特許第6014948号(P6014948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6014948長距離WLANのサウンディングパケット形式
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6014948
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】長距離WLANのサウンディングパケット形式
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20161013BHJP
   H04J 11/00 20060101ALI20161013BHJP
   H04B 7/04 20060101ALI20161013BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20161013BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20161013BHJP
【FI】
   H04J15/00
   H04J11/00 Z
   H04B7/04
   H04W72/04 136
   H04W84/12
【請求項の数】26
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-512946(P2014-512946)
(86)(22)【出願日】2012年5月22日
(65)【公表番号】特表2014-519754(P2014-519754A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】US2012038976
(87)【国際公開番号】WO2012162309
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年3月20日
(31)【優先権主張番号】61/490,465
(32)【優先日】2011年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/494,349
(32)【優先日】2011年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502188642
【氏名又は名称】マーベル ワールド トレード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ザン、ホンユアン
【審査官】 羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−543471(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/120692(WO,A1)
【文献】 Chin-Hung (Jackson) Chen et al.,Proposed TGac Draft Amendment,IEEE 802.11-10/1361r3,2011年 1月18日,P.1-146,URL,https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/10/11-10-1361-03-00ac-proposed-tgac-draft-amendment.docx
【文献】 Heejung Yu et al.,Coverage extetion for IEEE802.11ah,IEEE 802.11-11/0035r1,2011年 1月12日,P.1-10,URL,https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/11/11-11-0035-01-00ah-coverage-extension-for-ieee802-11ah.pptx
【文献】 Kai Shi et al.,Phase Tracking During VHT-LTF,IEEE 802.11-10/0771r0,2010年 7月10日,P.1-19,URL,https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/10/11-10-0771-00-00ac-phase-tracking-during-vht-ltf.ppt
【文献】 Hongyuan Zhang et al.,NDP sounding,IEEE 802.11-12/0617r0,2012年 5月14日,P.1-14,URL,https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/12/11-12-0617-00-00ah-ndp-sounding.ppt
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 99/00
H04B 7/04
H04J 11/00
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信チャネルを介して送信する、ヌルデータパケット(NDP)サウンディングパケットを生成する方法であって、
信号フィールドを生成する段階と、
複数のパイロットトーンおよび複数の非パイロットトーンを含む1以上のロングトレーニングフィールドを生成する段階と、
マッピング行列を使用して、前記複数の非パイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは複数の空間−時間ストリームにマッピングする段階と、
前記マッピング行列の最初の一列を使用して、前記複数のパイロットトーンを、前記複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする段階と、
複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを使用して、前記信号フィールドおよび前記ロングトレーニングフィールドを変調する段階と、
前記複数のOFDMシンボルを含めるべく前記NDPサウンディングパケットを生成する段階と、を備え、
前記複数のOFDMシンボルの各OFDMシンボルのシンボル継続期間は、少なくとも8μsであり、
前記NDPサウンディングパケットは、データペイロード部分を含まない、方法。
【請求項2】
前記NDPサウンディングパケットは、通常パケットのPHYプリアンブル形式に従ってフォーマットされ、
前記方法は、
前記NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであり通常データユニットではないことを受信デバイスに通知するべく、前記信号フィールドにおける1以上のサブフィールドのそれぞれを、対応する第1の値に設定する段階を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1以上のサブフィールドは、
i)長さサブフィールド、および、ii)変調および符号化スキーム(MCS)サブフィールドのうちの少なくとも1つを含む請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであることを前記受信デバイスに通知するべく、前記長さサブフィールドに、値0を設定する段階を更に備える、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであることを前記受信デバイスに通知するべく、前記MCSサブフィールドに、有効なMCS値以外の値を設定する段階を更に備え、
前記有効なMCS値は、通常データユニットのMCSを示すのに使用される値である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
ネットワークインターフェースを備える装置であって、
前記ネットワークインターフェースは、
信号フィールドを生成し、
複数のパイロットトーンおよび複数の非パイロットトーンを含む1以上のロングトレーニングフィールドを生成し、
マッピング行列を使用して、前記複数の非パイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングし、
前記マッピング行列の最初の一列を使用して、前記複数のパイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングし、
複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを使用して、前記信号フィールドおよび前記ロングトレーニングフィールドを変調し、
前記複数のOFDMシンボルを含めるべく、ヌルデータパケット(NDP)サウンディングパケットを生成し、
前記複数のOFDMシンボルの各OFDMシンボルのシンボル継続期間は、少なくとも8μsであり、
前記NDPサウンディングパケットは、データペイロード部分を含まない、装置。
【請求項7】
前記NDPサウンディングパケットは、通常パケットのPHYプリアンブル形式に従ってフォーマットされ、
前記ネットワークインターフェースは更に、
前記NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであり通常データユニットではないことを受信デバイスに通知するべく、前記信号フィールドにおける1以上のサブフィールドのそれぞれを、対応する第1の値に設定する、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記1以上のサブフィールドは、
i)長さサブフィールド、および、ii)変調および符号化スキーム(MCS)サブフィールドのうちの少なくとも1つを含む請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記ネットワークインターフェースは、前記NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであることを前記受信デバイスに通知するべく、前記長さサブフィールドに、値0を設定する、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記ネットワークインターフェースは、前記NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであることを前記受信デバイスに通知するべく、前記MCSサブフィールドに、有効なMCS値以外の値を設定し、
前記有効なMCS値は、通常データユニットのMCSを示すのに使用される値である、請求項に記載の装置。
【請求項11】
ヌルデータパケット(NDP)サウンディングパケットを通常PHYモードで送信する場合には、前記NDPサウンディングパケットを、通信プロトコルによって規定される第1PHYサウンディングパケット形式に従って生成する段階と、
前記NDPサウンディングパケットを拡張範囲PHYモードで送信する場合には、前記NDPサウンディングパケットを、前記通信プロトコルによって規定される第2PHYサウンディングパケット形式に従って生成する段階であって、
複数のパイロットトーンおよび複数の非パイロットトーンを含む1以上のロングトレーニングフィールドを生成する段階と、
マッピング行列を使用して、前記複数の非パイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは複数の空間−時間ストリームにマッピングする段階と、
前記マッピング行列の最初の一列を使用して、前記複数のパイロットトーンを、前記複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする段階とを含む段階と、
を備える方法。
【請求項12】
前記第1PHYサウンディングパケット形式は、前記通常PHYモードで送信されるデータユニットに含められ、前記通信プロトコルによって規定される第1PHYプリアンブル形式に基づき、
前記第2PHYサウンディングパケット形式は、前記拡張範囲PHYモードで送信されるデータユニットに含められ、前記通信プロトコルによって規定される第2PHYプリアンブル形式に基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2PHYプリアンブル形式は、シングルストリームデータユニットに対して規定され、
前記第2PHYサウンディングパケット形式は、マルチストリームサウンディングパケットに対して規定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
データペイロード部分を含む通常データユニットを生成する段階と、
第1サブフィールドおよび第2サブフィールドを含む信号フィールドを生成する段階と、を更に備え、
前記通常データユニットは、拡張範囲モードで送信され、
前記信号フィールドは、i)前記通常データユニットのプリアンブル、または、ii)前記拡張範囲モードで送信される前記NDPサウンディングパケット、に含まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1サブフィールドは、i)前記信号フィールドが前記通常データユニットに含まれる場合には、第1の値以外の値に設定された長さフィールドであり、ii)前記信号フィールドが前記NDPサウンディングパケットに含まれる場合には、前記第1の値に設定された長さフィールドであり、
前記信号フィールドが前記NDPサウンディングパケットに含まれる場合には、前記第2サブフィールドは、ストリーム数を示す情報を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1サブフィールドは、i)前記信号フィールドが前記通常データユニットに含まれる場合には、第1の値以外の値に設定された長さサブフィールドであり、ii)前記信号フィールドが前記NDPサウンディングパケットに含まれる場合には、前記第1の値に設定された長さサブフィールドであり、
前記第2サブフィールドは、i)前記信号フィールドが前記NDPサウンディングパケットに含まれる場合には、ストリーム数を示す情報を含み、ii)前記信号フィールドが前記通常データユニットに含まれる場合には、スクランブラシード値を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1サブフィールドは、前記パケットが前記通常データユニットであるかまたは前記NDPサウンディングパケットであるかを示すのに使用され、
前記第2サブフィールドは、i)前記第1サブフィールドが、前記パケットが前記通常データユニットであることを示す場合には、前記通常データユニットの長さを示す長さ値を含み、ii)前記第1サブフィールドが、前記パケットが前記NDPサウンディングパケットであることを示す場合には、ストリームの数を示す情報を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1サブフィールドは、変調および符号化スキーム(MCS)サブフィールドであり、
前記パケットがサウンディングパケットであることを示すのに、前記MCSサブフィールドの有効なMCS値以外の値が使用され、
前記有効なMCS値は、通常データユニットの有効なMCSを示すのに使用される値である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ヌルデータパケット(NDP)サウンディングパケットを通常PHYモードで送信する場合には、前記NDPサウンディングパケットを、通信プロトコルによって規定される第1PHYサウンディングパケット形式に従って生成し、
前記NDPサウンディングパケットを拡張範囲PHYモードで送信する場合には、前記NDPサウンディングパケットを、前記通信プロトコルによって規定される第2PHYサウンディングパケット形式に従って生成する、ネットワークインターフェースを備え
前記第2PHYサウンディングパケット形式に従って生成することは、
複数のパイロットトーンおよび複数の非パイロットトーンを含む1以上のロングトレーニングフィールドを生成し、
マッピング行列を使用して、前記複数の非パイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングし、
前記マッピング行列の最初の一列を使用して、前記複数のパイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングすることを含む、装置。
【請求項20】
前記第1PHYサウンディングパケット形式は、前記通常PHYモードで送信されるデータユニットに含められ、前記通信プロトコルによって規定される第1PHYプリアンブル形式に基づき、
前記第2PHYサウンディングパケット形式は、前記拡張範囲PHYモードで送信されるデータユニットに含められ、前記通信プロトコルによって規定される第2PHYプリアンブル形式に基づく、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第2PHYプリアンブル形式は、シングルストリームデータユニットに対して規定され、
前記第2PHYサウンディングパケット形式は、マルチストリームサウンディングパケットに対して規定される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記ネットワークインターフェースは更に、
データペイロード部分を含む通常データユニットを生成し、
第1サブフィールドおよび第2サブフィールドを含む信号フィールドを生成し、
前記通常データユニットは、拡張範囲モードで送信され、
前記信号フィールドは、i)前記通常データユニットのプリアンブル、または、ii)前記拡張範囲モードで送信される前記NDPサウンディングパケット、に含まれる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1サブフィールドは、i)前記信号フィールドが前記通常データユニットに含まれる場合には、第1の値以外の値に設定された長さフィールドであり、ii)前記信号フィールドが前記NDPサウンディングパケットに含まれる場合には、前記第1の値に設定された長さフィールドであり、
前記信号フィールドが前記NDPサウンディングパケットに含まれる場合には、前記第2サブフィールドは、ストリーム数を示す情報を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記第1サブフィールドは、i)前記信号フィールドが前記通常データユニットに含まれる場合には、第1の値以外の値に設定された長さサブフィールドであり、ii)前記信号フィールドが前記NDPサウンディングパケットに含まれる場合には、前記第1の値に設定された長さサブフィールドであり、
前記第2サブフィールドは、i)前記信号フィールドが前記NDPサウンディングパケットに含まれる場合には、ストリーム数を示す情報を含み、ii)前記信号フィールドが前記通常データユニットに含まれる場合には、スクランブラシード値を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記第1サブフィールドは、前記パケットが前記通常データユニットであるかまたは前記NDPサウンディングパケットであるかを示すのに使用され、
前記第2サブフィールドは、i)前記第1サブフィールドが、前記パケットが前記通常データユニットであることを示す場合には、前記通常データユニットの長さを示す長さ値を含み、ii)前記第1サブフィールドが、前記パケットが前記NDPサウンディングパケットであることを示す場合には、ストリームの数を示す情報を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記第1サブフィールドは、変調および符号化スキーム(MCS)サブフィールドであり、
前記パケットがサウンディングパケットであることを示すべく、前記ネットワークインターフェースは、前記MCSサブフィールドに有効なMCS値以外の値を設定し、
前記有効なMCS値は、通常データユニットの有効なMCSを示すのに使用される値である、請求項25に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、通信ネットワークに関し、より詳細には、長距離低電力無線ローカルエリアネットワークに関する。
【0002】
[優先権情報]
本開示は、2011年5月26日出願の米国仮出願61/490,465号"Sounding Packet Format for 11ah and 11af(11ahおよび11afのサウンディングパケット形式)"、2011年6月7日出願の米国仮出願61/494,349号"Sounding Packet Format for 11ah and 11af(11ahおよび11afのサウンディングパケット形式)"の優先権を主張するものであり、上記出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
本発明の理解するための背景を、一般的に説明することを目的として、背景技術を説明する。以下、背景技術の章において説明される範囲および出願時には従来技術として認められていない側面の範囲において、本願発明者の仕事は、本開示に対して明示的にまたは非明示的にも、従来技術であるとは認めていない。
【0004】
電気電子技術者境界(IEEE)802.11a、802.11b、802.11gおよび802.11n規格のような無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)規格により、シングルユーザ・ピークデータスループットの改善がなされてきた。例えば、IEEE802.11b規格では、11メガビット/秒(Mbps)のシングルユーザスループットが規定されており、IEEE802.11aおよび802.11g規格では、54Mbpsのシングルユーザスループットが規定されており、IEEE802.11n規格では、600Mbpsのシングルユーザスループットが規定されており、IEEE802.11ac規格(現在、最終合意段階にある)では、ギガビット/秒(Gbps)の範囲のシングルユーザスループットが規定されている。
【0005】
サブ1GHz周波数で動作する無線ネットワークを規定する新たな規格であるIEEE802.11ahおよびIEEE802.11afについての検討も進められている。低い周波数の通信チャネルは一般的に、良好な伝播特性を有し、高い周波数での伝送と比較して、広い伝播範囲を有する。これまで、サブ1GHz領域は、別の用途(例えば、テレビの周波数帯域、無線周波数帯域等)に割り当てられており、無線通信ネットワークでは利用されてこなかった。サブ1GHz領域で割り当てられていない未使用の周波数帯が僅かに存在し、異なる地理的領域では未使用の周波数が異なる。IEEE802.11ah規格は、利用可能なサブ1GHz周波数帯での無線オペレーションを規定している。IEEE802.11af規格は、テレビのホワイトスペース(TVWS)、すなわち、サブ1GHz周波数帯で利用されていないTVチャネルでの無線オペレーションを規定している。
【発明の概要】
【0006】
以下に記載される様々な実施形態において、通信チャネルを通知するのに使用されるサウンディングパケットは、以下に説明される物理層(PHY)サウンディングパケット形式に従って生成される。ある実施形態では、サウンディングパケットは、サウンディングパケットが送信されるモードに応じて、複数のPHYサウンディングパケット形式のうちの1つに従って生成される。
【0007】
一実施形態では、通信チャネルを介して送信する、ヌルデータパケット(NDP)サウンディングパケットを生成する方法は、信号フィールドを生成する段階と、1以上のロングトレーニングフィールドを生成する段階とを備える。方法また、複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを使用して、信号フィールドおよびロングトレーニングフィールドを変調する段階を備え、複数のOFDMシンボルの各OFDMシンボルのシンボル継続期間は、少なくとも8μsである。方法は更に、複数のOFDMシンボルを含めるべくNDPサウンディングパケットを生成する段階を備え、NDPサウンディングパケットは、データペイロード部分を含まない。
【0008】
別の実施形態では、方法は、以下に記す複数の要素のうちの1以上の組み合わせを備える。
【0009】
上記の1以上のロングトレーニングフィールドを生成する段階は、複数のパイロットトーンおよび複数の非パイロットトーンを含むべく、1以上のトレーニングフィールドのうちの少なくとも1つを生成する段階を有する。
【0010】
上記方法は、マッピング行列を使用して、複数の非パイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする段階と、マッピング行列の一列を使用して、複数のパイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする段階とを更に備える。
【0011】
複数のパイロットトーンを複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングするのに使用されるマッピング行列の一列は、マッピング行列の最初の一列である。
【0012】
上記方法は、マッピング行列を使用して、複数の非パイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする段階と、マッピング行列の一行を使用して、複数のパイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする段階とを備える。
【0013】
複数のパイロットトーンを複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングするのに使用されるマッピング行列の一行は、マッピング行列の最初の一列である。
【0014】
NDPサウンディングパケットは、通常パケットのPHYプリアンブル形式に従ってフォーマットされる。方法は、NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであり通常データユニットではないことを受信デバイスに通知するべく、信号フィールドにおける1以上のサブフィールドのそれぞれを、対応する第1の値に設定する段階を更に備える。
【0015】
1以上のサブフィールドは、i)長さサブフィールド、および、ii)変調および符号化スキーム(MCS)フィールドのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
方法は、NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであることを受信デバイスに通知するべく、長さサブフィールドに、値0を設定する段階を更に備える。
【0017】
方法は、NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであることを受信デバイスに通知するべく、MCSサブフィールドに、有効なMCS値以外の値を設定する段階を更に備え、有効なMCS値は、通常データユニットのMCSを示すのに使用される値である。
【0018】
別の実施形態では、ネットワークインターフェースを備える装置であって、ネットワークインターフェースは、信号フィールドおよび1以上のロングトレーニングフィールドを生成する。ネットワークインターフェースは更に、複数の直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを使用して、プリアンブル部分を変調し、複数のOFDMシンボルの各OFDMシンボルのシンボル継続期間は、少なくとも8μsである。ネットワークインターフェースは更に、複数のOFDMシンボルを含めるべくNDPサウンディングパケットを生成する。NDPサウンディングパケットは、データペイロード部分を含まない。
【0019】
別の実施形態では、装置は、以下に記載する特徴の1以上の任意の組み合わせを備える。
【0020】
ネットワークインターフェースは、複数のパイロットトーンおよび複数の非パイロットトーンを含むべく、1以上のトレーニングフィールドのうちの少なくとも1つを生成する。
【0021】
ネットワークインターフェースは、マッピング行列を使用して、複数の非パイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングし、マッピング行列の一列を使用して、複数のパイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする。
【0022】
ネットワークインターフェースは、マッピング行列の最初の一列を使用して、複数のパイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする。
【0023】
ネットワークインターフェースは更に、マッピング行列を使用して、複数の非パイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングし、マッピング行列の一行を使用して、複数のパイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする。
【0024】
ネットワークインターフェースは、マッピング行列の最初の一行を使用して、複数のパイロットトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングする。
【0025】
NDPサウンディングパケットは、通常パケットのPHYプリアンブル形式に従ってフォーマットされる。
【0026】
ネットワークインターフェースは、NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであり通常データユニットではないことを受信デバイスに通知するべく、信号フィールドにおける1以上のサブフィールドのそれぞれを、対応する第1の値に設定する。
【0027】
NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであることを受信デバイスに通知する1以上のサブフィールドは、i)長さサブフィールド、および、ii)変調および符号化スキーム(MCS)フィールドのうちの少なくとも1つを含む。
【0028】
ネットワークインターフェースは、NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであることを受信デバイスに通知するべく、長さサブフィールドに、値0を設定する。
【0029】
NDPサウンディングパケットがサウンディングパケットであることを受信デバイスに通知するべく、ネットワークインターフェースは、MCSサブフィールドに、有効なMCS値以外の値を設定する段階を更に備え、有効なMCS値は、通常データユニットのMCSを示すのに使用される値である。
【0030】
更なる別の実施形態では、方法は、ヌルデータパケット(NDP)サウンディングパケットを通常PHYモードで送信する場合には、NDPサウンディングパケットを、通信プロトコルによって規定される第1PHYサウンディングパケット形式に従って生成する段階を備える。方法はまた、NDPサウンディングパケットを拡張範囲PHYモードで送信する場合には、NDPサウンディングパケットを、通信プロトコルによって規定される第2PHYサウンディングパケット形式に従って生成する段階を備える。
【0031】
別の実施形態では、方法は、以下に記す特徴のうちの1以上の任意の組み合わせを備える。
【0032】
第1PHYサウンディングパケット形式は、通信プロトコルによって規定され、通常PHYモードで送信されるデータユニットに含められる第1PHYプリアンブル形式に基づき、第2PHYサウンディングパケット形式は、通信プロトコルによって規定され拡張範囲PHYモードで送信されるデータユニットに含められる第2PHYプリアンブル形式に基づく。
【0033】
第2PHYプリアンブル形式は、シングルストリームデータユニットに対して規定され、第2PHYサウンディングパケット形式は、マルチストリームサウンディングパケットに対して規定される。
【0034】
方法は、データペイロード部分を含む通常データユニットを生成する段階と、第1サブフィールドおよび第2サブフィールドを含む信号フィールドを生成する段階とを更に備え、通常データユニットは、拡張範囲モードで送信され、信号フィールドは、i)通常データユニットのプリアンブル、または、ii)拡張範囲モードで送信されるNDPサウンディングパケット、に含まれる。
【0035】
第1サブフィールドは、i)信号フィールドが通常データユニットに含まれる場合には、第1の値以外の値に設定された長さフィールドであり、ii)信号フィールドがNDPサウンディングパケットに含まれる場合には、第1の値に設定された長さフィールドであり、信号フィールドがNDPサウンディングパケットに含まれる場合には、第2サブフィールドは、ストリーム数を示す情報を含む。
【0036】
第1サブフィールドは、i)信号フィールドが通常データユニットに含まれる場合には、第1の値以外の値に設定された長さフィールドであり、ii)信号フィールドがNDPサウンディングパケットに含まれる場合には、第1の値に設定された長さフィールドであり、第2サブフィールドは、i)信号フィールドがNDPサウンディングパケットに含まれる場合には、ストリーム数を示す情報を含み、ii)信号フィールドが通常データユニットに含まれる場合には、スクランブラシード値を含む。
【0037】
第1サブフィールドは、パケットが通常データユニットであるかまたはNDPサウンディングパケットであるかを示すのに使用され、第2サブフィールドは、i)第1サブフィールドが、パケットが通常データユニットであることを示す場合には、通常データユニットの長さを示す長さ値を含み、ii)第1サブフィールドが、パケットがNDPサウンディングパケットであることを示す場合には、ストリームの数を示す情報を含む。
【0038】
第1サブフィールドは、変調および符号化スキーム(MCS)サブフィールドである。パケットがサウンディングパケットであることを示すのに、MCSサブフィールドの有効なMCS値以外の値が使用され、有効なMCS値は、通常データユニットの有効なMCSを示すのに使用される値である。
【0039】
別の実施形態では、装置は、ヌルデータパケット(NDP)サウンディングパケットを通常PHYモードで送信する場合には、NDPサウンディングパケットを、通信プロトコルによって規定される第1PHYサウンディングパケット形式に従って生成するネットワークインターフェースを備える。ネットワークインターフェースは、NDPサウンディングパケットを拡張範囲PHYモードで送信する場合には、NDPサウンディングパケットを、通信プロトコルによって規定される第2PHYサウンディングパケット形式に従って生成する。
【0040】
別の実施形態では、装置は、以下に記す特徴のうちの1以上の任意の組み合わせを備える。
【0041】
第2PHYプリアンブル形式は、シングルストリームデータユニットに対して規定され、第2PHYサウンディングパケット形式は、マルチストリームサウンディングパケットに対して規定される。
【0042】
ネットワークインターフェースは更に、データペイロード部分を含む通常データユニットを生成し、第1サブフィールドおよび第2サブフィールドを含む信号フィールドを生成し、通常データユニットは、拡張範囲モードで送信され、信号フィールドは、i)通常データユニットのプリアンブル、または、ii)拡張範囲モードで送信されるNDPサウンディングパケット、に含まれる。
【0043】
第1サブフィールドは、i)信号フィールドが通常データユニットに含まれる場合には、第1の値以外の値に設定された長さフィールドであり、ii)信号フィールドがNDPサウンディングパケットに含まれる場合には、第1の値に設定された長さフィールドであり、信号フィールドがNDPサウンディングパケットに含まれる場合には、第2サブフィールドは、ストリーム数を示す情報を含む。
【0044】
第1サブフィールドは、i)信号フィールドが通常データユニットに含まれる場合には、第1の値以外の値に設定された長さフィールドであり、ii)信号フィールドがNDPサウンディングパケットに含まれる場合には、第1の値に設定された長さフィールドであり、第2サブフィールドは、i)信号フィールドがNDPサウンディングパケットに含まれる場合には、ストリーム数を示す情報を含み、ii)信号フィールドが通常データユニットに含まれる場合には、スクランブラシード値を含む。
【0045】
第1サブフィールドは、パケットが通常データユニットであるかまたはNDPサウンディングパケットであるかを示すのに使用され、第2サブフィールドは、i)第1サブフィールドが、パケットが通常データユニットであることを示す場合には、通常データユニットの長さを示す長さ値を含み、ii)第1サブフィールドが、パケットがNDPサウンディングパケットであることを示す場合には、ストリームの数を示す情報を含む。
【0046】
第1サブフィールドは、変調および符号化スキーム(MCS)サブフィールドであり、ネットワークインターフェースは、パケットがサウンディングパケットであることを示すのに、前記MCSサブフィールドの有効なMCS値以外の値が使用され、前記有効なMCS値は、通常データユニットの有効なMCSを示すのに使用される値である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】一実施形態に係る無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)10を示したブロック図である。
【0048】
図2A】一実施形態に係る、短距離直交周波数分割多重(OFDM)データユニットを示した図である。
図2B】一実施形態に係る、短距離直交周波数分割多重(OFDM)データユニットを示した図である。
【0049】
図3】一実施形態に係る短距離OFDMデータユニットを示した図である。
【0050】
図4】別の実施形態に係る短距離OFDMデータユニットを示した図である。
【0051】
図5】別の実施形態に係る短距離OFDMデータユニットを示した図である。
【0052】
図6】IEEE802.11n規格で規定される様々なプリアンブルフィールドの変調を示した図である。
【0053】
図7】IEEE802.11ac規格で規定される様々なプリアンブルフィールドの変調を示した図である。
【0054】
図8A】一実施形態に係る、ヌルデータパケット(NDP)サウンディングパケットの一例を示した図である。
【0055】
図8B】一実施形態に係る、4つのアンテナを使用する場合の図8Aのサウンディングパケット形式の例に従って生成されたNDPサウンディングパケットの例である。
【0056】
図9】別の実施形態に係る、NDPサウンディングパケットの一例を示した図である。
【0057】
図10】別の実施形態に係る、NDPサウンディングパケットの一例を示した図である。
【0058】
図11】一実施形態に係る、拡張レンジモードで送信されるNDPサウンディングパケットの一例を示した図である。
【0059】
図12A】一実施形態に係る、NDPサウンディングパケットおよび/または通常データユニットのプリアンブルに含まれる信号フィールドの一例を示した図である。
【0060】
図12B】別の実施形態に係る、NDPサウンディングパケットおよび/または通常データユニットのプリアンブルに含まれる信号フィールドの一例を示した図である。
【0061】
図12C】別の実施形態に係る、NDPサウンディングパケットおよび/または通常データユニットのプリアンブルに含まれる信号フィールドの一例を示した図である。
【0062】
図13】一実施形態に係る、NDPサウンディングパケットを生成する方法の一例を示したフローチャートである。
【0063】
図14】一実施形態に係る方法の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下に記載される実施形態では、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)のアクセスポイント(AP)のような無線ネットワークデバイスが、1以上のクライアント局にデータストリームを送信する。APは、少なくとも第1通信プロトコルに従って、クライアント局とのオペレーションを行うように構成されている。第1通信プロトコルは、サブ1GHz周波数帯におけるオペレーションを規定し、典型的には、(以下に説明する"短距離(short range)"通信プロトコルと比較して)相対的に低いデータレートで長距離(long range)無線通信を行うことを必要とするアプリケーションで使用される。以下、第1通信プロトコル(例えば、IEEE802.11afまたはIEEE802.11ah)を"長距離"通信プロトコルと称する。ある実施形態では、APは、第1通信プロトコと比較して、相対的に高いデータレートで近距離で通信を行うのに使用され一般的に高い周波数帯でオペレーションを規定する1以上の別の通信プロトコルに従って、クライアント局との動作を行うように構成される。以下、近距離通信プロトコルを、"短距離"通信プロトコルと称する。
【0065】
少なくとも一部の実施形態において、APおよび複数のクライアント局の少なくとも一部はそれぞれ、複数のアンテナを備え、スループット、通信可能範囲等の1以上を改善させるべく、送信ビーム形成および/または受信ビーム形成を利用する。これに加えてまたはこれに替えて、ある実施形態では、マルチユーザ通信として知られている技術において、APは、複数のアンテナによって複数のクライアント局にデータストリームを同時に送信することによって提供される空間ダイバーシチを利用する。このような実施形態では、APは、APと複数のクライアント局との間の通信チャネルの知識を利用して、同時に送信された複数のデータストリームのそれぞれをステアリングして、他のユーザからの干渉を最小にすると同時に目的のユーザへとデータストリームを送る。様々な実施形態および/またはシナリオにおいて、APおよび/またはクライアント局は、チャネルの知識を利用して、複数のアンテナを介して送受信される信号に適用すべきビーム形成行列またはビームステアリング行列を決定する。あるシステムでは、チャネルの明示的な知識を得るには、周知のトレーニング信号をビーム形成される装置に対して送信するビーム送信形成が実行され、受信されたトレーニング信号に基づいて、チャネルの測定値(チャネルステート情報またはCSIと称される場合がある)が生成される。このようなトレーニング信号の送信は、時に、通信チャネルのサウンディングまたはサウンディングパケットの送信とも称される。
【0066】
ある実施形態では、長距離通信プロトコルは、近距離通信プロトコルの1以上によって規定される物理層データユニット形式と同様なまたは同一の1以上の物理層データユニット形式を規定する。一実施形態では、長距離通信をサポートし、典型的には低い周波数(サブ1GHz)で利用可能な小さな帯域幅のチャネルに適用させるべく、長距離通信プロトコルは、長距離通信プロトコルによって規定される物理層データユニット形式とほぼ同様である形式を有するが低いクロックレートで生成されるデータユニットを規定する。同様に、一実施形態では、長距離通信プロトコルは、短距離通信プロトコルによって規定され、低いクロックレートを使用して生成されるPHYプリアンブル形式に基づくヌルデータパケット(null data packet:NDP)サウンディングパケット形式を規定する。一実施形態では、APは、短距離(および高スループット)オペレーションに適したクロックレートで動作し、ダウンクロックを利用して、サブ1GHzオペレーションで利用可能なクロック信号を新たに生成する。この実施形態では、長距離通信プロトコルに準拠するNDPサウンディングパケットは、短距離通信プロトコルに準拠するデータユニット("短距離データユニット")の物理層形式を維持するが、より長い期間にわたっておよび/または低いレートで送信される。NDPパケットは、プリアンブル部分を含み、データペイロード部分は含まない。
【0067】
一実施形態では、マルチユーザシステムでは、サウンディングパケットは典型的には、各ユーザに対して個別に送信される。NDPサウンディングパケットの長さを小さくするには、NDPサウンディングパケット形式は、短距離通信プロトコルで規定される(マルチユーザ(MU)プリアンブル形式ではなく)シングルユーザ(SU)プリアンブル形式に基づく。さらに、ある実施形態では、長距離通信プロトコルは、デバイス間(例えば、APおよびクライアント局の間、または、2つのクライアント局の間)の通信範囲を拡張するべく、1以上の拡張範囲モード(extended range mode)を規定する。このような実施形態では、長距離通信プロトコルは、通常モードデータユニットで使用されるPHYプリアンブル形式とは異なる拡張範囲モードの好適なPHYプリアンブル形式を規定する。このような実施形態では、拡張範囲モードで送信されるサウンディングパケットのNDPサウンディングパケット形式は、拡張範囲データユニットに対して規定されたPHYプリアンブル形式に基づく。その結果、この実施形態では、APまたはクライアント局によって送信されるNDPサウンディングパケットは、使用される特定のモード(例えば、通常PHYモードまたは拡張範囲モード)に応じて、異なる形式を有する。
【0068】
図1は、一実施形態に係る、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)10の一例を示したブロック図である。AP14は、ネットワークインターフェース16に接続されたホストプロセッサ15を備える。ネットワークインターフェース16は、媒体アクセス制御(MAC)処理ユニット18および物理層(PHY)処理ユニット20を有する。PHY処理ユニット20は、複数の送受信機21を含み、複数の送受信機21は、複数のアンテナ24に接続されている。図1には、3つの送受信機21および3つのアンテナ24が示されているが、別の実施形態では、AP14は、異なる数(例えば、1、2、4、5等)の送受信機21およびアンテナ24を備えてもよい。
【0069】
WLAN10は、複数のクライアント局25を備える。図1には、4つのクライアント局25が示されているが、他のシナリオおよび/または実施形態では、WLAN10は、異なる数(例えば、1、2、3、5、6等)のクライアント局25を含んでもよい。複数のクライアント局25のうちの少なくとも1つ(例えば、クライアント局25−1)は、少なくとも長距離通信プロトコルに従って動作するよう構成されている。ある実施形態では、複数のクライアント局25のうちの少なくとも1つ(例えば、クライアント局25−4)は、少なくとも短距離通信プロトコルの1以上に従って動作するよう構成されている。
【0070】
クライアント局25−1は、ネットワークインターフェース27に接続されたホストプロセッサ26を備える。ネットワークインターフェース27は、MAC処理ユニット28およびPHY処理ユニット29を有する。PHY処理ユニット29は、複数の送受信機30を含み、複数の送受信機30は、複数のアンテナ34に接続されている。図1には、3つの送受信機30および3つのアンテナ34が示されているが、別の実施形態では、クライアント局25−1は、異なる数(例えば、1、2、4、5等)の送受信機30およびアンテナ34を備えてもよい。
【0071】
一実施形態では、クライアント局25−2および25−3のうちの1つまたは両方が、クライアント局25−1と同一のまたは同様な構造を有する。一実施形態において、クライアント局25−4は、クライアント局25−1と同一のまたは同様な構造を有する。これらの実施形態では、クライアント局25−1と同一のまたは同様な構造を有する複数のクライアント局25は、同じ数または異なる数の送受信機およびアンテナを有する。例えば、一実施形態において、クライアント局25−2は、送受信機およびアンテナをそれぞれ2つのみ有する。
【0072】
様々な実施形態において、AP14のネットワークインターフェース16は、長距離通信プロトコルに準拠し、以下に説明する形式を有するデータユニットを生成する。送受信機21は、アンテナ24を介して、生成されたデータユニットを送信する。同様に、送受信機24は、アンテナ21を介してデータユニットを受信する。様々な実施形態において、AP14のネットワークインターフェース16は、長距離通信プロトコルに準拠し、以下に説明する形式を有する受信データユニットを処理するように構成される。
【0073】
様々な実施形態において、クライアントデバイス25−1のネットワークインターフェース27は、長距離通信プロトコルに準拠し、以下に説明する形式を有するデータユニットを生成するように構成される。送受信機30は、アンテナ34を介して、生成されたデータユニットを送信する。同様に、送受信機30は、アンテナ34を介してデータユニットを受信する。様々な実施形態において、クライアントデバイス25−1のネットワークインターフェース27は、長距離通信プロトコルに準拠して、以下に記載する形式を有する受信データユニットを処理する。
【0074】
図2Aは、一実施形態に係る、短距離通信プロトコルに従って動作する場合に、直交周波数分割多重(OFDM)変調を介して、クライアント局25−4に、AP14のネットワークインターフェース16が生成および送信する短距離OFDMデータユニット200を示した図である。一実施形態において、クライアント局25−4のネットワークインターフェースも、データユニット200をAP14に送信する。データユニット200は、IEEE802.11a規格(および/またはIEEE802.11b規格)に準拠し、20メガヘルツ(MHz)帯を占める。データユニット200は、一般的にパケット検出、初期同期および自動ゲイン制御等に使用されるレガシーショートトレーニングフィールド(L−STF)202、および、一般的にチャネル推定および精度の高い同期に使用されるレガシーロングトレーニングフィールド(L−LTF)204を有するプリアンブルを含む。データユニット200はまた、例えば、変調の種類およびデータユニットの送信に使用される符合化レートのような、データユニット200に関する特定の物理層(PHY)パラメータを搬送するのに使用されるレガシー信号フィールド(L−SIG)206を含む。データユニット200はまた、データ部分208を含む。図2Bは、必要に応じて、サービスフィールド、暗号化された物理層サービスデータユニット(PSDU)、テールビットおよびパディングビットを含むデータ部分208(低密度パリティ検査符号で符合化されていない)の一例を示している。データユニット200は、単入力単出力(SISO)チャネル構成で、1つの空間または空間時間ストリーム上で送信されるように設計されている。
【0075】
図3は、一実施形態に係る、短距離通信プロトコルに従って動作する場合の、直交周波数領域多重(OFDM)変調を介してクライアント局25−4に、AP14のネットワークインターフェース16が送信する、短距離OFDMデータユニット300が示されている。一実施形態において、ネットワークインターフェースのクライアント局25−4も、AP14に対してデータユニット300を送信するように構成される。データユニット300は、IEEE802.11n規格に準拠し、20MHzまたは40MHz帯域を占め、混合モードの場合に適するように設計されている、すなわち、WLANが、IEEE802.11a規格(および/またはIEEE802.11g規格)に準拠するがIEEE802.11n規格には準拠してないクライアント局を1以上含む場合に適するように設計されている。データユニット300は、L−STF302、L−LTF304、L−SIG306、高スループット信号フィールド(HT−SIG)308、高スループットショートトレーニングフィールド(HT−STF)310、および、M個のデータ高スループットロングトレーニングフィールド(HT−LTF)312を含むプリアンブルを有し、ここで、Mは、一般的に複数入力複数出力(MIMO)チャネル構成でデータユニット300を送信するのに使用される空間または空間−時間ストリームの数に対応する整数である。より詳細には、IEEE802.11n規格に準拠して、データユニット300が2つの空間ストリームまたは時間ストリームを使用して送信される場合には、データユニット300は2つのHT−LTF312を含み、データユニット300が3つまたは4つの空間ストリームを使用して送信される場合には、データユニット300は4つのHT−LTF312を含む。使用される空間または空間−時間ストリームの特定の数を示す情報は、HT−SIGフィールド308に含まれる。データユニット300は、データ部分314を含む。
【0076】
図4は、一実施形態に係る、短距離通信プロトコルに従って動作する場合の、直交周波数分割多重(OFDM)変調を介してクライアント局25−4に、AP14のネットワークインターフェース16が送信する短距離OFDMデータユニット400を示している。一実施形態において、クライアント局25−4のネットワークインターフェースも、AP14に対してデータユニット400を送信するように構成される。データユニット400は、IEEE802.11n規格に準拠し、20MHzまたは40MHz帯域を占め、"グリーンフィールド"に適するように設計されている、すなわち、WLANがIEEE802.11a規格(および/またはIEEE802.11g規格)に準拠するがIEEE802.11n規格には準拠しないクライアント局を含まない場合に適するように設計されている。データユニット400は、高スループットグリーンフィールドショートトレーニングフィールド(HT−GF−STF)402、第1高スループットロングトレーニングフィールド(HT−LTF1)404、HT−SIG406、および、M個のHT−LTF408を含むプリアンブルを有し、ここで、Mは、一般的に複数入力複数出力(MIMO)チャネル構成でデータユニット400を送信するのに使用される空間または空間−時間ストリームの数に対応する整数である。データユニット400はまた、データペイロード部分410を含む。
【0077】
図5は、一実施形態に係る、短距離通信プロトコルに従って動作する場合の、直交周波数分割多重(OFDM)変調を介してクライアント局25−4にAP14のネットワークインターフェース16が送信する短距離OFDMデータユニット500を示している。一実施形態において、クライアント局25−4のネットワークインターフェースも、AP14に対してデータユニット500を送信するように構成される。データユニット500は、IEEE802.11ac規格に準拠し、"混合フィールド"の場合に適するように設計されている、データユニット500は、20MHz帯域を占める。別の実施形態または別のシナリオでは、データユニット500と同様なデータユニットが、40MHz、80MHzまたは160MHzといった異なる帯域幅を占める。データユニット500は、L−STF502、L−LTF504、L−SIG506、第1超高スループット信号フィールド(VHT−SIG−A)508、超高スループットショートトレーニングフィールド(VHT−STF)510、M個の超高スループットロングトレーニングフィールド(VHT−LTF)512、および、第2超高スループット信号フィールド(VHT−SIG−B)514を含むプリアンブルを有し、ここで、Mは、整数である。データユニット500はまた、データ部分516を含む。ある実施形態では、データユニット500は、クライアント局25の2以上に同時に情報を搬送するマルチユーザデータユニットである。このような実施形態またはシナリオでは、VHT−SIG−Aフィールド508は、宛先クライアント局の全てに共通の情報を含み、VHT−SIG−B514は、宛先クライアント局のそれぞれについてのユーザ固有情報を含む。
【0078】
図6には、IEEE802.11n規格によって規定されているL−SIG、HT−SIG1およびHT−SIG2フィールドの変調を示した一連の図が示されている。L−SIGフィールドは、二位相偏移変調(BPSK)に従って変調され、HT−SIG1およびHT−SIG2フィールドは、横軸でBPSKに従って変調される(Q−BPSK)。すなわち、HT−SIG1およびHT−SIG2フィールドの変調は、L−SIGフィールドの変調と比較して、90°回転される。図6に示されるように、このような変調によって、受信装置は、プリアンブル全体をデコードすることなく、データユニットがIEEE802.11a規格ではなく、IEEE802.11n規格に準拠しているいと判断できるまたは自動的に検出できる。
【0079】
図7には、IEEE802.11ac規格に規定されるように、L−SIGフィールド、VHT−SIG−Aフィールドの第1シンボル、VHT−SIG−Aフィールドの第2シンボル、および、VHT−SIG−Bの変調を示した一連の図が示されている。L−SIGは、二位相偏移変調(BPSK)に従って変調される。同様に、VHT−SIG−Aフィールドの第1シンボルもBPSKに従って変調される。一方、VHT−SIG−Aフィールドの第2シンボルは、横軸でBPSKに従って変調される(Q−BPSK)。VHT−SIG−Bフィールドは、L−SIGフィールドおよびVHT−SIG−Aフィールドの第1シンボルと同様に、BPSKに従って変調される。上記のような変調によって、受信装置は、プリアンブル全体をデコードすることなく、データユニットが、IEEE802.11a規格またはIEEE802.11n規格のうちの1つではなく、IEEE802.11ac規格に準拠しているいと判断できるまたは自動的に検出できる。
【0080】
様々な実施形態および/またはシナリオにおいて、長距離データユニットは、短距離通信プロトコルによって規定された物理層データユニット形式(例えば、図2Aから図5を参照して上記で説明した物理データユニット形式)と同じまたは同様な物理層形式を有するが、低いクロックレートを使用して送信される。このような実施形態の場合、AP14のネットワークインターフェース16は、短距離データユニットを生成するのに使用されるクロックレートを比N分だけダウンサンプリングまたはダウンクロックして、長距離データユニットを送信するのに使用するクロックレートを低くする。ダウンクロックする比Nは、異なる実施形態では異なる。例えば、一実施形態では、ダウンクロック比Nは、10である。この実施形態では、ダウンクロックされたクロックレートを使用して生成された長距離データユニットは、対応する短距離データユニットを送信するのに掛かる時間の10倍の長さの時間を掛けて送信される。この実施形態の場合、ダウンクロックされたクロックレートを使用して生成された長距離データユニットは、周波数ドメインでは、対応する短距離データユニットが占める帯域幅の10分の1の帯域幅を占める。別の実施形態では、その他の好適なダウンクロック比(N)の値が使用され、長距離データユニットの送信時間および帯域幅が、比Nに従って変更される。ある実施形態では、ダウンクロックの比Nは、2のべき乗である(例えば、N=8、16、32等)。ある実施形態では、長距離通信プロトコルは、2以上のダウンクロック比Nを規定し、例えば、異なる地域での異なる帯域幅要求を満たすべく、異なる地理的領域で使用される比Nを異ならせる(例えば、米国ではN=16、ヨーロッパではN=64等)。ある実施形態に係る、長距離通信プロトコルによって規定されるデータユニット形式の例については、2012年1月26日出願の米国特許出願第13/359,336号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
一実施形態では、ビーム形成を実行するために、ビーム形成を行う装置(例えば、AP14のネットワークインターフェース16)は、1以上の既知のトレーニング信号を含むサウンディングパケット(例えば、NDPサウンディングパケット)を、ビーム形成される装置(例えば、クライアント局25−1)に送信して、ビーム形成される装置(例えば、クライアント局25−1のネットワークインターフェース27)は、受信したトレーニング信号に基づいて、ビーム形成を行う装置とビーム形成される装置との間の通信チャネルのCSIを決定する。一実装形態では、ビーム形成される装置(例えば、クライアント局25−1のネットワークインターフェース27)は、CSIをビーム形成を行う装置に送信して、ビーム形成を行う装置(例えば、AP14のネットワークインターフェース16)は、CSIを使用してビーム形成行列を生成する。別の実装形態では、ビーム形成される装置はCSIを使用して、ビーム形成行列を生成し、ビーム形成行列の係数をビーム形成を行う装置に送信する。様々な実施形態において、長距離通信プロトコルによって規定されるNDPサウンディングパケット形式は、短距離通信プロトコルによって規定されるシングルユーザ(SU)PHYプリアンブル形式(例えば、図2Aのデータユニット200のプリアンブル、図3のデータユニット300のプリアンブル、図4のデータユニット400のプリアンブル、図5のデータユニット500のプリアンブル、短距離通信プロトコルによって規定される別のプリアンブル、または、別の好適な短距離プリアンブル)に基づき、且つ、短距離通信プロトコルに準拠するPHYデータユニットを生成するのに使用されるクロックレートと比べて低いクロックレートを使用して生成される。
【0082】
図8Aは、一実施形態に係る、長距離モードで動作する場合の、直交周波数分割多重(OFDM)変調を介して、AP14のネットワークインターフェース16が生成し、クライアント局25−1に送信するNDPサウンディングパケット800を示した図である。一実施形態では、NDPサウンディングパケット800は、短距離クロックレートよりも倍数Nだけダウンクロックされたクロックレートを使用して送信される点を除いて、データユニット400のグリーンフィールドプリアンブル401(図4)と同様にフォーマットされたPHYプリアンブルを含む。その結果、NDPサウンディングパケット800のOFDMシンボルはそれぞれ、データユニット400のプリアンブル401に含まれるOFDMシンボルと比べて、N倍の長さの継続期間を有する。図8Aの実施形態では、N=10である。したがって、NDPサウンディングパケット800に含まれるOFDMシンボルはそれぞれ、データユニット400のプリアンブル部分401に含まれるOFDMシンボルに比べて10倍の長さである。NDPサウンディングパケット800において、NDPサウンディングのOFDMシンボルはそれぞれ、40μsの継続期間となっている。図8Aに示すように、NDPサウンディングパケット800は、2つのOFDMシンボル(80μs)のGF−STFフィールド802、2つのOFDMシンボル(80μs)のLTF1フィールド804、2つのOFDMシンボル(80μs)のSIGフィールド806、および、1つのOFDMシンボルからなるM個のLTFフィールド808を含む。別の実施形態では、その他の好適なダウンクロック倍数を使用することができ、NDPサウンディングパケット800のOFDMシンボル期間とは異なるOFDMシンボル期間としてもよい。NDPサウンディングパケット800は、データペイロード部分を有さない。
【0083】
クライアント局25−1が通信チャネルの完全なチャネル推定値を取得できるようにするため、様々な実施形態および/またはシナリオでは、NDPサウンディングパケット800に含まれるロングトレーニングフィールドの数は、AP14の送信アンテナ24の数に等しい。一例として、図8Bは、AP14が4つのアンテナ24を備える場合の、AP14のネットワークインターフェース16によって生成され送信されるNDPサウンディングパケット850の一例が示されている。図8Bに示されるように、NDPサウンディングパケット850は、4つのLTFフィールド858を含む。
【0084】
図9は、一実施形態に係る長距離モードで動作する、AP14のネットワークインターフェース16が生成し、直交周波数分割多重(OFDM)変調を介してクライント局25−1に送信するNDPサウンディングパケット900の例が示されている。NDPサウンディングパケット900は、短距離クロックレートよりも倍数Nだけダウンクロックされたクロックレートを使用して送信される点を除いて、図5のデータユニット500の混合プリアンブル部分501と同様にフォーマットされたプリアンブルを含む。その結果、NDPサウンディングパケット900のOFDMシンボルはそれぞれ、データユニット500のプリアンブル部分501に含まれるOFDMシンボルと比べて、N倍の長さの継続期間を有する。図9の実施形態では、N=10である。したがって、NDPサウンディングパケット900に含まれるOFDMシンボルはそれぞれ、プリアンブル部分401に含まれるOFDMシンボルに比べて10倍の長さである。具体的には、図9の実施形態では、NDPサウンディングのOFDMシンボルはそれぞれ、40μsの継続期間となっている。この実施形態では、図示するように、NDPサウンディングパケット900は、2つのOFDMシンボル(80μs)のL−LTFフィールド902、2つのOFDMシンボル(80μs)のL−LTFフィールド904、1つのOFDMシンボル(40μs)のL−SIGフィールド906、2つのOFDMシンボル(80μs)のHT−SIGフィールド908、1つのOFDMシンボル(40μs)のHT−STFフィールド910、および、1つのOFDMシンボルからなるM個のLTFフィールド912を含む。クライアント局25−1が通信チャネルの完全なチャネル推定値を取得できるようにするため、様々な実施形態および/またはシナリオでは、サウンディングパケットに含まれるロングトレーニングフィールドの数は、送信機(例えば、AP14)の送信アンテナの数に等しい。したがって、一実施形態では、LTFフィールド912の個数Mは、AP14の送信(または送信/受信)アンテナ24の数と等しい。NDPサウンディングパケット900は、データペイロードを有さない。
【0085】
図10は、一実施形態に係る長距離モードで動作する場合の、AP14のネットワークインターフェース16が生成し、直交周波数分割多重(OFDM)変調を介してクライント局25−1に送信するNDPサウンディングパケット1000の例が示されている。NDPサウンディングパケット1000は、プリアンブルのレガシー部分(すなわち、L−STF902、L−LTF904、L−SIG906)が省略されている点を除いて、図9のNDPサウンディングパケット900と同様である。さらに、NDPサウンディングパケット1000では、STFフィールド1002および第1LTFフィールド(VHT−LTF1フィールド1004−1)が、VHT−SIG−Aフィールド1006の前に配置され、残りのVHT−LTFフィールド1004がVHT−SIG−Aフィールド1006の後に続く。さらに、VHT−STFフィールド1002は、HT−STFフィールド910よりも長い。一実施形態において、NDPサウンディングパケット1000を短くするべく、NDPサウンディングパケット1000から、VHT−SIG−Bフィールド1010(一般的に、マルチユーザデータユニットのデコードに必要な情報に使用される)を含まない。NDPサウンディングパケット1000は、データペイロード部分を含まない。
【0086】
ある実施形態では、上記で説明したダウンクロックモードのオペレーション("通常PHYモード")に加えて、長距離通信プロトコルは、通常モードの最も低いデータレートと比べてさらに低いデータレートを有する、および/または、通常PHYモードで規定される最も低い帯域幅と比較して小さな帯域幅(例えば、より小さなサイズの高速フーリエ変換(FFT)を使用して生成される)を占有する、1以上の"拡張範囲モード(extended range mode)"を規定する。データレートが低いので、拡張範囲モードでは、通信範囲を更に拡張することができ、一般的に、受信機の感度を向上させることができる。このような実施形態では、拡張範囲モードの長距離通信プロトコルによって規定されるPHYプリアンブル形式("拡張範囲モードプリアンブル")は、通常モードに対して規定されたPHYプリアンブル形式("通常モードプリアンブル")とは異なる。このような実施形態の少なくとも一部において、拡張範囲モードで使用されるNDPサウンディングパケット("拡張範囲モードNDPサウンディングパケット")は、通常モードで使用されるNDPサウンディングパケット("通常モードNDPサウンディングパケット")とは異なる形式を有する。例えば、拡張範囲モードNDPサウンディングパケットは、良好なチャネル推定を行うべく長いロングトレーニングシーケンス、および/または、受信機において良好なパケット検出および同期を行うべく長いショートトレーニングシーケンスを含む。ある実施形態では、拡張範囲モードの長距離プロトコルによって規定されるPHYプリアンブル形式は、通常モードで規定されるプリアンブルに加えて、更なるプリアンブル部分を含む。ある実施形態に係るNDPサウンディングパケット形式に対応する、拡張範囲モードの長距離プロトコルによって規定されるPHYプリアンブル形式の例は、2012年1月26日出願の米国特許出願第13/359,336号の明細書に記載されており、その内容は参照により本願に組み込まれる。
【0087】
一実施形態に係る、拡張範囲モードで使用されるNDPサウンディングパケット1100の一例が、図11に示されている。NDPサウンディングパケット1100は、NDPサウンディングパケット800のSTFフィールド802と比べて長いSTFフィールド1102を含む点を除いて、図8Aの通常モードNDPサウンディングパケット800と同様である。長いSTFフィールド1102は、通常PHYモードNDPサウンディングパケット800のSTFフィールド802に含まれるトレーニングシーケンスの繰り返し数と比較して、より大きな繰り返し数を含む。一例として、STFフィールド1102は、4つのOFDMシンボルを含み、STFフィールド802の継続期間80μsと比較して、160μs長くなっている。別の実施形態では、STFフィールド1102は、STFフィールド802の継続期間80μsと比較して、異なる期間長くなっている。サウンディングパケット1100はまた、サウンディングパケット800の信号フィールド806に比べて長い、信号フィールド1106を含む。さらに、ある実施形態では、サウンディングパケット1100に含まれるロングトレーニングフィールド1104は、サウンディングパケット800の対応するロングトレーニングフィールド804と同じ長さの期間を有する。別の実施形態では、サウンディングパケット1100のロングトレーニングフィールド1104の1以上は、サウンディングパケット800の対応するロングトレーニングフィールド804に比べて長い。NDPサウンディングパケット1100は、データペイロード部分を含まない。
【0088】
ある実施形態では、長距離通信プロトコルは、拡張範囲モード通常データユニットに対するシングルストリーム形式を規定する。すなわち、このような実施形態において、拡張範囲モードのデータユニットは、空間ストリームを1つのみ使用して送信される。したがって、このような実施形態では、長距離通信プロトコルによって規定される拡張範囲プリアンブル形式は、受信デバイスが1つの次元の通信チャネルの測定値を生成可能なように、ロングトレーニングフィールドを1つのみ含む。このような実施形態では、サウンディングされるAP14および/またはクライアント局が1以上のアンテナを含む場合、クライアント局が通信チャネルの全ての次元測定値を得られるように、サウンディングパケットは、複数のロングトレーニングフィールドを含む必要がある。そこで、一実施形態では、拡張範囲モードデータパケットが、空間ストリームを1つのみ使用してシングルストリーム形式で送信される場合であっても、長距離通信プロトコルは、拡張範囲モードで使用されるマルチストリームNDPサウンディングパケット形式を規定する。このような実施形態では、拡張範囲NDPサウンディングパケットは、拡張範囲モードで送信される通常データユニットの拡張範囲プリアンブルに対して規定されるシングルロングトレーニングフィールドに加えて、更なるロングトレーニングフィールドを含む。
【0089】
一実施形態において、NDPサウンディングパケット(通常および/または拡張モード)に含まれる複数のトングトレーニングフィールドは、行列Pをマッピングすることにより、複数の空間または空間時間ストリームにわたって拡散される。一実施形態において、NDPサウンディングパケットに含まれるLTFの数は、APに備えられるアンテナの数に依存する。例えば、一実施形態において、AP14が2つのアンテナを備える場合には、AP14が送信するサウンディングパケットそれぞれに含まれるLTFフィールドの数は、2つである。同じ実施形態において、APが3つまたは4つのアンテナを備える場合には、AP14が送信するサウンディングパケットそれぞれに含まれるLTFフィールドの数は、4つである。様々な実施形態において、一般的に、APが2つのアンテナを備える場合には、AP14が送信するサウンディングパケットそれぞれに含まれるLTFの数は、AP14アンテナの数以上である好適な数である。一実施形態において、(例えば、図8Aのサウンディングパケット800における、図11のサウンディングパケット1100における)サウンディングは、次式に従って、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングされる。
【数1】
ここで、添え字kはトーンインデックスを表し、Qは空間マッピング行列、DCSDは時間ドメインにおける周期シフトを表す対角要素を有する対角行列、AHTLTFはロングトレーニングフィールドのマッピング行列、LTFはk番目のトーンのロングトレーニングフィールドの値である。
【0090】
一例として、一実施形態では、NDPサウンディングパケットにおける複数のLTFデータトーンを、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングするのに使用されるマッピング行列Pは、次のように規定される。
【数2】
【0091】
一実施形態において、サウンディングパケットが4つ未満の空間または空間−時間ストリームを使用して送信される場合、LTFトーンのマッピングに、式2におけるマッピング行列の部分行列が使用される。(例えば、2つのLTFを有する2つの空間ストリームまたは空間−時間ストリームには、2×2の部分行列、3つの空間ストリームまたは空間−時間ストリームには、3×4部分行列が使用される。)
【0092】
ある実施形態では、受信デバイスが、APとクライアント局との間の通信チャネルで生じる周波数オフセットおよび/または位相オフセットを正確に把握できるように、NDPサウンディングパケットに含まれるロングトレーニングフィールドの1以上は、パイロットトーンを含む。少なくとも一部の状況において、長距離NDPサウンディングパケットが典型的に移送される長い伝送チャネルは、同様な短距離NDPパケットで送信機および受信機の間で生じる周波数オフセットおよび/または位相オフセットと比較して、大きな周波数オフセットおよび位相オフセットとなる。そこで、一実施形態では、大きな周波数オフセットに対処するべく、NDPサウンディングパケットには、ロングトレーニングフィールドの一部または全てに、シングルストリームパイロットトーンを含む。明瞭化のため、図8BのNDPサウンディングパケットに含まれる850を参照して、シングルストリームパイロットトーン挿入技術について以下に説明する。しかしながら、このようなまたは同様なパイロットトーン挿入技術を、その他のNDPサウンディングパケット形式(例えば、図8B図9図10図11等)または別の実施形態に係るその他の好適なNDPサウンディングパケット形式に適用できる。
【0093】
図4に示すように、短距離データユニット400は、HT−LTFフィールド408の何れにもパイロットトーンを含まない。図8Aに示すように、長距離送信のために生成されたNDPサウンディングパケット800は、長い継続期間を有するOFDMシンボルを含み、その結果、サウンディングパケット800のLTFフィールドは、データユニット400のLTFフィールドと比較して長くなっている。その結果、ロングトレーニングフィールドは、短距離モードと比較して、長距離モードでは伝送の間により大きな位相シフトになる傾向がある。位相シフトの問題を最小限にするべく、ある実施形態では、パイロットトーンが、長距離NDPサウンディングパケット800のトレーニングフィールドの少なくとも一部に挿入され、送信機と受信機との間の位相追跡に使用される。一実施形態では、NDPサウンディングパケット800は、少なくともあるシナリオにおいて、複数の空間ストリームで送信されるマルチストリームデータユニットである。この実施形態では、挿入されたパイロットトーンもマルチストリームである場合(例えば、データトーンをマッピングするのに使用したマッピング行列と同じマッピング行列を使用して複数の空間ストリームにマッピングされた場合)、位相トラッキングを実行する雨に、少なくとも対応する数のロングトレーニングフィールドを受信する必要がある。全てのトレーニングフィールドを受信する前に、受信装置が位相追跡を実行できるようにするために、ある実施形態では、データユニット800のロングトレーニングフィールド804の1以上に含まれるパイロットトーンは、シングルストリームパイロットトーンである。
【0094】
図8Aを参照して、一実施形態では、HT−LTFフィールド804のOFDMデータ及びパイロットトーンは、次の式3に従って複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングされる。
【数3】
ここで、添え字kはトーンインデックスを表し、Qは空間マッピング行列、DCSDは時間ドメインにおける周期シフトを表す対角要素を有する対角行列、AHTLTFはロングトレーニングフィールドのマッピング行列、LTFはk番目のトーンのロングトレーニングフィールドの値である。式3において、Kpilotは、パイロットトーンに対応するトーンインデックスのセットを表し、PHTLHFは、ロングトレーニングフィールドデータトーンを複数の空間ストリームにマッピングするのに使用されるマッピング行列である。一例として、一実施形態では、複数のLTFデータトーンを複数の空間ストリームにマッピングするためのPHTLHFは、上記の式2のように規定される。更に、RHTLFT行列は、異なる実施形態において異なるように規定されるLTFパイロットトーンに対するマッピング行列である。一実施形態において、RHTLFT行列は、次のように規定される。
【数4】
【0095】
この実施形態では、HT−LTFフィールド804における全てのパイロットトーンは、空間ストリームマッピング行列Pの第1列を使用して、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングされる。
【0096】
別の実施形態では、RHTLFT行列は、IEEE802.11ac規格に規定されているように、次の式で表される。
【数5】
この実施形態では、HT−LTFフィールド804における全てのパイロットトーンが、空間ストリームマッピング行列Pの第1行を使用して、複数の空間ストリームまたは空間−時間ストリームにマッピングされる。
【0097】
一実施形態において、AP14は、クライアント局に、パケットが、通常のデータユニットではなくNDPサウンディングパケットであることを、NDPサウンディングパケットの信号フィールドに含まれる情報を使用して、または、通常データユニットのプリアンブルに含まれる信号フィールドを使用して、通知する。例えば、一実施形態において、信号フィールドに含まれる長さまたは継続期間サブフィールドは、パケットがサウンディングパケットであることを示すべく値0に設定される、および、通常データユニットの場合には、パケットの長さを示すのに使用される。別の実施形態では、長距離通信プロトコルは、パケットがNDPサウンディングパケットであるか、通常データユニットであるかを特に示すビットを含む、信号フィールドビット割り当てを規定する。別の実施形態では、長距離通信プロトコルは、サウンディングパケットであることを通知するのに使用され、通常データユニットでは典型的には使用されない信号フィールドのサブフィールドの値を(すなわち、長距離通信プロトコルにおいて、通常データユニットに対して規定された値の範囲外である値)規定する。一例として、ある実施形態では、長距離通信プロトコルは、データユニットを送信するのに使用される変調および符号化スキーム(MCS)を規定するのに使用される信号フィールドののサブフィールドの値の有効な値の範囲を、0から10の間に規定する。このような一実施形態では、長距離通信プロトコルは、通常データユニットに規定されたMCS値の有効範囲における値以外のMCSサブフィールドの値(たとえば、値11、12、13等)は、データユニットがサウンディングパケットであることを示すと、規定してもよい。ある実施形態では、信号フィールドの長さサブフィールドを使用して、パケットの長さ以外の情報をを伝達することができる(たとえば、NDPサウンディングパケットが生成される空間ストリームまたは空間−時間ストリームの数を伝達する)。ある実施形態では、サウンディングパケットは、信号フィールドの2つ以上のサブフィールドによって特定される。例えば、一実施形態では、NDPサウンディングパケットの信号フィールドは、通常データユニットに対して規定された有効値以外の好適な値であるMCS値を有するMCSサブフィールドを含み、更に、長さサブフィールドまたは継続期間サブフィールドに値0を含む。
【0098】
拡張範囲モードPHYプリアンブル形式が信号空間ストリーム1つのみに対して規定される実施形態では、プリアンブル形式は、通常の拡張範囲データユニットに対応する空間ストリームの数を示す情報を含む必要はない。一方、上記したように、NDPサウンディングパケットは、通常データユニットが常にシングルストリームパケットである拡張範囲モードであっても、受信機が通信チャネルの全ての次元の応答を推定できるような、マルチストリームパケットである。したがって、様々な実施形態において、拡張範囲NDPサウンディングパケットの空間ストリームまたは空間−時間ストリームの数を示す情報は、NDPサウンディングパケットの信号フィールドで通知される。
【0099】
図12Aは、一実施形態に係る、NDPサウンディングパケットにおよび/または通常データユニットのプリアンブルに含まれる信号フィールド1200の一例を示した図である。一実施形態では、信号フィールド1200は、通常モードおよび/または拡張範囲モードで送信される通常データユニットのプリアンブル部分に含まれる。信号フィールド1200は、長さサブフィールド1202、空間ストリームまたは空間−時間ストリームの数(Nsts)サブフィールド1204、リザーブドサブフィールド(Reserved subfield)1206、巡回冗長検査(CRC)/パリティ検査サブフィールド1208、および、テールサブフィールド1210を含む。一実施形態では、長さサブフィールド1202の第1の値(例えば、0)は、受信機に、パケットが、通常データユニットではなくNDPサウンディングパケットであることを示す。この場合、一実施形態では、Nstsサブフィールド1204は、NDPサウンディングパケット800に対応する空間ストリームまたは空間−時間ストリームの数を示すのに使用される。一方、長さサブフィールド1202は、第1の値に設定されず(例えば、長さサブフィールド1202は、0にならない)(すなわち、信号フィールド1200は、NDPサウンディングパケットではなく通常データユニットに属する)、Nstsサブフィールド1204が、リザーブドサブフィールドであると解釈される。
【0100】
図12Bは、一実施形態に係る、NDPサウンディングパケットにおよび/または通常データユニットのプリアンブルに含まれる信号フィールド1230の一例を示した図である。一実施では、信号フィールド1230は、通常モードおよび/または拡張範囲モードで送信される通常データユニットのプリアンブル部分に含まれる。信号フィールド1230は、NDPフィールド1232、長さ/Nstsサブフィールド1234、リザーブドサブフィールド(Reserved subfield)1236、巡回冗長検査(CRC)/パリティ検査サブフィールド1238、および、テールサブフィールド1240を含む。一実施形態では、NDPサブフィールド1232の第1の値(例えば、論理値1)は、パケットがNDPサウンディングパケットであることを示し、第2の値(例えば、論理値0)は、パケットが通常データユニットであることを示す。一実施形態では、NDPサブフィールド1232は、通常データユニットに対して規定された通常サブフィールドによって置き換えられる。この場合、一実施形態では、パケットがサウンディングパケットであることを示すべく、通常サブフィールドは、通常データユニットに使用される有効値とは異なる値に設定される。例えば、一実施形態では、NDPサブフィールド1232は、通常データユニットの送信に使用される変調符号化スキームを通知するのに通常使用されるMCSサブフィールドに置き換えられる。この実施形態では、通常データユニットに対して規定されたサブフィールドは、通常データユニットに対する好適なMCS値として規定された有効MCS値以外の値に設定される。例えば、通常データユニットに対して規定された有効MCS値が、0から10の間の範囲の値である実施形態では、パケットがサウンディングパケットであり通常データユニットではないこと示すべく、MCSサブフィールドは、0から10の範囲以外の値に設定される(例えば、11、12、13等)NDPサブフィールド(または、例えば、MCSサブフィールドのような別のサブフィード)が、パケットがサウンディングパケットであることを示す場合には、NDPサウンディングパケットの空間ストリームまたは空間−時間ストリームの数を示すのに、長さサブフィールド1234の好適な数のビットを使用する。例えば、一実施形態では、長さサブフィールド1234の最初の2ビットを使用して、最大4個までの空間ストリームまたは空間−時間ストリームの数を示すことができる。一実施形態によれば、長さサブフィールド1234の使用されないビットを、例えば、値0に設定する。一方手、パケットが、NDPサウンディングパケットではなく通常データであると、NDPサブフィールド1232にが示している場合、長さ/Nstsサブフィールド1234を使用して、受信デバイスにデータユニットの長さを通知する。
【0101】
図12Cは、一実施形態に係る、NDPサウンディングパケットにおよび/または通常データユニットのプリアンブルに含まれる信号フィールド1250の一例を示した図である。一実施形態では、信号フィールド1250は、拡張範囲モードで送信される通常シングルストリームデータユニットのプリアンブル部分に含まれる。信号フィールド1250は、長さサブフィールド1262、スクランブラシード/Nstsサブフィールド1264、リザーブドサブフィールド1266、巡回冗長検査(CRC)/パリティ検査サブフィールド1268、および、テールサブフィールド1270を含む一実施形態において、スクランブラシード/Nstsサブフィールド1264は、4つのビットを使用して実装される。一実施形態において、長さサブフィールド1202における第1の値(例えば、ゼロ)は、パケットが、通常データユニットではなくNDPサウンディングパケットであることを受信機に示す。この場合、スクランブラシード/Nstsサブフィールド1264の好適な数のビットを使用して、NDPサウンディングパケットに含まれる空間ストリームまたは空間−時間ストリームに含まれる数を示すのに使用される。例えば、一実施形態において、スクランブラシード/Nstsサブフィールド1264の2ビット(例えば、2つの最下位ビット(LSB))を使用して、空間ストリームの数または空間−時間ストリームの数を示す。この場合、一実施形態によれば、空間ストリームの数または空間−時間ストリームの数を示すのに使用されないスクランブラシード/Nstsサブフィールド1264のビットは、リザーブされる。例えば、一実施形態において、スクランブラシード/Nstsサブフィールド1264の2つの最上位ビット(MSB)は、リザーブされる。
【0102】
一実施形態において、長さフィールド1262における第1の値(例えば、0より大きい値)は、パケットが通常データユニットであることを示す。この場合、スクランブラシード/Nstsサブフィールド1264を使用して、データユニットのデータペイロード部分(または、スクランブラシード/Nstsサブフィールド1264に割り当てられるビット数と比較して、スクランブラシードの値がより多くのビット数を示す場合には、スクランブルシードの一部分)を適切に処理するのに必要はスクランブラシードの値を示す。例えば、一実施形態では、スクランブラシード/Nstsサブフィールド1264に、4ビットが割り当てられる場合には、スクランブラシードの4つのLSBが、スクランブラシード/Nstsサブフィールド1264に表される。一実施形態では、スクランブラシードは、7ビット長である。この実施形態では、スクランブラシードの残りの3ビット(3MSB)のそれぞれは、論理値1に固定される。この実施形態では、信号フィールド1260は、データユニットの処理のためのスクランブラシードを示すフィールドを含むので、(スクランブラシードの値を通知するのに使用される)サービスフィールドは、対応するデータユニットにおいて省略される。
【0103】
様々な実施形態において、AP14のネットワークインターフェース16は、図12A図12B図12Cに示した1以上の形式に従う信号フィールドを含むNDPパケットおよび通常パケットを生成する。様々な実施形態において、クライアントデバイス25−1のネットワークインターフェース27は、図12A図12B図12Cに示した1以上の形式に従う信号フィールドを含むNDPパケットおよび通常パケットを生成する。
【0104】
様々な実施形態において、信号フィールド1200、1230または1260を含むパケットを受信すると、AP14のネットワークインターフェース16はそれぞれ、上記したようなサブフィールド1202、1232および1262の値に依存して、サブフィールド1204、1234および1264の1以上を解析する。様々な実施形態において、信号フィールド1200、1230または1260を含むパケットを受信すると、クライアントデバイス25−1のネットワークインターフェース27は、上記したようなサブフィールド1202、1232および1262の値に依存して、サブフィールド1204、1234および1264の1以上を解析する。
【0105】
ある実施形態では、AP14および/またはクライアント局25−1は、デュアルバンド構成で動作可能である。このような実施形態では、AP14は、オペレーションモードを短距離モードと長距離モードとで切り替えることができる。一実施形態では、AP14は、短距離モードで動作する場合、短距離通信プロトコルの1以上に適合したデータユニットを送受信し、長距離モードで動作する場合、AP14は、長距離通信プロトコルに適合したデータユニットを送受信する。一実施形態において、デュアルバンド装置は、短距離オペレーションに適した第1クロック、および、短距離オペレーションに適した第2クロックを使用し、第2クロックの周波数は、第1クロックの周波数よりも比Nだけ低い。一実施形態において、デュアルバンド装置は、第1クロック信号を比Nだけダウンクロックして、長距離オペレーションのための第2クロック信号を生成する。このような実施形態の場合、長距離モードで使用されるクロックレートは、短距離モードで使用されるクロックレートの何分の一かになる。このような実施形態では、長距離のNDPサウンディングパケットは、短距離通信プロトコルによって規定される短距離プリアンブル形式に従うが、上記したように低いクロックレートで生成される。さらに、ある実施形態では、AP14および/またはクライアント局25−1は、長距離通信プロトコルによって長距離オペレーションに対して規定された異なる低い周波数帯域間(例えば、異なる地理的エリアに対して長距離通信プロトコルで規定された異なるサブ1GHz周波数帯)で切り替えを行うことができる。別の実施形態では、AP14および/またはクライアント局25−1は、1つの長距離周波数帯でのみ動作するように構成されたシングルバンド装置であり、長距離通信プロトコルによって規定されるプリアンブル形式(またはフォーマット)に基づいてNDPサウンディングパケットを生成し、1つの長距離周波数帯でのみ動作する。
【0106】
図13は、一実施形態に係る、NDPサウンディングパケットを生成する一例の方法1300のフローチャートである。図1に示すように、方法1300は、一実施形態では、AP14のネットワークインターフェース16によって実装される。例えば、このような一実施形態では、PHY処理ユニット20は、方法1300を実装するように構成される。別の実施形態では、MAC処理ユニット18は、方法1300の少なくとも一部を実装するように構成される。図1に示すように、別の実施形態では、方法1300は、クライアント局25−1のネットワークインターフェース27(例えば、PHY処理ユニット29および/またはMAC処理ユニット28)によって実装される。別の実施形態では、方法1300は、別の好適なネットワークインターフェースによって実装される。
【0107】
ブロック1302において、NDPサウンディングパケットに含めるべき信号フィールドが生成される。例えば、一実施形態において、図8Aの信号フィールド806が生成される。別の実施形態では、図12Aの信号フィールド1200、図12Bの信号フィールド1230または図12Cの信号フィールド1260のうちの1つが生成される。別の実施形態では、別の好適な信号フィールドが生成される。
【0108】
ブロック1304において、1以上のロングトレーニングフィールドが生成される。一実施形態において、ブロック1304において生成されるトレーニングフィールドの数は、送信デバイスに備えられるアンテナの数と等しいまたはアンテナの数より大きい。ブロック1302で生成される信号フィールドおよびブロック1304で生成される1以上のロングトレーニングフィールドが、ブロック1306において、OFDM変調を使用して変調される。ブロック1306において生成されるOFDMシンボルそれぞれのシンボル継続期間は、一実施形態では、少なくとも8μsである。一実施形態では、OFDMシンボル継続期間は、40μsである。別の実施形態では、OFDMシンボル継続期間は、少なくとも8μs以上の別の好適な値である。ブロック1308において、ブロック1306で生成されたOFDMシンボルを服用に、NDPサウンディングパケットが生成される。
【0109】
図14は、一実施形態に係る、方法の一例1400のフローチャートである。図1に示すように、方法1400は、一実施形態では、AP14のネットワークインターフェース16によって実装される。例えば、このような一実施形態では、PHY処理ユニット20は、方法1400を実装するように構成される。別の実施形態では、MAC処理ユニット18は、方法1400の少なくとも一部を実装するように構成される。図1に示すように、別の実施形態では、方法1400は、クライアント局25−1のネットワークインターフェース27(例えば、PHY処理ユニット29および/またはMAC処理ユニット28)によって実装される。別の実施形態では、方法1400は、別の好適なネットワークインターフェースによって実装される。
【0110】
ブロック1402において、どのモードでNDPサウンディングパケットを送信すべきか判断する。ブロック1402において、NDPサウンディングパケットを通常PHYモードで送信すべきと判断された場合には、ブロック1404において、NDPサウンディングパケットが、第1NDPサウンディングパケット形式に従って生成される。一実施形態では、NDPサウンディングパケットは、図8Aで例示した形式に従って生成される。別の実施形態では、ブロック1404において、好適な別のNDPサウンディングパケット形式に従って、NDPサウンディングパケットが生成される。一方、ブロック1402において、NDPサウンディングパケットが通常PHYモードで送信されない(すなわち、NDPサウンディングパケットが、拡張範囲モードで送信される)と判断された場合には、ブロック1406において、第2PHYサウンディングパケット形式に従ってNDPサウンディングパケットが生成される。一実施形態では、ブロック1406において、NDPサウンディングパケットは、図11のPHYサウンディングパケット形式に従って生成される。別の実施形態では、ブロック1406において、NDPサウンディングパケットは、ブロック1404において使用された第1サウンディングデータパケット形式とは異なる、別の好適なPHYサウンディングパケット形式に従って生成される。
【0111】
上記で説明した様々なブロック、オペレーションおよび技術の少なくとも一部は、ハードウェア、ファームウェア命令を実行するプロセッサ、ソフトウェア命令を実行するプロセッサまたはこれらの組み合わせを使用して実装されてもよい。また、上記で説明した様々なブロック、オペレーションおよび技術の一部は、異なる順番(および/または同時に)実行されてもよく、所望の結果を得ることができる。ソフトウェア命令またはファームウェア命令を実行するプロセッサを利用して実装される場合、ソフトウェア命令またはファームウェア命令は、磁気ディスク、光ディスクのようなコンピュータ可読メモリ、または、RAMまたはROMまたはフラッシュメモリ内のその他の記憶媒体、プロセッサ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、テープドライブ等に格納されてもよい。同様に、ソフトウェア命令またはファームウェア命令は、周知の任意のまたは所望の供給方法、例えば、コンピュータ可読ディスクまたはその他の可搬コンピュータ記憶メカニズムにより、または、通信媒体を介して、ユーザまたはシステムに供給されてもよい。通信媒体は、典型的には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または、搬送波のような変調データ信号またはその他の搬送メカニズムにおけるその他のアデータの形態で具現化される。"変調されたデータ信号"とは、信号における情報を符号化するような態様で設定または変更された性質の1以上を有する信号を意味する。例えば、これに限定されないが、通信媒体とは、有線ネットワークまたは直接有線接続された接続のような有線媒体、および、音波、無線周波数、赤外のような無線媒体およびその他の無線媒体を含む。そして、ソフトウェア命令またはファームウェア命令は、電話回線、DSL回線、ケーブルテレビ回線、光ファイバー回線、無線通信チャネル、インターネット等(これらは、可搬記憶媒体を介したソフトウェアによる提供と同様または交換可能と見なされる)のような通信チャネルを介して、ユーザまたはシステムに提供される。ソフトウェア命令またはファームウェア命令は、プロセッサによって実行されるとプロセッサに様々な動作を行わせる機械可読命令を含んでもよい。
【0112】
ハードウェアに実装される場合、個別部品、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、等の1以上を含んでもよい。
【0113】
本発明が、特定の例を参照して説明されたが、これは例示を目的としており、本発明を限定することを目的としていない。本発明の範囲内において、開示された実施形態に様々な変更、付加および削除を行うことができる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14