(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0020】
(第1の
参考例)
図1には、車両の電動パワーステアリング、電動オイルポンプ、電動スタビライザー等の制御機器に使用される3相ブラシレスモータ10の制御装置の全体が示され、
第1の参考例の故障判別装置は、コントロールユニット11内に組み込まれている。
【0021】
3相ブラシレスモータ10は、U相のコイルLu、V相のコイルLv、W相のコイルLwと計3つのコイルがY結線されている。なお、コイルの結線は、この他デルタ結線も可能である。各相のコイルに接続されたモータ端子として、U相のコイルLuと接続されたモータ端子12U、V相のコイルLvと接続されたモータ端子12V、W相のコイルLw接続されたモータ端子12Wの3つを有する。
【0022】
3相ブラシレスモータ10を回転制御するために、各モータ端子12U、12V、12Wに対応して3つのモータ駆動回路13U、13V、13Wを備える。モータ駆動回路13Uは、直流電源なる12ボルトの車載バッテリ14の正端子から正の電源電圧Vbが供給された電源ライン15と車載バッテリ14の負端子と同電位のグランドラインGNDとの間に一対のスイッチング素子なるトランジスタTr1、Tr4を有する。2つのトランジスタTr1とTr4との接続点は、モータ端子12Uに接続されている。
【0023】
モータ駆動回路13Vは、電源ライン15とグランドラインGNDとの間に一対のスイッチング素子なるトランジスタTr2、Tr5を有する。2つのトランジスタTr2とTr5との接続点は、モータ端子12Vに接続されている。
【0024】
モータ駆動回路13Wは、電源ライン15とグランドラインGNDとの間に一対のスイッチング素子なるトランジスタTr3、Tr6を有する。2つのトランジスタTr3とTr6の接続点は、モータ端子12Wに接続されている。
【0025】
3相ブラシレスモータ10は、
図2に示す如くのタイムチャートに基づく、スイッチング素子なる6つのトランジスタTr1〜Tr6のオン、オフ作動即ちモータ駆動回路13U、13V、13W内の正端子側のスイッチング素子(Tr1、Tr2、Tr3)を順にオンするとともに、他の駆動回路内の負端子側のスイッチング素子(Tr4、Tr5、Tr6)を順にデュティ駆動することで、3相ブラシレスモータ10の回転を制御するものである。
【0026】
図1に示すように、第1の
参考例の3相ブラシレスモータの故障判別装置では、抵抗値が異なる2つのプルアップ
用抵抗31、32と、1つのプルダウン
用抵抗33を用いたものである。モータ端子12Uと直流電源14の正端子に接続されて電源電圧Vbなる電源ライン15との間には、プルアップ
用抵抗31が設けられている。モータ端子12Vと電源ライン15との間には、プルアップ
用抵抗32が設けられている。モータ端子12WとグランドラインGNDとの間には、プルダウン
用抵抗33が設けられている。
【0027】
図1を参照して、モータ端子12Wには、電圧モニタ用信号ライン20が接続されて、モータ端子12Wにおける電圧をモニタする。モータ端子12Wの電圧は、電圧モニタ用信号ライン20を通じて、抵抗21と抵抗22とにて分圧された後、ダイオードD1とD2との電圧クランプを介してコントローラ23のA/D変換器に接続される。なお、電圧モニタ用信号ライン20に分圧用の抵抗21と抵抗22を介在させて、モータ端子12Wの電圧例えば電源ライン15の電圧Vbなる12ボルトからグランドラインGNDなる0ボルトをコントローラ20が読み込み可能な電位なる通常5ボルト〜0ボルトの範囲に分圧している。
【0028】
抵抗21と抵抗22にて分圧された電圧モニタ信号ライン20の電圧を、コントローラ23が読み込み可能な電位通常5ボルト〜0ボルトの範囲に安定化するために、ダイオードD1は5ボルトの安定化電源Vccと電圧モニタ信号ライン20とに接続されている。そして、ダイオードD2は、電圧モニタ用信号ライン20とグランドラインGNDとに接続されている。
【0029】
電圧モニタ信号ライン20の電圧は、3相ブラシレスモータ10を制御する例えばマイクロコンピュータにて構成されたコントローラ23に入力され、コントローラ23が3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lv、Lwの故障を判別するモニタ装置として用いられる。
【0030】
コントロールユニット11は、イグニッションスイッチIGSWがオンの間、直流電源14と接続されて作動可能である。又、コントローラ23は、電源ライン15の電源電圧Vbの値を読み込み、定期的に更新している。従って、電源電圧Vbが仮に変動しても、実際の電源電圧Vbを認識して演算に使用しているため、電源電圧Vbの変動に基づく支障もない。
【0031】
次に、
第1の参考例の故障判別装置において、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lw、Lwの故障を判別するために、コントローラ23のモニタ装置にて実行される故障判別処理について説明する。
【0032】
コントローラ23による3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lw、Lwの故障の判別は、3相ブラシレスモータ10が回転していない時、即ち、イグニションスイッチIGSWがオン状態でかつモータ駆動回路13U、13W、13Wの全てのスイッチング素子なるトランジスタTr1〜Tr6のすべてがオフしている状態にて行われる。
【0033】
この時、3相ブラシレスモータ10は、抵抗31、32、33からしか電圧供給されないことから、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu,Lv,Lwが正常な場合には、下記の数式1にて求まる値となる。
【0034】
下記の表1に数式1の各物理量の実用的な値の例を示す。なお、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu,Lv,Lwの抵抗は、数キロオームに設定されたR31、R32、R33に対して十分小さい数オーム以下である。
【0037】
しかし、例えば、3相ブラシレスモータ10のU相のコイルLuが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、下記の数式2にて示される値に変化する。
【0039】
なお、3相ブラシレスモータ10のV相のコイルLvが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、下記の数式3にて示される値に変化する。
【0041】
なお、3相ブラシレスモータ10のW相のコイルLwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、下記の数式4にて示される値に変化する。
【0043】
従って、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lv、Lwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧(参照 数式1)に対して、全て変化した電圧(参照 数式2〜数式4)となる。
【0044】
電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、具体的には、表1に基づき、
図3に示す如くとなり、どの相のコイルが断線しているか判別できる。このように、
第1の参考例の故障判別装置においては、電圧モニタ用信号ライン20からの信号レベルからコントローラ23のモニタ装置にて各相のコイルLu、Lv、Lwの故障判別を行う。
【0045】
次に、コントローラ23にて実際に実行される故障判別処理について
図4のフローチャートを用いて説明する。この故障判別処理は、コントローラ23の起動後、故障判別が完了するまで繰り返し実行される処理である。処理が開始されると、先ずステップS1にて、イグニションスイッチIGSWがオンされているか否かを判断する。
【0046】
そして、ステップS1にて、イグニションスイッチIGSWがオンしていると判断された場合には、ステップS2に移行してモータ駆動回路13U、13V、13Wのスイッチング素子のトランジスタTr1、トランジスタTr2、トランジスタTr3、トランジスタTr4、トランジスタTr5、トランジスタTr6の全てがオフされているか否かを判断する。
【0047】
そして、ステップS2にて、トランジスタTr1〜Tr6のすべてがオフされていると判断された場合には、ステップS3に移行して、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lv、Lwの断線の故障判別処理を行う。
【0048】
ステップS3にて行われる故障判別処理は、前述の如く、
図3に示した電圧モニタ用信号ライン20からの信号レベルを、コントローラ23のモニタ装置へ取り込み、モニタ装置はその信号レベルにて、3相ブラシレスモータ10のコイルLu、Lv、Lwの内どのコイルで断線しているか判別を行うものである。
【0049】
この判別に基づき、3相ブラシレスモータ10のコイルLu、Lv、Lwの内いずれかのコイルが断線している場合には、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、断線したコイルの点検、修理又は交換を行うことが可能である。
【0050】
なお、結線の間違いにて3相ブラシレスモータ10のモータ端子12U、12V、12Wの何れか一つでも、車載バッテリ14の正端子に誤接続される所謂天絡が生じる故障もある。この様な天絡の故障の場合には、モータ端子12Wの電圧Wvは、電源電圧Vbに変化する。
【0051】
天絡が生じた場合におけるこのモータ端子12Wの電圧Wvにおける電源電圧Vbは、前述の如く、数1、数2、数3及び数4に示した各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧、U相のコイルLuが断線した場合、V相のコイルLvが断線した場合、W相のコイルLwが断線した場合におけるモータ端子12Wの電圧Wvの何れとも相違する。従って、モータ端子12Wの電圧Wvをモニタすることにより、天絡の故障も判別できる。
【0052】
この判別に基づき、3相ブラシレスモータ10が天絡している場合には、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、正しい結線とすることが可能である。
【0053】
なお、3相ブラシレスモータ10はその配線を保護している被覆が破れ、電線が車両の金属ボデー(バッテリのマイナス端子に接続されている)と接触する所謂地絡が生じる故障もある。3相ブラシレスモータ10が地絡した故障の場合には、モータ端子12Wの電圧Wvは、ゼロボルトに変化し、同様にモータ端子12Uの電圧Uv及びモータ端子12Vの電圧Vvもゼロボルトに変化する。
【0054】
モータ端子12Wの電圧Wvは、地絡の場合もゼロボルトであり、又、コイルLwが断線した場合も、前述の数4に示した如くゼロボルトとなる。
【0055】
しかしながら、モータ端子12Uの電圧Uv及びモータ端子12Vの電圧Vvは、地絡の場合がゼロボルトであるに対し、コイルLwが断線した場合には、モータ端子12Uの電圧Uv及びモータ端子12Vの電圧Vvは、ともにVbとなり、モータ端子12Wの電圧Wvのゼロボルトとは相違する。
【0056】
従って、モータ端子12Wの電圧Wvがゼロボルトの場合に、故障がコイルLwの断線か地絡かを判別するには、次いで、モータ端子12Uの電圧Uv及びモータ端子12Vの電圧Vvの内の少なくとも何れか一方でVbかゼロボルトかを検知すれば足りるものである。又、その検知は、モータ端子12U及びモータ端子12Vの何れか一方にモータ端子12Wと同様に電圧モニター用信号ライン20を接続した構成にて可能である。その検知結果として、モータ端子12Uの電圧Uv又はモータ端子12Vの電圧VvがVbであることを検知した場合には、コイルLwの断線と判別できる。又モータ端子12Uの電圧Uv又はモータ端子12Vの電圧Vvがゼロボルトであることを検知した場合には地絡と判別できる。
【0057】
この判別に基づき、3相ブラシレスモータ10の地絡も判別できるとともに地絡している場合には、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、適切な配線とすることが可能である。
【0058】
(第2の
参考例)
次に、
図5は、第2の
参考例の3相ブラシレスモータの故障判別装置の構成を示す構成図である。なお、
図5において、
図1と同じものについては、その図と同一の符号を付しているため説明を省略する。そして、以下では、第1の
参考例と相違する点のみ説明する。
【0059】
図5に示すように、第2の
参考例の3相ブラシレスモータ10の故障判別装置では、1つのプルアップ
用抵抗41と、抵抗値が異なる2つのプルダウン
用抵抗42、43を用いたものである。電圧モニタ用信号ライン20は、モータ端子12Uに接続している。
【0060】
図5を参照して、モータ端子12Uと直流電源14の正端子に接続されて電源電圧Vbなる電源ライン15との間には、プルアップ
用抵抗41が設けられている。モータ端子12VとグランドラインGNDとの間には、プルダウン
用抵抗42が設けられている。モータ端子12WとグランドラインGNDとの間には、プルダウン
用抵抗43が設けられている。
【0061】
第2の
参考例における3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lw、Lwの故障の判別も、第1の
参考例の場合と同様に、3相ブラシレスモータ10が回転していない時、即ち、イグニションスイッチIGSWがオン状態でかつモータ駆動回路13U、13W、13Wの全てのスイッチング素子なるトランジスタTr1〜Tr6のすべてがオフしている状態にて行われる。
【0062】
この時、3相ブラシレスモータ10は、抵抗41、42、43からしか電圧供給されないことから、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Uの電圧Uvは、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu,Lv,Lwが正常な場合には、下記の数式5によって求まる。なお、R41はプルアップ
用抵抗41の抵抗値、又、R42、R43はプルダウン
用抵抗42、43の各抵抗値を表す。
【0064】
しかし、例えば、3相ブラシレスモータ10のU相のコイルLuが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Uの電圧Uvは、下記の数式6にて示される値となる。
【0066】
なお、3相ブラシレスモータ10のV相のコイルLvが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Uの電圧Uvは、下記の数式7にて示される値に変化する。
【0068】
なお、3相ブラシレスモータ10のW相のコイルLwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Uの電圧Uvは、下記の数式8にて示される値に変化する。
【0070】
従って、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lv、Lwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Uの電圧Uvは、各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧(参照 数式5)に対して、全て変化した電圧(参照 数式6〜数式8)となるため、どの相のコイルが断線しているか判別できる。
【0071】
この判別に基づき、3相ブラシレスモータ10のコイルLu、Lv、Lwの内いずれかのコイルが断線している場合には、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、断線したコイルの点検、修理又は交換を行うことが可能である。
【0072】
なお、3相ブラシレスモータ10はその配線を保護している被覆が破れ、電線が車両の金属ボデー(バッテリのマイナス端子に接続されている)と接触する所謂地絡が生じる故障もある。3相ブラシレスモータ10が地絡した故障の場合には、モータ端子12Uの電圧Wvは、ゼロボルトに変化する。
【0073】
地絡が生じた場合におけるこのモータ端子12Uの電圧Uvにおけるゼロボルトは、前述の如く、数5、数6、数7及び数8に示した各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧、U相のコイルLuが断線した場合、V相のコイルLvが断線した場合、W相のコイルLwが断線した場合におけるモータ端子12Uの電圧Uvの何れとも相違する。従って、モータ端子12Uの電圧Uvをモニタすることにより、地絡の故障も判別できる。
【0074】
この判別に基づき、3相ブラシレスモータ10が地絡している場合には、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、正しい結線とすることが可能である。
【0075】
なお、結線の間違いにて3相ブラシレスモータ10のモータ端子12U、12V、12Wの何れか一つでも、車載バッテリ14の正端子に誤接続される所謂天絡が生じる故障もある。この様な天絡の故障の場合には、モータ端子12Uの電圧Uvは、電源電圧Vbとなり、同様にモータ端子12Vの電圧Vv及びモータ端子12Wの電圧Wvも電源電圧Vbとなる。
【0076】
モータ端子12Uの電圧Uvは、天絡の場合も電源電圧Vbであり、又、コイルLuが断線した場合も、前述の数6に示した如く電源電圧Vbとなる。
【0077】
しかしながら、モータ端子12Vの電圧Vv及びモータ端子12Wの電圧Wvは、天絡の場合が電源電圧Vbであるに対し、コイルLuが断線した場合には、モータ端子12Vの電圧Vv及びモータ端子12Wの電圧Wvは、ともにゼロボルトとなり、モータ端子12Uの電圧Uvの電源電圧Vbとは相違する。
【0078】
従って、モータ端子12Uの電圧Uvが電源電圧Vbの場合に、故障がコイルLuの断線か天絡かを判別するには、次いで、モータ端子12Vの電圧Vv及びモータ端子12Wの電圧Wvの内の少なくとも何れか一方でVbかゼロボルトかを検知すれば足りるものである。又、その検知は、モータ端子12V及びモータ端子12Wの何れか一方にモータ端子12Uと同様に電圧モニター用信号ライン20を接続した構成にて可能である。その検知結果として、モータ端子12Vの電圧又はモータ端子12Wの電圧Wvがゼロボルトであることを検知した場合には、コイルLwの断線と判別できる。又モータ端子12Vの電圧Vv又はモータ端子12Wの電圧Wvが電源電圧Vbであることを検知した場合には天絡と判別できる。
【0079】
この判別に基づき、3相ブラシレスモータ10の天絡も判別できるとともに天絡している場合には、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、適切な配線とすることが可能である。
【0080】
(第3の
参考例)
次に
図6は、第3の
参考例の3相ブラシレスモータの故障判別装置の構成を示す構成図である。なお、
図6において、
図1と同じものについては、その図と同一の符号を付しているため説明を省略する。そして、以下では、第1の
参考例と相違する点のみ説明する。
【0081】
図6に示すように、第3の
参考例の3相ブラシレスモータの故障判別装置では、抵抗値が異なる3つのプルアップ
用抵抗51、52、53と、抵抗値が異なる3つのプルダウン
用抵抗54、55、56を用いたものである。電圧モニタ用信号ライン20は、モータ端子12Vに接続している。
【0082】
図6を参照して、モータ端子12Uと直流電源14の正端子に接続されて電圧Vbなる電源ライン15との間には、プルアップ
用抵抗51が設けられている。モータ端子12Vと電源ライン15との間には、プルアップ
用抵抗52が設けられている。モータ端子12Wと電源ライン15との間には、プルアップ
用抵抗53が設けられている。
【0083】
モータ端子12UとグランドラインGNDとの間には、プルダウン抵抗54が設けられている。モータ端子12VとグランドラインGNDとの間には、プルダウン抵抗55が設けられている。モータ端子12WとグランドラインGNDとの間には、プルダウン抵抗56が設けられている。
【0084】
第3の
参考例における3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lw、Lwの故障の判別も、第1の
参考例の場合と同様に、3相ブラシレスモータ10が回転していない時、即ち、イグニションスイッチIGSWがオン状態でかつモータ駆動回路13U、13W、13Wの全てのスイッチング素子なるトランジスタTr1〜Tr6のすべてがオフしている状態にて行われる。
【0085】
この時、3相ブラシレスモータ10は、抵抗51〜抵抗56からしか電圧供給されないことから、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Vの電圧Vvは、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu,Lv,Lwが正常な場合には、下記の数式9によって求まる値となる。なお、R51、R52、R53はプルアップ
用抵抗51、52、53の抵抗値、又、R54、R55、R56はプルダウン
用抵抗54、55、56の各抵抗値を表す。
【0087】
しかし、例えば、3相ブラシレスモータ10のU相のコイルLuが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Vの電圧Vvは、下記の数式10にて示される値に変化する。
【0089】
なお、3相ブラシレスモータ10のV相のコイルLvが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Vの電圧Vvは、下記の数式11にて示される値に変化する。
【0091】
なお、3相ブラシレスモータ10のW相のコイルLwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Vの電圧Vvは、下記の数式12にて示される値に変化する。
【0093】
従って、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lv、Lwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Vの電圧Vvは、各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧(参照 数式9)に対して、全て変化した電圧(参照 数式10〜数式12)となるため、どの相のコイルが断線しているか判別できる。
【0094】
この判別に基づき、3相ブラシレスモータ10のコイルLu、Lv、Lwの内いずれかのコイルが断線している場合には、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、断線したコイルの点検、修理又は交換を行うことが可能である。
【0095】
なお、3相ブラシレスモータ10はその配線を保護している被覆が破れ、電線が車両の金属ボデー(バッテリのマイナス端子に接続されている)と接触する所謂地絡が生じる故障もある。3相ブラシレスモータ10が地絡した故障の場合には、モータ端子12Vの電圧Vvは、ゼロボルトに変化する。
【0096】
一方、結線の間違いにて3相ブラシレスモータ10のモータ端子12U、12V、12Wの何れか一つでも、車載バッテリ14の正端子に誤接続される所謂天絡が生じる故障もある。この様な天絡の故障の場合には、モータ端子12Vの電圧Vvは、電源電圧Vbに変化する。
【0097】
モータ端子12Vの電圧Vvに関し、3相ブラシレスモータ10に地絡が生じた場合におけるモータ端子12Vの電圧Vvのゼロボルト及び3相ブラシレスモータ10に天絡に天絡が生じた場合におけるモータ端子12Vの電圧Vvの電源電圧Vbは、前述の如く、数9、数10、数11及び数12に示した各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧、U相のコイルLuが断線した場合、V相のコイルLvが断線した場合、W相のコイルLwが断線した場合におけるモータ端子12Vの電圧Vvの何れとも相違する。従って、モータ端子12Vの電圧Vvをモニタすることにより、各相のコイルの断線並びに地絡及びの天落の故障も判別できる。
【0098】
この判別に基づき、地絡あるいは天絡している場合には、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、適切な配線とすることが可能である。
【0099】
(
本発明の実施形態)
次に
図7は、
本発明の実施形態の3相ブラシレスモータの故障判別装置の構成を示す構成図である。なお、
図7において、
図1と同じものについては、その図と同一の符号を付しているため説明を省略する。そして、以下では、第1の
参考例と相違する点のみ説明する。
【0100】
図7を参照して、モータ端子12Uと直流電源14の正端子に接続されて電圧Vbなる電源ライン15との間には、プルアップ
用抵抗61が設けられている。モータ端子12WとグランドラインGNDとの間には、プルダウン
用抵抗64が設けられている。モータ端子12Vとモータ端子12U間には抵抗62が接続され、又、モータ端子12Vとモータ端子12W間には抵抗63が接続されている。
【0101】
本発明の実施形態における3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lw、Lwの故障の判別も、第1の
参考例の場合と同様に、3相ブラシレスモータ10が回転していない時、即ち、イグニションスイッチIGSWがオン状態でかつモータ駆動回路13U、13W、13Wの全てのスイッチング素子なるトランジスタTr1〜Tr6のすべてがオフしている状態にて行われる。
【0102】
電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvに基づき、各相のコイルの断線をモニタすることにより、コイルの断線及び地絡及び天絡を含めた3相ブラシレスモータ10の異常を検知して、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することが可能である。
【0103】
なお、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧とV相のコイルが断線の場合とも同じ電圧となる。次いで、モータ端子12Uの電圧Uv及びモータ端子12Vの電圧Vvの検知に基づき、3相ブラシレスモータ10各相のコイルの断線並びに地絡及びの天落の故障も判別でき、適切な修理が可能となる。
【0104】
(第
4の
参考例)
次に、
図8は、第
4の
参考例の3相ブラシレスモータ10の故障判別装置の構成を示す構成図である。なお、
図8において、
図1と同じものについては、その図と同一の符号を付しているため説明を省略する。そして、以下では、
図1にて示した第1の
参考例と相違する点のみ説明する。
【0105】
図8に示すように、第
4の
参考例の3相ブラシレスモータ10の故障判別装置では、
図1に示す第1の
参考例と同様に、抵抗値が異なる2つのプルアップ
用抵抗31、32と、1つのプルダウン
用抵抗33を有し、電圧モニタ用信号ライン20をモータ端子12Wに接続し、そしてバイパス抵抗Rxを用いたものである。このバイパス抵抗Rxは、一端側が電源ライン15に接続され、又その他端側がモータ端子12Wに接続されている。
【0106】
第
4の
参考例における3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lv、Lwの故障の判別も、第1の
参考例の場合と同様に、3相ブラシレスモータ10が回転していない時、即ち、イグニションスイッチIGSWがオン状態でかつモータ駆動回路13U、13W、13Wの全てのスイッチング素子なるトランジスタTr1〜Tr6のすべてがオフしている状態にて行われる。
【0107】
この時、3相ブラシレスモータ10は、抵抗31、32、33及びRxからしか電圧供給されないことから、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu,Lv,Lwが正常な場合には、下記の数式13にて求まる値となる。
【0109】
しかし、例えば、3相ブラシレスモータ10のU相のコイルLuが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、下記の数式14にて示される値に変化する。
【0111】
なお、3相ブラシレスモータ10のV相のコイルLvが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、下記の数式15にて示される値に変化する。
【0113】
なお、3相ブラシレスモータ10のW相のコイルLwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、下記の数式16にて示される値に変化する。
【0115】
従って、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lv、Lwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧(参照 数式13)に対して、全て変化した電圧(参照 数式14〜数式16)となる。
【0116】
なお、3相ブラシレスモータ10はその配線を保護している被覆が破れ、電線が車両の金属ボデー(バッテリのマイナス端子に接続されている)と接触する所謂地絡が生じる故障もある。3相ブラシレスモータ10が地絡した故障の場合には、モータ端子12Wの電圧Wvは、ゼロボルトに変化する。
【0117】
一方、結線の間違いにて3相ブラシレスモータ10のモータ端子12U、12V、12Wの何れか一つでも、車載バッテリ14の正端子に誤接続される所謂天絡が生じる故障もある。この様な天絡の故障の場合には、モータ端子12Wの電圧Wvは、電源電圧Vbに変化する。
【0118】
モータ端子12Wの電圧Wvに関し、3相ブラシレスモータ10に地絡が生じた場合におけるモータ端子12Wの電圧Wvのゼロボルト及び3相ブラシレスモータ10に天絡に天絡が生じた場合におけるモータ端子12Wの電圧Wvの電源電圧Vbは、前述の如く、数13、数14、数15及び数16に示した各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧、U相のコイルLuが断線した場合、V相のコイルLvが断線した場合、W相のコイルLwが断線した場合におけるモータ端子12Vの電圧Vvの何れとも相違する。従って、モータ端子12Wの電圧Wvをモニタすることにより即ち他のモータ端子12U及びモータ端子12Vの電圧をモニタすることなく、どの相のコイルが断線したかの判別並びに地絡及びの天落の故障も判別可能である。
【0119】
この判別に基づき、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、断線したコイルの点検、修理又あるは交換又は適切な配線とすることが可能である。
【0120】
(第
5の
参考例)
次に、
図9は、第
5の
参考例の3相ブラシレスモータ10の故障判別装置の構成を示す構成図である。なお、
図9において、
図5と同じものについては、その図と同一の符号を付しているため説明を省略する。そして、以下では、
図5にて示した第2の
参考例と相違する点のみ説明する。
【0121】
図9に示すように、第
5の
参考例の3相ブラシレスモータ10の故障判別装置では、
図2に示す第2の
参考例と同様に、1つのプルアップ
用抵抗41と抵抗値が異なる2つのプルダウン
用抵抗42、43とを有し、電圧モニタ用信号ライン20をモータ端子12Wに接続し、そしてバイパス抵抗Rxを用いたものである。このバイパス抵抗Rxは、一端側が電源ライン15に接続され、又その他端側がモータ端子12Wに接続されている。
【0122】
第
5の
参考例における3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lw、Lwの故障の判別も、第2の
参考例の場合と同様に、3相ブラシレスモータ10が回転していない時、即ち、イグニションスイッチIGSWがオン状態でかつモータ駆動回路13U、13W、13Wの全てのスイッチング素子なるトランジスタTr1〜Tr6のすべてがオフしている状態にて行われる。
【0123】
この時、3相ブラシレスモータ10は、抵抗41、42、43及びRxからしか電圧供給されないことから、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu,Lv,Lwが正常な場合には、下記の数式17にて求まる値となる。
【0125】
しかし、例えば、3相ブラシレスモータ10のU相のコイルLuが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、下記の数式18にて示される値に変化する。
【0127】
なお、3相ブラシレスモータ10のV相のコイルLvが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、下記の数式19にて示される値に変化する。
【0129】
なお、3相ブラシレスモータ10のW相のコイルLwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、下記の数式20にて示される値に変化する。
【0131】
従って、3相ブラシレスモータ10の各相のコイルLu、Lv、Lwが断線すると、電圧モニタ用信号ライン20が接続されたモータ端子12Wの電圧Wvは、各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧(参照 数式17)に対して、全て変化した電圧(参照 数式18〜数式20)となる。
【0132】
なお、3相ブラシレスモータ10はその配線を保護している被覆が破れ、電線が車両の金属ボデー(バッテリのマイナス端子に接続されている)と接触する所謂地絡が生じる故障もある。3相ブラシレスモータ10が地絡した故障の場合には、モータ端子12Wの電圧Wvは、ゼロボルトに変化する。
【0133】
一方、結線の間違いにて3相ブラシレスモータ10のモータ端子12U、12V、12Wの何れか一つでも、車載バッテリ14の正端子に誤接続される所謂天絡が生じる故障もある。この様な天絡の故障の場合には、モータ端子12Wの電圧Wvは、電源電圧Vbに変化する。
【0134】
モータ端子12Wの電圧Wvに関し、3相ブラシレスモータ10に地絡が生じた場合におけるモータ端子12Wの電圧Wvのゼロボルト及び3相ブラシレスモータ10に天絡に天絡が生じた場合におけるモータ端子12Wの電圧Wvの電源電圧Vbは、前述の如く、数13、数14、数15及び数16に示した各相のコイルLu、Lv、Lwが正常な場合の電圧、U相のコイルLuが断線した場合、V相のコイルLvが断線した場合、W相のコイルLwが断線した場合におけるモータ端子12Vの電圧Vvの何れとも相違する。従って、モータ端子12Wの電圧Wvをモニタすることにより即ち他のモータ端子12U及びモータ端子12Vの電圧をモニタすることなく、どの相のコイルが断線したかの判別並びに地絡及びの天落の故障も判別可能である。
【0135】
この3相ブラシレスモータ10の故障の判別に基づき、3相ブラシレスモータ10の制御を中止することができ、次いで、断線したコイルの点検、修理又あるは交換又は適切な配線とすることが可能である。
【0136】
(第
6の
参考例)
本発明の実施形態、第1の
参考例〜第
5の
参考例において、プルアップ
用抵抗及びバイパス抵抗は、直流電源14の正端子に接続されて電源電圧Vbなる電源ライン15に接続した例を示したが、変動し得る電源電圧Vbとの接続に代えて安定化された定電圧と接続することも可能である。
図1に示した第1の
参考例における3相ブラシレスモータ10の故障判別装置を定電圧に接続した例をその代表として、本第
6の
参考例を
図10に基づいて説明する。なお、
図10において、
図1と同じものについては、その図と同一の符号を付しているため説明を省略する。そして、以下では、第1の
参考例と相違する点のみ説明する。
【0137】
図10において、直流電源なる車載バッテリ14の正端子から正の電源電圧Vb例えば12ボルトが供給された電源ライン15と接続した安定化電源70による安定化された定電圧Va例えば8ボルトの定電圧ライン71が設けられる。そして、プルアップ
用抵抗31、32を定電圧ライン71と接続した構成である。
なお、
図8に示す第
4の
参考例及び
図9に示す第5の
参考例におけるバイパス抵抗Rxにおいても、同様に定電圧ライン71に接続するものとする。従って、各モータ端子12U、12V、12Wには、安定化された定電圧Vaに基づく電圧が発生するため、コントローラ23は、電圧モニタ用信号ライン20からの信号の読み込みに際し、電源ライン15の電源電圧Vbの変動分を考慮する必要がないものである。
【0138】
(第
7の
参考例)
本発明の実施形態、第1の
参考例〜第
6の
参考例において、プルダウン
用抵抗は、車載バッテリ14の負端子と同電位のグランドラインGNDに接続した例を示したが、所定電圧Vx例えば2ボルトの電圧ラインと接続することも可能である。
図1に示した第1の
参考例における3相ブラシレスモータ10の故障判別装置のプルダウン
用抵抗33を所定電圧Vx例えば2ボルトの電圧ライン80に接続した例をその代表として、本第
7の
参考例を
図11に示す。なお、
図11において、
図1と同じものについては、その図と同一の符号を付しているため説明を省略する。
【0139】
なお、
本発明の実施形態、第1の
参考例〜第
7の
参考例において、コントロールユニット11は、イグニッションスイッチIGSWがオンの間、直流電源14と接続されて作動可能である。
【0140】
本発明の実施形態、第1の
参考例〜第
7の
参考例において、3相ブラシレスモータはコイルをY結線した例を示したが、本発明は、コイルをデルタ結線した3相ブラシレスモータにも適用可能である。
【0141】
また、複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組合せることが可能であることは、明らかである。