特許第6015209号(P6015209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6015209温度調節装置、温度調節方法、電子装置の製造方法及び温度調節プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015209
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】温度調節装置、温度調節方法、電子装置の製造方法及び温度調節プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20140101AFI20161013BHJP
   F25D 7/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   G01R31/26 H
   F25D7/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-169566(P2012-169566)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-29285(P2014-29285A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100092152
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 毅巖
(72)【発明者】
【氏名】室谷 浩之
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−049389(JP,A)
【文献】 特開平07−142651(JP,A)
【文献】 国際公開第03/007007(WO,A1)
【文献】 特開2009−008625(JP,A)
【文献】 特開昭63−197398(JP,A)
【文献】 特開平04−152659(JP,A)
【文献】 特開昭64−025447(JP,A)
【文献】 特開平03−050852(JP,A)
【文献】 特開昭64−028896(JP,A)
【文献】 特開2007−281163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
F25D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと、
前記ソケットに対向し、吸気口及び排気口を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられた放熱部材と、
前記放熱部材が設けられた前記筐体の内面と反対側の前記筐体の外面に接触して設けられ、前記筐体と前記ソケットとの間に位置する接続部と、
前記吸気口に気相冷媒を供給する第1供給部と、
前記放熱部材の表面に液相冷媒を供給する第2供給部と
を含むことを特徴とする温度調節装置。
【請求項2】
前記ソケットに配置される発熱体の温度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記温度に基づき、前記第1供給部による前記気相冷媒の供給量、及び前記第2供給部による前記液相冷媒の供給量を制御する制御部と
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の温度調節装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検出部によって検出される前記温度が、設定された下限値よりも高く且つ設定された上限値よりも低い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部による前記液相冷媒の供給を停止し、
前記検出部によって検出される前記温度が、前記上限値よりも高い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部によって前記液相冷媒を供給することを特徴とする請求項2に記載の温度調節装置。
【請求項4】
前記第2供給部は、前記液相冷媒を噴霧する噴霧器を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温度調節装置。
【請求項5】
前記放熱部材は、当該放熱部材の内部に設けられた空洞部と、前記空洞部から前記表面に通じる貫通孔とを備え、
前記第2供給部は、前記空洞部に前記液相冷媒を供給し、前記貫通孔から前記表面に前記液相冷媒を供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温度調節装置。
【請求項6】
ソケットと、
前記ソケットに対向し、吸気口及び排気口を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられた放熱部材と、前記放熱部材が設けられた前記筐体の内面と反対側の前記筐体の外面に接触して設けられ、前記筐体と前記ソケットとの間に位置する接続部と、前記吸気口に気相冷媒を供給する第1供給部と、前記放熱部材の表面に液相冷媒を供給する第2供給部とを含む放熱器と、
前記ソケットに配置される発熱体の温度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記温度に基づき、前記第1供給部による前記気相冷媒の供給量、及び前記第2供給部による前記液相冷媒の供給量を制御する制御部と
を含む温度調節装置を用いた温度調節方法であって、
前記発熱体を前記放熱器の前記接続部に接続する工程と、
前記検出部により、前記温度を検出する工程と、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、設定された下限値よりも高く、設定された上限値よりも低い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部による前記液相冷媒の供給を停止する工程と、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、前記上限値よりも高い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部によって前記液相冷媒を供給する工程と
を含むことを特徴とする温度調節方法。
【請求項7】
電子装置を形成する工程と、
形成された前記電子装置に温度調節装置を用いて試験を行う工程と
を含み、
前記温度調節装置は、
ソケットと、
前記ソケットに対向し、吸気口及び排気口を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられた放熱部材と、前記放熱部材が設けられた前記筐体の内面と反対側の前記筐体の外面に接触して設けられ、前記筐体と前記ソケットとの間に位置する接続部と、前記吸気口に気相冷媒を供給する第1供給部と、前記放熱部材の表面に液相冷媒を供給する第2供給部とを含む放熱器と、
前記ソケットに配置される前記電子装置の温度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記温度に基づき、前記第1供給部による前記気相冷媒の供給量、及び前記第2供給部による前記液相冷媒の供給量を制御する制御部と
を含み、
前記試験を行う工程は、
前記電子装置を前記放熱器の前記接続部に接続する工程と、
前記検出部により、前記温度を検出する工程と、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、設定された下限値よりも高く、設定された上限値よりも低い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部による前記液相冷媒の供給を停止する工程と、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、前記上限値よりも高い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部によって前記液相冷媒を供給する工程と
を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項8】
ソケットと、
前記ソケットに対向し、吸気口及び排気口を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられた放熱部材と、前記放熱部材が設けられた前記筐体の内面と反対側の前記筐体の外面に接触して設けられ、前記筐体と前記ソケットとの間に位置する接続部と、前記吸気口に気相冷媒を供給する第1供給部と、前記放熱部材の表面に液相冷媒を供給する第2供給部とを含む放熱器と、
前記ソケットに配置される発熱体の温度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記温度に基づき、前記第1供給部による前記気相冷媒の供給量、及び前記第2供給部による前記液相冷媒の供給量を制御する制御部と
を含む温度調節装置の処理をコンピュータに実行させる温度調節プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記検出部により、前記放熱器の前記接続部に接続された前記発熱体の温度を検出し、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、設定された下限値よりも高く、設定された上限値よりも低い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部による前記液相冷媒の供給を停止し、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、前記上限値よりも高い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部によって前記液相冷媒を供給する
処理を実行させることを特徴とする温度調節プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調節装置、温度調節方法、電子装置の製造方法及び温度調節プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の温度調節に関し、例えば、プリント基板上の電子部品を冷却する冷却プレートに熱交換器を通して冷媒を循環させる技術が知られている。このほか、プリント基板上の半導体デバイスを送風により空冷する技術、半導体デバイスの上面にミストを直接噴霧して冷却する技術、半導体デバイスの上面に設けた熱伝導性の板状部材にミストを噴霧して冷却する技術等が知られている。また、このような冷却技術を採用したバーンイン装置等の試験装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−114377号公報
【特許文献2】特開2006−46974号公報
【特許文献3】特開2006−90805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これまでの冷却技術を採用しても、電子部品や半導体デバイス等の複数の発熱体を冷却する場合や、個々の発熱体の発熱量が異なる場合には、各発熱体の温度を所定の範囲に精度良く調節することが難しいことがあった。
【0005】
また、液相冷媒を噴霧する冷却技術の場合、電子部品や半導体デバイス等の発熱体を試験装置等から取り出す前に液相冷媒の乾燥工程が必要だった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、ソケットと、前記ソケットに対向し、吸気口及び排気口を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられた放熱部材と、前記放熱部材が設けられた前記筐体の内面と反対側の前記筐体の外面に接触して設けられ、前記筐体と前記ソケットとの間に位置する接続部と、前記吸気口に気相冷媒を供給する第1供給部と、前記放熱部材の表面に液相冷媒を供給する第2供給部とを含む温度調節装置が提供される。
【0007】
また、本発明の一観点によれば、温度調節装置を用いた温度調節方法及び電子装置の製造方法、並びに温度調節装置の処理をコンピュータに実行させる温度調節プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、気相冷媒、液相冷媒を利用し、発熱体の温度を精度良く調節することができる。また、液相冷媒を用いた場合でも、その後の発熱体の乾燥工程を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】半導体パッケージの一例を示す図である。
図2】第1の実施の形態に係るバーンイン装置の一例を示す図である。
図3】第1の実施の形態に係るバーンイン装置の冷媒経路の一例を示す図である。
図4】第1の実施の形態に係るヒートシンクユニットの一例を示す図(その1)である。
図5】第1の実施の形態に係るヒートシンクユニットの一例を示す図(その2)である。
図6】第1の実施の形態に係るヒートシンクユニットの一例を示す図(その3)である。
図7】第1の実施の形態に係るバーンイン装置の温度調節フローの一例を示す図(その1)である。
図8】第1の実施の形態に係るバーンイン装置の温度調節フローの一例を示す図(その2)である。
図9】第1の実施の形態に係るバーンイン装置の温度調節フローの一例を示す図(その3)である。
図10】第2の実施の形態に係るヒートシンクユニットの一例を示す図である。
図11】第3の実施の形態に係るヒートシンクユニットの一例を示す図(その1)である。
図12】第3の実施の形態に係るヒートシンクユニットの一例を示す図(その2)である。
図13】バーンイン装置に用いるコンピュータのハードウェアの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、温度調節装置を、半導体パッケージのバーンイン試験に用いるバーンイン装置に適用した場合を例に、図面を参照して詳細に説明する。
まず、バーンイン試験について説明する。
【0011】
半導体パッケージの製造プロセスにおいては、潜在的な欠陥を含む半導体パッケージを除去するために、スクリーニングが実施される。スクリーニングの方法としては、半導体パッケージに電圧等の電気的ストレスを印加したり、高温条件下で半導体パッケージを動作させたりする、バーンイン試験がある。
【0012】
図1は半導体パッケージの一例を示す図である。
半導体パッケージ100は、回路配線を設けたパッケージ基板30に実装された半導体チップ10、及び実装された半導体チップ10を封止する封止部20を備える。バーンイン試験では、所定温度条件の下で、半導体パッケージ100内の半導体チップ10と封止部20の接合部の温度(ジャンクション温度)Tjを125℃〜150℃といった所定範囲内に調節し、所定時間、半導体チップ10を動作状態にする。バーンイン試験に用いるバーンイン装置として、プリント基板等のバーンインボードに半導体パッケージ100を搭載し、装置本体に装着したバーンインボードを通して半導体パッケージ100に電源及び信号を供給し、それを動作状態にするものが知られている。更に、バーンイン装置として、複数の半導体パッケージ100を搭載したバーンインボードを複数段、装着可能なものが知られている。
【0013】
バーンイン試験では、バーンインボードを通して半導体パッケージ100に電源及び信号が供給され、それに伴い電流が流れることで、半導体チップ10の消費電力に応じて、半導体チップ10、半導体パッケージ100が発熱する。バーンイン試験では、半導体パッケージ100にその通常の動作時よりも高い電圧が印加され、それに伴い電流も通常の動作時よりは大きくなる。そのため、半導体チップ10の製造ばらつき等に起因した消費電力のばらつきが、半導体チップ10、半導体パッケージ100の発熱量の違いに顕著に現れるようになる。半導体チップ10の消費電力にばらつきがあると、ジャンクション温度Tjを所定の温度範囲に制御することが困難になる場合がある。
【0014】
ここで、ジャンクション温度Tjを求める方法として、例えば、以下の式(1)又は式(2)を用いて算出する方法がある。
Tj=PW×θja+Ta ・・・(1)
Tj=PW×θjc+Tc ・・・(2)
式(1)において、PWは、半導体チップ10の消費電力であり、θja(=θjc+θca)は、半導体チップ10と、半導体パッケージ100の周囲環境との間の熱抵抗であり、Taは、半導体パッケージ100の周囲環境の温度(周囲温度)である(図1)。熱抵抗θjaは、バーンイン試験前に予め実験、計算、シミュレーション等で求められる。バーンイン試験時には、半導体チップ10の消費電力PW、及び半導体パッケージ100の周囲温度Taを検出することで、式(1)により、ジャンクション温度Tjを算出することができる。
【0015】
式(2)において、PWは、半導体チップ10の消費電力であり、θjcは、半導体チップ10と、半導体パッケージ100の表面との間の熱抵抗であり、Tcは、半導体パッケージ100の表面の温度(表面温度)である(図1)。熱抵抗θjcは、バーンイン試験前に予め実験、計算、シミュレーション等で求められる。バーンイン試験時には、半導体チップ10の消費電力、及び半導体パッケージ100の表面温度Tcを検出することで、式(2)により、ジャンクション温度Tjを算出することができる。
【0016】
熱抵抗θjcは、0.15℃/W程度であり、また、熱抵抗θjaは、半導体パッケージ100にヒートシンク等の放熱部材を装着しても、0.2℃/W程度である。例えば、消費電力400W程度の半導体チップ10を含む半導体パッケージ100を複数、バーンインボードに搭載し、これをバーンイン装置に装着し、周囲温度Taを50℃に設定してバーンイン試験を行うことを想定する。今、バーンイン試験を行う複数の半導体パッケージ100について、それらの半導体チップ10間の消費電力400Wに±20%のばらつきがあったとすると、半導体チップ10間のジャンクション温度Tjの差は30℃程度となる。
【0017】
半導体チップ10間のジャンクション温度Tjを平準化して125℃〜150℃の範囲内とするためには、各半導体パッケージ100の周囲温度Ta又は表面温度Tcを個別に調節することが考えられる。しかし、例えば複数の半導体パッケージ100を同じ温度環境に置くバーンイン装置の場合、このような個別の温度調節は困難である。
【0018】
このほか、半導体パッケージ100の周囲、表面の温度調節に関し、冷媒が循環される冷却プレートを半導体パッケージ100に接触させ、冷媒の沸騰蒸発によって半導体パッケージ100を冷却する装置がある。しかし、このような装置では、1枚の冷却プレートで複数の半導体パッケージ100を冷却する場合、冷却プレート内を流れる冷媒が複数の半導体パッケージ100から吸熱するため、冷却プレートの冷媒の入口と出口で冷媒温度を均一に保つことができない。そのため、各半導体パッケージ100の周囲温度Ta、表面温度Tc、及び各半導体チップ10のジャンクション温度Tjを個別に調節することが難しい。
【0019】
仮に、このような冷媒が循環される冷却プレートを、複数の半導体パッケージ100の各々に設けた場合には、各半導体パッケージ100、各半導体チップ10の温度調節が可能になる。しかし、各冷却プレートに循環する冷媒を冷却するための熱交換器を、冷却プレートの枚数分、即ち半導体パッケージ100の個数分、設ける必要が生じ、バーンイン装置の大型化を招く可能性がある。また、1枚のバーンインボードに搭載可能な半導体パッケージ100の個数が制限される可能性がある。そのため、バーンイン試験のコストの増加、バーンイン試験を含めた半導体パッケージ100の製造コストの増加を招く虞がある。
【0020】
また、半導体パッケージ100の温度調節に関し、閉鎖空間内で、バーンインボードに搭載した半導体パッケージ100に対して冷媒のミストを直接噴霧する装置がある。しかし、半導体パッケージ100に直接ミストを噴霧する場合には、バーンイン試験後、半導体パッケージ100及びそれが搭載されるバーンインボードを乾燥したうえで、そのバーンインボードをバーンイン装置から抜き取る必要が生じる。乾燥工程は、用いた冷媒が気化する温度まで昇温し、乾燥後、バーンインボードが取り出せる温度まで降温するプロセスを含み、その時間はおよそ2時間〜3時間である。このようなバーンイン試験後の乾燥工程は、バーンイン試験全体の長時間化、コストの増加、バーンイン試験を含めた半導体パッケージ100の製造コストの増加を招く虞がある。
【0021】
このような乾燥工程の乾燥時間を短くするためには、予めバーンイン試験の際に、より低温で気化する低沸点の冷媒を用いることが考えられる。しかし、このような低沸点の冷媒を用いた場合、バーンイン試験の際、ミスト状にして噴霧したその冷媒が、半導体パッケージ100に到達する前に気化してしまい易くなる。そのため、半導体パッケージ100に付着した冷媒の気化熱によって吸熱するという本来の作用が充分に得られないことが起こり得る。
【0022】
そこで、上記のような点に鑑み、半導体パッケージ100のバーンイン試験に用いるバーンイン装置として、以下に示すような形態のバーンイン装置を用いる。
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0023】
図2は第1の実施の形態に係るバーンイン装置の一例を示す図である。
図2に示すバーンイン装置200は、半導体パッケージ100が搭載されるバーンインボード201を装着するスロットエリア202を備えている。バーンインボード201には、複数のソケット203が実装されている。バーンインボード201のこれらのソケット203にそれぞれ半導体パッケージ100が接続されることで、バーンイン試験を行う半導体パッケージ100(そのパッケージ基板30及び半導体チップ10)とバーンインボード201との間が電気的に接続される。
【0024】
このように半導体パッケージ100が搭載されるバーンインボード201は、スロットエリア202に設けられたレール204にガイドされてスロットエリア202内に挿入され、先端部がコネクタ205に装着される。コネクタ205は、電源及び信号発生器の配置エリア206に設けられた、電源及び信号発生器(図示せず)のような電気信号の入力部に接続されている。バーンインボード201の先端部がコネクタ205に装着されることで、バーンインボード201に搭載された半導体パッケージ100に所定の電源及び信号を供給し、半導体パッケージ100を所定の動作状態とすることができるようになっている。
【0025】
スロットエリア202には、放熱器として機能する複数のヒートシンクユニット207Aが設けられている。これらのヒートシンクユニット207Aは、コネクタ205に装着されたバーンインボード201上の各半導体パッケージ100の上面にそれぞれ対向するように、ベース板208に配置されている。
【0026】
各ヒートシンクユニット207Aは、筐体209、及び筐体209の内部に放熱部材として設けられたヒートシンク210を備えている。各筐体209には、配管211が接続されている。配管211の経路には、バーンイン装置200の下部エリア212に配置されたラジエタ213及びファン214が設けられており、気相冷媒(例えば空気)が配管211及び筐体209に流通、循環されるようになっている。尚、ファン214に替えてコンプレッサを用い、圧縮した気相冷媒(例えば圧縮空気)を配管211に供給するようにしてもよい。
【0027】
各ヒートシンクユニット207Aは、それぞれ筐体209に設けられたノズル等の噴霧器215を備えている。各噴霧器215は、液相冷媒(例えばフッ素系不活性液体や工業用純水)の流路を含む配管216に接続されている。配管216の液相冷媒流路は、下部エリア212に配置されて液相冷媒が貯蔵されるタンク217に接続されている。タンク217からポンプ217aで配管216に液相冷媒が供給され、噴霧器215に圧縮空気等の気体が供給されることで、噴霧器215から液相冷媒のミストが筐体209内のヒートシンク210に噴霧されるようになっている。
【0028】
バーンイン試験時には、筐体209、ヒートシンク210及び噴霧器215を備えたヒートシンクユニット207Aを、ベース板208を昇降させる昇降用シリンダ218によって降下(図2の太矢印)させる。これにより、ヒートシンクユニット207Aの筐体209に内蔵されるヒートシンク210を、半導体パッケージ100の上面と熱的に接続する。ヒートシンク210を内蔵する筐体209及び噴霧器215の昇降を、配管211及び配管216からの冷媒の漏出を抑えて可能にするため、配管211及び配管216には共に、伸縮可能な蛇腹構造の継ぎ手219が用いられている。
【0029】
尚、このような蛇腹構造の継ぎ手219を用いず、ベース板208及びそれに配置されたヒートシンクユニット207Aを固定してもよい。この場合は、コネクタ205に装着したバーンインボード201を昇降可能にし、バーンインボード201を上昇させて半導体パッケージ100をヒートシンク210に熱的に接続する機構を採用する。
【0030】
バーンイン装置200では、配管211を通して筐体209内に流通させる気相冷媒、及び配管216を通して筐体209内に噴霧器215から噴霧される液相冷媒を利用して、バーンインボード201に搭載された半導体パッケージ100の冷却が行われる。即ち、まず動作に伴い半導体パッケージ100から発生した熱は、熱的に接続されるヒートシンク210に伝熱される。配管211を通して筐体209内に流通される気相冷媒は、筐体209内のヒートシンク210を冷却する。配管216を通して筐体209内に噴霧器215から噴霧される液相冷媒は、筐体209内のヒートシンク210の表面に付着した後、気化する際にヒートシンク210を冷却する。
【0031】
噴霧器215から噴霧された液相冷媒は、筐体209内のヒートシンク210の表面に付着して気化した後、配管211を通ってラジエタ213に送られ、そこで凝縮される。凝縮された液相冷媒は、配管220を通してタンク217に回収される。
【0032】
バーンイン装置200は、装置全体を制御する制御部221を備える。制御部221は、昇降用シリンダ218によるベース板208の昇降、コネクタ205への電源や信号等の電気信号の供給、ポンプ217aやファン214等の駆動、筐体209に流通させる気相冷媒や噴霧器215から噴霧する液相冷媒の量等の制御を行う。制御部221は、熱電対を用いた半導体パッケージ100の温度(表面温度Tc又は周囲温度Ta)の検出、消費電力PWの検出、ジャンクション温度Tjの算出を行う。そして、制御部221は、算出したジャンクション温度Tjに基づき、筐体209に流通させる気相冷媒の量、噴霧器215から噴霧する液相冷媒の量を制御する。また、制御部221は、半導体パッケージ100の温度によっては、ヒータを用いて半導体パッケージ100を加熱し、その温度を上昇させる。制御部221は、このほか、気相冷媒、液相冷媒の量の制御やヒータによる加熱によって半導体パッケージ100が所定の温度範囲に調節されない場合にアラームを発する機能を有する。
【0033】
また、バーンイン装置200は、半導体パッケージ100のバーンイン試験に用いる各種情報(ジャンクション温度Tjの調節範囲、熱抵抗θja,θjc、バーンイン試験時の電源や信号の供給条件、試験温度、試験時間等)を記憶する記憶部225を備える。
【0034】
上記のような構成を有するバーンイン装置200について、更に詳細に説明する。
図3は第1の実施の形態に係るバーンイン装置の冷媒経路の一例を示す図である。尚、ここでは便宜上、スロットエリア202については、昇降用シリンダ218が設けられたベース板208の側から見たヒートシンクユニット207A並びに配管211及び配管216の配置を、そのベース板208に対して透視的に図示している。
【0035】
バーンイン装置200では、図3に示すように、1枚のベース板208につき複数のヒートシンクユニット207Aが設けられている。図3には、4個のヒートシンクユニット207Aの組が3列並設された、計12個のヒートシンクユニット207Aを例示している。尚、これらのヒートシンクユニット207Aに対向して、バーンインボード201にソケット203を介して搭載された半導体パッケージ100が配置される。
【0036】
各組の4個のヒートシンクユニット207Aについて、各々の筐体209には、気相冷媒の配管211に接続された吸気口209a及び排気口209bが設けられている。気相冷媒は、下部エリア212のファン214によって配管211内を流通され、吸気口209aから筐体209内に流入する(図3の実線矢印)。そして、排気口209bから筐体209外に流出し、配管211内を流れて下部エリア212のラジエタ213に送られる(図3の鎖線矢印)。ラジエタ213を通過した気相冷媒が、再び配管211を通って筐体209に送られる。気相冷媒は、このようにして各ヒートシンクユニット207Aの筐体209を含む経路を循環される。
【0037】
また、各組の4個のヒートシンクユニット207Aについてそれぞれ、液相冷媒の配管216に接続された噴霧器215が設けられている。各噴霧器215には、タンク217に貯蔵されている液相冷媒が、ポンプ217a及び配管216を通って供給される(図3の点線矢印)と共に、圧縮空気等の気体が供給される。これにより、各噴霧器215から各筐体209内に、液相冷媒のミストが噴霧される。噴霧器215から噴霧された液相冷媒のミストは、例えば、半導体パッケージ100に熱的に接続されたヒートシンク210の表面に付着し、ヒートシンク210の熱を奪って蒸発する。蒸発後の冷媒は、筐体209内を流れる気相冷媒と共に配管211内を流れてラジエタ213に送られ(図3の鎖線矢印)、ラジエタ213で凝縮されて、配管220を通ってタンク217に回収される。液相冷媒は、このようにして各ヒートシンクユニット207Aの筐体209を含む経路を循環される。
【0038】
バーンイン装置200では、各ヒートシンクユニット207Aの筐体209の吸気口209aから排気口209bへと流通させる気相冷媒の供給量(流量)を、ファン214によって制御することができる。この場合、気相冷媒は、全ての筐体209にほぼ一定の流量で供給される。
【0039】
尚、気相冷媒の流量は、各ヒートシンクユニット207Aの筐体209について個別に制御することもできる。例えば、各ヒートシンクユニット207Aの筐体209の吸気口209aに流量調整弁を設け、その開度を制御することで、各筐体209に流れる気相冷媒の流量を個別に制御することができる。このような流量調整弁の開度の制御は、制御部221によって行うことができる。
【0040】
また、バーンイン装置200では、各ヒートシンクユニット207Aの噴霧器215から噴霧する液相冷媒の供給量(噴霧量、噴霧速度)を制御することができるようになっている。例えば、各噴霧器215の液相冷媒流路と圧縮空気流路の各々に流量調整弁を設け、それらの開度を制御することで、各筐体209内に噴霧される液相冷媒の噴霧量や噴霧速度を個別に制御することができる。このような流量調整弁の開度の制御は、制御部221によって行うことができる。
【0041】
図4図6は第1の実施の形態に係るヒートシンクユニットの一例を示す図である。尚、図4図3のL1−L1線(気相冷媒の流通方向)に沿った断面図、図5図3のL2−L2線(気相冷媒の流通方向に直交する方向)に沿った断面図である。図6(A)はヒートシンクユニットの分解図、図6(B)は図6(A)のX部拡大図である。
【0042】
図4及び図5には、ヒートシンクユニット207Aが、バーンインボード201のソケット203に接続された半導体パッケージ100の上面に接合された状態を図示している。
【0043】
ヒートシンクユニット207Aの筐体209は、図4及び図5並びに図6に示すように、平板状の筐体下部209cと、この筐体下部209cを覆う中空の筐体上部209dとを含む。筐体上部209dには、吸気口209a及び排気口209bが互いに対向するように設けられている。筐体下部209c及び筐体上部209dには、例えば、鉄(Fe)、ステンレス等の熱伝導性を有する材料が用いられる。筐体下部209c及び筐体上部209dには、アルミニウム(Al)、銅(Cu)といった材料を用いることもできる。
【0044】
筐体下部209cの上には、サーマルシート等の熱伝導性の良い接合層207aを介して、ヒートシンク210が接合される。ヒートシンク210には、Al、Cu等の熱伝導性の良い材料が用いられる。接合層207aは、筐体下部209cとヒートシンク210とを接合する接合材としての役割のほか、筐体下部209cとヒートシンク210の間の緩衝材としての役割も果たす。このようにしてヒートシンク210が接合された筐体下部209cの上に、筐体上部209dが被せられ、筐体下部209cと筐体上部209dが溶接等の手法を用いて接合される。
【0045】
筐体上部209dには、筐体下部209cとの接合前或いは接合後に、噴霧器215が取り付けられる。
このようなヒートシンクユニット207Aの下面(筐体下部209cの半導体パッケージ100側の面)には、サーマルシート等の熱伝導性の良い接合層207bが設けられている。接合層207bは、半導体パッケージ100と筐体下部209cとを接合する接合材としての役割のほか、半導体パッケージ100と筐体下部209cの間の緩衝材としての役割も果たす。例えば、この接合層207bの下面(半導体パッケージ100側の面)に、熱電対222及びヒータ223が設けられる。熱電対222及びヒータ223は、バーンイン装置200が備える制御部221に電気的に接続されている。ヒートシンクユニット207Aは、接合層207b並びにその表面に設けられた熱電対222及びヒータ223を挟んで半導体パッケージ100の上面に接合される。これにより、ヒートシンクユニット207Aの筐体209内のヒートシンク210が、接合層207a、筐体下部209c及び接合層207bを介して、半導体パッケージ100の上面に熱的に接続される。
【0046】
半導体パッケージ100は、その温度が熱電対222を用いて検出され、また、ヒータ223を用いて加熱される。熱電対222を用いた温度の検出(表面温度Tc又は周囲温度Taの検出、及びジャンクション温度Tjの算出)、ヒータ223を用いた加熱は、それぞれ制御部221の検出部221a、加熱部221bによって制御される。
【0047】
ヒートシンクユニット207Aの噴霧器215は、液相冷媒流路216a及び圧縮空気流路216bを含む配管216に、流量調整器224を介して接続されている。流量調整器224は、液相冷媒流路216aに通じる流路内に流量調整弁224aを備え、圧縮空気流路216bに通じる流路内に流量調整弁224bを備えている。流量調整弁224aの開度及び流量調整弁224bの開度はそれぞれ、バーンイン装置200が備える制御部221の調整部221cによって制御される。
【0048】
このような構成を有するヒートシンクユニット207Aの、ヒートシンク210が内蔵された筐体209内に、吸気口209aから排気口209bに向かって空気等の気相冷媒230(図4の太矢印)が流通される。例えば、このように気相冷媒230が流通されている筐体209内のヒートシンク210に対し、噴霧器215からフッ素系不活性液体や工業用純水等の液相冷媒240のミストが噴霧される。この場合、例えば筐体209の内寸が150mm程度であれば、気相冷媒230は7m/s〜10m/s程度の流速にすることが好ましい。筐体209内を流通させる気相冷媒230の流速をこの程度の範囲とすることで、噴霧器215から噴霧するミストの液相冷媒240を効果的にヒートシンク210の表面に付着させ、ヒートシンク210の表面で気化させることができる。
【0049】
尚、筐体209内を流通させる気相冷媒230の流速が速すぎると、噴霧器215から噴霧される液相冷媒240が、ヒートシンク210の表面に付着しなかったり、ヒートシンク210の表面に付着する前に気化してしまったりすることが起こり得る。また、筐体209内を流通させる気相冷媒230の流速が遅すぎると、気相冷媒230によるヒートシンク210の冷却が充分に行えないことが起こり得る。
【0050】
噴霧器215から噴霧される液相冷媒240のミストを、ヒートシンク210の表面に均一性良く吹き付けることは、冷却効率の向上に寄与し得る。吸気口209aから排気口209bに向かって気相冷媒230が流れている筐体209内のヒートシンク210に、液相冷媒240のミストを吹き付ける場合には、例えば、風上の吸気口209a側から液相冷媒240を噴霧する。これにより、ヒートシンク210の表面に、液相冷媒240のミストを均一性良く吹き付け、冷却効率を高めることが可能になる。
【0051】
ヒートシンクユニット207Aの筐体209内に設けるヒートシンク210には、様々な形態のものを用いることができる。例えば、板材の面上に複数の針状部材を配置した形態のヒートシンク210、板材の面上に複数の板状或いは波板状のフィンを配置した形態のヒートシンク210を用いることができる。
【0052】
続いて、バーンイン装置(温度調節装置)の温度調節フローについて説明する。
図7図9は第1の実施の形態に係るバーンイン装置の温度調節フローの一例を示す図である。
【0053】
バーンイン装置200を用いたバーンイン試験では、まず、バーンインボード201に実装された複数のソケット203にそれぞれ半導体パッケージ100が接続される。そして、このように複数の半導体パッケージ100が搭載されたバーンインボード201が、複数枚、それぞれバーンイン装置200のスロットエリア202にレール204でガイドされて挿入され、対応するコネクタ205に装着される。
【0054】
尚、以下では便宜上、1枚のバーンインボード201に搭載される複数の半導体パッケージ100のうち1つに着目し、その温度調節のフローについて説明する。
上記のようにバーンインボード201が装着されたバーンイン装置200に対し、半導体パッケージ100のジャンクション温度Tjの調節範囲が設定される(図7;ステップS10)。ジャンクション温度Tjの調節範囲は、ユーザによりバーンイン装置200に設定され、その記憶部225に記憶される。ジャンクション温度Tjの調節範囲は、例えば、125℃〜150℃の範囲に設定される。
【0055】
ジャンクション温度Tjの調節範囲が設定されたバーンイン装置200では、各ヒートシンクユニット207Aの筐体209へ、空気等の気相冷媒の流通が開始される(図7;ステップS11)。例えば、制御部221がファン214を駆動し、筐体209内を含む配管211の経路に気相冷媒を流通、循環させる。これにより、筐体209内のヒートシンク210に気相冷媒が当たり、ヒートシンク210の冷却(空冷)の準備が整う。
【0056】
次いで、バーンイン装置200では、制御部221により、昇降用シリンダ218によるベース板208の移動が行われる(図7,ステップS12)。ここではベース板208は降下され、ベース板208と共に降下するヒートシンクユニット207Aが半導体パッケージ100の上面に接合される。ヒートシンクユニット207Aは、その下面の接合層207bが、熱電対222及びヒータ223を挟んで、半導体パッケージ100の上面に接合される。このように接合されることで、ヒートシンクユニット207Aのヒートシンク210が、半導体パッケージ100の上面と熱的に接続される。
【0057】
次いで、バーンイン装置200では、制御部221により、コネクタ205への電気信号の供給、即ち配置エリア206の電源及び信号発生器からの所定の電源及び信号の入力が行われる(図7;ステップS13)。コネクタ205に供給された電源及び信号は、コネクタ205に装着されたバーンインボード201、それに実装されたソケット203を伝送され、ソケット203に接続された半導体パッケージ100に供給される。これにより、半導体パッケージ100が所定の動作状態とされる。
【0058】
このように動作状態となった半導体パッケージ100は、電力を消費し、発熱する。半導体パッケージ100で発生した熱は、熱的に接続されたヒートシンク210に伝熱される。バーンイン装置200では、制御部221により、熱電対222を用いた半導体パッケージ100上面の温度、即ち表面温度Tcの検出が行われる(図7;ステップS14)。更に、バーンイン装置200では、制御部221により、この動作状態での半導体パッケージ100の消費電力PWの検出が行われる(図7;ステップS15)。
【0059】
バーンイン装置200では、予め求められた半導体チップ10と半導体パッケージ100表面との間の熱抵抗θjc、並びに、検出された表面温度Tc及び消費電力PWが用いられ、制御部221により、上記の式(2)からジャンクション温度Tjが算出される(図7;ステップS16)。
【0060】
尚、ここでは、熱抵抗θjc、表面温度Tc及び消費電力PWを用いてジャンクション温度Tjを算出する場合を例示した。このほか、半導体パッケージ100の周囲温度Taを検出し、その時の消費電力PWと、予め求められた半導体チップ10と半導体パッケージ100周囲環境との間の熱抵抗θjaを用い、上記の式(1)からジャンクション温度Tjを算出するようにしてもよい。また、半導体パッケージ100の半導体チップ10にダイオードを形成しておき、そのダイオードの順方向電圧を検出してジャンクション温度Tjを算出することもできる。
【0061】
ジャンクション温度Tjの算出後、バーンイン装置200では、制御部221により、その算出されたジャンクション温度Tjが、下限値、例えば、設定されている調節範囲の最小値(125℃)以上であるか否かが判定される(図7;ステップS17)。
【0062】
ステップS17において、下限値以上であると判定された場合、バーンイン装置200では、制御部221により、その算出されたジャンクション温度Tjが、上限値、例えば、設定されている調節範囲の最大値(150℃)以下であるか否かが判定される(図7;ステップS18)。尚、上限値には、設定されている調節範囲の最大値よりも数℃低い温度を設定してもよい。上限値以下である場合、半導体パッケージ100は、そのジャンクション温度Tjが、ヒートシンクユニット207Aのヒートシンク210を内蔵する筐体209内への気相冷媒の流通のみで、所定の範囲に調節されていることになる。
【0063】
半導体パッケージ100のジャンクション温度Tjが所定の範囲に調節されているバーンイン装置200では、制御部221により、バーンイン試験の所定の試験時間が経過したか否かが判定される(図7;ステップS19)。所定の試験時間が経過していないと判定された場合、バーンイン装置200では、ステップS14以降の処理が実行される。所定の試験時間が経過したと判定された場合、バーンイン装置200では、制御部221により、電源及び信号の供給が停止され、半導体パッケージ100が非動作状態とされる。そして、昇降用シリンダ218でベース板208が上昇され、ヒートシンクユニット207Aが半導体パッケージ100から引き離される。更に、バーンインボード201がコネクタ205、スロットエリア202から抜き取られ、バーンイン試験が終了する。
【0064】
一方、上記ステップS18において、算出されたジャンクション温度Tjが、上限値を上回ると判定された場合、バーンイン装置200では、制御部221により、噴霧器215から筐体209内のヒートシンク210への液相冷媒の噴霧が行われる(図8;ステップS20)。噴霧器215からヒートシンク210への液相冷媒の供給量は、算出されたジャンクション温度Tj、上限値との差分等に基づき、制御部221により制御される。制御部221は、噴霧器215に接続された流量調整器224の流量調整弁224a及び流量調整弁224bの開度を制御し、噴霧器215からの液相冷媒の供給量を制御する。
【0065】
ヒートシンクユニット207Aの筐体209内には、吸気口209aから排気口209bへ気相冷媒が流通されると共に、噴霧器215からヒートシンク210に液相冷媒が噴霧される。バーンイン装置200では、このような冷却状態で、上記同様、制御部221により、表面温度Tcの検出(図8;ステップS21)、消費電力PWの検出(図8;ステップS22)、ジャンクション温度Tjの算出(図8;ステップS23)が行われる。そして、バーンイン装置200では、制御部221により、その算出されたジャンクション温度Tjが、上限値以下となったか否かが判定される(図8;ステップS24)。
【0066】
ステップS24において、算出されたジャンクション温度Tjが、上限値を上回ると判定された場合、バーンイン装置200では、制御部221により、アラームが発せられる(図8;ステップS25)。算出されたジャンクション温度Tjが、上限値以下になったと判定された場合、バーンイン装置200では、ステップ19(図7)以降の処理が実行される。
【0067】
また、上記ステップS17(図7)において、算出されたジャンクション温度Tjが、下限値を下回ると判定された場合、バーンイン装置200では、制御部221により、半導体パッケージ100のヒータ223による加熱が行われる(図9;ステップS30)。バーンイン装置200では、このような加熱(及び気相冷媒流通による冷却)状態で、上記同様、制御部221により、表面温度Tcの検出(図9;ステップS31)、消費電力PWの検出(図9;ステップS32)、ジャンクション温度Tjの算出(図9;ステップS33)が行われる。そして、バーンイン装置200では、制御部221により、その算出されたジャンクション温度Tjが、下限値以上となったか否かが判定される(図9;ステップS34)。
【0068】
ステップS34において、算出されたジャンクション温度Tjが、下限値を下回ると判定された場合、バーンイン装置200では、制御部221により、アラームが発せられる(図9;ステップS35)。算出されたジャンクション温度Tjが、下限値以上になったと判定された場合、バーンイン装置200では、ステップ19(図7)以降の処理が実行される。
【0069】
バーンイン装置200では、図7図9のようなフローにより、バーンイン試験の間、ヒートシンクユニット207Aの冷却、半導体パッケージ100の加熱が行われ、半導体パッケージ100のジャンクション温度Tjが所定の範囲に精度良く調節される。バーンイン装置200では、このようなジャンクション温度Tjの調節が、複数枚のバーンインボード201の各々に搭載される複数の半導体パッケージ100のそれぞれについて、実行される。バーンイン試験を行う複数の半導体パッケージ100の間に発熱量の差がある場合にも、各半導体パッケージ100のジャンクション温度Tjを所定の範囲に精度良く調節し、複数の半導体パッケージ100のバーンイン試験を適正に行うことができる。
【0070】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図10は第2の実施の形態に係るヒートシンクユニットの一例を示す図である。尚、図10(A)はヒートシンクユニットの分解図、図10(B)はヒートシンクユニットの組み立て図である。
【0071】
図10に示すヒートシンクユニット207Bは、ヒートシンク210の下部210aが、筐体下部209cを貫通し、筐体下部209cの下面から表出する構造を有している。ヒートシンク210は、サーマルシート等の接合層207aを介して筐体下部209cに接合され、筐体下部209cと筐体上部209dとが、ヒートシンク210を内蔵する状態で、溶接等の手法を用いて接合される。筐体上部209dには、筐体下部209cとの接合前或いは接合後に、噴霧器215が取り付けられる。ヒートシンク210の下部210aの下面(半導体パッケージ100側の面)には、サーマルシート等の接合層207bが設けられる。例えば、この接合層207bの下面(半導体パッケージ100側の面)に、熱電対222及びヒータ223が設けられる。
【0072】
バーンイン装置200には、この図10に示すようなヒートシンクユニット207Bを設けることもできる。この場合は、昇降用シリンダ218でベース板208と共にヒートシンクユニット207Bが降下されることで、ヒートシンク210が、その下部210aと接合層207bを介して、半導体パッケージ100の上面に熱的に接続される。半導体パッケージ100は、筐体下部209cを介さず、より低い熱抵抗でヒートシンク210と熱的に接続されるようになる。
【0073】
このようなヒートシンクユニット207Bを用いた場合にも、上記第1の実施の形態で述べたヒートシンクユニット207Aの場合と同様の温度調節(図7図9)を行うことができる。バーンイン試験対象である複数の半導体パッケージ100のジャンクション温度Tjを所定の範囲に精度良く調節し、複数の半導体パッケージ100のバーンイン試験を適正に行うことができる。
【0074】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図11及び図12は第3の実施の形態に係るヒートシンクユニットの一例を示す図である。尚、図11は気相冷媒の流通方向に沿った断面図、図12は気相冷媒の流通方向に直交する方向に沿った断面図である。
【0075】
図11及び図12に示すヒートシンクユニット207Cは、筐体下部209cの上に接合層207aを介してヒートシンク210が設けられ、ヒートシンク210を覆うように、筐体上部209dが筐体下部209cに接合された構造を有している。筐体下部209cの下面には、接合層207bが設けられ、接合層207bには、制御部221の検出部221aに接続された熱電対222、加熱部221bに接続されたヒータ223が設けられている。
【0076】
このヒートシンクユニット207Cの筐体209に内蔵されるヒートシンク210は、その内部に設けられた空洞部210b、及びその空洞部210bからヒートシンク210の表面に通じるように設けられた貫通孔210cを有している。空洞部210bには、流量調整弁226aを備える流量調整器226が設けられた配管227が接続されており、この配管227は、液相冷媒が流通される配管216と接続されている。流量調整器226は、制御部221の調整部221cによって制御される。このような空洞部210bと、ヒートシンク210の外部空間とが連通するように、複数の貫通孔210cが設けられている。
【0077】
尚、図11及び図12には、ヒートシンクユニット207Cが、バーンインボード201のソケット203に接続された半導体パッケージ100の上面に接合された状態を図示している。
【0078】
バーンイン装置200には、この図11及び図12に示すようなヒートシンクユニット207Cを設けることもできる。ヒートシンクユニット207Cを用いたバーンイン装置200において、ファン214等によって配管211を流れる空気等の気相冷媒230は、筐体209の吸気口209aから排気口209bに向かって流通される。このようにして気相冷媒230が流通されることで、ヒートシンク210が冷却される。
【0079】
ヒートシンクユニット207Cを用いたバーンイン装置200において、ポンプ217aによって配管216を流れるフッ素系不活性液体や工業用純水等の液相冷媒240は、流量調整器226で流量調整され、配管227を通じてヒートシンク210の空洞部210bに流入される。空洞部210bに流入された液相冷媒240は、貫通孔210cからヒートシンク210の表面に押し出される。これにより、ヒートシンク210の表面に液相冷媒240の液滴が付着するようになる。例えば、貫通孔210cを均等なピッチで配置しておけば、ヒートシンク210の表面に均等に液相冷媒を付着させることができる。このようにしてヒートシンク210の表面に付着した液相冷媒が気化することで、ヒートシンク210が冷却される。
【0080】
ヒートシンクユニット207Cによれば、筐体209内を吸気口209aから排気口209bに向かって流通される気相冷媒230の流速が大きくなっても、ヒートシンク210の表面に液相冷媒240が付着した状態を作り出すことができる。ヒートシンク210の表面に液相冷媒240を付着させることができ、また、気相冷媒230の流速を上げることも可能になり、ヒートシンク210の気相冷媒230、液相冷媒240による冷却効果を高めることが可能になる。また、このヒートシンクユニット207Cによれば、筐体209内のヒートシンク210のサイズが大きく、噴霧器215では全体的に均一性良く液相冷媒240を噴霧できない場合でも、ヒートシンク210に全体的に均一性良く液相冷媒を付着させることができる。
【0081】
ヒートシンクユニット207Cにおいて、貫通孔210cは、液相冷媒が所定の圧力で空洞部210bから押し出され、押し出された液相冷媒が液滴化するようなサイズとされる。例えば、内径0.3mm〜0.5mmの貫通孔210cを形成することができる。
【0082】
以上述べたようなバーンイン装置200の制御部221の処理機能は、コンピュータを用いて実現することができる。
図13はバーンイン装置に用いるコンピュータのハードウェアの構成例を示す図である。
【0083】
バーンイン装置200に用いられるコンピュータ300は、プロセッサ301によって装置全体が制御される。プロセッサ301には、バス309を介してRAM(Random Access Memory)302と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ301は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ301は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はPLD(Programmable Logic Device)である。また、プロセッサ301は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうち、2種以上を組み合わせたものであってもよい。
【0084】
RAM302は、コンピュータ300の主記憶装置として使用される。RAM302には、プロセッサ301に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM302には、プロセッサ301による処理に必要な各種データが格納される。
【0085】
バス309に接続される周辺機器としては、HDD(Hard Disk Drive)303、グラフィック処理装置304、入力インタフェース305、光学ドライブ装置306、機器接続インタフェース307及びネットワークインタフェース308がある。
【0086】
HDD303は、コンピュータ300の補助記憶装置として使用される。HDD303には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、及び各種データが格納される。尚、補助記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0087】
グラフィック処理装置304には、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置等のモニタ311が接続される。グラフィック処理装置304は、プロセッサ301からの命令に従って、画像をモニタ311の画面に表示させる。
【0088】
入力インタフェース305には、キーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置312が接続される。入力インタフェース305は、入力装置312から送られてくる信号をプロセッサ301に送信する。
【0089】
光学ドライブ装置306は、レーザ光等を利用して、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等の光ディスク314に記録されたデータの読み取りを行う。
【0090】
機器接続インタフェース307は、コンピュータ300に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば、機器接続インタフェース307には、機器接続インタフェース307との通信機能を搭載したメモリ装置315や、メモリカード317に対するデータの書き込み又は読み出しを行うメモリリーダライタ316を接続することができる。
【0091】
ネットワークインタフェース308は、ネットワーク310に接続されている。ネットワークインタフェース308は、ネットワーク310を介して、他のコンピュータ又は通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0092】
以上のようなハードウェア構成によって、バーンイン装置200の処理機能を実現することができる。
コンピュータ300は、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、バーンイン装置200の処理機能を実現する。コンピュータ300に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、コンピュータ300に実行させるプログラムをHDD303に格納しておくことができる。プロセッサ301は、HDD303内のプログラムの少なくとも一部をRAM302にロードし、プログラムを実行する。また、コンピュータ300に実行させるプログラムを、光ディスク314、メモリ装置315、メモリカード317等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ301からの制御により、HDD303にインストールされた後、実行可能となる。また、プロセッサ301が可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0093】
尚、以上の説明では、半導体パッケージ100のバーンイン試験及びそれに用いるバーンイン装置200を例にしたが、バーンイン試験対象は、半導体パッケージのような形態の電子装置をはじめ、動作に伴って発熱する様々な形態の電子装置とすることができる。バーンイン試験対象の形態に応じて、バーンインボード201及びそれに実装されるソケット203の形態が選択される。
【0094】
また、以上の説明では、気相及び液相冷媒を利用して温度調節を行う温度調節装置を、バーンイン装置に適用した場合を例にしたが、温度調節装置は、バーンイン試験のほか、温度調節が行われる様々な試験、製造プロセスに適用可能である。
【0095】
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 吸気口及び排気口を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられた放熱部材と、
前記筐体の外部に設けられ、前記放熱部材に熱的に接続される接続部と、
前記吸気口に気相冷媒を供給する第1供給部と、
前記放熱部材の表面に液相冷媒を供給する第2供給部と
を含むことを特徴とする温度調節装置。
【0096】
(付記2) 前記放熱部材に接触する発熱体の温度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記温度に基づき、前記第1供給部による前記気相冷媒の供給量、及び前記第2供給部による前記液相冷媒の供給量を制御する制御部と
を更に含むことを特徴とする付記1に記載の温度調節装置。
【0097】
(付記3) 前記制御部は、
前記検出部によって検出される前記温度が、設定された下限値よりも高く且つ設定された上限値よりも低い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部による前記液相冷媒の供給を停止し、
前記検出部によって検出される前記温度が、前記上限値よりも高い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部によって前記液相冷媒を供給することを特徴とする付記2に記載の温度調節装置。
【0098】
(付記4) 前記発熱体を加熱する加熱部を更に含み、
前記制御部は、前記検出部によって検出される前記温度が、前記下限値よりも低い時に、前記加熱部によって前記発熱体を加熱することを特徴とする付記3に記載の温度調節装置。
【0099】
(付記5) 前記第2供給部は、前記液相冷媒を噴霧する噴霧器を備えることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の温度調節装置。
(付記6) 前記放熱部材は、当該放熱部材の内部に設けられた空洞部と、前記空洞部から前記表面に通じる貫通孔とを備え、
前記第2供給部は、前記空洞部に前記液相冷媒を供給し、前記貫通孔から前記表面に前記液相冷媒を供給することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の温度調節装置。
【0100】
(付記7) 前記発熱体が電子装置であり、
前記電子装置が搭載される基板と、前記基板を介して前記電子装置に電気信号を入力する入力部とを更に含むことを特徴とする付記2乃至6のいずれかに記載の温度調節装置。
【0101】
(付記8) 吸気口及び排気口を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられた放熱部材と、前記筐体の外部に設けられ、前記放熱部材に熱的に接続され、発熱体に接触する接続部と、前記吸気口に気相冷媒を供給する第1供給部と、前記放熱部材の表面に液相冷媒を供給する第2供給部とを含む放熱器と、
前記発熱体の温度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記温度に基づき、前記第1供給部による前記気相冷媒の供給量、及び前記第2供給部による前記液相冷媒の供給量を制御する制御部と
を含む温度調節装置を用いた温度調節方法であって、
前記発熱体を前記放熱器の前記接続部に熱的に接続する工程と、
前記検出部により、前記温度を検出する工程と、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、設定された下限値よりも高く、設定された上限値よりも低い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部による前記液相冷媒の供給を停止する工程と、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、前記上限値よりも高い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部によって前記液相冷媒を供給する工程と
を含むことを特徴とする温度調節方法。
【0102】
(付記9) 前記温度調節装置は、前記発熱体を加熱する加熱部を更に含み、
前記制御部は、前記検出部によって検出される前記温度が、前記下限値よりも低い時に、前記加熱部によって前記発熱体を加熱することを特徴とする付記8に記載の温度調節方法。
【0103】
(付記10) 前記第2供給部は、前記液相冷媒を噴霧する噴霧器を備えることを特徴とする付記8又は9に記載の温度調節方法。
(付記11) 前記放熱部材は、当該放熱部材の内部に設けられた空洞部と、前記空洞部から前記表面に通じる貫通孔とを備え、
前記第2供給部は、前記空洞部に前記液相冷媒を供給し、前記貫通孔から前記表面に前記液相冷媒を供給することを特徴とする付記8又は9に記載の温度調節方法。
【0104】
(付記12) 前記発熱体が電子装置であり、
前記温度調節装置は、前記電子装置が搭載される基板と、前記基板を介して前記電子装置に電気信号を入力する入力部とを更に含み、
前記検出部は、前記入力部によって前記電気信号が入力された前記電子装置の前記温度を検出することを特徴とする付記8乃至11のいずれかに記載の温度調節方法。
【0105】
(付記13) 電子装置を形成する工程と、
形成された前記電子装置に温度調節装置を用いて試験を行う工程と
を含み、
前記温度調節装置は、
吸気口及び排気口を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられた放熱部材と、前記筐体の外部に設けられ、前記放熱部材に熱的に接続され、前記電子装置に接触する接続部と、前記吸気口に気相冷媒を供給する第1供給部と、前記放熱部材の表面に液相冷媒を供給する第2供給部とを含む放熱器と、
前記電子装置の温度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記温度に基づき、前記第1供給部による前記気相冷媒の供給量、及び前記第2供給部による前記液相冷媒の供給量を制御する制御部と
を含み、
前記試験を行う工程は、
前記電子装置を前記放熱器の前記接続部に熱的に接続する工程と、
前記検出部により、前記温度を検出する工程と、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、設定された下限値よりも高く、設定された上限値よりも低い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部による前記液相冷媒の供給を停止する工程と、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、前記上限値よりも高い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部によって前記液相冷媒を供給する工程と
を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
【0106】
(付記14) 吸気口及び排気口を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられた放熱部材と、前記筐体の外部に設けられ、前記放熱部材に熱的に接続され、発熱体に接触する接続部と、前記吸気口に気相冷媒を供給する第1供給部と、前記放熱部材の表面に液相冷媒を供給する第2供給部とを含む放熱器と、
前記発熱体の温度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記温度に基づき、前記第1供給部による前記気相冷媒の供給量、及び前記第2供給部による前記液相冷媒の供給量を制御する制御部と
を含む温度調節装置の処理をコンピュータに実行させる温度調節プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記検出部により、前記放熱器の前記接続部に熱的に接続された前記発熱体の温度を検出し、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、設定された下限値よりも高く、設定された上限値よりも低い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部による前記液相冷媒の供給を停止し、
前記制御部により、前記検出部によって検出される前記温度が、前記上限値よりも高い時に、前記第1供給部によって前記気相冷媒を供給し、且つ、前記第2供給部によって前記液相冷媒を供給する
処理を実行させることを特徴とする温度調節プログラム。
【符号の説明】
【0107】
10 半導体チップ
20 封止部
30 パッケージ基板
100 半導体パッケージ
200 バーンイン装置
201 バーンインボード
202 スロットエリア
203 ソケット
204 レール
205 コネクタ
206 配置エリア
207A,207B,207C ヒートシンクユニット
207a,207b 接合層
208 ベース板
209 筐体
209a 吸気口
209b 排気口
209c 筐体下部
209d 筐体上部
210 ヒートシンク
210a 下部
210b 空洞部
210c 貫通孔
211,216,220,227 配管
212 下部エリア
213 ラジエタ
214 ファン
215 噴霧器
216a 液相冷媒流路
216b 圧縮空気流路
217 タンク
217a ポンプ
218 昇降用シリンダ
219 継ぎ手
221 制御部
221a 検出部
221b 加熱部
221c 調整部
222 熱電対
223 ヒータ
224,226 流量調整器
224a,224b,226a 流量調整弁
225 記憶部
230 気相冷媒
240 液相冷媒
300 コンピュータ
301 プロセッサ
302 RAM
303 HDD
304 グラフィック処理装置
305 入力インタフェース
306 光学ドライブ装置
307 機器接続インタフェース
308 ネットワークインタフェース
309 バス
310 ネットワーク
311 モニタ
312 入力装置
314 光ディスク
315 メモリ装置
316 メモリリーダライタ
317 メモリカード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13