特許第6015005号(P6015005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6015005ディスペンサー用ノズル及びこのディスペンサー用ノズルを用いたガスケットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015005
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ディスペンサー用ノズル及びこのディスペンサー用ノズルを用いたガスケットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20161013BHJP
   F16J 15/00 20060101ALI20161013BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20161013BHJP
   F16J 15/14 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B05C5/02
   F16J15/00 B
   F16J15/10 N
   F16J15/14 C
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-1808(P2012-1808)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-141624(P2013-141624A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2015年1月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000225359
【氏名又は名称】内山工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100143926
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 公敏
(74)【代理人】
【識別番号】100149504
【弁理士】
【氏名又は名称】沖本 周子
(72)【発明者】
【氏名】荒井 淳一
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−306999(JP,A)
【文献】 特表平10−511072(JP,A)
【文献】 特開平08−064513(JP,A)
【文献】 特開2001−182836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C5/00−5/04
F16J15/00,15/10,15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端の開口部から流動性の塗布材を吐出する吐出口部を備え、曲線部を含む所定の塗布ラインに沿って被塗布部材に対して相対移動しながら前記塗布材の塗布制御を行うディスペンサー装置の本体に取付けられ、曲線部の塗布ラインでは前記本体の相対移動中心周りに回転するディスペンサー用ノズルであって、
前記吐出口部には、前記塗布材を連続した突条に吐出して所定の形状に成形するための第2切欠部が形成され、前記吐出口部の中心は、前記本体の相対移動中心に対して進行方向の前方側に且つ前記吐出口部の前記進行方向の半分の寸法分偏心し、前記第2切欠部が前記相対移動中心に重なっていることを特徴とするディスペンサー用ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載のディスペンサー用ノズルにおいて、
前記吐出口部には、前記第2切欠部に対向する第1切欠部が形成され、
前記第1切欠部及び第2切欠部は楔状に形成され、前記第2切欠部の頂部が前記相対移動中心に一致していることを特徴とするディスペンサー用ノズル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のディスペンサー用ノズルにおいて、
前記吐出口部には、前記第2切欠部に対向して前記進行方向の前方側に第1切欠部が形成され、前記第1切欠部の最大幅は、前記第2切欠部の最大幅よりも大きく、前記第2切欠部の頂部の高さは、前記第1切欠部の頂部よりも高いことを特徴とするディスペンサー用ノズル。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のディスペンサー用ノズルを用いたガスケットの製造方法であって、
前記流動性の塗布材はシール材であり、前記塗布ラインに沿って前記吐出口部よりシール材を吐出させることによって、前記ガスケットを製造することを特徴とするガスケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータやハードディスク(HDD)用トップカバーなどに取り付けられるループ状に繋がった小ビードタイプのガスケットを製造するために用いられるディスペンサー用ノズルと、このディスペンサー用ノズルを用いて製造されるガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガスケットの断面形状と類似した切欠部が設けられたノズルをディスペンサー装置の先端部に取付け、塗布ロボットにより駆動するディスペンシングシステムによって、例えば燃料電池用セパレータやハードディスク用トップカバーなど、各種被塗布部材にシール材を塗布した後、加硫或いは自然硬化させてガスケットを製造する方法が知られている。
このようなガスケットを製造する方法の例としては、下記特許文献1に開示された方法を挙げることができる。なお、特許文献1では、本発明で言うノズルとほぼ同義の用語としてニードルが用いられている。
【0003】
特許文献1においては、ニードル(以下、ノズルと言う)の先端部に、液状ガスケットシール成形材料の塗布工程時における移動方向に沿って、180°対称位置に略三角形状の2個の切欠が設けられている。この場合、ノズルが前記移動方向に沿って移動しながら、前記先端部の吐出口から前記成形材料を吐出させて被塗布部材の塗布対象面に塗布する。これによって、移動方向後側に位置する前記切欠の開口形状と断面形状が略同じ形状のガスケットシールが塗布対象面上に形成される。そして、ノズルが曲線部分にさしかかると、ノズルがその中心軸線を中心として回転動作しながら、中心軸線が前記曲線部の曲率中心を中心とする所定の塗布ラインに沿って曲線移動するように移動制御される。このようにして、所定のループ状の塗布ラインに沿って移動して、ノズルが塗布始端部に達した際に、切欠がその移動方向前側に形成されているため、ノズルをガスケットシールに干渉させることなく、塗布始端部と塗布終端部とを接続させることができ、切れ目のないループ状のガスケットシールが形成される。
【0004】
また、特許文献2には、処理液供給管と、この処理液供給管の先端部に取付けられる補助ノズルを備えるノズルとからなる処理液供給装置が記載されている。この処理液供給装置は、基板の表面或いは裏面に、処理液を供給するための装置であって、前記補助ノズルは、ノズルの先端側に位置し、補助ノズルの処理液流通孔の内径軸心が、前記処理液供給管の処理液流通孔の内径軸心に対して偏心されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−306999号公報
【特許文献2】特開平08−64513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に示されるようなガスケットの製造方法において、曲線部を含む所定の塗布ラインに沿ってノズルを移動させる場合のノズルの移動パターンと、形成されるガスケットの形状との関係を、図9を参照して説明する。図9において、ノズル100は、中空円筒形であり、その下端の吐出口には、移動方向aの前後180°の対称位置に同形の略二等辺三角形状の切欠101,102が形成されている。ノズル100は、不図示のディスペンサー装置本体の先端部に装着される。ディスペンサー装置本体は、曲線部を含む所定の塗布ラインLに沿って移動する移動中心Oを有し、前記ノズル100の中心がこの移動中心Oに一致するように構成されている。前記所定の塗布ラインLは、設計上のガスケットのシールラインに相当し、直線部La及び曲線部Lbを含んでループ状に構成される。前記ディスペンサー装置本体を駆動する駆動手段(ロボットアーム等)は、前記移動中心Oが前記塗布ラインLに沿って移動するようディスペンサー装置本体を移動制御する。このとき、切欠101は移動方向前側に位置するとともに、切欠102は移動方向後側に位置する。そして、ノズル100が、直線部Laから曲線部Lbにさしかかると、ノズル100は、前記移動中心Oの回りに回転しながら、移動中心Oが曲線部Lbの曲率中心Qを中心とする曲線軌道(曲線部Lb)に沿うよう移動する。
【0007】
この移動の間、前記ノズル100の下端吐出口から、液状ガスケットシール成形材料が連続的に吐出される。シール成形材料を連続的に吐出することによって、被塗布部材上には、前記切欠102の形状に類似する山部g1を含む突条のガスケットgが連続的に形成される。図例の前記ガスケットgは、山部g1の両側に平坦な裾部g2も備え、連続するガスケットgにおける山部g1の頂部g3が前記所定のシールラインを形成するよう設計される。
【0008】
ところで、前記切欠102は、略二等辺三角形状とされ、円筒形ノズル100の下端壁に形成されており、その切欠頂部102aが前記塗布ラインLに沿うよう形成されている。従って、前記装置本体が前記直線部Laに沿って移動する際は、切欠頂部102aも直線部Laに沿って移動する。しかし、前記移動中心Oが、前記曲線部Lbにさしかかると、切欠頂部102aは、前記曲線部Lbより大きな曲率半径のライン(2点鎖線)Lcに沿って移動し、前記移動中心Oの塗布ラインLより外側にずれる。また、切欠102の下端開口縁部102b,102cも、破線L1,L2で示すように所定のラインよりずれて移動することになる。従って、曲線部Lbに沿って前記移動中心Oが移動する際にガスケットgの頂部g3は、曲線部Lbより外側にずれる。
特に、燃料電池用セパレータに適用されるガスケットにおいては、燃料電池の小型化に伴って、曲線部の曲率半径も小さくなってきているため、前記製造上の問題点の改良が強く望まれていた。また上述のようなずれにより、形成されるガスケットgの断面形状、特に、山部g1の断面形状が二等辺三角形ではなく、直線部Laにおけるガスケットgの断面形状と比べて、いびつな三角形の乱れた形状となる。この断面形状の乱れは、塗布ラインLの曲線部Lbの曲率半径が小さいほど大きくなり、これによって、意図するシール性が得られない点が問題となる。
【0009】
特許文献2に示される処理液供給装置では、補助ノズルの処理液流通孔の内径軸心が、処理液供給管の処理液流通孔の内径軸心に対して偏心されている。しかし、特許文献2に開示されているものは、突条のガスケットを形成する際に、切欠が形成されたノズルを用いることに起因して生じる前記ずれや形状の乱れを是正するためのものではない。
【0010】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、曲線部を含む所定の塗布ラインに沿って移動させながら、流動性の塗布材を塗布させて連続する突条を形成する場合でも、曲線部における突条が、予め想定していた位置からずれることを抑制でき、断面形状の乱れも抑制できるディスペンサー用ノズルとこれを用いて製造されるガスケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明に係るディスペンサー用ノズルは、下端の開口部から流動性の塗布材を吐出する吐出口部を備え、曲線部を含む所定の塗布ラインに沿って被塗布部材に対して相対移動しながら前記塗布材の塗布制御を行うディスペンサー装置の本体に取付けられ、曲線部の塗布ラインでは前記本体の相対移動中心周りに回転するディスペンサー用ノズルであって、前記吐出口部には、前記塗布材を連続した突条に吐出して所定の形状に成形するための第2切欠部が形成され、前記吐出口部の中心は、前記本体の相対移動中心に対して進行方向の前方側に且つ前記吐出口部の前記進行方向の半分の寸法分偏心し、前記第2切欠部が前記相対移動中心に重なっていることを特徴とする。
【0012】
本発明のディスペンサー用ノズルによれば、下端に開口している吐出口部に切欠部が形成されたディスペンサー用ノズルを用いて塗布材料を被塗布部材上に塗布する場合、切欠部を進行方向の後ろ側に配置した状態でディスペンサー用ノズルを相対移動させることで、塗布材料を連続した突条に成形する。このとき、吐出口部の中心は、前記本体の相対移動中心に対して進行方向の前方側に、前記吐出部の前記進行方向の半分の寸法分偏心し、且つ、第2切欠部が相対移動中心に重なっているため、突条を曲線状に成形する場合でも、予め想定していた位置から突条がずれることを抑制できる。また、このように、曲線部において形成される突条のずれが抑制されることにより、直線部における突条に比べて曲線部における突条の断面形状に乱れが生じることも抑制される。
【0013】
本発明のディスペンサー用ノズルにおいて、前記吐出口部には、前記第2切欠部に対向する第1切欠部が形成され、前記第1切欠部及び第2切欠部は楔状に形成され、前記第2切欠部の頂部が前記相対移動中心に一致しているようにしてもよい。これによれば、突条の頂部が予め想定した位置に的確に位置するように塗布することができる。
【0014】
また、本発明のディスペンサー用ノズルにおいて、前記吐出口部には、前記第2切欠部に対向して前記進行方向の前方側に第1切欠部が形成され、前記第1切欠部の最大幅は、前記第2切欠部の最大幅よりも大きく、前記第2切欠部の頂部の高さは、前記第1切欠部の頂部よりも高いものとしてもよい。
【0015】
第2の発明に係るガスケットの製造方法は、前記のいずれかに記載のディスペンサー用ノズルを用いたガスケットの製造方法であって、
前記流動性の塗布材がシール材であり、前記塗布ラインに沿って前記吐出口部よりシール材を吐出させることによって前記ガスケットを製造することを特徴とする。
【0016】
本発明のガスケットの製造方法を用いて製造したガスケットは、前記のいずれかに記載のディスペンサー用ノズルを用いて製造されたものであるから、前記流動性の塗布材としてのシール材が、塗布ラインに沿って精度良く塗布されて突条に形成され、意図するシール機能が的確に発揮される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、曲線部を含む所定の塗布ラインに沿って移動させながら、流動性の塗布材を塗布させて連続する突条を形成する場合でも、曲線部における突条が、予め想定していた位置からずれることを抑制でき、断面形状の乱れも抑制できる。従って、これをガスケットに適用すれば、所定のシールラインに的確に沿ったガスケットが得られ、意図するガスケットのシール機能が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係るディスペンサー用ノズルを用いて作製されたガスケットを備える燃料電池セパレータの一例を示す模式的平面図であり、(b)は(a)におけるX−X線矢視拡大断面図である。
図2】同ディスペンサー用ノズルを備えるディスペンサー装置の一例を模式的に示す部分破断側面図である。
図3】同ディスペンサー装置によってガスケットを製造する要領を概念的に示す模式的斜視図である。
図4】同ディスペンサー用ノズルの要部の正面図である。
図5】(a)は同ディスペンサー用ノズルの全体の正面図であり、(b)は同ディスペンサー用ノズルの底面図である。
図6】他の実施形態のディスペンサー用ノズルを示し、(a)は全体の正面図であり、(b)は底面図である。
図7】更に他の実施形態のディスペンサー用ノズルを示し、(a)は全体の正面図であり、(b)は底面図である。
図8】本発明のディスペンサー用ノズルを備えるディスペンサー装置を用いてガスケットを製造する際のノズルの移動軌跡と形成されるガスケットの形状との関係を示す図である。
図9】従来のディスペンサー用ノズルを備えるディスペンサー装置を用いてガスケットを製造する際のノズルの移動軌跡と形成されるガスケットの形状との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1(a)(b)は、燃料電池用スタックを構成する被塗布部材の一例としてのセパレータ1に本発明の製造方法によってガスケット2が形成された例を示す。図1(a)(b)に示すセパレータ1は、不図示の高分子電解質膜(MEA)と合体されて燃料電池用セル(不図示)が構成される。セパレータ1は、平板状のカーボンプレート或いはSUS等のメタルプレート等からなり、適所に、冷媒、水素及び酸素(空気)等の媒体流通用開口部1aを複数備え、セパレータ1の板面にはこれら開口部1a…のいずれかと連通する媒体流通路帯1bが形成されている。これら開口部1a…及び媒体流通路帯1bの各周囲の所定位置にゴム製のガスケット2が無端状(ループ状)に一体に固着されている。図例のガスケット2は、断面が山形(略二等辺三角形状)のビード部2aと、その底辺部の両側に形成された平坦な裾部2b,2bとよりなる。燃料電池用セルやハードディスク用トップカバーのガスケットは、締結時に生じる反力が極力低く、且つ省スペースの関係から、高さを極力低く抑える必要がある。また、締結に係わる公差ばらつきに対応するシール性が求められている。このような観点から、燃料電池用セルやハードディスク用トップカバーのガスケットの断面形状は、締代のわりに反力が低い図1(b)に示すような形状が一般的に採用されている。このようにガスケット2が所定の位置に固着されたセパレータ1と前記MEAとが組み合わさった前記セルが複数合体(スタック)され、これにエンドプレート及びターミナルプレート等の他の部品がさらに合体され、全体を締結することによって燃料電池が構成される。このように複数の部品が締結されて構成される燃料電池において、前記開口部1a…は、締結方向に連なって、前記媒体毎のマニホールドが形成される。そして、各セル間に存在する前記ガスケット2のシール機能により、前記各媒体のマニホールドからの漏出が防止される。
【0020】
前記のようなガスケット2を、セパレータ1の所定の部位に形成するディスペンサー装置及びディスペンサー用ノズルについて、以下詳述する。図2は、ディスペンサー用ノズル4を備えるディスペンサー装置3の一例を模式的に示す。図3は、前記のようなガスケット2を製造する要領を概念的に示し、図2に示すディスペンサー装置3のディスペンスバルブ(以下、装置本体と言う)30の先端部に取付けられるディスペンサー用ノズル4(以下、ノズル4と言う)の形状を示す。また、図3は、該ノズル4と、該ノズル4から吐出される塗布材としてのシール材5により形成されるガスケットの原形20との関係を示している。ノズル4は流動性のシール材5を吐出する吐出口部41を備え、曲線部Lbを含む所定の塗布ラインLに沿ってセパレータ1に対して相対移動しながらシール材5の塗布制御を行う。ノズル4は中空円筒体からなり、図2に示すように取付基部40を一体に有し、該取付基部40を介して前記装置本体30の先端部に一体に取付けられている。該取付基部40は、図5(b)に示すように平面視して円形状であり、その中心40aは、前記装置本体30の相対移動中心30aと同心とされている(図2参照)。また、吐出口部41には、進行方向aに沿った前後に対向して第1切欠部42と、シール材5を連続した突条に吐出するための第2切欠部43とが形成されている。吐出口部41の中心4aは、前記装置本体30の相対移動中心30aより塗布ラインLに沿った方向に偏心し、第2切欠部43が吐出口部41の中心に比べて相対移動中心30a側に寄っている。具体的には、吐出口部41の中心としてのノズル4の中心(線)4aは、前記装置本体30の相対移動中心(線)30aと平行で、且つ、後記する塗布ラインLに沿った進行方向aの前方側に偏心している(図5(b)等参照)。
【0021】
前記装置本体30は、その中心を相対移動中心30aとして、セパレータ1の上を所定の、即ち、設計上のシールラインである塗布ラインLに沿って矢印a方向(以下、進行方向aと言う)に相対移動する。このとき、前記ノズル4は、下端をセパレータ1の表面より所定距離離間させた状態で、前記装置本体30と共に進行方向aに相対移動する。この相対移動に伴い、装置本体30に供給元(不図示)から供給される流動性の塗布材としてのシール材(例えば液状ゴム)5をノズル4から連続的に吐出して、セパレータ1の表面に塗布し、前記ガスケットの原形(以下、原形ガスケットと言う)20を形成する。ノズル4は、前記したように中空円筒体からなり、下端の開口部がシール材5を吐出する吐出口部41とされ、該吐出口部41の筒壁には、前記進行方向aに沿った前後に対向する楔形状(略二等辺三角形状)の第1切欠部42及び第2切欠部43が形成されている。進行方向aの後側に位置する第2切欠部43は、前記原形ガスケット20を形成するものである。従って、第2切欠部43の形状及び寸法は、前記原形ガスケット20を加硫硬化させた後に、所定のガスケット形状及び寸法となるよう、塗布条件に合ったシール材5の形状変化、硬化後の収縮代、チクソ度などを考慮して定められる。また、進行方向aの前側(第2切欠部43に対し180°反対側)に位置する第1切欠部42は、吐出されるシール材5が一周して塗布開始部5aに接合した際に積層されることによって生じる乗り上げ段差部(不図示)を除去するべく機能する。即ち、この接合の後、シール材5の供給を停止すると共にノズル4内をサックバックしてシール材5をなくし、次いで、装置本体30を前記進行方向aとは逆の方向に後退させ、第1切欠部42によって、前記段差部を削ぐように除去する。
【0022】
前記ノズル4を前記塗布ラインLに沿った進行方向aへ相対移動させながら、ノズル4の吐出口部41からシール材5を連続的に吐出させることによって、セパレータ1の表面にはシール材5が塗布される。これによって、図3に示すような形状の原形ガスケット20が連続的に形成される。この突条の原形ガスケット20は、吐出直後の形状から若干嵩低くなった原形ビード部20aとその両側の原形裾部20b,20bとよりなる。そして、無端状の前記塗布ラインLの終端において、原形ガスケット20は、塗布開始部5aにシール材5が接合されて、無端形状とされる。図では、装置本体30が移動し、装置本体30及びノズル4の塗布ラインLに沿った移動制御が、装置本体30を駆動するロボットアーム等を含む駆動手段31によってなされる例を示している。そして原形ガスケット20が形成されたセパレータ1を、所定の温度に設定されたオーブン(不図示)内で加熱し、シール材5を加硫硬化させ、これによって、図1(a)(b)に示すように、所定部位にガスケット2が固着された燃料電池スタックのセパレータ1が得られる。
【0023】
なお、装置本体30を固定し、セパレータ1を所定の移動プログラムに基づき水平面域で移動させるようにしても良い。この場合の移動手段31は、セパレータ1を移動制御することになる。また、前記所定の無端状の塗布ラインLは、図1(b)に示すようなガスケット2においては、意図するシール機能の主体となるビード部2aの頂部が連なる無端状ラインに相当するように設計される。従って、この塗布ラインLに沿って原形ビード部20aの頂部が形成されるように、前記ノズル4の移動及びシール材5の吐出がなされる。
【0024】
ノズル4における前記第1切欠部42及び第2切欠部43の形状的特性について、図4も参照して説明する。第1切欠部42の頂部42aの高さh1は、前記原形ガスケット20の原形ビード部20aの高さに対し0〜25%高くされ、また、第1切欠部42の最大幅(底辺部幅)d1は、前記原形ビード部20aの最大幅に対し10%以上大とされている。これによって、前記塗布開始部5a(図3参照)に接合される際に、第1切欠部42が塗布開始部5aに干渉することが防止され、また、後退に伴う第1切欠部42による前記乗り上げ段差部の除去が的確になされる。さらに、第2切欠部43の頂部43aの高さh2は、第1切欠部42の前記高さh1より高くしている。加えて、頂部43aの高さh2は、吐出直後のシール材5が前記のように嵩低くなること(図2及び図3参照)を勘案し、原形ビード部20aより高くしている。第2切欠部43の幅が原形ビード部20aの幅より大とされることによって、吐出されるシール材5が、吐出の終端部において塗布開始部5aに至るまで吐出されて接合された後、ノズル4を後退させる際に第2切欠部43が、原形ビード部20aに干渉することが防止される。さらに、前述のように、ノズル4は、セパレータ1の上方に位置するとともに、その下端をセパレータ1の表面より所定距離分離間した状態で移動しながらシール材5を吐出口部41から吐出する。従って、原形ビード部20aの底辺部の両側に、図3に示すように、厚さがほぼ一定した平坦な原形裾部20b,20bが形成される。
【0025】
前記のとおり、前記ノズル4の中心4aは、前記取付基部40の中心40a、即ち、装置本体30の相対移動中心30aに対して、進行方向aの前方側にノズル4の半径分偏心している。さらに、本実施形態のノズル4は、第2切欠部43の頂部43aの外側縁部が、前記中心40a,30aに一致するように形成されている(図2及び図5(b)参照)。図6(a)(b)及び図7(a)(b)は、ノズル4の他の実施形態を示している。これらの例は、いずれもノズル4が中空方形筒体からなる。図6(a)(b)の例では、ノズル4の吐出口部41の対向する筒壁部に、正面視及び背面視して、図5(a)(b)の例と同様の楔状の第1切欠部42及び第2切欠部43が形成されている。そして、この例でも、第2切欠部43の頂部43aの外側縁部が、前記中心40a(相対移動中心30a)に一致するように形成されている(図6(b)参照)。また、図7(a)(b)の例では、ノズル4の吐出口部41の筒壁部に楔状の第2切欠部43が2個形成されている。この2個の第2切欠部43,43は互いに同形状の略二等辺三角形状であり、両切欠部43,43の連接部に相当する底角部43bの外側縁部が前記中心40a(相対移動中心30a)に一致するように形成されている(図7(b)参照)。該第2切欠部43,43に対向する吐出口部41の筒壁部に台形状の1個の第1切欠部42が形成されている。この例のノズル4は、2条の平行なビード部を有するガスケットを製造するために用いられる。台形状の第1切欠部42は、これら2個の第2切欠部43,43により形成される前記と同様の乗り上げ段差部を同時に除去し得るようその高さ及び幅が設定されている。
【0026】
図2図5に示されるようなノズル4を用いてガスケットを製造する場合において、曲線部を含む所定のシールラインに沿ったノズル4の移動パターンと、形成されるガスケットの形状との関係を、図8を参照して説明する。図8において、装置本体30(図2参照)は、該装置本体30の前記相対移動中心30a(取付基部40の中心40a)を移動中心とし、曲線部Lbを含む所定の前記塗布ラインLに沿って進行方向aに移動する。そして、ノズル4の前記中心4aは、装置本体30の前記相対移動中心30a(取付基部40の中心40a)に対して、前記進行方向a側に偏心し、且つ、前記ノズル4における第2切欠部43の頂部43aの外側縁部がこの相対移動中心30a(取付基部40の中心40a)に一致するように構成されている。前記所定の塗布ラインLは、ガスケットの圧縮方向において、前記のとおり設計上のガスケットのシールラインに相当し、直線部La及び曲線部Lbを含んでループ状に構成される。なお、本実施形態で述べるガスケットの圧縮方向とは、セパレータ1の表面に対して垂直な方向のことである。前記装置本体30を駆動する前記駆動手段31(図2参照)は、前記移動中心30aが前記塗布ラインLに沿って移動するよう装置本体30を移動制御する。このとき、第1切欠部42は進行方向aの前側に位置し、第2切欠部43は進行方向aの後側に位置する。前記相対移動中心30aが、直線部Laから曲線部Lbにさしかかると、装置本体30及びノズル4は、前記相対移動中心30aの回りに軸心回転しながら、相対移動中心30aが曲線部Lbの曲率中心Qを中心とする曲線軌道(曲線部Lb)に沿って移動する。
【0027】
前記のように、装置本体30及びノズル4が、相対移動中心30aを移動中心として前記塗布ラインLに沿って移動しながらシール材5を連続的に塗布することによって、セパレータ1の上に所定の塗布ラインLに沿った原形ガスケット20が形成される。このとき、原形ガスケット20の断面形状の元となる第2切欠部43の頂部43aの外側縁部が、前記相対移動中心30a及び取付基部40の中心40aに一致しているから、当該頂部43aも前記所定の塗布ラインLに沿って移動する。特に、前記曲線部Lbにおいても、曲率中心Qを中心とする相対移動中心30aの前記曲線軌道を当該頂部43aが外側にずれることなく辿ることになる。従って、形成される原形ガスケット20における原形ビード部20bの頂部が、直線部Laはもとより曲線部Lbにおいても、所定の前記塗布ラインLに的確に沿うように形成される。このように、第2切欠部43の頂部43aが塗布ラインLの外側にずれることなく移動することにより、形成される原形ガスケット20の断面形状が乱れのないほぼ一定した形状とされる。そして、原形ガスケット20をセパレータ1とともに、前記のようにオーブン内で加熱することによって、シール材5が加硫硬化されて、図1(a)(b)に示すように、ガスケット2が一体に形成されたセパレータ1が得られる。得られたセパレータ1には、所定のシールラインに的確に沿ったビード部2aの頂部を備えたガスケット2が一体に形成され、しかも、ガスケット2は、前記したようにその断面形状が全周に亘り乱れることなくほぼ一定の形状とされる。従って、このようなセパレータ1を多数積層して燃料電池スタックを構成した場合、各セパレータ1間に介在するガスケット2が均等に圧縮され、意図するシール機能が的確に発揮される。
【0028】
なお、前記の実施形態では、燃料電池スタックを構成する平板状部材(セパレータ)を被塗布部材とする例について述べたが、これに限らず、燃料電池スタックのエンドプレート、ターミナルプレート、或いは、ハードディスク用トップカバー等であっても良い。また、流動性の塗布材5として、液状ゴムを例示したが、塗布後にガスケット機能を奏するように形成されるものであれば、他の流動性の塗布材であっても良い。さらに、塗布材5として、UV照射により加硫するシール材を用いてもよいし、室温で自然硬化するシール材料を用いてもよい。また、流動性の塗布材5は、ガスケット機能を奏するシール材に限らず、他の部材と接着させるために本実施形態のノズル4を用いて被塗布部材に接着材を塗布してもよい。さらに、図2に示すディスペンサー装置3においては、ディスペンサー装置本体30にノズル4が一体に取付けられ、ディスペンサー装置本体30及びノズル4が、前記所定の塗布ラインLに沿って一体に移動する。そして、曲線部Lbではディスペンサー装置本体30は軸心回転することなく、ノズル4のみが軸心回転しながら移動する。しかし、例えばディスペンサー装置本体30に対してノズル4を軸回転不能に取付け、曲線部ではディスペンサー装置本体30及びノズル4が一体に軸心回転しつつ前記塗布ラインLに沿って移動するように構成してもよい。また、前記実施形態に限らず、ノズル4の中心4aが前記相対移動中心30a(取付基部40の中心40a)より進行方向a側に偏心し、第2切欠部43が当該中心4aに比べて、前記相対移動中心30a(取付基部40の中心40a)側に寄っていれば他の形成態様のノズル4も採用可能である。例えば、第2切欠部43は、その頂部43aの内側縁部が、取付基部40の中心40aに一致するように形成されてもよく、また、取付基部40aの中心40aが頂部43aの内側縁部よりも内側となるように形成させてもよい。さらにノズル4はその吐出口部41に一対の切欠部が形成されたものに限らない。無端状でなく、曲線部を含み、塗布開始部と塗布終了部とが存在する連続した突条に塗布するノズルとして用いるのであれば、塗布材5を連続した突条に吐出するための切欠部のみが設けられたノズルを用いてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 セパレータ(被塗布部材)
2 ガスケット
2a ビード部
3 ディスペンサー装置
30 装置本体(ディスペンサー装置の本体)
4 ノズル
4a ノズル(吐出口部)の中心
41 吐出口部
43 第2切欠部(切欠部)
43a 頂部
30a 相対移動中心
5 塗布材(シール材、液状ゴム)
L 塗布ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9