(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の電子レンジの普及に伴い、手軽に操作でき、短時間で簡単に加熱調理ができるという電子レンジの利便性に適した調理済みの食品(予備調理済み食品)が数多く出回っている。例えば、特許文献1に記載の電子レンジ加熱用紙製トレーに収納した冷凍食品であるピザは、焼成済みの生地を冷凍したものである。焼成済みの生地を冷凍状態で電子レンジにて加熱できる食品であれば、忙しい朝食時にも時間的に余裕をもって供することができる。このように特許文献1に記載の冷凍食品は、焼成済みの生地を電子レンジにて加熱するだけで焼成食品を簡便に供することができる反面、未焼成の生地原料を焼成する際に得られる焼立ての風味は劣っていた。
【0007】
パンやピザなどの焼成食品は、通常、その表面に焼き色を有するものであり、当該表面に適度な焼き色があってこそ、見た目、食感、風味に優れた食品となる。
電子レンジは、水の振動による摩擦熱を利用して加熱するため、生地の表面および内部を略均一に加熱することができるが、オーブンで調理する場合のように生地の表面に適度な焼き色を付けようとすれば、生地の表面および内部を略均一に加熱してしまうため、乾燥し硬化する方向に進み、内部まで焦げた状態となって内部のやわらか感が失われ、好ましい焼成食品を得るのは困難である。そのため、焼成食品を作製する場合、電子レンジによって未焼成の生地原料から焼成調理することは行なわれていなかった。仮に電子レンジによって未焼成の生地原料を焼成調理した場合は、その内部に焦げ目をつけない程度の加熱しかできないため、焼成食品の表面のみに焼き色(焦げ目)を付けることは困難であった。
【0008】
従って、本発明の目的は、電子レンジを使用して未焼成の穀物粉含有生地を焼成して穀物粉含有食品を簡便かつ短時間で作製できる穀物粉含有食品の作製方法、および、マイクロ波発熱袋状容器入り穀物粉含有生地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る穀物粉含有食品の作製方法の第一特徴手段は、未焼成の穀物粉含有生地を焼成して穀物粉含有食品を作製するべく、少なくとも穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して前記穀物粉含有生地を作製する生地作製工程と、前記穀物粉含有生地を成形する成形工程と、成形した前記穀物粉含有生地を発酵させる発酵工程と、発酵した穀物粉含有生地を、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体を備えた発熱部を有し、かつ当該発熱部によって前記穀物粉含有生地を囲繞できる不定形のマイクロ波発熱袋状容器に充填し
、前記穀物粉含有生地の一部を発熱部に密着或いは近接させて密封
し、前記発酵した穀物粉含有生地の容積を前記マイクロ波発熱袋状容器の空隙の容積で除した空隙率が0.67〜1.63となるように設定してある充填密封工程と、前記穀物粉含有生地を収容した前記マイクロ波発熱袋状容器に対して前記マイクロ波を照射して未焼成の穀物粉含有生地を焼成
し、焼成時に前記不定形のマイクロ波発熱袋状容器は容易に変形できるマイクロ波加熱工程と、を有する点にある。
【0010】
マイクロ波発熱体は、例えば電子レンジから照射されるマイクロ波を受けることで渦電流が生じてジュール熱が発生し、発熱する部材である。そのため、発酵後の穀物粉含有生地を、マイクロ波発熱体を備えた発熱部にて囲繞されるようにマイクロ波発熱容器に充填し、この状態で穀物粉含有生地にマイクロ波を照射すれば、未焼成の穀物粉含有生地を効率よく加熱して焼成することができる。
【0011】
穀物粉含有生地をマイクロ波発熱袋状容器に充填したとき、穀物粉含有生地の一部を発熱部に密着或いは近接させることができる。この状態でマイクロ波を照射して発熱部を発熱させれば、当該発熱部に密着している未焼成の穀物粉含有生地には発熱部の温度が直接伝わり、また、該発熱部に近接している未焼成の穀物粉含有生地には発熱部の温度が伝わり易いため、未焼成の穀物粉含有生地の表面および内部に効率よく熱を伝えることができる。穀物粉含有生地は不定形のマイクロ波発熱袋状容器に囲繞されるため、穀物粉含有生地とマイクロ波発熱袋状容器との間に適度な隙間を形成し易くなる。そのため、当該穀物粉含有生地の表面を適度に焼成することができ、見た目、食感(クリスピー感)および風味に優れた焼成食品を作製することができる。
【0012】
また、未焼成の穀物粉含有生地の内部は発熱部からの伝熱および照射されるマイクロ波によって加熱して焼成することができるため、生地の表面から内部に熱が伝わるように焼成するオーブンの場合に比べて、焼成に要する時間を大幅に短縮することができる。例えば、当該穀物粉含有生地の内部を焦げ目が着かない程度に加熱して焼成すれば、穀物粉含有生地の内部はふんわりとした状態で焼成でき、かつ穀物粉含有生地の表面に適度な焼き色を付けることができる。
【0013】
本手段では、穀物粉含有生地を成形する成形工程を行ない、成形した穀物粉含有生地を発酵させる発酵工程を行なった後に、穀物粉含有生地を囲繞できる不定形のマイクロ波発熱袋状容器に充填している。発酵工程後のある程度膨化した穀物粉含有生地は、穀物粉含有食品の形状に近い形状となっている。このような穀物粉含有生地を袋状の容器に充填して焼成したとしても、穀物粉含有生地の形状変化(さらなる膨化)に伴って袋状の容器は容易に変形できるため、その形状は崩れ難い。
【0014】
仮に、マイクロ波発熱袋状容器を、袋状の容器ではなく箱状の容器とした場合、穀物粉含有生地の形状変化が起こった場合は、その形状は箱状容器の形状に規制される。
【0015】
しかし、本手段では、穀物粉含有食品の形状はマイクロ波発熱袋状容器に規制されないため、焼成した後であっても、成形後の穀物粉含有生地の凡その形状を維持できる。
よって、本手段のように不定形のマイクロ波発熱袋状容器を使用することで、クロワッサンやバターロールのような不定形の穀物粉含有食品の表面に沿ってマイクロ波発熱袋状容器が容易に変形して、穀物粉含有食品の表面とマイクロ波発熱袋状容器とを密着或いは近接させることができるため、穀物粉含有食品の表面を適度に焼成して見た目に優れた様々な形状の穀物粉含有食品を作製することができる。
【0016】
また、本手段では、電子レンジに投入してマイクロ波を照射させるだけで、簡便かつ短時間で焼立ての焼成食品を作製することができるため、例えば忙しい朝食時に自宅で焼立ての焼成食品を供することができる。
【0017】
また、本方法は、電子レンジに投入してマイクロ波を照射させるだけで生地の状態から焼成食品を作製できるため、誰でも手軽に実施できる方法となる。さらに、短時間で生地の状態から焼成食品を作製できるため、その場で必要な分だけ未焼成の穀物粉含有生地をマイクロ波加熱すればよい。よって、例えば、必要数が不明なため予め多数の焼成食品を準備しておく必要がなくなり、余剰の焼成食品を廃棄するという無駄を避けることができる。
また、本手段では、発酵した穀物粉含有生地の容積をマイクロ波発熱袋状容器の空隙の容積で除した空隙率を求めている。このとき、得られた値が0.67〜1.63となれば、穀物粉含有生地とマイクロ波発熱袋状容器との密着度合を適切に設定できる。このように空隙率を設定することにより、穀物粉含有食品の表面に見た目に優れた焼き色を付けることができる。また、穀物粉含有食品の表面に付ける焼き色の割合を、空隙率の程度によって調節することができる。
【0018】
本発明に係る穀物粉含有食品の作製方法の第二特徴手段は、前記充填密封工程において、前記マイクロ波発熱袋状容器を減圧した点にある。
【0019】
本手段によれば、マイクロ波発熱袋状容器を減圧することにより、穀物粉含有生地とマイクロ波発熱袋状容器との密着度合を増加させることができる。これにより、穀物粉含有食品の表面に付ける焼き色の割合を、減圧の程度によって調節することができる。
【0022】
本発明に係る穀物粉含有食品の作製方法の
第三特徴手段は、前記マイクロ波加熱工程において、冷凍した穀物粉含有生地を焼成する点にある。
【0023】
本手段によれば、穀物粉含有生地を冷凍することによって発酵微生物の活動を停止させることができるため、発酵を休止させることができる。穀物粉含有生地の流通を鑑みた場合、穀物粉含有生地の冷凍を行なうことによって穀物粉含有生地の品質を長期に亘って維持することができる。
そして、冷凍した穀物粉含有生地を焼成することで、穀物粉含有生地を解凍することなく、電子レンジによって短時間で焼成して焼成食品を作製することができるため、解凍の手間・時間を省くことができ、穀物粉含有食品を作製するプロセスを簡略化できる。
【0024】
本発明に係るマイクロ波発熱袋状容器入り穀物粉含有生地の特徴構成は、少なくとも穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して発酵させ
てある未焼成の穀物粉含有生地
であり、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体を備えた発熱部を有し、かつ前記穀物粉含有生地を充填する充填部を設け
、焼成時に容易に変形できる不定形のマイクロ波発熱袋状容器に充填し
て備え、前記穀物粉含有生地の一部を前記発熱部に密着或いは近接させて備え、前記発酵した穀物粉含有生地の容積を前記マイクロ波発熱袋状容器の空隙の容積で除した空隙率が0.67〜1.63となるように構成した点にある。
【0025】
本構成によれば、穀物粉含有生地は、マイクロ波発熱袋状容器に収容した状態で流通させることができる。よって、本構成では、マイクロ波発熱袋状容器を、流通時に穀物粉含有生地を収容する収容容器として利用でき、穀物粉含有生地をマイクロ波発熱袋状容器に収容した流通時のそのままの状態でマイクロ波を照射させて焼成することができるため、簡便に扱える。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の穀物粉含有食品の作製方法は、広く普及しており、かつ手軽に操作できる電子レンジを使用して、小麦粉などを生地原料とするパンなどの焼成食品を作製する方法である。特に本発明の方法では、電子レンジを使用して未焼成の穀物粉含有生地を焼成して穀物粉含有食品を作製する。
【0028】
即ち、本発明の穀物粉含有食品の作製方法は、
図1,2に示したように、少なくとも穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して穀物粉含有生地10を作製する生地作製工程Aと、穀物粉含有生地10を成形する成形工程Bと、成形した穀物粉含有生地10を発酵させる発酵工程Cと、発酵した穀物粉含有生地10を、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体22を備えた発熱部21を有し、かつ当該発熱部21によって穀物粉含有生地10を囲繞できる不定形のマイクロ波発熱袋状容器20に充填して密封する充填密封工程Dと、穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱袋状容器20に対してマイクロ波を照射して未焼成の穀物粉含有生地10を焼成するマイクロ波加熱工程Fと、を有する。
【0029】
さらに、マイクロ波加熱工程Fの前に穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱袋状容器20を冷凍する冷凍工程Eを行なってもよい。
【0030】
(穀物粉含有生地)
穀物粉含有生地10は、穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏させた食品の生地のことをいう。当該穀物粉含有生地10を加熱して焼成することにより、穀物粉含有食品を作製することができる。
【0031】
本明細書における「穀物粉」とは、穀物由来の粉体のことをいう。穀物由来の粉体としては、例えば小麦粉・ライ麦粉・トウモロコシ粉・エンバク粉・米粉などが例示されるが、これに限られるものではない。小麦粉としては、例えば強力粉・薄力粉・中力粉・浮き粉・全粒粉・グラハム粉・セモリナ粉など、公知のものが使用できる。
また、本明細書にいう「発酵微生物」とは、穀物粉を発酵基質とする微生物のことであり、例えばパン酵母(イースト)、乳酸菌などが例示されるが、これに限られるものではない。
【0032】
生地原料は、穀物粉および発酵微生物の他に、水、塩、バター、砂糖、蜂蜜、食物繊維、植物油脂(大豆油・パーム油等)、膨張剤(ベーキングパウダー)、澱粉(馬鈴薯澱粉・コーンスターチ等)、調味料(ソース粉末等)、香辛料(カレーパウダー等)、着色料(ビートレッド・アカキャベツ色素・パプリカ色素・クチナシ青色素・クロロフィル等)、牛乳、増粘剤、脱脂粉乳、野菜乾燥粉末、果物乾燥粉末、酸化防止剤(ビタミンE・ビタミンC等)、乾燥肉粉末、胡麻粉末、チップチョコレート、ココアパウダー、クリ、ナッツ類、卵黄粉末などを添加することができるが、さらに他の成分が配合されていてもよい。
また、穀物粉含有生地10を作製した後、穀物粉含有生地10で具材を覆う、或いは、穀物粉含有生地10に具材を載置するようにしてもよい。当該具材としては、ベーコン・ソーセージ等の肉類、チーズ、卵、野菜など、具材として公知のものを使用できる。
さらに、穀物粉含有生地10は組成の異なる生地を積層した状態としたものを使用してもよい。
【0033】
(マイクロ波発熱袋状容器)
マイクロ波発熱袋状容器20は、マイクロ波を受けることで発熱するマイクロ波発熱体22を備えた発熱部21を有し、かつ穀物粉含有生地10を充填する充填部23を設ける。
【0034】
マイクロ波発熱体22は、電子レンジから照射されるマイクロ波を受けることで渦電流が生じてジュール熱が発生して発熱する部材であり、穀物粉含有生地10をより高温(100℃以上、好ましくは、150〜250℃)に加熱することができる。マイクロ波発熱体22は、発熱部21の全面又は一部分に存在すればよい。即ち、発熱部21の領域に、単数または複数のマイクロ波発熱体22を有するようにする。発熱部21の一部分にマイクロ波発熱体22が存在する場合は、例えば複数のマイクロ波発熱体22を格子状に配置した領域が発熱部21となる。本実施形態では、発熱部21の全面にマイクロ波発熱体22が存在する場合について説明する。
【0035】
図3に示したように、マイクロ波発熱体22は、紙あるいはプラスチックフィルムなどのシート状の基台22aに、電子レンジから放射されるマイクロ波を吸収して熱を発生するマイクロ波吸収材料22bを蒸着などによって付着させたものである。本発明で使用するマイクロ波発熱体22は、電子レンジから放射されるマイクロ波の公知の波長域に対して発熱できるものを使用することができる。尚、本実施形態では調理器具として電子レンジを例示しているが、マイクロ波を未焼成の穀物粉含有生地に照射できる態様の調理器具であれば、使用できる。
【0036】
マイクロ波発熱体22を構成する基台22aとしては、例えば金属蒸着加工適性を有していれば、特に種類を限定する必要はなく、発熱させようとする熱量に応じて選択すればよい。例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル等から成るフィルムやシートが挙げられる。これらフィルムの厚みは特に限定されないが、蒸着加工等の機械加工適性を考慮した場合、5〜100μm程度とするのがよい。
【0037】
マイクロ波吸収材料22bとしては、例えば、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅、ニッケル、コバルト等の金属類の粉体、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸珪素、珪藻土、アルミナ、水酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、フェライト、フェライトシリカ、マグネタイト等の磁性粒子又は焼結体、導電性カーボン(ブラックカーボン)、活性炭などを挙げることができるが、これに限られるものではない。これらの材料から一種又は複数を組み合わせて使用できる。
マイクロ波吸収材料22bの表面は、プラスチックフィルムなどのシート22cによって被覆してもよい。
【0038】
例えば、マイクロ波発熱体22としては、その表面にマイクロ波吸収材料22bとして金属蒸着層を形成した三層構造(PETシート/アルミニウム蒸着層/紙基台)のサセプターを使用することができ、このようなサセプターにマイクロ波を照射すると、例えば約10秒で180〜250℃まで温度上昇する。
【0039】
充填部23は、穀物粉含有生地10を収容できるように立体的、かつ不定形の空間であればよい。
充填部23の容積は特に限定されるものではないが、例えば50〜300mL程度とすれば、凡そ一食分以内の焼成食品を作製できる量の生地原料を収容することができる。また、この程度の容積であれば、電子レンジによる加熱調理の時間を数分以内に設定できる。
【0040】
充填部23は、穀物粉含有生地10を収容したのちに封止できる態様とする。例えば、一端が開放されたマイクロ波発熱袋状容器20に穀物粉含有生地10を収容した後、マイクロ波発熱袋状容器20の一端を加熱することでヒートシールできる態様とすればよい。
マイクロ波発熱袋状容器20には自動開封機能(内圧を下げるための自動開口部を有していてもいなくてもよい)やシュリンク機能を持たせることもでき、マイクロ波発熱袋状容器20の一部が紙の台紙を包含していても良い。当該台紙はマイクロ波発熱体であってもよい。
【0041】
(生地作製工程)
生地作製工程Aでは、穀物粉および発酵微生物を含む生地原料を混捏して穀物粉含有生地10を作製する。
【0042】
穀物粉(例えば小麦粉)および発酵微生物(例えばイースト)などの上述した各生地原料を計量したのち、当該各生地原料を均一に混合する。イーストは温度が低すぎると活性化し難く、高すぎると死滅する。そのため、各生地原料を混合する際には、イーストの活性化温度を考慮して、各生地原料の温度を予め調整しておくとよい。混捏の際にイーストを活性化させたくない場合は各生地原料の温度を低く設定し、混捏の際にイーストを活性化させる場合は、イーストが良好に発酵するように各生地原料の温度を例えば30〜40℃程度に調整しておくとよい。
【0043】
小麦粉に含まれるタンパク質のグリアジン・グルテニンは水分を加えて混捏することによって粘りと弾力に富むグルテンとなり、当該グルテンの膜がイーストの発酵作用によって発生する二酸化炭素ガスを包み込むことで生地原料は膨化する。生地作製工程Aでは、生地からのガス抜き、生地休めのベンチタイムを適宜行なうとよい。
【0044】
(成形工程)
成形工程Bでは、生地作製工程Aで作製した穀物粉含有生地10を成形する。当該成形工程Bでは、穀物粉含有食品の形状に近い形状となるように成形すればよい。成形は手で行なってもよいし、穀物粉含有生地10を型に入れて成形してもよく、また、機械で成形しても構わない。マイクロ波発熱袋状容器20への穀物粉含有生地10の充填は手でも機械でも構わない。
【0045】
(発酵工程)
発酵工程Cでは、穀物粉含有生地10をマイクロ波発熱袋状容器20に充填する前に、例えば20〜40℃で20〜80分程度の発酵を行なうとよい。発酵の目安としては、例えば、穀物粉含有生地10が発酵前の1.5〜3倍程度に膨化するまで発酵させるとよい。
発酵工程Cは、生地作製工程Aの後であれば、成形工程Bの前に行なってもよい。
【0046】
(充填密封工程)
生地作製工程Aで作製したペースト状の穀物粉含有生地10を、所望の大きさ、形状に成形して発酵させた後、マイクロ波発熱袋状容器20に充填し、穀物粉含有生地10の一部を発熱部21に密着させる。このとき、密着部分において、生地と充填部23との間はできるだけ隙間ができないように密着させると、発熱部21が発熱した際に、生地に熱が伝わり易くなる。
【0047】
穀物粉含有生地10をマイクロ波発熱袋状容器20に充填した後、当該マイクロ波発熱袋状容器20を封止して袋状容器を密封する。このように穀物粉含有生地10をマイクロ波発熱袋状容器20の内部に密封状態で封止することにより、穀物粉含有生地10の上面・側面・底面の各方向を確実に発熱部21によって囲繞し、かつ当該発熱部21に密着或いは近接させることができる。
【0048】
充填密封工程Dにおいて、マイクロ波発熱袋状容器20を減圧してもよい。マイクロ波発熱袋状容器20を減圧することにより、穀物粉含有生地10とマイクロ波発熱袋状容器20との密着度合を増加させることができる。
【0049】
また、充填密封工程Dにおいて、発酵した穀物粉含有生地10の容積をマイクロ波発熱袋状容器20の空隙の容積で除した空隙率が0.67〜1.63となるように設定してある。空隙率を算出する場合、穀物粉含有生地10は冷凍した状態で容積を測定するのがよい。
例えばマイクロ波発熱袋状容器20を減圧することにより、当該マイクロ波発熱袋状容器20の充填部23の容積が変化する。本構成では、発酵した穀物粉含有生地10の容積をマイクロ波発熱袋状容器20の空隙の容積で除した空隙率を求めている。このとき、得られた値が0.67〜1.63となれば、穀物粉含有生地10とマイクロ波発熱袋状容器20との密着度合を適切に設定できる。
【0050】
(冷凍工程)
冷凍工程Eは、穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱袋状容器20を冷凍する工程である。或いは、発酵工程Cの後に穀物粉含有生地10を冷凍する冷凍工程を行なってから、マイクロ波発熱袋状容器20に収容してもよい。当該冷凍工程Eによって発酵微生物の活動を停止させることができるため、発酵を休止させることができる。穀物粉含有生地10の流通を鑑みた場合、冷凍工程Eを行なうことによって穀物粉含有生地10の品質を長期に亘って維持することができる。
尚、本冷凍工程Eは省略することが可能であり、充填密封工程Dの後にマイクロ波加熱工程Fを行なってもよい。また、当該冷凍工程Eは、充填密封工程Dの前に穀物粉含有生地10を冷凍するようにしてもよい。
【0051】
(マイクロ波加熱工程)
マイクロ波加熱工程Fは、穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱袋状容器20に対してマイクロ波を照射して未焼成の穀物粉含有生地10を焼成する工程である。本工程は、冷凍工程Eの有無によらず行なえる。
【0052】
電子レンジに投入してマイクロ波発熱袋状容器20にマイクロ波を照射させると、発熱部21が100〜250℃程度まで昇温する。このとき、当該発熱部21に密着している未焼成の穀物粉含有生地10には発熱部21の温度が直接伝わり、また、発熱部21に近接している未焼成の穀物粉含有生地10には発熱部の温度が伝わり易いため、未焼成の穀物粉含有生地10の表面および内部に効率よく熱を伝えることができる。そのため、当該穀物粉含有生地10の表面を適度に焼成することができ、見た目、食感および風味に優れた焼成食品を作製することができる。
【0053】
また、未焼成の穀物粉含有生地10の内部は発熱部21からの伝熱および電子レンジより照射されるマイクロ波によって加熱して焼成することができるため、迅速に焼成できる。例えば、当該穀物粉含有生地10の内部を焦げ目が着かない程度の時間(2〜4分程度)で加熱して焼成すればよい。穀物粉含有生地10の内部は100℃程度で焼成が行なわれるように発熱部21の大きさやマイクロ波発熱体22の構成材料を調整するとよい。
【0054】
このように本発明の穀物粉含有食品の作製方法では、未焼成の穀物粉含有生地10の表面に適度な焼き色を付けながらその内部を焦がすことなく、迅速に焼成して穀物粉含有食品を作製することができる。
【0055】
本発明の方法では、穀物粉含有生地10を成形する成形工程Bを行ない、成形した穀物粉含有生地10を発酵させる発酵工程Cを行なった後に、穀物粉含有生地10を囲繞できる不定形のマイクロ波発熱袋状容器20に充填している。発酵工程Cの後のある程度膨化した穀物粉含有生地10は、穀物粉含有食品の形状に近い形状となっている。このような穀物粉含有生地10をマイクロ波発熱袋状容器20に充填して焼成したとしても、穀物粉含有生地10の形状変化(さらなる膨化)に伴ってマイクロ波発熱袋状容器20は容易に変形できるため、その形状は崩れ難い。
このように本方法では、穀物粉含有食品の形状はマイクロ波発熱袋状容器20に規制されないため、焼成した後であっても、成形後の穀物粉含有生地10の凡その形状を維持できる。
よって、本方法のように不定形のマイクロ波発熱袋状容器20を使用することで、クロワッサンやバターロールのような不定形の穀物粉含有食品の表面に沿ってマイクロ波発熱袋状容器20が容易に変形して、穀物粉含有食品の表面とマイクロ波発熱袋状容器20とを密着或いは近接させることができるため、穀物粉含有食品の表面に均一に焼き色を付けることができる。
【0056】
また、本発明の穀物粉含有食品の作製方法では、冷凍工程Eを行なった場合であっても穀物粉含有生地10を解凍することなく、電子レンジによって短時間で焼成して焼成食品を作製することができるため、解凍の手間・時間を省くことができ、穀物粉含有食品を作製するプロセスを簡略化できる。
【0057】
(マイクロ波発熱袋状容器入り穀物粉含有生地)
上述したように、穀物粉含有生地10の流通を鑑みた場合、冷凍工程Eを行なうことによって穀物粉含有生地10の品質を長期に亘って維持することができる。即ち、当該冷凍工程Eを行なった後、穀物粉含有生地10は、マイクロ波発熱袋状容器20に収容した状態で流通させることができる。このように本態様では、マイクロ波発熱袋状容器20を、流通時に穀物粉含有生地10を収容する収容容器として利用でき、穀物粉含有生地10をマイクロ波発熱袋状容器20に収容した流通時のそのままの状態(冷凍状態)で電子レンジにて焼成することができる。或いは、穀物粉含有生地10をマイクロ波発熱袋状容器20に収容した状態で解凍した後に電子レンジにて焼成してもよい。
【実施例】
【0058】
本発明の実施例を以下に説明する。
焼成穀物粉含有食品としてパン(バターロール)を、本発明の穀物粉含有食品の作製方法によって作製した。穀物粉は強力粉を使用し、発酵微生物はドライイーストを使用した。使用した生地原料の詳細な組成(小麦粉を100とした場合の重量比率)を表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1に示した材料をパン捏ね器(De Longhi製キッチンマシン・シェフクラシック Mod. KM 4000)に投入し、ストレート法(生地を1工程でミキシングと発酵を済ませる製法)によって穀物粉含有生地10を作製した(生地作製工程A)。捏ね器の作動条件は、全材料をパン捏ね器に投入した後、最低速(約95rpm)で3分間混捏、その後速度を1段階引き上げ(約170rpm)17分間混捏とした。混捏後に穀物粉含有生地10を取り出し、生地の膜の張りがさらに強くなるまで手で捏ねた。その後、一次発酵(25℃・60分)とガス抜きを行い、生地を50gずつ分割して丸め、10分間のベンチタイム後、バターロールの形状に成形し(成形工程B)、二次発酵(発酵工程C:25℃・60分)させ、−20℃で凍結した。
二次発酵後の穀物粉含有生地10の体積は約125mLとなるように発酵時間を調整した。尚、通常のようにオーブンで穀物粉含有生地10を焼成する場合は、二次発酵後の穀物粉含有生地10の体積は約110mLである。このように、本発明で使用する穀物粉含有生地10は、通常の穀物粉含有生地より1.1倍程度、体積が大きくなるように設定した。
【0061】
凍結した穀物粉含有生地10をマイクロ波発熱袋状容器20に充填し、後述する比較例1はヒートシーラー(富士インパルス製)でシールし、実施例1,実施例2および比較例2は小型真空包装機(N−46P60型)を用いたヒートシールによりマイクロ波発熱袋状容器20を密封した(充填密封工程D)。マイクロ波発熱袋状容器20は、サセプターとしてシート状のフレキシブルサセプターを、10×15cmのサイズとなるように袋状に加工して作製した。
比較例1はマイクロ波発熱袋状容器20の1つの隅の部分からノズルを差し込んで窒素を封入し、当該マイクロ波発熱袋状容器20を膨張させ、ノズルを抜くと直ちにヒートシールを行なった。
密封時に、チャンバーバキュームのゲージ圧を−0.0125MPa(実施例1)、−0.035MPa(実施例2)、−0.06MPa(比較例2)に設定し減圧することで、穀物粉含有生地10とマイクロ波発熱袋状容器20(サセプター)との密着度合を3段階に変えた。密封後は電子レンジで焼成するまで−20℃で冷凍保管した(冷凍工程E)。
【0062】
比較例1は窒素ガスを封入しているのでマイクロ波発熱袋状容器20には穀物粉含有生地10の底部が接触しているのみで、マイクロ波発熱袋状容器20と穀物粉含有生地10の上部とは接触していない、外観上は膨らんだ状態である。実施例1のゲージ圧が−0.0125MPaではマイクロ波発熱袋状容器20にガスが残り外観上は膨らんだ状態で、穀物粉含有生地10とマイクロ波発熱袋状容器20の一部とが接触している状態(
図4)、実施例2のゲージ圧が−0.035MPaでは減圧によりマイクロ波発熱袋状容器20が収縮し、穀物粉含有生地10とマイクロ波発熱袋状容器20との密着度が少し高まった状態(
図5)、比較例2のゲージ圧が−0.06MPaではさらに収縮が進みマイクロ波発熱袋状容器20が穀物粉含有生地10を少し押し潰している密着度の高い状態(
図6)とした。これらの圧力の違いによるマイクロ波発熱袋状容器20の容積、空隙率などの違いを表2にまとめた。何れの実施例も2つのサンプルを準備して測定を行なった。
尚、空隙率を算出する場合、穀物粉含有生地10は一旦冷凍してから測定した。容積の測定方法は、メスシリンダーの中にあらかじめ容積を測定しておいたゴマの一部を入れ、その上から穀物粉含有生地10を入れ、隙間が無いように残りのゴマを上から投入し、目盛の増加分を穀物粉含有生地10の容積とした。
【0063】
【表2】
【0064】
尚、空隙率は、穀物粉含有生地10(ロールパン)の容積を、空隙で除した値である。空隙とは、マイクロ波発熱袋状容器20の容積から穀物粉含有生地10の容積を引いた値である。
【0065】
冷凍工程Eの後、穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱袋状容器20を電子レンジ(東芝(株)製ER−9A)に投入し、マイクロ波加熱工程Fを行なった。マイクロ波加熱工程Fは、穀物粉含有生地10を収容したマイクロ波発熱袋状容器20を500Wで2分30秒間加熱した。
【0066】
マイクロ波加熱工程Fを行なった後、マイクロ波発熱袋状容器20から穀物粉含有食品(ロールパン)を取り出して、その焼き具合の評価を行なった。実施例1,2および比較例2の穀物粉含有食品の表面および断面の様子を
図7〜9に示した。
【0067】
実施例1,2の穀物粉含有食品は、表面に適度な焼き色(焦げ目)を付けることができた。また、穀物粉含有食品の内部は、ふんわりとした状態で焼成できていると認められた。よって、実施例1の穀物粉含有食品は、見た目、食感(クリスピー感)および風味に優れた評価(5点)が得られた。
【0068】
比較例1の穀物粉含有食品は、焼きムラが出て、軟らかい部分や硬くなる部分が生じ、食感が悪い評価(2点)が得られた。
比較例2の穀物粉含有食品は、表面に適度な焼き色(焦げ目)を付けることができた。しかし、穀物粉含有食品の内部は、ふんわりとした状態で焼成できていないと認められた。よって、比較例2の穀物粉含有食品は、食感で劣る評価(2点)が得られた。
【0069】
このように、実施例1,2の穀物粉含有食品で優れた評価が得られ、このときの空隙率は0.67〜1.63であった。即ち、空隙率をこの範囲に設定できれば、穀物粉含有生地10とマイクロ波発熱袋状容器20との密着度合を適切に設定でき、穀物粉含有食品の表面に見た目に優れた焼き色を付けることができるものと認められた。