特許第6014858号(P6014858)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014858
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱のハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 1/00 20060101AFI20161013BHJP
   E05B 13/08 20060101ALI20161013BHJP
   E05B 65/02 20060101ALI20161013BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   E05B1/00 311H
   E05B13/08 D
   E05B65/02 A
   H05K5/03 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-34468(P2013-34468)
(22)【出願日】2013年2月25日
(65)【公開番号】特開2014-163097(P2014-163097A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛志
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−051444(JP,U)
【文献】 実開昭49−089187(JP,U)
【文献】 特開2006−241875(JP,A)
【文献】 実開平01−134163(JP,U)
【文献】 特開平10−184115(JP,A)
【文献】 特開2013−217025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ハンドルと、該回転ハンドルの回転を規制するシリンダー錠を設けたハンドル本体とを備え、回転ハンドルに設けた回転突起と、該回転突起の回転を規制するシリンダー錠の腕部とを係合させて鎖錠されるハンドル装置であって、鎖錠状態においてシリンダー錠の腕部が当接される当接部をハンドル本体に形成し、回転突起を通じてシリンダー錠に加えられる回転荷重を該当接部で受けることを特徴とする電気電子機器収納用箱のハンドル装置。
【請求項2】
前記回転ハンドルを円形としてその裏面に回転突起を設け、該回転突起から見て、シリンダー錠の腕部を挟んだ反対側に前記当接部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の電気電子機器収納用箱のハンドル装置。
【請求項3】
前記回転ハンドルを円形としてその裏面に回転突起を設け、該回転突起から見て、シリンダー錠の腕部からシリンダー錠の回転軸を挟んだ反対側に前記当接部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の電気電子機器収納用箱のハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱の回転ハンドル式のハンドル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気電子機器収納用箱のハンドル装置としては、ハンドル本体に扉表面側から操作する回転ハンドルを取付け、扉を貫通させた回転軸の扉裏面側で箱本体との係合機構を操作するタイプのもの(例えば特許文献1)がある。この特許文献1には、回転ハンドルに鎖錠装置を組み込み、開錠操作をしなければ回転ハンドルを回転できない構造が開示されている。
【0003】
電気電子機器収納用箱においては、ハンドルの鎖錠装置としてシリンダー錠が一般的であるため、回転ハンドルにシリンダー錠を組み込むことも提案されている。この場合には、シリンダー錠を備える鎖錠装置の係合部を回転ハンドルの突部の回転軌跡内に出没させることにより、ロック・アンロックの機能を持たせている。
【0004】
しかしながら、回転ハンドルを力任せに回転させた場合には、シリンダー錠と回転ハンドルの連結部分や、シリンダー錠とハンドル本体の鎖錠部等が破損するおそれがあり、特に回転ハンドルを樹脂製とした場合にはその傾向が大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−51444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、鎖錠装置としてシリンダー錠を用いた場合にも、破損するおそれのない電気電子機器収納用箱の回転ハンドル式のハンドル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明の電気電子機器収納用箱のハンドル装置は、回転ハンドルと、該回転ハンドルの回転を規制するシリンダー錠を設けたハンドル本体とを備え、回転ハンドルに設けた回転突起と、該回転突起の回転を規制するシリンダー錠の腕部とを係合させて鎖錠されるハンドル装置であって、鎖錠状態においてシリンダー錠の腕部が当接される当接部をハンドル本体に形成し、回転突起を通じてシリンダー錠に加えられる回転荷重を該当接部で受けることを特徴とするものである。
【0008】
なお請求項2のように、回転ハンドルを円形としてその裏面に回転突起を設け、該回転突起から見て、シリンダー錠の腕部を挟んだ反対側に前記当接部を形成した構造とすることができる。あるいは請求項3のように、回転ハンドルを円形としてその裏面に回転突起を設け、該回転突起から見て、シリンダー錠の腕部からシリンダー錠の回転軸を挟んだ反対側に前記当接部を形成した構造とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のハンドル装置は、鎖錠状態においてシリンダー錠の腕部が当接される当接部をハンドル本体に形成し、回転突起を通じてシリンダー錠に加えられる回転荷重を該当接部で受ける構造としたので、従来のようにシリンダー錠のタンブラーのみで回転荷重を受ける構造に比較して荷重が分散され、ハンドル装置が破損するおそれがなくなり、強固に鎖錠することができる。
【0010】
また請求項2のように、回転ハンドルを円形としてその裏面に回転突起を設け、該回転突起から見て、シリンダー錠の腕部を挟んだ反対側に前記当接部を形成した構造とすれば、回転ハンドルの回転突起からの荷重が鎖錠部材の回転軸を通らず、シリンダー錠にかかる回転ハンドルの荷重が、鎖錠部材の係合部に横方向から全体的にかかるようになる。従ってより強固に鎖錠することが可能となる。
【0011】
さらに請求項3のように、回転ハンドルを円形としてその裏面に回転突起を設け、該回転突起から見て、シリンダー錠の腕部からシリンダー錠の回転軸を挟んだ反対側に前記当接部を形成した構造とすれば、回転ハンドルの回転突起からの荷重が鎖錠部材の回転軸を通るが、鎖錠装置全体に圧力がかかるようになり、圧力が分散されるのでより強固に鎖錠することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電気電子機器収納用箱の斜視図である。
図2】扉の裏面の鎖錠機構を示す斜視図である。
図3】第1の実施形態のハンドル装置の分解斜視図である。
図4】ハンドル装置の背面斜視図である。
図5】非鎖錠状態を示す要部の背面図である。
図6】鎖錠状態を示す要部の背面図である。
図7】第2の実施形態のハンドル装置の分解斜視図である。
図8】非鎖錠状態を示す要部の背面図である。
図9】鎖錠状態を示す要部の背面図である。
図10】当接部を設けない場合の、鎖錠状態を示す要部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を説明する。図1図6は第1の実施形態を示すもので、図1において1は電気電子機器収納用箱の箱本体、2は箱本体に蝶番接続された扉である。扉2の蝶番とは反対側の部分にハンドル装置が設けられている。このハンドル装置は、扉と一体に成形された円形のハンドル本体3と、このハンドル本体3の内部で回転軸4を中心として回転させることができる回転ハンドル5を備えている。
【0014】
図2に示すように、回転軸4の裏面には鎖錠片6を備えた回転板7や、回転板7に端部が接続された鎖錠ロッド8、8が設けられており、回転ハンドル5を回転させることによって扉2の鎖錠や開錠を行なうことができる構造となっている。ただしこれらの鎖錠機構は周知であり、適宜変更することができることはいうまでもない。
【0015】
この回転ハンドル5の操作を規制するために、ハンドル本体3にはシリンダー錠9が設けられている。シリンダー錠9は図4に示すように円筒形の本体の側面に複数のタンブラー10を備え、回転ハンドル5の鍵孔11から鍵を挿入するとタンブラー10が引っ込み、ハンドル本体3に対して回転可能となるが、鎖錠位置まで(例えば90度)回転させたうえで鍵を引き抜けばタンブラー10が突出し、その位置でロックされる構造のものである。この実施形態ではシリンダー錠9の頭部に、腕部12を備えたハンドルロック部材13を被せてある。もしハンドルロック部材13を省略すると、シリンダー錠9のタンブラー10がハンドル本体3との接触部を削ってしまう可能性がある。しかしこのハンドルロック部材13は本発明の必須要件ではなく、腕部12を有するシリンダー錠9を用いてもよい。
【0016】
図4に示すように、回転ハンドル5の裏面には回転突起14が一体に設けられている。この実施形態では、回転突起14は回転ハンドル5の外周付近に突設されており、図6に示すようにその回転軌跡上にシリンダー錠9の腕部12を位置させることによって回転ハンドル5の回転を規制することができる。またシリンダー錠9を回転させて図5に示すように腕部12を回転突起14の回転軌跡上から後退させれば、回転ハンドル5の回転操作が可能となる。
【0017】
このほか、回転ハンドル5の裏面には回転角度規制用突起19が突設されており、図3に示される円弧溝15の内部に嵌っている。これは回転ハンドル5の回転角度を所定角度(例えば90度)に規制するためのものである。
【0018】
図3及び図5に示すように、ハンドル本体3にはシリンダー錠9に被せたハンドルロック部材13の腕部12が当接される当接部16が凹状に形成されている。またハンドル本体3にはハンドルロック部材13の円形本体部17を受ける当接部18が凹状に形成されている。これらの当接部16,18は、図6に示すようにシリンダー錠9が回転突起14の動きを規制する鎖錠状態において、回転突起14から見て、シリンダー錠9の腕部12を挟んだ反対側に形成されている。
【0019】
このように構成されたハンドル装置は、ハンドル本体3を図5に示すOPENの位置に回せば、鎖錠片6を備えた回転板7が回転するとともに鎖錠ロッド8、8が移動し、扉2を開くことができる状態となり、ハンドル本体3を図6に示すCLOSEの位置に回せば、扉2を開くことができないロック状態となることは従来と同様である。このようなハンドル本体3の回転操作は、シリンダー錠9が図5に示す位置にあるときは自由に行うことができる。
【0020】
しかしハンドル本体3を図6に示すCLOSEの位置に回した状態でシリンダー錠9を図6の位置とし、その腕部12をハンドル本体3の回転突起14の回転軌跡上に位置させれば、回転ハンドル5は回転させることができなくなり、ハンドル本体3が鎖錠状態となる。
【0021】
この図6の鎖錠状態において、ハンドル本体3を力任せにOPENの方向に回転させた場合にも、シリンダー錠9の円形本体部17はハンドル本体3の当接部18に当接し、またシリンダー錠9の腕部12はハンドル本体3の当接部16に当接する。このため、回転突起14を通じてシリンダー錠9に加えられる回転荷重を当接部16,18で受けることができ、従来のシリンダー錠9のタンブラー10のみで回転荷重を受ける構造に比較して荷重が分散される。このため、ハンドル装置が破損するおそれがなくなり、より強固に鎖錠することができる。
【0022】
またこの実施形態では、回転ハンドル5の回転突起14からの荷重がシリンダー錠9の回転軸を通らず、シリンダー錠9にかかる荷重がシリンダー錠9との当接部16,18に横方向から全体的にかかるようになる。従ってより強固に鎖錠することが可能である。
【0023】
上記の実施形態では、回転突起14をハンドル本体3の外周付近に設けたため、回転軸4の近傍に設けた場合よりも回転突起14の移動距離が大きくなる。従って同一の回転トルクに対して回転突起14がハンドル本体3に加える荷重は小さくなり、回転突起14やハンドル本体3を樹脂製とした場合にも、損傷のおそれがない。しかし次の実施形態に示すように、回転突起14の設置位置はこの実施例に限定されるものではなく、回転軸4の近傍に設けることもできる。
【0024】
図7図9に本発明の第2の実施形態を示す。この第2の実施形態では、図8図9に示すように回転突起20を回転ハンドル5の回転軸4から突出させて形成したが、シリンダー錠9の腕部12を回転突起20の回転軌跡上に位置させて回転ハンドル5の動きを規制することは第1の実施形態と同様である。
【0025】
この実施形態では、回転突起20から見てシリンダー錠9の腕部12からシリンダー錠9の回転軸を挟んだ反対側に当接部18を形成してある。このため図9の状態において回転突起20から加えられる回転荷重はシリンダー錠9の回転軸を通ることになるが、シリンダー錠9の円形本体部17の全体が当接部18に当接するので荷重が分散され、強固な鎖錠が可能となる。
【0026】
この第2の実施形態のように回転突起20を回転ハンドル5の回転軸4の近傍に設けると、回転ハンドルの幅を小さくすることができるので、縦長のハンドルにも応用できる利点がある。
【0027】
上記した実施形態では円形の回転ハンドル5を使用したが、縦長の回転ハンドルを使用することができる。また上記した実施形態のハンドル本体3や回転ハンドル5は樹脂製であるが、金属製とすることもできる。また上記した実施形態ではハンドル本体3を扉2と一体に成形したが、別体に成形して扉2に組み込んでもよい。さらにシリンダー錠9にハンドルロック部材13を被せることなく、シリンダー錠9から腕部を直接突設させてもよい。
【0028】
なお参考のため、図10に、鎖錠状態においてシリンダー錠9がハンドル本体3から離れた位置にある構造を示す。言い換えれば、回転ハンドル5の回転荷重をシリンダー錠9のタンブラーのみで受けている構造である。この構造の場合には本発明のような当接部16,18がないため、回転突起20から加えられる回転荷重がシリンダー錠9の腕部12を回転させる方向に作用し、従来技術の項で説明したように、シリンダー錠9と回転ハンドル5の連結部分等が破損するおそれがある。
【0029】
以上に説明したとおり、本発明によれば鎖錠装置としてシリンダー錠を用い、回転ハンドル5を力任せに回転させようとした場合にも、ハンドル装置が破損するおそれがない利点がある。
【符号の説明】
【0030】
1 箱本体
2 扉
3 ハンドル本体
4 回転軸
5 回転ハンドル
6 鎖錠片
7 回転板
8 鎖錠ロッド
9 シリンダー錠
10 タンブラー
11 鍵孔
12 腕部
13 ハンドルロック部材
14 回転突起
15 円弧溝
16 当接部
17 円形本体部
18 当接部
19 回転角度規制用突起
20 回転突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10