特許第6015199号(P6015199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015199
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   G03G15/20 510
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-166273(P2012-166273)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-26114(P2014-26114A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2014年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104124
【氏名又は名称】カシオ電子工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】亀山 知裕
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−067271(JP,A)
【文献】 特開平08−314217(JP,A)
【文献】 特開2005−215182(JP,A)
【文献】 実公平06−011991(JP,Y2)
【文献】 特開2003−140480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該装置の開口部を覆うように設けられた開閉自在な開閉カバーと、
少なくとも一方が熱ローラであって用紙を挟持搬送可能な定着ローラ対と、
用紙搬送路に対し前記開閉カバーの設置側の第2の位置と前記第2の位置から前記用紙搬送路を越えた側の第1の位置との間を移動可能なように前記定着ローラ対に沿う位置に配置された押し出し部材と、
前記押し出し部材を前記第1の位置から前記第2の位置の方向に付勢する第1の付勢部材と、
前記開閉カバーに設けられ該開閉カバーの閉成時に前記押し出し部材に係合し前記第1の付勢部材の付勢力に抗して前記押し出し部材を前記第1の位置に押し込み、前記開閉カバーの開成時に前記係合を解除する係合部と、
を備え、
前記押し出し部材は、前記係合の解除により前記第1の付勢部材の付勢力にて前記第1の位置から前記第2の位置へ移動し前記定着ローラ対で挟持されている用紙の後部を前記開閉カバーの設置側に押し出すように構成されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記押し出し部材は棒状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着ローラ対に沿う回動軸を支点に当該装置に対して前記定着ローラ対を定着実行時姿勢と退避姿勢とに回動自在に支持する定着フレームと、
前記定着ローラ対を前記退避姿勢方向に付勢する第2の付勢部材と、
を備え、
前記係合部は、前記開閉カバーの閉成時に前記定着フレームに係合し前記第2の付勢部材の付勢力に抗し前記定着ローラ対を前記定着実行時姿勢に保持し、前記開閉カバーの開成時に前記係合を解除する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着ローラ対は、前記係合部が前記定着フレームとの係合を解除したとき、前記第2の付勢部材の付勢力により前記定着ローラ対で挟持した用紙の後部を把持しやすいように前記用紙搬送路に対し前記開閉カバー方向に凸状に屈曲させるように回動する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関り、更に詳しくはジャム等で定着装置に挟持された用紙の後端が待機ローラ対や二次転写部に挟持されていてもジャム紙をユーザが容易に取り除くことが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、一般に感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着ユニットで定着させる。
【0003】
トナー像の転写には、画像形成ユニットから用紙に直接転写する方式のものと、画像形成ユニットから中間転写体に一次転写し、中間転写体から用紙に二次転写する方式のものとがある。
【0004】
いずれにしても、そのような画像形成装置において、例えば、定着ユニットで用紙ジャムが発生すると、ユーザは装置内に手を入れてジャム用紙を取り出さなければならない。しかし、定着ユニットは、印字実行中の定着温度が110℃〜180℃の間で上下している。
【0005】
したがって、ジャムの用紙を取り除くためにユーザが装置内に不用意に手を入れると火傷を負うなどの大きな不具合が発生する虞がある。ところが、特にジャムした用紙が、定着ユニットのローラに挟持され、その用紙の後端が転写部や待機ローラ対に挟持されているような場合は、ユーザは装置内深くまで手を入れる必要が出てきて危険が一層強まる。
【0006】
そのような問題を解決するために、例えば、用紙の取出し方向とは反対側に予め棒状の引き出し部材を配置し、ジャムが発生したとき上蓋を開けると、上蓋の開成に連動して引き出し部材が持ち上がり、ジャム用紙を搬送路から外部方向に押し出す機構が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公平06−11991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術は画像形成ユニットから用紙に直接転写する方式で且つモノクロの画像形成装置に関して提案されているものであり、近年広く用いられている画像形成ユニットを多段式に備えてフルカラー画像を印刷する且つ二次転写方式のものについては、提案も示唆もされていない。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、ジャム等で定着装置に挟持された用紙の後端が待機ローラ対や二次転写部に挟持されていてもジャム紙をユーザが容易に取り除くことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、当該装置の開口部を覆うように設けられた開閉自在な開閉カバーと、少なくとも一方が加熱制御される熱ローラを有し用紙を挟持搬送可能な定着ローラ対と、用紙搬送路に対し前記開閉カバーの設置側の第2の位置と前記第2の位置から前記用紙搬送路を越えた側の第1の位置との間を移動可能なように前記定着ローラ対に沿う位置に配置された押し出し部材と、を備え、前記押し出し部材は、前記開閉カバーの開動作に伴って前記第1の位置から前記第2の位置に移動するように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ジャム等で定着装置に挟持された用紙の後端が待機ローラ対や二次転写部に挟持されていてもジャム紙をユーザが容易に取り除くことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1及び2に係るフルカラーの画像形成装置(プリンタ、装置本体)の内部構成を説明する断面図である。
図2】(a)はプリンタの外観斜視図、(b)は両面印刷用搬送ユニットと一体な開閉部材を開く図である。
図3】(a)は定着ユニットと開閉部材の係合部との関係を示す概略図、(b)は開閉部材が開放されていないときの装置本体の内部をより簡略に示す断面図、(c)はそのときの定着ユニットの状態を示す図、(d)は開閉部材が開放されたときの装置本体の内部をより簡略に示す断面図、(e)はそのときの定着ユニットの状態を示す図である。
図4】(a)は実施例2に係る定着ユニットと開閉部材の係合部との関係を示す概略図、(b)は装置本体の開閉部材が開放されていないときの内部をより簡略に示す断面図、(c)はそのときの定着ユニットの状態を示す図、(d)は開閉部材が開放されたときの装置本体の内部をより簡略に示す断面図、(e)はそのときの定着ユニットの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明の説明おいて、印字と印刷は同義に用いられる。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1及び2に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタ、又は装置本体という)の内部構成を説明する断面図である。
【0015】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、大別して画像形成部2、中間転写ベルトユニット3、給紙部4、及び両面印刷用搬送ユニット5で構成されている。
【0016】
上記画像形成部2は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット6(6M、6Y、6C、6K)を多段式に並設した構成からなる。
【0017】
上記4個の画像形成ユニット6のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット6M、6C及び6Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット6Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0018】
上記の各画像形成ユニット6は、トナー容器(トナーカートリッジ)に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット6Kを例にしてその構成を説明する。
【0019】
画像形成ユニット6は、最下部に感光体ドラム7を備えている。この感光体ドラム7は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム7の周面近傍を取り巻いて、クリーナ8、帯電ローラ9、光書込ヘッド11、及び現像器12の現像ローラ13が配置されている。
【0020】
現像器12は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備えている。
【0021】
また、現像器12の下部には側面開口部に上述した現像ローラ13を備え、内部には、現像ローラ13にトナーを供給するトナー供給ローラ14のほか、特には図示していないが、トナー撹拌部材、現像ローラ13上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0022】
中間転写ベルトユニット3は、装置本体のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト15と、この転写ベルト15を掛け渡されて転写ベルト15を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ16と従動ローラ17を備えている。
【0023】
上記の転写ベルト15は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットといっている。
【0024】
この中間転写ベルトユニット3は、上記扁平なループ状の転写ベルト15のループ内にベルト位置制御機構18を備えている。ベルト位置制御機構18は、転写ベルト15を介して感光体ドラム7の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ19を備えている。
【0025】
ベルト位置制御機構18は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット6M、6C及び6Yに対応する3個の一次転写ローラ19を支持軸を中心に同一周期で回転移動させる。
【0026】
そして、ベルト位置制御機構18は、ブラック(K)の画像形成ユニット6Kに対応する1個の一次転写ローラ19を上記3個の一次転写ローラ19とは個別に回転移動させて転写ベルト15を感光体ドラム7から離接させる。
【0027】
すなわち、ベルト位置制御機構18は、中間転写ベルトユニット3の転写ベルト15の位置を、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ19が転写ベルト15に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット6Kに対応する一次転写ローラ19のみが転写ベルト15に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ19が転写ベルト15から離れる)に切換える。
【0028】
上記の中間転写ベルトユニット3には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット6Mの更に上流側に、ベルトクリーニング部20が配置されている。また、転写ベルト15の下面部の中央部ほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器21が着脱自在に配置されている。
【0029】
クリーニング部20は、転写ベルト15の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去して、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒の上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器21に送り込んでいる。
【0030】
給紙部4は、上下2段に配置された2個の給紙カセット22(22a、22b)を備え、2個の給紙カセット22の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ23、給送ローラ24、捌きローラ25、待機搬送ローラ対26が配置されている。
【0031】
待機搬送ローラ対26の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト15を介して従動ローラ17に圧接する二次転写ローラ27が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0032】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット(以下、単に定着ユニットという)28が配置されている。定着ユニット28は、少なくとも一方が加熱制御される熱ローラ29からなる定着ローラ対31を備えている。熱ローラ29は、熱源32を内部に有する発熱ローラ33との間に熱伝導ベルト34を掛け渡されている。
【0033】
また、定着ユニット28は、定着ローラ対31の長手方向(図の紙面奥行き方向)に沿い装置本体1に対し内側端部に配置された回動軸35と、装置本体1に対し外側端部に配置された詳しくは後述するが図1では図示を省略している係合案内部を備えている。
【0034】
そして、定着ユニット28の、装置本体1に対し外側となる上記端部の下部には、係合案内部の機能を阻害しない位置に、定着ユニット28の外側端部を常に上方に付勢する上付勢部材36が配置されている。
【0035】
この定着ユニット28の更に下流側(図の上方)には、定着後の用紙を定着ユニット28から搬出し、更に装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0036】
両面印刷用搬送ユニット5は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する右側面カバーとしての開閉部材を兼ねている。この両面印刷用搬送ユニット5は、定着ユニット28と排紙ローラ対38との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した返送路を備えている。
【0037】
この返送路は、返送開始路39a、それから下方に曲がる返送中間路39b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる返送終端路39c、及びこれら返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対41a、41b、41c、41dを備えている。
【0038】
上記返送終端路41cの出口は、給紙部4の下方の給紙カセット22bに対応する待機搬送ローラ対26への搬送路に連絡している。
【0039】
図2(a)は、上記のプリンタ1の外観斜視図であり、同図(b)は両面印刷用搬送ユニット5と一体な開閉部材を開く図である。尚、図2(a),(b)には図1と同一の構成部分には図1と同一の番号を付与して示している。
【0040】
図2(a)に示すように、プリンタ1には、前方に前扉42が備えられ、右側面には開閉カバーとしての開閉部材43が備えられている。開閉部材43には上部に取っ手44が付いている。図2(b)に示すように、開閉部材43の取っ手44に人の手45を掛けて開閉部材43を矢印aで示すように下方に開放して装置本体1の側面開口46から定着ユニット28を露出させることができる。
【0041】
このプリンタ1は、図1に示したように、画像形成ユニット6から用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対26により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に中間転写ベルト15を介してトナー像を二次転写する方式となっている。
【0042】
したがって、用紙ジャム等の不具合は、図1の左側に集中するキット類の配設部では発生しないので、キット類などの消耗品の着脱の操作は、図2に示す前扉40aを開いて、キット類を長手方向(前扉方向)に入れ替え操作するように構成されている。
【0043】
つまり、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合は、装置本体の右側のみで発生するので、用紙ジャム等を回復するメンテナンス処理は、図2(b)に示す右側の開閉部材43を開放するのみで対処できるようになっている。
【0044】
しかし、開閉部材43を開放するのみで対処できるとはいっても、ジャムした用紙が定着ユニット28の定着ローラ対31に挟持され、その用紙の後端が二次転写部や待機ローラ対26に挟持されているような場合は、ユーザは装置内深くまで手を入れる必要が出てくる。
【0045】
前述したように、定着ユニット28は、用紙ジャム発生直前までの印字実行中の定着温度が110℃〜180℃の間にある。したがって、ジャム用紙を取り除くためにユーザが装置内に不用意に手を入れると火傷を負うなどの不具合が発生する虞が多分にある。
【0046】
そこで本発明者は、定着ユニット28で発生したジャム用紙を取り除くために開閉部材43を開放したとき、開閉部材43の開放に連動して、ジャム用紙が取り出し易い位置にせり出してくるように動作する係合部を考え出した。以下これについて説明する。
【0047】
図3(a)は定着ユニット28と開閉部材43の後述する係合部47との関係を示す概略図、図3(b)は図2(a)のように開閉部材43が開放されていないときの装置本体1の内部をより簡略に示す断面図であり、図3(c)はそのときの定着ユニット28の状態を示す図、図3(d)は図2(b)のように開閉部材43が開放されたときの装置本体1の内部をより簡略に示す断面図、図3(e)はそのときの定着ユニット28の状態を示す図である。
【0048】
なお、図3(a)〜(e)には、図1及び図2(a),(b)と同一の構成部分には図1及び図2(a),(b)と同一の番号を、説明に必要と思われる部分にのみ付与して示している。また、図3(b),(d)には簡略を期すため、定着ユニット28周囲の付属部材の図示を省略している。ただし、図1では図示を省略した係合部47とジャム用紙48を図示している。
【0049】
図3(a)〜(c)に示すように、定着ユニット28は、図1に示した回動軸35のほかに、装置本体1に対し外側端部に配置された係合案内部49を備えている。係合案内部49は外側に末広がりの円弧形状をなしている。これにより、開閉部材43が閉じられたとき開閉部材43に一体な係合部47が容易に係合案内部49に進入して係合案内部49に係合する。
【0050】
この係合により、係合部47は、図1に示した上付勢部材36の付勢力に抗し、回動軸35と協働して定着ユニット28を図3(a),(c)に示す定着実行時姿勢に保持することができる。
【0051】
そして、用紙が定着ユニット28を通過しないうちに、その後端部を二次定着部に挟持されたままジャム状態になったとき、図3(d)に示すように、開閉部材43が開成されると、係合案内部49と係合部47との係合が解除される。
【0052】
このように係合案内部49と係合部47との係合が解除されると、図3(d),(e)に示すように、定着ユニット28は、図1に示す上付勢部材36の付勢力により回動軸35を支点にして図3(c)の定着実行時姿勢よりも上方に回動し、図3(d),(e)に示すように、定着ローラ対31で挟持した用紙48の後部48aを装置本体1の外側方向に凸状に屈曲させる。
【0053】
このように、開閉部材43が開成されると、定着ユニット28の外端部が上に回動して二次転写部との間隔が広がることと、ジャム用紙48の後端48aが外側方向に凸状に屈曲していることにより、ユーザは高温の定着ユニット28に誤って手を触れることなく容易にジャム用紙を外部に取り出すことができる。
【実施例2】
【0054】
図4(a)は実施例2に係る定着ユニットと開閉部材の係合部との関係を示す概略図、(b)は装置本体1において、図2(a)のように開閉部材43が開放されていないときの装置本体1の内部をより簡略に示す断面図であり、図4(c)はそのときの定着ユニット28の状態を示す図である。
【0055】
また、図4(d)はこの実施例2に係る装置本体1において、図2(b)のように開閉部材43が開放されたときの装置本体1の内部をより簡略に示す断面図であり、図4(e)はそのときの定着ユニット28の状態を示す図である。
【0056】
なお、図4(a)〜(e)に示す構成は、図3(a)〜(e)と定着ユニット28周囲の構成を除いては同一の構成であるので、図3(a)〜(e)と同一の番号を、説明に必要と思われる部分にのみ付与して示している。
【0057】
また、本例においても、図4(b),(d)には簡略を期すため、定着ユニット28周囲の付属部材の図示を一部省略している。ただし、より長い係合部51とジャム用紙48と本例で新たに加えられた棒状体52を図示している。
【0058】
図4(c)に示すように、本例の場合も、定着ユニット28は、回動軸35のほかに、装置本体1に対し外側端部に配置された外側に末広がりの円弧形状をなす係合案内部49を備えている。
【0059】
本例において、係合案内部49は、更に、定着ユニット28の下方外側端部側から中央部よりも内側まで延在して形成された長孔部53を備えている。この長孔部53には、定着ローラ対31の長手方向に沿って配置され両端を嵌入している上記の棒状体52が支持されている。
【0060】
この棒状体52には、図では省略しているが、棒状体52を装置本体1の外側方向に常に付勢する横付勢部材が配置されている。開閉部材43が閉じられたとき開閉部材43に一体なより長い係合部51は、その先端が、係合案内部49に係合して更に定着ユニット28の中心部よりも装置本体内側方向に侵入する。
【0061】
この、より長い係合部51の先端の侵入経路に位置して配置された棒状体52の両端部は、より長い係合部51の先端により押し込まれ、横付勢部材の付勢力に抗して長孔部53の左端側(装置本体1の内側方向)に移動する。
【0062】
この移動した位置は、図4(b),(c)に示すように、用紙48の搬送路に対し装置本体1の内側方向に位置する位置である。これを本例では第1の位置とする。
【0063】
この状態において、より長い係合部51は、上付勢部材36の付勢力に抗すると共に横付勢部材の付勢力に抗して棒状体52を第1の位置に押し込み、回動軸35と協働して定着ユニット28を図4(b),(c)に示す定着実行時姿勢に保持する。
【0064】
そして、用紙が定着ユニット28を通過しないうちに、その後端部を二次定着部に挟持されたままジャム状態になったとき、図4(d)に示すように、開閉部材43が開成されると、係合案内部49と、より長い係合部51との係合が解除される。
【0065】
このように係合案内部49とより長い係合部51との係合が解除されると、図4(d),(e)に示すように、定着ユニット28は、図1に示す上付勢部材36の付勢力により回動軸35を支点にして図4(c)の定着実行時姿勢よりも上方に回動する。
【0066】
この上方への回動と同時に、より長い係合部51からの押し込みを解除された棒状体52は、横付勢部材の付勢力により図4(e)に示すように、長孔部53の右端側(装置本体1の外側方向)に移動する。
【0067】
この移動した位置は、図4(d),(e)に示すように、用紙48の搬送路に対し装置本体1の外側方向に位置する位置である。これを本例では第2の位置とする。第1の位置から第2の位置に移動した棒状体52は、図4(d),(e)に示すように、定着ローラ対31に挟持された用紙48の後部48aを装置本体1の外側方向に凸状に屈曲させる。
【0068】
このように、本例の場合も開閉部材43が開成されると、定着ユニット28の外端部が上に回動して二次転写部との間隔が広がることと、ジャム用紙48の後端48aが棒状体52により強制的に外側方向に凸状に押し出されたことにより、ユーザは高温の定着ユニット28に誤って手を触れることなく容易にジャム用紙を外部に取り出すことができる。
【0069】
なお、上記実施の形態では、定着ユニットのヒンジを、定着ユニットの装置本体に対する内側方向を向く下端部に設けているが、これに限ることなく、上端部までの間のどの位置に設けるようにしてもよい。
【0070】
また、定着ユニットを上方に付勢する上付勢部材を、定着ユニットの装置本体に対する外側方向を向く下端部に設けているが、これに限ることなく、上端部の位置に引き付勢部材を設けるようにしてもよい。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0072】
装置本体と、
少なくとも一方が加熱制御される熱ローラを有し用紙を挟持搬送可能な定着ローラ対を備え、該定着ローラ対の長手方向に沿った回動軸を支点に前記装置本体に対して定着実行時姿勢と退避姿勢とに回動自在に支持される定着ユニットと、
該定着ユニットを前記退避姿勢方向に付勢する付勢部材と、
前記装置本体の外側面を形成する開閉自在な開閉カバーと、
該開閉カバーに設けられ、該開閉カバーの閉成時に前記定着ユニットに係合し前記付勢部材の付勢力に抗し前記定着ユニットを前記定着実行時姿勢に保持し、前記開閉カバーの開成時に前記係合を解除する係合部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
[付記2]
【0073】
前記定着ユニットは、前記係合部が前記定着ユニットとの係合を解除したとき、前記付勢部材の付勢力により前記定着実行時姿勢よりも上方に回動し前記定着ローラ対で挟持した用紙の後部を把持しやすいように前記装置本体の外側方向に凸状に屈曲させる、
ことを特徴とする付記1記載の画像形成装置。
[付記3]
【0074】
前記定着ユニットは、前記係合部との係合を案内する係合案内部を備えることを特徴とする付記1または2記載の画像形成装置。
[付記4]
【0075】
前記定着ローラ対の長手方向に沿い且つ用紙搬送路に対し前記装置本体の内側方向に位置する第1の位置と前記用紙搬送路に対し前記装置本体の外側方向に位置する第2の位置とに移動可能な棒状体と、
該棒状体を前記装置本体の外側方向に付勢する横付勢部材と、
を更に備え、
前記係合部は、前記開閉カバーの閉成時に前記横付勢部材に係合し前記横付勢部材の付勢力に抗して前記棒状体を前記第1の位置に押し込み、前記開閉カバーの開成時に前記横付勢部材との係合を解除し、
前記棒状体は、前記係合の解除により前記横付勢部材の付勢力にて前記第1の位置から前記第2の位置へ移動し前記定着ローラ対で挟持されている用紙の後部を前記装置本体の外側方向に押し出すように構成される、
ことを特徴とする付記3記載の画像形成装置。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、ジャム等で定着装置に挟持された用紙の後端が待機ローラ対や二次転写部に挟持されていてもジャム紙をユーザが容易に取り除くことが可能な画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置(プリンタ、装置本体)
2 画像形成部
3 中間転写ベルトユニット
4 給紙部
5 両面印刷用搬送ユニット
6(6M、6Y、6C、6K) 画像形成ユニット
7 感光体ドラム
8 クリーナ
9 帯電ローラ
11 光書込ヘッド
12 現像器
13 現像ローラ
14 トナー供給ローラ
16 駆動ローラ
17 従動ローラ
18 ベルト位置制御機構
19 一次転写ローラ
20 ベルトクリーナユニット
21 廃トナー回収容器
22(22a、22b) 給紙カセット
23 用紙取出ローラ
24 給送ローラ
25 捌きローラ
26 待機搬送ローラ対
27 二次転写ローラ
28 ベルト式熱定着ユニット(定着ユニット)
29 熱ローラ
31 定着ローラ対
32 熱源
33 発熱ローラ
34 熱伝導ベルト
35 回動軸
36 上付勢部材
37 排紙トレー
38 排紙ローラ対
39a 返送開始路
39b 返送中間路
39c 返送終端路
41a、41b、41c、41d 返送ローラ対
42 前扉
43 開閉部材
44 取っ手
45 人の手
46 側面開口
47 係合部
48 ジャム用紙
49 係合案内部
51 より長い係合部
52 棒状体
53 長孔部
図1
図2
図3
図4