(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014851
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ローヤルゼリーの品質評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20161013BHJP
A23L 21/20 20160101ALI20161013BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
G01N33/53 S
A23L21/20
G01N33/543 545A
G01N33/53 V
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-46075(P2015-46075)
(22)【出願日】2015年3月9日
(62)【分割の表示】特願2011-70846(P2011-70846)の分割
【原出願日】2011年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-143696(P2015-143696A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】507123992
【氏名又は名称】山口 喜久二
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100143834
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 修二
(72)【発明者】
【氏名】山口 喜久二
(72)【発明者】
【氏名】榎本 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 喜久
(72)【発明者】
【氏名】人見 信之
(72)【発明者】
【氏名】村田 清志
(72)【発明者】
【氏名】谷 義貴
【審査官】
草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/030951(WO,A1)
【文献】
特開2001−172195(JP,A)
【文献】
特開2008−263792(JP,A)
【文献】
特開2008−137968(JP,A)
【文献】
特開2001−029039(JP,A)
【文献】
特開2000−199753(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1439380(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローヤルゼリーを1000倍乃至2万倍に希釈した後、分画分子量が10万乃至20万の限外濾過膜で限外濾過し、アピシンに特異的に反応するポリクローナル抗体またはペプチド抗体を用いて、ELISA法によりローヤルゼリーに含まれるアピシンの含有率を測定することを、特徴とするローヤルゼリーの品質評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローヤルゼリーの品質評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ローヤルゼリーは、ミツバチ(Apis melliferaなど)の下咽頭腺および大顎腺からなる頭部腺組織で作られる分泌物で、半透明乳白色の物質である。この分泌物は女王蜂および幼虫の専用の栄養食であり、この分泌物が産生される期間は、働き蜂が育児蜂と呼ばれる日齢6〜12日に限られている。女王蜂は、このローヤルゼリーを餌として1日に2,000個〜3,000個の卵を産む。また、ローヤルゼリーを主食としない働き蜂の寿命が30〜45日であるのに対して、女王蜂の寿命は3〜4年と長い。
【0003】
ローヤルゼリーは、水分を66%含み、たんぱく質(14%)、糖質(12%)、脂肪酸(4%)をはじめ、各種ビタミン、ミネラルをバランスよく含んでいる。ローヤルゼリーは、長年の研究により栄養学的意義や薬理学的作用が明らかにされつつあり、また臨床試験も行われその有用性と安全性が確かめられてきている。ローヤルゼリーは、原乳の形で化粧品・医薬部外品原料として配合されたり、凍結乾燥したFD末の形で健康食品の素材として錠剤、粉末剤などに配合されるなど、幅広く利用されている。
【0004】
従来、ローヤルゼリーの品質管理基準として、デセン酸(10−ヒドロキシ−2−デセン酸)の含有率が設定されている(例えば、特許文献1参照)。また、デセン酸の含有率は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−6629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、デセン酸は、ローヤルゼリーが劣化しても極めて安定であり、劣化したローヤルゼリーに添加混合することも可能であるため、経時的な品質劣化などのローヤルゼリーの品質評価の指標としては適切ではないという課題があった。また、HPLCは重い遠心分離器を必要とするため、山奥などのローヤルゼリーの生産地まで運ぶことができない。このため、ローヤルゼリーを採取した後、HPLCのある場所まで運ばなければならず、分析に時間がかかるという課題があった。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、デセン酸に代わる新たな指標を用いて、ローヤルゼリー生産地で短時間かつ簡易にローヤルゼリーの品質評価を行うことができるローヤルゼリーの品質評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、発明者らは、ローヤルゼリーの成分中、たんぱく質が11%〜16%と最も多く、このたんぱく質がローヤルゼリーの薬理的作用・効能効果の大きな部分を担っていると考えられることに着目し、鋭意検討を行った。その結果、ローヤルゼリーたんぱくの大部分を占めるアピシンを指標とし、ELISA(エライザ)法によりローヤルゼリー中のアピシンの含有率を簡易に測定する方法を開発して、本発明に至った。
【0009】
アピシンは、分子量55,000のサブユニット6個からなる分子量約35万の糖たんぱくで、ローヤルゼリーたんぱくの40%から65%を占めている。アピシンは、培養細胞での成長促進作用・生存日数延長などの報告が数多くなされており、重要な機能性を有し、ローヤルゼリーの品質にも深く関わっていると考えられている。
【0010】
アピシンは熱に弱く、表1に示すように、ローヤルゼリーの原乳に物理的に熱を加えた場合、ローヤルゼリーの品質低下とともにアピシン量も減少していることが確認されている。また、純度の高いアピシン水溶液を凍結乾燥した後に再度溶解して純度を測定すると、アピシン量が著しく減少するという現象も確認されている。このように、アピシンは、その含有率とローヤルゼリーの品質との間に強い相関が認められるため、デセン酸に代わるローヤルゼリーの新しい品質基準マーカーになり得ると考えられる。
【0011】
【表1】
【0012】
そこで、本発明に係るローヤルゼリーの品質評価方法は、ローヤルゼリーを1000倍乃至2万倍に希釈した後、分画分子量が10万乃至20万の限外濾過膜で限外濾過し、アピシンに特異的に反応するポリクローナル抗体またはペプチド抗体を用いて、ELISA法によりローヤルゼリーに含まれるアピシンの含有率を測定することを、特徴とする。
【0013】
本発明に係るローヤルゼリーの品質評価方法は、デセン酸に代わり、ローヤルゼリーの品質との間に強い相関が認められるアピシンを新たな指標として用いるため、ローヤルゼリーの品質を的確に評価することができる。また、ELISA法を用いるため、遠心分離器等の重い装置を必要とせず、中国の山奥などのローヤルゼリー生産地でも、短時間かつ簡易にローヤルゼリーの品質評価を行うことができる。
【0014】
本発明に係るローヤルゼリーの品質評価方法で、ポリクローナル抗体またはペプチド抗体は、アピシンに特異的に反応するため、正確にアピシンの含有率を測定することができ、評価精度を高めることができる。
【0015】
本発明に係るローヤルゼリーの品質評価方法は、限外濾過により、ローヤルゼリーに含まれるアピシン以外の、分子量の小さい爽雑物(単量体)を除去することができるため、より正確にアピシンの含有率を測定することができる。
【0016】
本発明に関連するローヤルゼリーの品質評価キットは、アピシンに特異的に反応する抗体を有することを特徴とする、本発明に係るローヤルゼリーの品質評価方法を実施するための品質評価キットである。
本発明に関連するローヤルゼリーの品質評価キットは、本発明に係るローヤルゼリーの品質評価方法を実施可能であるため、中国の山奥などのローヤルゼリー生産地でも、短時間かつ簡易にローヤルゼリーの品質評価を行うことができる。
【0017】
本発明に関連するローヤルゼリーの品質評価キットは、ローヤルゼリーを希釈するための希釈器具と、前記希釈器具により水で希釈されたローヤルゼリーを限外濾過する限外濾過装置と、ELISA法を実施可能に構成されたアピシン測定装置とを有し、前記アピシン測定装置は、アピシンに特異的に反応する抗体と、前記抗体および前記限外濾過装置で限外濾過されたローヤルゼリーを吸着させるマイクロプレートと、前記マイクロプレート上の試料について発色または発光の吸光度を測定可能なマイクロプレートリーダとを有し、前記希釈器具によりローヤルゼリーを希釈して前記限外濾過装置で限外濾過した後、希釈したローヤルゼリーのアピシンの含有率を、前記アピシン測定装置を用いてELISA法により測定し、希釈前のローヤルゼリーに含まれるアピシンの含有率を求めるための、ローヤルゼリーの品質評価キットであることが好ましい。この場合、特に正確にアピシンの含有率を測定することができ、評価精度を高めることができる。限外濾過装置は、持ち運びが容易な卓上型の装置から成ることが好ましい。
本発明において、使用するELISA法は直接法、サンドイッチ法のほか、競合法であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、デセン酸に代わる新たな指標を用いて、ローヤルゼリー生産地で短時間かつ簡易にローヤルゼリーの品質評価を行うことができるローヤルゼリーの品質評価方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法で使用するポリクローナル抗体の力価を示すグラフである。
【
図2】
図1に示すローヤルゼリーの品質評価方法で使用するポリクローナル抗体のSDS−PAGE電気泳動およびウェスタンブロッティングの結果図である。
【
図3】(a)アピシン標準品のHPLCパターンを示すグラフ、(b)一般的なローヤルゼリーの水溶性成分のHPLCパターンを示すグラフである。
【
図4】アピシンのアミノ酸配列、および、本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法で使用する、アピシンの部分構造にあたるペプチド抗体の候補(候補1〜3)の配列である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法を使用した実施例について説明する。実施例では、ポリクローナル抗体を使用した場合、および、ペプチド抗体を使用した場合について、それぞれHPLCによる分析値との比較を行っている。
【実施例1】
【0021】
まず、アピシンの単量体〜多量体に特異的に反応するポリクローナル抗体を作製し、得られたポリクローナル抗体を用いて、ローヤルゼリー中のアピシン含有量について検討を行った。
【0022】
[ポリクローナル抗体の作製]
アピシンに対するポリクローナル抗体は、以下のようにして作製した。
前採血→(1週間)→免疫→(2週間)→免疫→(2週間)→初回採血(5mL)→(1週間)→免疫→(2週間)→2回目採血→免疫→2週間→全採血
抗原(精製アピシン)の注射は、0.3mg/0.5mL+TiterMax 0.5mL を乳化させ、ウサギの背中3ヶ所に注射した。また、全採血では、全身の血液を約50mL採血し、3,000rpm、30分で遠心分離により血清を得た。
【0023】
このようにして作製した抗体の力価を、
図1に示す。また、SDS−PAGE電気泳動およびウェスタンブロッティングの結果を、
図2に示す。
【0024】
[ローヤルゼリーサンプルの作製]
品質評価を行うためのローヤルゼリーのサンプルは、以下のようにして作製した。まず、希釈器具により、ローヤルゼリーの原乳0.1gを正確に量り取り、水を加えて全量1mLとした。このローヤルゼリー希釈液を良く攪拌した後、さらに100〜1,500倍に希釈した。限外濾過を行う場合には、限外濾過装置により、この希釈溶液を、分画分子量が15万の限外濾過膜(製品名「apollo」)に通道し、遠心分離(3,000G)を行って、ELISA用のサンプルとした。限外濾過を行わない場合には、希釈溶液をそのままELISA用のサンプルとした。なお、ポリクローナル抗体はローヤルゼリーを15,000倍希釈、ペプチド抗体はローヤルゼリーを5,000倍希釈をしたときが、検量線の範囲内であった。
【0025】
[ELISA(エライザ)法]
エライザ法は、直接法またはサンドイッチ法により実施した。
直接法では、まず、作製したローヤルゼリーサンプル、およびアピシン標準品(50μg/mL〜300μg/mL)の各50μLを、ELISA用マイクロプレートのウェルに加えて37℃、1時間吸着させる。そのウェルに、ウェル全てを満たす量の2%スキムミルク液を加える。吸着停止後、スキムミルク液を除き、ウェル全てを満たす量のPBS(0.05%tween20含む)を加えて洗浄する。これを3回繰り返す。洗浄液を除いた後、ポリクローナル抗体50μL(0.01mg/mL)を加え、37℃で1時間吸着させる。抗体液を除いた後、ウェル全てを満たす量のPBS(0.05%tween20含む)を加えて洗浄する。これを3回繰り返す。洗浄液を除いた後、100μL標識(ペルオキシダーゼ)抗体(ヤギ由来抗ウサギIgG抗体;フナコシ社製、1000倍希釈)を加え、37℃で1時間吸着させる。標識抗体液を除いた後、ウェル全てを満たす量のPBS(0.05%tween20含む)を加えて洗浄する。これを3回繰り返す。洗浄液を除いた後、基質(過酸化水素)溶液100μLを加え、37℃で15分間発色させる。停止液(0.01%アジ化ナトリウム)100μLを加え、発色を停止させる。マイクロプレートリーダーにより吸光度(415nm)を測定する。
【0026】
サンドイッチ法は、直接法に準ずる。一部の抗体をプレート固相に用い、残りの抗体をビオチン標識してサンドイッチ法のキットを作成し、直接法と同様の操作により吸光度を測定する。
【0027】
なお、ポリクローナル抗体、ELISA用マイクロプレートおよびマイクロプレートリーダーにより、ローヤルゼリーの品質評価キットのアピシン測定装置を構成している。また、希釈器具、限外濾過装置およびアピシン測定装置により、ローヤルゼリーの品質評価キットを構成している。限外濾過装置は、持ち運びが容易な卓上型の装置から成っている。
【0028】
[HPLC(高速液体クロマトグラフィー)]
本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法による分析結果を評価するために、HPLCによる化学分析も行った。HPLCは、常法により実施した。
【0029】
HPLCで使用するローヤルゼリーの上清は、以下のようにして作製した。まず、ローヤルゼリーの原乳3gを正確に量り取り、水を加えて全量100mLとした。このローヤルゼリー希釈液を30分間程度良く攪拌した後、4℃で冷やしながら、10,000Gで30分間遠心する。得られた上清を、ろ過フィルター(製品名「Ultrafree−MC」;MILLIPORE社製)に通道し、HPLCサンプルとした。
【0030】
HPLCの分析条件は、以下の通りである。
カ ラ ム:TSK−gel G3000SW(7.5mmID.×60cm)
移 動 相:0.1 Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)
+0.1 MNa
2SO
4
流 速:0.6ml/min
検 出 器:UV検出器(280nm)
カラム温度:室温
検 量 線:アピシン標準品の固形分重量と各段階に希釈したアピシン溶液のHPLCピーク面積とから検量線を作成した。
なお、アピシン標準品のHPLCパターンを
図3(a)に、一般的なローヤルゼリーの水溶性成分のHPLCパターンを
図3(b)に示す。
【0031】
[アピシンの分析結果]
ポリクローナル抗体を使用した本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法により、ローヤルゼリー原乳に含まれるアピシン量を測定し、その結果を表2に示す。また、比較のため、HPLC法での分析結果も表2に示す。なお、ELISA法は、直接法で行った。
【0032】
【表2】
【0033】
表2に示すように、ポリクローナル抗体を使用した本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法で測定したアピシン量7.54gは、HPLC法のアピシン量7.17gとほぼ同等の分析値であることが確認された。また、限外濾過膜を通す前の分析値は、9.73gであるのに対し、限外濾過膜を通した後のアピシン量の分析値は7.54gであり、ローヤルゼリーにはアピシン関連物質が多く含まれ、限外濾過を施すことにより、より正確なアピシン量が分析できることが確認された。
【実施例2】
【0034】
次に、アピシンの単量体〜多量体に特異的に反応するペプチド抗体を作製し、得られたペプチド抗体を用いて、ローヤルゼリー中のアピシン含有量について検討を行った。
【0035】
[ペプチド抗体の作製]
アピシンに対するペプチド抗体は、実施例1のポリクローナル抗体の作製方法に準拠して作製した。まず、アピシンの部分構造にあたるペプチドを作製し、それを用いてペプチド抗体を作製した。アピシンのアミノ酸配列、および、アピシンの部分構造にあたるペプチド抗体の候補(候補1〜3)の配列を、
図4に示す。
【0036】
[アピシンの分析結果]
ペプチド抗体を使用した本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法により、ローヤルゼリー原乳に含まれるアピシン量を測定し、その結果を表3に示す。また、比較のため、HPLC法での分析結果も表3に示す。なお、ローヤルゼリーサンプルの作製、ELISA法、HPLC法は、実施例1と同じ方法で行った。また、ELISA用のサンプルは、ローヤルゼリーを5,000倍希釈して作製した。ELISA法は、直接法で行った。
【0037】
【表3】
【0038】
表3に示すように、ペプチド抗体はアピシンたんぱくを抗原として作成した抗体と比べて、よりアピシンに特異的であると考えられる。
【0039】
このように、本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法(ELISA法)によれば、HPLC法の分析結果と整合性のある結果が得られた。HPLC法は、アピシンの標準品を使うため最も正確な定量が可能であるが、海外の山奥などでは必ずしも設備が整っていないため、実施できないこともある。これに対し、本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法は、遠心分離器等の重い装置を必要とせず、サンプル調整のときに水で希釈をし、その希釈液をELISA法により分析をするだけでよいため、その場で簡単にローヤルゼリーの品質を確認することができる。限外濾過を行う場合でも、卓上型の装置を使用することにより、山奥などに運んで容易に実施することができる。このように、本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法によれば、中国の山奥などの養蜂場で採乳したローヤルゼリーや、ロット構成するために保存していたローヤルゼリーの品質を、その場ですぐに評価することができる。
【0040】
本発明の実施の形態のローヤルゼリーの品質評価方法は、デセン酸に代わり、ローヤルゼリーの品質との間に強い相関が認められるアピシンを新たな指標として用いるため、ローヤルゼリーの品質を的確に評価することができる。
【0041】
また、限外濾過を行う場合には、ローヤルゼリーに含まれるアピシン以外の、分子量の小さい爽雑物(単量体)を除去することができるため、より正確にアピシンの含有率を測定することができる。すなわち、ローヤルゼリーにはアピシン(分子量35万)以外に、単量体(分子量55,000)などの関連物質も含まれており、それらが合わさった分析結果が反映されると、アピシン量の正確な値が算出できない可能性がある。これを防ぐため、ELISA測定前のサンプルを、例えば分画分子量が15万の限外濾過膜に通道し、遠心分離(3,000G)をすることにより、分子量15万以下の爽雑物(単量体)を除去することができ、より正確な値を得ることができる。