特許第6015123号(P6015123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015123
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】複合型冷熱発生装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 27/02 20060101AFI20161013BHJP
   F25B 17/08 20060101ALI20161013BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20161013BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20161013BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   F25B27/02 J
   F25B17/08 E
   F25B27/00 A
   F25B1/00 397A
   F24H1/00 631A
   F24H1/00 631B
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-113988(P2012-113988)
(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2013-242049(P2013-242049A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 義実
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−090825(JP,A)
【文献】 特開2012−093081(JP,A)
【文献】 特開2004−291669(JP,A)
【文献】 特開2002−100891(JP,A)
【文献】 特開2003−322429(JP,A)
【文献】 特開2010−107156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 27/02
F24H 1/00
F25B 1/00
F25B 17/08
F25B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動媒体を吸着剤に吸着させる吸着モードと、前記吸着剤に吸着された前記作動媒体を前記吸着剤から脱離させる脱離モードとを所定時間毎に交互に実行可能な第1吸着部および第2吸着部を有する吸着部と、前記吸着モードおよび前記脱離モードの実行に伴い前記作動媒体の気化潜熱により冷却作用を発生させる冷却部と、前記脱離モードの実行に伴い前記吸着剤から脱離した気体状の前記作動媒体を凝縮させる吸着式ヒートポンプ用凝縮器と、前記吸着モードの実行に伴い発熱した前記吸着剤と熱交換する吸着式ヒートポンプ用熱交換器と、を有する吸着式ヒートポンプと、
電気エネルギおよび/または空調エネルギと、排熱と、を発生させる駆動源と、
前記脱離モードにおける前記吸着式ヒートポンプの前記吸着部に存在する前記作動媒体を前記駆動源の排熱により直接的または間接的に加熱可能な加熱要素と、
前記駆動源の前記排熱によって加熱される熱交換媒体を有する排熱利用要素と、を備え、
前記加熱要素は、
前記駆動源の排熱により前記作動媒体を直接的に加熱可能であるか、または、前記作動媒体とは別の排熱回収媒体を介して前記駆動源の排熱により前記作動媒体を加熱可能な加熱部と、
前記駆動源とは異なる補助熱源を持ち、前記補助熱源によって前記作動媒体および/または前記排熱回収媒体を加熱可能な追い炊き部と、
前記加熱部および/または前記追い炊き部において加熱された前記作動媒体および/または前記排熱回収媒体を一時的に収容する貯槽と、を備え、
前記排熱利用要素における排熱の需要があり、前記吸着式ヒートポンプに供給できる排熱が不足する場合には、前記追い炊き部により前記吸着式ヒートポンプの前記作動媒体を加熱する、複合型冷熱発生装置。
【請求項2】
前記駆動源としての燃料電池システム、エンジン駆動式発電システム、エンジン駆動式ヒートポンプシステムから選ばれる1種と、前記吸着式ヒートポンプとが複合化された、請求項1に記載の複合型冷熱発生装置。
【請求項3】
冷媒を圧縮可能なコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を熱交換させることで凝縮させる熱交換器と、凝縮した前記冷媒を膨張させる膨張弁と、膨張した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、を持つ冷却機を持ち、
前記駆動源により前記コンプレッサを駆動するとともに前記吸着式ヒートポンプによって前記冷媒を予備冷却する、請求項1または請求項2に記載の複合型冷熱発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギおよび/または空調エネルギと、排熱と、を発生させる各種装置(例えば燃料電池システム、エンジン駆動式発電システム、エンジン駆動式ヒートポンプシステム等)と吸着式ヒートポンプとを複合化した複合型冷熱発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着式ヒートポンプは、作動媒体(例えば水)を脱着可能な吸着剤(例えばシリカゲル)を収容する吸着部と、吸着部から脱離した気体状の作動媒体を凝縮し液化させる吸着用凝縮器と、吸着用凝縮器で液化した作動媒体を気化させる冷却部と、を持つ。吸着式ヒートポンプは、空気調和装置や冷凍機等の冷却装置と複合化して用いるのが一般的である。吸着式ヒートポンプの吸着用凝縮器においては、作動媒体が気化するときに気化潜熱が生じる。この気化潜熱によって、例えば冷却装置の熱交換媒体を直接的または間接的に冷却することができる。このことにより、空気調和装置の冷房運転時や冷凍機等の冷却効率を向上させ得る。より具体的には、例えば冷却装置が空気調和装置である場合には、室内機の冷房運転時において室内機から吐出されコンプレッサで圧縮された熱交換媒体(冷媒)を上述した気化潜熱によって予備的に冷却することができる。ここで冷却した分だけ、冷房運転時における空気調和装置のCOP(Coefficient of Performance,成績係数;消費電力1kWあたりの冷暖房効率)が向上する。
【0003】
ところで、吸着式ヒートポンプにおいては、吸着剤に吸着した作動媒体を気化させるとき、および、吸着用凝縮器で凝縮し液状になった作動媒体を冷却部において気化させるときに、熱エネルギが必要になる。ここで必要な熱エネルギとして、種々の排熱を用いる方法が提案されている。例えば、発電機(駆動源)を持つコージェネレーションシステムと吸着式ヒートポンプとを複合化することで、発電機で生じる排熱を吸着式ヒートポンプで利用できる。また、吸着式ヒートポンプの気化潜熱によってコージェネレーションシステムに含まれる冷却機の冷房効率を向上させ得る。例えば特許文献1に紹介されている技術においては、エンジン駆動式ヒートポンプシステムの過冷却源として上述した吸着式ヒートポンプの気化潜熱を利用している。そして、エンジン駆動式ヒートポンプシステムに含まれるエンジンの排熱(より具体的には、エンジン冷却水の熱)を上述した熱エネルギとして利用している。
【0004】
しかしコージェネレーションシステム等の駆動源を持つ装置には、一般に、吸着式ヒートポンプ以外にも排熱を必要とする要素が含まれる。例えば温水器等である。そして、このような要素(排熱利用要素と呼ぶ)において排熱が必要とされる時間帯と、吸着式ヒートポンプにおいて排熱が必要とされる時間帯とが重なる場合がある。例えば一般家庭であれば、昼間には、冷房のため駆動源が駆動して、駆動源で生じた排熱による温水が供給される一方、温水の用途は少ない。これに対して、夜間には冷房の需要が少なくなり排熱による温水を安定して供給し難くなる一方で、入浴や調理等のための温水の需要が高まる。このため、吸着式ヒートポンプに充分な量の排熱を供給し難い場合があった。または、吸着式ヒートポンプに充分な量の排熱を供給することで、他の排熱利用要素において熱エネルギが不足する可能性があった。夜間に発電機を駆動する場合にも、排熱利用要素において温水の需要が高ければ、同様に吸着式ヒートポンプと他の排熱利用要素との両方に充分に排熱を供給し難い場合があった。つまり、駆動源と吸着式ヒートポンプとを持つ従来の複合型冷熱発生装置において、駆動源の排熱を吸着式ヒートポンプに供給する場合、時間帯や季節に応じて排熱の生産および需要の多寡が生じ、季節や時間帯を通じての排熱利用を平準化し難い問題があった。ひいては、駆動源が必要するエネルギ(すなわち燃料等)を季節や時間帯を通じて平準化し難く、エネルギ利用効率を向上させ難い問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−107156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、エネルギ利用および排熱利用の平準化を可能とする複合型冷熱発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の複合型冷熱発生装置は、作動媒体を吸着剤に吸着させる吸着モードと、前記吸着剤に吸着された前記作動媒体を前記吸着剤から脱離させる脱離モードとを交互に実行可能な吸着部と、前記吸着モードおよび前記脱離モードの実行に伴い前記作動媒体の気化潜熱により冷却作用を発生させる冷却部と、前記脱離モードの実行に伴い前記吸着剤から脱離した気体状の前記作動媒体を凝縮させる吸着式ヒートポンプ用凝縮器と、前記吸着モードの実行に伴い発熱した前記吸着剤と熱交換する吸着式ヒートポンプ用熱交換器と、を有する吸着式ヒートポンプと、
電気エネルギおよび/または空調エネルギと、排熱と、を発生させる駆動源と、
前記脱離モードにおける前記吸着式ヒートポンプの前記吸着部に存在する前記作動媒体を前記駆動源の排熱により直接的または間接的に加熱可能な加熱要素と、を備え、
前記加熱要素は、
前記駆動源の排熱により前記作動媒体を直接的に加熱可能であるか、または、前記作動媒体とは別の排熱回収媒体を介して前記駆動源の排熱により前記作動媒体を加熱可能な加熱部と、
前記駆動源とは異なる補助熱源を持ち、前記補助熱源によって前記作動媒体および/または前記排熱回収媒体を加熱可能な追い炊き部と、
前記加熱部および/または前記追い炊き部において加熱された前記作動媒体および/または前記排熱回収媒体を一時的に収容する貯槽と、を備えるものである。
【0008】
本発明の複合型冷熱発生装置は、下記の(1)〜(3)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(3)の複数を備えるのがより好ましい。
(1)前記追い炊き部の前記補助熱源は、ヒータ、バーナ、ソーラー給湯機、ヒートポンプから選ばれる少なくとも一種である。
(2)前記駆動源は、エンジンおよび/または燃料電池である。
(3)冷媒を圧縮可能なコンプレッサと、前記コンプレッサで圧縮された冷媒を熱交換させることで凝縮させる熱交換器と、凝縮した前記冷媒を膨張させる膨張弁と、膨張した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、を持つ冷却機を持ち、前記駆動源により前記コンプレッサを駆動する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の複合型冷熱発生装置は、駆動源で生じた排熱を吸着式ヒートポンプで用いる。温水器等の排熱利用要素で駆動源の排熱を必要としない場合(例えば夏場の昼間等)に、駆動源の排熱により冷熱を発生させることができ、駆動源の排熱を有効利用できる。また、駆動源に要するエネルギを有効利用できる。
【0010】
また、加熱要素が追い炊き部を持つため、例えば夏期の夜間等、排熱利用要素における排熱の需要が高まり、吸着式ヒートポンプに供給できる排熱が比較的少ない場合にも、吸着式ヒートポンプの作動媒体を加熱(追い炊き)することで、充分な量の気化潜熱を得ることができる。
【0011】
さらに、加熱要素が貯槽を持つことで、例えば昼間余剰となった排熱を貯蔵して夜利用することができる。貯槽は吸着式ヒートポンプに用いる排熱(つまり、加熱された排熱回収媒体および/または加熱された作動媒体)のみを収容するだけでも良いし、排熱利用要素で用いる排熱(例えば温水)をも収容しても良い。なお、加熱された排熱回収媒体および/または加熱された作動媒体のみを収容するだけであれば、貯槽としてさほど大型のものを必要としないため、装置を特に大きくする必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係り、吸着式ヒートポンプが第1モードであるときの複合型冷熱発生装置を模式的に表す説明図である。
図2】実施形態1に係り、吸着式ヒートポンプが第2モードであるときの複合型冷熱発生装置を模式的に表す説明図である。
図3】実施形態2に係り、吸着式ヒートポンプが第1モードであるときの複合型冷熱発生装置を模式的に表す説明図である。
図4】実施形態3に係り、吸着式ヒートポンプが第1モードであるときの複合型冷熱発生装置を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の複合型冷熱発生装置は吸着式ヒートポンプと駆動源とを持つものとして具現化できる。駆動源としては、ガスエンジンコージェネレーションシステム、燃料電池システム、ガスヒートポンプ等を例示できる。この場合、コージェネレーションシステムやヒートポンプシステム自体が本発明の複合型冷熱発生装置となる。これらのシステムにおける駆動源(例えば、エンジンや燃料電池等)が、本発明の複合型冷熱発生装置における駆動源となる。なお、エンジンは燃料を燃焼させて動力を得る装置であれば良く、例えば内燃機関であっても良いし外燃機関であっても良い。この場合の排熱としては、主として燃焼時における熱を利用できる。駆動源が燃料電池である場合には、排熱として、主として燃料電池の酸化剤(酸素等)と燃料(水素等)との反応により生じる熱を利用できる。参考までに、ガスエンジンコージェネレーションシステムや燃料電池システムは電気エネルギと排熱とを発生させる。ガスヒートポンプは空調エネルギを発生させる。発電機付きガスヒートポンプは空調エネルギと電気エネルギとを発生させる。なお、一般的な発電機付きガスヒートポンプにおいて、発生した電気エネルギは、ガスヒートポンプの補機を駆動するために使用されている。その他、複合型冷熱発生装置が給湯器等の補助的な加熱装置を持つ場合、駆動源の排熱とともに加熱装置の排熱を利用しても良い。例えば給湯器において湯沸かし時および/または湯沸かし後に生じる排熱を利用しても良い。なお、ここでいう補助的な加熱装置は、追い炊き部を構成する補助熱源と同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0014】
以下、具体例を挙げて本発明の複合型冷熱発生装置を説明する。
【0015】
(実施形態1)
実施形態1の複合型冷熱発生装置は、家庭用のコージェネレーションシステムと吸着式ヒートポンプとを複合化したものである。以下、図1、2を基に本実施形態の複合型冷熱発生装置の態様を具体的に説明する。
【0016】
(複合型冷熱発生装置)
実施形態1の複合型冷熱発生装置は、空気調和装置(以下、空調装置1と呼ぶ)と、吸着式ヒートポンプ2と、駆動源30と、加熱要素4と、排熱利用要素5とを持つ。実施形態1の複合型冷熱発生装置において吸着式ヒートポンプ2と複合化したコージェネレーションシステムは、ガスエンジン駆動式発電システムであり、このガスエンジン駆動式発電システムの駆動源はガスエンジンである。したがって実施形態1の複合型冷熱発生装置における駆動源30もまたガスエンジンである。
【0017】
加熱要素4は、加熱部(20、31)と追い炊き部(35)と貯槽40とを持つ。加熱部は後述する吸着式ヒートポンプ2の加熱通路20と、コージェネレーションシステムの給湯器31とを含む。したがって、加熱通路20には給湯器31の温水が流通する。コージェネレーションシステムの給湯器31は、加熱部の一部と排熱利用要素5とを兼ねている。換言すると、給湯器31の温水は、駆動源30の排熱によって加熱される熱交換媒体であり、かつ、吸着式ヒートポンプ2の作動媒体と熱交換することで作動媒体を加熱する排熱回収媒体である。追い炊き部はソーラー温水器35を含む。ソーラー温水器35は、具体的には、太陽熱を得る集熱器350と、集熱器350を通る補助加熱通路351と、補助加熱通路351に流通するソーラー温水器用クーラントとを持つ。集熱器350は本発明の複合型冷熱発生装置における補助熱源に相当する。補助加熱通路351は加熱通路20に対して熱交換可能に配置されている。ソーラー温水器用クーラントは、エチレングリコール、プロピレングリコール、防錆剤、消泡剤等の添加剤を含む。このため実施形態1においては、給湯器31に流通する温水(水)とソーラー温水器用クーラントとを別々の流通経路(加熱通路20、補助加熱通路351)に流通させ、互いに混ざり合わないようにしている。ソーラー温水器用クーラントの沸点は水の沸点よりも高い。このため、ソーラー温水器35において日中の太陽光により加熱されたソーラー温水器用クーラントは、比較的高温になる。したがって、加熱通路20を流通する温水は三方弁32、分岐路20aを経て補助加熱通路351を流通するソーラー温水器用クーラントと熱交換し、さらに温度上昇する。温度上昇した温水は加熱通路20に合流する。なお、実施形態1の複合型冷熱発生装置においては、ソーラー温水器35はコージェネレーションシステムに含まれ、給湯器31に接続されている。そして、加熱通路20のなかで補助加熱通路351に向かう分岐路20aは三方弁32によって開閉可能であり、例えば夜間等、ソーラー温水器35で高温の温水を供給し難い場合には、分岐路20aを介さず(つまりソーラー温水器35と熱交換せず)後述する貯槽40に直接流入する。また、加熱通路20のなかで分岐路20aの下流側には三方弁33が設けられている。加熱通路20のなかで分岐路20aの下流側部分は、三方弁33を介して、加熱通路20と給湯供給路20bとに分岐している。三方弁33により加熱通路20と給湯供給路20bとを接続すると、排熱利用要素5により温水を利用可能になる。例えば空調装置1の冷房運転を停止している場合等には、加熱通路20と給湯供給路20bとを接続し、加熱通路20内の温水の循環を遮断(貯槽40への温水の流入を遮断)するように三方弁33を切り替えて、加熱通路20の温水を排熱利用要素5で使用する。実施形態1における排熱利用要素5は給湯器31であり、給湯供給路20bを流通する温水を風呂等に供給する。夏期の昼間等、空調装置1を冷房運転し、かつ、排熱利用要素5で温水を使用しない場合には、三方弁33によって、加熱通路20から給湯供給路20bに向けた温水の供給を停止する。また、夏期の夜間等、空調装置1による冷房運転出力が弱く、かつ、排熱利用要素5による排熱の使用量が比較的大きい場合には、三方弁33によって、加熱通路20から後述する貯槽40を経て吸着式ヒートポンプ2に至る温水の量を少なくし、かつ、加熱通路20から排熱利用要素5を経て給湯する温水の量を多くする。なお、吸着式ヒートポンプ2および排熱利用要素5に温水を供給するタイミングはこれに限らず、季節または一日を通した熱需要の変化に伴って適宜設定すれば良い。実施形態1のように夏場の日中に排熱利用要素5に要求される熱量が余り、冷房の需要が高まった場合に温水を吸着式ヒートポンプ2に供給できるように制御すれば、複合型冷熱発生装置全体のエネルギ利用効率の最適化に寄与することが可能であり、季節または一日を通したエネルギ利用の平準化を図ることが可能である。
【0018】
加熱通路20における吸着式ヒートポンプ2の吸着部21、22よりも上流側の位置(詳しくは、後述する第1ポート201よりも上流側の位置、ケース200の外側の位置)には、タンク状の貯槽40が取り付けられている。貯槽40は、加熱通路20を流通し吸着部21、22において作動媒体と熱交換する前の温水を収容可能である。貯槽40の上部には入水口40aが形成され、貯槽40の下部には出水口40bが形成されている。出水口40bは三方弁34を介して加熱通路20および再加熱通路240に接続されている。加熱通路20を経た温水は入水口40aを経て貯槽40の内部に流入する。貯槽40内で温度低下した温水は、出水口40b、三方弁34を経て再加熱通路240に流入する。つまり、貯槽40には常に一定量の温水が収容されている。再加熱通路240は加熱通路20における駆動源30の上流側20xに合流する。したがって、出水口40bを経て貯槽40の外部に流出した温水は、駆動源30によって搬送され再度加熱される。
【0019】
空調装置1は、駆動源30で得られた電力で駆動されるとともに、後述する吸着式ヒートポンプ2の冷却部23(過冷却器)に接続されている。なお、空調装置1は吸着式ヒートポンプ2と組み合わせて用いられるため、冷房運転可能であれば良いが、暖房運転可能な空調装置1であれば駆動源30で生じた排熱(エンジン排熱)を暖房運転時に利用することもできる。
【0020】
〔吸着式ヒートポンプの構成〕
以下、実施形態1の複合型冷熱発生装置における吸着式ヒートポンプ2の構成を説明する。
【0021】
吸着式ヒートポンプ2は、空調装置1の室外機1に取り付けられている。吸着式ヒートポンプ2は、ケース200と、ケース200内に設けられた第1吸着部21および第2吸着部22と、気化潜熱を発生させる冷却部23と、第1四方弁214と、第2四方弁215と、ケース200に設けられた第1ポート201〜第8ポート208を持つ。第1吸着部21および第2吸着部22は、水等の作動媒体を吸着可能なシリカゲル、活性炭、活性アルミナ等の多孔質の吸着剤を持つ。第1四方弁214および第2四方弁215は、それぞれ、第1吸着部21側の第1通路216と、第2吸着部22側の第2通路217とを切り替える。具体的には、第1四方弁214および第2四方弁215を切り替えることで、後述する第1モードおよび第2モードに対応する。第1モードにおいては、第1吸着部21側の第1通路216を後述する加熱通路20に接続して、温水を第1通路216に流通させる。またこのとき、第2吸着部22側の第2通路217を後述する冷却通路28に接続して、後述する吸着用熱交換器29を通過したクーラント(吸着用クーラント、実施形態1においては冷水)を第2通路217に流通させる。第2モードにおいては、第1吸着部21側の第1通路216を冷却通路28に接続して、第1通路216に吸着用クーラントを流通させる。またこのとき、第2吸着部22側の第2通路217を加熱通路20に接続して、第2通路217に温水を流通させる。なお、温水および冷水は、流通経路が異なり温度が異なるだけで、同じ水である。
【0022】
温水の温度は、高い方が好ましいが、第1吸着部21および第2吸着部22内の作動媒体を加熱して蒸発させ得る程度であれば良い。冷水の温度は、低い方が好ましいが、温水の温度よりも低ければ良い。また、実施形態1においては、上述したようにコージェネレーションシステムの給湯器31で得られた温水を吸着式ヒートポンプ2で用いているため、加熱通路20および冷却通路6に水(温水、冷水)を流通されているが、加熱通路20および冷却通路6に流通する媒体はこれに限定されない。例えば上述したソーラー温水器35と同様に、何らかの溶質を含むクーラントを流通させても良い。
【0023】
ケース200の外方には、吸着剤から脱離させたガス状の作動媒体を凝縮させる吸着用凝縮器24が配置されている。冷却部23は、吸着用凝縮器24で凝縮された液体状の作動媒体を連通路221を介して受けるとともに、液体状の作動媒体を気化させて気化潜熱により冷却作用を発生させる。吸着式ヒートポンプ2には作動媒体を循環させる作動媒体通路221が設けられている。図1、2に示すように、吸着式ヒートポンプ2内の作動流体通路220は、冷却部23、第1弁231、第1吸着部21、第2弁232、第8ポート208、吸着用凝縮器24、第7ポート207、第3弁233、第2吸着部22、第4弁234、冷却部23を順に連通させる。さらに、作動媒体通路220は吸着用凝集器24において分岐し、第1吸着部21、第2吸着部22を介さずに吸着用凝縮器24と冷却部23とを連通する連通路221を構成している。なお、図1に示すように、吸着用凝縮器24、貯槽40、冷却部23は、この順で鉛直方向(重力方向)の上側から下側に向けて配置されている。
【0024】
冷却通路28には冷水が流通する。冷却通路28は、冷水によって、吸着式ヒートポンプ2の第1吸着部21および第2吸着部22を交互に冷却する。冷却通路28は、吸着式ヒートポンプ2の第2ポート202、通風可能な吸着用熱交換器29、ポンプ290(吸着式ヒートポンプ用クーラント搬送手段)、第3ポート203を介して、吸着式ヒートポンプ2内の第1通路216または第2通路217に連絡している。
【0025】
吸着式ヒートポンプ2の運転に用いられる吸着用凝縮器24および吸着用熱交換機29は、送風ファン10a、10bにより生じた冷却風で冷却される。
【0026】
図1に示すように、空調装置1の冷媒流路のなかで室外機と室内機とを連絡する経路100は、吸着式ヒートポンプ2の冷却部23を通る。具体的には、空調装置1の冷媒は、室外機から第5ポート205を経て冷却部23に至る。そして冷却部23において冷却され、ポート206を経て室内機に向かう。このため空調装置1の冷媒は吸着式ヒートポンプ2によって予備的に冷却される。なお、吸着式ヒートポンプ2により冷却された冷媒は、空調装置1の室内機側に流入すれば良く、例えば過冷却器11の上流側に流入しても良いし、過冷却器11の下流側かつ膨張弁12の上流側に流入しても良いが、少なくとも膨張弁12の上流側に流入するのが良い。また、吸着式ヒートポンプ2の冷却性能と空調装置1の冷却性能とを考慮すると、過冷却器11の上流側に流入するのが好ましい。空調装置1の室内機側において吸着式ヒートポンプ2により予備冷却され、過冷却器11によってさらに冷却(飽和温度以下に冷却)された冷媒は、膨張弁12で膨張し、蒸発器13によって蒸発する。この過程において、冷媒は室内の冷房作用を発生させる。
【0027】
〔吸着式ヒートポンプの動作〕
吸着式ヒートポンプ2の動作について説明する。まず、第1吸着部21の脱離モードおよび第2吸着部22の吸着モードを実行する第1モードについて説明する。
【0028】
(第1モード)
図1に示すように、第1モードでは、第1弁231および第3弁233が閉鎖され、第2弁232および第4弁234が開放されている。この状態で、制御部9は第1四方弁214および第2四方弁215を制御する。具体的には、第1四方弁214によって吸着式ヒートポンプ2内の第1通路216を加熱通路20における貯槽40の下流側に接続し、第2通路217を冷却通路28に接続する。貯槽40には温水が収容されている。この温水は、温水器の温水であり駆動源30で加熱されている。場合によっては、温水は、さらに、ソーラー温水器35に流通するソーラー温水器用クーラントと熱交換することでより一層高温になっている。この高温のクーラントは、加熱通路20、第1ポート201、第2四方弁215を介して第1通路216に供給され、第1通路216を介して、第1吸着部21に収容されている吸着剤を加熱する。そして、更に第1四方弁214、第4ポート204を介して加熱通路20に合流し、さらにポンプ300を介して駆動源30を通り、駆動源30の排熱により加熱されて給湯器31に帰還する。このように高温のクーラントで第1吸着部21が加熱されて脱離モードを行う。更に、ポンプ290が作動するため、吸着用熱交換器29で冷却された低温のクーラント(冷水)は、吸着用熱交換器29から吐出され、冷却通路28、ポンプ290、第2ポート202、第2四方弁215を介して第2通路217に供給され、第2通路217を介して第2吸着部22に収容されている吸着剤を冷却する。このとき第2吸着部22の熱によりクーラントは加熱され、更に、第2通路217、第1四方弁214、第3ポート203、冷却通路28を介して吸着用熱交換器29に帰還し、ファン10bで生じた冷却風により冷却される。このようにクーラントで第2吸着部22が冷却されて吸着モードを行うため、第2吸着部22の過熱が抑えられ、第2吸着部22における気体状の作動媒体の吸着が継続して進行する。
【0029】
第1モードでは、前述したように第1吸着部21が加熱されるため、第1吸着部21の吸着剤に吸着されていた作動媒体(一般的には水)が第1吸着部21から脱離して気体状となり、作動媒体通路220を流通しつつ第2弁232および第8ポート208を通過してケース200の外側に移動し、さらに、吸着用凝縮器24に移動する。そして、吸着用凝縮器24において、ファン10aで生じた冷却風により冷却されて凝縮する。これにより、作動媒体は吸着用凝縮器24において液化する。このとき吸着用凝縮器24は凝縮熱を放出する。この場合、第1弁231および第3弁233は閉鎖されているため、第1吸着部21から脱離した気体状の作動媒体(一般的には水蒸気)は、冷却部23および第2吸着部22に移動しない。吸着用凝縮器24において凝縮した液体状の作動媒体(一般的には水)は、重力により、連通路221を介して冷却部23に移動する。
【0030】
また第1モードでは、冷却通路28から第2通路217を流れるクーラントにより第2吸着部22が冷却されるため、第2吸着部22の圧力が低下する。ここで、第1弁231および第3弁233は閉鎖され、第4弁234は開放されるため、第2吸着部22の圧力低下に伴い、冷却部23の圧力が低下する。よって、冷却部23に収容されている液体状の作動媒体の気化が進行する。冷却部23における気体状の作動媒体(一般的には水)は、開放されている第4弁234を介して第2吸着部22に移動し、第2吸着部22に吸着される。このとき第1弁231および第3弁233は閉鎖されているため、冷却部23における気体状の作動媒体は、第1吸着部21および吸着用凝縮器24には移動しない。ところで、第2吸着部において吸着剤が作動媒体を吸着する吸着作用は、発熱を誘発する。この結果、気体状の作動媒体を吸着した第2吸着部22は加熱される。この場合、第2通路217を流れるクーラントにより第2吸着部22は冷却される。よって第2吸着部22の過剰昇温が防止され、第2吸着部22の吸着性能が維持される。
【0031】
(第2モード)
次に、第2吸着部22の脱離モードおよび第1吸着部21の吸着モードを実行する第2モードについて説明する。図2に示すように、第2モードでは、第1モードとは逆に、第2弁232および第4弁234が閉鎖され、第1弁231および第3弁233が開放される。この状態で、制御部9は、加熱通路20が第2通路217に接続され、冷却通路28が第1通路216に接続されるように、第1四方弁214および第2四方弁215を制御する。この結果、駆動源30で加熱された高温のクーラントは、ポンプ300の作動により、駆動源30から加熱通路20、第1ポート201、第2四方弁215を介して第2通路217に流入し、第2通路217を介して第2吸着部22を加熱する。その後、クーラントは第2通路217、第1四方弁214、第4ポート204を介して加熱通路20に帰還する。そしてクーラントはポンプ300に輸液されて駆動源30の内部に帰還する。更に、ポンプ300が作動するため、吸着用熱交換器29で冷却された低温のクーラントは、吸着用熱交換器29から吐出され、冷却通路28、第2ポート202、第2四方弁215を介して第1通路216に供給される。そしてクーラントは、第1通路216を介して第1吸着部21を冷却し、第1四方弁214、第3ポート203、冷却通路28を通り吸着用熱交換器29に帰還し、吸着用熱交換器29で冷却される。
【0032】
このとき気体状の作動媒体は吸着用熱交換器29により冷却されて凝縮する。このため吸着用熱交換器29は凝縮熱を放出する。このように第2モードでは、駆動源30により加熱された高温のクーラントにより第2吸着部22が加熱されるため、第2吸着部22に吸着されていた作動媒体が第2吸着部22の吸着剤から脱離して気体状となる。気体状の作動媒体は、開放状態の第3弁233を通って作動媒体通路220に流出し、第7ポート207を介して吸着用凝縮器24に移動し、吸着用凝縮器24で冷却されて凝縮する。このため作動媒体は吸着用凝縮器24において液体状になり、吸着用凝縮器24は凝縮熱を放出する。このとき第4弁234および第2弁232は閉鎖されているため、第2吸着部22で発生した気体状の作動媒体は、冷却部23には移動しない。
【0033】
第2モードでは、ポンプ290が作動し、クーラント(吸着用クーラント)により第1吸着部21が冷却されるため、第1吸着部21の圧力が低下する。このとき第2弁232は閉鎖され、第1弁231は開放されているため、冷却部23の圧力が低下し、冷却部23において作動媒体の気化が進行する。このため冷却部23は気化潜熱により冷却される。冷却部23の気体状の作動媒体は、第1弁231を介して第1吸着部21に移動し、第1吸着部21に吸着される。このとき第1吸着部21は吸着熱により発熱する。しかし第1通路216にはクーラントが流通しているため、第1吸着部21はクーラントにより冷却され、第1吸着部21の過剰昇温は抑制される。
【0034】
このように、吸着式ヒートポンプ2における第1吸着部21および第2吸着部22は、作動媒体を吸着剤に吸着して発熱する吸着モードと、吸着剤に吸着された作動媒体を吸着剤から脱離する脱離モードとを所定時間毎に交互に実行させる。所定時間は吸着剤、作動媒体の種類や量等に応じて適宜設定される。上記したように、冷房運転時には吸着式ヒートポンプ2が運転され、第1モードおよび第2モードによって冷却部23は冷却される。このため、室外熱交換器7で凝縮され冷却部23に流入した空調装置1用の冷媒は、冷却部23により予備冷却される。このため、実施形態の空調装置1によると、冷房運転時の冷房効率を向上させることができる。なお、冷房運転時すなわち吸着式ヒートポンプ2の作動時には、吸着用凝縮器24および吸着用熱交換器29は加熱される。なお、実施形態1においては冷却部23により冷凍サイクル(圧縮、凝縮、膨張、蒸発サイクル)回路に流通する冷媒を冷却したが、本発明の複合型冷熱発生装置においては、これに限らず種々の冷媒回路に流通する冷媒を冷却できる。例えば、冷媒の状態変化を伴わない単純な冷却水循環式冷媒回路における冷媒(冷却水)を冷却しても良い。
【0035】
実施形態1においては、駆動源30(ガスエンジン)の排熱を回収して得られた温水器31の温水によって吸着式ヒートポンプ2の吸着部21、22を加熱している。このため、吸着式ヒートポンプ2によって得られた冷熱で空調装置1の冷媒を予備冷却できるため、空調装置1の冷房効率を向上させ得る。
【0036】
また、吸着式ヒートポンプ2に用いる温水を貯槽40に貯蔵しているため、駆動源30の排熱を排熱利用要素5(例えば給湯器31)に主として供給する場合にも、吸着式ヒートポンプ2(つまり空調装置1)においても排熱利用できる。なお、排熱利用要素5で要求される排熱の量によっては、温水を排熱利用要素5と吸着式ヒートポンプ2との両方に供給しても良い。
【0037】
さらに、補助熱源(ソーラー温水器35)により作動媒体を追い炊きしているため、作動媒体をさらに高温にでき、空調装置1による冷房効率をさらに向上させ得る。つまり、吸着式ヒートポンプ2の特性上、脱離モードにおいて吸着部21、22中の吸着剤と熱交換するクーラントと、吸着モードにおいて吸着部21、22中の吸着剤と熱交換するクーラントとの温度差が小さいと、冷却効率が低下する。しかし実施形態1においては、補助熱源(例えばソーラー温水器35)を利用して、脱離モードにおいて吸着部21、22中の吸着剤と熱交換するクーラントを追い炊きしている。このことにより、上述したクーラントの温度差を増大させることができ、吸着式ヒートポンプの冷却効率を向上させ得る。ひいては、空調装置1による冷房効率の向上に寄与できる。なお、実施形態1においてはソーラー温水器35を流通するソーラー温水器用クーラントと、排熱回収媒体(水)とは異なる種類のクーラントであったが、同種のクーラントであっても良い。この場合には、排熱回収媒体自体をソーラー温水器35の集熱器350に流通させても良い。また、実施形態1においては排熱回収媒体(水)を加熱通路20に流通させることで吸着部21、22の作動媒体を加熱したが、例えば駆動源30の冷却水や排ガス等により作動媒体を加熱しても良い。この場合、駆動源30から流出した冷却水等を加熱通路20に流通させれば、作動媒体は排熱により直接的に加熱される。冷却水等は貯槽40に流通させ、貯槽40にて一時収容できる。貯槽40から流出した冷却水等は、給湯器31に流通させて排熱回収すれば良い。さらに、ガスバーナ等の補助熱源によって冷却水等を補助的に加熱することも可能である。排熱回収媒体により作動媒体を加熱する場合、排熱回収媒体は気体であっても良いし、固体であっても良いが、熱伝導性能を考慮すると、排熱回収媒体は流体であるのが好ましい。さらに、貯槽40の小型化および貯槽40において排熱回収媒体を保温収容することを考慮すると、排熱回収媒体は少なくとも貯槽40においては液状であるのが好ましい。
【0038】
(実施形態2)
図3は実施形態2の複合型冷熱発生装置を模式的に表す図である。より具体的には、図3に示す吸着式ヒートポンプ2は第1モードであり、駆動源30に由来する排熱(温熱)を利用して第1吸着部1を加熱し、作動媒体を脱離させている。また、吸着用熱交換器に由来する冷熱を利用して第2吸着部22を冷却している。図3に示すように、実施形態2においては、補助熱源としてソーラー温水器にかえてガスバーナ36を用いている。このガスバーナ36はコージェネレーションシステムの一部を構成し、給湯器31の温水を追い炊きするためのものである。給湯器31は実施形態1と同様に、駆動源30の排熱を回収することで水から温水を得るものである。ガスバーナ36は駆動源30と同じガスを燃料として、給湯器の温水を直接的に加熱する。
【0039】
貯槽40は、温水器31の下流側、かつ第1ポート201の上流側に配置されている。実施形態2の複合型冷熱発生装置において、貯槽40の槽壁は断熱層(真空層等)を持つ。このため、貯槽40内に収容された温水の温度変化は抑制される。つまり、貯槽40に収容された温水の水温は下がり難い。貯槽40の出水口40bは実施形態1と同様に加熱通路20における駆動源30の上流側に連通している。したがって、実施形態2においても貯槽40には常に一定量の温水が収容され、出水口40bを経て貯槽40の外部に流出した温水は、駆動源30によって再度加熱される。
【0040】
実施形態2の複合型冷熱発生装置におけるその他の要素は実施形態1の複合型冷熱発生装置と略同じである。したがって、実施形態2の複合型冷熱発生装置においても、実施形態1の複合型冷熱発生装置と同様に、駆動源30の排熱を用いて吸着式ヒートポンプ2で冷熱を生じ、この冷熱によって空調装置1の冷媒を予備冷却することで、空調装置1の冷房効率を向上させ得る。また、吸着式ヒートポンプ2に用いる温水を貯槽に貯蔵しているため、排熱利用要素5に要求される排熱が比較的多い場合にも、空調装置1による冷房運転を効率良く行うことができる。さらに、排熱を利用しない補助熱源(つまりガスバーナ36)によって追い炊きを行うため、排熱利用要素5の運転状況に関係なく、空調装置1にて効率良く冷房運転できる利点もある。なお、貯槽40に収容されている温水が充分に高熱である場合には、三方弁32を切換えて、温水をガスバーナ36側に流通させない。このため、冷房運転に要するエネルギを低減できる。実施形態2においては、排熱回収媒体を直接加熱する補助熱源としてガスバーナ36を用いたが、例えば電気ヒータ等の他の補助熱源を用いても良い。
【0041】
(実施形態3)
図4は実施形態3の複合型冷熱発生装置を模式的に表す図である。より具体的には、図4に示す吸着式ヒートポンプ2は第1モードである。
【0042】
実施形態3の複合型冷熱発生装置は、加熱通路20を給湯器31と別系統にし、加熱通路20の内部に流通させる排熱回収媒体として、実施形態1におけるソーラー温水器用クーラントと同じクーラントを流通させたこと、貯槽40を補助熱源(ガスバーナ36)の上流側に配置したこと、加熱通路20から駆動源30に至る経路(加熱分岐路25)を分岐させるとともに加熱通路20と加熱分岐路25とを三方弁35によって開閉可能に接続したこと、および、貯槽40から駆動源30に至る再加熱通路240を設けなかったこと以外は実施形態2の複合型冷熱発生装置と同じものである。
【0043】
実施形態3の複合型冷熱発生装置では、吸着式ヒートポンプ2の運転と加熱通路20におけるクーラントの流通とを同期させている。つまり、吸着式ヒートポンプ2が停止している間は、クーラントの流動もまた停止する。排熱利用要素5における排熱使用量が非常に大きい場合には、三方弁35によって加熱経路20から加熱分岐路25に至る通路を遮断して、クーラントを駆動源30に流通させない。したがってこの場合には、吸着式ヒートポンプ2においては駆動源30の排熱を利用せず、排熱利用要素5のみで排熱を利用できる。この場合、吸着式ヒートポンプ2は貯槽40に収容されているクーラントによって加熱される。吸着式ヒートポンプ2を経たクーラント(つまり、作動媒体と熱交換し降温したクーラント)は、図4に示す第1モードにおいては、第1吸着部21、第1四方弁214、第4ポート204を経て加熱流路20に流入し、貯槽40に戻される。このため貯槽40内部におけるクーラントの温度は低下する。しかし、貯槽40の下流側にガスバーナ36を設けているため、貯槽40から流出したクーラントをガスバーナ36で加熱することができ、吸着式ヒートポンプ2に高温のクーラントを供給できる。よって、排熱が利用できない(或いは利用可能な排熱量が少量である)場合にも、空調装置1の冷房運転を効率良く行うことができる。
【0044】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。例えば吸着部は3個以上の複数個設けても良いし、追い炊き部の補助熱源350や排熱利用要素5と、排熱回収媒体等として上記の実施形態で挙げたもの以外のものを利用することもできる。本発明の複合型冷熱発生装置は、各種の建屋に据え置き設置することもできるし、各種車両や船舶等に設置することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1は空調装置、2は吸着式ヒートポンプ、20は加熱通路、21は第1吸着部、22は第2吸着部、23は冷却部、28は冷却通路、29は吸着用熱交換器、214は第1四方弁、215は第2四方弁、216は第1通路、217は第2通路、221は連通路、30は駆動源、31は給湯器、35はソーラー温水器、350は集熱器、36はガスバーナを示す。
図1
図2
図3
図4