の形態1の薄板用緩衝材の第1の使用状態を示す模式正面図
図5】実施の形態1の薄板用緩衝材の第1の使用状態を示す模式側面図
図6】実施の形態1の薄板用緩衝材の第2の使用状態を示す模式正面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態における薄板用緩衝材について、図面を参照しながら説明する。尚、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1の薄板用緩衝材を示す模式斜視図であり、図2は実施の形態1の薄板用緩衝材を示す模式平面図であり、図3は実施の形態1の薄板用緩衝材を示す模式側面図である。
図1乃至図3中、1はポリプロピレンを真空成形して形成された本発明の実施の形態1の薄板用緩衝材、2は中空の凸状に形成されて対向配置され長手方向の中央部が後述する切り込み部7で分断された一対の側壁部、2aは側壁部2の内壁、2bは側壁部2の外壁、2cは側壁部2の上面部、3は一対の側壁部2,2の間に部品の板厚よりも幅広に形成された溝部、3aは溝部3の底面、4は各々の側壁部2,2の内壁2aから溝部3に向かって突出し溝部3の長手方向に互い違いに配置されて部品の周縁部を挟持する合計6個の突起部、4aは突起部4の先端側の上隅に円弧状に形成された面取り部、4bは対向する突起部4と突起部4の間に薄板状の部品の厚さに対応して形成される隙間(図3)、5は各々の突起部4の根元側の側壁部2の上面部2cに形成された孔部、6は溝部3の長手方向の両端部に溝部3の底面3aより低い位置に突出して形成された段差部(図2)、7は溝部3の長手方向の途中に溝部3と交差して溝部3より深いV字状に形成された切り込み部、8は切り込み部7の底部に形成された薄肉状のヒンジ部、9a,9bは溝部3の底面3aに形成された凹溝状の補強リブ(図2)、10は薄板用緩衝材1の底部外周に鍔状に形成された外周底面板である。
【0021】
以上のように構成された実施の形態1における薄板用緩衝材の使用方法について説明する。
図4は実施の形態1の薄板用緩衝材の第1の使用状態を示す模式正面図であり、図5は実施の形態1の薄板用緩衝材の第1の使用状態を示す模式側面図であり、図6は実施の形態1の薄板用緩衝材の第2の使用状態を示す模式正面図である。
図4乃至図6中、20は自動車の板金部品やガラスなどの薄板状の部品である。
まず、図4及び図5に示した第1の使用状態では、部品20の周縁部(端部)が隙間4bに挿通され、端面が溝部3の底面3aで支持されると共に両側から突起部4で挟持される。このとき、突起部4の先端側の上隅に円弧状の面取り部4aが形成されていることにより、部品20の端部を突起部4と突起部4との隙間4bにスムーズに挿通することができる。また、落下時の衝撃などにより、側壁部2と共に突起部4が溝部3の内側に傾倒した場合でも、突起部4の角で部品20を圧迫して傷付けることがないので、部品保護の信頼性に優れる。
真空成形では、細くて深い溝を形成することは困難であるが、溝部3を部品の板厚よりも幅広に形成し、各々の側壁部2の内壁2aから溝部3に向かって突出する突起部4を溝部3の長手方向に互い違いに配置することにより、互い違いに対向する突起部4と突起部4の間に薄板状の部品20の厚さに対応した隙間4bを形成し、部品20の周縁部を確実に挟持することができる。
尚、側壁部2や突起部4の形状、寸法、配置などは、薄板用緩衝材1で保護する部品20の寸法、板厚、質量などに応じて、適宜、選択することができる。特に、突起部4の寸法や配置は、部品20の周縁部に形成される凹凸の寸法や位置に応じて、これらと干渉しないように設計することにより、部品20の周縁部の所定の位置を確実に保持して保護することができる。
【0022】
本実施の形態では、図1及び図2に示したように、突起部4の根元側の側壁部2の上面部2cに孔部5を形成した。これにより、孔部5が突起部4の背面側に位置するため、突起部4の外周の内壁2aが、側壁部2の上面部2cや外壁2bに拘束され難く、バネ性を有する。この結果、落下などの衝撃が加わった場合でも、突起部4の両側を支持する内壁2aのバネ性によって衝撃が吸収され、部品20が突起部4で押圧され難く、部品20の変形や破損を防止することができる。
尚、孔部5は側壁部2の上面部2cの長手方向に沿って突起部4の幅の1.5倍〜3倍程度の長孔状に形成した。孔部5の長さが突起部4の幅の1.5倍より短くなるにつれ、突起部4の根元側の外周(内壁2a)のバネ性が低下して、落下時の衝撃などにより溝部3の底面3aに荷重が加わった際に、両側の側壁部2全体が内側に倒れ易く、突起部4によって部品20が圧縮されて変形が発生し易くなる傾向があり、3倍より大きくなるにつれ、側壁部2の剛性が低下し、突起部4が外側に変形し易くなり、部品20を挟持する力が不足して部品20の固定安定性が低下し易くなる傾向があることがわかったためである。
【0023】
また、本実施の形態では、図2に示したように、溝部3の長手方向の両端部に溝部3の底面3aより低い位置に突出した段差部6を形成した。これにより、上部からの荷重により側壁部2が潰れてしまうことを防止すると共に、一定以上の荷重が加わった時に、段差部6が変形して衝撃を吸収することにより、側壁部2で部品20を傷付けることを防止した。
尚、段差部6の高さは溝部3の底面3aまでの高さの2/5〜2/3程度に形成し、段差部6の横幅(長さ)は溝部3の幅の2/5〜2/3程度に形成した。段差部6の高さが、溝部3の底面3aまでの高さの2/5より低くなるか、2/3より高くなるにつれ、或いは段差部6の横幅(長さ)が、溝部3の幅の2/5より短くなるか、2/3より長くなるにつれ、緩衝力が低下し易く、部品の保護の信頼性に欠ける傾向があることがわかったためである。
【0024】
さらに、本実施の形態では、図2に示したように、溝部3の底面3aに凹溝状の補強リブ9a,9bを形成した。補強リブの配置や形状パターンは適宜、選択することができるが、図2のように溝部3の幅方向及び長手方向のそれぞれと平行に形成した補強リブを組合せて配置することにより、底面3a全体の曲げ強度を効果的に向上させることができる。尚、側壁部2の外壁2bにも適宜、補強リブを形成することができる。特に、外壁2bの高さ方向と平行に補強リブを形成することにより、側壁部2の曲げ強度を効果的に向上させることができる。
また、本実施の形態では、図2に示したように、薄板用緩衝材1の底部外周に鍔状の外周底面板10を形成して、側壁部2の強度を向上させた。
【0025】
次に、図6に示した第2の使用状態では、切り込み部7の底部に形成された薄肉状のヒンジ部8(図1参照)で薄板用緩衝材1を直角に折り曲げることにより、90度に折れ曲がった部品20のコーナー部を保護した。
切り込み部7の角度は適宜、選択することができるが、図4に示したように、片側の斜面の傾斜角度を45度とし、両側で90度となるように形成しておけば、90度に折れ曲がった部品20のコーナー部(エッジ)だけでなく、90度よりも大きな鈍角に折れ曲がった部品のコーナー部にも対応することができ、汎用性に優れる。
また、ヒンジ部8の長手方向に沿ってミシン目を形成した場合、部品20の寸法などに応じて、薄板用緩衝材1をヒンジ部8で容易に切り離して長さを調整することができ、汎用性に優れる。
但し、上述の各部における寸法の数値限定の範囲は、原料の樹脂の種類によって多少、異なる。
【0026】
実施の形態1の薄板用緩衝材は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)一対の側壁部の間に部品の板厚よりも幅広に形成された溝部と、各々の側壁部の内壁から溝部に向かって突出し溝部の長手方向に互い違いに配置されて部品の周縁部を挟持する突起部を備えることにより、薄板状の部品の周縁部を挟持するために細くて深い溝を形成する必要がなく、形状自在性、量産性に優れる。
(2)部品の周縁部を挟持する突起部が、各々の側壁部の内壁から溝部に向かって突出し溝部の長手方向に互い違いに配置されるので、対向する突起と突起の隙間を精度よく形成することができ、極めて肉厚の薄い部品でも確実に保持して固定することができ、部品の固定の確実性、保護の信頼性に優れる。
(3)対向配置された一対の側壁部が中空の凸状に形成されるので、軽量で、取扱い性、省資源性に優れるだけでなく、スタッキングして持ち運ぶことができ、搬送性に優れると共に、保管時に嵩張らず、省スペース性にも優れる。
(4)突起部の根元側の側壁部の上面部に形成された孔部を有することにより、突起部が形成された側壁部の内壁が変形し易くなり、落下などの衝撃が加わった場合でも、突起部の両側を支持する内壁のバネ性によって衝撃が吸収され、部品が突起部で押圧され難く、部品の変形や破損を防止することができ、部品の保護の信頼性、安定性に優れる。
(5)溝部の長手方向の両端部に溝部の底面より低い位置に突出して形成された段差部を有することにより、上部からの荷重により側壁部が潰れてしまうことを防止でき、形状安定性、耐久性に優れる。
(6)一定以上の荷重が加わった時に、段差部が変形して衝撃を吸収することにより、側壁部で部品を傷付けることを防止でき、部品の保護の信頼性に優れる。
(7)溝部の長手方向の途中に溝部と交差して溝部より深いV字状に形成された切り込み部と、切り込み部の底部に形成された薄肉状のヒンジ部を有することにより、ヒンジ部で簡単に折り曲げて変形させ、90度或いは90度よりも大きな鈍角に折れ曲がった部品のコーナー部を保護することができ、汎用性、機能性に優れる。
(8)突起部の先端側の上隅に円弧状に形成された面取り部を有することにより、部品の端部を突起部と突起部との隙間にスムーズに挿通することができ、作業性に優れる。
(9)突起部の先端側の上隅の面取り部が円弧状に形成されているので、落下時の衝撃などにより、側壁部と共に突起部が溝部の内側に傾倒した場合でも、突起部の角で部品を圧迫して傷付けることがなく、部品保護の信頼性に優れる。
(10)溝部の底面に形成された補強リブを有する場合、底面の曲げ強度を向上させることができ、落下の衝撃などにより溝部の底面が変形し難く、側壁部と共に突起部が溝部の内側に傾倒することを防ぎ、突起部によって部品を圧迫して傷付けることがなく、形状安定性、部品保護の信頼性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、軽量で、省資源性、量産性に優れ、薄板状の部品の周縁部を確実に保護することができ、落下などの衝撃を受けても部品に直接負荷が加わり難く、部品の変形・損傷を防止することができ、部品の保護の信頼性、安定性に優れ、部品への着脱が容易でありながら、適度な嵌め合い力を保つことができ、梱包の作業性、固定の確実性に優れ、またスタッキングして容易に持ち運ぶことができ、搬送性に優れると共に、保管時に嵩張らず、省スペース性に優れるだけでなく、部品の周縁の直線部にもコーナー部にも対応することができる汎用性に優れた薄板用緩衝材の提供を行い、部品搬送の信頼性を高めると共に、省資源化、環境保護に貢献することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 薄板用緩衝材
2 側壁部
2a 内壁
2b 外壁
2c 上面部
3 溝部
3a 底面
4 突起部
4a 面取り部
4b 隙間
5 孔部
6 段差部
7 切り込み部
8 ヒンジ部
9a,9b 補強リブ
10 外周底面板
20 部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6