(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂縦框は、底壁側よりも前記パネル体を納める開口側が、室内外方向において幅狭となるように形成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の障子。
前記縦框は召合わせ框及び戸当たり框からなり、前記横框は樹脂製の樹脂横框内に金属製の金属横框を納めてなり、前記樹脂縦框と樹脂横框には、それぞれ室内側面及び室外側面に装飾部が形成され、前記戸当たり框を構成する樹脂縦框の戸当たり面と、前記框体の上辺を構成する樹脂横框の前記枠体と対向する面には、前記装飾部は形成されないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の障子。
前記樹脂縦框は、前記金属縦框の飲み込み部の内周端部よりも内周側まで伸びる内周延長部を有し、該内周延長部には前記パネル体の室内外面にそれぞれ当接する当接フィン部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の障子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
樹脂サッシの障子は、このように樹脂部材内に金属材を設けて強度を確保しているが、樹脂部材自体にもできるだけ強度の高い材料を採用し、強度を大きくするようにしている。一方で、サッシの意匠性をより向上させるため、樹脂框の表面を木目調とするなどの装飾を施したり、また、質感を天然の木材に近づけたりするため、人工木材料を採用することも考えられている。
【0007】
かかる材料の場合、従来の樹脂サッシに用いられていた樹脂材料よりも強度が低いため、ホロー形状と金属材の組み合わせで強度を確保しようとした場合、肉厚が大きくなって、材料費がかかると共に、見込方向寸法も大きくなってしまうという問題があった。また、装飾のために框材に表面加工を行う際、ホロー形状ではうまく行うことができないという問題もあった。
【0008】
そこで、框材をホロー形状ではなく、断面略コ字状に形成して中空部を有しないソリッド形状とすることも考えられるが、強度が不足することや、樹脂材料の経年変化により、パネル開口溝に反りが発生するなどの変形を抑制することが困難であるといった問題を有していた。
【0009】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、樹脂部材をソリッド形状としても強度を十分に確保できると共に、変形も防止することのできる障子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る障子は、建物開口部に設けられる枠体内に納められ、上下の横框と左右の縦框とを方形状に框組みした框体内にパネル体を納めてなる障子において、
前記縦框は、前記パネル体を納められるように内周側が開口する樹脂製の樹脂縦框と、該樹脂縦框内に納められる内周側が開口する金属製の金属縦框とからなり、
前記樹脂縦框は内壁面に係合部を有し、前記樹脂縦框の係合部は、少なくとも前記内壁面の室内側面又は室外側面のいずれか一方に形成され、前記金属縦框は前記樹脂縦框の内壁面に略沿う外形部を有すると共に、前記パネル体の周縁部を納める凹状の飲み込み部と、前記係合部に係合する被係合部とを有し、前記被係合部は、少なくとも前記内壁面の室内側面又は室外側面に対向する前記金属縦框の辺の
うち前記係合部が形成される側の一方に形成されることを特徴として構成されている。
【0011】
また、本発明に係る障子は、前記金属縦框の被係合部は、前記飲み込み部を構成する底壁の裏面側に形成されることを特徴として構成されている。
【0012】
さらに、本発明に係る障子は、前記樹脂縦框は、底壁側よりも前記パネル体を納める開口側が、室内外方向において幅狭となるように形成されてなることを特徴として構成されている。
【0013】
さらにまた、本発明に係る障子は、前記縦框は召合わせ框及び戸当たり框からなり、前記横框は樹脂製の樹脂横框内に金属製の金属横框を納めてなり、前記樹脂縦框と樹脂横框には、それぞれ室内側面及び室外側面に装飾部が形成され、前記戸当たり框を構成する樹脂縦框の戸当たり面と、前記框体の上辺を構成する樹脂横框の前記枠体と対向する面には、前記装飾部は形成されないことを特徴として構成されている。
【0014】
そして、本発明に係る障子は、前記樹脂縦框は、前記金属縦框の飲み込み部の内周端部よりも内周側まで伸びる内周延長部を有し、該内周延長部には前記パネル体の室内外面にそれぞれ当接する当接フィン部が形成されていることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る障子によれば、樹脂縦框は内壁面に係合部を有し、金属縦框は内壁面に略沿う外形部を有すると共に、パネル体の周縁部を納める凹状の飲み込み部と、係合部に係合する被係合部とを有してなることにより、樹脂縦框内に納められる金属縦框によって框材を補強すると共にパネル体の固定強度も十分に確保することができ、樹脂部材をソリッド形状としても框体の強度を十分に確保できると共に、框材の変形も防止することができる。また、縦框を樹脂縦框と金属縦框の二部材で構成することができるから、樹脂縦框に中空部を形成して強度向上を図る場合と比べて、部品点数を少なくしてコストダウンを図ることができる。
【0017】
また、本発明に係る障子によれば、金属縦框の被係合部は、飲み込み部を構成する底壁の裏面側に形成されることにより、樹脂縦框と金属縦框の固定部分からパネル開口溝の先端までの距離を短くすることができ、樹脂縦框の変形をより抑えることができ、また、固定部分がパネル開口溝と干渉しないから、框材の見込寸法幅が増加しないようにすることができる。
【0018】
さらに、本発明に係る障子によれば、樹脂縦框は、底壁側よりもパネル体を納める開口側が、室内外方向において幅狭となるように形成されてなることにより、樹脂材の弾性力によって金属縦框とパネル体を挟持し、樹脂縦框と金属縦框及びパネル体の係合強度を大きくすることができる。
【0019】
さらにまた、本発明に係る障子によれば、戸当たり框を構成する樹脂縦框の戸当たり面と、框体の上辺を構成する樹脂横框の枠体と対向する面には、装飾部は形成されないことにより、目に触れる必要な部分のみ装飾部を形成することで、コストアップを抑えることができる。
【0020】
そして、本発明に係る障子によれば、樹脂縦框は、金属縦框の飲み込み部の内周端部よりも内周側まで伸びる内周延長部を有し、内周延長部にはパネル体の室内外面にそれぞれ当接する当接フィン部が形成されていることにより、パネル体の気密性及び水密性の確保を図ると共に、金属縦框を見えないようにすることができ、意匠性のさらなる向上を図ることができる。
【0021】
また、本発明に係る障子によれば、金属縦框は内壁面に略沿う外形部を有すると共に、パネル体の周縁部を納める凹状の飲み込み部を有し、金属縦框は樹脂縦框と固着されて一体化されることにより、係合による固定の場合と同様、樹脂縦框の凹部内に納められる金属縦框によって框材を補強すると共にパネル体の固定強度も十分に確保することができ、樹脂部材をソリッド形状としても框体の強度を十分に確保できると共に、框材の変形も防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。
図1には第1の実施形態におけるサッシの縦断面図を、
図2にはサッシの横断面図を、それぞれ示している。本実施形態のサッシは、二重窓を構成する内窓1である。二重窓は、建物開口部の室外側に設けられる外窓90の室内側に内窓1が取付けられるものであり、サッシの断熱性や遮音性を向上させるために設けられる。
【0024】
図1及び
図2には、外窓90は外枠体のみを表している。外枠体は、上辺を構成する外上枠91と、下辺を構成する外下枠92と、左右の縦片を構成する外縦枠93とを、方形状に枠組みしてなり、建物開口部の室外端部に取付けられる。外窓90の構成は、一般的なサッシと同様のものである。外枠体の室内側には、四周に渡って額縁材5が設けられ、この額縁材5の内周面に対し、内窓1が取付けられる。
【0025】
内窓1は、額縁材5に取付けた内枠体2内に内障子3と外障子4を引き違い状に納めてなるものである。内枠体2は、いずれも樹脂材からなる上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成される。また、内障子3及び外障子4は、いずれも外側が樹脂材からなる横框である上框20と下框21、枠側に配置される縦框である戸当たり框22及び召合せ側に配置される縦框である召合せ框23を方形状に框組みしてなる框体7に複層ガラス板からなるパネル体8を納めて構成され、内枠体2内において長手方向に走行自在となるように納められる。すなわち、内窓1は目に触れる部分が樹脂材によって構成される樹脂サッシである。
【0026】
内枠体2を構成する上枠10は、額縁材5の内周面に固定される周面部10aを備え、周面部10aから内周側に向かって室内外に3つの面が突出状に形成されている。これらによって、上枠10の室外側と室内側には、それぞれ凹状の外案内部10bと内案内部10cが形成される。外案内部10bと内案内部10cは、それぞれ外障子4と内障子3の上辺部分を保持し、これらを長手方向に案内する。
【0027】
また、上枠10のうち、室内側に面する室内面部10dには、その表面を覆うように化粧上枠13が取付けられる。上枠10は、内枠体2の強度確保のため、強度の高い樹脂材料によって形成されている。一方で、内障子3及び外障子4を構成する框体7には、意匠性向上のため、上枠10とは異なる種類の樹脂材料を用いている。化粧上枠13は、框体7を構成する樹脂材と同じ材料からなっており、内枠体2と框体7とで、内観視を統一して意匠性を高くすることができる。
【0028】
内枠体2を構成する下枠11は、額縁材5の内周面に固定される基部材11aと、基部材11aの内周面に固定されるレール部材11bとからなっている。レール部材11bは、2条の立ち上がり状に形成されたレール部分を有しており、内障子3と外障子4をそれぞれ走行自在として、これらが長手方向に移動自在となるようにしている。
【0029】
内枠体2を構成する縦枠12は、額縁材5の内周面に固定される周面部12aを備え、周面部12aの室内端部には、見付方向内側に向かって伸びる室内面部12bが形成されている。
【0030】
内障子3と外障子4の框体7の構成につき、より詳細に説明する。框体7を構成する上框20は、框材としての機能を備えた樹脂製の樹脂上框20aと、樹脂上框20aを補強する金属製の金属上框20bとからなっている。樹脂上框20aは、内周側に開口したパネル開口溝30を備え、パネル体8の周縁部を納めて保持することができる。パネル開口溝30の奥側には、嵌合部31、31が形成されており、金属上框20bの被嵌合部35、35を嵌合させることにより、樹脂上框20aと金属上框20bとが一体化されている。
【0031】
樹脂上框20aのパネル開口溝30には、パネル体8を保持する部分に、パネル体8の室内外面にそれぞれ当接する当接フィン部32、32が形成されている。当接フィン部32は、パネル体8の表面に当接し、変形してこれを保持し、気密性及び水密性の確保を図ることができる。
【0032】
框体7を構成する下框21は、框材としての機能を備えた樹脂製の樹脂下框21aと、樹脂下框21aを補強する金属製の金属下框21bとからなっている。樹脂下框21aは、内周側に開口したパネル開口溝40と、外周側に開口した下方凹部41とを備えた断面略H字状に形成されている。下方凹部41には、内障子3や外障子4を下枠11のレール部材11bに載置して走行自在とするための戸車42が配置される。また、パネル開口溝40には、樹脂上框20aと同様、パネル体8を保持する当接フィン部43、43が形成されている。
【0033】
樹脂下框21aの下方凹部41には、金属下框21bも納められる。金属下框21bは、パネル開口溝40と下方凹部41の底壁部分にネジ止めで固定される固着部45と、固着部45から下方凹部41の両側壁に沿って下方に伸びる側面補強部46、46とからなっている。側面補強部46は、下方凹部41の下端部まで伸びており、樹脂下框21aの下方凹部41の変形を防止して強度を向上させている。
【0034】
框体7を構成する縦框である戸当たり框22と召合わせ框23は、それぞれ框材としての機能を備えた樹脂製の樹脂縦框22a、23aと、樹脂縦框22a、23aを補強する金属製の金属縦框22b、23bとからなっている。また、戸当たり框22と召合わせ框23には、内周側に開口したパネル開口溝50、70がそれぞれ形成され、パネル体8の周縁部を保持するように構成されている。
【0035】
縦框の詳細な構成については、拡大図で説明する。
図3には外障子4の框体7のうち戸当たり框22付近の拡大横断面図を、
図4には内障子3及び外障子4の召合わせ部分付近の拡大横断面図を、それぞれ示している。
図3に示すように、戸当たり框22は、全体としては内周側に向かって開口する凹部51を有したソリッド形状を有するように形成された樹脂縦框22aと、樹脂縦框22a内に納められる金属縦框22bとで構成されている。
【0036】
樹脂縦框22aは、全体が凹部51をなすように形成されているから、室内側面52と室外側面53、及び底壁部54を有している。凹部51内に納められる金属縦框22bは、凹部51の内壁面に略沿う外形状を有しており、内周側にはパネル体8の周縁部を納める凹状の飲み込み部60が形成され、外周側には凹部51の内壁面に沿って補強する外周内面部62が形成されている。金属縦框22bの飲み込み部60と樹脂縦框22aの凹部51開口部分によって、戸当たり框22のパネル開口溝50が構成されている。パネル体8は、周縁部が金属材からなる飲み込み部60に納められて固定されるから、パネル体8の固定強度を十分に確保することができる。
【0037】
パネル開口溝50の部分において、樹脂縦框22aは、金属縦框22bの飲み込み部60の内周端部よりも内周側まで伸びて内周延長部56を構成している。この内周延長部56の内壁面に、パネル体8の室内外面にそれぞれ当接する当接フィン部57が形成されている。この当接フィン部57により、パネル体8の室内外面における気密性及び水密性が確保されると共に、パネル開口溝50の当接フィン部57より奥側を見えないようにして、金属縦框22bが外側から見えないようにすることができるので、意匠性を向上させることができる。
【0038】
樹脂縦框22aの凹部51を構成する室内側面52と室外側面53の内壁面には、それぞれフック状に突出する係合部55が形成されている。一方、金属縦框22bの飲み込み部60を構成する底壁の裏面側には、係合部55を係合自在な被係合部61が形成されている。両者が係合することにより、樹脂縦框22aと金属縦框22bが一体化され、樹脂縦框22aが金属縦框22bによって補強され、強度を大きくすることができる。
【0039】
樹脂縦框22aのうち、係合部55よりも開口先端側の部分は、開口が広がる方向について金属縦框22bによる補強がないので、係合部55から開口先端までの距離はできるだけ短い方が好ましい。本実施形態では、金属縦框22bの被係合部61の位置は飲み込み部60のすぐ裏側に配置されているから、樹脂縦框22aのうち係合部55よりも開口側の長さがそれほど長くならないようにすることができる。これによって、樹脂縦框22aの開口側が変形することを防止することができる。
【0040】
一方で、係合部55をより開口先端側に形成しようとすると、パネル開口溝50と干渉するから、係合部55を飲み込み部60の裏側に配置することで、樹脂縦框22aと金属縦框22bとの係合構造により框の見込方向寸法が大きくなることのないようにすることができる。
【0041】
また、樹脂縦框22aは、凹部51の底壁側よりも、パネル体8を納める開口側の方が、室内外方向において幅狭となるように形成されている。金属縦框22bは、樹脂縦框22aに対しスライドによって係合されるが、樹脂縦框22aの開口側が幅狭となっていることにより、樹脂材の弾性力によって金属縦框22bを挟持する方向に力が加わるから、両者の係合強度を大きくすることができる。
【0042】
図4に示すように、召合わせ框23は、戸当たり框22と構成が概ね同じである。すなわち、召合わせ框23は、凹部71を有したソリッド形状を有する樹脂縦框23aと、樹脂縦框23a内に納められる金属縦框23bとで構成され、金属縦框23bは凹部71の内壁面に略沿う外形状を有し、内周側には飲み込み部80が形成され、外周側には外周内面部82が形成される。金属縦框23bの飲み込み部80と樹脂縦框23aの凹部71開口部分によって、召合わせ框23のパネル開口溝70が形成される。また、召合わせ框23を構成する樹脂縦框23aも、内周延長部76を有し、内周延長部76の内壁面には当接フィン部77が形成されて、パネル体8の室内外面にそれぞれ当接する。
【0043】
戸当たり框22と同様、内障子3の召合わせ框23は、室内側面72においては飲み込み部80の裏面側に形成された被係合部81に対して係合部75が係合することによって固定される。一方、室外側面73においては、樹脂縦框23aに係合部が形成されておらず、樹脂縦框23aと金属縦框23bは互いに当接した状態で室外側からネジ24によって固定される。ネジ24による固定位置は、係合部75と被係合部81による固定と同様、飲み込み部80の裏面近傍位置であり、樹脂縦框23aにおける固定位置から開口先端までの距離が長くならないようにしている。
【0044】
外障子4の召合わせ框23では、室外側面73においては係合部75と被係合部81による固定がなされる一方、室内側面72はネジ24によって固定されている。その固定位置も、飲み込み部80の裏面近傍位置となっていて、樹脂縦框23aにおける固定位置から開口先端までの距離が長くならないようにしている。
【0045】
このように、樹脂縦框22a、23aと金属縦框22b、23bの固定には、係合のみならずネジ止めを用いてもよい。また、戸当たり框22のように係合のみの固定でもよいし、召合わせ框23のように係合とネジ止めの両方を用いてもよく、さらにはネジ止めのみの固定でもよい。
【0046】
本実施形態では、戸当たり框22と召合わせ框23について、樹脂縦框22a、23aをソリッド形状とした上で、金属縦框22b、23bに飲み込み部60、80及び外周内面部62、82を一体形成しているので、これら二部材で縦框を構成することができる。樹脂縦框に中空部を設けて強度を確保しようとした場合、中空内部とパネル体の飲み込み部分の両方に金属部品が必要となり、部品点数が多くなるが、本実施形態の構成では、部品点数を少なくしてコストダウンを図ることができる。
【0047】
また、框体7の表面には、意匠性向上のため装飾部が形成される。本実施形態の装飾部は、框体7の表面に木目調の凹凸を形成してなるものであり、框材に彫り込み加工を施すことにより形成される。
図1に示すように、上框20においては、室内側面と室外側面にそれぞれ装飾部33が形成され、上框20のうち上枠10と対向する面には装飾部は形成されない。下框21においては、室内側面と室外側面にそれぞれ装飾部48が形成される。
【0048】
図3に示すように、戸当たり框22においては、室内側面と室外側面にそれぞれ装飾部58が形成され、戸当たり框22のうち縦枠12と対向する面、すなわち戸当たり面には装飾部は形成されない。
図4に示すように、召合わせ框23については、室内側面と室外側面、及び外周面に渡って、装飾部79が形成される。
【0049】
このように、上框20と戸当たり框22にあっては、直接目に触れない面につき、装飾部を形成しない。装飾部は、前述のように彫り込みによって形成されるので、加工によって樹脂材の厚みが若干減少する。上框20と戸当たり框22の装飾部が形成されない面については、厚みが減少することもないので、これらの面は他の面よりも薄肉状に形成されている。これにより、材料の使用量を減らして、軽量化及びコストダウンを図ることができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態のサッシは、下端位置が床面よりも高い腰窓であるのに対し、第2の実施形態のサッシは、下端位置が床面と同等の位置にあるテラス窓である。
図5には第2の実施形態のサッシの縦断面図を、
図6にはサッシの横断面図を、それぞれ示している。第2の実施形態のサッシの構成は、多くが第1の実施形態のサッシの構成と同様であるため、共通する構成については第1の実施形態についての図面と同じ符号を付している。また、共通する部分についての説明は省略する。
【0051】
本実施形態のサッシは、下框21の構成が第1の実施形態のサッシと一部異なっている。
図5に示すように、金属下框21bの下端部には係合部47が形成され、樹脂下框21aの下方凹部41には下端近傍の内面側に被係合部44が形成されており、両者が係合した状態となっている。金属下框21bは、第1の実施形態と同様、固着部45でも樹脂下框21aに対しネジ止め固定されている。これにより、金属下框21bによる樹脂下框21aの補強をより強固なものとすることができる。特に、テラス窓は上下方向の幅が大きく、障子の重量も大きいから、下框21の強度をより大きくすることが好ましく、その点で樹脂下框21aと金属下框21bの係合による補強が有効である。
【0052】
また、本実施形態のサッシは、内障子3の召合わせ框23の構成が第1の実施形態と異なっている。
図7には、内障子3及び外障子4の召合わせ部分付近の拡大横断面図を示している。この図に示すように、内障子3の召合わせ框23は、室内側に向かって張り出す張出部78を有している。
【0053】
内障子3の召合わせ框23は、張出部78を有しているため、凹部71も室内側に膨らんだ形状となっている。樹脂縦框23a内に納められる金属縦框23bも、張出部78の内壁面に沿う張出内面部83を有して形成されている。
【0054】
この内障子3の召合わせ框23において、樹脂縦框23aと金属縦框23bの固定は、第1の実施形態と同様に、室外側ではネジ24による固定を、室内側では係合による固定をなしている。一方で、樹脂縦框23aの係合部75と金属縦框23bの被係合部81の位置が異なっている。
【0055】
図7に示されているように、内障子3の召合わせ框23では、金属縦框23bの飲み込み部80の側部に被係合部81が形成され、樹脂縦框23aのパネル開口溝70を構成する部分の最奥部に、係合部75が形成されていて、両者が係合することで、樹脂縦框23aと金属縦框23bが一体化されている。
【0056】
このように、テラス窓のサッシでは、内障子3の召合わせ框23には張出部78が形成されているので、パネル開口溝70の開口位置により近い、飲み込み部80の側部で樹脂縦框23aと金属縦框23bとを係合させるようにしても、框の見込方向寸法が大きくなることがなく、より高い強度での一体化を図ることができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用はこれらの実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、実施形態にて説明したサッシは、いずれも二重窓の内窓として使用されているが、通常のサッシであって樹脂サッシであるものにも、本発明を当然に適用することができる。