(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報表示装置の実施形態であるアナログ電子時計10を含む情報表示システム1を示す図である。
【0012】
本実施形態の情報表示システム1は、アナログ電子時計10と、外部機器としてのスマートフォン40とにより構成される。このアナログ電子時計10及びスマートフォン40は、互いに近距離無線通信を用いて通信を行う機能を有している。近距離無線通信としては、特に限られないが、Bluetooth通信(登録商標)が用いられる。アナログ電子時計10は、近距離無線通信によりスマートフォン40への電話及び電子メールの着信を示す通知や、着信内容の確認がなされたことを示す通知をスマートフォン40からほぼリアルタイムで受信して、報知動作を行う。
【0013】
図2は、アナログ電子時計10の正面図である。
このアナログ電子時計10は、側面及び底面を覆うケーシング5と、文字板7(第1情報表示板)と、時針16と、分針17とを備えている。時針16及び分針17(複数の指針)は、文字板7と前面を覆う図示略の風防ガラスとの間に、同一の回転軸に対して回転可能に設けられている。また、文字板7の下部には、日車18(日付表示板)及び情報表示板19(第2情報表示板)が備えられており、
図2(a)、(b)にそれぞれ示すように、文字板7の3時の位置に設けられた開口部8(表示窓部)から日車18及び情報表示板19の上面にそれぞれ設けられた標識のうち何れかが選択的に表出可能に配置されている。
ケーシング5の側面には、リューズCが設けられており、ユーザが回転操作可能となっている。文字板7の周縁部には、1時から12時までの各正時を示す標識である時字が30度間隔で設けられている。
【0014】
図3は、アナログ電子時計10の内部構成を示すブロック図である。
【0015】
このアナログ電子時計10は、CPU(Central Processing Unit)11(情報表示板駆動制御手段、照明制御手段)と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、操作部14と、計時回路15(計時手段)と、輪列機構20を介して時針16及び分針17を連動して回転させるステップモータ22と、輪列機構21を介して日車18及び情報表示板19を連動して回転させるステップモータ23(モータ)と、ステップモータ22、23をステップ駆動するステップモータ駆動回路24(情報表示板駆動手段)と、アンテナANと、Bluetoothモジュール25(無線通信手段)及びUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)26と、振動モータ27及びそのドライバ28と、LED(発光ダイオード)29及びそのドライバ30と、ピエゾ素子31及びそのドライバ32と、CPU11と各部との間で信号のやり取りをするバス33などを備えている。
【0016】
CPU11は、アナログ電子時計10の全体動作の統轄制御及び各種演算処理を行う。CPU11は、計時回路15の計数する現在時刻に基づいてステップモータ駆動回路24に制御信号を送り、ステップモータ22を駆動させて時針16及び分針17により時刻表示を行わせ、また、ステップモータ23を駆動させて日車18により日付の表示を行わせる。CPU11は、Bluetoothモジュール25を介してスマートフォン40から取得された当該スマートフォン40への着信情報に基づいて表示内容を決定し、この表示内容に従ってステップモータ駆動回路24にステップモータ23を駆動させ、情報表示板19を回転させることで当該情報をそれぞれ表示させる。
【0017】
ROM12は、CPU11が実行する種々のプログラムや初期設定データを格納する。このROM12が格納するプログラムには、スマートフォン40とBluetooth通信を行うための通信制御プログラムが含まれる。
【0018】
RAM13は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。また、RAM13には、後述する電話着信信号及び電子メール着信信号の受信有無を示すフラグFT及びFMがそれぞれ二値データで記憶されている。
【0019】
操作部14は、リューズCを備え、外部からこのリューズCに対してなされた引き出し操作、押し込み操作、及び、回転操作を電気信号に変換して、入力信号としてCPU11に出力する。
【0020】
計時回路15は、入力される所定周波数のクロック信号に基づき現在時刻を計数して保持するカウンタである。この現在時刻が読み出され、時針16及び分針17によって表示されたり、当該現在時刻データと各種機能に係る設定時刻データとが比較されて種々の動作が行われたりする。
【0021】
ステップモータ駆動回路24は、CPU11からステップモータ22、23の駆動命令を含む制御信号を受け取ってステップモータ22、23を各々独立に駆動する駆動パルスを出力する。
ステップモータ22、23は、各々ステップモータ駆動回路24から入力された駆動パルスによりステップ駆動されて、駆動パルスの電圧波形に基づいて正転方向又は逆転方向に所定角度(例えば、180度)回転する。
【0022】
輪列機構20、21は、それぞれ複数の歯車列により構成される。輪列機構20は、ステップモータ22の回転角度を歯車比で調整して、ステップモータ22の1ステップ動作当たり所定角度(ここでは、1度)の回転を分針17に与える。時針16は、分針17に連動して回転する。また、輪列機構21は、ステップモータ23の回転角度を歯車比で調整して所定角度の回転を情報表示板19に与える。また、輪列機構21は、情報表示板19が回転する際、その一部の角度範囲(第2
情報表示板の回転のうち所定の一部分)において、日車18を連動して回転させる。この輪列機構21の構造については、後に詳述する。
【0023】
Bluetoothモジュール25は、アンテナANを介して外部機器との間でBluetooth通信を行うための制御モジュールである。CPU11から送られた送信データは、UART26でシリアル/パラレル変換などの処理が行われて、Bluetoothモジュール25からスマートフォン40などの外部機器に送信される。また、アンテナAN及びBluetoothモジュール25による外部機器からの受信データは、UART26でシリアル/パラレル変換などの処理が行われて、CPU11へ出力される。アナログ電子時計10がスマートフォン40から受信する受信データの内容は、制御データの他、予め設定されたものである。この受信データには、スマートフォン40への所定の情報着信を示す着信信号と、当該所定の情報着信の内容を確認済みであることを示す確認信号とが含まれる。本実施形態のアナログ電子時計10では、スマートフォン40への電話及び電子メールの着信信号及び確認信号が受信される設定となっている。この場合の電話確認信号は、スマートフォン40から送信された電話着信信号に係る全ての電話着信への応答又は発信電話番号の確認がなされたことを示す。また、電子メール確認信号は、スマートフォン40から送信された電子メール着信信号に係る全ての電子メールの内容閲覧又は送信先アドレスの確認がなされたことを示す。
【0024】
振動モータ27、LED(発光ダイオード)29、及び、ピエゾ素子(
例えばPZT)31は、それぞれ振動、光、及び、ブザー音を発することでユーザに通知を行うためのものである。CPU11からドライバ28、30、32にそれぞれ制御信号が送られると、ドライバ28、30、32は、それぞれ、振動モータ27、LED29、ピエゾ素子31を動作させるのに必要な電圧信号に変換して出力する。これらの動作は、アナログ電子時計10におけるアラーム時刻報知動作に用いられる他、上記着信信号の受信報知の際に併せて行われる設定とすることができる。
【0025】
次に、本実施形態のアナログ電子時計10における日車18及び情報表示板19の回転動作に係る構造について説明する。
【0026】
図4は、本実施形態のアナログ電子時計10における日車18及び情報表示板19について説明するための図である。
図4(a)は、日車18及び情報表示板19に係る構成を上部から見た模式図であり、
図4(b)は、この構成の配置を断面線A−Aについて側面から見た模式図である。
【0027】
日車18は、円環状の回転板であり、時針16及び分針17と同一の回転軸に対して回転可能となっている。日車18の上面には、同一円周上に1〜31日の各日付(第1の情報)を表す日付標識が11.25度間隔で設けられている。また、この日車18の上部には、日車18より半径の小さい円板状の情報表示板19が日車18に略平行に設けられている。この情報表示板19は、その外周が3時方向で日車18の外周と位置が重なるように配置されている。情報表示板19の上面には、90度間隔で3個の標識「TEL」、「MAIL」、「LINK」(情報表示部、第2情報表示部)が設けられ、また、標識「MAIL」と180度反対側(
第2情報表示板のうち所定の一部分)には、下部の日車18の表示を透過露出させる透過小窓191が設けられている。なお、情報表示板19は、透過小窓191を設ける代わりにこの角度方向に切欠部を設け、下部の日車18の表示を直接表出可能としても良い。或いは、情報表示板19に透明部材を用い、標識「TEL」、「MAIL」、「LINK」が設けられた部分を除く他の角度範囲では、下部の日車18の日付標識を透明部材越しに上方から視認可能な構成とすることができる。
【0028】
情報表示板19は、ステップモータ23のステップ駆動により所定の角度回転する輪列機構21の駆動車連結歯車211に従って同角度回転する。また、この駆動車連結歯車211の回転は、ゼネバ機構(Geneva Drive)のピン212及びスロット213を用いて所定の角度範囲でのみ日回し車214に伝達されて、日回し車214が日車18の内歯車と噛み合うことで日車18を回転させる。即ち、ハウジング51の内部で、情報表示板19が駆動車連結歯車211に従って一周360回転すると、日車18が11.25度回転する。
【0029】
図5は、日車18及び情報表示板19による具体的な表示方法について説明する図である。
【0030】
先ず、情報表示板19の透過小窓191が開口部8と重なる位置にある状態で、駆動車連結歯車211と共に回転するピン212が従動車である日回し車214と共に回転するスロット213に納まると、ピン212の回転がスロット213に伝達される。この結果、日回し車214は、90度の間、駆動車連結歯車211の回転に従って回転し、日車18を回転移動させる。この回転移動により、日付の表示位置は、一日分変化する(
図5(a)、(b))。また、駆動車連結歯車211に連動して情報表示板19が90度回転し、標識「LINK」が日車18の日付表示を隠した状態で開口部8から表出される。日回し車214が90度回転すると、ピン212がスロット213から抜けて、その後、駆動車連結歯車211が270度回転する間には、日回し車214が回転しない(
図5(c)、(d))。従って、この間、情報表示板19だけが回転し、90度の回転で標識「MAIL」が露出され(
図5(c))、180度の回転で「TEL」が露出され(
図5(d))、最後に、270度回転されることで、透過小窓191越しに日車18の日付表示が露出される。
【0031】
ここで、透過小窓191が露出された状態から駆動車連結歯車211を逆転方向(上方からみて左回り)に270度回転させて、各標識「TEL」、「MAIL」、「LINK」を開口部8から露出させても、やはり日車18が回転しない。従って、このアナログ電子時計10では、通常の日付変更時に一旦駆動車連結歯車211を正転方向(上方から見て右回り)に360度回転させて、透過小窓191を介して開口部8から翌日の日付を表示させる。そして、駆動車連結歯車211がこの位置から必要に応じて逆転方向に最大270度の範囲で回転されることで、日車18の位置を変化させずに日付表示と他の情報に係る各標識「TEL」、「MAIL」、又は、「LINK」の表示とが適宜切り替えて露出される。
【0032】
次に、本実施形態のアナログ電子時計10における表示動作について説明する。
図6は、アナログ電子時計10のCPU11が実行する表示処理の制御手順を説明するフローチャートである。
【0033】
この表示処理は、毎秒時刻の秒値が変わるタイミングにおいて1Hzのクロック信号の入力などにより呼び出され、実行される処理である。表示処理が開始されると、CPU11は、先ず、計時処理を行う(ステップS101)。CPU11は、クロック信号に基づき現在時刻を計数する計時回路15から現在時刻データを取得する。
【0034】
次に、CPU11は、現在時刻が「*0秒」、即ち、秒値の一桁目の値が「0」であるか否かを判別する(ステップS102)。秒値の一桁目の値が「0」であると判別された場合には、CPU11は、ステップモータ駆動回路24に制御信号を送り、ステップモータ22を動作させて時針16及び分針17を回転移動させる(ステップS103)。それから、CPU11の処理は、ステップS104に移行する。秒値の一桁目の値が「0」ではないと判別された場合には、CPU11の処理は、そのままステップS104に移行する。
【0035】
ステップS104の処理に移行すると、CPU11は、日付変更のタイミングであるか否かを判別する。日付変更のタイミングであると判別された場合には、CPU11は、ステップモータ駆動回路24に制御信号を送り、ステップモータ23を動作させて日車18及び情報表示板19を回転移動させ、翌日の日付を表示させる(ステップS105)。それから、CPU11の処理は、ステップS106に移行する。日付変更のタイミングではないと判別された場合には、CPU11の処理は、そのままステップS106に移行する。
【0036】
CPU11の処理がステップS106に移行すると、CPU11は、スマートフォン40との間でBluetooth通信のリンクが確立されているか否かを判別する。通信リンクが確立されていると判別された場合には、CPU11は、後述する受信処理を行い(ステップS107)、それから、表示処理を終了する。通信リンクが確立されていないと判別された場合には、CPU11は、そのまま表示処理を終了する。
【0037】
図7には、表示処理で呼び出された受信処理の制御手順を示すフローチャートを示す。
【0038】
受信処理が呼び出されると、CPU11は、データが受信されたか否かを判別する(ステップS201)。データが受信されていないと判別された場合には、CPU11はそのまま受信処理を終了して
処理を表示処理に戻る。
データが受信されたと判別された場合には、次に、CPU11は、受信データがスマートフォン40への着信信号であるか否かを判別する(ステップS202)。着信信号であると判別された場合には、CPU11は、更に、この着信信号が電話着信信号であるか否かを判別する
(ステップS211)。電話着信信号であると判別された場合には、CPU11は、フラグFTを「1」に設定し(ステップS212)、また、ステップモータ駆動回路24に制御信号を出力して、情報表示板19の標識「TEL」が開口部8から表出されるように情報表示板19を回転移動させる(ステップS213)。そして、CPU11は、受信処理を終了して、CPU11の処理は、表示処理に戻る。
【0039】
一方、ステップS211の判別処理で、受信された着信処理が電話着信信号ではないと判別された場合には、電子メールの着信信号であるということになり、CPU11は、フラグFMを「1」に設定する(ステップS222)。CPU11は、ステップモータ駆動回路24に制御信号を出力して、情報表示板19の標識「MAIL」が開口部8から表出されるように情報表示板19を回転移動させる(ステップS223)。そして、CPU11は、受信処理を終了して、CPU11の処理は、表示処理に戻る。
【0040】
次に、ステップS202の判別処理で、受信データが着信信号ではないと判別された場合には、CPU11は、続いて、受信データが着信の確認信号であるか否かを判別する(ステップS203)。確認信号であると判別された場合には、CPU11は、更に、この確認信号が電話確認信号であるか否かを判別する(ステップS231)。電話確認信号であると判別された場合には、CPU11は、フラグFTを「0」に設定する(ステップS232)。次いで、CPU11は、フラグFMが「1」であるか否かを判別する(ステップS233)。フラグFMが「1」であると判別された場合には、CPU11は、ステップモータ駆動回路24に制御信号を出力し、ステップモータ23を動作させて情報表示板19の標識「MAIL」を開口部8から表出させる(ステップS234)。そして、CPU11は、受信処理を終了し、処理を表示処理に戻す。
【0041】
ステップS233の判別処理でフラグFMが「1」ではないと判別された場合には、CPU11は、ステップモータ駆動回路24に制御信号を出力し、ステップモータ23を動作させて情報表示板19の透過小窓191の位置と開口部8の位置を一致させ、日車18の日付標識を開口部8から表出させる(ステップS254)。そして、CPU11は、受信処理を終了して処理を表示処理に戻す。
【0042】
ステップS231の判別処理で、確認信号が電話確認信号ではないと判別された場合には、確認信号は、電子メール確認信号であるということになるので、CPU11は、フラグFMを「0」に設定する(ステップS242)。次いで、CPU11は、フラグFTが「1」であるか否かを判別する(ステップS243)。フラグFTが「1」ではないと判別された場合には、CPU11の処理は、ステップS254に移行する。一方、フラグFTが「1」であると判別された場合には、CPU11は、ステップモータ駆動回路24に制御信号を出力し、ステップモータ23を動作させて情報表示板19の標識「TEL」が開口部8から表出されるように情報表示板19を回転移動させる(ステップS244)。それから、CPU11は、受信処理を終了して処理を表示処理に戻す。
【0043】
ステップS203の判別処理で、受信データが確認信号ではないと判別された場合には、CPU11は、その他の処理を行い(ステップS204)、受信処理を終了して処理を表示処理に戻す。
【0044】
図8は、通信接続処理のCPU11による制御手順を示すフローチャートである。
【0045】
この通信接続処理は、上記表示処理において毎秒受信処理を行うための通信リンクをアナログ電子時計10とスマートフォン40との間で確立するための処理である。この通信接続処理は、例えば、スマートフォン40への操作入力に
基づいてスマートフォン40から送信された通信接続
要求の受信や
、予め設定された
この処理の起動時刻の検出により起動される。或いは、ユーザによるリューズCへの所定の操作により起動されることとしても良い。
【0046】
通信接続処理が開始されると、CPU11は、先ず、既に通信リンク中であるか否かを判別する(ステップS301)。既に通信リンク中であると判別された場合には、CPU11の処理は、ステップS304に移行する。通信リンク中ではないと判別された場合には、CPU11は、スマートフォン40とのリンク処理を行う(ステップS302)。このリンク処理は、Bluetooth通信の通信規約に基づく周知の方法でなされればよい。このとき、リンクが確立されない場合には、CPU11は、予め設定された時間内で繰り返しリンク処理を行い、この時間内にリンクが確立されなかった場合には、そのままリンク処理を終了する。
【0047】
CPU11は、スマートフォン40との通信リンクの確立に成功したか否かを判別する(ステップS303)。通信リンクの確立に失敗したと判別された場合には、CPU11は、そのまま通信接続処理を終了する。通信リンクの確立に成功したと判別された場合には、CPU11の処理は、ステップS304に移行する。
【0048】
ステップS304の処理に移行すると、CPU11は、ステップモータ駆動回路24に制御信号を送り、ステップモータ23を動作させて情報表示板19の標識「LINK」が開口部8から表出されるように情報表示板19を回転移動させる。それから、CPU11は、この標識「LINK」の表示継続時間を計数する。
【0049】
CPU11は、標識「LINK」の表示継続時間が所定時間経過したか否か判別する(ステップS305)。CPU11は、所定時間が経過したと判別されるまで、この判別処理を繰り返し実行する。そして、所定時間が経過したと判別されると、CPU11は、ステップモータ駆動回路24に制御信号を送り、ステップモータ23を動作させて元の表示モードに戻す(ステップS306)。即ち、CPU11は、情報表示板19の透過小窓191を開口部8の位置に一致させ、日車18による現在の日付表示を行わせる。そして、CPU11は、通信接続処理を終了する。
【0050】
このように、本発明の実施形態のアナログ電子時計10は、開口部8を有する文字板7と、この文字板7の下側に回転可能に設けられ、開口部8から選択的に表出される複数の日付標識が配設された日車18と、文字板7と日車18との間に設けられ、上面に日付とは異なる情報が配設された標識「TEL」、「MAIL」、「LINK」を有する情報表示板19と、ステップモータ23に駆動パルスを出力し、輪列機構21を動作させて透過小窓191、標識「TEL」、「MAIL」、「LINK」のそれぞれと開口部8とが一致する位置に情報表示板19を回転移動させるステップモータ駆動回路24とを備える。従って、出力すべき情報があり、3個の標識の何れも表示させる場合には、情報表示板19を回転させて容易に標識「TEL」、「MAIL」、「LINK」の何れかを表出させることが出来、一方、出力すべき情報がない場合には、透過小窓191越しに開口部8から日付標識を表出可能である。従って、日付情報とその他の情報とを別個の日車18及び情報表示板19を用いて表示するので、一方の情報を表示させるごとに他方の情報に係る表示位置をリセットして切り替える必要がない。
【0051】
また、開口部8から表出される標識は一つだけであるので、ユーザが複数の表示により混乱することを防ぐことができる。
【0052】
また、時刻の表示に用いられる指針16、17の位置を変えずに情報の表示を行うことができ、時刻情報と比較してユーザの確認頻度の比較的少ない日付表示と他の情報の表示とを切り替えるので、情報を表示している間に時刻情報を取得できないという不具合を解消することができる。
【0053】
また、従来の日車18に係る日付表示のみを行うアナログ電子時計と同様の文字板構成でよく、複数の情報に係る目盛や標識を文字板上に設ける必要も無いので、デザインの自由度を高めることができる。
【0054】
また、日車18による日付表示と他の情報とを別個の日車18及び情報表示板19を用いて表示することで、定期的に変化していく日付情報に係る表示状態を不定期に表示される情報によって変化させる必要が無く、日車18の不要な動作を低減させることができる。特に、日車18のように一周当たりのステップ数の多い回転円板の動作ステップ数を大きく減らすことができるので、電力消費の低減や、速やかな情報表示を行うことができる。
【0055】
また、情報表示板19は、回転可能な円板形状であり、円板上に各標識が設けられるので、輪列機構による操作を容易に行うことができる。
【0056】
また、ゼネバ機構や欠歯歯車といった構成を用いることで情報表示板19の回転移動に部分的に連動して日車18を回転させるので、日車18の回転動作に大きな負担をかけず、一のステップモータで複数の情報に係る表示を適切に切り替えることができる。従って、ステップモータの数を増やすことによる重量やサイズの増加を抑えることができる。
【0057】
また、日車18と連動して回転しない角度範囲で情報表示板19を回転させることで、情報表示を行う際に、
日車18の回転に必要な大きさのトルクがかかる回転動作
を避けることが出来、ステップモータ駆動回路24から出力するパルス幅を広げたりパルス電圧を大きくしたりせずに容易に表示される情報を切り替えることができる。
【0058】
また、Bluetooth通信機能を備え、通信接続状態にあるスマートフォン40などの外部機器から略リアルタイムで情報の有無に関する信号を受信し、情報表示板19を用いて表示させることができるので、スマートフォン40などを手に保持したり表に出しておいたりすることが困難な状況でも、ユーザは、容易に情報の有無に関して知得することが出来る。
【0059】
また、アナログ電子時計、特に、腕時計のような、
ユーザが身につけるものにこのような機能を搭載することで、時計としての機能を損なわずに他の情報をより速やか且つ確実に取得することができる。
【0060】
特に、電話の着信情報や電子メールの着信情報を速やかに知得することができるので、速やかに連絡がとれないと問題になるような場合でも、より確実に着信に対処することができる。
【0061】
[変形例1]
次に、本実施形態のアナログ電子時計10の変形例1について説明する。
【0062】
図9は、変形例1のアナログ電子時計10における日車18a及び情報表示板19について説明する図である。この変形例1のアナログ電子時計10では、ゼネバ機構を用いずに、駆動車連結歯車211及び情報表示板19と共に回転する日回し車214aが直接日車18aの内歯車と部分的に噛み合って回転する構成となっている。その他の構成については、上記実施形態のアナログ電子時計10と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
この日回し車214aは、所定の90度の範囲にのみ歯が設けられている欠歯歯車であり、他の270度の範囲では、日車18aの内歯車と接触せず、従って、日車18aを回転させない。これに伴って日車18aの内歯車は、日回し車214aと噛み合う範囲にのみ間欠的に歯を設ける構成とすることができる。
【0064】
図10は、変形例1のアナログ電子時計10における日車18a及び情報表示板19による情報の表示方法を示す図である。上記実施の形態における日車18及び情報表示板19と同様に、情報表示板19の透過小窓191が開口部8の位置と重なっている状態(
図10(a))から駆動車連結歯車211が逆転方向に回転されると、情報表示板19が回転されると共に、日回し車214aと日車18aの内歯車とが噛み合って日付を示す標識が回転移動する(
図10(b))。そして、駆動車連結歯車211が90度回転されたところで日回し車214aと日車18aとの噛み合わせが外れる。このとき、
図10(c)に示すように、日車18aにおいて一日先の日付を示す日付標識が開口部8の位置にあり、また、情報表示板19は、開口部8から標識「TEL」を表出させた状態になっている。
【0065】
駆動車連結歯車211は、この状態から更に、逆転方向に単独で最大270度回転される。駆動車連結歯車211が90度回転されると、
図10(d)に示すように標識「MAIL」が開口部8から表出され、更に90度(合計180度)回転されると、
図10(e)に示すように標識「LINK」が開口部8から表出される。そして、駆動車連結歯車211が更に90度(合計270度)回転されると、透過小窓191の位置が開口部8の位置と一致し、この透過小窓191越しに日車18aの日付標識が開口部8から表出される。
【0066】
CPU11は、日付変更時に駆動車連結歯車211及び情報表示板19を360度逆転方向に回転させて、変更された日付を透過小窓191及び開口部8越しに表出させる。その後、CPU11は、必要に応じて駆動車連結歯車211及び情報表示板19を正転方向に270度の範囲内で回転させることにより、日車18aを移動させずに適宜日付表示と他の情報に係る標識「TEL」、「MAIL」、又は、「LINK」とを切り替えて表示させることができる。
【0067】
以上のように、本実施形態のアナログ電子時計10の変形例1によれば、ゼネバ機構を追加せずにより容易な構成で日車18の回転と情報表示板19の回転との連動及び非連動を切り替えることができるので、アナログ電子時計10のサイズや重量の増加を抑えることができる。
【0068】
[変形例2]
次に、変形例2のアナログ電子時計10について説明する。
図11は、変形例2のアナログ電子時計10において、
図4と同じ位置、向きで日車18及び情報表示板19bに係る構成を側面から見た場合の模式図である。
【0069】
この変形例2のアナログ電子時計10は、情報表示板19bの追加構成、及び、情報表示板19bの側部に設けられたLED29b(照明手段)が追加されている点を除き、上記実施の形態のアナログ電子時計10と同一の構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
この情報表示板19bとしては、光導板が用いられている。そして、情報表示板19bの側面から入射された光が下面でほぼ一様に反射されて上面側から出射される構造となっている。情報表示板19bの標識「TEL」、「MAIL」、又は、「LINK」の何れかが開口部8から表出される場合には、CPU11は、LED29bを点灯させることで情報表示板19bの側面から光を入射させる。これにより、情報表示板19bの何れかの標識が表出される際に、同時に開口部8から光が出射される。
なお、LED29bを発光状態とする継続時間は、適宜設定可能である。或いは、所定の時間間隔で点滅動作やパルス発光を行わせても良い。
【0071】
以上のように、本実施形態のアナログ電子時計10の変形例2によれば、情報表示板19に光導板を用い、これらの情報が取得されたことを報知する際に、情報表示板19
を光
らせることができるので、ユーザは、更に確実に情報の出力を知得することができる。
【0072】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、日車18と情報表示板19とを連動させて回転させる機構を示したが、これに限られない。各々異なるステップモータにより独立に回転移動が行われても良い。
【0073】
また、上記実施の形態では、2つの回転円板を用いた情報表示に係る技術をアナログ電子時計に適用したが、これに限られない。例えば、帯上に設けられた複数の標識をモータで巻き取りながら表示情報を切り替えるような機構を用いても良い。
【0074】
また、上記実施の形態では、アナログ電子時計において日付表示に外部機器への着信情報を重ねて表示させる場合を例に挙げて説明したが、表示情報はこれらに限られない。例えば、日付情報の代わりに曜日情報が表示されるアナログ電子時計
であっても良いし、また、電話や電子メールの着信情報を表示する代わりにスマートフォン40で管理されているスケジュールに基づく報知
情報を表示しても良い。また、このような構成を備える情報表示装置は、時計に限られず、指針による表示機能を別途備えている必要もない。従って、この情報表示装置では、容易に様々なデザインを採用することができる。
【0075】
また、上記実施の形態では、Bluetooth通信を利用してスマートフォン40から情報を取得して情報の表示を行ったが、外部機器は、スマートフォンに限られず、携帯電話やモバイルPCなど種々の機器との間で通信が可能である。また、表示させる情報は、外部機器からの取得情報に限られない。アナログ電子時計自体が備える他の機能に係る表示、例えば、アラーム設定やモード設定の表示などに用いてもよい。また、アナログ電子時計に予め組み込まれた図柄や模様が毎日所定の時刻に表示されるような、制御動作を介さない装飾的機能などに用いることも可能である。
【0076】
また、上記変形例2では、光導板を用いてLED29bの出射光により情報表示板19b自体を光らせる構成としたが、単純に上部から情報表示板19bをLED29bにより
光を照射させることとしても良い。
【0077】
また、日車18に重ねて設けられる情報表示板19は、一枚ではなく、複数枚であっても良い。
【0078】
また、上記実施の形態では、情報表示板19を透過小窓191が開口部8にある位置から標識「TEL」又は「LINK」が開口部8にある位置へ回転
させる際に日車18が連動して回転する構成としたが、これに限られない。例えば、標識「TEL」または「LINK」が開口部8にある位置から透過小窓191が開口部8にある位置に回転する際に日車18が連動して回転する構成であっても良い。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、配置、数値、及び、動作の順番などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0080】
[付記]
<請求項1>
表示窓部を有する文字板と、
この文字板の下側に回転可能に設けられ、前記表示窓部から選択的に表出される複数の日付が配設された日付表示板と、
前記文字板と前記日付表示板との間に設けられ、上面に前記日付とは異なる情報が配設された情報表示部を有する情報表示板と、
この情報表示板を、前記情報表示部が前記表示窓部と重ならず、且つ、前記表示窓部に対応する位置にある前記日付が前記表示窓部から表出される所定の位置、及び、前記情報表示部が前記表示窓部に対応する位置の何れにも移動可能な情報表示板駆動手段と
を備えることを特徴とする情報表示装置。
<請求項2>
表示窓部を有する文字板と、
この文字板の下側に回転可能に設けられ、前記表示窓部から選択的に表出される複数の第1の情報が配設された第1情報表示板と、
この第1情報表示板を間欠的に回転させるモータと、
前記文字板と前記第1情報表示板との間に回転可能に設けられ、上面に第2の情報が配設された第2情報表示部を有する第2情報表示板と、
前記モータにより、前記第1情報表示板を静止させたままで、前記第1の情報表示板の上側で前記第2情報表示板を回転させて、前記第2情報表示部を前記表示窓部に対応した位置に移動させる情報表示板駆動手段と
を備えることを特徴とする情報表示装置。
<請求項3>
表示窓部を有する文字板と、
この文字板の下側に回転可能に設けられ、前記表示窓部から選択的に表出される複数の第1の情報が配設された第1情報表示板と、
前記文字板と前記第1情報表示板との間に回転可能に設けられ、上面に第2の情報が配設された第2情報表示部を有する第2情報表示板と、
前記第2情報表示板を、前記第2情報表示部が前記表示窓部と重ならず、且つ、前記表示窓部に対応する位置にある前記第1の情報が前記表示窓部から表出される所定の位置、及び、前記第2情報表示部が前記表示窓部に対応する位置の何れにも移動可能な情報表示板駆動手段と
を備えることを特徴とする情報表示装置。
<請求項4>
前記第2情報表示板は、回転可能に設けられており、この第2情報表示板のうち、所定の一部の第1角度範囲において、前記表示窓部から前記第1の情報を表出可能な構成である
ことを特徴とする請求項3記載の情報表示装置。
<請求項5>
出力する情報に応じて前記情報表示板駆動手段を動作させる情報表示板駆動制御手段を備え、
前記第1情報表示板の回転移動は、前記第2情報表示板の回転に連動して行われる構成であり、
前記情報表示板駆動制御手段は、
表示させる前記第1の情報を変更する際、前記第2情報表示板と共に前記第1情報表示板を回転移動させ、
表示させる情報を切り替える場合には、前記第1情報表示板を静止させたままで前記第2情報表示板を回転移動させて、出力する情報に応じた前記第1の情報又は前記第2の情報を前記表示窓部から表出させる
ことを特徴とする請求項4記載の情報表示装置。
<請求項6>
前記第1情報表示板は、前記第2情報表示板における所定の第2角度範囲でこの第2情報表示板と連動して回転され、
前記情報表示板駆動制御手段は、前記表示窓部から表出させる情報を切り替える場合には、この第2角度範囲以外の角度範囲で前記第2情報表示板のみを回転させる
ことを特徴とする請求項5記載の情報表示装置。
<請求項7>
外部機器と無線通信を行う無線通信手段を備え、
前記第2の情報は、この無線通信手段により前記外部機器から取得された情報である
ことを特徴とする請求項2〜6の何れか一項に記載の情報表示装置。
<請求項8>
前記第2情報表示板を照明する照明手段と、
前記第2情報表示部を前記表示窓部に対応する位置に移動させた状態で前記第2情報表示板を前記照明手段に照明させる照明制御手段と
を備えることを特徴とする請求項2〜7の何れか一項に記載の情報表示装置。
<請求項9>
前記第1の情報は、日付情報であることを特徴とする請求項2〜8の何れか一項に記載の情報表示装置。
<請求項10>
前記1〜9の何れか一項に記載の情報表示装置と、
時刻を計数する計時手段と、
前記文字板上で回動可能に設けられ、前記計時手段により計数された時刻を指し示す複数の指針と
を備えることを特徴とするアナログ電子時計。