(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、電気自動車等の車両用の非水電解質二次電池では、集電体に長期間の耐振動性、耐衝撃性が要求される。しかし、従来の電池では集電体の耐振動性、耐衝撃性について十分な考慮及び検討がなされていない。そのため、振動や衝撃が作用する環境下で従来の電池を長期間使用すると、集電体の耐振動性や耐衝撃性の不足に起因して電気抵抗が増加する。
【0005】
本発明は、電池において、集電体の耐振動性と耐衝撃性を向上することによって電気抵抗の増加を防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、外装体の内部に配置された発電要素と少なくとも一部が前記外装体の外部に配置された外部端子とを電気的に接続する集電体を備える電池であって、前記集電体は、
貫通孔を有し、この貫通孔を通して前記外部端子がカシメ固定されており、前記外部端子と電気的に接続される基部と、前記基部から突出して前記発電要素
に接続される接続部と、前記基部
の外周縁のうち、前記貫通孔から前記接続部に向けた方向と同方向に沿うとともに、前記貫通孔と前記外装体との間に位置する部分に少なくとも設けられたリブとを備える電池を提供する。
【0007】
具体的には、前記リブは前記基部
の前記貫通孔の周囲に設けられている。
【0009】
絞り加工でリブを形成することで、集電体の基部の特にリブの周辺に加工硬化が生じて局所的に降伏応力が増加するので、集電体の基部の塑性変形が抑制できる。従って、絞り加工でリブを形成することで、集電体の耐振動性及び耐衝撃性がさらに向上する。
【0010】
より具体的には、前記リブは前記接続部と同じ向きに前記基部から突出する主部を備える。
【0011】
このような主部を有するリブを設けることで、集電体の基部の断面係数や極断面係数が高くなるので振動や衝撃による曲げやねじりに対する集電体の基部の強度が向上する。その結果、集電体の耐振動性及び耐衝撃性が向上し、電気抵抗の増加を防ぐことができる。
【0012】
前記リブは前記主部の先端から突出する延長部をさらに備える事が好ましい。
【0013】
主部の先端に延長部を設けることで、集電体の基部の断面係数や極断面係数がさらに高くなるので振動や衝撃による曲げやねじりに対する集電体の基部の強度がより一層向上する。その結果、集電体の耐振動性及び耐衝撃性がさらに向上し、電気抵抗の増加をより確実に防ぐことができる。
【0014】
好ましくは、前記外装体は、内側面に凹部が形成された蓋体を備え、前記集電体の前記基部を前記凹部内に配置する。
この場合、基部が平板状であっても、基部全体を蓋体の凹部内に配置することで、電池内の容量を大きくすることができ、製造時の位置合わせが容易に行うことができる。
【0015】
好ましくは、前記外装体は、内側面に凹部が形成された蓋体を備え、前記集電体の前記基部は、前記凹部内に配置された第1の部分と、前記凹部に隣接する前記蓋体の内側面に配置され、前記接続部が設けられている第2の部分と、前記第1及び第2の部分を互いに段違になるように連結する連結部とを備える。
【0016】
集電体の基部を、単なる平板状ではなく、段違いとなるように連結部で連結された第1及び第2の部分を備える構成とすることで、振動や衝撃による曲げやねじりに対する集電体の基部の強度がさらに向上する。その結果、集電体の耐振動性及び耐衝撃性がさらに向上し、電気抵抗の増加をより確実に防ぐことができる。また、段違いの基部のうち第1の部分を蓋体の凹部に配置し、第2の部分を蓋体の下面に配置することで、電池の蓋体に対する集電体の取付強度が向上し、この点でも集電体の耐振動性及び耐衝撃性が高まる。このように耐振動性及び耐衝撃性をより一層向上することで、電気抵抗の増加をより一層確実に防ぐことができる。
【0017】
この場合、前記リブの前記主部は、前記基部の前記第1の部分の外周縁のうち前記連結部との連結する部分を除く部分に設けることが好ましい。集電体の基部の第1の部分が浅いトレー状となるので、この形状によっても振動や衝撃によりも曲げやねじりに対する基部の強度を向上できる。
【0018】
特に、前記接続部は前記リブの前記延長部に接続されていることが好ましい。この場合、前記リブの前記主部は、前記基部の前記第2の部分にさらに設けられ、前記リブの前記延長部は前記基部のうち前記第1の部分の前記第2の部分側と前記第2の部分とに設けられていることが好ましい。この構成により、集電体の接続部と基部との接続部分の長さが延びるので、集電体全体としての剛性が向上し、振動や衝撃により曲げやねじりに対する強度がさらに向上する。
【0019】
本発明の第2の態様は、電池の外装体の内部に配置された発電要素と前記外装体の外部に少なくとも一部が配置された外部端子とを電気的に接続する集電体であって、
貫通孔を有し、この貫通孔を通して前記外部端子がカシメ固定される基部と、前記基部から突出して前記発電要素に接続される接続部と、前記基部
の外周縁のうち、前記貫通孔から前記接続部に向けた方向と同方向に沿うとともに、前記貫通孔と前記外装体との間に位置する部分に少なくとも設けられたリブとを備える集電体を提供する。
本発明の
第3の態様は、電池の外装体の内部に配置された発電要素と前記外装体の外部に少なくとも一部が配置された外部端子とを電気的に接続する集電体であって、
貫通孔を有し、この貫通孔を通して前記外部端子がカシメ固定される基部と、前記基部から突出して前記発電要素に接続される接続部と、前記基部
の外周縁のうち、前記貫通孔から前記接続部に向けた方向と同方向に沿うとともに、前記貫通孔と前記外装体との間に位置する部分に少なくとも設けられたリブとを備える集電体の製造方法であって、前記リブは前記基部に対する絞り加工で形成されている、集電体の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電池の発電要素と外部端子とを電気的に接続する集電体は、外装体に対して固定されると共に外部端子と電気的に接続される基部にリブを備える。そのため、集電体の基部の断面係数や極断面係数が高くなるので振動や衝撃による曲げやねじりに対する集電体の基部の強度が向上し、高い耐振動性及び耐衝撃性を得ることができ、それによって、電気抵抗の増加を防ぐことができる。特に、絞り加工でリブを形成することで基部の塑性変形が抑制でき、集電体の耐振動性及び耐衝撃性をさらに向上でき、電気抵抗の増加をより確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る非水電解質二次電池1(以下、単に電池という)を示す。この電池1は、アルミニウムやアルミニウム合金等で構成され直方体状の電池容器2内に発電要素3を収容し、電池容器2の上端開口を蓋体4で封止したものである。電池容器2と蓋体4とで外装体を構成している。蓋体4の外部には負極外部端子14と正極外部端子15の上面が露出している。
【0024】
発電要素3は、銅箔からなる負極5と、アルミニウム箔からなる正極6との間に、多孔性の樹脂フィルムからなるセパレータ7を配置したものである。これらはいずれも帯状で、セパレータ7に対して負極5と正極6とを幅方向の反対側にそれぞれ位置をずらせた状態で扁平状に巻回されている。発電要素3は、負極5が負極集電体12を介して負極外部端子14に電気的に接続され、正極6が正極集電体13を介して正極外部端子15に電気的に接続されている。
【0025】
図2から
図4を併せて参照すると、蓋体4は、平面視矩形状の長尺な金属製の板状で、長手方向の中央付近に安全弁8が装着され、一端側に注液孔9が設けられている。
【0026】
蓋体4の両端部には、上面4bから上方に向かって膨出する平面視略矩形状の係合受部11がそれぞれ形成されている。各係合受部11では、蓋体4の下面4aを窪ませて係合凹部11aが形成されている。また、蓋体4の下面4aには係合凹部11aの一辺を除く周囲に浅いガイド凹部11bがそれぞれ形成されている。また、係合凹部11aを構成する天井面の中心部分には貫通孔11cが形成されている。
【0027】
図において左側の係合受部11及びガイド凹部11bには、負極集電体12及び負極外部端子14が上パッキン16と負極下パッキン17を介してそれぞれ取り付けられている。
【0028】
上パッキン16は、隔壁16aによって、上方側の端子保持凹部16bと、下方側の装着用凹部16cとを区画した樹脂製の部品であり、隔壁16aの中央部分には下方側に延びる両端開口の筒状部16dが設けられている。上パッキン16は、係合受部11の上かから被せ、装着用凹部16c内に係合受部11を収容することで蓋体4に装着される。筒状部16dは貫通孔11cに挿通されて係止凹部11a内に進入している。また、上パッキン16が備える2つの舌状片16eの係止孔16fには、蓋体4の上面4bから突出する係止突部19が挿通されている。
【0029】
負極下パッキン17は、蓋体4の係合凹部11a内に配置される膨出部17aと、この膨出部17aに連続して設けられて係合受部11のガイド凹部11bに配置される平坦部17bとを備える。膨出部17aは、係合受部11の係合凹部11aの一辺側を除く部分の内面に沿った形状を有する。また、膨出部17aには貫通孔17cが形成されている。この貫通孔17cには上パッキン16の筒状部16dの下端付近が差し込まれている。
【0030】
負極外部端子14は、平面視矩形状のアルミニウム製の板状体21と、銅製のリベット22とを備える。リベット22は、顎部22aを板状体21の中央部分に形成した貫通孔21aに圧入することで、軸部22bが突出した状態で板状部21に固定される。板状体21は上パッキン16の端子保持凹部16bに収容される。
【0031】
負極集電体12の基部31は、負極下パッキン17の膨出部17a及び平坦部17bの下側に重ねて配置される。負極集電体12については後述する。
【0032】
負極外部端子14のリベット22の軸部22bを上パッキン16の筒状部16d及び負極集電体12の基部31に形成された貫通孔33aを挿通させた後に、先端を押し広げて大径部22cを形成することで、負極外部端子14、上パッキン16、負極下パッキン17、及び負極集電体12の基部31が蓋体4に対してカシメ固定されている。
【0033】
図において右側の係合受部11及びガイド凹部11bには、正極集電体13及び正極外部端子15が上パッキン16及び正極下パッキン18を介してそれぞれ取り付けられている。
【0034】
負極側と同様に上パッキン16が係合受部11に装着されている。一方、正極側下パッキン18は貫通孔18aを設けた平板状であり、係合凹部11a内に配置される。
【0035】
正極外部端子15はアルミニウム製で、平面視矩形状の板状体15aと、その下面中央部から突出する筒状の軸部15bとを備える。板状体15aは上パッキン16の端子保持凹部16bに収容される。
【0036】
正極集電体13の基部31は、正極下パッキン18の下側に重ねて配置される。正極集電体13については後に詳述する。
【0037】
正極外部端子15の軸部15bを上パッキン16の筒状部16d及び正極集電体13の基部31に形成された貫通孔33aを挿通させた後に、先端を押し広げて大径部15cを形成することで、正極外部端子28、上パッキン16、正極下パッキン18、及び正極集電体13の基部31が蓋体4に対してカシメ固定されている。
【0038】
図5A及び
図5Bに示す負極集電体12は銅製で、
図6A及び
図6Bに示す正極集電体13はアルミニウム製であり、いずれも板材のプレス加工により製造される。負極集電体12及び正極集電体13は同様の構造を有するので、以下、負極集電体12について詳細に説明する。正極集電体13については、負極集電体12と同一ないし同様の要素には同一の符号を付し、負極集電体12と相違している点について説明する。
【0039】
図5A及び
図5Bに示す負極集電体12は、基部31と、一対の脚部(接続部)32,32とを備える。
図4を併せて参照すると、基部31は、蓋体4の下面4aに形成された係合凹部11a内に配置されて負極下パッキン17の膨出部17aの下側に重ねて配置される固定部(第1の部分)33と、係合凹部11aに隣接する位置で負極下パッキン17の平坦部17bの下側に重ねて配置される台座部(第2の部分)34とを備える。
図1に示す姿勢で電池1を配置したときに、固定部33と台座部34はいずれも水平面(XY平面)上に配置されるが、高さ方向の位置(Z方向)の位置は同じではなく、固定部33と台座部34とは段違いの位置関係で配置されている。具体的には、蓋体4の係合凹部11a内に収容された固定部33は、蓋体4の下面4bに配置された台座部34よりも上方に位置している。段違いの固定部33と台座部34は、
図1に示す姿勢で電池1を配置したときに概ね垂直面(YZ平面)に沿って拡がる連結部35により連結されている。
【0040】
固定部33の中央には負極外部端子14のリベット22の軸部22bを挿通させるための貫通孔33aが形成されている。前述したように、固定部33はリベット22によって負極外部端子28、上パッキン16、及び負極下パッキン17と共に蓋体4に対してカシメ固定されている。また、固定部33はリベット22を介して負極外部端子14の板状体21に電気的に接続されている。
【0041】
台座部34は概ね矩形板状である。台座部34の4辺のうち、連結部35を介して固定部33が連結された一辺以外の互い対向する2辺(基部31の幅方向に対向する2辺)から、一定幅の細長い矩形状の脚部32,32が互いに平行に突出している。
図1に示す姿勢で電池1を配置したときに、脚部32,32は台座部34から概ね鉛直方向下向き(−Z方向)に延びており、発電要素3の負極5(銅箔)に隣接して配置される。脚部32,32と発電要素3の負極5とは、
図1にのみ模式的に示すクリップ10により電気的に接続され、かつ機械的に互いに連結されている。
【0042】
図5A及び
図5Bに最も明瞭に示すように、負極集電体12の基部31のうち、固定部33には、壁状のリブ37が形成されている。リブ37は、脚部32,32の突出方向並びに固定部33から台座部34に向けて連結部35が延びる方向と同方向に突出するように基部31から立ち上がっている。具体的には、リブ37は概ね矩形状の固定部33の4辺のうち連結部35とつながる一辺を除く3つの辺に沿った直線部分37a,37b,37c、直線部分37aと直線部分37cをつなぐ弧状部37d、及び直線部分37bと直線部分37cをつなぐ弧状部37eを備える。また、リブ37は直線部分37a,37bの端部から台座部34へ立ち上がるアール状部37f,37gを備える。言い換えれば、連結部35との接続側の辺を除く基部31の外周縁に沿ってリブ37が形成されている。
【0043】
また、アール状部37f,37gを除くリブ37の高さH1(
図5Aにおいて固定部33の上面からリブ37の先端面までの距離)は、基部31の寸法等の条件に応じて、例えば1〜10mm程度の範囲に設定される。本実施形態では、アール状部37f,37gを除くリブ37の高さH1を概ね一定としているが、リブ37の個々の部位毎に高さを異ならせてもよい。
【0044】
3辺にリブ37が形成されて残りの一辺には連結部35がつながっているので、固定部33は全体としていわば浅いトレーのような形状を呈しており、その中央にカシメ固定用の貫通孔33aが位置している。
【0045】
板材に対して絞り加工を施すことで、固定部33と台座部34とを連結部35を介して段違いの位置とし、かつ固定部33の外周縁に沿ってリブ37を設けている。言い換えれば、負極集電体12の基部31では絞り加工により、固定部33を浅いトレーのような形状としている。
【0046】
正極集電体13のうち、蓋体4の係合凹部11a内に配置される固定部33は正極下パッキン18に重ねられるが、係合凹部11aに隣接する位置に配置される台座部34は蓋体4の下面4aに対して正極下パッキン18を介することなく配置される(
図4参照)。正極集電体13の脚部32,32は
図1にのみ模式的に示すクリップ10により発電要素3の正極6に対して電気的に接続され、かつ機械的に連結されている。
【0047】
電池1に対して振動や衝撃が加えられると、負極集電体12及び正極集電体13には、
図2、
図5A、及び
図6Aにおいて矢印Fで模式的に示すX方向の力が主に作用する。その理由は、電池容器2内での発電要素3がY方向の変位は電池容器2の両側壁内面で拘束されるのに対し、負極集電体12及び正極集電体13との接続のための空間を確保するために、X方向には電池容器2内で発電要素3が変位する余地が残されているためである。本実施形態では、リブ37を設けることで、矢印Fで示すような曲げに対して負極集電体12及び正極集電体13が備える基部31の固定部33(カシメにより蓋体4に固定されている)の断面係数を高くし、負極集電体12及び正極集電体の基部31の強度を高めている。
【0048】
また、再度
図1を参照すると、蓋体4と発電要素3との間には電解液の充填のための空間が設けられているので、電池1に対して振動や衝撃が加えられた場合、X方向だけでなくZ方向にも電池容器2内で発電要素3が変位する余地が残されている。そのため、負極集電体12及び正極集電体13が備える基部31の固定部33には概ねX軸まわりのねじろうとする力も作用する。本実施形態ではリブ37を設けることで、この種のねじりに対して、負極集電体12及び正極集電体13が備える基部31の固定部33の極断面係数を高く設定し、負極集電体12及び正極集電体の基部31の強度を高めている。
【0049】
以上のように、リブ37を設けることで、基部31の断面係数や極断面係数が高くなるので振動や衝撃による曲げやねじりに対する負極集電体12及び正極集電体13の基部31の強度が向上する。その結果、負極集電体12及び正極集電体13の耐振動性及び耐衝撃性が向上する。そして、耐振動性及び耐衝撃性の向上によって電気抵抗の増加を防ぐことができる。
【0050】
また、前述のように基部31の固定部33はリブ37と連結部35によって浅いトレー状としているが、かかる形状も振動や衝撃による曲げやねじりに対する基部31の強度向上に寄与している。
【0051】
リブ37の形成、並びに連結部35で固定部33と台座部34を段違いとする構造の形成は基部31の固定部33に対して絞り加工を施すことでなされている。絞り加工でリブ37を形成することで、基部31の特にリブ37の周辺に加工硬化が生じて局所的に降伏応力が増加するので、負極集電体12及び正極集電体13の基部31の塑性変形が抑制できる。つまり、リブ37を絞り加工で形成しているため、負極集電体12及び正極集電体13の耐振動性及び耐衝撃性がさらに向上し、電気抵抗の増加をより確実に防ぐことができる。
【0052】
基部31を、単なる平板状ではなく、固定部33と台座部34が連結部35で段違いで連結された構成としたことも、振動や衝撃による曲げやねじりに対する負極集電体12及び正極集電体13の基部31の強度を高め、負極集電体12及び正極集電体13の耐振動性及び耐衝撃性の向上とそれによる電気抵抗の増加の防止に寄与している。
【0053】
また、段違いの基部31のうち、固定部33を蓋体4の係合凹部11a内に配置し、台座部34を蓋体4の下面4aに配置することで、電池1の蓋体4に対する負極集電体12及び正極集電体13の取付強度が向上し、この点でも耐振動性及び耐衝撃性が高まり電気抵抗の増加を防止できる。
【0054】
(第2実施形態)
図7Aから
図8Cに示す本発明の第2実施形態は、
図7Aから
図7Cに示す銅製の負極集電体12自体の構造と、
図8Aから
図8Cに示すアルミニウム製の正極集電体13自体の構造に第1実施形態とは異なる点がある。電池1のその他の構造、特に負極及び正極集電体12,13の発電要素3や負極及び正極外部端子14,15に対する接続構造や、負極及び集電体12,13の蓋体4への取付構造は第1実施形態と同様である。また、本実施形態の負極集電体12及び正極集電体13も同様の構造を有するので、以下、負極集電体12について詳細に説明する。正極集電体13については、負極集電体12と同一ないし同様の要素には同一の符号を付し、負極集電体12と相違している点について説明する。
【0055】
図7Aから
図7Cに示す負極集電体12では、リブ37は壁状の主部37hと主部37hの先端から外側横向き(図においてY方向)に突出する一対の延長部37i,37jとを備える。なお、第1実施形態の負極及び正極集電体12,13のリブ37は本実施形態におけるリブ37のうち主部37hのみを備える構成に相当する。
【0056】
リブ37の主部37hは負極集電体12の基部31のうち、固定部33、台座部34、及び連結部35に設けられている。まず、概ね矩形状の固定部33では、リブ37の主部37hは4辺のうち連結部35とつながる一辺を除く3つの辺に沿った直線部分37a,37b,37c、直線部分37aと直線部分37cをつなぐ弧状部37d、及び直線部分37aと直線部分37cをつなぐ弧状部37eを備える。また、概ね矩形板状の台座部34では連結部35を介して固定部33が連結された一辺以外の互い対向する2辺(基部31の幅方向に対向する2辺)にリブ37の主部37hの直線部分37k,37mが設けられている。さらに、連結部35の互い対向する2辺(基部31の幅方向に対向する2辺)には、固定部33に設けられた直線部37a,37bと台座部34に設けられた直線部分37k,37mとを連結するように、直線部分37n,37pが設けられている。
【0057】
本実施形態では台座部34と連結部35にもリブ37の壁状の主部37hを設けることで、固定部33のみでなく台座歩34や連結部35についても断面係数や極断面係数を高く設定し、この点でも負極集電体12の強度を高めることができる。
【0058】
リブ37の主部37hのうち、固定部33に設けられた互いに対向する直線部分37a,37b、これら直線部分37a,37bと連続する連結部35に設けられた直線部分37n,37p、及びこれらの直線部分37n,37pと連続する台座部34に設けられた直線部分37k,37mに前述した延長部37i,37jが設けられている。固定部33に設けられた互いに対向する直線部分37a,37bでは、その全長ではなく、連結部35から貫通孔33aの中心に相当する位置付近の部分(連結部35側)に延長部37i,37jが設けられている。要するに、互いに対向する延長部37i,37jは台座部34の端部から固定部33の途中まで延びている。
【0059】
リブ37の主部37hの先端に延長部37i,37jを設けることで、負極集電体12の基部31の断面係数や極断面係数がさらに高くなるので振動や衝撃による曲げやねじりに対する負極集電体12の基部31の強度がより一層向上する。その結果、負極集電体12の耐振動性及び耐衝撃性がさらに向上し、電気抵抗の増加をより確実に防ぐことができる。
【0060】
負極集電体12の一対の脚部32,32は延長部37i,37jから突出している。具体的には、これらの脚部32,32は下端側の着座部32aを介して延長部37i,37jに固定されており、この着座部32aは延長部37i,37jの長手方向の概ね全長にわたって延びている。つまり、一対の脚部32,32が基部31に接続される部分は、台座部34を越えて固定部33の途中(貫通孔33aの中心に相当する位置)まで延びている。脚部32,32と基部31との接続部分である着座部32aの長さを延ばすことで、負極集電体12の全体としての剛性が向上し、振動や衝撃による曲げやねじりに対する強度がさらに向上する。
【0061】
図8Aから
図8Cに示す正極集電体13は、
図7Aから
図7Cに示す負極集電体12より、固定部33の長手方向の長さが長く設定されている。また、固定部33の長手方向の先端にはリブ37の直線部分37cの上端から延びる舌状部38が設けられている。この舌状部38は正極集電体13を蓋体4へ溶接するために設けられている。
【0062】
本発明の効果を確認するための試験を行った。この試験では、
図5A及び
図5Bに示す銅製の負極集電体12を使用した(以下、この負極集電体12を必要に応じて実施例という。)。実施例の負極集電体12の寸法は以下の通りであった。まず、基部31の全長Lは45mm、固定部33の幅W1は25mm、台座部34の幅W2は35mmであった。また、アール状部37f,37gを除くリブ37の高さH1は3mmであった。さらに、
図5Aにおいて固定部33の上面から台座部34の下面までの高さH2は7mmであった。また、比較例として
図9に示す銅製の負極集電体12’を準備した。比較例の負極集電体12’は実施例の負極集電体12と同様の寸法を有するが、カシメ用の貫通孔33a’が形成された基部33’は平坦な板状であり、リブは形成されておらず段違いの構造も有さない。
【0063】
UN(国連)試験基準マニュアルで規定された耐振動性、耐衝撃性に関する試験条件を3回繰り返して電池の抵抗の変化率を測定した。試験結果を以下の表1及び
図10に示す。
図10において、丸印が比較例で四角印が実施例である。
【0065】
表1及び
図10から明らかなように、比較例では試験前後で抵抗が100%から10%増加した110%となったのに対し、実施例では試験前後で抵抗は100%から5%だけ増加して105%となった。この結果から、本発明によって集電体の耐振動性及び耐衝撃性が向上し、それによって電気抵抗の増加を防止できることが確認できる。
【0066】
本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
図9に示す比較例のように段違い構造ではなく単なる平板状の基部の外周縁にリブ37と同様のリブを設けても、集電体の基部の強度を高めて耐振動性及び耐衝撃性が向上できる。このような平板状の基部を有する集電体の場合、基部全体を蓋体4の凹部に収容してもよい。この場合でも、電池内の容量を大きくすることができ、製造時の位置合わせが容易である。
また、非水電解質二次電池を例に本発明を説明したが、非水電解質二次電池以外の電池にも本発明を適用できる。