技術分野
歪みセンサ
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
本発明は、前述のような事情に基づいてなされたものであり、抵抗変化のリニアリティ及び応答性を高めつつ、CNT膜への異物混入等の発生を抑え、センサ機能の持続性を高めることができる歪みセンサを提供することを目的とする。
前記課題を解決するためになされた発明は、
柔軟性を有する基板と、
この基板の表面側に設けられ、一方向に配向する複数のCNT繊維を有するCNT膜と、
このCNT膜における前記CNT繊維の配向方向の両端に配設される一対の電極と
を備えた歪みセンサであって、
前記CNT膜が、複数の前記CNT繊維からなる複数のCNT繊維束と、この複数のCNT繊維束の周面を被覆する樹脂層とを有することを特徴とする。
当該歪みセンサは、一対の電極を離反又は接近させる方向(電極配設方向)に伸張又は収縮すると、CNT膜の電気抵抗が変化することにより、歪みを感知することができる。当該歪みセンサにあっては、CNT膜が有するCNT繊維束の配向方向と電極配設方向とが略同一方向であり、複数のこのCNT繊維からなるCNT繊維束の周面が樹脂層によって被覆されているため、CNT膜の抵抗変化のリニアリティが高い。より具体的に説明するために、当該歪みセンサとの比較とし、CNT繊維を電極配設方向と垂直な方向に配設した歪みセンサ(以下、「垂直配設歪みセンサ」ということがある)を例にとり説明すると、この垂直配設歪みセンサは電極配設方向への伸張時に伸張方向のCNT繊維間の距離が急激に大きくなると共に、歪みセンサの厚み方向に圧縮が加わってCNT繊維間の距離が小さくなるため、抵抗変化のリニアリティが得られにくい。これに対し、当該歪みセンサは、歪みセンサの伸張によってCNT繊維束中のCNT繊維がランダムな個所で切断、離間等されることで抵抗変化が生じ、また厚み方向の圧縮も小さいため、抵抗変化のリニアリティが高くなる。また、当該歪みセンサは、CNT繊維束の周囲が樹脂層で被覆されているため、この樹脂層がCNT繊維束のガイドの役割を果たし、CNT繊維束が伸縮方向以外への遊動によって他のCNT繊維束と接触することが防止されるため、不測の抵抗変化を抑えることができ、抵抗変化のリニアリティをさらに高めることができる。なお、「CNT繊維束の周面」とは、CNT繊維束を形成する複数のCNT繊維のうち、最も径方向外側の複数のCNT繊維で形成される外面を意味する。
さらに当該歪みセンサは、CNT繊維束の周囲を樹脂層で被覆することで、CNT繊維束内でCNT繊維が切断された際、このCNT繊維の切断端部間には外部と隔離された空間が形成される。この空間内の圧力は、大気圧よりも低い(負圧である)と考えられ、歪みセンサの収縮時(歪の解放時)にはこの空間の収縮力によって歪みセンサの収縮が付勢される。さらに、この空間内ではCNT繊維同士やCNT繊維と周囲の樹脂との摩擦が低減されるため、樹脂の残留応力等によってCNT繊維の動きが制限され難い。その結果、歪みセンサの収縮時にCNT繊維の切断端部間が素早く再接触するため、当該歪みセンサは、高い応答性を得ることができる。
また当該歪みセンサは、CNT膜が前記CNT繊維束の周囲を被覆する樹脂層を有することで、CNT膜への異物混入やCNT繊維の脱落等を防止し、センサ機能の持続性を高めることができる。
前記樹脂層が、前記CNT繊維束の内部に含浸されないことが好ましい。このようにCNT繊維束を被覆する樹脂層をCNT繊維束の内部に含浸させないことで、CNT繊維束を保護しつつ、CNT繊維束の配向方向に対する変形が樹脂によって阻害されることを防止できるため、センサの感度及び抵抗変化のリニアリティをさらに高めることができる。また、前述のCNT繊維束内の空間が形成され易くなるため、応答性をさらに高めることができる。
前記樹脂層が、前記CNT繊維束の表層の少なくとも一部に含浸されていてもよい。このようにCNT繊維束の表層の少なくとも一部に樹脂層が含浸することで、CNT膜と基板との結合性及びCNT膜の強度が向上し、CNT繊維束が樹脂層と共に伸縮し易くなる。一方で、CNT繊維束の内部に樹脂層の非含浸部を有することで、CNT繊維束の配向方向に対する変形が樹脂によって阻害されることを防止できる。これらの結果、センサの感度及び抵抗変化のリニアリティをさらに高めることができる。さらに、CNT繊維束の表層への樹脂層の含浸程度により、CNT繊維束の断裂を誘導でき、その面でもセンサの応答性をさらに高めることができる。
前記樹脂層が水性エマルジョンから形成されていることが好ましい。このように樹脂層の形成に水性エマルジョンを用いることで、例えば塗工や浸漬により容易かつ確実に、CNT繊維束に完全に含浸せずCNT繊維束の周囲を被覆する樹脂層を形成することができる。
前記CNT繊維束が、前記CNT繊維同士が長手方向に連結する連結部を有するとよい。このように、CNT繊維同士が長手方向に連結したCNT繊維束を用いることで、CNT繊維束の配向方向の長さが大きいCNT膜を形成することができるため、抵抗変化のリニアリティに優れる当該歪みセンサを種々の用途に好適に用いることができる。
前記複数のCNT繊維束が長手方向に切断個所を有することが好ましい。このようにCNT繊維束が長手方向(配向方向)に切断個所を有することで、センサの伸縮時に主としてこの切断個所の間隔(ギャップ)の変化によってセンサの抵抗変化がもたらされるため、センサの抵抗変化のリニアリティ及び応答性をより高めると共に、抵抗変化の再現性も高めることができる。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の歪みセンサによれば、抵抗変化のリニアリティ及び応答性を高めつつ、CNT膜への異物混入等の発生を抑えセンサ機能の持続性を高めることができる。従って、当該歪みセンサは、圧力センサ、ロードセル、トルクセンサ、位置センサ等として広く利用することができる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】本発明の第一歪みセンサの模式的断面図(a)、模式的平面図(b)、及びBB線での模式的断面図(c)
【図2】図1の歪みセンサのCNT繊維束を示す模式図
【図3】図1の歪みセンサの抵抗変化を示すグラフ
【図4】図1の歪みセンサの製造方法を示す模式的断面図
【図5】CNT繊維束を形成しているところを示すSEM写真
【図6】図1の歪みセンサのCNT膜を形成しているところを示す模式図
【図7】本発明の第二歪みセンサの模式的断面図
【図8】本発明の第三歪みセンサの模式的断面図
【図9】図1、図7及び図8の歪みセンサとは異なる歪みセンサの模式的平面図
【図10】実施例1の歪みセンサの歪み量と抵抗値との関係を示すグラフ
【図11】実施例2の歪みセンサの歪み量と抵抗値との関係を示すグラフ
1、11、21、31 歪みセンサ
2 基板
3 電極
4 CNT膜
5 導電層
6 CNT繊維束
7 樹脂層
8、9 アシスト層
12 マスキングテープ
13 支持具
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