(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
パソコン等からプリンターを用いて印刷を行う場合、まず、前準備として
・プリンタードライバー(フィルター)のインストール。
・プリンターポート(出力先)の選択。
等を行っている。
【0003】
1)インストール時のアドレスの管理/登録作業
LANプリンターにおいては、主にIPアドレスやホスト名などによってプリンターとの紐付けをおこなうことが一般的である。これは、例えば
・利用者が任意のアドレスを指定・登録する。
・自動インストール用ソフトウェアが、自動的にサブネット内を検索して検出したアドレスを登録する。
・サブネット内のプリンターが自動接続機能によって自身のアドレスをコンピューターに通知し、これを元にアドレス登録する。
等の手段の違いはあっても、IPアドレス等によって紐付けすることでプリンター登録が行われる点では略同様であった。
【0004】
利用者が任意のプリンターのアドレスを指定する場合、このアドレス(IPアドレス等)をどのようにして取得できるのかは、プリンター機種などによって異なるため、プリンター設置に関わる管理者や記録などに確認をとることになる。
また、自動的にアドレス検出する機能によっても、プリンターが同じサブネット内に複数台存在するとき、利用者はプリンター固体とそのアドレスを結びつける情報を持たないため、その他の情報(プリンターに記載されたテキストや、登録されたテキスト、設置場所)などを元にアドレスを管理者や記録によって、必要な情報を取得することが必要になる。
【0005】
2)複数プリンターを扱うときの登録/切り替え作業
複数のプリンターが存在するときには、複数のプリンターに関連付けられた論理プリンターを用意し、印刷時に選択するか、印刷する前にプリンターポートを変更する必要がある。
また、例えば特許文献1の従来技術が知られている。
特許文献1の発明は、印刷クライアント端末上の処理を軽減すると同時に、ユーザに直接的でわかりやすい出力先プリンターの指定方法を提供する発明である。
【0006】
特許文献1の発明では、印刷クライアントアプリケーションからプリントサーバへの印刷要求時に印刷先プリンターを指定することなく印刷要求を送信することが可能である。プリントサーバは、印刷要求と印刷ドキュメントから印刷ジョブを生成してプリントキューに格納するが、実際の印刷処理は直ちには実行しない。実際の印刷処理は、ユーザがプリンターのUI操作により印刷先を指定し、指定されたプリンターがプリントサーバに格納されている印刷ジョブを取得することで実行する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例の印刷システムの構成図である。
図示の印刷システムは、印刷を実行する印刷装置1(プリンター)と、印刷データを印刷装置1へ出力して印刷させるホスト2(パソコン等)により構成される。印刷装置1とホスト2は、例えば不図示のLAN等のネットワークに接続しており、IPアドレス等を用いる通信を行うものである。尚、複数の印刷装置1と複数のホスト2とがLAN等に接続された構成であってもよいが、簡略化のため
図1では省略する。尚、以下の説明ではLAN接続を例にする。
【0014】
印刷装置1は、一般的な印刷機能や通信機能等の他に、認証情報を入力する入力装置(図示の“入力操作/認証操作部”16)と、この入力装置で入力された認証情報をホスト2に送信する機能を持つ。上記認証情報とは、たとえば、暗証番号、ICカードからの読み取りデータ(ICカードのID等)、指紋データ等である。これより、上記入力装置(“入力操作/認証操作部”16)は、例えばテンキー、あるいはICカードリーダ、または指紋認証装置等用いられる指紋スキャナ等などである。
尚、本説明では、主にICカードリーダを例にするが、上記の通り、この例に限るわけではない。
【0015】
尚、上記一般的な印刷機能とは、例えば、図示の印刷機構部11、制御部解析部13、補助記憶部14、表示部15、送受信部17等で実現されるものであり、これらは基本的には既存の構成・機能と略同様であるので、ここでは特に説明しない。簡単に説明するならば、制御部解析部13は、送受信部17を介してホスト2との通信を行って任意の印刷データを受信すると、これを補助記憶部14に格納する。そして、制御部解析部13は、この印刷データを印刷機構部11で印刷させる制御を行う。これは一例であり、制御部解析部13は、他にも様々な制御やデータ/コマンド解析等を行うが、既存技術であり、特に説明しない。
【0016】
尚、制御部解析部13は、例えば不図示のCPU等で実現されるものである。すなわち、補助記憶部14には予め所定のアプリケーションプログラム等が格納されており、CPU等がこのアプリケーションプログラムを読出し・実行することにより、制御部解析部13の処理機能が実現される。例えば、上述した既存の様々な制御やデータ/コマンド解析等を行う処理機能が実現される。
但し、本例の制御部解析部13には、既存技術には無い処理機能が追加されている。すなわち、本例の制御部解析部13は、上記“入力操作/認証操作部”16によって任意の上記認証情報が取得されると、送受信部17を介してこの認証情報をLAN上にブロードキャスト送信する機能も備えている。
【0017】
また、ホスト2は、一般的なコンピューター装置としての構成を有しており、特に図示しないCPU等の演算プロセッサや補助記憶装置と、図示の主記憶装置21等を有している。
そして、上記不図示のCPU等は、主記憶装置21上で、文書データの作成や印刷指示等を実行するアプリケーション24や、印刷に関する処理を実装するプリントスプーラー部を実行する。このプリントスプーラー部は、図示のプリンタードライバー22、ポートモニター23等の処理機能部を有している。上記不図示のCPU等が、予め記憶されている所定のプログラムを実行することで、ポートモニター23等の処理機能(特に後述する
図2、
図4の処理)が実現される。
【0018】
プリンタードライバー22は、アプリケーション24により印刷指示された文書データを、印刷装置1で解釈可能な形式(PDL(Page description language))に変換する処理機能等を有している。
ポートモニター23は、上記プリンタードライバー22が生成したPDL変換後文書データを、印刷装置1へ送信する処理を行う。
【0019】
上記アプリケーション24とプリンタードライバー22は、従来と同じと見做してもよい。上記ポートモニター23の処理機能が、従来とは異なる。これより、以下、主にポートモニター23について説明する。
尚、既存の“ポートモニター”は、例えばポートへの直接的な制御を行う不図示の「ポートドライバー」を介して、ポートの操作や管理等のポート制御手続きを行うものであり、例えばUSBポートモニターやStandard TCP/IPポートモニター等、接続形態毎のポートモニターがある。
【0020】
既存の“ポートモニター”の具体的な処理としては、例えば以下に列挙するものがある。
・ポートのOpen処理
選択されたプロトコル(RAW/LPRなど)での接続手続き
・ポートのStart処理
ポートへの初期制御など
・ポートからのRead処理
例えばプリンター等からの情報読み取り
・ポートへのWrite処理
データ送信
・ポートのClose処理
終了手続き
【0021】
上記のように、例えばポートオープン、ポートクローズ、データ送信/受信等(印刷装置1とのデータ送受信)の処理を行うものである。
本例のポートモニター23は、この様な既存の機能も有していてよく、更に、以下に説明する処理機能を有している。
ポートモニター23に関して、まず、事前登録処理について
図2(a)、(b)、
図3を参照して説明する。尚、ここでは、ポートモニター23のセットアップ作業の際に、事前登録処理を行う例を示すが、この例に限らない。事前登録処理は、例えば任意のユーザ登録作業の際に行うようにしてもよい。
図3は、
図2(a)、(b)の処理の流れを概略的に示す図である。
尚、上記の通り、ここでは上記“入力操作/認証操作部”16がICカードリーダであり、よって上記認証情報がICカードから読取った所定データ(ICカードのID等;ICカード情報と言うものとする)である例を用いて図示・説明するが、この例に限らない。また、これより、「ICカードリーダ16」などと記す場合もあるものとする。上記ICカード情報は、例えば社員番号等の個人特定情報であってもよいが、この例に限らない。
【0022】
図3に示すように、まず所定のセットアップ処理を実行し、これに伴って必要なファイルのコピー等の処理も行う(1)(2)。ここまでは既存の一般的な処理と見做してよく、本例では、その後、事前登録処理を行う。すなわち、まず、印刷装置1から送信される上記ICカード情報の受信待ち状態となる(3)。この状態で、例えばホスト2のユーザが、例えば自己が所有するICカードを任意の印刷装置1のICカードリーダ16に翳すと(4)、ICカードリーダ16がこのICカードから所定情報を読取る。そして、このICカード情報を、制御部解析部13等がブロードキャスト送信する(5)。
上記(3)受信待ち状態のホスト2は、このICカード情報(認証情報)を受信したら、当該ICカード情報を登録認証情報として主記憶装置21に記憶する(6)。尚、他のホスト2が存在する場合には、他のホスト2も上記ブロードキャスト送信を受信することになるが、他のホスト2も上記(3)受信待ち状態となっていない限り、誤って登録認証情報として記憶してしまうことはない。
【0023】
上記ICカードは、本例では後述するように印刷を行う毎に用いるものである。これより、ICカードは、例えば社員証等とすることが考えられるが、この例に限らない。尚、この例の場合、上記ICカード情報は、例えば社員番号等とすることが考えられるが、この例に限らない。
以上、
図2(a)、(b)の処理について、まず
図3を参照して概略的に説明した。
以下、
図2(a)、(b)を参照して説明する。
これは、本例のポートモニター23を実行するための準備(セットアップ)時の処理例について示している。
【0024】
セットアップ処理自体は、一般的なセットアップであり、ポートモニター23のプログラムを構成するファイルのコピー(ステップS11)、適用するOSのポートモニターに要求される構成情報の登録(ステップS12)等の処理を行う(一般的なことなのでこれ以上は説明しない)。
上記処理に加えて、以下の処理を行う。
まず、認証情報を登録させるために、登録を促す表示を行う(ステップS13)。例えば「印刷装置のところに行って、ICカードを翳して下さい」などの表示を行う。更に、認証情報の通知を検知するスレッド(待機スレッドと呼ぶ)を起動して(ステップS14)、イベント(認証情報の受信等)発生待ちの待機状態となる(ステップS15)。
図2(b)は、上記待機スレッドが実行する処理を示すものである。
【0025】
図2(b)において、待機スレッドは、例えばTCPやUDPやSNMP(Simple Network Management Protocol)等のネットワークプロトコルによって、印刷装置1からの上記認証情報の通知を待つ(ステップS21)。
ここでは、一例として上記SNMPを例にするならば、例えばSNMPトラップを利用して認証情報の通知を受けることになる。この例の場合には、ホスト2にはSNMPのマネージャーをインストールしておくと共に、印刷装置1にはSNMPのエージェントを常駐させておくことになる。
印刷装置1が上記認証情報を通知する処理については、既に
図3で説明したのでここでは省略する。
【0026】
但し、上記
図3の例では、印刷装置1は上記認証情報を(例えばサブネット上に)ブロードキャスト送信することで、宛先を特定せずに通知するものとしたが、この例に限らない。例えば、ホスト2が、待機スレッド側がサブネットなどの任意の範囲内の全ての印刷装置1に対して、送信要求をブロードキャストないし個別に送信して、印刷装置1に自己のIPアドレス等を登録(送信先アドレス/ポート番号を登録)させる方法としても良い。この方法では、印刷装置1は、登録した送信先アドレス等に対して、上記認証情報を通知することになる。
待機スレッドは、例えば所定時間内に上記通知を受信しなかった場合には(ステップS22,NO)、エラー情報をセットして(ステップS24)処理終了する。一方、上記通知を受信した場合には(ステップS22,YES)、受信した認証情報を保存して(ステップS23)処理終了する。
【0027】
これより、上記待機状態が解除され、上記待機スレッドが正常終了したか否かを判定する(ステップS16)。上記エラー情報がセットされている場合には正常終了ではないので(ステップS16,NO)、このエラー情報を表示して(ステップS20)処理終了する。一方、上記待機スレッドが正常終了した場合には(ステップS16,YES)、上記ステップS23で保存されていた認証情報を読み取り(ステップS17)、この認証情報を自身の設定情報として登録する(上記登録認証情報として記憶する)(ステップS18)。そして、上記ステップS13による表示を消去して(ステップS19)、セットアップ完了とする。
【0028】
尚、上記の例に限らず、例えばステップS15で待つイベントを、待機スレッド終了か所定時間経過とし、イベントとして、待機スレッド終了が発生したらステップS16の判定はYES、所定時間経過が発生したらステップS16の判定はNOとするようにしてもよい。この例の場合、ステップS24の処理は必要なく、ステップS20でエラー要因を取得しエラー処理を行うようにしてもよい。
以上説明した
図2(a)、(b)の処理により、ポートモニターの登録と、認証情報の登録が完了する。
【0029】
尚、既に述べたように、上記ステップS13〜S19の認証情報登録処理(
図2(b)の処理も含む)は、セットアップ時に限らず、任意のときに例えば所定の指示操作に応じて実行してもよい。あるいは、例えば、コンピューター(ホスト2)側にも不図示の認証情報入力部(例えばICカードリーダ等)を設け、この入力部を用いて、ICカードの認証情報を事前登録処理する際、もしくは、印刷処理を実施する際に印刷ジョブごとに認証情報を登録指定するようにしてもよい。実際に印刷する際に認証情報をその都度指定入力するのであれば、セットアップ時には上記認証情報登録処理は必要ない。
【0030】
次に、以下、印刷時の処理動作について説明する。
図4(a)〜(d)には、印刷時のポートモニター23の処理を示す。
また、
図5には、印刷時の印刷システム全体の概略動作を示す。
まず、
図5を参照して説明する。
ユーザによる印刷指示等に応じてアプリケーション24で任意の印刷データの印刷処理が実行開始されると(11)、プリンタードライバー22がこの印刷データをPDLにラスタライズして、これを送信データとしてポートモニター23に渡す(12)。尚、その際、送信要求を出してから送信データの送信を開始してもよい。
【0031】
ポートモニター23は、この送信データを不図示の補助記憶装置(ハードディスク等)に一旦バッファリングする(13)。そして、プリンタードライバー22に対して擬似的に送信成功を返信することで、アプリケーション24の送信処理を完了させ待機状態に制御を維持する。更に、印刷スレッドを起動する。
上記印刷実行を指示したユーザは、所望の(複数ある場合には例えば近くの)印刷装置1のところに行って、そのICカードリーダ16に対して自己のICカードを翳す(14)。ここで、ICカードを翳された場合の印刷装置1の動作は、既に説明した事前登録処理の際の動作と略同じであるため、ここでは省略するが、例えば上記ICカード情報をブロードキャスト送信することになる(15)。
【0032】
上記印刷スレッドは、このブロードキャスト送信によるICカード情報(認証情報)を受信すると、このICカード情報が上記ステップS18で登録した登録認証情報と一致するか否かを判定する(16)。そして、一致する場合には、印刷処理する上記送信データを上記ブロードキャスト送信の送信元の印刷装置1に対して送信する。これは例えば、上記ブロードキャスト送信の際に上記認証情報に付加されて送られてくる“送信元IPアドレス”を、“送信先IPアドレス”に設定したパケットを生成して(勿論、当該パケットのデータ部には印刷装置1へ出力する上記送信データを格納する)、このパケットを送信する(17)。印刷装置1では、この送信データを通常通り印刷すればよい(18)。
【0033】
一方、もし他のホスト2でも同時期に印刷を行うものとして上記印刷スレッドが起動されていても、上記ブロードキャスト送信によるICカード情報(認証情報)は、そのホスト2の登録認証情報と一致しないはずである。尚、これによって不一致と判定した他のホスト2は、当然、上記送信データの送信等を行うことはなく、引き続き上記ブロードキャスト送信によるICカード情報(認証情報)の受信待ち状態となる。勿論、上記印刷スレッドが起動されていない状態で上記ブロードキャスト送信によるICカード情報(認証情報)を受信しても、何も処理は行われない。
【0034】
以下、
図4(a)〜(d)を参照して、印刷時のポートモニター23の処理について説明する。
まず、
図4(a)に示すように、ポートモニター23は、例えば上記
図5で説明したようにプリンタードライバー22から送信要求を受けると、
図4(a)に示すように印刷スレッドを起動して実行させる(ステップS31)。これより、印刷スレッドは
図4(d)に示す処理を実行開始する。
尚、従来技術では送信先のプリンターのIPアドレス/ポート等が既に特定されているため、ここでプリンター接続処理を行うことになるが、本例においては、まだ送信先IPアドレス等が特定されないため、ここでのプリンター接続は行えない。
【0035】
同様の理由により、印刷要求(印刷送信指示)を受けたとき、従来では渡された送信データをプリンターに送信するが、本例では下記のように補助記憶装置等に保存し、送信が成功したことにしておく。
ポートモニター23は、上記印刷スレッド起動後、
図4(b)、(c)の処理を実行する。まず、
図4(b)に示すように、上記送信要求後にプリンタードライバー22から送られてくる上記送信データの受信処理を行う。すなわち、受信した送信データを上記不図示の補助記憶装置に保存する処理を実行し(ステップS32)、送信データ全てを補助記憶装置に保存完了したら、送信成功をプリンタードライバー22等に返す(ステップS33)。擬似的に送信成功を返すことで、印刷処理を終了させる。
【0036】
その後、
図4(c)の処理を実行する。
すなわち、送信データ完了イベントフラグをセットし(ステップS34)、上記印刷スレッドの終了待ち状態となる(ステップS35)。印刷スレッドが終了したら、本処理を終了する。
なお、上記イベントフラグのセットは、同期オブジェクトを使用して、印刷スレッドに送信データが完成したことを通知するための処理である。送信データ中に送信データの終わりを示す特定コードを埋め込むことなどによっても、同様の効果が得られるが、この限りでない。
以下、
図4(d)を参照して、上記印刷スレッドの処理について説明する。
まず、受信用のポートをオープンし(ステップS41)、上記
図5の(15)の処理によって印刷装置1から認証情報(上記ICカード情報など)が通知されてくるのを待つ待機状態となる(ステップS42)。そして、任意の印刷装置1からの通知を受信したら(ステップS43、YES)、通知された認証情報を取得し(ステップS44)、取得した認証情報を、上記ステップS18で事前登録しておいた登録認証情報と比較して、一致・不一致を判定する(ステップS45)。
【0037】
尚、上記ステップS41〜S43による印刷装置1からの通知の受信に関しても、例えば上述したSNMPトラップを利用すればよいが、この例に限らない。SNMPトラップに関しては、例えば、エージェント側で“予め指定されたイベント”が発生すると、状況通知用のレポートをマネージャー側に送信する。本例では、これを利用して、“予め指定されたイベント”を上記認証情報の入力とし、印刷装置1はこのイベント発生をSNMPトラップでホスト2に通知する。尚、この通知パケットには送信元IPアドレス等も含まれる。
【0038】
ここで、上記の通り印刷装置1からの認証情報の通知は、ブロードキャストで行われる。従って、もし同時期に他ユーザが他の印刷装置1により上記
図5の(15)の処理による通知を行わせた場合、この通知も受信することになる。この様な他ユーザによる通知を受信した場合、上記ステップS45の比較判定結果は不一致となり(ステップS45、NO)、この場合にはステップS42に戻って再び通知待ち状態となる。
なお、上記認証情報の通知待ち状態で、一定時間でのタイムアウトや、その他要因によるエラーが発生した場合(ステップS43、NO)、本処理は終了となる。すなわち、この場合には例えば、エラー要因情報を保存し(ステップS52)、上記受信用のポートをクローズして(ステップS53)、本処理を終了する。
【0039】
上記ステップS45による比較の結果、認証情報が一致していれば(ステップS45、YES)、上記受信用のポートをクローズして(ステップS46)、印刷データ(上記送信データ;PDL)の送信処理に移る。
すなわち、上記ステップS43で受信した認証情報の通知パケットから送信元情報(送信元IPアドレス、LPQ(Line Printer Queue コマンド)のキュー名等)を取得し(ステップS47)、これを送信パケットの送信先情報(送信先IPアドレス等)とする。そして、送信ポート(印刷用ポート;例えばLPR(Line Printer Remote)ポートなど)をオープンする(ステップS48)。
【0040】
そして、オープンした送信ポートに対して、上記補助記憶装置に保存してあった印刷データ(送信データ;PDL)の送信を順次行い(ステップS49)、これを上記送信データ完了イベントが有効になるまで繰り返す(ステップS50)。データ送信が完了したなら(ステップS50、YES)、上記送信ポートをクローズし(ステップS51)、本処理を完了とする。尚、上記送信データ完了イベント有効とは、前記印刷終了処理における送信データの完成を判定するものである。
【0041】
以上説明したように、本例の印刷システムのホスト2のポートモニター23は、印刷データを一旦バッファリングし、印刷装置1からの認証情報の通知を待って、この通知に基づいて、送信先プリンターを決定し、更に決定した送信先プリンターへのデータ送信に必要な情報(送信先IPアドレス、LPQのキュー名等)を取得することで、送信先プリンターへの印刷データの送信を行って印刷させることができる。
【0042】
ホスト2で印刷指示したユーザが、所望の印刷装置1において何らかの操作(認証情報の入力;例えばその為に自己のICカードを翳す)を行うことで、当該印刷装置1から上記認証情報の通知が行われる。これより、上記印刷データの印刷は、このユーザの眼前の印刷装置1で行われることになる。従って、ユーザは、確実に所望の(例えば眼前の)印刷装置1で印刷させることができる。
印刷刷置1は、上記認証情報の通知をブロードキャスト送信で行う。これより、複数のホスト2があった場合、全ホストが上記認証情報の通知を受信するが、各ホスト毎に自己に登録されている認証情報と比較・認証することで、認証情報が一致する場合のみ、上記印刷データの送信を行う。これより、任意のホスト2のユーザが、任意のデータの印刷指示を出した後に、所望の印刷装置1の設置場所に行って認証情報の入力を行うと、確実に、自己のホスト2の上記データが、所望の(自己の眼前等の)印刷装置1で印刷されることになる。
【0043】
上記特徴により、例えば下記の効果が得られる。
すなわち、コンピューター側でプリンターを指定して印刷するのではなく、プリンターから送信を指示するオペレーションを可能とすることによって、
・プリンター固体のアドレスなどの登録
・アプリケーションでのプリンターの切り替え操作
・プリンター台数分のプリンター登録
等が不要となる。
【0044】
従来のポートモニターは、事前に明確な接続先が決まっている。例えば、Standard TCP/IPポートでは、接続先プリンターのIPアドレス等が事前に設定・登録されている。これは、所謂“プルプリント方式”の印刷データの出力方法においても同様であった。
これに対して、本手法では、上記の通り、ホスト2側における事前の認証情報の登録と、印刷実行毎にユーザが所望の印刷装置1で認証情報の入力を行ってブロードキャスト送信させることで、事前の設定・登録等が無くても、確実に当該ユーザの印刷データを所望の印刷装置1で印刷させることができる。
また、例えば、目視等で直に確認している(自己の眼前の)プリンターに、簡単な操作で(例えば自己のICカードを翳すだけで)印刷させたい、という要求も実現できる。
【0045】
(付記1)
印刷装置と情報処理装置とがネットワークに接続した印刷システムであって、
前記情報処理装置は、
予め登録認証情報が記憶される認証情報記憶部と、
印刷データを生成する印刷データ生成部と、
該印刷データ生成部から前記印刷データの送信要求を受けると、該印刷データの送信を一時的に保留すると共に任意の前記印刷装置からの認証情報の入力待ち状態を維持する待機制御部と、
前記印刷装置からの前記認証情報を受信する受信部と、
該受信された前記認証情報が、前記認証情報記憶部に記憶されている前記登録認証情報と一致するか否かを判定し、一致する場合には前記認証情報と共に送信される送信元情報に基づいて前記送信元の印刷装置へ前記保留されている印刷データを送信するポートモニター部とを有し、
前記印刷装置は、
前記認証情報の入力を受け付ける認証情報入力部と、
該認証情報入力部で入力された認証情報を送信する認証情報送信部と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【0046】
(付記2)
前記認証情報送信部は、該認証情報入力部で入力された認証情報を前記ネットワーク上にブロードキャスト送信することを特徴とする付記1記載の印刷システム。
【0047】
(付記3)
前記認証情報入力部はICカードリーダを有し、
前記認証情報は、該ICカードリーダに対して翳されたICカードから取得した該ICカード固有の所定情報であることを特徴とする付記1または2記載の印刷システム。
【0048】
(付記4)
印刷装置と情報処理装置とがネットワークに接続した印刷システムにおける該情報処理装置であって、
予め登録認証情報が記憶される認証情報記憶部と、
印刷データを生成する印刷データ生成部と、
該印刷データ生成部から前記印刷データの送信要求を受けると、該印刷データの送信を一時的に保留すると共に任意の前記印刷装置からの認証情報の入力待ち状態を維持する待機制御部と、
前記印刷上装置からの前記認証情報を受信する受信部と、
該受信された前記認証情報が、前記認証情報記憶部に記憶されている前記登録認証情報と一致するか否かを判定し、一致する場合には前記認証情報と共に送信される送信元情報に基づいて前記送信元の印刷装置へ前記保留されている印刷データを送信するポートモニター部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【0049】
(付記5)
印刷装置と情報処理装置とがネットワークに接続した印刷システムにおける該印刷装置であって、
任意の認証情報の入力を受け付ける認証情報入力部と、
該認証情報入力部で入力された認証情報を前記ネットワーク上にブロードキャスト送信する認証情報送信部と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【0050】
(付記6)
印刷装置と情報処理装置とがネットワークに接続した印刷システムにおける印刷方法において、
前記情報処理装置は、
予め登録認証情報を登録させる登録処理と、
印刷データを生成する処理と、
前記印刷データの送信要求を受けると、該印刷データの送信を一時的に保留すると共に任意の前記印刷装置からの認証情報の入力待ち状態を維持する処理と、
前記印刷装置からの前記認証情報を受信する処理と、
該受信された前記認証情報が、前記登録された前記登録認証情報と一致するか否かを判定する判定処理と、
該判定処理で一致すると判定された場合には、前記認証情報と共に送信される送信元情報に基づいて前記送信元の印刷装置へ前記保留されている印刷データを送信する送信処理と、を行い、
前記印刷装置は、
前記認証情報の入力を行わせる入力処理と、
該入力された認証情報を送信する送信処理と、
を実行することを特徴とする印刷方法。