【実施例1】
【0017】
図1〜
図4は、本発明の実施例1を示す。
【0018】
最初に、本実施例における正六角形ナットついて説明する。
【0019】
図2(D)に示すように、鉄製の正六角形ナット1は、平面的に見て本体部2が正六角形とされている。この本体部2の中央に、ねじ孔3が設けられている。6つの外側面4は平面であり、ねじ孔3の軸線方向に6つの角線5が形成されている。これらの角線5は60度間隔で配置されている。各部の寸法は、ナットの直径方向の角線間寸法が15mm、ねじ孔3の内径が9mm、本体部2の高さが6.5mmである。
【0020】
つぎに、供給装置について説明する。
【0021】
供給装置全体は符号100で示されている。ナット1よりも大きな寸法の矩形断面とされた部品供給通路6が供給管7によって形成されている。供給管7の端部にこれに直交する状態でガイド筒8が溶接されている。ほぼ直方体の形をした細長いブロック部材を加工したガイド部材9が供給管7の端部に固定されており、これにより仮止室10が形成されている。仮止室10にナット1が送り出される出口開口11が設けてある。
【0022】
供給ロッド17はガイド筒8内に収容され、大径の主ロッド18とそれよりも小径のガイドロッド19によって構成され、主ロッド18とガイドロッド19の境界部に平面状の押出し面20が形成されている。ガイドロッド19の先端部は図示のように球形とされるか、または図示されていないがテーパ形状とされている。ガイド筒8の端部に進退駆動手段21が結合され、これの進退出力で供給ロッド17が進退するようになっている。この進退駆動手段21としては、エアシリンダや進退出力式の電動モータなど色々なものが採用できる。ここではエアシリンダであり、これにも符号21が付されている。
【0023】
細長いガイド部材9には、それと直交する向きで細長い支持ブロック13が溶接してある。この支持ブロック13は、細長い直方体状の部材で構成され、ガイド部材9の上端部に形成した切欠き部14に組み付けられた状態で溶接されている。切欠き部14に組み付けられた部分以外の支持ブロック13の突出部分は、上側の上突出部分15および左右の横突出部分16とされ、両突出部分15と16の表面は1仮想平面上に存在している。したがって、
図2(B)に示すように、ガイド部材9と支持ブロック13が一体化された部材が供給管7の端部に固定されている。
【0024】
上突出部分15と横突出部分16を供給管7の端部に密着させて、ガイド部材9の取り付けがなされている。支持ブロック13を供給管7の端部に押し付けるために、ガイド筒8に固定片22が溶接され、これにねじ込んで貫通させた固定ボルト23によって上記押し付けがなされている。
【0025】
上記切欠き部14を止めて、ガイド部材9の背面を支持ブロック13の表面に密着させ、ガイド部材9と支持ブロック13を溶接などの方法で一体化してもよい。
【0026】
つぎに、ストッパ面およびガイド面について説明する。
【0027】
ナット1のねじ孔3の軸線O−Oとガイド部材9との相対位置が常に一定の位置関係となるように、すなわち軸線O−Oがガイド部材9の所定位置からずれないようにするために、ガイド部材9にストッパ面25およびそれに連続したガイド面26が形成されている。ストッパ面25は円弧面とされ、この円弧の直径はナット外側の6つの角線のうち、少なくとも2つの角線5が接触する値となっている。すなわち、
図3(A)に示すように、2つの角線5がストッパ面25の円弧面に接触している。
【0028】
また、
図4(A)ではナット1の回転方向の向きにより、3つの角線5がストッパ面25と接触している。このために円弧面は半円の角度範囲までとされている。さらに、
図4(B)に示すように、ナット1の回転方向の向きによって、4つの角線5がストッパ面25と接触している。このために円弧面は半円の角度範囲までとされている。なお、
図2(B)では、ナット1の回転方向の向きによって、4つの角線5が接触している。このために円弧面は半円の角度範囲までとされている。
【0029】
このような接触状態から明らかなように、前記軸線O−Oは、ねじ孔3の軸線であるとともに、円弧面であるストッパ面25の中心線でもある。したがって、符号25はストッパ面を示すものとして記載されているが、このようにねじ孔3の軸線O−Oとストッパ面25の中心線が共通軸線となっているので、円弧面についても符号25が付されている。
【0030】
さらに、供給ロッド17の進出によってガイドロッド19がねじ孔3を貫通しなければならないので、ガイドロッド19の中心線、すなわち供給ロッド17の中心線も軸線O−Oと共通軸線とされている。
【0031】
部品供給通路6の延長位置に永久磁石27が配置され、ストッパ面25に受け止められたナット1がストッパ面25に吸引されて、一時係止状態となる。永久磁石27は、支持ブロック13内に埋め込まれている。この永久磁石27の配置位置は、仮止室10に入ってきたナット1を最も強く吸引できる箇所とされている。具体的には、部品供給通路6の延長箇所である。
【0032】
前記ガイド面26は、ストッパ面25の円弧面がそのままの形状で供給ロッド17の進出方向に延長されることによって形成されている。すなわち、断面が半円形の真っ直ぐな樋型とされている。言い換えると、ガイド面26とストッパ面25は、単一の半円筒型内面を形成している。
【0033】
つぎに、供給動作を説明する。
【0034】
この実施例では、ナット1の供給箇所が固定電極28の位置決めピン29である。固定電極28上に鋼板部品30が載置され、鋼板部品30の下孔から位置決めピン29が突き出ている。進退動作をする可動電極31が固定電極28と同軸状態で配置してある。
【0035】
仮止室10に入ってきたナット1は永久磁石27の吸引力で角線5がストッパ面25に接触し、一時係止状態とされる。この接触箇所の数は、
図3および
図4に示すように、円弧面の円弧角度によって2つ〜4つとされる。この一時係止状態において、ねじ孔軸線O−Oと供給ロッド17の中心線が共通軸線となっている。
【0036】
ここで、供給ロッド17が進出してガイドロッド19がねじ孔3を貫通し、さらに供給ロッド17が進出して押出し面20がナット1の上面を押すことにより、ナット1の角線5がストッパ面25からガイド面26を擦りながら、すなわち線接触をしながら押し出されてゆく。このときの供給ロッドの進出速度はナット1が落下しないようにするために、ナット1の落下速度よりも速く設定してある。
【0037】
ガイドロッド19の先端部が位置決めピン29の直前で停止すると、ナット1は慣性力でガイドロッド19を滑り落ちて
図1の2点鎖線図示のように位置決めピン29に合致する。供給ロッド17が後退してから、可動電極31が進出して溶着用突起が鋼板部品30の表面に加圧され、溶接電流が通電されて溶接が完了する。
【0038】
なお、上述の実施例では、ガイドロッド19がナット1のねじ孔3を貫通するものでるが、これに換えて
図2(E)に示すように、短いガイドピン32をねじ孔3の長さと同じかまたはそれよりもわずかに短くして、ねじ孔3に進入させることも可能である。
【0039】
上述の供給ロッドの進退動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
【0040】
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
【0041】
上述のように、少なくとも2つの角線5がストッパ面25に接触していることにより、ねじ孔3の軸線O−Oはストッパ面25の円弧の中心線と正確に合致する。したがって、ナット1が回転方向で見てどのような向きで仮止室10に入ってきても、上記の軸線合致が確実にえられる。前記ガイドロッド19やガイドピン32の中心線とストッパ面25の円弧の中心線を合致させておくことにより、ストッパ面25に受け止められたナット1のねじ孔3はその軸線O−Oがガイドロッド19やガイドピン32の中心線と正確に合致する。したがって、供給ロッド17が進出すると、ガイドロッド19やガイドピン32が正確にねじ孔3に進入する。
【0042】
円弧面25、26の円弧角度の範囲を選定することにより、角線5の接触数を上記のように2つとしたり、3つあるいは4つとしたりしてナット1の一時係止を一層安定させることができる。
【0043】
また、ストッパ面25の円弧面はそのままの形状で供給ロッド17の進出方向に延長されてガイド面26が形成されているので、供給ロッド17の進出によってナット1はストッパ面25からガイド面26に向かって滑らかに移動し、信頼性の高いナット供給が実現する。つまり、ガイド面26の箇所においても、上述の軸線O−Oが供給ロッド17の中心線やガイド面26の円弧面の中心線と合致しているので、角線5の線接触状態が継続したナット送出が確実に行われる。
【0044】
ストッパ面25ないしガイド面26に対するナット1の接触が、ナット1の角線5における線接触であるから、ナット1が押し出されるときの摺動抵抗が少なくなり、円滑な送り出しが可能となる。さらに、このような線接触であるから、ナット1の平坦な外側面4と円弧面25、26との間に隙間ができるので、鉄くずなどの不純物は隙間空間に収容され、ねじ孔3の軸線O−Oの位置が狂わない、という効果がある。
【0045】
ガイド部材9はほぼ直方体の部材に機械加工を施して、円弧状のストッパ面25やガイド面26が形成してあるので、円弧面を精密に形成することが簡単に行える。同時に、ガイド部材9に対して直交する向きに支持ブロック13が固定されているので、部品供給通路6の延長箇所に磁石27を配置することが簡単な構造で実現できる。さらに、支持ブロック13がガイド部材9に対して直交しているので、取り付けに必要な横突出部分16を形成することが簡単に行える。なお、上突出部分15は供給管7の端部形状によっては、止めることができる。
【0046】
別々の部材として準備されたガイド部材9と支持ブロック13を前述のように直交させて一体化するとともに、支持ブロック13内に永久磁石27を内蔵したものであるから、円弧状の
ストッパ面25やガイド面26の形状とは関係することなく、永久磁石27の配置が簡単に行える。同時に、永久磁石27のナット1に対する最適位置が正確に求められる。