(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機層の表面は、前記第2方向において、中央部が端部側に比べて層厚方向上向きに突出し、前記第1方向において、端部側が中央部に比べて層厚方向上向きに突出する形状を備える、
請求項1記載の有機発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本発明の各態様に至る経緯]
本発明者が、本発明の各態様に至った経緯について説明する。
【0016】
(i) ウェット法を用いた有機層の形成は、バンクの囲繞により構成された凹部内に有機材料を含んだインクを塗布し、これを減圧容器内に入れて減圧乾燥させる、という方法を採用する。本発明者は、減圧乾燥の際に、凹部の中央部とバンクに近い端部とでは、インクの乾燥に係る蒸気濃度(雰囲気)が異なることを見出した。
【0017】
(ii) 具体的には、凹部内に塗布されたインクの液溜りにおいては、バンクに近い端部の方が、中央部に比べて溶剤が蒸発しやすい(蒸発速度が速い)。このため、凹部内に塗布されたインクは、中央部と端部とで蒸発速度が偏った状態で乾燥が進む。このように偏った状態で乾燥が進むため、インクの液溜りの中では、中央部のインクが端部側へと流動し、このときに溶剤とともに有機材料も端部側へと流動する。その結果として、従来技術では、乾燥後の凹部の中央部に比べてバンクに近い端部での層厚が厚い有機層が形成される傾向があった。このような凹部内における層厚のバラツキは、発光ムラに結びつく。
【0018】
(iii) 本発明者は、平面視における凹部の短軸方向において、有機層の表面プロファイルを層厚方向上向きに凸の形状とすることで、層厚方向下向きに凸の形状の長軸方向での表面プロファイルとの関係で、従来技術に比べて平坦領域の広い有機層を形成することができる、ということを見出した。即ち、短軸方向における表面プロファイルを層厚方向の上方(上向き)に凸の形状とすることにより、下方(下向き)に凸の形状を有する長軸方向における表面プロファイルと組み合わせて、層厚が互いに相殺される関係を有し、これにより従来よりも平坦領域を広くすることができることを見出した。
【0019】
(iv) なお、本発明者は、長軸方向が層厚方向下向きに凸の形状であり、かつ、短軸方向が層厚方向の上方(上向き)に凸の形状を有する有機層の表面プロファイルについては、凹部における長軸方向長さと短軸方向長さ、用いるインクの粘度、乾燥温度、乾燥速度などを制御することで実現が可能であることも見出した。
【0020】
[本発明の各態様]
本発明の一態様に係る有機発光素子では、基板と、基板の上方に形成された発光部と、発光部の構成中に含まれる有機層を基板の主面に沿った方向に区画するバンクと、を有する。当該態様に係る有機発光素子では、バンクにより区画された有機層は、平面視において、第1方向の長さが、これに直交する第2方向の長さに比べて長い面形状を有し、有機層の表面は、第2方向において、層厚方向の上方(上向き)に凸の形状を有し、かつ、第1方向において、層厚方向の下方(下向き)に凸の形状を有する、ことを特徴とすることができる。
【0021】
上記一態様に係る有機発光素子では、有機層を平面視する場合において第1方向の長さが第2方向の長さに比べて長く、第1方向における有機層の表面形状が下方に凸であり、かつ、第2方向における有機層の表面形状が上方に凸である。これより、有機層の表面は、第1方向における下方に凸と、第2方向における上方に凸とで、互いを相殺する関係となる。よって、上記一態様に係る有機発光素子では、凹部内における有機層の表面が、従来に比べて広い平坦領域を有し、高い層厚均一性が得られる。
【0022】
従って、上記一態様に係る有機発光素子では、優れた素子特性を有する。
【0023】
本発明の一態様に係る有機発光素子では、具体例として、有機層の表面が、第2方向において、中央部が端部側に比べて層厚方向上向きに突出し、第1方向において、端部側が中央部に比べて層厚方向上向きに突出する形状を備える、という構成を採用することができる。
【0024】
本発明の一態様に係る有機発光素子では、具体例として、有機層が、バンクの囲繞により構成される凹部内に対して有機材料を含むインクを塗布し、これを乾燥させることにより形成されている、という構成を採用することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る有機発光素子では、有機層において、第1方向の長さと第2方向の長さとの比が、3:1〜5:1の範囲内にある、という構成を採用することができる。第1方向の長さと第2方向の長さとの比を、上記範囲内とする場合には、長軸方向である第1方向において、有機層の表面形状が下方に凸となり、短軸方向である第2方向において、有機層の表面形状が上方に凸となる。
【0026】
一方、第1方向の長さと第2方向の長さとの比が上記範囲外の場合には、次のようになるものと考えられる。
【0027】
(i)長軸方向である第1方向の長さと短軸方向である第2方向の長さとの差が小さいときには、第1方向および第2方向の両方向において、有機層の表面形状が上方に凸となるか、あるいは、両方向において、有機層の表面形状が下方に凸になる可能性がある。
【0028】
(ii)長軸方向である第1方向の長さと短軸方向である第2方向の長さとの差が大きいときには、塗布したインクの固形分が乾燥後、長軸方向である第1方向の端部に偏りやすくなり、所望の層厚(例えば、ピクセルの中央部で100nm前後の層厚)を得られない可能性がある。
【0029】
本発明の一態様に係る有機EL表示パネルは、複数の画素が2次元配置され、複数の画素の少なくとも一部の画素におけるサブ画素が、上記何れかの態様に係る有機発光素子の構成を備える、ことを特徴とすることができる。
【0030】
上記一態様に係る有機EL表示パネルでは、複数の画素の少なくとも一部の画素におけるサブ画素が、上記何れかの態様に係る有機発光素子の構成を備えるので、上述と同様の理由から、当該少なくとも一部の画素におけるサブ画素では、有機層の高い層厚均一性が得られる。
【0031】
従って、上記一態様に係る有機EL表示パネルでは、優れた表示特性を有する。
【0032】
本発明の一態様に係る有機EL表示装置は、上記態様に係る有機EL表示パネルを備える、ことを特徴とすることができる。
【0033】
上記一態様に係る有機EL表示装置では、上記態様に係る有機EL表示パネルを備えるので、上述と同様の理由から、優れた表示特性を有する。
【0034】
本発明の一態様に係る塗布型デバイスは、凹部が形成されてなる基板と、凹部に対してインクを塗布し、これを乾燥することにより形成された機能層と、を有する。当該態様に係る塗布型デバイスでは、機能層は、平面視において、第1方向の長さが、これに直交する第2方向の長さに比べて長い面形状を有し、機能層の表面は、第2方向において、層厚方向の上方(上向き)に凸の形状を有し、かつ、第1方向において、層厚方向の下方(下向き)に凸の形状を有する、ことを特徴とすることができる。
【0035】
上記一態様に係る塗布型デバイスでは、機能層を平面視する場合において第1方向の長さが第2方向の長さに比べて長く、第1方向における機能層の表面形状が下方に凸であり、かつ、第2方向における機能層の表面形状が上方に凸である。これより、上記同様の理由から、機能層の表面は、第1方向における下方に凸と、第2方向における上方に凸とで、互いを相殺する関係となる。よって、上記一態様に係る塗布型デバイスでも、上記同様に、凹部内における機能層の表面が、従来に比べて広い平坦領域を有し、高い層厚均一性が得られる。従って、上記一態様に係る塗布型デバイスでも、優れたデバイス特性を有する。
【0036】
本発明の一態様に係る塗布型デバイスでは、機能層において、第1方向の長さと第2方向の長さとの比が、3:1〜5:1の範囲内にある、という構成を採用することができる。このように第1方向の長さと第2方向の長さとの比を上記範囲内にする場合に得られる効果と、範囲外とする場合に生じ得る問題点については、上述の通りである。
【0037】
本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法は、(a)基板を準備し、(b)基板上に対し、その一部領域を囲繞するバンクを形成し、(c)バンクの囲繞により構成された凹部内に対して有機材料を含むインクを塗布して塗布膜を形成し、(d)塗布膜を乾燥させて、発光部の構成中に含まれる有機層を形成する、という過程を経るものである。当該態様に係る製造方法では、凹部内に形成される有機層は、平面視において、第1方向の長さが、これに直交する第2方向の長さに比べて長い面形状を有するようにし、有機層の形成では、その表面が、第2方向において、層厚方向の上方に凸の形状であり、かつ、第1方向において、層厚方向の下方に凸の形状となるようにする、ことを特徴とすることができる。
【0038】
上記態様に係る有機発光素子の製造方法では、塗布膜を乾燥させて形成される有機層の表面形状が、第1方向において下方に凸であり、かつ、第2方向において上方に凸となるようにしている。これより、形成される有機層の表面は、第1方向における下方に凸と、第2方向における上方に凸とで、互いを相殺する関係となり、表面が、従来に比べて広い平坦領域を有し、高い層厚均一性の有機層を形成することができる。
【0039】
従って、上記一態様に係る有機発光素子の製造方法では、優れた素子特性を有する有機発光素子を製造することができる。
【0040】
なお、上述のように、有機層の表面プロファイルについては、凹部における長軸方向(第1方向)長さと短軸方向(第2方向)長さ、用いるインクの粘度、乾燥温度、乾燥速度などを制御することで実現が可能である。
【0041】
本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、乾燥前の塗布膜の表面が、第1方向および第2方向の両方向において、膜厚方向の上方に凸の形状である、という構成を採用することができる。このように、乾燥前(塗布直後)の塗布膜の表面が、第1方向および第2方向の両方向において、膜厚方向の上方に凸の形状である場合には、塗布直後の塗布膜の表面が、上方に凸、または下方に凸になるような場合に比べて、塗布膜の形状が安定しやすいと考えられる。このため、乾燥工程における膜形状(表面形状)の平坦化を制御しやすくなると考えられる。
【0042】
また、バンク材料として撥液性材料を用いるので、塗布したインクが凹部から溢れ出し難い。
【0043】
また、本発明の一態様に係る有機発光素子の製造方法では、有機層において、第1方向の長さと第2方向の長さとの比が、3:1〜5:1の範囲内にある、という構成を採用することができる。
【0044】
本発明の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、形成しようとする複数の画素の少なくとも一部の画素におけるサブ画素の形成においては、上記態様に係る有機発光素子の形成方法を採用する、ことを特徴とすることができる。
【0045】
上記態様に係る有機EL表示パネルの製造方法では、形成しようとする複数の画素の少なくとも一部の画素におけるサブ画素の形成においては、上記態様に係る有機発光素子の製造方法を採用するので、上述と同様の理由から、当該少なくとも一部の画素におけるサブ画素では、有機層の高い層厚均一性が得られる。
【0046】
従って、上記一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法では、優れた表示特性を有する有機EL表示パネルを製造することができる。
【0047】
本発明の一態様に係る有機EL表示装置の製造方法は、複数の画素が2次元配置されてなる有機EL表示パネルと、当該有機EL表示パネルに接続される駆動・制御部とを備える有機EL表示装置の製造方法であって、有機EL表示パネルの製造においては、上記態様に係る有機EL表示パネルの製造方法を採用する、ことを特徴とすることができる。
【0048】
上記態様に係る有機EL表示装置の製造方法では、有機EL表示パネルの製造について、上記態様に係る有機EL表示パネルの製造方法を採用するので、優れた表示特性を有する有機EL表示パネルを備える有機EL表示装置を製造することができる。
【0049】
本発明の一態様に係る塗布型デバイスの製造方法は、(a)凹部が形成されてなる基板を準備し、(b)凹部に対してインクを塗布し、(c)インクを乾燥させて機能層を形成する、という過程を経るものである。当該態様に係る製造方法では、凹部内に形成される機能層は、平面視において、第1方向の長さが、これに直交する第2方向の長さに比べて長い面形状を有するようにし、機能層の形成では、その表面が、第2方向において、層厚方向の上方に凸の形状であり、かつ、第1方向において、層厚方向の下方に凸の形状となるようにする、ことを特徴とすることができる。
【0050】
上記態様に係る塗布型デバイスの製造方法では、凹部内に塗布されたインクを乾燥させることで形成される機能層の表面形状が、第1方向において下方に凸であり、かつ、第2方向において上方に凸となるようにしている。これより、形成される機能層の表面は、第1方向における下方に凸と、第2方向における上方に凸とで、互いを相殺する関係となり、表面が、従来に比べて広い平坦領域を有し、優れたデバイス特性を有する塗布型デバイスを製造することができる。
【0051】
本発明の一態様に係る塗布型デバイスの製造方法では、乾燥前のインクの表面が、第1方向および第2方向の両方向において、膜厚方向の上方に凸の形状である、という構成を採用することができる。このような膜の表面形状を採用する場合に得られる効果は、上述の通りである。
【0052】
また、本発明の一態様に係る塗布型デバイスの製造方法では、機能層において、第1方向の長さと第2方向の長さとの比が、3:1〜5:1の範囲内にある、という構成を採用することができる。このように第1方向の長さと第2方向の長さとの比を上記範囲内にする場合に得られる効果と、範囲外とする場合に生じ得る問題点については、上述の通りである。
【0053】
[実施の形態]
画素サイズが1辺数百μm程度の微小な場合、あるいは厚さ数十〜数百nmの薄い厚みの層を形成する場合、乾燥中に、バンクの囲繞により構成される凹部内の中央部と端部における溶媒の蒸発速度の差が生じ、溶液が中央から端部へ対流しようとする力が働き、下方に突出する形状を備える傾向が強い。画素サイズが1辺数百μm以下の場合、上述のように薄い厚みの層を形成する条件を制御することで、上方に突出する形状を有する可能性がある。
【0054】
本実施の形態では、有機EL表示装置における有機EL表示パネルが備える発光層を形成する工程において本発明を適用する。
【0055】
<有機EL表示装置1の構成>
本発明の実施の形態に係る有機EL表示装置1の構成について、
図1を用い説明する。
【0056】
図1に示すように、有機EL表示装置1は、有機発光デバイスの一例としての有機EL表示パネル10と、これに接続された駆動・制御部20とを有し構成されている。
【0057】
有機EL表示パネル10は、有機材料の電界発光現象を利用したパネルであり、複数の有機EL素子が、例えば、マトリクス状に配列され構成されている。駆動・制御部20は、4つの駆動回路21〜24と制御回路25とから構成されている。
【0058】
なお、本実施の形態に係る有機EL表示装置1では、有機EL表示パネル10に対する駆動・制御部20の配置については、これに限られない。
【0059】
<有機EL表示パネル10の概略構成>
有機EL表示パネル10の構成について、
図2および
図3を用い説明する。
図2は、有機EL表示パネル10の構成の一部を模式的に示す平面図であり、
図3は、
図2におけるA−A’断面を模式的に示す断面図である。
【0060】
図2に示すように、有機EL表示パネル10は、RGB各発光色のサブピクセル(サブ画素)10a,10b,10cがマトリクス状に配置され、隣接するR(赤色)のサブピクセル10aとG(緑色)のサブピクセル10bとB(青色)のサブピクセル10cを以って一のピクセル(画素)が構成されている。即ち、本実施の形態に係る有機EL表示パネル10は、トップエミッション型の有機EL素子(サブピクセル)10a,10b,10cがマトリクス状に配列されてなる表示パネルである。
【0061】
図3に示すように、TFT基板101(以下、「基板101」と記載する)上には、陽極102がマトリクス状に形成されており、陽極102上に、例えばITO(酸化インジウムスズ)等の透明導電材料からなる透明導電層103及び、ホール注入層104がその順で積層されている。なお、透明導電層103が陽極102上にのみ積層されているのに対し、ホール注入層104は陽極102上だけでなく基板101の上面全体に亘って形成されている。
【0062】
陽極102の周辺上部にはホール注入層104を介してバンク105が形成されており、バンク105の囲繞により構成された凹部内に発光層106が積層されている。さらに、発光層106の上には、電子注入層107、陰極108、及び封止層109が積層形成されている。これら電子注入層107、陰極108、および封止層109は、各バンク105で規定された領域を超えて、隣接するサブピクセル(有機EL素子)10a,10b,10cに亘り連続するように形成されている。
【0063】
《基板101》
基板101は、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、又はアルミナ等の絶縁性材料をベース材料として形成される。
【0064】
《陽極102》
陽極102は、Ag(銀)の他、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等で形成されていても良い。
【0065】
《透明導電層103》
透明導電層103は、陽極102およびホール注入層104の間に介在し、各層間の接合性を良好にする機能を有する。
【0066】
《ホール注入層104》
ホール注入層104は、金属酸化物、金属窒化物又、金属窒化物などホール注入機能を果たす材料、例えば、WOx(酸化タングステン)又はMoxWyOz(モリブデン−タングステン酸化物)で形成される。このホール注入層104は、バンク105の底面に沿って側方に延出している。
【0067】
《バンク105》
バンク105は、樹脂等の絶縁性を有する有機材料、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等で形成される。バンク105は、有機溶剤耐性を有することが望ましく、また、エッチング処理、ベーク処理等がされることがあるので、それらの処理に対して変形、変質などしにくい材料で形成することが好ましい。
【0068】
《発光層106》
発光層106は、RGB各発光色の有機発光材料(蛍光物質)からなる層(有機層)である。換言すると、有機EL素子においては、発光層106は機能層である。
【0069】
この有機発光材料としては、例えば、特開平5−163488号公報に記載されたオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等が挙げられる。
【0070】
なお、発光層106においては、サブピクセル10a〜10cの各々における長軸方向の長さと短軸方向の長さとの比が、3:1〜5:1であることが望ましい。このように各サブピクセル10a〜10cにおける長軸方向の長さと短軸方向の長さとの比を、3:1〜5:1の範囲内とする場合には、長軸方向において、有機層としての発光層106の表面形状が下方に凸となり、短軸方向において、発光層106の表面形状が上方に凸となる。
【0071】
ここで、長軸方向の長さと短軸方向の長さとの比が3:1〜5:1の範囲内にない場合には、(i)長軸方向の長さと短軸方向の長さとの差が小さいときには、長軸方向および短軸方向の両方向において、発光層106の表面形状が上方に凸となるか、あるいは、両方向において、下方に凸になる可能性があり、(ii)長軸方向の長さと短軸方向の長さとの差が大きいときには、塗布したインクの固形分が乾燥後、長軸方向である第1方向の端部に偏りやすくなり、所望の層厚(例えば、ピクセルの中央部で100nm前後の層厚)を得られない可能性がある。
【0072】
《電子注入層107》
電子注入層107は、陰極108から注入された電子を発光層106へ注入・輸送する機能を有し、例えば、バリウム、フタロシアニン、フッ化リチウム、あるいはこれらの組み合わせで形成されることが好ましい。
【0073】
トップエミッション型の有機EL素子であるので、陰極108は、光透過性の材料、例えば、ITO、IZO(酸化インジウム亜鉛)等で形成されている。
【0074】
《封止層109》
封止層109は、発光層106等が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する役割を有し、例えば、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の材料で形成されている。
【0075】
なお、
図3では、基板101を
図2におけるA−A’断面での形状を示しているが、
図2に示すように、バンク105は、基板101の上面に沿って縦方向および横方向に延設されている。本実施の形態に係るバンク105は、所謂、ピクセルバンク構造を有する。
【0076】
<発光層106の層厚分布>
本実施の形態に係る有機EL表示パネル10が有する発光層106の層厚分布について、
図4および
図5を用い説明する。
図4(a)は、
図2のA−A’断面におけるホール注入層104、バンク105、および発光層106を模式的に抜き出して示す断面図であり、
図4(b)は、
図2のB−B’断面におけるホール注入層104、バンク105、および発光層106を模式的に抜き出して示す断面図である。
図5は、発光層106における層厚が均一である領域を模式的に示す平面図である。
【0077】
図4(a)に示すように、サブピクセル10a,10b,10cの各々における長軸方向(Y軸方向)での発光層106の層厚は、中央部P
C1での層厚T
C1に対して、バンク105に近い端部P
E1,P
E2での各層厚T
E1,T
E2の方が厚くなっている。即ち、次のような関係となっている。
【0078】
[数1]T
C1<T
E1
[数2]T
C1<T
E2
図4(a)に示すように、長軸方向(Y軸方向)での発光層106の表面F
Lは、Z軸方向の下向きに凸の形状を有する。
【0079】
一方、
図4(b)に示すように、サブピクセル10a,10b,10cの各々における短軸方向(X軸方向)での発光層106の層厚は、中央部P
C1での層厚T
C1に対して、バンク105に近い端部P
E3,P
E4での各層厚T
E3,T
E4の方が薄くなっている。即ち、次のような関係となっている。
【0080】
[数3]T
C1>T
E3
[数4]T
C1>T
E4
図4(b)に示すように、短軸方向(X軸方向)での発光層106の表面F
Sは、Z軸方向の上向きに凸の形状を有する。
【0081】
図4(a)に示す長軸方向における発光層106の表面F
Lのプロファイルと、
図4(b)に示す短軸方向における発光層106の表面F
Sのプロファイルとを合成して考えると、
図5のハッチングを付した部分に示すように、本実施の形態に係る有機EL表示パネル10では、サブピクセル10a,10b,10cの各々における発光層106の層厚が均一な領域A
FLは、従来技術に比べて約3〜10倍広くなる。例えば、長軸方向の発光層の表面プロファイルも短軸方向の発光層の表面プロファイルもともに下方に凸となる従来技術に比べて、層厚が均一な領域A
FLは、約10倍広くなる。
【0082】
上記のような効果は、
図5に示すように、長軸方向L
LCでの発光層106の表面F
Lのプロファイルと、短軸方向L
SCでの発光層106の表面F
Sのプロファイルとが、互いに相殺する関係となり、その結果として、発光層106の層厚が均一な領域A
FLが従来比で広くなるものである。
【0083】
なお、「層厚が均一」とは、必ずしも完全に層厚が均一である形態だけではなく、特性という観点から許容できる範囲を含むものである。例えば、発光層106の場合には、設計厚みに対して±10nm、あるいは設計厚みに対して±5nmの範囲を含むものとすることができる。
【0084】
<有機EL表示装置1の製造方法>
有機EL表示装置1の製造方法のうち、有機EL表示パネル10の製造方法について、その特徴部分だけを
図6を用い説明する。
図6(a)から
図6(d)は、上記有機EL表示パネル10の製造方法を説明する工程図である。
【0085】
図6(a)に示すように、基板101上に、陽極102、透明導電層103、ホール注入層104を順に形成し、ホール注入層104上にバンク105を形成する。それに伴ってバンク105で囲繞されることにより、発光層形成予定領域である凹部105aが形成される。
【0086】
陽極102は、例えばスパッタリングによりAg薄膜を形成し、当該Ag薄膜を例えばフォトリソグラフィ法でマトリックス状にパターニングすることによって形成する。
【0087】
ホール注入層104は、WOx又はMoxWyOzを含む組成物を用いて、真空蒸着、スパッタリングなどの技術で形成する。
【0088】
バンク105は、ホール注入層104上にバンク材料を塗布する等によってバンク材料層を形成し、形成したバンク材料層の一部を除去することによって形成する。バンク材料層の除去は、バンク材料層上にレジストパターンを形成し、その後、エッチングすることにより行うことができる。バンク材料層の表面に、必要に応じてフッ素系材料を用いたプラズマ処理等によって撥液処理を施してもよい。
【0089】
次に、
図6(b)に示すように、バンク105の囲繞により構成された凹部105aに、RGB各発光色のいずれかに対応する有機発光材料を含む塗布液としてのインク1060を充填する。そして、充填したインク1060を減圧下で乾燥させることによって、
図6(c)に示すように発光層106を形成する。この発光層106の形成工程については後で詳しく説明する。
【0090】
なお、
図6(c)では、長軸方向(Y軸方向)での発光層106の断面構造だけを示しているが、短軸方向(X軸方向)での発光層106の断面構造は、
図4(b)に示す構造となっている。
【0091】
次に、
図6(d)に示すように、電子注入層107、陰極108、封止層109を順次形成する。電子注入層107は、例えば真空蒸着によってバリウムを薄膜形成する。ここで、電子注入層107、陰極108、封止層109については、凹部105a内だけではなく、バンク105の側面105dおよび上面105eも被覆するように形成する。
【0092】
陰極108は、例えばスパッタリング法によってITOを薄膜形成する。
【0093】
<発光層106の形成>
上記発光層106の形成方法について詳細に説明する。
【0094】
《インク準備工程》 RGB各発光色ごとに、発光層106を構成する有機発光材料を溶質とし、比較的沸点が高い溶剤(沸点170〜300℃)を含む溶剤に溶解してインク1060を製造する。
【0095】
溶剤としては、シクロヘキシルベンゼン(CHB、沸点238℃)の他に、例えば、ジエチルベンゼン(沸点183℃)、デカハイドロナフタレン(沸点190℃)、メチルベンゾエート(沸点199℃)、アセトフェノン(沸点202℃)、フェニルベンゼン(沸点202℃)、ベンジルアルコール(沸点205℃)、テトラハイドロナフタレン(沸点207℃)、イソフォロン(沸点213℃)、n−ドデカン(沸点216℃)、ジシクロヘキシル(沸点227℃)、p−キシレングリコールジメチルエーテル(沸点235°)が挙げられる。
【0096】
これら溶剤は、単独で用いてもよいし、複数の溶剤を混合したもの、あるいは上記の高沸点溶剤と、沸点170℃未満の低沸点溶剤とを混合して用いてもよい。
【0097】
《インク充填工程》 基板101上の全体に亘って、バンク105の囲繞により構成された各凹部105a内に、液滴吐出法(インクジェット法)で、RGB各発光色のインク1060を充填する。
【0098】
インクを充填する方法として、この他に、ディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等を用いてもよい。
【0099】
なお、
図6(b)では、凹部105aの長軸方向のみを図示しているが、凹部105aにインク1060を充填した状態では、凹部105aの長軸方向および短軸方向の両方向において、インク1060の表面は、ともに膜厚方向(Z軸方向)の上方に凸の形状を有している。これは、バンク105の表面が撥液性を有することに起因する。このように、乾燥前(塗布直後)のインク(塗布膜)1060の表面が、長軸方向および短軸方向の両方向において、膜厚方向の上方に凸の形状である場合には、塗布直後のインク1060の表面が、上方に凸、または下方に凸になるような場合に比べて、塗布膜の形状が安定しやすいと考えられる。このため、乾燥工程における膜形状(表面形状)の平坦化を制御しやすくなると考えられるまた、バンク材料として撥液性材料を用いるので、塗布したインク1060が凹部から溢れ出し難い。
【0100】
《乾燥工程》 各発光色のインクが充填された基板101を、
図7に示す乾燥装置500の乾燥室501内に収納し、減圧雰囲気下でインク中の溶剤を蒸発させることによって乾燥させる。
【0101】
図7は、有機EL表示パネル10を製造する際に、乾燥工程で用いる乾燥装置500の概略構成を示す図である。
【0102】
乾燥装置500は、乾燥室501と、当該乾燥室501から排気するための排気管502、真空ポンプ503と、排気管502における排気コンダクタンスを調節するバルブ504と、乾燥室501内の圧力を測定する圧力計505と、圧力計505の測定結果に基いてバルブ504の排気コンダクタンスを調節するコントローラ506とを備えている。
【0103】
また、乾燥室501の内部に、基板101を支持する支持部507を備えている。なお、基板101を加熱しながら乾燥する場合には、乾燥室501内にヒータ等を設置しておく。
【0104】
減圧容器501は、その側面に基板101を出し入れする扉(不図示)を備え、気密に密閉できるようになっている。
【0105】
真空ポンプ503は、減圧容器である乾燥室501内を10Pa以下まで減圧できる能力を持ったもので、例えば、メカニカルブースタとロータリポンプを用いる。また、乾燥室501内の圧力に応じて使用する真空ポンプを切り変えるようにしてもよい。例えば、大気圧から素引きするときには、ロータリポンプを用いて排気し、真空度が高くなったら、メカニカルブースタを併用するようにしてもよい。
【0106】
このような乾燥装置500を用いて、次のようにインクの減圧乾燥を行う。
【0107】
乾燥室501内(初期温度25℃)の支持部507上に、インクを充填した基板101を設置して、減圧容器である乾燥室501を密閉する。
【0108】
その後、乾燥室501を真空ポンプ503で減圧する。
【0109】
図8は、減圧容器である乾燥室501内の圧力プロファイル(圧力の時間的変化)の一例である。
【0110】
この例では、大気圧状態から10Pa程度になるまで乾燥室501の減圧を約7分かけて行う。その後、3分間程度、バルブ504を調整して乾燥室501内の圧力を10Paに維持する。
【0111】
このように減圧容器である乾燥室501内を減圧することによってインク1060中に含まれる溶媒が蒸発して、発光層106が形成される。
【0112】
その後、バルブ504を閉じ、乾燥室501内に大気を導入して大気圧状態に戻し、乾燥室501から基板101を取り出す。
【0113】
なお、
図6(c)では、凹部105aの長軸方向のみを図示しているが、乾燥後における発光層106は、凹部105aの長軸方向において、層厚方向(Z軸方向)の下方に凸の形状を有し、凹部105aの短軸方向において、層厚方向(Z軸方向)の上方に凸の形状を有している。即ち、
図4(a)および
図4(b)に示すような形状を有することになる。
【0114】
<実施例の乾燥方法による効果>
以下、
図9を参照しながら、この効果を詳細に説明する。
【0115】
乾燥室501内を低圧力(高真空)にして乾燥すると、
図9(a)の矢印で示すように、溶媒蒸発速度は大きくなり、それに伴って、1素子領域(一の凹部105a内)のインク1060の溜まり(塗布膜)において、中央部(バンク105から離れた領域)からの蒸発速度と比べると、端部(バンク105に近い領域)からの蒸発速度の方がかなり大きくなる。
【0116】
これは、インク1060の溜まり(塗布膜)の表面付近において、バンク105から離れた中央部では、その横にも溶媒蒸気発生源(インク)が存在するので、蒸気が横方向に拡散することなく、ほぼ上方向だけに拡散するのに対して、バンク105に近い端部では、その横に溶媒蒸気を発生しないバンク105が存在しているので、溶媒蒸気が上方向だけでなく、バンク105の上方に向かっても拡散されるためである。
【0117】
特に、サブピクセル10a,10b,10cの各辺長(開口縁辺の長さ)Laが500μm以下の微小なサイズの場合、通常と比べて高い圧力で溶媒が蒸発するので、中央部と端部とで蒸発速度差は大きくなる。
【0118】
インク1060の溜まり(塗布膜)には、レベリングによって平坦化しようとする作用はあるが、中央部と端部とで蒸発速度の差が大きくなると、インク1060の溜まり(塗布膜)の中で、蒸発速度の小さい中央部から蒸発速度の大きい端部へとインク液が流れ込み、バンク105に近い端部においては、中央部から流れ込むインク1060に含まれる溶媒だけ蒸発して溶質(発光層材料)が堆積されていく。
【0119】
その結果、
図9(b)に示すように、発光層106の層厚は、中央部と比べて端部で大きくなる。すなわち、形成される発光層106の素子内での層厚バラツキが生じることになる。
【0120】
一方、サブピクセル10a,10b,10cの各長軸方向の長さを100μm以上、600μm以下、短軸方向の長さを10μm以上、90μm以下にし、インクの粘度は2mPa・s以上、21mPa・s以下であり、乾燥時の温度は20℃以上100℃以下にする。容器内の圧力が大気圧から1000Paまでに達するまでの減圧乾燥速度を概ね−999000Pa/sec以上、−10000Pa/min以下の範囲で制御できれば、画素内の発光層の形状は、100μm以上、600μm以下の長さを有する長径方向においては溶質の流動が停止するまで画素内端部に溶質が移動する時間が十分あるため下方に突出する形状を備えやすく、10μm以上、90μm以下の長さしか有しない短径方向においては、上方に突出する形状になりやすい。結果として、長径方向の形状と短径方向の形状が相殺され、比較的平坦な形状を有する面積を拡げることができ、形成される発光層106は層厚均一性が良好なものとなる。
【0121】
<実験>
上記効果を確認するために以下のように実験を行った。
【0122】
《凹部形成》 平らなガラス基板上に、感光材料をスピン塗布して、フォトリソグラフィ法でパターンニングすることによってバンクを形成すると共に、バンクで囲繞することにより縦長の溝(長方形状凹部)を形成した。凹部を規定するバンクの形状については、
図2に示すものと同じである。
【0123】
ここで、サブピクセルにおける長軸方向の長さと短軸方向の長さの比は、例えば、4:1〜5:1である。
【0124】
《インク製造》 溶質として、ポリフルオレンポリマー(Poly(9,9−di−n−dodecy lfluorenyl−2,7−diyl)、アルドリッチ製)を用い、溶媒として安息香酸ブチル(沸点242℃)を用いた。
【0125】
天秤で、安息香酸ブチルと、ポリフルオレンポリマーを秤量し、バイオシェイカー(溶解温度:60℃、回転数:100rpm)で24時間振動させて、十分に溶解させることによってインクを製造した。製造されたインクの粘度は、
図11(a)に示すように、サンプル毎に、10.3mPa・sと12.3mPa・sの2種類である。
【0126】
《インク充填》 ガラス基板上に形成した各溝に、インクジェット塗布方式でインクを充填した。
【0127】
《乾燥》 乾燥は、上述の減圧乾燥を行い、
図11(a)に示すように、サンプル毎に、乾燥温度を25℃、50℃、60℃、70℃、80℃の5種類とした。
【0128】
それぞれのサンプルについて、基板上に形成された発光層における凹部内の層厚分布(長軸方向と短軸方向)を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した。
【0129】
その結果、長軸方向においてはすべてのサンプルにおいて下方に突出する形状(下方に凸の形状)になった。短軸方向における発光層の表面プロファイルについての測定結果および判定結果を
図11(b)に示す。実施例であるサンプル1,2,9,10では
図10(b)に示す上方に凸の形状となり、発光層の表面における厚の平坦な領域の面積が広がることで、均一な層厚を有する領域を広くとることができるという効果を高めることが期待できる。
【0130】
図10(a)に長軸方向での表面プロファイル、
図10(b)に短軸方向での表面プロファイルを示す。表面プロファイルは凹部内に形成された有機層の層厚分布を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した。
図10(c)は長軸方向での表面プロファイルと短軸方向での表面プロファイルとを掛け合わせて、計算により凹部内全体の層厚分布を算出したものである。
【0131】
45nm〜55nmの箇所が有効な範囲であり、それ以外は有効でない範囲である。
【0132】
なお、
図11(b)においては、平坦性が良い(有効な範囲が広い)形状の場合の結果を「OK」、平坦性が悪い(有効な範囲が狭い)形状の場合の結果を「NG」と示す。
【0133】
また、サンプル1〜10の全てにおいて、上述のように、長軸方向の画素はすべて下方に突出する形状になった。
【0134】
サンプル3〜8のように、短軸方向が下方に凸の形状となった場合は、凹部内全体は平坦性が悪い(有効な範囲が狭い)形状になる。
【0135】
逆に、サンプル1,2,9,10のように、短軸方向が上方に凸の形状となった場合は、長軸方向における下方に凸の形状、短軸方向における上方に凸の形状の相殺効果が働き平坦性の高い(有効な範囲が広い)層厚分布を有することになる。
【0136】
ここで、
図11(a)では、インクの初期粘度と乾燥温度について、10種類のサンプルを用いた。各サンプルについて、インクの初期粘度と乾燥温度との関係を
図12に示す。
図12に示すように、短軸方向において上方(上向き)に凸の形状となる条件は、
図10(a)に示す条件の他にも存在する。
【0137】
(変形例)
(1)上記実施の形態では、基板上に複数のEL素子を形成する際に、バンクの囲繞により構成される凹部内に発光層を形成する場合について示したが、電荷注入輸送層など、発光層以外の機能層をバンクの囲繞により構成される凹部内にウェットで形成する場合も、同様に実施することができ、同様の効果を奏する。
【0138】
(2)上記実施の形態では、トップエミッション型有機EL表示パネル10の発光層106を形成する例を説明したが、ボトムエミッション型有機EL表示パネルの発光層を形成する場合にも適用可能である。また、有機EL素子の発光層以外に、有機EL素子の電荷輸送層を形成する際にも適用できる。
【0139】
(3)さらに、実施の形態で説明した有機EL素子以外に、プラズマディスプレイパネルの隣接リブ間にインクを塗布する際にも、本発明を適用できる。