(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した、キャッシュ方法を利用したグループウェアでは、一度アクセスした文書等を2回目以降にアクセスする場合には、クライアント端末側にキャッシュしておいた文書等にアクセスすれば良いため、利用者にとって選択してから本文を表示するまでの時間(レスポンスタイム)を改善できる。しかし、一般的なグループウェアでは新着メールや新規登録文書などの新着情報にアクセスすることも多いが、このような新着情報は、当然、クライアント端末側にキャッシュされていないのでサーバに取りに行く必要がある。すなわち、このような場合には、サーバからクライアント端末への新着情報データの転送処理時間が必要になり、レスポンスタイムの短縮は期待できないという問題点がある。
【0007】
また、前述の特許文献1には、携帯端末側にキャッシュ情報を持たせることについては何ら記載されておらず、利用者が携帯端末上で必要な新着情報を選択した後に、その都度、当該情報の本文が情報収集サーバから携帯端末にダウンロードされる。従って、特許文献1記載の技術においても、利用者が必要な情報を得られるまでのレスポンスタイムの短縮は期待できないという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、上述の種々の問題点を解決できるグループウェアシステム、キャッシュ方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のグループウェアシステムは、少なくとも一つのクライアント端末と、該クライアント端末と接続されたサーバとを備え、
前記サーバは、
複数のファイルが登録されるデータベース手段と、
前記ファイルを特定するファイル識別子と該ファイルが前記クライアント端末に登録されているか否かを示すフラグとを有する属性情報を含むキャッシュ対象情報を各利用者対応に記憶するキャッシュ対象情報手段と、
前記データベース手段に新規のファイルが登録された時点で、または、前記データベース手段に登録されている前記ファイルに更新があった時点で、前記グループウェアシステムからログアウトしている利用者がある場合には、当該利用者に対応する前記キャッシュ対象情報に、前記新規のファイルまたは更新があった前記ファイルを特定する前記ファイル識別子と当該ファイルが前記クライアント端末に登録されていないことを示す前記フラグとを有する属性情報を追加するユーザキャッシュ作成手段と
を含み、
前記クライアント端末は、
キャッシュ手段と
前記利用者が前記グループウェアシステムにログインした時点で、当該利用者に対応する前記キャッシュ対象情報を前記キャッシュ対象情報手段から取得し、取得した当該キャッシュ対象情報に含まれる前記属性情報内の前記ファイル識別子で特定されるファイルが当該クライアント端末に登録されていないことを前記フラグが示している場合には、当該ファイルを前記データベース手段からダウンロードし、前記キャッシュ手段に登録するユーザキャッシュ手段と
から構成される。
【0010】
本発明のキャッシュ方法は、少なくとも一つのクライアント端末と、該クライアント端末と接続されたサーバとを備えるグループウェアシステムにおいて、
ファイルを前記サーバのデータベース手段に登録する登録ステップと、
前記ファイルを特定するファイル識別子と該ファイルが前記クライアント端末に登録されているか否かを示すフラグとを有する属性情報を含むキャッシュ対象情報を各利用者対応に前記サーバのキャッシュ対象情報手段に記憶するキャッシュ対象情報記憶ステップと、
前記データベース手段に新規のファイルが登録された時点で、または、前記データベース手段に登録されている前記ファイルに更新があった時点で、前記グループウェアシステムからログアウトしている利用者がある場合には、当該利用者に対応する前記キャッシュ対象情報に、前記新規のファイルまたは更新があった前記ファイルを特定する前記ファイル識別子と当該ファイルが前記クライアント端末に登録されていないことを示す前記フラグとを有する属性情報を追加するユーザキャッシュ作成ステップと、
前記利用者が前記グループウェアシステムにログインした時点で、当該利用者に対応する前記キャッシュ対象情報を前記キャッシュ対象情報手段から取得し、取得した当該キャッシュ対象情報に含まれる前記属性情報内の前記ファイル識別子で特定されるファイルが当該クライアント端末に登録されていないことを前記フラグが示している場合には、当該ファイルを前記データベース手段からダウンロードし、前記クライアント端末のキャッシュ手段に登録するユーザキャッシュ登録ステップと
を含む。
【0011】
本発明のキャッシュプログラムは、複数のファイルが登録されるベータベース手段を複数の利用者で利用するグループウェアシステムにおいて、
ファイルを特定するファイル識別子と該ファイルがキャッシュ手段に登録されているか否かを示すフラグとを有する属性情報を含むキャッシュ対象情報を各利用者対応にキャッシュ対象情報記憶手段に記憶するキャッシュ対象情報記憶処理と、
前記利用者が前記グループウェアシステムにログインした時点で、前記データベース手段におけるファイルの登録または更新を反映して更新された前記キャッシュ対象情報を外部から受け取り前記キャッシュ対象情報記憶手段に記憶し、該キャッシュ対象情報に含まれる前記属性情報内の前記ファイル識別子で特定されるファイルが前記キャッシュ手段に登録されていないことを前記フラグが示している場合には、当該ファイルを前記データベース手段からダウンロードし、前記キャッシュ手段に登録する登録処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明には、グループウェアにおいて、利用者側から見たファイルアクセスのレスポンスタイムの短縮化を達成できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。
【0016】
図1を参照すると、本実施形態は、複数のクライアント端末100と、サーバ200とから構成されている。
【0017】
各クライアント端末100は、ユーザキャッシュ部110と、グループウェアクライアント機能部120と、入出力部130と、インターフェース部140とを備える。そして、ユーザキャッシュ部110は、キャッシュ情報記憶域150と、キャッシュ対象情報記憶域160とを備える。
【0018】
サーバ200は、新着情報確認部210と、ユーザキャッシュ作成部220と、キャッシュ対象情報部230と、キャッシュ提供部240と、データベース部250と、利用者管理部260と、ダウンロード要求受信部270と、インターフェース部280とを備える。
【0019】
なお、
図1は、複数のクライアント端末100とサーバ200とから構成されるグループウェアの全体構成のうち、本発明に関連する構成要素のみを示している。
【0020】
次に、クライアント端末100及びサーバ200の構成及び動作について簡単に説明する。
【0021】
データベース部250は、複数の利用者が共有して文書やメール等の様々なデータを格納することができるデータ記憶域である。
【0022】
キャッシュ対象情報部230は、データベース部250において登録または更新されたファイルの属性情報の一覧(以下、「キャッシュ対象情報」とも言う。)を記憶したものであり、グループウェアの利用者ごとに作成され保持される。そのためキャッシュ対象情報部230に保持される属性情報の内容は利用者ごとに異なる。
【0023】
図2にキャッシュ対象情報部230に格納されるある利用者Aのキャッシュ対象情報の一例を示す。
図2を参照すると、キャッシュ対象情報は、複数の属性情報からなり、各属性情報は、文書のファイルIDと、文書のファイル名と、キャッシュ済フラグとを含む。
【0024】
例えば、2行目を見ると、「fileA」が文書のファイルID、「健康診断のお知らせ」が文書のファイル名、そして「1」がキャッシュ済フラグである。なお、キャッシュ済フラグが「1」の場合は、その行の属性情報に対応するファイルが、上記利用者Aが使用しているクライアント端末に既にダウンロードされて、後述のキャッシュ情報記憶域150に格納されている状態を示し、「0」の場合は、その行の属性情報に対応するファイルが上記利用者Aのクライアント端末に未だダウンロードされていない状態を示す。
【0025】
以下、ファイルがクライアント端末にダウンロードされてキャッシュ済フラグが「1」の状態を「キャッシュ済み」とも言い、クライアント端末にダウンロードされていないでキャッシュ済フラグが「0」の状態を「キャッシュ未」とも言う。
【0026】
キャッシュ対象情報記憶域160は、グループウェアにログインしている利用者に対応したキャッシュ対象情報をキャッシュ対象情報部230からダウンロードし保持する領域である。
【0027】
キャッシュ情報記憶域150は、キャッシュ対象情報記憶域160に保持されたキャッシュ対象情報内の複数の属性情報のうち、キャッシュ未のファイル(キャッシュ済フラグが「0」であるファイル)をダウンロードし保持する領域である。
【0028】
ユーザキャッシュ部110は、利用者ごとに作成されているキャッシュ対象情報部230内のキャッシュ対象情報と、そのキャッシュ対象情報に含まれる属性情報のうちキャッシュ未のファイルとを後述のキャッシュ提供部240から受け取り、それぞれキャッシュ対象情報記憶域160と、キャッシュ情報記憶域150とに保存する。また、ユーザキャッシュ部110は、後述のグループウェアクライアント機能部120からの要求により、利用者が指定したファイルがキャッシュ情報記憶域150に存在するかどうかのチェックを行い、存在していた場合は当該ファイルをグループウェアクライアント機能部120へ渡す。
【0029】
グループウェアクライアント機能部120は、一般的なグループウェアにおいてクライアント側が備える機能を有し、さらに、利用者の認証情報(利用者ID、利用者パスワード)をユーザキャッシュ部110に通知する機能を有する。また、利用者が指定したファイルがキャッシュ情報記憶域150に存在するか否かはユーザキャッシュ部110で確認され、存在する場合には、利用者は当該ファイルをユーザキャッシュ部110から受け取り、また、存在しない場合には、一般的なグループウェアと同様にデータベース部250から当該ファイルがクライアント端末100にダウンロードされ、利用者に提示される。
【0030】
入出力部130は、グループウェアの利用者からの操作を受け付け、また、利用者に操作の結果や情報を通知する機能を有する。
【0031】
インターフェース部140とインターフェース部280とは、クライアント端末100とサーバ200との間でデータの受け渡しを行うためのものである。また、インターフェース部140は、入出力部130とグループウェアクライアント機能部120との間でのデータの受け渡しも行う。
【0032】
新着情報確認部210は、データベース部250への新規ファイルの登録処理や既存ファイルの更新処理を監視しており、これらの処理がなされた場合は後述のユーザキャッシュ作成部220にその旨(すなわち、「新着情報登録」)を通知すると共に当該ファイルの属性情報(ファイルIDとファイル名)を渡す。
【0033】
ユーザキャッシュ作成部220は、上述の新着情報確認部210からの新着情報登録の通知を受け、後述の利用者管理部260が管理しているグループウェアの利用者情報から利用者の現在の状況を取得し、当該利用者に対応して作成されているキャッシュ対象情報部230内のキャッシュ対象情報に当該ファイルの属性情報を追加する。なお、既に上記属性情報がキャッシュ対象情報に存在している場合は、当該属性情報のキャッシュ済フラグを「0」に更新する。また、当該利用者が現在ログインしている場合は上述のキャッシュ対象情報を、キャッシュ提供部240を介してクライアント端末100上のユーザキャッシュ部110に渡す。
【0034】
利用者管理部260は、グループウェアへの利用者のログイン状況を管理しており、上述のユーザキャッシュ作成部220からの要求に応じて現在の利用者の状況を提供する。
【0035】
キャッシュ提供部240は、上述のユーザキャッシュ部110からの要求に応じて、指定の利用者に対応したキャッシュ対象情報部230内のキャッシュ対象情報、またはデータベース部250から取得した指定のファイルを、ユーザキャッシュ部110に渡す。また逆に、上述のユーザキャッシュ作成部220からの要求に応じて、指定のキャッシュ対象情報をユーザキャッシュ部110に渡す。
【0036】
ダウンロード要求受信部270は、上述のグループウェアクライアント機能部120が要求したファイルをデータベース部250から取得し、グループウェアクライアント機能部120に渡す。
【0037】
以上、
図1を参照して各構成要素の構成及び動作について簡単に説明したが、
図1に示すクライアント端末100及びサーバ200の一部または全体は、プログラム制御により動作する一般的なコンピュータシステムで実現してもよいし、または、専用のハードウェアで実現してもよい。
【0038】
次に、本実施形態の動作について
図3乃至
図5のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0039】
図3は、サーバ200における新着情報登録時の動作の概要を示すフローチャートである。
【0040】
図3を参照すると、まず、ある利用者によりデータベース部250にファイルが登録されるか、または、既に登録されているファイルが更新される(ステップS301)とする。
【0041】
新着情報確認部210は、データベース部250におけるファイルの登録、更新および削除のイベントを監視しており、ファイルの登録または更新イベントを契機に登録または更新されたファイルの属性情報(ファイルID、ファイル名等)をユーザキャッシュ作成部220に通知する(ステップS302)。
【0042】
ユーザキャッシュ作成部220は、新着情報確認部210からの通知を受けて利用者管理部260が管理している利用者情報から全ての利用者の現在の状況を取得する。そして、利用者ごとに作成されているキャッシュ対象情報部230内のキャッシュ対象情報に、上述の登録または更新されたファイルの属性情報を追加する。このとき、属性情報には、キャッシュ済フラグ「0」も含まれる。なお、既にキャッシュ対象情報に上述の登録または更新されたファイルの属性情報と同じものが存在する場合は、当該属性情報のキャッシュ済フラグを「0」に更新する(ステップS303)。
【0043】
次に、当該利用者が現在グループウェアにログインしている場合は、以下のステップS305を実行する(ステップS304)。つまり、ユーザキャッシュ作成部220は、当該利用者が使用しているクライアント端末100上で動作しているユーザキャッシュ部110に、キャッシュ提供部240及びインターフェース部280及びインターフェース部140を介して、上述のキャッシュ対象情報を渡す。そして、ユーザキャッシュ部110は、受け取ったキャッシュ対象情報で、キャッシュ対象情報記憶域160に既に存在するキャッシュ対象情報を上書きする(ステップS305)。
【0044】
こうして、ユーザキャッシュ作成部220は、上述のステップS303からステップS305の処理を全ての利用者に対して繰り返す(ステップS306)。
【0045】
以上により、データベース部250において登録または更新されたファイルの属性情報がそれぞれの利用者のキャッシュ対象情報に追加されたことになる。
【0046】
図4は、クライアント端末100の利用者におけるグループウェアへのログイン時の動作の概要を示すフローチャートである。
【0047】
まず、利用者はクライアント端末に既にログインしているものとする。
【0048】
図4に示すように、その後、利用者がグループウェアにログインすると、グループウェアクライアント機能部120は、ユーザキャッシュ部110にその旨と利用者の認証情報(利用者ID、利用者パスワード)を通知する。(ステップS401)。
【0049】
次に、ユーザキャッシュ部110は、キャッシュ対象情報記憶域160をクリアし、インターフェース部140及びインターフェース部280を介して、キャッシュ提供部240に利用者の認証情報を渡すと共に、当該利用者用に作成されたキャッシュ対象情報部230内のキャッシュ対象情報を要求する。キャッシュ提供部240は、渡された認証情報を基に、当該利用者用のキャッシュ対象情報をインターフェース部280及びインターフェース部140を介して、ユーザキャッシュ部110に渡す。ユーザキャッシュ部110は、キャッシュ提供部240から受け取ったキャッシュ対象情報で、キャッシュ対象情報記憶域160に既に存在するキャッシュ対象情報を上書きする(ステップS402)。
【0050】
以上により、当該利用者が前回ログアウトした時間以降にデータベース部250において登録または更新されファイルの属性情報が、キャッシュ対象情報記憶域160に保存される。
【0051】
そして、ユーザキャッシュ部110は、上述のキャッシュ対象情報記憶域160に保存されたキャッシュ対象情報内の各属性情報に含まれるキャッシュ済フラグの内容を確認する(ステップS403)。
【0052】
キャッシュ済フラグが「0」(キャッシュ未)である属性情報がある場合、ユーザキャッシュ部110は当該属性情報に含まれるファイルIDを基に該当するファイルのダウンロードをインターフェース部140及びインターフェース部280を介して、キャッシュ提供部240に要求する。
【0053】
キャッシュ提供部240は、ユーザキャッシュ部110から要求されたファイルをデータベース部250から取得し、インターフェース部280及びインターフェース部140を介して、ユーザキャッシュ部110に渡すと共に、当該利用者用のキャッシュ対象情報部230内のキャッシュ対象情報に含まれる、当該ファイルに対応する属性情報のキャッシュ済フラグを「1」に更新する。
【0054】
そして、ユーザキャッシュ部110は、キャッシュ提供部240から受け取ったファイルをキャッシュ情報記憶域150に保存すると共に、キャッシュ対象情報記憶域160に保持している当該ファイルに対応する属性情報のキャッシュ済フラグを「1」に更新する(ステップS404)。
【0055】
ユーザキャッシュ部110は、上述のステップS404の処理をキャッシュ対象情報記憶域160に保存されたキャッシュ対象情報内の属性情報に含まれるキャッシュ済フラグが「0」であるファイル(キャッシュ未のファイル)を全てダウンロードするまで繰り返す(ステップS405)。
【0056】
なお、上述のステップS403で、全ての属性情報のキャッシュ済フラグが「1」(キャッシュ済み)の場合は、ユーザキャッシュ部110は処理を終了する。
【0057】
以上により、クライアント端末100のキャッシュ情報記憶域150には、当該利用者が前回ログアウトした時間以降にデータベース部250において登録または更新されたファイルが保存されたことになる。
【0058】
図5は、クライアント端末100における利用者のファイルアクセス時の動作の概要を示すフローチャートである。
【0059】
図5を参照すると、まず、利用者が入出力部130を介してあるファイルにアクセスすると(ステップS501)、グループウェアクライアント機能部120は当該ファイルがキャッシュ情報記憶域150に存在するか否かをユーザキャッシュ部110に問い合わせる(ステップS502)。
【0060】
ユーザキャッシュ部110は、当該ファイルのファイルIDを基にキャッシュ対象情報記憶域160に保存された属性情報に含まれるキャッシュ済フラグの内容を確認し、当該ファイルに対応する属性情報のキャッシュ済フラグが「1」(キャッシュ済み)の場合は、グループウェアクライアント機能部120に対しキャッシュ済みという応答と共にキャッシュ情報記憶域150から当該ファイルを取得して渡す。また、当該キャッシュ済フラグが「0」(キャッシュ未)の場合は、グループウェアクライアント機能部120にキャッシュ未という応答を返す(ステップS503)。
【0061】
グループウェアクライアント機能部120は、上述のユーザキャッシュ部110からの応答がキャッシュ済みの場合は渡された当該ファイルを、入出力部130を介して利用者に表示する(ステップS505)。
【0062】
以上の処理により、当該ファイルがクライアント端末100にキャッシュ済みの場合はデータベース部250からダウンロードする必要が無くデータ転送処理の時間が省略できるので、利用者がアクセスしてから表示するまでのレスポンスタイムを短縮できることになる。
【0063】
次に、上述のステップS503でユーザキャッシュ部110からの応答がキャッシュ未の場合は、グループウェアクライアント機能部120は当該ファイルのダウンロードをインターフェース部140及びインターフェース部280を介して、ダウンロード要求受信部270に要求する。
【0064】
そして、ダウンロード要求受信部270は、グループウェアクライアント機能部120から要求された当該ファイルをデータベース部250から取得し、インターフェース部280及びインターフェース部140を介して、グループウェアクライアント機能部120に渡す(ステップS504)。
【0065】
次に、グループウェアクライアント機能部120は、ダウンロード要求受信部270から渡された当該ファイルを入出力部130を介して利用者に表示する(ステップS505)。
【0066】
このように、利用者がアクセスしたいファイルがキャッシュ未の状態である状況が起こる理由は、上述の
図4のフローチャートを参照して説明した利用者のログイン時のファイルのダウンロード処理において、当該ファイルのダウンロード処理が完了するタイミングよりも早く、当該利用者の当該ファイルへのアクセス要求が発生する場合があるからである。
【0067】
以上説明したように、本実施形態では、利用者がクライアント端末100でファイルをアクセスしてから当該ファイルが表示されるまでのレスポンスタイムの短縮化を達成できるという効果がある。
【0068】
その理由は、利用者がログアウト後にサーバ200側のデータベース部250において登録または更新されたファイルに対応する属性情報を保持しておき、利用者が次にログインしたタイミングで、それら属性情報に従ってクライアント端末100側に存在しないファイルを自動的にサーバ200からダウンロードして保存しておけるからである。
【0069】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0070】
第1の実施形態では、利用者のグループウェアへのログインを契機として、ユーザキャッシュ部110がキャッシュ未のファイルをデータベース部250からダウンロードして、キャッシュ情報記憶域150に保存している。しかし、利用者がグループウェアにログインした直後に新着ファイルにアクセスする場合、当該新着ファイルはまだキャッシュ情報記憶域150に保存できていないことも考えられる。その場合は、レスポンスタイムの短縮はできないことになる。
【0071】
そこで、第2の実施形態では、利用者がクライアント端末100にログインした後、グループウェアにログインする前の段階で、クライアント端末100のバックグラウンド処理としてキャッシュ未のファイルをダウンロードして保存しておくことにより、上述の状況におけるレスポンスタイムの短縮を図るようにしている。
【0072】
以下、本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0073】
なお、以下では、第1の実施形態と重複する構成要素や動作についてはその説明を省略する。
【0074】
図6は、本実施形態を示すブロック図である。
【0075】
図6を参照すると、本実施形態におけるクライアント端末100は、第1の実施形態のそれには無いグループウェア認証情報部170を備える。
【0076】
グループウェア認証情報部170は、利用者がグループウェアにログインする時に使用する認証情報(利用者IDと利用者パスワード)を格納したもので、クライアント端末100に設けられている利用者固有の記憶領域に保持される。
【0077】
第2の実施形態のクライアント端末100及びサーバ200のさらに詳細な動作について
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
図7は、クライアント端末100における利用者のクライアント端末利用時の動作を示すフローチャートである。
【0079】
ここで、本実施形態では、ユーザキャッシュ部110はクライアント端末のバックグラウンドでも動作するよう構成されており、
図7を参照すると、まず、利用者がクライアント端末100にログインすると、ユーザキャッシュ部110がバックグラウンドで動作を開始する(ステップS701)。
【0080】
次に、ユーザキャッシュ部110は、キャッシュ対象情報記憶域160をクリアした後、グループウェア認証情報部170から当該利用者の認証情報を取得し、インターフェース部140及びインターフェース部280を介して、キャッシュ提供部240に認証情報を渡すと共に当該利用者用に作成されたキャッシュ対象情報部230内のキャッシュ対象情報を要求する。キャッシュ提供部240は、渡された認証情報を基に当該利用者用のキャッシュ対象情報をキャッシュ対象情報部230から取得し、インターフェース部280及びインターフェース部140を介して、ユーザキャッシュ部110に渡す。そして、ユーザキャッシュ部110は、キャッシュ提供部240から受け取ったキャッシュ対象情報でキャッシュ対象情報記憶域160に既に存在するキャッシュ対象情報を上書する(ステップS702)。
【0081】
以上により、当該利用者がグループウェアから前回ログアウトした時間以降にデータベース部250において登録または更新されたファイルの属性情報が、キャッシュ対象情報記憶域160に保存される。
【0082】
そして、ユーザキャッシュ部110は、上述のキャッシュ対象情報記憶域160に保存されたキャッシュ対象情報内の各属性情報に含まれるキャッシュ済フラグの内容を確認する(ステップS703)。
【0083】
キャッシュ済フラグが「0」(キャッシュ未)である属性情報がある場合、ユーザキャッシュ部110は当該属性情報に含まれるファイルIDを基に該当するファイルのダウンロードをインターフェース部140及びインターフェース部280を介して、キャッシュ提供部240に要求する。
【0084】
キャッシュ提供部240は、ユーザキャッシュ部110から要求されたファイルをデータベース部250から取得し、インターフェース部280及びインターフェース部140を介して、ユーザキャッシュ部110に渡すと共に、当該利用者用のキャッシュ対象情報部230内のキャッシュ対象情報に含まれる、当該ファイルに対応する属性情報のキャッシュ済フラグを「1」に更新する。
【0085】
そして、ユーザキャッシュ部110は、キャッシュ提供部240から受け取ったファイルをキャッシュ情報記憶域150に保存すると共に、キャッシュ対象情報記憶域160に保持している当該ファイルに対応する属性情報のキャッシュ済フラグを「1」に更新する(ステップS704)。
【0086】
ユーザキャッシュ部110は、上述のステップS704の処理をキャッシュ対象情報記憶域160に保存されたキャッシュ対象情報内の属性情報に含まれるキャッシュ済フラグが「0」であるファイル(キャッシュ未のファイル)を全てダウンロードするまで繰り返す(ステップS705)。
【0087】
次に、ユーザキャッシュ部110は、一定時間の経過を待ち(ステップS706)、ステップS702に戻り以降のステップを繰り返し実行する。また、上述のステップS703でキャッシュ済フラグが全て「1」(キャッシュ済み)の場合も同様に一定時間経過を待ち、ステップS702に戻り以降のステップを繰り返し実行する。
【0088】
以上により、キャッシュ情報記憶域150には、当該利用者がグループウェアから前回ログアウトした時間以降にデータベース部250において登録または更新されたファイルが、利用者のグループウェアへのログイン前に保存されたことになる。
【0089】
なお、ユーザキャッシュ部110は、上述の
図7で示す処理を実行している途中で利用者がグループウェアにログインした場合は、
図7の動作を中断し、
図4のグループウェアへのログイン時の動作を示すフローチャートで示される処理を実行する。
【0090】
以上説明したように、本実施形態には、利用者がグループウェアにログインした直後にどの文書をアクセスしても、当該ファイルが表示されるまでのレスポンスタイムの短縮化を達成できるという効果がある。
【0091】
その理由は、利用者がグループウェアにログインする前のクライアント端末100にログインした段階で、バックグラウンド処理としてユーザキャッシュ部110が動作し、クライアント端末100側に存在しないファイルを自動的にサーバ200側からダウンロードして保存しておけるからである。