(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スリープモードでは、装置状態を監視する回路などの、スリープ中にも動作させる必要がある回路に対して、電力を供給する必要がある。すると、スリープモードで消費される電力によって、画像形成装置の省電力化をさらに進めることが困難となる場合がある。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載の画像形成装置は、電源部から各種の回路
およびモータに電力が供給される
通常状態と、電源部から各種の回路に電力が供給される第1状態と、電源部から各種の回路
およびモータに電力が供給されない第2状態と、になる画像形成装置であって、電源部に接続され
通常状態および第1状態である期間中に電源部によって充電されるコンデンサと、コンデンサに接続され、第2状態である場合には、コンデンサからの電力供給によって動作する監視部と、
通常状態および第1状態の場合、電源部からの電力供給によって動作する制御部と、を備え、監視部は
カウンタを備え、カウンタに設定された装置情報検出時間が経過することに応じて画像形成装置が
第1所定状態である旨を検出
し、画像形成装置を
通常状態に遷移させ、
監視部はコンデンサの充電残量が予め定められた所定値よりも少なくなったことに応じて、画像形成装置が第2所定状態である旨を検出し、画像形成装置を通常状態に遷移させ、制御部は、
第1所定状態である旨が監視部で検出されて画像形成装置が通常状態へ遷移した
場合には、記憶部に記憶される指示情報を読出し、指示情報が画像形成装置に関する情報の取得を指示する場合は情報を取得し、情報の取得後、第2状態に遷移させ
、2所定状態である旨が監視部で検出されて画像形成装置が通常状態へ遷移した場合には、画像形成装置を第1状態に遷移させることを特徴とする。
【0006】
このように構成された画像形成装置によれば、画像形成装置が第2状態(電源部から電力が供給されていない状態)である場合には、監視部は、コンデンサからの電力供給によって画像形成装置を監視することができる。これにより、画像形成装置を使用しない期間においては、電源部からは電力の供給を受けず、コンデンサからの電力供給だけで画像形成装置を駆動させることができるため、さらなる省電力化を図ることができる。
【0007】
請求項2に記載の画像形成装置では、
通常状態および第1状態で動作する回路(制御部全体)に比して、第2状態で動作する回路(監視部のみ)の方を少なくすることができる。よって、画像形成装置が第2状態である場合の方が、
通常状態および第1状態である場合よりも、消費電力を減少させることができる。
【0008】
請求項3に記載の画像形成装置では、切替部によって電力の供給を停止させることができるため、省電力化を図ることが可能となる。
【0009】
請求項4に記載の画像形成装置では、画像形成装置に関する情報をセンサを用いて取得することができる。よって、画像形成装置の装置状態に基づいて、画像形成装置を
通常状態および第1状態と第2状態
との何れに設定するかを制御することが可能となる。
【0010】
請求項5に記載の画像形成装置では、画像形成装置の状態が変化している場合には、画像形成装置の状態が変化していない場合に比して、第2状態から
通常状態に遷移する頻度を高くすることができる。これにより、画像形成装置の状態が変化している場合の方が、より高い頻度で画像形成装置に関する情報を取得することが可能となる。よって、画像形成装置の状態に応じて、省電力化を優先する制御と、画像形成装置の状態を監視する制御を優先する制御とを切り替えることが可能となる。
【0011】
請求項6に記載の画像形成装置では、前回の
通常状態への遷移時に取得した装置状態と、現在の装置状態との間で、装置状態の変化の有無を検出することができる。よって、画像形成装置の装置状態の変化の有無に基づいて、第2状態から
通常状態に遷移する頻度を変更することができる。
【0012】
請求項7に記載の画像形成装置では、装置情報が変化した状態が維持されている場合には、装置情報が変化していない場合に比して、第2状態から
通常状態に遷移する頻度を高くすることができる。これにより、装置情報が変化した状態が維持されている場合(装置状態の監視が必要な場合)には、より高い頻度で画像形成装置の装置状態を監視することが可能となる。
【0013】
請求項8に記載の画像形成装置では、画像形成装置が
通常状態に遷移している場合に、環境情報を取得することができる。よって、環境情報に基づいて、画像形成装置を
通常状態と第2状態の何れに設定するかを制御することが可能となる。
【0014】
画像形成に用いるインクは、温度が低くなるほど粘度が上昇し、印刷部でのインク詰まりが発生しやすくなる。請求項9に記載の画像形成装置では、保持部に保持されているインクの温度が低いほど、
通常状態に遷移してメンテナンス処理を実行する頻度を高くすることができる。これにより、印刷部でのインク詰まりの発生を、より効果的に防止することができる。
【0015】
請求項10に記載の画像形成装置では、所定時間が経過した場合に、画像形成装置を第2状態から
通常状態へ遷移させ、指示情報に基づいた処理を実行することが可能となる。
以下に、本明細書に記載の技術の特徴を列挙する。
[特徴1]
電源部から各種の回路に電力が供給される第1状態と、前記電源部から前記各種の回路に電力が供給されない第2状態と、になる画像形成装置であって、
前記電源部に接続され前記第1状態である期間中に前記電源部によって充電されるコンデンサと、
前記コンデンサに接続され、前記第2状態である場合には、前記コンデンサからの電力供給によって動作する監視部と、
前記第1状態の場合、前記電源部からの電力供給によって動作する制御部と、
を備え、
前記監視部は、前記第2状態である場合に、前記画像形成装置が所定状態である旨を検出することに応じて、前記画像形成装置を前記第1状態に遷移させ、
前記制御部は、前記第1状態へ遷移した後、記憶部に記憶される指示情報を読出し、
前記指示情報が前記画像形成装置に関する情報の取得を指示する場合は前記情報を取得し、前記情報の取得後、前記第2状態に遷移させることを特徴とする画像形成装置。
[特徴2]
前記制御部は前記監視部を含み、前記第1状態では前記制御部全体が動作する一方、前記第2状態では前記制御部のうち監視部のみが動作することを特徴とする特徴1に記載の画像形成装置。
[特徴3]
前記監視部は、電力の供給を停止する停止信号を前記電源部へ送信する切替部をさらに備え、
前記制御部は前記情報の取得後、前記切替部を制御し、前記停止信号を前記電源部へ送信させることを特徴とする特徴1または2に記載の画像形成装置。
[特徴4]
前記第1状態において動作するセンサをさらに備え、
前記画像形成装置に関する情報の取得は、前記センサが検出した装置情報の取得を含む、特徴1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
[特徴5]
前記監視部はカウンタを備え、前記カウンタに設定された装置情報検出時間が経過することに応じて前記所定状態である旨を検出し、
前記記憶部は、前記制御部が前回に取得した前記装置情報を記憶し、
前記制御部は、前記装置情報検出時間としての第1の装置情報時間が経過して前記第1状態に遷移した場合に取得した前記装置情報が、前記記憶部に記憶されている前記装置情報と異なる場合には、前記第1の装置情報時間よりも短い第2の装置情報時間を前記装置情報検出時間として設定し、
前記画像形成装置を前記第2状態に遷移させることを特徴とする特徴4に記載の画像形成装置。
[特徴6]
前記制御部は取得した前記装置情報が前記記憶部に記憶されている前記装置情報と異なる場合には、前記記憶部に装置情報の変化を示す変化情報を記憶させ、
前記画像形成装置を前記第2状態に遷移させることを特徴とする特徴5に記載の画像形成装置。
[特徴7]
前記制御部は取得した前記装置情報が前記記憶部に記憶されている前記装置情報と等しく、かつ、前記記憶部に変化情報が記憶されている場合は、前記第2の装置情報取得時間を前記装置情報検出時間として設定した後、前記第2状態に遷移させることを特徴とする特徴6に記載の画像形成装置。
[特徴8]
前記画像形成装置に関する情報の取得は少なくとも、前記画像形成装置の環境情報の取得を含み、
前記制御部は、前記画像形成装置が前記第1状態である場合は前記環境情報の取得を行うことを特徴とする特徴1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
[特徴9]
前記画像形成装置は、
画像形成に用いるインクを保持する保持部と、
前記インクの吐出を行なう印刷部と、
をさらに備え、
前記制御部が実行する前記環境情報を取得する処理は、少なくとも前記保持部に保持されているインクの温度を測定する処理を含み、
前記制御部は、測定された前記インクの温度が低いほど時間が短くなるように前記装置情報検出時間を設定し、
前記監視部は、前記装置情報検出時間が経過することに応じて、前記画像形成装置が前記所定状態である旨を検出し、
前記制御部は、前記指示情報がメンテナンスを示す場合は、前記設定した指示情報に従い前記印刷部のメンテナンス処理を行うことを特徴とする特徴8に記載の画像形成装置。
[特徴10]
前記監視部は、前記第2状態において、前記画像形成装置が前記所定状態を含む複数の状態のいずれかである旨を検出可能であり、
前記監視部は、前記複数の状態いずれかである旨を検出することに応じて前記第1状態に遷移させ、
前記制御部は、前記監視部で検出される状態が所定時間が経過した旨の前記所定状態である場合に、記憶部に記憶される指示情報を読出すことを特徴とする特徴1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
特徴1のように構成された画像形成装置によれば、画像形成装置が第2状態(電源部から電力が供給されていない状態)である場合には、監視部は、コンデンサからの電力供給によって画像形成装置を監視することができる。これにより、画像形成装置を使用しない期間においては、電源部からは電力の供給を受けず、コンデンサからの電力供給だけで画像形成装置を駆動させることができるため、さらなる省電力化を図ることができる。
特徴2に記載の画像形成装置では、第1状態で動作する回路(制御部全体)に比して、第2状態で動作する回路(監視部のみ)の方を少なくすることができる。よって、画像形成装置が第2状態である場合の方が、第1状態である場合よりも、消費電力を減少させることができる。
特徴3に記載の画像形成装置では、切替部によって電力の供給を停止させることができるため、省電力化を図ることが可能となる。
特徴4に記載の画像形成装置では、画像形成装置に関する情報をセンサを用いて取得することができる。よって、画像形成装置の装置状態に基づいて、画像形成装置を第1状態と第2状態の何れに設定するかを制御することが可能となる。
特徴5に記載の画像形成装置では、画像形成装置の状態が変化している場合には、画像形成装置の状態が変化していない場合に比して、第2状態から第1状態に遷移する頻度を高くすることができる。これにより、画像形成装置の状態が変化している場合の方が、より高い頻度で画像形成装置に関する情報を取得することが可能となる。よって、画像形成装置の状態に応じて、省電力化を優先する制御と、画像形成装置の状態を監視する制御を優先する制御とを切り替えることが可能となる。
特徴6に記載の画像形成装置では、前回の第1状態への遷移時に取得した装置状態と、現在の装置状態との間で、装置状態の変化の有無を検出することができる。よって、画像形成装置の装置状態の変化の有無に基づいて、第2状態から第1状態に遷移する頻度を変更することができる。
特徴7に記載の画像形成装置では、装置情報が変化した状態が維持されている場合には、装置情報が変化していない場合に比して、第2状態から第1状態に遷移する頻度を高くすることができる。これにより、装置情報が変化した状態が維持されている場合(装置状態の監視が必要な場合)には、より高い頻度で画像形成装置の装置状態を監視することが可能となる。
特徴8に記載の画像形成装置では、画像形成装置が第1状態に遷移している場合に、環境情報を取得することができる。よって、環境情報に基づいて、画像形成装置を第1状態と第2状態の何れに設定するかを制御することが可能となる。
画像形成に用いるインクは、温度が低くなるほど粘度が上昇し、印刷部でのインク詰まりが発生しやすくなる。特徴9に記載の画像形成装置では、保持部に保持されているインクの温度が低いほど、第1状態に遷移してメンテナンス処理を実行する頻度を高くすることができる。これにより、印刷部でのインク詰まりの発生を、より効果的に防止することができる。
特徴10に記載の画像形成装置では、所定時間が経過した場合に、画像形成装置を第2状態から第1状態へ遷移させ、指示情報に基づいた処理を実行することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<画像形成装置の構成>
図1は、本願に係る画像形成装置1の制御構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、インクジェット方式に従う記録ヘッドを用いた画像形成装置である。
図1に示すように、画像形成装置1は、電源部301、電源管理装置100および200、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)10、記録ヘッド11、ペーパーフィードモータ131、オートドキュメントフィードモータ132、フラットベッドモータ133、キャリッジモータ134、コンデンサ302、レギュレータ303、コンデンサ残量検知手段304、ダイオード306、DDRメモリ281、EEPROM282、を備える。
【0018】
電源部301は、入力されるAC電源AVを、DC電源DVに変換して出力する回路である。また電源部301には、起動信号BS、0Vスリープ信号SLEEP1、8Vスリープ信号SLEEP2、が入力される。電源部301は、起動信号BSによって通常モードへ移行する旨が指示されると、31VのDC電源DVを供給する。電源部301は、0Vスリープ信号SLEEP1によって第2スリープモードへ移行する旨が指示されると、DC電源DVの供給を停止する。電源部301は、8Vスリープ信号SLEEP2によって第1スリープモードへ移行する旨が指示されると、8VのDC電源DVを供給する。
【0019】
電源管理装置100および200は、各々、別体のIC(Integrated Circuit)として形成されている。電源管理装置100および200は、ペーパーフィードモータ131などの各種のモータを駆動するモータ駆動手段と、電力供給のためのDC/DCコンバータとを備えた複合ICである。
【0020】
電源管理装置100の構成について説明する。電源管理装置100には、DC電源DVが入力される。電源管理装置100からは、電圧V1(5.0V)、電圧V4(3.3V)、ASICリセット信号ASIC_R、RTCリセット信号RTC_R、電圧HVDD、電圧MV1〜MV4、が出力される。電圧V1は、電源管理装置200に入力される。また電圧V1は、ダイオード306を介して、コンデンサ302、レギュレータ303、コンデンサ残量検知手段304に入力される。電圧V4は、ASIC10およびEEPROM282に入力される。ASICリセット信号ASIC_Rは、ASIC10に入力される。ASICリセット信号ASIC_Rは、ASIC10のRTC部310以外の回路を停止させるための信号である。RTCリセット信号RTC_Rは、ASIC10に入力される。RTCリセット信号RTC_Rは、異常発生時等にRTC部310を再起動するための信号である。電圧HVDDは、記録ヘッド11に入力される。電圧MV1〜MV4の各々は、ペーパーフィードモータ131〜キャリッジモータ134の各々に入力される。
【0021】
電源管理装置200の構成について説明する。電源管理装置200には、電圧V1が入力される。電源管理装置200からは、電圧V2(1.2V)、電圧V3(1.5V)、電圧V5(3.3V)が出力される。電圧V2およびV5は、ASIC10に入力される。電圧V3は、ASIC10およびDDRメモリ281に入力される。
【0022】
コンデンサ302は、ダイオード306のカソード端子、レギュレータ303、コンデンサ残量検知手段304に接続されている。レギュレータ303からは、所定電圧にレギュレートされた電圧VCが出力され、ASIC10に入力される。コンデンサ残量検知手段304から出力される信号CSは、ASIC10に入力される。コンデンサ残量検知手段304は、コンデンサ302の充電残量が予め定められた所定値よりも少なくなったことを検出すると、残量低下の旨を信号CSによってASIC10に報知する手段である。
【0023】
通常モードおよび第1スリープモードでは、コンデンサ302は、電圧V1によって充電される。またレギュレータ303は、電圧V1によって動作する。一方、第2スリープモードでは、電源管理装置100から電圧V1が供給されなくなるため、コンデンサ302からレギュレータ303へ電力が供給される。レギュレータ303は、コンデンサ302からの電力に基づいて電圧VCを生成し、ASIC10へ出力する。ダイオード306が逆バイアスになるため、コンデンサ302から電源管理装置200へは電力が供給されない。また、コンデンサ残量検知手段304は、コンデンサ302の残量を監視する。
【0024】
コンデンサ302は、電気二重層コンデンサである。電気二重層コンデンサは、スーパーキャパシタ(登録商標)、ゴールドキャパシタ(登録商標)、ウルトラキャパシタとも呼ばれる。電気二重層コンデンサは、充電時に、電極と逆電極の間に存在する電解質イオンを、静電相互作用により電極及び逆電極の表面に配向させて電気二重層を形成する。そして放電時には、配向がくずれる。充電・放電の際に化学反応を伴わないため、電極の劣化がほとんどなく、長期に渡って使用可能であるという特性を有する。また電気二重層コンデンサは、蓄電池よりも短時間で充放電が可能という特性を有する。また、電解コンデンサよりも大容量の充放電が可能という特性を有する。
【0025】
EEPROM282は、不揮発性のメモリである。EEPROM282は、定期メンテナンスフラグ、温度検知フラグ、I/F接続変更フラグ、カートリッジ変更フラグ、ジャムフラグ、I/F接続情報カートリッジ情報CCS、充電時間、を記憶する。
【0026】
定期メンテナンスフラグは、定期メンテナンス処理(S152)の実行を指示する情報である。温度検知フラグは、インクの温度を検知する処理(S116)の実行を指示する情報である。I/F接続変更フラグは、I/Fの接続が変更されている場合に、当該変更に対応するための処理が未実行である場合に記憶されるフラグである。カートリッジ変更フラグは、インクカートリッジ340が正しく装着されていない場合に記憶されるフラグである。ジャムフラグは、原稿や記録用紙の紙詰まりが発生している場合に記憶されるフラグである。
【0027】
I/F接続情報は、USBホストI/F341〜LAN_I/F343を介して接続されている機器が存在するか否かについての情報や、接続されている機器に関する情報を含んだ情報である。カートリッジ情報CCSは、インクカートリッジ340のインク色やインク残量などに関する情報である。充電時間は、コンデンサ302を充電するために、画像形成装置1を通常モードや第1スリープモードに維持しておく時間である。充電時間は、コンデンサ302の充電を完了することができる程度の長さを有していればよい。充電時間は、画像形成装置1の製造者などによって予め定められるとしてもよい。
【0028】
DDRメモリ281は揮発性のメモリである。DDRメモリ281は、ASIC10との間で各種のデータを通信する。ペーパーフィードモータ131は、記録位置において印刷用紙の紙送りをするためのモータである。オートドキュメントフィードモータ132は、複数枚の原稿用紙を連続して紙送りするためのモータである。フラットベッドモータ133は、読み取り部を移動させるためのモータである。キャリッジモータ134は、印刷を行なうキャリッジをその走査方向へ往復移動させるためのモータである。記録ヘッド11は、インクジェット方式に従って、インクカートリッジ340に保持されているインクを印刷用紙へ吐出して記録を行なう部品である。記録ヘッド11は、キャリッジに搭載される。
【0029】
図2を用いて、ASIC10の内部構成、および、ASIC10に接続される各種の回路を説明する。ASIC10は、各種の回路を制御するための制御信号を生成する、特殊用途集積回路である。ASIC10は、システムICやLSIでもよい。
【0030】
CPU(Central Processing Unit)320は、画像形成に関連する情報処理を行う回路である。8Vスリープ生成手段321は、8Vスリープ信号SLEEP2を出力する。8Vスリープ信号SLEEP2は、電源部301へ入力される。0Vスリープ生成手段322には信号SW1が入力される。0Vスリープ生成手段322からは、0Vスリープ信号SLEEP1が出力される。0Vスリープ信号SLEEP1は、電源部301に入力される。記録制御手段323は、信号MSを出力する。信号MSは、電源管理装置100および記録ヘッド11に入力される。記録制御手段323は、それぞれ、専用バスを介してDDRメモリ281およびEEPROM282と通信する。ASICリセット回路324には、ASICリセット信号ASIC_Rが入力される。
【0031】
RTC(real-time clock)部310を説明する。RTC部310には、レギュレータ303から電圧VCが供給されている。一方、ASIC10には、電圧V2〜V5が供給されている。よって、通常モードおよび第1スリープモードでは、RTC部310を含むASIC10全体が動作する。一方、第2スリープモードでは、RTC部310のみが動作する。
【0032】
RTC部310は、オア回路311、第1保持手段312、発信回路313、カウンタ314、第2保持手段315、第3保持手段316、電源制御手段317、カバーセンサ検知手段318、を備える。第1保持手段312は、コンデンサ302の充電残量が予め定められた所定値よりも少なくなった旨の報知を、信号CSを介して受信すると、充電フラグを記憶する。そして、ハイレベルの報知信号AS1をオア回路311へ出力する。発信回路313には、クロック信号CLK2が入力される。発信回路313からは、クロック信号CLK2に基づいたクロック信号CKが出力される。クロック信号CKは、カウンタ314に入力される。
【0033】
カウンタ314は、入力されるクロック信号CKに基づいてカウントアップを実行する。また、カウンタ314は、不図示のレジスタを備えている。カウンタ314のレジスタには、各種の装置情報検出時刻を設定することができる。これにより、カウンタ314は、レジスタに設定された装置情報検出時刻が到来した旨を検出することができる。
【0034】
カウンタ314のレジスタに装置情報検出時刻として設定される時刻には、インク温度検出時刻、I/F接続変更時刻、カートリッジ変更時刻、ジャム検出時刻、定期メンテナンス時刻、が存在する。インク温度検出時刻は、温度センサ333を用いてインクカートリッジ340内のインク温度を測定する処理の実行周期に基づき定められる時刻である。I/F接続変更時刻は、I/F接続情報を取得する処理(S212)の実行周期に基づき定められる時刻である。カートリッジ変更時刻は、カートリッジ情報CCSを取得する処理(S312)の実行周期に基づき定められる時刻である。ジャム検出時刻は、各種のセンサから情報を取得する処理(S412)の実行周期に基づき定められる時刻である。定期メンテナンス時刻は、後述する定期メンテナンス処理(S152)を実行する周期に基づき定められる時刻である。定期メンテナンス時刻は、後述する定期メンテナンス処理の更新処理(S118)によって変更することができる時刻である。I/F接続変更時刻、カートリッジ変更時刻およびジャム検出時刻は、インク温度検出時刻よりも短い周期で設定される。I/F接続変更時刻、カートリッジ変更時刻およびジャム検出時刻の周期の例としては、15分が挙げられる。インク温度検出時刻の周期の例としては、3時間が挙げられる。定期メンテナンス時刻は、インク温度検出時刻よりも長い周期で設定される。定期メンテナンス時刻の周期の例としては、30日が挙げられる。
【0035】
第2保持手段315は、装置情報検出時刻が到来した旨の報知をカウンタ314から受信すると、カウンタフラグを記憶する。そして、ハイレベルの報知信号AS2をオア回路311へ出力する。
【0036】
第3保持手段316は、ユーザによる起動命令の入力を受け付けた旨の報知を信号SW1を介して受信すると、電源ONフラグを記憶する。そして、ハイレベルの報知信号AS3をオア回路311へ出力する。
【0037】
オア回路311には報知信号AS1〜AS3が入力される。オア回路311から出力される信号OS1は、電源制御手段317に入力される。報知信号AS1〜AS3の何れかがハイレベルになると、信号OS1がハイレベルとなる。電源制御手段317には、信号OS1およびリセット信号RTC_Rが入力される。電源制御手段317からは、0Vスリープ信号SLEEP1および起動信号BSが出力される。カバーセンサ検知手段318には、信号SS1が入力される。
【0038】
またASIC10には、発振子305、電源スイッチ331、カバーセンサ332、温度センサ333、タッチパネル334、バックライト部335、原稿センサ336、原稿先端センサ337、レジセンサ338、インクカートリッジ340、USBホストI/F341、USB_I/F342、LAN_I/F343、メディアカードI/F344、がさらに接続されている。
【0039】
発振子305からASIC10にはクロック信号CLK2が入力される。電源スイッチ331は、ユーザによる画像形成装置1の起動命令を受け付けるスイッチである。電源スイッチ331からASIC10には、信号SW1が入力される。カバーセンサ332は、インクカートリッジ340のカバーの開閉状態を検出するセンサである。カバーセンサ332からASIC10には、信号SS1が入力される。温度センサ333は、インクカートリッジ340内に保持されているインクの温度を測定するセンサである。温度センサ333は、例えばNTCサーミスタであってもよい。温度センサ333からASIC10には、信号SS2が入力される。タッチパネル334からASIC10へは、信号TSが入力される。バックライト部は、タッチパネル334のパネルを背面から照明する光源である。バックライト部335は、通常モードで動作する。ASIC10からバックライト部335へは、信号LSが出力される。原稿センサ336は、不図示のオートドキュメントフィーダに原稿がセットされているか否かを検出するセンサである。原稿センサ336からASIC10へは、信号SS3が出力される。原稿先端センサ337は、原稿用紙の先端を検出するセンサである。原稿先端センサ337からASIC10へは、信号SS4が入力される。レジセンサ338は、記録用紙の先端を検出するセンサである。レジセンサ338からASIC10へは、信号SS5が入力される。
【0040】
インクカートリッジ340は、画像形成に用いるインクを保持する部位である。インクカートリッジ340は、インクカートリッジIC339を備える。インクカートリッジIC339は、カートリッジ情報CCSを記憶しているICである。カートリッジ情報CCSは、カートリッジのインク色やインク残量などに関する情報である。ASIC10は、インクカートリッジIC339との間で、カートリッジ情報CCSを通信する。
【0041】
USBホストI/F341およびUSB_I/F342は、USB接続を行うI/Fである。ASIC10は、USBホストI/F341との間で、信号USB_Sを通信する。またASIC10は、USB_I/F342との間で、信号IF_Sを通信する。LAN_I/F343は、LAN接続を行うI/Fである。ASIC10は、LAN_I/F343との間で、信号LAN_Sを通信する。メディアカードI/F344は、不揮発性のメモリを備えた各種の記憶カードとの接続を行うI/Fである。ASIC10は、メディアカードI/F344との間で、信号MC_Sを通信する。
【0042】
<画像形成装置1の動作>
画像形成装置1の動作を説明する。画像形成装置1は、インクを吐出して記録を行なう記録ヘッド11を搭載したキャリッジ(不図示)を、キャリッジモータ231によって往復移動させる。具体的には、キャリッジモータ231の正転及び逆転によって、不図示のガイドシャフトに沿ってキャリッジを往復移動させる。また、ペーパーフィードモータ131を駆動することにより、印刷用紙をペーパーフィード機構(不図示)を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド11から印刷用紙の表面にインクを吐出することで記録を行う。
【0043】
また、画像形成装置1は、通常モード、第1スリープモード、第2スリープモードを備える。通常モードでは、電源部301から31VのDC電源DVが供給される。通常モードでは、ペーパーフィードモータ131等を駆動することが可能である。第1スリープモードでは、電源部301から8VのDC電源DVが供給される。第1スリープモードでは、ペーパーフィードモータ131等の各種モータには電力が供給されない。第2スリープモードでは、電源部301からのDC電源DVの供給が停止される。第2スリープモードでは、RTC部310、コンデンサ残量検知手段304、電源スイッチ331、及び発振子305のみに電力が供給される。第2スリープモードでは、RTC部310は、電源部301からではなくコンデンサ302から電力の供給を受ける。
【0044】
<電力制御処理>
ASIC10によって行われる電力制御処理について、
図3〜
図10のフローチャートを参照して説明する。この電力制御処理は、CPU320によって、ソフトウェア制御によって行われる処理である。
【0045】
図3のフローは、画像形成装置1が第2スリープモードから通常モードへ移行することに応じて開始される。第2スリープモードから通常モードへの移行は、画像形成装置1が第1〜第3所定状態の何れかの状態になったことが検出されることに応じて行われる。第1所定状態は、コンデンサ302の充電残量が所定量よりも低下した状態である。第2所定状態は、メンテナンス処理が必要な状態である。第3所定状態は、電源スイッチ331から起動命令が入力された状態である。第1〜第3所定状態は、RTC部310によって検出される。具体的には、報知信号AS1〜AS3の何れかがハイレベルになることにより、オア回路311から出力される信号OS1がハイレベルに遷移することに応じて、第1〜第3所定状態になったことが検出される。第1〜第3所定状態になったことが検出されると、電源制御手段317は、31VのDC電源DVを供給する旨の起動信号BS信号を電源部301へ送信する。これにより、画像形成装置1が第2スリープモードから通常モードへ移行する。
【0046】
S12において、CPU320は、第1保持手段312、第2保持手段315、第3保持手段316の何れかに記憶されているフラグを取得する。S14においてCPU320は、取得されたフラグが、充電フラグ(第1保持手段312に記憶)、カウンタフラグ(第2保持手段315に記憶)、電源ONフラグ(第3保持手段316に記憶)、の何れであるかを判断する。
【0047】
充電フラグが取得された場合(S14:充電フラグ)には、S18へ進む。S18においてCPU320は、8Vスリープ生成手段321から電源部301へ、8Vスリープ信号SLEEP2を送信させる。これにより、画像形成装置1が通常モードから第1スリープモードへ移行する。S20においてCPU320は、充電時間が経過したか否かを判断する。充電時間が経過していない場合(S20:NO)にはS20へ戻り、経過した場合(S20:YES)にはS22へ進む。S22においてCPU320は、第1保持手段312に記憶されている充電フラグを消去する。S24においてCPU320は、0Vスリープ生成手段322から電源部301へ、0Vスリープ信号SLEEP1を送信させる。これにより、画像形成装置1が第1スリープモードから第2スリープモードへ移行する。そしてフローが終了する。
【0048】
一方、S14において、カウンタフラグが取得された場合(S14:カウンタフラグ)には、S32へ進む。S32においてCPU320は、メンテナンス処理を実行する。メンテナンス処理の処理内容については後述する。そしてフローを終了する。
【0049】
また、S14において、電源ONフラグが取得された場合(S14:カウンタフラグ)には、S34へ進む。S34においてCPU320は、通常処理を実行する。通常処理の処理内容については後述する。そしてフローを終了する。
【0050】
図4を用いて、メンテナンス処理(S32)を説明する。S112においてCPU320は、EEPROM282に記憶されているフラグを読み出す。S112で読み出されるフラグの種類には、定期メンテナンスフラグ、温度検知フラグ、I/F接続変更フラグ、カートリッジ変更フラグ、ジャムフラグ、が存在する。そして、読み出されたフラグの種類に対応する処理が実行される。これにより、何れの処理を実行するために第2スリープモードから通常モードへ復帰したかを、フラグを用いて確認することができる。
【0051】
S112において、温度検知フラグが読み出された場合には(S112:温度検知フラグ)、S116へ進む。S116においてCPU320は、温度センサ333を用いて、インクカートリッジ340に保持されているインクの温度を測定する。
【0052】
S118においてCPU320は、EEPROM282に記憶されている定期メンテナンス時刻を更新する。具体的には、S116で測定されたインクの温度が低いほど前回の定期メンテナンス時刻と次回の定期メンテナンス時刻が近くなるように、次回の定期メンテナンス時刻を調整する。S120においてCPU320は、カウンタ314に記憶させる装置情報検出時刻の候補として、インク温度検出時刻を、EEPROM282に一時的に記憶させる。S122においてCPU320は、第2保持手段315に記憶されているカウンタフラグを消去する。
【0053】
S124においてCPU320は、I/F接続検知処理を実行する。I/F接続検知処理の内容については後述する。S126においてCPU320は、カートリッジ検知処理を実行する。カートリッジ検知処理の内容については後述する。S128においてCPU320は、用紙検知処理を実行する。用紙検知処理の内容については後述する。
【0054】
S140においてCPU320は、EEPROM282に一時的に記憶されている時刻(カウンタ314に記憶させる装置情報検出時刻の候補となる時刻)のうち、最も近い時刻を選択する。EEPROM282に一時的に記憶されている時刻としては、例えば、インク温度検出時刻(S120)、定期メンテナンス時刻(S154およびS118)、I/F接続変更時刻(S224)、誤装着時設定時刻(S324)、ジャム検出時刻(S434)などが挙げられる。そしてCPU320は、選択された最も近い時刻を、装置情報検出時刻としてカウンタ314のレジスタに記憶させる。
【0055】
また、S140においてCPU320は、最も短い時刻に関連する処理のフラグをEEPROM282に記憶させる。EEPROM282に記憶されるフラグの種類には、定期メンテナンスフラグ、温度検知フラグ、I/F接続変更フラグ、カートリッジ変更フラグ、ジャムフラグ、が存在する。
【0056】
S142においてCPU320は、0Vスリープ生成手段322から電源部301へ、0Vスリープ信号SLEEP1を送信させる。これにより、画像形成装置1が第1スリープモードから第2スリープモードへ移行する。そしてフローが終了する。
【0057】
一方、S112において、EEPROM282からI/F接続変更フラグが読み出された場合には(S112:I/F接続変更フラグ)、S130へ進む。S130においてCPU320は、I/F接続検知処理を実行する。I/F接続検知処理の内容については後述する。また、S112において、カートリッジ変更フラグが読み出された場合には(S112:カートリッジ変更フラグ)、S132へ進む。S132においてCPU320は、カートリッジ検知処理を実行する。カートリッジ検知処理の内容については後述する。また、S112において、ジャムフラグが読み出された場合には(S112:ジャムフラグ)、S134へ進む。S134においてCPU320は、用紙検知処理を実行する。用紙検知処理の内容については後述する。
【0058】
また、S112において、EEPROM282から定期メンテナンスフラグが読み出された場合には(S112:定期メンテナンスフラグ)、S152(
図5)へ進む。S152においてCPU320は、定期メンテナンス処理を実行する。定期メンテナンス処理では、例えば、パージやフラッシングなど、記録ヘッド11のノズルをメンテナンスする処理が実行されてもよい。
【0059】
S154においてCPU320は、次に定期メンテナンス処理を実行する時刻として、定期メンテナンス時刻の初期値(例:前回の定期メンテナンス時刻の30日後)をEEPROM282に記憶させる。S156においてCPU320は、第2保持手段315に記憶されているカウンタフラグを消去する。そしてS140(
図4)へ進む。
【0060】
図6を用いて、S124およびS130で行われるI/F接続検知処理を説明する。S212においてCPU320は、USBホストI/F341〜LAN_I/F343から、I/F接続情報を取得する。S214においてCPU320は、LAN接続やUSB接続に変化があったか否かを判断する。具体的には、S212で取得したI/F接続情報が、EEPROM282に記憶されているI/F接続情報と一致するか否かを判断する。変化があった場合(S214:YES)にはS218へ進み、変化がない場合(S214:NO)にはS216へ進む。
【0061】
S216においてCPU320は、EEPROM282にI/F接続変更フラグが記憶されているか否かを判断する。I/F接続変更フラグが記憶されていない場合(S216:NO)には、LAN接続やUSB接続の変更に対応済みであると判断され、S226へ進む。一方、I/F接続変更フラグが記憶されている場合(S216:YES)には、LAN接続やUSB接続の変更に対応するための処理が未実行であると判断され、S218へ進む。
【0062】
S218においてCPU320は、LAN接続やUSB接続の変更に対応するための処理を実行する旨をユーザに報知する、報知処理を実行する。報知処理は、例えば、「画像形成装置に接続した機器の電源を入れてください」などの文字列をタッチパネル334に表示させてもよい。報知処理は、所定時間行われるとしてもよい。
【0063】
S220において、CPU320は、画像形成装置1に接続された機器からの設定変更通知を受信したか否かを判断する。例えば、不図示のPC(Personal Computer)がUSB_I/F342を介して接続された場合には、PC側で画像形成装置1に対応するドライバ情報の読み出しが完了すると、PCから設定変更通知を受信するとしてもよい。接続先機器から設定変更通知を受信していない場合(S220:NO)には、S224へ進む。S224においてCPU320は、カウンタ314に記憶させる装置情報検出時刻の候補として、I/F接続変更時刻(例:15分後)をEEPROM282に一時的に記憶させる。また、I/F接続変更フラグをEEPROM282に記憶する。
【0064】
一方、接続先機器から設定変更通知を受信した場合(S220:YES)には、S222へ進む。S222においてCPU320は、EEPROM282からI/F接続変更フラグを消去する。また、EEPROM282に一時的に記憶されているI/F接続変更時刻を消去する。S226に進みCPU320は、I/F接続情報をEEPROM282に記憶させる。そしてフローを終了する。
【0065】
図7を用いて、S126およびS132で行われるカートリッジ検知処理を説明する。S312においてCPU320は、インクカートリッジIC339からカートリッジ情報CCSを取得する。S314においてCPU320は、カートリッジ情報に変化が生じたか否かを判断する。具体的には、S312で取得したカートリッジ情報が、EEPROM282に記憶されているカートリッジ情報と一致するか否かを判断する。変化が生じた場合(S314:YES)にはS318へ進み、変化が生じていない場合(S314:NO)にはS316へ進む。
【0066】
S316においてCPU320は、EEPROM282にカートリッジ変更フラグが記憶されているか否かを判断する。カートリッジ変更フラグが記憶されていない場合(S316:NO)には、インクカートリッジ340が正しく装着されている場合であると判断され、S326へ進む。一方、カートリッジ変更フラグが記憶されている場合(S316:YES)には、インクカートリッジ340の交換に対応するための処理が未実行であると判断され、S318へ進む。
【0067】
S318においてCPU320は、インクカートリッジ340の交換に対応するための処理を実行する旨をユーザに報知する、報知処理を実行する。報知処理は、例えば、「インクカートリッジを確認してください」などの文字列をタッチパネル334に表示させてもよい。また報知処理は、所定時間行われるとしてもよい。
【0068】
S320においてCPU320は、インクカートリッジ340が誤装着されているか否かを判断する。誤装着の例としては、カートリッジの取付け部の色と、取付けられたカートリッジの色とが異なっている場合が挙げられる。インクカートリッジ340が誤装着されている場合(S320:YES)には、S324へ進む。S324においてCPU320は、カウンタ314に記憶させる装置情報検出時刻の候補として、誤装着時設定時刻(例:15分後)をEEPROM282に一時的に記憶させる。また、カートリッジ変更フラグをEEPROM282に記憶する。
【0069】
一方、インクカートリッジ340が誤装着されていない場合(S320:NO)には、S322へ進む。S322においてCPU320は、EEPROM282からカートリッジ変更フラグを消去する。また、EEPROM282に一時的に記憶されている誤装着時設定時刻を消去する。そしてS326へ進む。
【0070】
S326においてCPU320は、インクカートリッジ340が交換されたか否かを判断する。インクカートリッジ340が交換されたか否かを判断する方法の例としては、インク残量が変化したかを判断することが挙げられる。交換された場合(S326:YES)にはS328へ進み、記録ヘッド11のメンテナンス処理(パージ、フラッシングなど)を実行する。そしてS326へ戻る。一方、インクカートリッジ340が交換されていない場合(S326:NO)にはS330へ進む。S330においてCPU320は、交換後のインクカートリッジ340からカートリッジ情報CCSを取得し、EEPROM282に記憶させる。そしてフローを終了する。
【0071】
図8を用いて、S128およびS134で行われる用紙検知処理を説明する。S412において、CPU320は、原稿センサ336、原稿先端センサ337、レジセンサ338から、各種の情報を取得する。S414においてCPU320は、オートドキュメントフィーダ(不図示)に原稿がセットされている旨の信号SS3を、原稿センサ336から受信したか否かを判断する。原稿がセットされていない場合(S414:NO)にはS418へ進み、原稿がセットされている場合(S414:YES)にはS416へ進む。S416においてCPU320は、オートドキュメントフィーダ(不図示)に原稿がセットされている旨をユーザに報知する、報知処理を実行する。報知処理は、例えば、「原稿がセットされています」などの文字列をタッチパネル334に表示させてもよい。報知処理は、所定時間行われるとしてもよい。
【0072】
S418においてCPU320は、原稿の先端部が読み取り中の位置に存在する旨の信号SS4を原稿先端センサ337から受信したか、または、記録用紙の先端部が印刷中の位置に存在する旨の信号SS5をレジセンサ338から受信したか、を判断する。これらの信号を受信していない場合(S418:NO)にはS426へ進む。一方、これらの信号を受信した場合(S418:YES)には、原稿や記録用紙が搬送経路の途中に位置している場合(紙詰まりが発生している場合)であると判断され、S422へ進む。S422においてCPU320は、ペーパーフィードモータ131やオートドキュメントフィードモータ132を駆動し、排紙処理を実行する。
【0073】
S424においてCPU320は、原稿の先端部が読み取り中の位置に存在する旨の信号SS4を原稿先端センサ337から受信したか、または、記録用紙の先端部が印刷中の位置に存在する旨の信号SS5をレジセンサ338から受信したか、を再度判断する。これらの信号を受信した場合(S424:YES)には、原稿や記録用紙の紙詰まりが依然として発生している場合であると判断され、S428へ進む。一方、これらの信号を受信していない場合(S424:NO)にはS426へ進む。S426においてCPU320は、EEPROM282にジャムフラグが記憶されているか否かを判断する。ジャムフラグが記憶されていない場合(S426:NO)には、原稿や記録用紙の紙詰まりが発生していないと判断され、S432へ進む。一方、ジャムフラグが記憶されている場合(S426:YES)には、原稿や記録用紙の紙詰まりが発生していると判断され、S428へ進む。S428においてCPU320は、原稿や記録用紙の紙詰まりが発生している旨をユーザに報知する、報知処理を実行する。報知処理は、例えば、「紙詰まりが発生しています」などの文字列をタッチパネル334に表示させてもよい。報知処理は、所定時間行われるとしてもよい。
【0074】
S430においてCPU320は、原稿の先端部が読み取り中の位置に存在する旨の信号SS4を原稿先端センサ337から受信したか、または、記録用紙の先端部が印刷中の位置に存在する旨の信号SS5をレジセンサ338から受信したか、を再度判断する。これらの信号を受信した場合(S430:YES)には、原稿や記録用紙の紙詰まりが依然として発生している場合であると判断され、S434へ進む。S434においてCPU320は、カウンタ314に記憶させる装置情報検出時刻の候補として、ジャム検出時刻(例:15分後)をEEPROM282に一時的に記憶させる。また、ジャムフラグをEEPROM282に記憶する。
【0075】
一方、これらの信号を受信していない場合(S430:NO)には、原稿や記録用紙の紙詰まりが発生していないと判断され、S432へ進む。S432においてCPU320は、EEPROM282からジャムフラグを消去する。また、EEPROM282に一時的に記憶されているジャム検出時刻を消去する。そしてフローを終了する。
【0076】
図9を用いて、通常処理(S34)を説明する。S510においてCPU320は、一般的な処理を実行する。一般的な処理の一例としては、印刷処理が挙げられる。S512においてCPU320は、第1スリープモードへの移行条件が満たされたか否かを判断する。移行条件の例としては、画像形成装置1に何れの命令も入力されない状態で、予め定められた所定時間が経過する条件が挙げられる。移行条件が満たされない場合(S512:NO)にはS516へ進み、移行条件が満たされた場合(S512:YES)にはS514へ進む。S514においてCPU320は、8Vスリープ生成手段321から電源部301へ、8Vスリープ信号SLEEP2を送信させる。これにより、画像形成装置1が通常モードから第1スリープモードへ移行する。そしてS516へ進む。
【0077】
S516においてCPU320は、第2スリープモードへの移行命令の入力が受け付けられたか否かを判断する。第2スリープモードへの移行命令の入力は、例えば、電源スイッチ331によって受け付けられてもよい。移行命令の入力が受け付けられていない場合(S516:NO)にはS510へ戻り、移行命令の入力が受け付けられた場合(S516:YES)にはS5118へ進む。S518においてCPU320は、0Vスリープ生成手段322から電源部301へ、0Vスリープ信号SLEEP1を送信させる。これにより、画像形成装置1が第1スリープモードから第2スリープモードへ移行する。そしてフローが終了する。
【0078】
<効果>
本明細書に開示されている画像形成装置1の効果を説明する。画像形成装置1によれば、画像形成装置1が第2スリープモード(電源部301から電力が供給されていないモード)である場合には、RTC部310は、コンデンサ302からの電力供給によって画像形成装置1を監視することができる。これにより、画像形成装置1を使用しない期間においては、電源部301からは電力の供給を受けず、コンデンサ302からの電力供給だけで画像形成装置1を駆動させることができるため、さらなる省電力化を図ることができる。
【0079】
画像形成装置1の状態が変化している場合(S214、S314:YES)には、カウンタ314に記憶させる装置情報検出時刻として、I/F接続変更時刻(S224)や誤装着時設定時刻(S324)が使用される。そして、画像形成装置1の状態が変化している場合の装置情報検出時刻(I/F接続変更時刻、誤装着時設定時刻など)は、画像形成装置の状態が変化していない場合の装置情報検出時刻(インク温度検出時刻、定期メンテナンス時刻など)に比して、短い周期で設定される。よって、画像形成装置の状態が変化している場合の方が、画像形成装置の状態が変化していない場合に比して、第2スリープモードから通常モードに遷移する頻度を高くすることができる。これにより、画像形成装置1の状態が変化している場合(装置状態の監視が必要な場合)の方が、より高い頻度で画像形成装置1に関する情報を取得(S212、S312)することが可能となる。よって、画像形成装置1の状態に応じて、省電力化を優先する制御と、画像形成装置の状態を監視する制御を優先する制御とを切り替えることが可能となる。
【0080】
画像形成装置1では、I/Fの接続変更に未対応の旨を示すI/F接続変更フラグ(S224)や、インクカートリッジ340が正しく装着されていない旨を示すカートリッジ変更フラグ(S324)を、EEPROM282に記憶させることができる。よって、I/Fの接続変更に未対応の場合や、インクカートリッジ340が誤装着されている場合(すなわち装置状態の監視が必要な場合)には(S216、S316)、第2スリープモードから通常モードに遷移する頻度を高くすることで、より高い頻度で画像形成装置の装置状態を監視することが可能となる。
【0081】
インクカートリッジ340に保持されているインクは、温度が低くなるほど粘度が上昇し、記録ヘッド11でのインク詰まりが発生しやすくなる。画像形成装置1では、インクの温度が低いほど、通常モードに遷移してメンテナンス処理を実行する頻度を高くすることができる(S118)。これにより、記録ヘッド11でのインク詰まりの発生を、より効果的に防止することができる。
【0082】
コンデンサ302には、電気二重層コンデンサが用いられている。電気二重層コンデンサは、充電に際してイオンの移動を伴わないため、2次電池等を用いる場合に比して早く充電を完了させることができる。よって、画像形成装置1が通常モードまたは第1スリープモードに遷移し、他の処理を実行している期間中に、コンデンサ302の充電を完了させることが可能となる。これにより、コンデンサ302を充電するためだけに画像形成装置1を通常モードまたは第1スリープモードに維持する必要を無くすことができる、さらなる省電力化を図ることができる。
【0083】
<変形例>
上記の実施例の変形例を以下に列挙する。S116において測定される情報は、インクの温度に限られない。画像形成装置1の周囲の環境に関する情報(室温、湿度など)を測定するとしてもよい。そして、室温や湿度も考慮して、定期メンテナンス時刻を調整(S118)するとしてもよい。これにより、記録ヘッド11でのインク詰まりの発生を、さらに効果的に防止することができる。
【0084】
S118において、インクの温度に基づいて定期メンテナンス時刻を更新する方法は、各種の方法であってよい。例えば、インク温度が高いほど、前回の定期メンテナンス時刻と次回の定期メンテナンス時刻の間隔を長くする更新方法でもよい。
【0085】
S20において、コンデンサ302への充電完了を検出する方法は、充電時間を用いた方法に限られず、各種の方法が使用可能である。例えば、コンデンサ残量検知手段304を用いてコンデンサ302の充電残量が予め定められた所定値よりも大きくなったことを検出すると、コンデンサ302への充電が完了したことを検出し、充電フラグを消去する(S22)としてもよい。
【0086】
図3のフローは、画像形成装置1が第2スリープモードから通常モードへ移行することに応じて開始されるとしたが、この形態に限られない。画像形成装置1が第2スリープモードから第1スリープモードへ移行することに応じて、
図3のフローが開始されてもよい。そして、ペーパーフィードモータ131〜キャリッジモータ134を動作させる必要のある処理(用紙検知処理、
図8)や、記録ヘッド11を動作させる必要のある処理(定期メンテナンス処理、
図5)を実行する必要が生じた場合には、第1スリープモードから通常モードへ移行するとしてもよい。
【0087】
カウンタ314のレジスタに、各種の装置情報検出時刻を記憶させる方法には、各種の方法を使用することができる。例えば、各種の装置情報検出時刻をカウンタ値で記憶させてもよい。
【0088】
本実施例では、インクジェット画像形成装置に本発明を適用した例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。画像形成装置に限定されず、様々な機器の制御回路にも適用することが可能である。
【0089】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0090】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0091】
電源部301は、電源部の一例である。通常モード、第1スリープモードは、第1状態の一例である。第2スリープモードは、第2状態の一例である。RTC310は、監視部の一例である。ASIC10(CPU320含む)は、制御部の一例である。EEPROM282は、記憶部の一例である。定期メンテナンスフラグ、温度検知フラグ、I/F接続変更フラグ、カートリッジ変更フラグ、ジャムフラグは、指示情報の一例である。インクの温度、I/F接続情報、カートリッジ情報、各種の情報(S412)は、情報の一例である。0Vスリープ信号SLEEP1は、停止信号の一例である。電源制御手段317は、切替部の一例である。インク温度検出時刻の周期は、第1の装置情報時間の一例である。I/F接続変更時刻の周期、カートリッジ変更時刻の周期は、第2の装置情報時間の一例である。I/F接続変更フラグ、カートリッジ変更フラグは、変化情報の一例である。インク温度は、環境情報の一例である。インクカートリッジ340は、保持部の一例である。記録ヘッド11は、印刷部の一例である。