(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015031
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】緩衝材
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
B65D81/05 400
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-46759(P2012-46759)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-180812(P2013-180812A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信之
(72)【発明者】
【氏名】星野 雄也
【審査官】
種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−142796(JP,A)
【文献】
特開2001−240130(JP,A)
【文献】
特開平03−014478(JP,A)
【文献】
特開昭48−032094(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0094394(US,A1)
【文献】
特表2005−509568(JP,A)
【文献】
特表2005−509569(JP,A)
【文献】
特表2005−509570(JP,A)
【文献】
特開2006−051053(JP,A)
【文献】
特開2005−035566(JP,A)
【文献】
米国特許第05178281(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面フィルムのシール面と内面フィルムのシール面を対向させて、周縁をシールしてなる周縁シール部を有し、前記2枚のフィルム間に空気室を設けた空気入り緩衝材であって、
前記外面フィルムの上下の端部は、前記内面フィルムの端部よりも突出しており、この突出した外面フィルム端部のシール面同士を対向させて合掌シール部を形成することにより、環状に成形されており、
前記空気室は、右側周縁シール部および左側周縁シール部から交互に内部に向かう空気室水平シール部によって、複数の横長の、かつ連通した小空気室に分割されており、
前記周縁シール部には小空気室に空気を吹き込むための未シール部である空気吹込み口が1箇所に設けられており、すべての小空気室には空気が充填されており、前記空気吹込み口が密封シールされていることを特徴とする緩衝材。
【請求項2】
前記空気吹込み口から最初の小空気室に至る空気導入路がL字型に屈曲していることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
前記空気導入路が最初の小空気室に開口する部分の空気室水平シール部は、先端が鋭角の刀状であり、シール幅が他のシール部よりも広い刀状シール部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、損傷しやすい商品を輸送する際に、商品を衝撃から保護するために使用する緩衝材に関し、特に2枚のフィルムを貼り合せて空気を封入し、空気室を形成した空気入り緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
空気のクッション性を利用した緩衝材としては、肉薄の合成樹脂フィルムのチューブに空気を封入し、一定間隔にシール部分を設けて、繋がった風船状にしたもの等が知られている。これらの緩衝材は、体積当たりのコストが非常に小さくて済むため、商品を収納した箱の空隙を充填する用途などに利用されている。
【0003】
しかし、箱の隙間にクッション材を充填しただけでは、商品の形状や重さによっては、箱の内部で商品が箱の外側に向かって移動してしまったりして、十分な保護効果を望めない。
【0004】
商品の保護効果を万全にするためには、商品そのものの外周をクッション性のある緩衝材で囲み、外れないように固定することが必要である。
【0005】
特許文献1に記載された防錆包装袋は、衝撃緩衝機能を有する外層シートと気化性防錆剤を含有する内層シートを積層して周縁部を接着し、外層シートと内層シートの間に空気層を設けたことを特徴とする防錆包装袋である。
【0006】
特許文献1に記載された防錆包装袋は、錆びやすい金属部品を梱包することを目的としており、外層シートは、内層シートに含まれる気化防錆剤の揮散を抑制することを主目的としているので、内層シートと外層シートの間の空気層を十分に膨らましてクッション効果を発揮することを主眼としていない。
【0007】
このため、特許文献1に記載された防錆包装袋は、空気が漏れないように十分な量の空気を充填するしくみがなく、また空気室も一つの空間だけであるので、商品を衝撃から保護する緩衝材としての機能は十分ではなかった。また、商品が小さいものである場合には特に問題にならないが、商品が大きくなり、重量が増すと商品の動きを規制しにくくなるため、包装の仕上りが非常に大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
特許文献2に記載された緩衝包装袋は、上記の問題を解決するものであり、横方向に連続して多数の区画された密封袋部の全てに1箇所から空気を充填できるとともに、密封袋部に充填された空気は、密封袋部から抜け出ないように各密封袋部がそれぞれ独立して密封状態を保持するように構成された合成樹脂フィルム製シートからなる緩衝材を用い、この緩衝材が筒状となるように密封袋部が長さ方向に折り曲げられて折り曲げ方向における緩衝材の端部同士を溶着により接合させてなり、横方向に並ぶ両端部に位置する密封袋部は空気が充填された状態においてその間に位置する密封袋部に比べて径が大きくなるように構成したことを特徴とする緩衝包装袋である。
【0009】
特許文献2に記載された緩衝包装袋は、空気を充填した密封袋部を多数有し、そのそれぞれに充填した空気が漏れないようにするために、各密封袋部に逆止弁を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010-215280号公報
【特許文献2】特開2003-118773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2に記載された緩衝包装袋は、複数の独立した空気室を備え、各空気室に同時に空気を充填できる機構と、その空気が漏れないようにするために、各空気室毎に逆止弁を備えた構造であるため、構造的に複雑であり、高価なものとならざるを得ない。
【0012】
本発明の解決しようとする課題は、緩衝効果が高く、保護しようとする商品の形状や重量に合わせて、自由に設計が可能であり、空気の充填が容易でしかも能率良く包装ができ、かつ構造が簡単で安価に供給できる空気入り緩衝材を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、外面フィルムのシール面と内面フィルムのシール面を対向させて、周縁をシールし
てなる周縁シール部を有し、前記2枚のフィルム間に空気室を設けた空気入り緩衝材であって、
前記外面フィルムの上下の端部は、前記内面フィルムの端部よりも突出しており、この突出した外面フィルム端部のシール面同士を対向させて合掌シール部を形成することにより、環状に成形されており、
前記空気室は、右側周縁シール部および左側周縁シール部から交互に内部に向かう空気室水平シール部によって、複数の横長の、かつ連通した小空気室に分割されており、
前記周縁シール部
には小空気室に空気を吹き込むための未シール部である空気吹込み口
が1箇所に設けられており、すべての小空気室に
は空気
が充填
されており、
前記空気吹込み口
が密封シール
されていることを特徴とする緩衝材である。
【0014】
本発明に係る緩衝材は、外面フィルムと内面フィルムのシール面同士を対向させて、周縁をシールし、フィルム間に空気室を設けた空気入り緩衝材であり、突出した外面フィルム端部のシール面同士を対向させて合掌シール部を形成することにより、環状に成形したので、輪の中に商品を入れ、空気を吹き込むことにより、商品の周囲を空気層で取り囲むように保護する緩衝材としての機能が発揮される。
【0015】
また空気室は、右側周縁シール部および左側周縁シール部から交互に内部に向かう空気室水平シール部によって、複数の横長の小空気室に分割されているので、商品の形状に合わせて水平シール部の位置を設定することにより商品の形状にカスタマイズすることが容易に可能である。また、これら複数の小空気室は連通しているので、1箇所から空気を吹き込むことにより、すべての小空気室を膨らませることができる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、前記空気吹込み口から最初の小空気室に至る空気導入路がL字型に屈曲していることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材である。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、前記空気導入路が最初の小空気室に開口する部分の空気室水平シール部が、先端が鋭角の刀状であり、シール幅が他のシール部よりも広い刀状シール部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝材である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る緩衝材は、内面と外面の2枚のフィルムをシールして製造されるものであり、空気を導入するための管や逆止弁等を一切使用しないので、安価に製造できる。
【0019】
また環状に成形されているので、輪の中に商品を入れて膨らますだけの簡単な操作で商品に取り付けることができる。さらに空気室水平シール部の位置を商品に合せて設計することにより、商品の形状に最適な形状とすることができる。
【0020】
周縁シール部の1箇所に設けた未シール部である空気吹込み口から空気を吹き込むことにより、すべての小空気室に空気を充填した後、空気吹込み口を密封シールするだけの簡単な操作で緩衝材が完成するので、能率良く梱包作業ができる。
【0021】
請求項2に記載の発明において、空気吹込み口から最初の小空気室に至る空気導入路がL字型に屈曲している場合、空気を吹き込むことによって、空気導入路がフィルムのしわによって自然に閉鎖され、吹込みノズルを抜去してもすぐには内部の空気が抜けないようになる。このため、空気密封シールがやり易くなる。この効果は、前記空気導入路が最初の小空気室に開口する部分の空気室水平シール部が、先端が鋭角の刀状であり、シール幅が他のシール部よりも広い刀状シール部である場合において、さらに顕著となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明に係る緩衝材の一実施態様を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のX−X’断面を示した断面模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る緩衝材を環状に形成する前の状態を示した平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下図面を参照しながら、本発明に係る緩衝材について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る緩衝材の一実施態様を示した斜視図である。
図2は、
図1のX−X’断面を示した断面模式図である。また
図3は、本発明に係る緩衝材を環状に形成する前の状態を示した平面説明図である。以下これらの図を参照しながら説明する。
【0024】
本発明に係る緩衝材(1)は、外面フィルム(2)と内面フィルム(3)のシール面同士を対向させて、周縁をシールし、フィルム間に空気室を設けた空気入り緩衝材であって、外面フィルム(2)は、上下の端部が内面フィルム(3)の端部よりも突出しており、この突出した外面フィルム端部のシール面同士を対向させて合掌シール部(16)を形成することにより、環状に成形されている。
【0025】
空気室は、右側周縁シール部(12)および左側周縁シール部(13)から交互に内部に向かう空気室水平シール部(11)によって、複数の横長の、かつ連通した小空気室(8)に分割されている。
【0026】
周縁シール部の1箇所に設けた未シール部である空気吹込み口(6)から空気を吹き込むことにより、すべての小空気室(8)に空気を充填した後、空気吹込み口(6)の先の、空気密封シール予定部(17a)を密封シールして、空気密封シール部(図示せず)を形成することにより空気入り緩衝材(1)が完成する。
【0027】
本発明に係る緩衝材(1)は、外面フィルム(2)と内面フィルム(3)の2枚のフィルムのシール面同士を対向させて、周縁をシールし、フィルム間に小空気室(8)を設けた構造であり、フィルム以外の特別な部材を用いないので、コストを低く抑えることができる。
【0028】
また、空気室を複数の空気室水平シール部(11)によって分割しているため、保護しようとする商品の外形に合わせて無駄のない設計が可能であり、最小限の材料で緩衝材を製造することができる。
【0029】
また緩衝材は、予め環状に成形されているので、商品を内部に挿入して空気を吹き込むだけの簡単な操作で梱包ができる。さらに複数の小空気室(8)が連通しており、1箇所の空気吹込み口(6)から空気を吹き込むだけで、すべての小空気室(8)を膨らませることができるので、梱包作業の能率が良い。
【0030】
図3に示した実施態様では、空気吹込み口(6)から最初の小空気室に至る空気導入路(7)がL字型に屈曲している。このように空気導入路(7)を配置すると、空気を吹き込んで、小空気室(8)が膨らんだ時、空気導入路(7)の非対称性から、フィルムに皺が入り、空気導入路(7)が閉塞しやすくなる。この事は、空気を充填した後、エアーノズルを抜去しても、すぐには空気が抜けない事を意味しており、空気充填作業性が向上する。
【0031】
図3に示した実施態様では、さらに空気導入路(7)が最初の小空気室に開口する部分の空気室水平シール部の先端を鋭角の刀状とし、シール幅も他のシール部よりも広い刀状シール部(15)としている。このようにする事により、さらにフィルムの皺が強く発生し易くなり、空気充填作業性が向上する。
【0032】
本発明に係る緩衝材(1)に使用するフィルムとしては、各種の熱可塑性樹脂フィルムが使用可能であり、対象となる商品の大きさ、形状、重量、さらには必要とされる耐衝撃性の程度に応じて適宜設計される。
【0033】
要求されるレベルが高くない場合には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂の単体フィルムで良い場合もある。必要とされるレベルが高い場合には、例えばポリエステル樹脂フィルムやポリアミド樹脂フィルム等の十分な強度を持ったフィルムを用いることができる。さらにこれらの高強度フィルムに、シーラント層としてポリオレフィン系樹脂フィルムを貼り合せたラミネートフィルムを使用することができる。
【0034】
またさらに、長期間使用しても空気が抜けないようにするために、中間にガスバリア性の層を設けてもよい。なお、外面フィルム(2)と内面フィルム(3)とは、必ずしも同じ仕様のフィルムである必要はない。
以下実施例に基づいて、本発明に係る緩衝材についてさらに具体的に説明する。
【実施例1】
【0035】
厚さ12μmのポリエステル樹脂フィルムと厚さ40μmのポリエチレン樹脂フィルムをドライラミネート用接着剤を用いて貼り合わせ、ラミネートフィルムを作成した。外面フィルムとして、220mm×420mm、内面フィルムとして200mm×400mmのラミネートフィルムを切り取り、シーラント面であるポリエチレン樹脂面を対向させて、周縁をシールし、さらに
図3に示したようなパターンで空気室水平シール部を設けた。シール幅は、約5mm、空気室水平シール部の間隔は、約50mmである。刀状シール部の幅は,約15mmとした。
【0036】
天地にはみ出した外面フィルムのシーラント面同士をシールして合掌シール部を作成し、環状に成形した。直径80mm、高さ140mmの円筒形の商品を輪の中に挿入し、空気吹込み口にエアーノズルを差し込んで、圧縮空気を充填した。L字型に屈曲した空気導入路と刀状シール部の働きにより、エアーノズルを抜去してもエアー漏れは生じなかった。空気密封シール部をシールして、緩衝材中の空気を密封した。
【実施例2】
【0037】
厚さ12μmのポリエステル樹脂フィルムに替えて、厚さ15μmのナイロンフィルム
を用いた以外は、実施例1と同様にして緩衝材を作成し、実施例1の場合と同様の商品を挿入して評価した。
【0038】
実施例1の緩衝材と、実施例2の緩衝材は、いずれの場合も商品は、各空気室の圧力によってほぼ均等に保持されており、緩衝材の中で動くようなことはなかった。
【符号の説明】
【0039】
1・・・緩衝材
2・・・外面フィルム
3・・・内面フィルム
5・・・商品
6・・・空気吹込み口
7・・・空気導入路
8・・・小空気室
11・・・空気室水平シール部
12・・・右側周縁シール部
13・・・左側周縁シール部
14・・・下部周縁シール部
15・・・刀状シール部
16・・・合掌シール部
16a、16b・・・合掌シール予定部
17a・・・空気密封シール予定部