(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検査時に、前記回路基板又は、前記給電電極部及び前記第1,2のセンサ電極対と、の何れかを前記櫛歯部が延伸する方向に沿って移動させる移動機構を具備することを特徴とする請求項1に記載の導電体パターン検査装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品を実装するための硬質樹脂からなる回路基板や折り曲げ自在なフレキシブル回路基板には、部品間を接続するための導電体パターンが形成されている。また、太陽電池や太陽発電用パネル等に使用される回路基板においては、例えば、1本のショートバーの側方から起電するための複数の電極が櫛歯状に延出する櫛形状の導電体パターンを組み合わせて形成している。
【0003】
これらの導電体パターンにおける短絡や断線の有無を検出する従来の電気的検査は、尖端形状の検査プローブを検査対象となる導電体パターンや電極に押し当てて電気的な接続を行った後、検査信号を給電し、その導電体パターンから供給した検査信号に相当する検出信号を検出して、断線や短絡による欠陥の有無を判定している。
【0004】
さらに、検査の効率化を図るために、検査電極側又は、回路基板側の何れかを移動させながら、複数の回路基板に対して連続的に検査を実施している。この検査プローブを導電体パターンに接触させている場合、接触抵抗の低減を図るためにある程度の押圧が働いているため、導電体パターンを削り取る傷などの損傷を与えている。
また、検査時に与える導電体パターンへの損傷を防止する検査装置として、例えば、特許文献1には、導電体パターンへ非接触で電気的検査を実施する導電体パターン検査装置が開示されている。
【0005】
この導電体パターン検査装置は、少なくとも給電電極とセンサ電極からなる一組の検査電極を検査対象の導電体パターンに近接させて容量結合した状態で、給電電極から検査信号である交流検査信号を印加し、センサ電極で導電体パターンを伝搬した交流検査信号を検出して、検出された検出信号のレベルにより、断線及び短絡の有無の検査を行っている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電体パターン検査装置の概念的な構成を示すブロック図である。また、
図2は、演算部における加算回路の一構成例示す図、
図3は、演算部における平方根回路の一構成例を示す図である。
図4は、演算部の出力特性について説明するための図である。
【0014】
本実施形態において、導電体パターン検査装置1による検査対象の一例として、
図1に示すような太陽発電用パネル等として利用される回路基板2上に形成される導電体からなる2つの櫛形状の導電体パターン6(6a,6b)を対象にしている。これらの櫛形状は、複数の櫛歯部と1つのショートバー部とで構成される。勿論、本実施形態の検査対象は、櫛形状の導電体パターンに限定されるものではなく、給電電極の形状や配置を適宜、変形することで、例えば、互いに平行で複数列に配置された導電体パターン等の他の形状の導電体パターンに対しても容易に適用することは可能である。
【0015】
これらの櫛形状は、共に、複数の平行な櫛歯部の一端が開放され、各他端が1つのショートバー部に共通に連結されるように形成されている。この導電体パターン6は、一対の櫛形状が櫛歯部を交互に咬み合わせるように配置される。この時、互いの導電体パターン6a,6bにおける櫛歯部と櫛歯部とは接触や重なりを持たないように、平行に一定の間隔が空けられている。
【0016】
本実施形態の導電体パターン検査装置1は、導電体パターン間の短絡欠陥を検出するための検査装置であり、主として、非接触の容量結合により検査信号の給電及び検出を行う給電電極部3と受電電極部4,5からなる検査電極部7と、交流の検査信号を生成する検査信号供給部8と、検出した検出信号に対して検波及び増幅を含む演算処理を行う検出信号処理部9と、良否判定即ち、欠陥の有無を判定する欠陥判定部18と、各構成部位を制御する制御部19と、検査時に回路基板を搬送する移動機構21及び駆動制御部22と、で構成される。以下の説明において、検査時に、導電体パターン6に給電する交流の信号を検査信号と称し、導電体パターンから検出された検査信号を検出信号として記載している。
【0017】
以下、詳細に説明する。検査電極部7は、図示しない1つの電極基板の導電体パターン6と対向する主面側に給電電極部3と受電電極部4,5が配置されている。
この例では、ショートバー部分に沿って対向するように、長尺なバー形状に給電電極部3が形成される。この給電電極部3と後述する位置関係を有するように、矩形形状の対の電極で構成される受電電極部4,5が形成されている。尚、給電電極部3と受電電極部4,5とは、異なる電極基板に別個に形成してもよいが、その場合には、互いの位置関係が固定されるように構成されている。
【0018】
回路基板2上に形成された導電体パターン6と検査電極部7(給電電極部3と受電電極部4,5の形成面)とは、非接触となるように予め定めた一定の間隔で離間している。この間隔は、導電体パターン6と、給電電極部3及び受電電極部4,5とのそれぞれの対向面積や供給する検査信号の大きさ、検出される検出信号の大きさ等の条件により設定される。通常、容量結合による信号の伝搬は、コンデンサと同様に、導電体パターン6と給電電極部3及び受電電極部4,5が互いに近接するほど伝達される信号量が多くなり、且つ互いに対向する面積が大きくなるほど伝達される信号量が多くなる。
【0019】
さらに、この間隔即ち、電極間距離の変動は、取得される信号値に大きく影響するため、検査中は一定の間隔を維持することが望ましい。図示していないが、検査電極部7と導電体パターン6との間隔は、光学距離測定器等を用いて距離を測定し、回路基板2側又は検査電極部7側を上下方向に微少移動させる上下移動機構を設けて距離の変化に連動して、一定の間隔となるように調整可能に支持してもよい。他にも、検査電極部7が固定支持されている場合には、給電電極部3に容量結合により検出される検出信号の値が一定となるように、間隔の距離変動に連動して供給される検査信号の振幅値(ピーク値)を大小に変動させてもよい。
【0020】
給電電極部3は、一方の導電体パターン6aのショートバー部上方に対向する位置に配置され、列状に配置された櫛歯部の導電体パターン6aのみに交流の検査信号を入力する。本実施形態では、後述するように回路基板2を搬送しながら検査を実施する方式であるため、給電電極部3の下方を導電体パターン6aのショートバー部が通過する際に容量結合して、給電電極部3から導電体パターン6aに対して、交流の検査信号が入力される。
【0021】
図1を参照して、受電電極部4,5について説明する。
これらの受電電極部4,5は、電気抵抗率が低い導電体材料例えば、金属材料を用いて、蒸着やメッキ等の公知な形成方法を用いて形成される。受電電極部4は、同一な矩形形状の対となるセンサ電極4a,4b[第1のセンサ電極対]により構成される。センサ電極4aは、導電体パターン6a[第1の導電体パターン]の櫛歯部と対向する位置の時に、センサ電極4bは、隣接する導電体パターン6b[第2の導電体パターン]の櫛歯部に対向する位置に配置されて、それぞれ導電体パターン6a,6bを流れる検査信号を検出信号として検出する。
【0022】
一方、受電電極部5は、センサ電極4a,4bと同一な矩形形状の対となるセンサ電極5a,5b[第2のセンサ電極対]により構成され、共に、回路基板2自体(非導電体パターン)に対向する位置に配置される。具体的には、1つの導電体パターン6の櫛歯部を挟んだ両隣の回路基板2自体と対向するそれぞれの位置に、各センサ電極5aとセンサ電極5bが配置される。尚、受電電極部4,5は、共に、少なくとも一対で隣接して配置されるセンサ電極4a、5a及びセンサ電極4b、5bが必要である。
【0023】
本実施形態では、受電電極部4が導電体パターン6の櫛歯部と対向する位置にあるときには、受電電極部5は、櫛歯部の間の回路基板2自体に対向する位置に配置されるように構成されている。よって、受電電極部4が検査信号を検出可能な位置にあるときには、受電電極部5が検査信号を検出できない位置にあり、反対に、受電電極部5が検査信号を検出可能な位置にあるときには、受電電極部4が検査信号を検出できない位置にある、という関係を有している。また、位置ずれにより、受電電極部4が導電体パターン6の櫛歯部と半分の面積が対向し、残りの半分の面積が回路基板2自体に対向する位置にあるときには、受電電極部5も同様に、半分の面積が回路基板2自体に対向し、残りの半分の面積が導電体パターン6の櫛歯部と対向する位置にある。尚、これらのセンサ電極4a,4bは、隣接する櫛歯部であれば、どの箇所で対向するかは、特に限定されるものではない。
【0024】
検査信号供給部8は、導電体パターン6に入力させるための検査信号を生成し、給電電極部3に出力する。この検査信号は、交流信号であり、その周波数は設計仕様に基づき設定される又は、使用者が検査対象に応じて、適宜選択して設定してもよい。受電電極部4,5により検出されたそれぞれの検出信号は、検出信号処理部9に出力される。
【0025】
検出信号処理部9は、受電電極部4、5のそれぞれの出力を入力する差分増幅回路11,12と、演算部13とで構成される。差分増幅回路11は、センサ電極4a,4bからの検出信号が入力され、その差を取り増幅して差分信号p1を生成する。同様に、センサ電極5a,5bの検出信号が入力されて、その差を取り増幅して差分信号q1を生成する。
【0026】
これらの差分信号p1と差分信号q1は、次の演算部13に入力されて、二乗して加算し、さらに平方根の演算処理が行われ、判定信号S2として出力される。演算部13は、2つの二乗演算回路14,15と、加算回路16と、平方根演算回路17とで構成され、検出信号に対して、二乗して加算し、その加算値の平方根を演算する、所謂、二乗和平方根による分散の和の演算を利用して、変動が少ない平均化された検出信号を取得する。
【0027】
二乗演算回路14は、差分増幅回路11から出力された差分信号p1どうしを掛け合わせる乗算(p1×p1)を演算することで、二乗信号p2(p2=p1
2)を生成する。同様に、二乗演算回路15は、差分増幅回路12から出力された差分信号q1どうしを掛け合わせる乗算(q1×q1)を演算することで、二乗信号q2(q2=q1
2)を生成する。これらの二乗演算回路14,15は、一般的な2入力の乗算器により構成され、同じ信号(p1とp1又は、q1とq1)を入力することで二乗演算を実施する。
【0028】
加算回路16は、二乗演算回路14,15から出力された二乗信号p2と二乗信号q2を加算し、加算信号S1を生成する。この加算回路16は、
図2に示すように、オペアンプ41を用いて、その反転入力端子(−)に、抵抗R1,R2を介して二乗演算回路14,15から出力された二乗信号を入力する。
加算回路16から出力される加算信号は、
S1=(p2/R1+q2/R2)Rf=p1
2+q1
2
(但し、R1=R2=Rfとする)となる。
【0029】
また、平方根演算回路17は、判定信号S2として、加算信号S1の平方根を演算する。例えば、
図3に示すように、オペアンプ42、乗算器43及びダイオード44による回路構成で演算させることができる。この回路構成は、オペアンプ42の帰還ループに乗算器43を設けて、ダイオード44により負信号を制限することにより実現している。
【0031】
ここで、S1:加算信号、p1,q1:差分信号とする。
図4は、演算部13の出力特性を示し、縦軸に出力振幅(レベル又は電圧値V)を示し、横軸に基板の位置ずれ距離を示している。演算部13により出力される判定信号S2は、
図4に示すように、導電体パターン6に対する給電電極部3及び受電電極部4,5が位置ずれのない正常な位置(位置ずれ0)の時に、差分信号p1=1とすれば、差分信号q1=0の信号が入力され、二乗和平方根演算により、判定信号S2=略1が出力される。
【0032】
また、検査電極部7と導電体パターン6との間に位置ずれが発生した場合であっても、センサ電極4b,5bが出力する差分信号p1と差分信号q1が互いに補完関係にあるため、それぞれを和算すれば、差分信号p1+差分信号q1=1が生成される。よって、判定信号S2は、位置ずれの有無にかかわらず、安定的に、常に適正な信号値を取得することができる。このように生成された判定信号S2は、欠陥判定部18に入力されて、予め定めた判定基準である閾値と比較されて、良否判断され、その判定結果が制御部19に出力される。この判定基準は、後述するメモリ24内に設けられた設定テーブルに、回路基板2又は導電体パターン6の種別毎に閾値が予め記憶されており、検査開始前に、検査対象に合わせて適宜に選択して設定する。
【0033】
制御部19は、少なくとも検査信号供給部8及び駆動制御部22を制御する中央処理ユニット(CPU)23と、予め処理プログラム、各種データを備えるテーブル及び、取得したデータに関連づけた判定結果を更新可能に記憶するメモリ24とを備えている。制御部19は、装置内に配置された所謂、コンピュータであり、処理に必要な他の構成部も備えている。さらに、図示しない通信用端子を備え、インターネットやLAN等の外部ネットワーク33を通じて、外部端末34による検査の遠隔操作や監視又は、集中管理を行うことも可能である。
【0034】
制御部19には、更に、画面表示を行うための表示部31と、タッチパネルやキーボード等に入力デバイスである入力部32が接続されている。表示部31は、制御部19による制御に従い、欠陥の有無による良否判定の結果や各構成部の操作指示及び駆動状態等を表示する。欠陥判定部18からの判定結果を受けて、その内容を表示部31の画面上に表示する。
【0036】
次に、表1を参照して、本実施形態の導電体パターン検査装置1における検査手順と、検出信号処理部9及び欠陥判定部18による良否判定について説明する。本実施形態は、電気的に分離されている複数の導電体パターン6に対する短絡欠陥の有無による良否判定を行う例である。
【0037】
まず、制御部19からの制御に従い、検査信号供給部8から給電電極部3に対して交流の検査信号の供給が開始される。ここでは、供給される検査信号の値を1レベルとする。検査対象となる回路基板2が移動機構21により搬送され、支持された検査電極部7の下方を通過する。この通過時に、回路基板2は、検査電極部7の給電電極部3と受電電極部4,5に対して、予め設定された間隔を維持するように通過している。
【0038】
その通過時において、導電体パターン6aのショートバー部と給電電極部3とが対向した際に容量結合されて、給電電極部3から導電体パターン6aへ交流の検査信号が給電される。この信号供給と略同時に、導電体パターン6aを伝搬した検査信号が検出信号として受電電極部4,5から検出される。以下の説明において、信号に付随した括弧は、信号のレベルを示している。
【0039】
ここで、導電体パターン6と検査電極部7との間に位置ずれが発生していない場合の良否判定について説明する。検出信号は、例えば、センサ電極4bから検査信号による1レベルの検出信号が検出され、センサ電極4a,5a,5bからそれぞれ0レベルの検出信号が検出される。これらの検出信号は、検出信号処理部9の差分増幅回路11,12に入力されて、差分が取られて増幅処理され、二乗演算回路14,15へ出力される。
【0040】
まず、差分増幅回路11からは、1レベルの差分信号p1(1)が出力され、二乗演算回路14で差分信号p1(1)どうしで二乗演算されて二乗信号p2(0)が生成され、加算回路16へ出力される。同様に、差分増幅回路12から0レベルの差分信号q1(0)が出力され、差分信号q1(0)どうしで二乗演算回路15で二乗演算されて二乗信号q2(0)が生成され、加算回路16へ出力される。
【0041】
次に、加算回路16では、二乗信号p2(1)と二乗信号q2(0)とが加算されて、加算信号S1(1)を生成し、平方根演算回路17に出力する。平方根演算回路17は、加算信号S1(1)に対して平方根を演算して、判定信号S2(1)を生成し、欠陥判定部18に出力する。欠陥判定部18は、判定信号S2(1)が略1レベルを有しており、予め設定された判断基準となる閾値(1>閾値≧0)と比較して、異なる導電体パターン6a,6b間に短絡不良はなく、正常であると判定される。
【0042】
また、導電体パターン6に短絡不良が発生している例としては、センサ電極4a,4bから検査信号による1レベルの検出信号が検出され、センサ電極5a,5bからそれぞれ0レベルの検出信号が検出される。これらの検出信号は、検出信号処理部9の差分増幅回路11,12に入力されて、差分が取られて増幅処理される。
【0043】
差分増幅回路11,12からは、共に0レベルの差分信号p1(0),q1(0)が出力され、二乗演算回路14、加算回路16及び平方根演算回路17を経て、0レベルの判定信号S2(0)が生成され、欠陥判定部18に出力する。欠陥判定部18は、判定信号S2(0)が略0レベルであるため、前述した判断基準となる閾値と比較して、異なる導電体パターン6a,6bが同電位(0レベル)、即ち、短絡不良が発生しており、不良であると判定される。
【0044】
次に、導電体パターン6と検査電極部7との間に位置ずれが発生している場合の良否判定について説明する。この例では、受電電極部4,5の位置ずれが導電体パターンに対して、1/4ピッチずれた例について説明する。ここでは、導電体パターンの幅と、隣接する導電体パターン間の露呈する回路基板2の幅を同じとして、隣接する導電体パターンとの間を1ピッチとしている。
【0045】
この1/4ピッチのずれにより、センサ電極4a,4b,5a,5bは、半分が回路基板2自体に対向し、残りの半分が導電体パターン6に対向する位置となっている。
図4においては、略0.19mmの位置ずれである。
【0046】
導電体パターン6aに容量結合により交流の検査信号が給電された際に、センサ電極4b,5bからそれぞれ1/2レベルの検査信号が検出され、センサ電極4a,5aからは0レベルの検出信号が検出される。これらの検出信号は、差分増幅回路11,12に入力され、差分信号p1(1/2)、差分信号q1(1/2)が生成され、さらに、演算部13に入力される。演算部13では、前述した二乗和平方根が演算される。つまり、差分信号p1(1/2)、差分信号q1(1/2)に対して、それぞれ二乗した後、加算回路16で加算された1レベルの加算信号S1(1)を生成され、平方根演算回路17で加算信号S1(1)の平方根が演算されて、判定信号S2(1)を生成し、欠陥判定部18に出力する。
【0047】
欠陥判定部18は、判定信号S2(1)が略1レベルを有しており、予め設定された判断基準となる閾値(1>閾値≧0)と比較して、異なる導電体パターン6a,6b間に短絡不良はなく、正常であると判定される。
【0048】
また、導電体パターン6に短絡不良が存在し、且つ導電体パターン6と検査電極部7との間に位置ずれが発生している場合の良否判定について説明する。この例においても、前述したように位置ずれとして、1/4ピッチずれたこととする。
【0049】
導電体パターン6aに容量結合により交流の検査信号が給電された際に、センサ電極4a,4bから検査信号による1から減少した1/2レベルの検出信号が検出され、センサ電極5a,5bから0から増加した検査信号による1/2レベルの検出信号が検出される。これらの検出信号は、検出信号処理部9の差分増幅回路11,12に入力されて、差分が取られて増幅処理された後、差分増幅回路11,12から、共に0レベルの差分信号p1(0),q1(0)が出力され、二乗演算回路14、加算回路16及び平方根演算回路17を経て、0レベルの判定信号S2(0)が生成され、欠陥判定部18に出力する。欠陥判定部18は、判定信号S2(0)が略0レベルであるため、前述した判断基準となる閾値と比較して、異なる導電体パターン6a,6bが同電位(0レベル)、即ち、短絡不良が発生しており、不良であると判定される。
【0050】
以上のように、対導電体パターン6と検査電極部7との間に位置ずれが発生していしても、正常時に導電体パターン6a,6bと対向するセンサ電極4a,4bに対して、補完関係を有するようにセンサ電極5a,5bが配置されているため、位置ずれ量に応じて、センサ電極4a,4bが検出した検出信号に対して、センサ電極5a,5bが補完するように検出信号を検出するため、二乗和平方根の演算を用いて、変動の少ない判定信号を生成することができる。よって、導電体パターンと非接触で対向する検査電極との間で、導電体パターンの櫛歯部の延伸方向の移動検査時に、その延伸方向と交差する方向に位置ずれが発生しても、適正な検出信号を検出し、正確な導電体パターンの欠陥を判定することができる。
【0051】
また、本実施形態の変形例について説明する。前述した実施形態では、演算部13を電子部品を用いた回路構成で実現している例であったが、この演算部13をコンピュータによるアプリケーションソフトウエアの演算処理により前述した二乗和平方根の演算式を利用して、判定信号を生成することも可能である。
【解決手段】導電体パターン検査装置は、検査対象の櫛形の導電体パターンの櫛歯部に対向し非接触で給電した検査信号を検出する第1のセンサ電極対と、第1のセンサ電極対と同等の構成を有し、櫛歯間の回路基板に対向するように第2センサ電極対が配置される。検査時に導電体パターンと回路基板とが櫛歯部の延伸方向と交差する方向に位置ずれした際に、第1のセンサ電極による検出信号に対して、第3のセンサ電極による検出信号で補完し判定信号を生成する。