特許第6015003号(P6015003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6015003含フッ素重合体の製造方法および含フッ素組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015003
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】含フッ素重合体の製造方法および含フッ素組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/10 20060101AFI20161013BHJP
   C08F 220/22 20060101ALI20161013BHJP
   C08F 212/06 20060101ALI20161013BHJP
   D06M 15/277 20060101ALI20161013BHJP
   D06M 15/263 20060101ALI20161013BHJP
   D06M 15/233 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   C08F220/10
   C08F220/22
   C08F212/06
   D06M15/277
   D06M15/263
   D06M15/233
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-288073(P2011-288073)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136666(P2013-136666A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年9月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(72)【発明者】
【氏名】山本 育男
(72)【発明者】
【氏名】福森 正樹
(72)【発明者】
【氏名】上原 徹也
(72)【発明者】
【氏名】南 晋一
(72)【発明者】
【氏名】仲村 尚子
【審査官】 今井 督
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−515503(JP,A)
【文献】 特開昭64−056711(JP,A)
【文献】 特開2004−043808(JP,A)
【文献】 特開2009−108296(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/122442(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/072727(WO,A1)
【文献】 特開平02−269111(JP,A)
【文献】 特開平02−269717(JP,A)
【文献】 特開2013−136668(JP,A)
【文献】 特開2013−151651(JP,A)
【文献】 特開2013−136686(JP,A)
【文献】 特開2013−136687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00−246/00
D06M 15/233
D06M 15/263
D06M 15/277
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フルオロアルキル基を有するα-クロロアクリレートである含フッ素単量体、
(B)炭素数12〜30の直鎖状または分岐状の炭化水素基を有するアクリレート単量体、および
(C)香族オレフィンである第3単量体
の共重合を、含フッ素単量体(A)1モルに対して第3単量体(C)0.8モル以上の量で、行うことを特徴とする含フッ素重合体の製造方法であって、
含フッ素単量体(A)が、式:
CH2=C(-Cl)-C(=O)-Y-Z-Rf
[式中、Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合、
炭素数1〜20の直鎖状または分岐状脂肪族基、
炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
式−R(R)N−SO−または式−R(R)N−CO−で示される基(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜10の直鎖アルキレン基または分枝状アルキレン基である。)、
式−CHCH(OR)CH−[Ar−(O)qp−(式中、Rは、水素原子、または、炭素数1〜10のアシル基、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、pは0または1、qは0または1である。)で示される基、
式−(CH−Ar−(O)−(式中、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、nは0〜10であり、qは0または1である。)で示される基、あるいは
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である)であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される含フッ素単量体であり、
直鎖状または分岐状の炭化水素基を有する単量体(B)が、式:
CH=CHCOOA1
[式中、A1は、C2n+1(n=12〜30)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアクリレートであり
香族オレフィンである第3単量体(C)が式:
CH=C(G)−Ar(Gr
[式中、Arは、芳香環であり、
およびGは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、またはハロゲン原子であり、
rは、0〜5の数である。]
で示される化合物である、含フッ素重合体の製造方法。
【請求項2】
単量体(B)におけるアルキル基の炭素数が12〜22である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
(A)フルオロアルキル基を有するα-クロロアクリレートである含フッ素単量体から誘導される繰り返し単位、
(B)炭素数12〜30の直鎖状または分岐状の炭化水素基を有するアクリレート単量体から誘導される繰り返し単位、および
(C)香族オレフィンである第3単量体から誘導される繰り返し単位
を有し、第3単量体の繰り返し単位(C)の量が含フッ素単量体(A)の繰り返し単位1モルに対して0.8モル以上である含フッ素重合体であって、
含フッ素単量体(A)が、式:
CH2=C(-Cl)-C(=O)-Y-Z-Rf
[式中、Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合、
炭素数1〜20の直鎖状または分岐状脂肪族基、
炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
式−R(R)N−SO−または式−R(R)N−CO−で示される基(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜10の直鎖アルキレン基または分枝状アルキレン基である。)、
式−CHCH(OR)CH−[Ar−(O)qp−(式中、Rは、水素原子、または、炭素数1〜10のアシル基、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、pは0または1、qは0または1である。)で示される基、
式−(CH−Ar−(O)−(式中、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、nは0〜10であり、qは0または1である。)で示される基、あるいは
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である)であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される含フッ素単量体であり、
直鎖状または分岐状の炭化水素基を有する単量体(B)が、式:
CH=CHCOOA1
[式中、A1は、C2n+1(n=12〜30)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアクリレートであり
香族オレフィンである第3単量体(C)が式:
CH=C(G)−Ar(Gr
[式中、Arは、芳香環であり、
およびGは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、またはハロゲン原子であり、
rは、0〜5の数である。]
で示される化合物である、含フッ素重合体。
【請求項4】
(A)フルオロアルキル基を有するα-クロロアクリレートである含フッ素単量体から誘導される繰り返し単位、
(B)炭素数12〜30の直鎖状または分岐状の炭化水素基を有するアクリレート単量体から誘導される繰り返し単位、および
(C)香族オレフィンである第3単量体から誘導される繰り返し単位
を有しており、第3単量体の繰り返し単位(C)の量が含フッ素単量体(A)の繰り返し単位1モルに対して0.8モル以上である含フッ素重合体、ならびに
水性媒体
を含んでなる含フッ素組成物であって、
含フッ素組成物における含フッ素単量体の残存量が10%以下であり、
含フッ素単量体(A)が、式:
CH2=C(-Cl)-C(=O)-Y-Z-Rf
[式中、Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合、
炭素数1〜20の直鎖状または分岐状脂肪族基、
炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
式−R(R)N−SO−または式−R(R)N−CO−で示される基(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜10の直鎖アルキレン基または分枝状アルキレン基である。)、
式−CHCH(OR)CH−[Ar−(O)qp−(式中、Rは、水素原子、または、炭素数1〜10のアシル基、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、pは0または1、qは0または1である。)で示される基、
式−(CH−Ar−(O)−(式中、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、nは0〜10であり、qは0または1である。)で示される基、あるいは
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である)であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される含フッ素単量体であり、
直鎖状または分岐状の炭化水素基を有する単量体(B)が、式:
CH=CHCOOA1
[式中、A1は、C2n+1(n=12〜30)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアクリレートであり
香族オレフィンである第3単量体(C)が式:
CH=C(G)−Ar(Gr
[式中、Arは、芳香環であり、
およびGは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、またはハロゲン原子であり、
rは、0〜5の数である。]
で示される化合物である含フッ素組成物。
【請求項5】
水性分散液である請求項4に記載の含フッ素組成物。
【請求項6】
撥水撥油剤組成物である請求項4または5に記載の含フッ素組成物。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の含フッ素組成物で処理することからなる、基材を処理する方法。
【請求項8】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の含フッ素組成物を繊維製品に適用することを含む、処理された繊維製品の製法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素重合体の製造方法および含フッ素組成物に関する。本発明によれば、繊維製品(例えば、カーペット)、紙、不織布、石材、静電フィルター、防塵マスク、燃料電池の部品に、優れた撥水性、撥油性、防汚性を付与する含フッ素重合体を製造できる。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の含フッ素化合物が提案されている。含フッ素化合物には、耐熱性、耐酸化性、耐候性などの特性に優れているという利点がある。含フッ素化合物の自由エネルギーが低い、すなわち、付着し難いという特性を利用して、含フッ素化合物は、例えば、撥水撥油剤および防汚剤として使用されている。例えば、例えば、米国特許第5247008号には、アクリル酸またはメタクリル酸のパーフルオロアルキルエステルと、アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルと、アクリル酸またはメタクリル酸のアミノアルキルエステルとの共重合体の水性分散物である、繊維製品、皮革、紙および鉱物基材のための仕上げ剤が記載されている。
【0003】
撥水撥油剤として使用できる含フッ素化合物として、フルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートエステルを構成モノマーとする含フッ素重合体が挙げられる。表面処理剤の繊維への実用処理では、これまでの種々の研究結果からその表面特性として静的な接触角ではなく、動的接触角、特に後退接触角が重要であることを示している。すなわち、水の前進接触角はフルオロアルキル基の側鎖炭素数に依存しないが、水の後退接触角は、側鎖の炭素数8以上に比較して7以下では著しく小さくなることを示している。これと対応してX線解析は側鎖の炭素数が7以上では側鎖の結晶化が起こることを示している。実用的な撥水性が側鎖の結晶性と相関関係を有していること、および表面処理剤分子の運動性が実用性能発現の重要な要因であることが知られている(例えば、前川隆茂、ファインケミカル、Vol23, No.6, P12(1994))。上記理由により、側鎖の炭素数が7(特に6以下)以下と短いフルオロアルキル基をもつ(メタ)アクリレート系ポリマーでは側鎖の結晶性が低いためそのままでは実用性能を満足しない問題があった。
【0004】
最近の研究結果(EPAレポート"PRELIMINARY RISK ASSESSMENT OF THE DEVELOPMENTAL TOXICITY ASSOCIATED WITH EXPOSURE TO PERFLUOROOCTANOIC ACID AND ITS SALTS" (http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoara.pdf))などから、PFOA(perfluorooctanoic acid)に対する環境への負荷の懸念が明らかとなってきており、2003年4月14日EPA(米国環境保護庁)がPFOAに対する科学的調査を強化すると発表した。
【0005】
一方、Federal Register(FR Vol.68,No.73/April 16,2003[FRL-2303-8])
(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafr.pdf)や
EPA Environmental News FOR RELEASE: MONDAY APRIL 14, 2003
EPA INTENSIFIES SCIENTIFIC INVESTIGATION OF A CHEMICAL PROCESSING AID (http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoaprs.pdf)や
EPA OPPT FACT SHEET April 14, 2003
(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafacts.pdf)は、「テロマー」が分解または代謝によりPFOAを生成する可能性があると公表している。また、「テロマー」が、泡消火剤;ケア製品と洗浄製品;カーペット、テキスタイル、紙、皮革に設けられている撥水撥油被覆および防汚加工被覆を含めた多くの製品に使用されていることをも公表している。
【0006】
国際公開第2011/122442号は、α−クロロアクリレートと炭化水素基を有する(メタ)アクリレート単量体から誘導された繰り返し単位を有する含フッ素重合体を含む処理剤組成物を開示している。この公報では、α−クロロアクリレートの転化率(重合率)については詳細に検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2011/122442号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、含フッ素単量体の転化率(重合率)が高い含フッ素重合体の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、残存モノマーの量が低減した含フッ素組成物を提供する。
本発明の他の目的は、繊維製品などの基材に優れた撥水撥油性を付与し、その加工処理において、ロールへのポリマー付着性防止に優れる含フッ素組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(A)フルオロアルキル基を有するα-クロロアクリレートである含フッ素単量体、
(B)炭素数12〜30の直鎖状または分岐状の炭化水素基を有するアクリレート単量体、および
(C)炭化水素基を有するメタクリレート単量体または芳香族オレフィンである第3単量体
の共重合を、含フッ素単量体(A)1モルに対して第3単量体(C)0.8モル以上の量で、行うことを特徴とする含フッ素重合体の製造方法を提供する。
加えて、本発明は、
(A)フルオロアルキル基を有するα-クロロアクリレートである含フッ素単量体から誘導される繰り返し単位、
(B)炭素数12〜30の直鎖状または分岐状の炭化水素基を有するアクリレート単量体から誘導される繰り返し単位、および
(C)炭化水素基を有するメタクリレート単量体または芳香族オレフィンである第3単量体から誘導される繰り返し単位
を有し、第3単量体の繰り返し単位(C)の量が含フッ素単量体(A)の繰り返し単位1モルに対して0.8モル以上である含フッ素重合体を提供する。
【0010】
さらに、本発明は
(A)フルオロアルキル基を有するα-クロロアクリレートである含フッ素単量体から誘導される繰り返し単位、
(B)炭素数12〜30の直鎖状または分岐状の炭化水素基を有するアクリレート単量体から誘導される繰り返し単位、および
(C)炭化水素基を有するメタクリレート単量体または芳香族オレフィンである第3単量体から誘導される繰り返し単位
を有しており、第3単量体の繰り返し単位(C)の量が含フッ素単量体(A)の繰り返し単位1モルに対して0.8モル以上である含フッ素重合体を含んでなる含フッ素組成物であって、
含フッ素組成物における含フッ素単量体の残存量が10%以下である含フッ素組成物を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、含フッ素単量体の転化率(重合率)が高いので、残存モノマーの量が低減した含フッ素組成物が得られる。
本発明の含フッ素組成物は、繊維製品などの基材に優れた撥水撥油性を付与し、その加工処理において、ロールへのポリマー付着性防止に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、(A)含フッ素単量体(α-クロロ置換含フッ素単量体)、(B)直鎖状または分岐状の炭化水素基含有アクリレート単量体、および(C)単量体(A)および(B)以外の第3単量体を使用する。
【0013】
本発明において、含フッ素重合体は、
(A)含フッ素単量体(α-クロロ置換含フッ素単量体)から誘導される繰り返し単位、
(B)直鎖状または分岐状の炭化水素基含有アクリレート単量体から誘導される繰り返し単位、および
(C)第3単量体から誘導される繰り返し単位
を有する。
【0014】
(A)含フッ素単量体(α-クロロ置換含フッ素単量体)
含フッ素単量体は式:
CH2=C(-Cl)-C(=O)-Y-Z-Rf
[式中、Yは、−O−または−NH−であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される含フッ素単量体である。
【0015】
含フッ素単量体は、Y基が−O−であるアクリレートエステルであることが好ましい。
Z基は、具体的には、炭素数1〜20(例えば、炭素数1〜10、特に1〜4、特別に1または2)の直鎖状または分岐状脂肪族基(例えば、アルキレン基)、例えば、式−(CH−(式中、xは1〜10である。)で示される基、あるいは、
炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
式−R(R)N−SO−または式−R(R)N−CO−で示される基(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜10の直鎖アルキレン基または分枝状アルキレン基である。)、例えば-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、あるいは、
式−CHCH(OR)CH−[Ar−(O)qp−(式中、Rは、水素原子、または、炭素数1〜10のアシル基(例えば、ホルミルまたはアセチルなど)、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基(例えば、フェニレン基)、pは0または1、qは0または1である。)で示される基、あるいは、
式−(CH−Ar−(O)−(式中、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基(例えば、フェニレン基)、nは0〜10であり、qは0または1である。)で示される基、
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である)であってよい。
芳香族基または環状脂肪族基は、置換または非置換であってよい。S 基または SO2基はRf基に直接に結合していてよい。
【0016】
Rf基が、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1〜12、例えば1〜6、特別には4〜6であることが好ましい。Rf基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF3) 2、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3)2、−C(CF)3、−(CF2)4CF3、−(CF2)2CF(CF3)2、−CF2C(CF3)3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)3CF(CF3)2、−(CF2)4CF(CF3)2、−C817等である。
【0017】
含フッ素単量体(A)の具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)4−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
【0018】
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
【0019】
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-CH2CH2N(CH3)SO2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-CH2CH(OCOCH3)CH2-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-CH2-Ph-O-Rf (ここで、Phは1,4−フェニレンである。)
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-CH2CH(OH)CH2-Ph-O-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-CH2-Ph-Rf
CH2=C(-Cl)-C(=O)-O-CH2CH(OCOCH3)CH2-Ph-Rf
[上記式中、Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
【0020】
(B)第2単量体(炭素数12〜30の直鎖状または分岐状の炭化水素基を有するアクリレート単量体)
第2単量体(B)は、フルオロアルキル基を有しない単量体である。単量体(B)は、環状炭化水素基を有しない。第2単量体(B)は、一般に、フッ素原子を含有しない単量体である。直鎖状または分岐状の炭化水素基は、特に直鎖状の炭化水素基であってよい。直鎖状または分岐状の炭化水素基は、炭素数が12〜30であり、一般に飽和の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
【0021】
第2単量体(B)は、アルキルアクリレートエステルであってよい。アルキル基の炭素原子の数は12〜30であってよく、例えば12〜22、特に14〜20であってよい。例えば、第2単量体(B)は、式:
CH=CHCOOA1
[式中、
1は、C2n+1(n=12〜30、特に12〜22)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアクリレートであってよい。
【0022】
第2単量体(B)の具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)11−CH3
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)13−CH3
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)15−CH3
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)17−CH3
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)21−CH3
(すなわち、ラウリルアクリレート、ミリスチルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート)
【0023】
(C)第3単量体
第3単量体(C)は、炭化水素基を有するメタクリレート単量体および/または芳香族オレフィンである。第3単量体(C)は、単量体(A)と(B)以外の単量体である。第3単量体(C)は、フルオロアルキル基を有しない。
一般に、炭化水素基を有するメタクリレート単量体において、炭化水素基がアルコール残基としてエステル結合に直接に結合している。炭化水素基は、直鎖状または分岐状の炭化水素基または環状炭化水素基である。
【0024】
直鎖状または分岐状の炭化水素基は、一般に直鎖または分岐の炭化水素基、特に直鎖の炭化水素基である。直鎖状または分岐状の炭化水素基は、炭素数が1〜30であり、一般に飽和の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
環状炭化水素基としては、飽和または不飽和である、単環基、多環基、橋かけ環基などが挙げられる。環状炭化水素基は、飽和であることが好ましい。環状炭化水素基の炭素数は4〜20であることが好ましい。環状炭化水素基としては、炭素数4〜20、特に5〜12の環状脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数7〜20の芳香脂肪族基が挙げられる。環状炭化水素基の炭素数は、15以下、例えば10以下であることが特に好ましい。環状炭化水素基は、飽和の環状脂肪族基であることが好ましい。環状炭化水素基の具体例は、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基である。
【0025】
炭化水素基を有するメタクリレート単量体は、式:
CH=C(CH3)COOA2
[式中、
2は、直鎖状または分岐状の炭化水素基または環状炭化水素基、例えば、C2n+1(n=1〜30)によって表されるアルキル基である。]
で示されるメタクリレートであってよい。
【0026】
芳香族オレフィンは、ビニル基および置換されていてよい芳香族基(芳香環)(例えば、ベンゼン環、あるいは2つ以上のベンゼン環を有する基(例えば、ナフタレン基、アントラセン基)、あるいはアズレン)を有する化合物である。芳香族オレフィンにおいて、ビニル基と芳香環は直接に結合していることが好ましい。
芳香族オレフィンは、式:
CH=C(G)−Ar(Gr
[式中、Arは、芳香環(例えば、ベンゼン、ナフタレン)であり、
およびGは、それぞれ独立して、炭素数1〜10(例えば、1〜4)のアルキル基、またはハロゲン原子(特に、塩素、臭素、ヨウ素)であり、
rは、0〜5(例えば、0〜2)の数である。]
で示される化合物であってよい。
は、芳香環(Ar)上の置換基である。
【0027】
第3単量体の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロアルキルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ポリオキシアルキレンメタクリレート、ポリオキシアルキレンジメタクリレート、(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリシロキサンを有するメタクリレート、アジリジニルメタクリレート、アジリジリニエチルメタクリレート、スチレン、αーメチルスチレン、αーメチルーpーメチルスチレン、oーメチルスチレン、mーメチルスチレン、pーメチルスチレン、2、4ジメチルスチレン、エチルスチレン、pーtertーブチルスチレン、o−クロルスチレン、mークロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2−メチル−1、4ークロルスチレン、2、4ジブロモスチレン、ビニルナフタレン等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
(D)他の単量体
単量体(A)、(B)および(C)以外の他の単量体(D)、例えば他の非フッ素非架橋性単量体を使用しても良い。
他の単量体の例には、例えば、エチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、およびビニルアルキルエーテルが含まれる。他の単量体はこれらの例に限定されない。
【0029】
他の単量体はハロゲン化オレフィンであってよい。
ハロゲン化オレフィンは、1〜10の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている炭素数2〜20のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィンは、炭素数2〜20の塩素化オレフィン、特に1〜5の塩素原子を有する炭素数2〜5のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィンの好ましい具体例は、ハロゲン化ビニル、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、例えば塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデンである。
【0030】
他の単量体は、非フッ素架橋性単量体であってよい。非フッ素架橋性単量体は、フッ素原子を含まない単量体である。非フッ素架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物であってよい。非フッ素架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、などである。
【0031】
非フッ素架橋性単量体としては、例えば、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これらに限定されるものでない。
【0032】
含フッ素重合体において、含フッ素単量体(A)1モルに対して、
アクリレート単量体(B)の量が0.1モル以上、例えば0.2〜20モル、特に0.5〜10モルであり、
第3単量体(C)の量が0.8モル以上、例えば0.9〜20モル、特に1〜10モルであってよい。
他の単量体(D)の量は、含フッ素単量体(A)1モルに対して、0〜10モル、例えば、0.01〜5モルであってよい。
【0033】
含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、一般に、1000〜1000000、例えば5000〜500000、特に3000〜200000であってよい。含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、一般に、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定する。
【0034】
本発明において、単量体(A)〜(C)(および必要に応じて他の単量体(D))を共重合させ、含フッ素重合体が媒体に分散または溶解した含フッ素組成物を得る。
【0035】
含フッ素単量体(A)の転化率(重合率)は、高い値であり、90%以上、例えば92%以上、特に95%以上である。含フッ素組成物において残存モノマー量(未反応の含フッ素単量体(A)の量)は、仕込みモノマー量(仕込んだ含フッ素単量体(A)の量)に対して10%以下、例えば8%、特に5%以下である。
【0036】
単量体を、ブロックイソシアネート化合物およびオルガノポリシロキサン化合物からなる群から選択された少なくとも1種の化合物の存在下で、重合してよい。ブロックイソシアネート化合物(またはオルガノポリシロキサン化合物)の量は、単量体100重量部に対して、0〜100重量部、例えば1〜50重量部であってよい。
【0037】
単量体をブロックイソシアネート化合物の存在下で重合することにより、ブロックイソシアネート基を有する含フッ素重合体が得られる。ブロックイソシアネート化合物は、少なくとも一種のブロック剤によってブロックされているイソシアネートである。ブロック剤の例としては、オキシム類、フェノール類、アルコール類、メルカプタン類、アミド類、イミド類、イミダゾール類、尿素類、アミン類、イミン類、ピラゾール類、および活性メチレン化合物類が挙げられる。ブロック剤の他の例には、ピリジノール類、チオフェノール類、ジケトン類およびエステル類が挙げられる。ブロックイソシアネート化合物は、親水性基を有する化合物によって変性されていてもよい。
【0038】
単量体をオルガノポリシロキサン化合物(例えば、メルカプト官能性オルガノポリシロキサン、ビニル官能性オルガノポリシロキサン)の存在下で重合することにより、シロキサン基を有する含フッ素重合体が得られる。1つの実施形態において、メルカプト官能性オルガノポリシロキサンは、下記の平均式を有するシロキシ単位を有する:
(RSiO)(RRSiO)(RRSiO)
[式中、aは、0〜4000、あるいは、0〜1000、あるいは、0〜400であり、
bは、1〜1000、あるいは、1〜100、あるいは、1〜50であり、
cは、1〜1000、あるいは、1〜100、あるいは、1〜50であり;
Rは独立して、一価の有機基であり、
あるいは、Rは、炭素数1〜30の炭化水素であり、
あるいは、Rは、炭素数1〜12の一価アルキル基であり、
あるいは、Rはメチル基であり;
は、上記で定義されるような一価のアミノ官能性の有機基であり、
は、上記で定義されるような一価のメルカプト官能性の有機基である。]
【0039】
本発明における含フッ素重合体は通常の重合方法の何れでも製造でき、また重合反応の条件も任意に選択できる。このような重合方法として、溶液重合、懸濁重合、乳化重合が挙げられる。
【0040】
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶剤に溶解させ、窒素置換後、30〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、例えば0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0041】
有機溶剤としては、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶剤は単量体の合計100重量部に対して、50〜2000重量部、例えば、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
【0042】
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、窒素置換後、50〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して共重合させる方法が採用される。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン−二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0043】
放置安定性の優れた共重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化して重合することが望ましい。また、乳化剤としてはアニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で用いられる。アニオン性および/またはノニオン性および/またはカチオン性の乳化剤を使用することが好ましい。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶剤や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
【0044】
水溶性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。
【0045】
本発明の含フッ素組成物は、溶液、エマルションまたはエアゾールの形態であることが好ましい。含フッ素組成物は、含フッ素重合体(表面処理剤の活性成分)および媒体(特に、液状媒体、例えば、有機溶媒および/または水)を含んでなる。媒体の量は、例えば、含フッ素組成物に対して、5〜99.9重量%、特に10〜80重量%であってよい。
含フッ素組成物において、含フッ素重合体の濃度は、0.01〜95重量%、例えば5〜50重量%であってよい。
【0046】
本発明の含フッ素組成物は、従来既知の方法により被処理物に適用することができる。通常、該含フッ素組成物を有機溶剤または水に分散して希釈して、浸漬塗布、スプレー塗布、泡塗布などのような既知の方法により、被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採られる。また、必要ならば、適当な架橋剤と共に適用し、キュアリングを行ってもよい。さらに、本発明の含フッ素組成物に、防虫剤、柔軟剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、塗料定着剤、防シワ剤などを添加して併用することも可能である。基材と接触させる処理液における含フッ素重合体の濃度は0.01〜10重量%(特に、浸漬塗布の場合)、例えば0.05〜10重量%であってよい。
【0047】
本発明の含フッ素組成物(例えば、撥水撥油剤)で処理される被処理物としては、繊維製品、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、燃料電池の部品(例えば、ガス拡散電極およびガス拡散支持体)、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面、およびプラスターなどを挙げることができる。繊維製品としては種々の例を挙げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。
【0048】
繊維製品は、繊維、布等の形態のいずれであってもよい。
本発明の含フッ素組成物は、内部離型剤あるいは外部離型剤としても使用できる。
【0049】
含フッ素重合体は、繊維製品を液体で処理するために知られている方法のいずれかによって繊維状基材(例えば、繊維製品など)に適用することができる。繊維製品が布であるときには、布を溶液に浸してよく、あるいは、布に溶液を付着または噴霧してよい。処理された繊維製品は、撥油性を発現させるために、乾燥され、好ましくは、例えば、100℃〜200℃で加熱される。
【0050】
あるいは、含フッ素重合体はクリーニング法によって繊維製品に適用してよく、例えば、洗濯適用またはドライクリーニング法などにおいて繊維製品に適用してよい。
【0051】
処理される繊維製品は、典型的には、布であり、これには、織物、編物および不織布、衣料品形態の布およびカーペットが含まれるが、繊維または糸または中間繊維製品(例えば、スライバーまたは粗糸など)であってもよい。繊維製品材料は、天然繊維(例えば、綿または羊毛など)、化学繊維(例えば、ビスコースレーヨンまたはレオセルなど)、または、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミドまたはアクリル繊維など)であってよく、あるいは、繊維の混合物(例えば、天然繊維および合成繊維の混合物など)であってよい。本発明の製造重合体は、セルロース系繊維(例えば、綿またはレーヨンなど)を疎油性および撥油性にすることにおいて特に効果的である。また、本発明の方法は一般に、繊維製品を疎水性および撥水性にする。
【0052】
あるいは、繊維状基材は皮革であってよい。製造重合体を、皮革を疎水性および疎油性にするために、皮革加工の様々な段階で、例えば、皮革の湿潤加工の期間中に、または、皮革の仕上げの期間中に、水溶液または水性乳化物から皮革に適用してよい。
あるいは、繊維状基材は紙であってもよい。製造重合体を、予め形成した紙に適用してよく、または、製紙の様々な段階で、例えば、紙の乾燥期間中に適用してもよい。
【0053】
「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である含フッ素重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。
【実施例】
【0054】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下において、部または%または比は、特記しない限り、重量部または重量%または重量比を表す。
試験の手順は次のとおりである。
【0055】
シャワー撥水性試験
シャワー撥水性試験をJIS−L−1092に従って行った。シャワー撥水性試験は(下記に記載されている表1に示されるように)撥水性No.によって表された。
体積が少なくとも250mlであるガラス漏斗、および、250mlの水を20秒間〜30秒間にわたって噴霧することができるスプレーノズルを使用する。試験片フレームは、直径が15cmの金属フレームである。サイズが約20cmx20cmである3枚の試験片シートを準備し、シートを試験片ホルダーフレームに固定し、シートにしわがないようにする。噴霧の中心をシートの中心に置く。室温の水(250mL)をガラス漏斗に入れ、試験片シートに(25秒〜30秒の時間にわたって)噴霧する。保持フレームを台から取り外し、保持フレームの一方の端をつかんで、前方表面を下側にし、反対側の端を堅い物質で軽くたたく。保持フレームを180°さらに回転させ、同じ手順を繰り返して、過剰な水滴を落とす。湿った試験片を、撥水性が不良から優れた順で、0、50、70、80、90および100の評点をつけるために、湿潤比較標準物と比較する。結果を3回の測定の平均から得る。
【0056】
【表1】
【0057】
単量体の転化率
単量体の転化率(重合率)は、ガスクロマトグラフィー(島津製 GC-14B)によって求めた。
【0058】
製造例1
300mLオートクレーブにCF3CF2-(CF2CF2)n-CH2CH2OCOC(Cl)=CH2 (n=2.0)(C6SFClA) 18.63g、ステアリルアクリレート(StA)21.73g、2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)21.73g、純水110g、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル18.62g、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム2.57g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:20。EOはエチレンオキシドユニット数を表す) 2.65g、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル(EO:3) 1.21gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。反応フラスコ内を窒素置換後、ラウリルメルカプタン0.62g、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.31g(以下、V−50と記す)及び水9gの溶液を添加し、60℃で5時間反応させ、重合体の水性分散液を得た。重合後、ガスクロマトグラフィーにて、C6SFClA(含フッ素単量体)の転化率を算出した。
【0059】
製造例2〜14および比較製造例1〜6
製造例1と同様の手順で水性分散液を調製した。モノマーの仕込み量と含フッ素単量体の転化率を表2に示す。
【0060】
実施例1
製造例3において製造した水性液体(5gおよび7.5gのそれぞれ)を純水により希釈して、試験溶液(1000g)を調製した。1枚のポリエステルタフタ布(510mm x 205mm)と1枚のナイロンタフタ布(510mm x 205mm)をこの試験溶液に浸し、マングルに通し、160℃で2分間、ピンテンターで処理した。試験布をシャワー撥水試験に付した。結果を表3に示す。
【0061】
実施例2および比較例1〜2
比較製造例2(比較例1)、製造例6(実施例2)および比較製造例4(比較例2)において製造したポリマーを実施例1と同様に処理し、シャワー撥水性試験を行った。結果を表3に示す。
【0062】
表中、略号の意味は次のとおりである。
【0063】
【表2】
注) F:含フッ素単量体
X:第3単量体(StAとBeA以外の単量体)
【0064】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の含フッ素組成物は、繊維製品(例えば、カーペット)、紙、不織布、石材、静電フィルター、防塵マスク、燃料電池の部品に、優れた撥水性、撥油性、防汚性を付与するために使用できる。