(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の樹脂シート、前記第2の樹脂シート及び前記第3の樹脂シートは、同一の熱可塑性部材であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のICタグ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術に係るICタグ30(
図6を参照)には、インレット4を収容するインレット収容部5内でインレット4が動いてしまい(即ち、インレット4を固定できず)、そのことによって製品の輸送時、ICタグ30の取り付け時にインレット4と外層部とがぶつかることで、音が鳴ってしまい不良品と扱われることがあるという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑み、ICタグのインレット収容部内でインレットの移動を抑えることができるICタグ及びICタグの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、積層された第1の樹脂シートと第2の樹脂シートとの間にインレットが介装されたICタグであって、前記第2の樹脂シートと前記インレットとの間に前記インレットに向けて突出した凸部を有する第3の樹脂シートを設けたことを特徴とするICタグである。
上記の構成であれば、第3の樹脂シートを設けなかった場合と比較して、インレット収容部が狭くなる。このため、インレット収容部内でインレットが移動するのを抑えることができる。よって、製品の輸送時、ICタグの取り付け時にインレットと外層部とがぶつかることで、音が鳴ってしまい不良品と扱われる可能性を低減することができる。
【0006】
本発明の別の態様は、前記インレットが前記第1の樹脂シートに形成した凹部と前記第3の樹脂シートの前記凸部とで挟持されていることとしてもよい。
上記の構成であれば、インレットが第1の樹脂シートと第3の樹脂シートとで挟持されている。このため、インレット収容部内でインレットが移動するのをさらに抑えることができる。
本発明の別の態様は、前記第1の樹脂シート、前記第2の樹脂シート及び前記第3の樹脂シートを溶着することで前記インレットを封止することとしてもよい。
上記の構成であれば、第1の樹脂シート、第2の樹脂シート及び第3の樹脂シートの溶着によりインレットを封止することができる。
【0007】
本発明の別の態様は、前記第2の樹脂シートと前記第3の樹脂シートとの間にクッション部を有することとしてもよい。
上記の構成であれば、仮に外部からICタグに力が加わったとしても、このクッション部で外部からの力を緩和できる。よって、ICタグまたはインレットが破壊されるのを低減することができる。
【0008】
本発明の別の態様は、前記凹部の底面の平面形状が前記インレットの平面形状と合致しており、前記凸部が前記凹部に嵌合されていることとしてもよい。
上記の構成であれば、凹部の底面の平面形状がインレットの平面形状と合致している。よって、凹部の底面の平面形状がインレットの平面形状と合致していない場合と比較して、よりインレット収容部内でのインレットの移動を抑えることができる。また、上記の構成であれば、凹部と凸部とが嵌合しているので、ウェルダー前の状態(つまり、第1の樹脂シートと第3の樹脂シートとを積層させただけの状態)であっても、移動時等にインレットはインレット収容部内で移動しにくい。
【0009】
本発明の別の態様は、前記第1の樹脂シート、前記第2の樹脂シート及び前記第3の樹脂シートが同一の熱可塑性部材であることとしてもよい。
上記の構成であれば、第1の樹脂シート、第2の樹脂シート及び第3の樹脂シートが同一の熱可塑性部材であるので、各シートを別部材とした場合と比較して、製造のコストアップを避けることができる。
【0010】
本発明の別の態様は、第1の樹脂シートにインレットを配置する工程と、前記第1の樹脂シートの前記インレットが配置された側に第2の樹脂シートを積層する工程と、前記第2の樹脂シートを積層する工程前に、前記第2の樹脂シートと前記インレットとの間に前記インレットに向けて突出した凸部を有する第3の樹脂シートを設ける工程と、を備えることを特徴とするICタグの製造方法である。
上記の方法であれば、第3の樹脂シートを設けなかった場合と比較して、インレット収容部を狭くすることができる。このため、インレット収容部内でインレットが移動するのを抑えることができる。よって、製品の輸送時、ICタグの取り付け時にインレットと外層部とがぶつかることで発生する音を抑制したICタグを製造することができる。
【0011】
本発明の別の態様は、前記第2の樹脂シートを積層する工程後に、前記第1の樹脂シート、前記第2の樹脂シート及び前記第3の樹脂シートを溶着する溶着工程を備え、前記溶着工程では、高周波ウェルダー加工が用いられることとしてもよい。
上記の方法であれば、インレットは高周波ウェルダー加工によって封止されているため、ラミネート封止の場合と異なり、インレットを封止する際にインレット収容部が変形しにくい。ゆえに、ICタグの寸法が変わるのを防止することができる。
【0012】
本発明の別の態様は、前記溶着工程では、前記第1の樹脂シート、前記第2の樹脂シート及び前記第3の樹脂シートを前記第1の樹脂シート側及び前記第
2の樹脂シート側から第1の金型と第2の金型とで挟んで溶着し、前記溶着の際に前記第1の金型と前記第2の金型の挟む力を調整して、前記溶着した溶着部の外側が連なるようにすることとしてもよい。
上記の方法であれば、溶着部の外側が連なるように溶着されているので、1枚のシート上に複数のICタグが取り付けられている。このため、輸送時にICタグが個々に分離してしまう懸念が解消され、梱包の手間が軽減される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るICタグについて、
図1〜3を参照しつつ説明する。
(1)ICタグ10の構造
(1−1)構造
図1は、本発明の実施形態に係るICタグ10の構造を模式的に示す縦断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るICタグ10は、積層された上層1と下層3との間にインレット4が介装されたICタグであって、下層3とインレット4との間にインレット4に向けて突出した凸部2aを有する中間層2を備えたものである。なお、本実施形態では、上層1と中間層2との間の空間をインレット収納部5と呼ぶ。
本実施形態に係るICタグ10の直径はφ6mmであり、ICタグ10の厚さは1.3mm〜1.5mm程度である。
以下、上述したICタグ10の各部分について説明する。なお、本実施形態では、「HF帯巻き線インレットのウェルダー封止ICタグ」について説明する。
【0015】
(上層1)
上層1は熱可塑性樹脂で形成されており、その形状はシート状である。上層1に用いられる熱可塑性樹脂は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)である。また、上層1の厚さは、例えば200μmである。なお、上層1の膜厚(層厚)は概ね均一である。
上層1には、後述するインレット4を収容する収容凹部1aが形成されている。収容凹部1aの深さは、後述するインレット4の厚さよりも深くなっている。また、収容凹部1aの面(底面)1cの平面形状は、インレット4の平面形状と合致した形状をしている。なお、収容凹部1a内には、インレット4が一つ収容されている。
【0016】
(インレット4)
インレット4は、ICチップとアンテナを有している。このICチップは、例えばHF帯に対応するチップ(例えばISO15693準拠品)である。そして、アンテナは、銅の巻き線であって、コイル寸法はφ4mmである。また、アンテナの厚みは約200μmである。なお、インレット4の形状は、例えば円板状である。
【0017】
(中間層2)
中間層2は、上層1と同様の部材で形成されている。即ち、中間層2は熱可塑性樹脂で形成されており、その形状はシート状である。中間層2に用いられる熱可塑性樹脂は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)である。また、中間層2の厚さは、例えば200μmである。なお、中間層2の膜厚(層厚)は、概ね均一である。
中間層2には、収容凹部1aに嵌合可能な凸部2aが形成されている。そして、凸部2aは収容凹部1a内に配置されている。また、凸部2aの面2bは、収容凹部1aの面1cに対向している。なお、凸部2aの面2bと収容凹部1aの面1cとでインレット4は挟持されていてもよい。
【0018】
(下層3)
下層3は、上層1と同様の部材で形成されている。即ち、下層3は熱可塑性樹脂で形成されており、その形状はシート状である。下層3に用いられる熱可塑性樹脂は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)である。また、下層3の厚さは、例えば200μmである。なお、下層3の膜厚(層厚)は、概ね均一である。
下層3は、中間層2を介して収容凹部1aの開口部1bを覆っている。
収容凹部1aの周囲には、上層1、中間層2及び下層3が積層されている。そして、この積層された3層が高周波ウェルダー加工により溶着されており、インレット4は封止されている。本実施形態では、この溶着した部分をウェルダー封止部7と呼ぶ。
なお、下層3と中間層2との間には空間が形成されていてもよい。本実施形態では、この空間をクッション部6と呼ぶ。
【0019】
(1−2)効果
以上のように、本実施形態に係るICタグ10であれば、収容凹部1a内の空間は凸部2aが配置されることでインレット収容部5が狭くなる。よって、インレット収容部5内でインレット4が移動するのを抑えることができる。よって、製品の輸送時、ICタグ10の取り付け時にインレット4と外層部とがぶつかることで、音が鳴ってしまい不良品と扱われる可能性を低減することができる。
【0020】
インレット4の移動を抑える従来技術としては、例えばラミネート封止による方法がある。しかし、この方法では封止時にインレット4に外部から力が加わるため、インレット4に負荷がかかる場合がある。また、このラミネート封止による方法では、封止時にインレット収容部5が変形して、ICタグの寸法(例えば、高さ)も大きく変わってしまう場合もある。これらの対応策として、例えばインレット収容部5に保護シートを一層設けたり、またインレット4にかさ上げ部を設けたりする場合があるが、これらの対応策では、別部材を用いるために製造コストが上がってしまうことがある。
【0021】
しかしながら、本実施形態に係るICタグ10であれば、高周波ウェルダー加工でインレット4が封止されているので、ラミネート封止の場合と比較して、インレット4を封止する際にインレット収容部5が変形しにくい。よって、ICタグ10の寸法が変わるのを防止することができる。また、ラミネート封止していないので、インレット4を封止する際にインレット4に与える負荷も低減できる。
【0022】
また、ICタグ10であれば、上層1、中間層2及び下層3は同一の熱可塑性樹脂部材であるので、各層を別部材とした場合と比較して、製造のコストアップを避けることができる。
また、ICタグ10であれば、収容凹部1aの面1cの平面形状は、インレット4の平面形状と合致しているので、収容凹部1aの面1cの平面形状がインレット4の平面形状と合致していない場合と比較して、収容凹部1a内でのインレット4の移動をより防止することができる。
【0023】
また、ICタグ10であれば、中間層2と下層3との間にクッション部6が形成されているため、仮に外部からICタグ10に力が加わったとしても、このクッション部6で外部からの力を緩和できる。よって、ICタグ10またはインレット4が破壊されるのを低減することができる。
また、従来技術に係るICタグ30ではインレット収容部5にインレット4を接着剤で固定する場合もあるが、本実施形態に係るICタグ10であれば、インレット4の固定に接着剤等を使用していない。このため、例えばオートクレーブにこのICタグ10を入れた場合であっても、接着剤等からガスが発生することもない。また、インレット4の固定に使用された接着剤の接着力が低下し、インレット4の固定が不完全となることもない。
【0024】
なお、本実施形態では、HF帯の巻き線のインレット4について説明したが、これに限定されるものではない。インレット4の周波数や材料については特に制限を受けない。ICタグ10の周波数としては、例えばHF帯、UHF帯、LF帯のものを用いることができる。また、アンテナの種類として、例えば巻き線、エッチング、印刷によるものを用いることができる。また、アンテナの材料としては、例えばAl、Cu、Ag、導電性インキ等を用いることができる。また、アンテナ基材として、例えばPET、PEN、PIなどのフィルム、FR4などのプリント基板、紙等を用いることができる。
また、本実施形態では、上層1、中間層2及び下層3の膜厚は同じである場合について説明したが、これに限定されるものではない。各層の膜厚は異なっていてもよい。
【0025】
(2)ICタグ10の製造方法
図2は、本発明の実施形態に係るICタグ10の製造方法を説明する縦断面図である。
図2に示す本発明の実施形態に係るICタグ10の製造方法は、上層1にインレット4を配置する工程と、上層1のインレット4が配置された側に下層3を積層する工程と、下層3を積層する工程前に、下層3とインレット4との間にインレット4に向けて突出した凸部2aを有する中間層2を設ける工程と、を備えている。
【0026】
以下、上述した各工程の詳細について説明する。なお、本実施形態に係る製造方法では、上述したICタグ10の各部分を用いるものである。よって、同一の部分については、同一の符号を付して示す。
上層1にインレット4を配置する工程は、熱可塑性樹脂からなる上層1を塑性変形させてインレット4を収容する収容凹部1aを形成する工程(
図2(a)、(b)を参照)と、形成された収容凹部1a内にインレット4を収容する工程(
図2(c)を参照)とからなる。
【0027】
収容凹部1aを形成する工程は、上側金型22の下面22aから突出する凸部22bを下側金型21の受け穴21a内へ挿入することにより、上側金型22と下側金型21との間に配置された平板状の上層1をインレット4の平面形状に合わせて塑性変形させるものである。このため、上層1に収容凹部1aの形成と同時に、凸部1dも形成される(
図2(c)を参照)。例えば、インレット4の平面形状が円形であれば、上側金型22の下面22aから突出する凸部22bは円柱状であり、下側金型21の受け穴21aは丸穴状である。
【0028】
なお、上層1の塑性変形では、例えば常温型押し、高温型押しまたは高周波ウェルダー等の方法を用いることができる。また、上層1に収容凹部1aを形成する工程は、金型ではなく、木型や樹脂型を用いてもよい。さらに、エンボスロール等を用いて行うこともできる。
収容凹部1a内にインレット4を収容する工程は、上述した工程により形成した収容凹部1a内にインレット4を収容するものである。なお、この工程は、上層1を下側金型21から取り出さずに、上層1が下側金型21に嵌合されたままの状態で行ってもよい。
【0029】
上述した下層3とインレット4との間にインレット4に向けて突出した凸部2aを有する中間層2を設ける工程は、中間層2に凸部2aを設ける工程(図示せず)と、形成した凸部2aをインレット4に向けて配置する工程(
図2(d)を参照)とからなる。
中間層2に凸部2aを設ける工程は、上述の上層1に収容凹部1aを形成する工程と同様の工程である。即ち、上側金型22の下面22aから突出する凸部22bを下側金型21の受け穴21a内へ挿入することにより、上側金型22と下側金型21との間に配置された平板状の中間層2をインレット4の平面形状に合わせて塑性変形させるものである。このため、中間層2に凸部2aの形成と同時に、凹部2cも形成される。
【0030】
インレット4に向けて凸部2aを配置する工程では、上述の工程で中間層に形成された凸部2aを収容凹部1aに嵌合させるように配置する。そして、最後に、中間層2を介して上層1のインレット4が配置された側に下層3を積層する(
図2(d)を参照)。
こうして、ウェルダー加工前に、上層1、中間層2及び下層3の3層からなる積層体を形成する。
【0031】
図2(e)は、収容凹部1aの周囲に積層された、上層1、中間層2及び下層3を溶着する溶着工程を示す。この工程において用いられる下側金型23及び上側金型24は、高周波ウェルダー加工用金型である。また、下側金型23の受け穴23aの周囲には、上方へ突出する刃部23bが形成されている。このため、下側金型23の刃部23bと上側金型24の平坦な下面24aとで挟まれた上層1、中間層2及び下層3は高周波の誘電加熱作用により溶着される。
なお、上述の収容凹部1aの周囲を溶着する溶着工程は、高周波ウェルダー加工ではなく、ヒートシール加工等により行ってもよい。
【0032】
ここで、下側金型23の受け穴23aの周囲に刃部23bを形成していることから、上側金型24には刃部がなく、その下面24aを平面にすることができる。このため、上側金型24と下側金型23との位置合わせをする必要がない。
なお、下側金型23の受け穴23aの形状は、上層1の収容凹部1aの形成に伴って形成された凸部1dが嵌合されるため、本実施形態では丸穴状である。つまり、下側金型23の受け穴23aの形状は、上層1の凸部1dの平面形状に合わせた形状とする。
【0033】
また、上述した収容凹部1aの周囲を溶着する溶着工程では、上側金型24と下側金型23の挟む力を調整して、ICタグがシート状に連なるように溶着する。
したがって、
図2(f)及び
図3に示すように下側金型23からICタグ10を取り出した状態では、ICタグ10の外周25は溶着しているが、ICタグ10は個々に分離していない(個片化されていない)。このため、複数のICタグ10を容易に一括して下側金型23から取り出すことができる。また、複数のICタグ10を取り付けたまま、輸送等も行うことができる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係るICタグ10の製造方法であれば、収容凹部1a内の空間は凸部2aが配置されることにより狭くなる。よって、製品の輸送時、ICタグの取り付け時にインレットと外層部とがぶつかることで発生する音を抑制したICタグを製造することができる。このため、収容凹部1a内でインレット4が移動するのを抑えることができる。また、上記の方法であれば、ラミネート封止を使用することなく、インレット4を封止することができる。よって、封止時に収容凹部1aが変形しにくい。ゆえに、ICタグ10の寸法が変わるのを防止することができる。
【0035】
なお、上述した実施形態では、
図2(d)、(e)に示したように、上層1、中間層2及び下層3の3層を同時に溶着する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図4(a)〜(e)に示すように、まず収納凹部1aが形成された上層1と凸部2aが形成された中間層2とをウェルダー加工して(
図4(a)〜(b)を参照)、1次加工品26を製造する。その後、1次加工品26の中間層2上に下層3を重ねて(
図4(c)を参照)、最後に上層1、中間2層及び下層3の3層をウェルダー加工してもよい(
図4(d)を参照)。この方法によっても、
図2(f)及び
図3に示したICタグ10と同様のICタグを製造することができる(
図4(e)を参照)。
【0036】
また、上述した実施形態では、
図2(a)、(b)に示したように、上層1に収納凹部1aを形成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、収納凹部1aが形成された上層1に代えて、収納凹部1aが形成されていない上層1(つまり、平板状の上層1)を用いることもできる(図示せず)。この場合には、上層1と中間層2とを溶着する際に中間層2の凸部2aで上層1が押されるため、インレット4及び凸部2aの形状に沿って上層1が伸びる。これにより、
図4(c)に示した1次加工品26と同様の加工品を製造することができる。その後、1次加工品26の中間層2上に下層3を重ねて(
図4(c)を参照)、最後に上層1、中間層2及び下層3の3層をウェルダー加工してもよい(
図4(d)を参照)。この方法によっても、
図2(f)及び
図3に示したICタグ10と同様のICタグを製造することができる(
図4(e)を参照)。
【0037】
以下、本実施形態に係るICタグ10と従来技術に係るICタグ30のインレット収容部5の広さを比較した結果を示す。
[実施例]
実施例では、上述した本実施形態に係る製造方法でICタグ10を試作した(試作1〜3)。そして、各ICタグ10の上層1から中間層2までの距離と、中間層2から下層3までの距離を測定した。その結果を表1に示す。なお、表1の「上層−中間層(インレット収容部)」の欄に記載された距離は、
図5(a)に示した上層1から中間層2までの距離(A)を、また「中間層−下層間」の欄に記載された距離は、中間層2から下層3までの距離(B)をそれぞれ示す。
【0039】
[比較例]
比較例では、従来技術に係るICタグ30を試作した(試作4〜6)。そして、各ICタグ30の上層1から下層3までの距離を測定した。その結果を表2に示す。なお、表1の場合と同様に、表2の「上層−下層(インレット収容部)」の欄に記載された距離は、
図5(b)に示した上層1から下層3までの距離(C)を示す。
【0041】
なお、実施例及び比較例において、各層間の距離(空間)の測定には、側長顕微鏡を用いた。また、インレット4及び各層(PVC製)の厚さの測定には、マイクロメータを用いた。また、各層間の距離(空間)の測定は、1つのICタグについてそれぞれ3回行った。
表1、2に示すように、実施例に係るICタグ10(試作1〜3)のインレット収容部5の空間は、比較例に係るICタグ30(試作4〜6)のインレット収容部5の空間と比較して、いずれの場合も1/3〜1/6程度まで小さくなった。ここで、巻き線インレットの厚さは200μm程度なので、実施例に係るICタグ10のインレット収容部5には余分な空間がほとんどないことが分かった。このため、実施例に係るICタグ10であれば、インレット4がずれにくい状態であることが分かった。
【0042】
また本実施例の試作ICタグを梱包する際の動作で、試作4〜6のICタグで確認された音が試作1〜3では確認されなかったため、インレット4と外層部がぶつかることで発生する音が抑制できていることが分かった。
本実施形態に係るICタグ10及びその製造方法は、封止されたICタグ全般に利用可能である。例えば、パレット、カゴ車、電子機器類、ワッペン、名札、織ネーム、文房具、キーホルダ、玩具等のトレーサビリティ、在庫管理、クリーニング管理、電子マネー等に利用可能である。