(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014876
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】心臓組織壁に画定された心臓開口をシールするための装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/06 20130101AFI20161013BHJP
A61B 17/11 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
A61F2/06
A61B17/11
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-175430(P2013-175430)
(22)【出願日】2013年8月27日
(62)【分割の表示】特願2010-506491(P2010-506491)の分割
【原出願日】2008年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-28180(P2014-28180A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2013年8月27日
(31)【優先権主張番号】11/739,151
(32)【優先日】2007年4月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507187248
【氏名又は名称】エモリー ユニヴァーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】505477235
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシリエイズ,トーマス・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ヨガナタン,アジット
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス,ホルヘ・エルナン
【審査官】
寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−514569(JP,A)
【文献】
特表2002−518082(JP,A)
【文献】
特表2006−518624(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0023255(US,A1)
【文献】
国際公開第2000/041759(WO,A1)
【文献】
特表2006−501894(JP,A)
【文献】
米国特許第5577993(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/04− 2/07
A61B 17/00−17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓組織壁のための導管装置において、
軸方向に貫通しているガイド開口を画定している外管と、
前記外管の遠位端から延在している取付け装置であって、前記取付け装置の少なくとも一部が前記心臓組織壁の第1の表面と第2の表面との間に実質的に配置されて、前記心臓組織壁内を少なくとも部分的に前進するように構成されている取付け装置と、
前記取付け装置は、前記外管の遠位端から延在している少なくとも1つの螺旋状コイルを備え、
前記少なくとも1つの螺旋状コイルは、前記螺旋状コイルが前記外管の前記遠位端から離れて延長するにつれて拡がる半径方向に拡がっている螺旋状コイルから構成されていることを特徴とする導管装置。
【請求項2】
前記取付け装置は、前記心臓組織壁の少なくとも一部を内方に圧縮するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【請求項3】
前記装置は、左心室補助装置に取り付けるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【請求項4】
前記外管は、左心室補助装置に取り付けるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【請求項5】
前記取付け装置は、左心室補助装置に取り付けるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【請求項6】
前記心臓組織壁の前記第1の表面と前記第2の表面との間に流体連通をもたらすために、前記外管によって画定された前記ガイド開口を貫通し且つ前記心臓組織壁を少なくとも部分的に貫通するように構成された内管をさらに備え、
前記取付け装置は、前記内管が前記心臓組織壁内を少なくとも部分的に前進する際、前記心臓組織壁の一部と前記内管の外面との間に実質的に液密のシールをもたらすように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【請求項7】
前記内管は、左心室補助装置に取り付けるように構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の導管装置。
【請求項8】
前記外管は、前記取付け装置が前記心臓組織壁を通して少なくとも部分的に前進する際に、前記外管と前記心臓組織壁の部分との間に実質的な液密のシールをもたらすべく構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【請求項9】
前記取付け装置に延在するリングをさらに備え、前記リングと前記心臓組織壁の部分との間に実質的な液密のシールをもたらすべく構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【請求項10】
前記リングは、前記心臓組織壁の少なくとも一部を受け入れるように構成された截頭円錐形状を備えていることを特徴とする、請求項9に記載の導管装置。
【請求項11】
前記リングは、左心室補助装置に取り付けるように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の導管装置。
【請求項12】
前記取付け装置に延在するシール部材をさらに備え、該シール部材と前記心臓組織壁の部分との間に実質的な液密のシールをもたらすように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【請求項13】
前記心臓組織壁の前記第1の表面と前記第2の表面との間の流体連通を制御するように構成された弁をさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記心臓組織壁の開口を画定するために、前記外管の前記ガイド開口を通って前進するように構成された芯抜き装置をさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【請求項15】
前記芯抜き装置は、前記心臓組織壁の前記開口を画定するときに、前記心臓組織壁の一部を突き刺すように構成された突刺し部材を備えていることを特徴とする、請求項14に記載の導管装置。
【請求項16】
前記芯抜き装置は、前記心臓組織壁の前記開口を画定するときに、前記心臓組織壁の一部を芯抜きするように構成された芯抜き部材を備えていることを特徴とする、請求項14に記載の導管装置。
【請求項17】
前記芯抜き装置は、前記心臓組織壁の芯抜きされた部分を回収するように構成された膨張性要素を備えていることを特徴とする、請求項16に記載の導管装置。
【請求項18】
前記芯抜き装置は、前記心臓組織壁の芯抜きされた部分を回収するように構成された栓抜き状突起部を備えていることを特徴とする、請求項16に記載の導管装置。
【請求項19】
前記芯抜き装置は、前記心臓組織壁の前記芯抜きされた部分を保持するように構成されていることを特徴とする、請求項18に記載の導管装置。
【請求項20】
前記ガイド開口を一時的にまたは半永久的に閉じるために、前記導管装置の近位端を選択的にシールするように構成されたキャップをさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の導管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織壁の対向面間に流体連通をもたらすために、流体導管を形成し、かつ維持するための装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
左心室と大動脈との間に代替的導管(心尖大動脈導管(apicoaortic conduit)、AAC)を設置し、二重出口左心室(LV)を形成する技術は、種々の複雑な先天性LV流出障害(線維性トンネル障害、大動脈弁輪の形成不全、および上行大動脈の管状形成不全、ならびに、びまん性中隔肥厚、重度のLV肥大、およびLV腔狭小を伴う患者)を治療するために、および悪化している術前状態(過去の失敗した弁輪拡大術、過去の感染症、開存性前内胸動脈グラフトを含む過去のCABG、および石灰化した上行大動脈)を伴う患者の成人発症型の大動脈狭窄を治療するために、成功理に用いられてきている。
【0003】
しかし、AAC挿入手術は、これまで十分に受け入れられていない。その主な理由として、初代の生体プロテーゼを用いた場合に初期に弁不全が生じていたこと、およびLVOTOの直接修復および大動脈弁置換が成功していることが挙げられる。米国では、人口の高齢化にも関わらず、2001年の摘出大動脈弁手術の未補正死亡率は4%未満にとどまっている。さらに、AAC挿入手術は、心肺バイパスを伴ってもまたは伴わなくても、直接大動脈弁置換ほど技術的に直接的なものではなかった。殆どの外科医にとって、AAC挿入は、馴染みのある手術ではなく、単に歴史的に興味を引く手術にすぎない。
【0004】
にもかかわらず、いくつかの研究によって、AAC挿入が、LV−大動脈間の圧力勾配を減少させ、心室機能を保存または改善し、および全身循環および冠循環を介する正常に分布された血流を維持することに成功していることが、明らかにされている。これまでにいくつかの技術が記載されているが、最も一般的に用いられているのは、側方開胸アプローチによって、AACを下行大動脈に配置する方法である。他の技術として、胸骨正中切開アプローチによって、AACの遠位肢部を上行大動脈、大動脈弓の横断部、または腹腔内上腹腔大動脈に挿入する方法が挙げられる。
【0005】
一般的には、左側方開胸術によって、胸部大動脈および左室心尖部が露出され、針が心尖部を介して左心室内に通されることになる。コネクタがまだ心尖部から離間している間に、コネクタを心尖部に固定するための縫合糸が、コネクタのカフと心尖部とに整合して通される。コネクタの端部が心筋を通って左心室内に延長するのを可能にするために、カフは、コネクタの端部から1〜2cm後方に設置されている。縫合糸の準備が整った時点で、心室芯抜き装置を用いて心筋の芯部を除去し、次に、予め通しておいた縫合糸が引っ張られ、カフが心尖部上に静止するまで、コネクタを開口内に引き込む。次いで、縫合糸を縛ることになるが、付加的な縫合糸が用いられてもよい。この手順の前または後のいずれかに、コネクタの反対側の端が、大動脈で終端する弁付き導管に取り付けられることになる。
【0006】
AAC挿入を行うのに利用可能な現在の方法および技術は、元々は、心臓停止または心臓細動のいずれかを伴うオンポンプで行われるように設計されたものである。オフポンプの場合も記載されているが、この方法は、現在入手できる導管およびこのような導管を設置するシステムの欠点によって、実施することが技術的に困難になる可能性がある。例えば、既存の導管は、コネクタを適所に確実に固定するために、縫合糸を用いることが必要とされているので、多くの場合、外科医または他の臨床医がこのような縫合糸を活動している心臓組織および/または血管組織に確実に挿入することは困難である。
【0007】
AAC導管を設置するために、いくつかの装置および方法、例えば、2005年10月14日に出願された特許文献1および2004年8月11日に出願された特許文献2に概して記載されている装置および方法が考案されている。これらの開示内容は、参照することによって、その全体がここに含まれるものとする。しかし、これらのAAC導管装置および設置システムは、心尖部の予め画定された開口内に挿入される柔軟フランジの使用に頼っている。従って、このような方法は、AAC導管の設置中に開口から失血が生じるのを防ぐために、(閉塞バルーンおよび/または「傘」装置のような)止血装置の使用を必要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第11/251,100号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/915,691号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明の種々の実施形態は、(AAC導管のような)導管を挿入するための改良されたシステムおよび方法を提供するものである。このシステムおよび方法は、鼓動している心尖部または他の組織壁(例えば、左右心室および左右心房の前壁、側壁、および後壁、大動脈壁、上行血管壁、横断血管壁、下行血管壁、または他の血管壁を含む心臓の他の領域)への移植片の体内挿入を著しく簡素化し、これによって、(AAC手術を含む)血管導管挿入を臨床医にとってさらに一層魅力的なものとすることが可能となる。本発明の血管導管およびシステムは、「オフポンプ」手術によって代替的流出路を形成するのに用いられるようになっているので、本発明のこれらの実施形態は、心肺バイパス(CPB)および全心筋虚血に及ぼす有害な影響を効果的に低減させ、および/またはなくすことが可能である。加えて、(例えば、AAC手術用の)本発明のいくつかの導管実施形態は、心室壁、心房自由壁、または心尖部内に挿入されるので、生来の管状動脈および過去の外科的血管再開通術の移植片と共に、心臓の刺激伝導系が回避されることになる。システムがAACを移植するのに用いられる本発明のいくつかの実施形態では、小口径弁(典型的な成人の体の表面積に対して、19〜21mm)を用いれば十分である。何故なら、効果的な術後オリフィス(開口)は、生来の大動脈弁と人工補装大動脈弁の合計になるからである。さらに、本発明は、新世代の生体弁と両立し得る血管導管であって、弁付き導管の機能停止が生じる可能性が極めて少ない血管導管を提供するものである。本発明の種々の実施形態は、種々の用途における組織壁の対向面間に流体連通をもたらすのに適している、例えば、哺乳類膀胱の組織壁内に流体導管をもたらすのに適している一般的な導管装置(および移植方法)も提供することが可能である。
【0010】
例示的な一実施形態では、(AAC構成部品のような)導管装置を、第1の表面と対応する第2の表面とを有する組織壁内に移植するためのシステムが提供されている。いくつかの実施形態によれば、このシステムは、軸方向に貫通しているガイド開口を画定している外管と、前記外管の遠位端から延在している取付け装置とを備えている。取付け装置は、外管が組織壁の第1の表面に対して回転されたとき、取付け装置の少なくとも一部が組織壁の第1の表面と対向する第2の表面との間に実質的に配置されるように、螺旋経路に沿って、組織壁内を少なくとも部分的に前進すべく、構成されている。取付け装置は、いくつかの実施形態では、螺旋状静止コイルおよび螺旋状弾性バネの少なくとも1つから構成されている。このコイルまたはバネは、外管が組織壁の第1の表面に対して回転されたときに組織壁を突き刺すように構成された鋭利な遠位端を有している。このようないくつかの実施形態によれば、取付け装置は、該取付け装置が外管の遠位端から離れて延長するにつれて半径方に拡がる螺旋を画定しているとよい。
【0011】
また、いくつかの実施形態では、システムは、外管の外面の周囲に操作可能に係合されたリングであって、前記外管を組織壁に操作可能に係合させるために、組織壁の少なくとも一部が取付け装置とリングとの間に固定されるように、取付け装置と協働すべく構成されている、リングも備えている。このようないくつかの実施形態によれば、システムは、外管の外面に配置された複数の隆起をさらに備えていてもよい。このような実施形態では、リングは、外管の外面の複数の隆起に離脱可能に係合するために、リングに操作可能に係合された少なくとも1つの変形可能な爪部材を備えている。いくつかの他の実施形態では、システムは、外管の外面の少なくとも一部におけるネジ山と、リングの内面の少なくとも一部における対応するネジ山と、を備えていてもよい。これらのネジ山は、リングを外管に対して軸方向に固定するために協働すべく構成されていてもよい。さらに、いくつかのシステム実施形態は、外管の外面の周囲およびリングの近位側に操作可能に係合されたナットをさらに備えていてもよい。ナットは、その内面の少なくとも一部にネジ山を備えていてもよく、このネジ山は、外管の外面の少なくとも一部におけるネジ山と協働するように構成されていてもよい。さらに、ナットは、リングを外管の遠位端に向かって前進させるためにリングと協働するように構成されていてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、種々のシステム構成部品、例えば、外管およびリングは、組織壁の表面の少なくとも一部に適合するように、および/または該表面に対して実質的に液密のシールをもたらすように構成されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、リングの遠位端に操作可能に係合されたシール部材を備えていてもよい。このような実施形態によれば、シール部材は、リングと組織壁の第1の表面との間に実質的に液密のシールをもたらすように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、システムは、実質的に湾曲した組織壁から構成されている組織壁と協働するように、および/または該組織壁に操作可能に係合するように構成されていてもよい。このようないくつかの実施形態では、リングは、実質的に湾曲した組織壁の少なくとも一部を受け入れるように構成された截頭円錐アセンブリを備えていてもよく、これによって、截頭円錐アセンブリと組織壁との間に実質的に液密のシールを形成するようになっていてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、システムは、外管によって画定されたガイド開口内に挿入されるように構成された内管をさらに備えていてもよい。このような実施形態によれば、内管は、軸方向に延在する導管開口を画定している。さらに、いくつかの実施形態では、外管は、外管の近位端に操作可能に係合された第1の固定装置を備えていてもよく、内管は、前記内管の近位端に操作可能に係合された相補的な第2の固定装置を備えていてもよい。従って、このような実施形態によれば、第2の固定装置は、内管を外管に操作可能に係合させて導管を設置かつ維持するために、第1の固定装置と選択的に操作可能に係合するように構成されているとよい。
【0014】
また、いくつかの実施形態では、システムは、内管によって画定された導管開口内を通って組織壁内に前進し、組織芯部を除去することによって組織壁に開口を画定するように構成された芯抜き装置を備えていてもよい。芯抜き装置は、組織壁の第1の表面と第2の表面との間に流体連通をもたらすために、内管が開口内を少なくとも部分的に貫通するように、内管を開口内に運ぶようにさらに構成されていてもよい。芯抜き装置は、軸方向に貫通する芯抜き孔であって、芯抜き装置によって除去された組織芯部を受け入れるように構成されている、芯抜き孔を画定していてもよい。いくつかの実施形態では、芯抜き装置は、芯抜き孔内において摺動自在に前進かつ後退することができる突刺しロッドをさらに備えていてもよい。突刺しロッドは、その遠位端に操作可能に係合された回収装置であって、芯抜き装置によって除去された組織芯部を軸方向に保持するように構成されている、回収装置をさらに備えていてもよい。従って、いくつかの実施形態では、突刺しロッドは、組織芯部が芯抜き装置の近位端を介して回収可能となるように、組織芯部の除去の前に組織芯部を突き刺すために前進し、および/または組織芯部の除去の後に後退すべく構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、芯抜き装置は、芯抜き装置の近位端に操作可能に係合されたハンドルをさらに備えていてもよい。ハンドルは、芯抜き孔と連通している組織芯部チャンバを画定していてもよい。組織芯部チャンバは、突刺しロッドの後退によって回収された組織芯部を受け入れるように構成されていてもよい。さらに、このようないくつかの実施形態では、ハンドルの少なくとも一部は、ハンドル内に受け入れられた組織芯部がハンドルの外側の位置から観察可能となるように、透明材料から構成されていてもよい。
【0015】
従って、本発明の種々の実施形態は、医学手術用の導管をもたらすような導管装置を移植するように構成されていてもよい。このような手術の例として、例えば、限定されないが、バイパス、心臓弁の修復または置換、心室補助装置の取付け、心尖大動脈導管(AAC)の形成、およびこのような手術の組合せが挙げられる。
【0016】
この新規の導管装置、システム、および方法は、導管挿入(例えば、AAC装置の移植)の容易さおよび安全性を著しく改善するものである。例えば、本発明の種々の実施形態によれば、組織壁に開口を画定するために組織芯部を除去する前に、(取付け装置とリングとの少なくとも部分的な協働によって)、外管を組織壁にしっかりと操作可能に係合させることができる。従って、ここに開示されているシステムの部分は、芯抜き装置を受け入れるために、外管内を軸方向に貫通するガイド開口を画定することができる。芯抜き装置は、組織芯部を効果的に除去し、かつ回収することができると共に、組織壁の第1の表面と対向する第2の表面との間に流体連通をもたらすために、実質的に同時に内管をガイド開口内に操作可能に係合させることができるように構成されているとよい。当業者であれば容易に理解され得るように、本発明の種々の実施形態は、最小侵襲アプローチ、および内視鏡補助アプローチに用いられてもよい。
【0017】
本発明の種々の実施形態を一般的な用語によって説明してきたが、以下、添付の図面について説明する。なお、これらの図面は、必ずしも、縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による、導管装置を移植するための例示的なシステムの非限定的な斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、導管装置を移植するための例示的なシステムの非限定的な側断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、組織壁に移植された例示的な導管装置の非限定的な側断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、導管装置を移植するための例示的なシステムの非限定的な側面図である。
【
図5A】本発明の一実施形態による、例示的なシステムを用いる導管装置の設置を示す例示的な一連の図の1つであって、組織壁内に少なくとも部分的に移植された取付け装置を備える導管装置を移植するための例示的なシステムの非限定的な側断面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態による、例示的なシステムを用いる導管装置の設置を示す例示的な一連の図の1つであって、取付け装置およびリングを備える導管装置であり、取付け装置およびリングが、前記外管を組織壁に操作可能に係合させるために、組織壁の少なくとも一部を取付け装置とリングとの間に固定するように協働して、導管装置を移植するための例示的なシステムの非限定的な側断面図である。
【
図5C】本発明の一実施形態による、例示的なシステムを用いる導管装置の設置を示す例示的な一連の図の1つであって、外管によって画定されたガイド開口内に挿入されるように構成された内管を運ぶ芯抜き装置を備えている、導管装置を移植するための例示的なシステムであり、芯抜装置が、組織壁の組織芯部を除去するために組織壁内に少なくとも部分的に前進している、システムの非限定的な側断面図である。
【
図5D】本発明の一実施形態による、例示的なシステムを用いる導管装置の設置を示す例示的な一連の図の1つであって、外管によって画定されたガイド開口内に挿入されるように構成された内管を運ぶ芯抜き装置を備えている、導管装置を移植するための例示的なシステムであり、芯抜き装置によって画定された芯抜き孔が、組織壁から除去された組織芯部を含んでいる、システムの非限定的な側断面図である。
【
図5E】本発明の一実施形態による、例示的なシステムを用いる導管装置の設置を示す例示的な一連の図の1つであって、外管によって画定されたガイド開口内に挿入されるように構成された内管を運ぶ芯抜き装置を備えている、導管装置を移植するための例示的なシステムであり、組織芯部が芯抜き装置の近位端を介して回収可能となるように、突刺しロッドが、組織芯部の除去の後、芯抜き装置内を通って後退している、システムの非限定的な側断面図である。
【
図5F】本発明の一実施形態による、例示的なシステムを用いる導管装置の設置を示す例示的な一連の図の1つであって、導管装置を移植するための例示的システムであり、組織壁の第1の表面と第2の表面との間に流体連通をもたらすように、外管および内管が組織壁内に設置されている、システムの非限定的な側断面図である。
【
図5G】本発明の一実施形態による、例示的なシステムを用いる導管装置の設置を示す例示的な一連の図の1つであって、例示的な芯抜き装置であり、芯抜き装置の近位端に操作可能に係合されたハンドルが、芯抜き装置によって組織壁から除去された組織芯部を含んでいる、芯抜き装置の非限定的な側断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、外管によって画定されたガイド開口内に挿入されるように構成された内管を運ぶ例示的な芯抜き装置の非限定的な側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、螺旋バネから構成されている取付け装置を備える例示的な導管装置の非限定的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の全ての実施形態ではないが、いくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明をさらに十分に説明する。実際、これらの発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、ここに記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が適用される法的要件を満たすように提供されている。全体を通して、同様の番号は、同様の要素を指すものとする。単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明らかに指示していない限り、複数形も含むものとする。
【0020】
ここに記載される本発明のいくつかの実施形態は、導管装置1(例えば、
図1,7参照)および心尖部と大動脈との間に心尖大動脈コネクタ(AAC)を形成するためにこのような装置を移植するためのシステムに向けられているが、本発明がそのように限定されるものではないことは、当業者によって理解されるだろう。例えば、本発明の導管装置1およびシステムの態様は、最小侵襲性送達技術および/または侵襲性送達技術を用いて種々の組織構造内に導管を設置および/または維持するために、用いられてもよい。さらに、ここに記載される本発明の実施形態は、AACを設置するための少なくとも1つのポートを形成するための導管装置の胸腔鏡移植に向けられているが、本発明のシステムおよび/または血管導管装置の実施形態は、種々の血管疾患、例えば、限定されないが、大動脈弁疾患、鬱血性心不全、左室流出路疾患(LVOTO)、末梢動脈疾患、血管狭小疾患、および/または他の疾患を治療する目的で、(バイパス導管を含む)弁付き導管および/またはオープン導管を設置し、生来の血管を拡大するために、用いられてもよいことを理解されたい。さらに、本発明の血管導管装置およびシステムは、心室間修復用のポートを設置するために、例えば、弁修復手術および/または弁置換手術または弁融除手術のために、用いられてもよい。従って、以下にさらに詳細に記載される導管装置1は、導管装置1の内管40が心臓の解剖学的構造の疾患部位を修復および/または治療するための再使用可能なポートとして役立つように導管装置1の近位端を選択的にシールするために、ネジ付き密キャップおよび/または(導管装置1の外面に画定された対応する隆起に係合する)少なくとも1つの爪部材を有するキャップを備えていてもよい。さらに、本発明の導管装置1およびシステムの実施形態は、左心室補助装置用の導管および/またはポートを移植するために、用いられてもよい。
【0021】
ここに記載される導管装置1の種々の実施形態は、種々の組織壁および/または解剖学的構造の対向表面間に流体連通をもたらすために利用されてもよいことをさらに理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、ここに記載される導管装置1および移植するためのシステムは、解剖学的構造、例えば、限定されないが、膀胱、胆嚢、隔膜、胸腔、腹腔、腸管構造、または盲腸腔の壁、および他の組織壁構造の対向表面間に導管(およびその結果として流体連通)をもたらすために、用いられてもよい。
【0022】
ここに記載する導管装置1の種々の構成部品(例えば、
図1に示されている構成部品を参照)は、種々の生体適合性材料、例えば、限定されないが、ステンレス鋼、チタン、実質的に剛性の生体適合性ポリマー、弾性生体適合性ポリマー、およびこのような材料の組合せから構成されているとよいことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、外管10、リング30、ナット20、および内管40は、実質的に剛性の生体適合性ポリマーから構成されているとよい。いくつかの実施形態では、取付け装置15は、外管10を形成するのに用いられる射出成形されたポリマー内に実質的に埋設されたおよび/または該ポリマーに操作可能に係合された生体適合性の金属および/または金属合金から構成されているとよい。また、ここにさらに記載されるように、本発明のいくつかの実施形態は、リング30の遠位端に操作可能に係合されたシール部材35をさらに備えているとよい。このような実施形態では、シール部材35は、リング30と組織壁850の表面との間に実質的に液密のシールをもたらすのに適している(弾性ポリマーのような)実質的に追従性を有する生体適合性ポリマーから構成されているとよい。同様に、ここに記載される芯抜き装置(coring device)2の種々の構成部品も、(例えば、
図3に示されているように)、組織壁850に開口を画定し、これによって、内管40を該開口内に設置し、組織壁850の対向する第1の表面855と第2の表面853との間に流体連通をもたらすために、組織芯部850aを除去し、かつ保持するのに適している生体適合性材料の組合せから構成されているとよい。
【0023】
図3は、第1の表面855および対向する第2の表面853を有する組織壁850に導管装置1を移植するためのシステムのいくつかの例示的な構成部品を示している。
図1および
図2に概略的に示されているように、このようなシステムは、軸方向に貫通しているガイド開口を画定している外管10と、外管10の遠位端から延在している取付け装置15とを備えているとよい。
図3に示されているように、例えば、取付け装置15は、外管10が組織壁850の第1の表面855に対して回転されたとき、取付け装置15の少なくとも一部が組織壁850の第1の表面855と対向する第2の表面853との間に実質的に配置され、螺旋経路に沿って、組織壁850内を少なくとも部分的に前進するように、構成されているとよい。
図2に概略的に示されているように、取付け装置15は、外管10内に一体に取り付けられているとよい。例えば、取付け装置15は、いくつかの実施形態では、鋳型内に少なくとも部分的に配置され、これによって、外管10のポリマー部品または他の構成部品が、(以下にさらに記載されるように、静止コイルおよび/または弾性バネから構成されているとよい)取付け装置15の少なくとも一部の周囲に実質的に鋳込まれるようになっているとよい。他の実施形態では、取付け装置15は、接着剤、RF溶接、および/または取付け装置15を外管10にしっかりと操作可能に係合するのに適している他の取付け方法によって、外管10の少なくとも一部に操作可能に係合されていてもよい。
【0024】
取付け装置15は、いくつかの実施形態では、外管10が組織壁850の第1の表面855に対して回転されたときに、組織壁850を突き刺すのに適した鋭利な遠位端を有する螺旋状静止コイルから構成されているとよい。他の実施形態では、取付け装置15は、外管10が組織壁850の第1の表面855に対して回転されたときに、組織壁850を突き刺すのに適した鋭利な端を有する螺旋状弾性バネから構成されていてもよい。
図4に示されているように、取付け装置15が螺旋バネおよび/または螺旋コイルから構成されているいくつかの実施形態では、バネおよび/またはコイルは、取付け装置15が外管10の遠位端から離れて延長するにつれて半径方向に拡がっている螺旋であるとよい。取付け装置が円錐状および/または「半径方向に拡がっている」螺旋から構成されているいくつかの実施形態では、取付け装置15は、組織壁850の少なくとも一部を半径方向内方に内管40の外面に向かって圧縮するように作用し、これによって、内管40の外面と半径方向内方に付勢された組織壁850の部分との間に実質的に液密のシールをもたらすように、なっているとよい。さらに、このようないくつかの実施形態では、取付け装置15の半径方向に拡がっている螺旋は、例えば、実質的に湾曲した組織壁850(例えば、
図5B参照)の少なくとも一部を受け入れるように構成された截頭円錐アセンブリを備えているリング30に対応し、これによって、リング30の截頭円錐アセンブリと組織壁850との間に実質的に液密のシールを形成するようになっているとよい。
【0025】
他の実施形態では、
図7に概略的に示されているように、取付け装置15は、取付け装置15が外管10の遠位端から離れて延長するにつれて実質的に一定の螺旋直径を有する螺旋バネおよび/または螺旋コイルから構成されていてもよい。
図7に概略的に示されている取付け装置15の実質的に変化しない直径は、外管10を実質的に平坦な組織壁850に操作可能に係合させるのに有用である。さらに、
図7に概略的に示されているように、いくつかの実施形態では、対応するリング30(およびリング30に操作可能に係合された対応するシール部材35)も、実質的に平坦なおよび/または円板状のシール面をもたらすように構成されているとよい。このような平坦なシール面は、対応する平坦な組織壁850に画定された開口を包囲する実質的に平坦な第1の組織表面855に着座し、および/または該第1の組織表面855に対して実質的に液密のシールをもたらすのに適している。
【0026】
ここに記載したように、このシステムは、外管10の外面の周囲に操作可能に係合されたリング30をさらに備えているとよい。
図3および
図5Bに概略的に示されているように、リング30は、外管10を組織壁850に操作可能に係合させるために、組織壁850の少なくとも一部が取付け装置850とリング30との間に固定されるように取付け装置15と協働すべく、構成されているとよい。いくつかの実施形態は、外管10の外面に配置された複数の隆起11および/またはネジ山をさらに備えているとよい。このような実施形態によれば、リング30は、外管10の外面に配置された複数の隆起に離脱可能に係合するように構成された少なくとも1つの変形可能な爪部材を備えているとよい。また、(例えば、
図2に概略的に示されているような)他の実施形態は、外管10の外面の少なくとも一部におけるネジ山11およびリング30の内面の少なくとも一部における対応するネジ山をさらに備えているとよい。ネジ山11(およびリング30の内面における対応するネジ山)は、リング30を外管10に対して軸方向に固定するために、協働するように構成されているとよい。
図5Aおよび
図5Bに概略的に示されているように、いくつかの実施形態は、外管10の外面の周囲およびリング30の近位側に操作可能に係合されたナット20をさらに備えているとよい。このような実施形態によれば、ナット20は、ナット20の内面の少なくとも一部にネジ山を備えているとよい。ナット20の内面に配置されたネジ山は、ナット20を外管10および隣接するリング30に対して軸方向に固定するために、外管10の外面の少なくとも一部におけるネジ山11と協働するように構成されているとよい。
図5Aおよび
図5Bに示されているように、ナット20は、リング30を外管10の遠位端に向かって前進させるために、リング30と協働するように構成されているとよい。
図5Aおよび
図5Bに概略的に示されているように、取付け装置15は、逆牽引をもたらし、ナット20(およびナット20の遠位側に配置されたリング30)の回転(およびその結果として生じる前進)を可能にし、その結果、ナット20の回転(および第1の組織表面855に向かうリング30の対応する運動)によって、組織壁850の少なくとも一部を引き出し、リング30の内面に係合させ、これによって、外管10に軸方向に画定されたガイド開口を介して組織芯部850aを除去するための芯抜き装置2を用いる前に、導管装置1(特に、その外管10)が、安定して固定され、実質的に液密にシールされた状態で係合され、および/または組織壁850に対して操作可能に係合されることになる。
【0027】
リング30が組織壁850に画定された開口の周囲の組織壁850の第1の表面855に対して実質的に液密のシールを形成するのを確実にするために、(例えば、
図1に示されているような)いくつかの実施形態は、リング30の遠位端に操作可能に係合されたシール部材35をさらに備えているとよい。シール部材35は、例えば、リング30と組織壁850の第1の表面855との間に実質的に液密のシールをもたらすように構成されたガスケットまたは他のエラストマー構成部品から構成されているとよい。ここに記載したように、本発明のいくつかの実施形態は、(例えば、心尖部のような)哺乳類心臓の壁の対向側面間に流体連通をもたらすように構成されているとよい。このような実施形態では、導管装置1は、実質的に湾曲した壁850(例えば、
図5A参照)に操作可能に係合されることが必要である。このような実施形態では、リング30は、実質的に湾曲した組織壁850の少なくとも一部を受け入れるように構成された截頭円錐アセンブリを備えているとよく、これによって、リング30のこの截頭円錐アセンブリと組織壁850との間に実質的に液密のシールを形成するようになっているとよい。例えば、
図5Bに示されているように、いくつかの実施形態では、リング30は、ナット20を外管10の外面に配置されたネジ山11の周囲に沿って回転させることによって、外管10の遠位端に向かって付勢されるようになっているとよい。従って、このようないくつかの実施形態では、(例えば、突刺し螺旋バネおよび/またはコイルから構成されているとよい)取付け装置15とリング30との協働作用によって、リング30の截頭アセンブリと組織壁850との間に実質的に液密のシールが形成され、かつ保持されるように、湾曲した組織壁850の少なくとも一部をリング30の截頭アセンブリ内に引き出すようになっているとよい。
図2に概略的に示されているように、導管装置1のいくつかの実施形態では、リング30は、シール試験開口36を備えているとよい。このシール試験開口36によって、臨床医は、リング30が外管10の遠位端に向かって移動し、組織壁850に係合したとき、リング30と組織壁850の第1の表面855との間に実質的に液密のシールがもたらされたかどうかを選択的に試験することができる。例えば、臨床医は、(生理食塩水バッグのような)流体源を(流体源に操作可能に係合するルアロックコネクタまたは他のコネクタを備えているとよい)シール試験開口36に操作可能に係合させ、流体をシール試験開口36を介して導入し、リング30と組織壁850の第1の表面855との間の界面を観察し、相当量の流体が流出しているかどうかを確認することができる。もし流体が容易に観察されないなら、臨床医は、リング30と組織壁850との間に形成されたシールが実質的に液密であることを合理的に確信することができる。リング30と組織壁850との間に形成されたシールを評価することによって、臨床医は、芯抜き装置2を外管10に画定されたガイド導管を介して導入することが医学的に安全であるかどうかを判断することができる(すなわち、芯抜き装置2(およびその芯抜きシリンダ65)が、
図5Cに示されているように、組織壁850内に前進したとき、リング30と組織壁850の第1の表面855との間に失血が生じる可能性があるかどうかを判断することができる)。
【0028】
また、いくつかの実施形態では、シール試験開口36は、組織壁850の第1の表面855に対するリング30の回転を固定する代替的機能も果たすことが可能である。例えば、臨床医は、針および/または他の細長のスパイクをリング30に画定されたシール試験開口36を通して、実質的に組織壁850内に挿入することができる。針および/またはスパイクと(シール試験開口36を介する)リング30および組織壁850との相互作用によって、リング30(および外管10から延在している螺旋状の取付け装置15)が組織壁850に対して回転可能となる機会が少なくなり、その結果、いったんリング30と組織壁850の第1の表面855との間にシールがもたらされた後、リング30および螺旋状の取付け装置15が組織壁850から「逆転して外れる(backing out)」可能性が少なくなる。
【0029】
いくつかの実施形態では、
図7に概略的に示されているように、リング30(および/またはリング30に操作可能に係合されるシール部材35)は、実質的に平坦なおよび/または円板状の環状シール面を画定するようになっていてもよい。このシール面は、リング30と組織壁850に画定された開口の周囲の実質的に平坦な第1の組織表面855との間に実質的に液密のシールをもたらすように構成されているとよい。
【0030】
図5Cを参照すると、例えば、いくつかの実施形態は、軸方向に貫通する導管開口を画定している内管40をさらに備えているとよい。内管40は、外管10によって画定されたガイド開口内に挿入されるように構成されているとよい。いくつかの実施形態では、
図6に示されているように、内管40は、芯抜き装置2によって運ばれるとよい。芯抜き装置2は、外管10によって画定されたガイド開口内を前進するようになっているとよい。また、芯抜き装置2は、組織壁850の第1の表面855と第2の表面853との間に流体連通をもたらすための信頼性の高い係合可能な経路をもたらし、および/または保持するために、組織芯部850aを実質的に同時に除去し、組織壁850に開口を画定すると共に、内管40を外管10に操作可能に係合させるように、構成されているとよい。外管10と内管40との確実な係合を容易にするために、導管装置1のいくつかの実施形態は、外管10の近位端に操作可能に係合された第1の固定装置13と、内管40の近位端に操作可能に係合された相補的な第2の固定装置43とを備えているとよい。このような実施形態によれば、
図2に概略的に示されているように、第2の固定装置43は、内管40を外管10に操作可能に係合するために、第1の固定装置13に選択的に操作可能に係合するように構成されているとよい。
図6に概略的に示されているように、第2の固定装置43は、
図2に示されているような(外管10の外面の近位部に配置された1つまたは複数の隆起を備えている)第1の固定装置13に選択可能に操作可能に係合するように構成された1つまたは複数の変形可能な爪を備えているとよい。
【0031】
図6に概略的に示されているように、導管装置1を設置するためのシステムのいくつかの実施形態は、内管40によって画定された導管開口を通って組織壁850内に前進し、組織芯部850aを除去することによって組織壁850に開口を画定するように構成された芯抜き装置2をさらに備えているとよい(例えば、組織芯部850aを除去し、その組織芯部850aを芯抜きシリンダ65によって画定された芯抜き孔内に収集する芯抜き装置2を示している
図5Dを参照されたい)。
図5Cおよび
図6に概略的に示されているように、芯抜き装置2は、組織壁850の第1の表面855と第2の表面853との間に流体連通をもたらすために、内管40が開口内を少なくとも部分的に貫通するように(例えば、
図5F参照)、内管40を開口内に運ぶようにさらに構成されているとよい。いくつかの実施形態では、
図5Dの側断面図に示されているように、芯抜き装置2(および/またはその芯抜きシリンダ65)は、芯抜きシリンダ65によって除去された組織芯部850aを受け入れるように構成された軸方向に貫通している芯抜き孔を画定している。
【0032】
また、
図5C〜
図5Eに示されているように、芯抜き装置2は、該芯抜き装置2によって画定された芯抜き孔内に摺動自在に前進および後退することができる突刺しロッド60も備えているとよい。突刺しロッド60は、回収装置61をさらに備えているとよい。回収装置61は、突刺しロッド60の遠位端に操作可能に係合されており、芯抜きシリンダ65によって除去された組織芯部850aを軸方向に保持するように構成されているとよい。種々の実施形態では、回収装置61として、例えば、限定されないが、嘴状突起部、フック、栓抜き状突起部、膨張性バルーン、自己拡張型構造物、および/または組織壁850を最初に突き刺し、以下にさらに述べるように、芯抜き装置2によって除去された組織芯部850aを回収することができるように構成された他の装置が挙げられる。
図5Cに概略的に示されているように、突刺しロッド60は、組織芯部850aを除去する前に(すなわち、芯抜きシリンダ65を組織壁850内に前進させる前に)、組織壁850を突き刺すために前進するように構成されているとよい。さらに、
図5Eに概略的に示されているように、突刺しロッド60は、組織芯部850aが芯抜き装置2の近位端を介して回収可能となるように、組織芯部850aの除去の後、後退するようにさらに構成されているとよい。導管装置1を設置するためのシステムのいくつかの実施形態では、芯出し装置2は、該芯出し装置2の近位端(および/または芯抜きシリンダ65の近位端)に操作可能に係合されたハンドル63をさらに備えているとよい。このような実施形態によれば、
図6に概略的に示されているように、ハンドル63は、芯抜きシリンダ65によって画定された芯抜き孔に連通している組織芯部チャンバ62を画定しているとよい。従って、
図5Eに示されているように、組織芯部チャンバ62は、突刺しロッド60(およびその遠位端に操作可能に係合された回収装置61)の後退によって回収された組織芯部850aを受け入れるように、構成されているとよい。臨床医が組織芯部850aの除去および後退を確実に識別および/または確認することを可能にするために、システムのいくつかの実施形態では、ハンドル65の少なくとも一部は、組織芯部チャンバ62によって受け入れられた組織芯部850aが(例えば、臨床医または内視鏡撮像装置によって)ハンドル63の実質的に外側の位置から観察可能となるように、実質的に透明材料(例えば、透明なポリカーボネート)から構成されているとよい。
【0033】
図5A〜
図5Gは、導管装置1を組織壁850(例えば、心尖部)内に設置するための本発明のシステムの一実施形態を利用するときの種々のステップを示している。本発明の種々の実施形態は、医学手術、例えば、限定されないが、バイパス、心臓弁の修復または置換、心室補助装置の取付け、およびこのような手術の組合せに用いられる導管装置1を設置するために利用されてもよいことを理解されたい。
図5Aに示されているように、導管装置1を設置するための例示的なプロセスは、取付け装置15を組織壁850内に移植することから始められるとよい。ここに記載したように、取付け装置15は、螺旋状のバネおよび/またはコイルから構成されているとよい。このバネおよび/またはコイルは、外管10が組織壁850の第1の表面855に対して回転されたとき、取付け装置15の少なくとも一部が組織壁850の第1の表面855と対向する第2の表面853との間に実質的に配置されるように、螺旋経路に沿って、組織壁850内を少なくとも部分的に前進するように、構成されているとよい。いくつかの実施形態では、取付け装置15は、該取付け装置15の軸方向長さが組織壁850の第2の表面853の遠位側まで実質的に延長しないように、寸法決めされているとよい。
【0034】
取付け装置が円錐状および/または「半径方向に拡がっている」螺旋から構成されているいくつかの実施形態では、取付け装置15は、組織壁850の少なくとも一部を半径方向内方に内管40の外面に向かって圧縮するように作用し、これによって、内管40の外面と、取付け装置15の円錐状および/または「半径方向に拡がっている」螺旋によって半径方向内方に付勢された組織壁850の一部と、の間に実質的に液密のシールをもたらすようになっているとよい。さらに、取付け装置15が円錐状および/または「半径方向に拡がっている」螺旋から構成されている実施形態では、組織壁850の少なくとも一部を半径方向内方に圧縮するように作用し、これによって、組織壁850の該一部が(組織壁850の圧縮された部分を受け入れるように構成された截頭円錐構造を備えているとよい)リング30にてより容易に受け入れられるようになっているとよい。
図5Bに示されているように、導管装置1の設置プロセスは、続いて、リング30を外管10の遠位端に向かって前進させ、および/または締め付けるようになっているとよい。ここに記載したように、本発明の導管装置1のいくつかの実施形態は、リング30の近位側で外管10の外面の周囲に操作可能に係合されたナット20を備えているとよい。このようないくつかの実施形態では、ナット20は、その内面の少なくとも一部にネジ山を備えているとよく、このネジ山は、外管10の外面の少なくとも一部におけるネジ山11と協働するように構成されているとよい。従って、ナット20は、リング30を外管10の遠位端に向かって前進させ、これによって、リング30を組織壁850の第1の表面855に接触させるようにリング30と協働すべく、構成されているとよい。
図5Bに概略的に示されているように、いったんナット20およびリング30が(ナット20の手動の締め付けによって)遠位側に前進した後、外管10を組織壁850に操作可能にしっかりと係合させるために、リング30は、組織壁850の少なくとも一部が取付け装置15とリング30との間に固定されるべく、取付け装置15と協働するようになっているとよい。
【0035】
図5Cに示されているように、いったん外管10が組織壁850に対して安定して固定された後、(いくつかの実施形態では、
図6に示されているように、内管40を運ぶように構成されているとよい)芯抜き装置2が、外管10内に軸方向に画定されたガイド開口内に挿入されるとよい。
図6に関連してここに記載したように、芯抜き装置2は、芯抜きシリンダ65(例えば、
図5D参照)を備えているとよい。芯抜きシリンダ65は、内管40によって画定された導管開口を通って組織壁850内に前進し、組織芯部850aを除去することによって組織壁850に開口を画定するように構成されているとよい。
図5Cを再び参照すると、いくつかの実施形態は、芯抜きシリンダ65によって画定された芯抜き孔内を摺動自在に前進および後退することができる突刺しロッド60をさらに備えているとよい。突刺しロッド60は、いくつかの実施形態では、細長の近位端を備えているとよい。この近位端は、組織壁850を最初に突き刺し、および/または(さらに詳細に後述するように)組織壁850から除去された組織芯部850aを引き出すために、臨床医によって操作(すなわち、前進および/または後退)されるとよい。
図5Dおよび
図5Eに示されているように、突刺しロッド60は、回収装置61をさらに備えているとよい。回収装置61は、突刺しロッド60の遠位端に操作可能に係合されており、芯抜きシリンダ65によって除去された組織芯部850aを軸方向に保持するように構成されているとよい。突刺しロッド60は、組織芯部850aの除去の前に、(すなわち、芯抜きシリンダ65の前進の前に)、組織壁850を突き刺すために前進するように、構成されているとよい。さらに、
図5Eに示されているように、突刺しロッド60は、組織芯部850aが芯抜き装置2の近位端を介して回収可能となるように、組織芯部850aの除去の後、後退するようにさらに構成されているとよい。
【0036】
図5Dおよび
図6に示されているように、芯抜き装置2は、組織壁850の第1の表面855と第2の表面853との間に流体連通をもたらすために、内管40が開口内を少なくとも部分的に貫通するように(例えば、
図3参照)、内管40を開口内に運ぶようにさらに構成されているとよい。ここに記載したように、本発明の導管装置1の種々の実施形態に関連して、外管10は、その近位端に操作可能に係合された第1の固定装置13を備えているとよく、(例えば、芯抜き装置2によって外管10に対して適所に運ばれた)内管40は、その近位端に操作可能に係合された相補的な第2の固定装置43を備えているとよい。
図3に概略的に示されているように、内管40を外管10に確実かつ強固に操作可能に係合するために、(例えば、変形可能な爪から構成されているとよい)第2の固定装置43は、(外管10の外面上に配置された相補的な少なくとも1つの隆起から構成されているとよい)第1の固定装置13に選択的に操作可能に係合するように、構成されているとよい。
【0037】
図5Eを再び参照すると、芯抜き装置2は、いくつかの実施形態では、芯抜き装置2の近位端に操作可能に係合されたハンドル63を備えているとよい。ここに記載されたように、ハンドル63は、例えば、芯抜きシリンダ65によって画定された芯抜き孔と連通している組織芯部チャンバ62を画定しているとよい。従って、組織芯部チャンバ62は、突刺しロッド60(およびその遠位端に操作可能に係合された回収装置61)の後退によって回収された組織芯部850aを受け入れるように構成されているとよい。いくつかの実施形態では、芯抜き装置2は、生理食塩水または他の流体の源に操作可能に係合するように構成された充填開口を画定しているとよい。このような流体源は、芯抜き装置2が外管10を介して導入されたとき、気泡(すなわち、空気泡)を組織壁850によって画定された内部チャンバ内に導く機会を少なくするために、芯出しシリンダ65によって画定された芯抜き孔および組織芯部チャンバ62を流体によって実質的に溢れさせために、用いられるとよい。
【0038】
本発明のシステムの種々の実施形態に関連してここに概略的に記載されたように、この導管装置1の設置プロセスによれば、有利には、臨床医は、芯抜きシリンダ65によって除去された組織芯部850aが、組織壁850によって画定された開口から完全かつ清浄に取り出されていることを肉眼によって確認することができる。例えば、いくつかの実施形態では、組織芯部チャンバ62内に受け入れられた組織芯部850aが、ハンドル63の実質的に外側の位置から、臨床医および/または内視鏡撮像装置によって直接観察されるように、ハンドル63の少なくとも一部は、透明材料から構成されているとよい。
図5Fおよび
図5Gに示されているように、芯抜き装置2(およびそのハンドル63内に保持されている組織芯部850a)が後退され、内管40から取り出された後、鉗子Cが、導管装置1の内管40に操作可能に係合されたグラフト部分の近位端に取り付けられるとよい。他の実施形態では、内管40は、その近位端の外面に画定された1つまたは複数の隆起を備えているとよく、これらの隆起は、設置された導管装置1によって画定された開口を一時的におよび/または半永久的に閉鎖する変形可能なキャップまたは他のカバーを受け入れるように構成されているとよい。ここに記載されたように、導管装置1は、例えば、哺乳類大動脈の壁を画定する組織壁850に設置された他の対応する導管装置1を備えているとよい2部品バイパスシステムの一部として利用されてもよい。次いで、これらの2つの互いに対応する導管装置1は、例えば、患者の心臓解剖学的部位に存在する不全弁または他の機械的な欠陥をバイパスするために、心尖大動脈接続(AAC)を形成すべく、弁装置を介して互いに操作可能に係合されるようになっているとよい。
【0039】
前述の説明および関連する図面に現れる示唆の利得を有するこれらの発明が属する技術分野の当業者であれば、ここに記載された本発明の多くの修正および他の実施形態を思い浮かべることができるだろう。従って、本発明は、開示されている特定の実施形態に限定されるものではないこと、および修正および他の実施形態は、添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。ここでは、特定の用語が用いられているが、これらの用語は、包括的かつ記述的な意味でのみ用いられ、限定するために用いられているものではない。