特許第6015227号(P6015227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6015227交差点案内システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015227
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】交差点案内システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20161013BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20161013BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   G01C21/26 C
   G09B29/10 A
   G09B29/00 F
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-178815(P2012-178815)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-37978(P2014-37978A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100167254
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 貴亨
(72)【発明者】
【氏名】美濃 光星
(72)【発明者】
【氏名】近藤 良人
(72)【発明者】
【氏名】石川 健
(72)【発明者】
【氏名】吉田 沙希
(72)【発明者】
【氏名】荒井 佑美枝
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−181363(JP,A)
【文献】 特開2008−122150(JP,A)
【文献】 特開平07−262492(JP,A)
【文献】 特開2005−265573(JP,A)
【文献】 特開2008−128827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の経路の情報を取得する経路情報取得手段と、
前記経路の情報に基づいて、前記車両の前方の案内交差点における前記車両の進行方向を取得する進行方向取得手段と、
前記案内交差点に対する前記車両の接近度が閾値以上となった場合に、表示部における表示状態を第1表示状態から第2表示状態に遷移させる表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段は、
前記第1表示状態において、前記進行方向を表す案内画像を前記車両の前方風景における前記案内交差点の像以外の部分に重畳して前記表示部に表示させるとともに、前記前方風景における前記案内交差点の像と前記案内画像とを接続する接続線画像を前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させ、
前記第2表示状態において、前記第1表示状態にて前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させた前記案内画像と相似し、拡大率が1倍以上の前記案内画像を前記前方風景における前記案内交差点の像上に重畳して前記表示部に表示させる、
交差点案内システム。
【請求項2】
前記案内画像は、前記経路の情報に基づく前記案内交差点への進入道路における進行方向を示す進入部分と、前記経路の情報に基づく前記案内交差点からの退出道路における進行方向を示す退出部分とを含み、
前記表示制御手段は、
前記第1表示状態から前記第2表示状態へと遷移する前後において、前記進入部分が前記前方風景における同一直線上に維持されるように前記案内画像を前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の交差点案内システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記第1表示状態において、前記接近度が大きくなるほど前記接続線画像の長さが短くなるように前記接続線画像を前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させる、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の交差点案内システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
前記第1表示状態において、前記案内画像を前記前方風景における前記案内交差点の像よりも上方に重畳して前記表示部に表示させ、前記接近度が大きくなるほど前記前方風景において前記案内画像が前記案内交差点の像に向けて降下するように前記案内画像を前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させる、
請求項3に記載の交差点案内システム。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記第1表示状態において、前記接近度が大きくなるほど前記案内画像のサイズが大きくなるように前記案内画像を前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の交差点案内システム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記第2表示状態において、前記接近度が大きくなるほど前記案内画像のサイズが大きくなるように前記案内画像を前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させる、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の交差点案内システム。
【請求項7】
前記表示制御手段は、
前記前方風景における前記案内交差点の像のサイズが所定値以上の場合、前記接近度が前記閾値以上であると見なす、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の交差点案内システム。
【請求項8】
前記表示制御手段は、
前記第1表示状態において、前記案内交差点に接続する接続道路の形状を表す形状画像を前記前方風景に重畳し、前記経路の情報に基づく前記案内交差点への進入道路と、前記経路の情報に基づく前記案内交差点からの退出道路とを前記案内画像が前記形状画像上において表すように、前記案内画像を前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させる、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の交差点案内システム。
【請求項9】
前記表示制御手段は、
前記第1表示状態において、前記案内画像を下地画像上に重畳し、前記下地画像を前記前方風景上に重畳して前記表示部に表示させる、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の交差点案内システム。
【請求項10】
前記表示制御手段は、
前記車両と前記案内交差点との間の道路上に案内対象でない交差点が存在する場合に、前記車両と前記案内交差点との間の道路上に案内対象でない交差点が存在しない場合よりも前記接近度の前記閾値を大きく設定する、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の交差点案内システム。
【請求項11】
前記表示制御手段は、
前記車両と前記案内交差点との間の道路上に障害物が存在する場合に、前記車両と前記案内交差点との間の道路上に障害物が存在しない場合よりも前記接近度の前記閾値を大きく設定する、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の交差点案内システム。
【請求項12】
経路情報取得手段が、車両の経路の情報を取得する経路情報取得工程と、
進行方向取得手段が、前記経路の情報に基づいて、前記車両の前方の案内交差点における前記車両の進行方向を取得する進行方向取得工程と、
表示制御手段が、前記案内交差点に対する前記車両の接近度が閾値以上となった場合に、表示部における表示状態を第1表示状態から第2表示状態に遷移させる表示制御工程と、を含み、
前記表示制御手段は、
前記第1表示状態において、前記進行方向を表す案内画像を前記車両の前方風景における前記案内交差点の像以外の部分に重畳して前記表示部に表示させるとともに、前記前方風景における前記案内交差点の像と前記案内画像とを接続する接続線画像を前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させ、
前記第2表示状態において、前記第1表示状態にて前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させた前記案内画像と相似し、拡大率が1倍以上の前記案内画像を前記前方風景における前記案内交差点の像上に重畳して前記表示部に表示させる、
交差点案内方法。
【請求項13】
コンピュータを、
車両の経路の情報を取得する経路情報取得手段
前記経路の情報に基づいて、前記車両の前方の案内交差点における前記車両の進行方向を取得する進行方向取得手段
前記案内交差点に対する前記車両の接近度が閾値以上となった場合に、表示部における表示状態を第1表示状態から第2表示状態に遷移させる表示制御手段、として機能させ、
前記表示制御手段は、
前記第1表示状態において、前記進行方向を表す案内画像を前記車両の前方風景における前記案内交差点の像以外の部分に重畳して前記表示部に表示させるとともに、前記前方風景における前記案内交差点の像と前記案内画像とを接続する接続線画像を前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させ、
前記第2表示状態において、前記第1表示状態にて前記前方風景に重畳して前記表示部に表示させた前記案内画像と相似し、拡大率が1倍以上の前記案内画像を前記前方風景における前記案内交差点の像上に重畳して前記表示部に表示させる、
交差点案内プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点における進行方向を案内する交差点案内システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が運転席から前方を見た場合の視点位置に基づいて3次元描画された地図画像において、交差点の案内画像とともに、当該交差点内の所定位置から案内画像に対して延びる円筒状の引出線を表示する技術が知られている(特許文献1、参照)。この案内画像では、交差点において車両を誘導する車線を目立つ色で表すため、引出線によって案内画像と対応付けられた交差点において望ましい車線を認識できる。これにより、交差点において進行すべき進行方向が誘導された車線に対応する方向であることを認識できる。また、特許文献1において、矢印画像を交差点上に貼り付けることによっても、交差点での進行方向を案内する。交差点の像と矢印画像とを対比することができるため、交差点に接続している道路のうち矢印画像が指す方向に像が存在する道路が退出すべき道路であると容易に認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−82969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、交差点に対して引出線が延びる案内画像と、交差点上に貼り付けられた矢印画像とが同時に表示される。従って、運転者が交差点に対して引出線が延びる案内画像と、交差点上に貼り付けられた矢印画像とのどちらを視認すべきか迷うという問題があった。
【0005】
車両が交差点に接近している段階においては、フロントガラス越しに明確に交差点の接続道路を認識できるため、誤った接続道路へと進路を取らないように、認識している接続道路のうちどれが退出すべき接続道路であるかを認識する必要がある。従って、車両が交差点に接近している段階においては、交差点の接続道路のうちどれが退出すべき接続道路であるかを運転者に認識させる必要がある。交差点の接続道路のうちどれが退出すべき接続道路であるか認識するには、交差点上に貼り付けられた矢印画像を視認するのが望ましい。交差点の像と矢印画像が示す進行方向の先に像が存在する接続道路に退出すべきことを容易に認識できるからである。それにも拘わらず、車両が交差点に接近している段階においても、引出線が延びる案内画像が表示されるため、どちらの画像を視認すべきか迷うという問題があった。
【0006】
一方、車両が交差点に接近していない段階においては、運転者が交差点の接続道路を明確に認識していないため、交差点の接続道路のうちどれが退出すべき接続道路であるかを運転者に認識させる必要性が乏しい。さらに、車両が交差点に接近していない段階においては、交差点の像が小さくて視認しづらいため、交差点上に貼り付けられた矢印画像を認識するよりも、交差点に対して引出線が延びる案内画像を認識した方が確実に交差点における進行方向を理解できる。すなわち、車両が交差点に接近していない段階においては、運転者が交差点に対して引出線が延びる案内画像を視認するのが望ましいにも拘わらず、交差点上に貼り付けられた矢印画像が表示されるため、どちらの画像を視認すべきか迷うという問題があった。
【0007】
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、案内交差点に対する接近度に適した案内を行う案内画像を迷うことなく視認できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明において、経路情報取得手段は、車両の経路の情報を取得する。進行方向取得手段は、経路の情報に基づいて、車両の前方の案内交差点における車両の進行方向を取得する。表示制御手段は、案内交差点に対する車両の接近度が閾値以上となった場合に、表示部における表示状態を第1表示状態から第2表示状態へと遷移させる。表示制御手段は、第1表示状態において、進行方向を表す案内画像を車両の前方風景における案内交差点の像以外の部分に重畳して表示部に表示させるとともに、前方風景における案内交差点の像と案内画像とを接続する接続線画像を前方風景に重畳して表示部に表示させる。表示制御手段は、第2表示状態において、案内画像を前方風景における案内交差点の像上に重畳して表示部に表示させる。
【0009】
以上の構成において、表示制御手段は、案内交差点に対する接近度が閾値以上となった場合に、表示部における表示状態を第1表示状態から第2表示状態へと遷移させる。案内交差点に対する接近度が閾値未満の段階、すなわち案内交差点の像が前方風景においてまだ小さい段階において、表示制御手段は、表示部の表示状態を第1表示状態とする。この第1表示状態において、表示制御手段は、案内画像を案内交差点の像上に重畳するのではなく、案内画像を前方風景における案内交差点の像以外の部分に重畳する。従って、案内交差点の像が前方風景においてまだ小さい段階において、案内交差点の像の大きさに制約されることなく案内画像のサイズを確保することができる。そのため、案内交差点に接近していない段階で、案内交差点における進行方向を運転者に確実に理解させることができる。また、接続線画像が案内交差点の像に接続するため、案内交差点の位置も運転者に確実に理解させることができる。
【0010】
一方、案内交差点に対する接近度が閾値以上の段階、すなわち案内交差点の像が前方風景において明確に認識でき、案内交差点に接続する道路のうちどれが退出すべき道路であるかを認識すべき段階において、表示制御手段は、表示部の表示状態を第2表示状態とする。この第2表示状態において、表示制御手段は、案内画像を前方風景における案内交差点の像上に重畳する。従って、案内交差点に接近している段階で、大きくなっている案内交差点の像と案内画像が表す進行方向とを直接対比することができ、案内画像が表す進行方向の先に像がある道路を退出すべき道路として容易に認識できる。
【0011】
以上説明したように第1表示状態から第2表示状態へと遷移することにより、案内交差点に対する接近度に適した表示態様で案内交差点の進行方向を案内することができる。第1表示状態においては、案内画像を前方風景における案内交差点の像上に重畳することはない。従って、案内交差点に対する接近度が閾値未満の段階において、前方風景における案内交差点の像以外の部分に重畳された案内画像を迷うことなく視認できる。同様に、第2表示状態においては、案内画像を前方風景における案内交差点の像以外の部分に重畳することはない。従って、案内交差点に対する接近度が閾値以上の段階において、前方風景における案内交差点の像上に重畳された案内画像を迷うことなく視認できる。
【0012】
さらに、第1表示状態と第2表示状態とのいずれおいても前方風景内において案内交差点の像と当該案内交差点での進行方向とを対応付けて認識できる。第1表示状態では案内交差点の像と案内画像とが接続線画像によって接続され、第2表示状態では案内交差点の像上に案内画像が重畳されるからである。従って、第1表示状態から第2表示状態へと遷移しても、継続して案内交差点の像の位置と当該案内交差点での進行方向とを対応付けて認識できる。
【0013】
経路情報取得手段は、経路上の案内交差点、および、案内交差点での進行方向が特定可能な経路の情報を取得すればよい。経路情報取得手段が取得する経路の情報は、例えば目的地点に到達するための経路の情報であってもよい。進行方向取得手段は、案内交差点での進行方向として、案内交差点への進入方向と案内交差点からの退出方向とを取得してもよい。車両の前方の案内交差点とは、経路上において車両が走行する予定の交差点である。案内交差点は、案内対象の交差点であり、運転者が進行方向を誤るおそれのある交差点であってもよい。むろん、経路情報取得手段は、経路上において車両が走行する予定の交差点のすべてを案内交差点としてもよい。
【0014】
接近度は、案内交差点に対して車両がどれだけ接近しているかを示す指標であり、種々の指標が採用可能である。例えば、車両から案内交差点までの距離である残距離が短いほど接近度が高いとしてもよいし、案内交差点に到達するまでの所要期間が短いほど接近度が高いとしてもよい。なお、表示制御手段の処理において前方風景における案内交差点の像の位置が必要となる場合、表示制御手段は、地図情報のノードデータに規定された交差点の位置(中央位置)と車両の位置(前方風景の視点位置)と方向(前方風景の視認方向)とに基づいて案内交差点の像の位置を特定してもよいし、前方風景における交差点固有の地物の像の画像認識により案内交差点の像の位置を特定してもよい。
【0015】
接近度の閾値は、前方風景において案内交差点の像が明確に認識できるようになる場合の接近度であってもよい。例えば、接近度の閾値は、前方風景において案内交差点の像が所定の大きさよりも大きくなる場合の接近度であってもよい。また、接近度の閾値は、案内交差点以外の交差点の像が前方風景において存在しなくなる場合の接近度であってもよい。これにより、案内画像が進行方向を表している交差点を誤認する可能性がなくなった段階で、第2表示状態へと遷移することができる。
【0016】
案内画像は、案内交差点における進行方向を表す画像であればよく、進行方向を表す矢印や進行方向に進行する車両の軌跡を示す線状の画像であってもよい。表示制御手段は、第1表示状態において、案内画像を前方風景における案内交差点の像以外の部分に重畳すればよく、案内画像を前方風景における消失点よりも上の領域に重畳してもよい。前方風景における消失点よりも上の位置には、案内交差点を含むすべての道路の像が基本的に存在しないため、前方風景における案内交差点の像の位置を地図情報や画像認識に基づいて特定するための処理負荷を生じさせることなく、案内画像を前方風景における案内交差点の像以外の部分に重畳することができる。一方、表示制御手段は、第2表示状態において、案内画像を前方風景における案内交差点の像上に重畳すればよい。第2表示状態において、案内画像が重畳される案内交差点の像とは、案内交差点の路面の像を意味する。第2表示状態において、案内交差点の上空でなく案内交差点の路面の像上に案内画像を重畳することにより、案内交差点の路面の形状と案内画像が表す進行方向とを明確に対比できる。
【0017】
接続線画像は、長さ方向において案内画像と案内交差点の像とを接続する画像であればよく、線の幅が一定の画像に限定されない。なお、接続線画像の幅を案内画像よりも狭くすることにより、案内画像を案内交差点の像上に重畳するよりも、接続線画像を案内交差点の像に接続する方が明確に案内交差点の像の位置を表すようにすることができる。必ずしも接続線画像の長さ方向の両端のそれぞれが案内交差点の像上と案内画像上に存在しなくてもよく、例えば接続線画像の長さ方向の端と案内交差点の像との間に所定長さ以下の隙間が形成されてもよいし、接続線画像の長さ方向の端と案内画像との間に所定長さ以下の隙間が形成されてもよい。接続線画像は、案内画像と案内交差点の像とを接続する不連続な線状の画像であってもよい。例えば、接続線画像は長さ方向に並ぶ複数の部分によって構成されてもよい。第1表示状態において、接続線画像が接続する案内交差点の像とは、案内交差点の路面の像を意味する。第1表示状態において、案内交差点の上空でなく案内交差点の路面の像上に接続線画像を接続することにより、案内交差点の位置を明確に表すことができる。
【0018】
表示制御手段は、第1表示状態において、案内画像と接続線画像とがともに前方風景に重畳されている状態を形成すればよく、案内画像を前方風景に重畳して表示部に表示させる処理と、接続線画像を前方風景に重畳して表示部に表示させる処理とを個別に行ってもよいし、一括して行ってもよい。例えば、案内画像と接続線画像とが合成された画像を一括して表示部に表示させることにより、案内画像と接続線画像とを前方風景に重畳してもよい。
【0019】
表示部は、少なくとも案内画像と接続線画像とを表示すればよく、案内画像と接続線画像とともに前方風景を表す画像(以下、前方画像)を表示してもよい。すなわち、表示制御手段は、案内画像と接続線画像とを前方画像に重畳して、当該前方画像を表示部に表示させてもよい。前方画像は、カメラで前方風景を撮影することにより得られてもよいし、地図情報に基づいて前方風景を描画することにより得られてもよい。さらに、表示部は、前方画像を表示しなくてもよい。すなわち、表示部は、車両のフロントガラス越しに運転者が視認する現実の前方風景に案内画像と接続線画像とが重畳されるように表示するヘッドアップディスプレイとして構成されてもよい。
【0020】
ここで、表示制御手段は、第2表示状態において、第1表示状態にて前方風景に重畳して表示部に表示させた案内画像と相似する案内画像を前方風景に重畳して表示部に表示させてもよい。第1表示状態における案内画像と第2表示状態における案内画像とが相似することにより、第1表示状態から第2表示状態に遷移しても案内画像が継続して同一の案内交差点について同一の進行方向を案内していることを直感的に認識できる。第1表示状態における案内画像と第2表示状態における案内画像とが相似することには、これらが合同であることも含まれる。
【0021】
より具体的に、表示制御手段は、第2表示状態において、第1表示状態にて前方風景に重畳して表示部に表示させた案内画像を拡大した案内画像を前方風景に重畳して表示部に表示させてもよい。第1表示状態よりも第2表示状態の方が接近度は大きく、前方風景における案内交差点の像も大きくなる。従って、第1表示状態における案内画像よりも第2表示状態における案内画像を大きくすることにより、第2表示状態において大きくなった案内交差点の像に対して案内画像を対比しやすくすることができる。また、接近度が大きい第2表示状態において、第1表示状態よりも案内画像への注意を惹くことができる。
【0022】
さらに、案内画像は、経路の情報に基づく案内交差点への進入道路における進行方向を示す進入部分と、経路の情報に基づく案内交差点からの退出道路における進行方向を示す退出部分とを含んでもよい。これにより、案内交差点における車両の進入方向と退出方向とを認識できる。この場合において、表示制御手段は、第1表示状態から第2表示状態へと遷移する前後において、進入部分が前方風景における同一直線上に維持されるように案内画像を前方風景に重畳して表示部に表示させてもよい。案内画像の進入部分を前方風景における同一直線上に維持することにより、第1表示状態から第2表示状態へと遷移する前後において、案内画像が同一の案内交差点についての進入方向を表していることを直感的に認識できる。また、第1表示状態から第2表示状態へと遷移する前後において、案内画像の進入部分が前方風景内でぶれることにより、運転者が違和感を覚えることを防止できる。なお、進入道路とは、案内交差点に進入するために車両が走行すべきことを経路の情報が示す道路である。退出道路とは、案内交差点から退出するために車両が走行すべきことを経路の情報が示す道路である。
【0023】
さらに、表示制御手段は、第1表示状態において、接近度が大きくなるほど接続線画像の長さが短くなるように接続線画像を前方風景に重畳して表示部に表示させてもよい。第1表示状態において予め接続線画像の長さが短くなるようにしておけば、第1表示状態から第2表示状態へと遷移するタイミングにおいて接続線画像が消失する印象を和らげることができる。また、案内交差点までの接近度が大きくなるほど、車両が案内交差点を走行するまでの期間や、車両から案内交差点までの残距離が短くなる。従って、接続線画像が短くなることと案内交差点までの接近度が大きくなることとを対応付けて認識でき、接続線画像の長さが短くなるほど案内交差点に接近していることを直感的に認識できる。なお、接続線画像が長さ方向に並ぶ複数の部分によって構成されるようにした場合、表示制御手段は、接近度が大きくなるほど、接続線画像を構成する複数の部分の個数を減少させるようにしてもよい。
【0024】
また、表示制御手段は、第1表示状態において、案内画像を前方風景における案内交差点の像よりも上方に重畳して表示部に表示させ、接近度が大きくなるほど前方風景において案内画像が案内交差点の像に向けて降下するように案内画像を前方風景に重畳して表示部に表示させてもよい。第1表示状態において案内交差点の像よりも上方に重畳された案内画像を予め案内交差点の像に向けて降下させておけば、第1表示状態から第2表示状態へと遷移するタイミングにおいて案内画像が急激に案内交差点の像上に降下する印象を和らげることができる。また、第1表示状態において案内画像が徐々に降下してから、第2表示状態にて案内画像の案内交差点の像上に至るため、同一の案内交差点の進行方向が継続して案内されていることを直感的に認識できる。また、第1表示状態において接近度が大きくなるほど、前方風景における近い位置にて案内交差点の像と案内画像とが上下に並ぶこととなるため、案内交差点の像と案内画像との間の視線移動を抑制し、案内交差点の像と案内画像とを対比しやすくすることができる。
【0025】
さらに、表示制御手段は、第1表示状態において、接近度が大きくなるほど案内画像のサイズが大きくなるように案内画像を前方風景に重畳して表示部に表示させてもよい。これにより、第1表示状態において、案内交差点への接近度が大きくなるほど、案内画像の注意を強く惹くことができる。また、第2表示状態における案内画像を第1表示状態における案内画像を拡大した画像とする場合、第1表示状態において大きくなってきた案内画像のサイズが、第1表示状態から第2表示状態への遷移時においても引き続き大きくなるようにすることができる。従って、第1表示状態から第2表示状態への遷移時において、同一の案内交差点の進行方向が継続して案内されていることを直感的に認識できる。
【0026】
また、表示制御手段は、第2表示状態において、接近度が大きくなるほど案内画像のサイズが大きくなるように案内画像を前方風景に重畳して表示部に表示させてもよい。これにより、第2表示状態において、接近度が大きくなるほど前方風景における案内交差点の像のサイズが大きくなるのに追従するように案内画像のサイズを大きくしていくことができる。従って、案内交差点の像のサイズと、当該案内交差点の像上に重畳される案内画像のサイズとが乖離して、案内交差点の像と案内画像が表す進行方向との対比が困難となることが防止できる。
【0027】
さらに、表示制御手段は、前方風景における案内交差点の像のサイズが所定値以上の場合、接近度が閾値以上であると見なしてもよい。これにより、案内画像が重畳される案内交差点の像のサイズが大きくなり、案内画像が表す進行方向が認識しやすくなる段階で、第2表示状態へと遷移することができる。所定値は、案内画像を重畳した場合に、案内画像のサイズに対する案内交差点の像の大きさの比が所定比となる値であってもよい。
【0028】
また、表示制御手段は、第1表示状態において、案内交差点に接続する接続道路の形状を表す形状画像を前方風景に重畳し、経路の情報に基づく案内交差点への進入道路と、経路の情報に基づく案内交差点からの退出道路とを案内画像が形状画像上において表すように、案内画像を前方風景に重畳して表示部に表示させてもよい。これにより、第1表示状態において、案内交差点に接続する接続道路のうちどの道路が進入道路と退出道路であるかを確実に理解できる。なお、進入道路とは、案内交差点に接続する接続道路のうち、案内交差点に進入するために車両が走行すべきことを経路の情報が示す道路である。退出道路とは、案内交差点に接続する接続道路のうち、案内交差点から退出するために車両が走行すべきことを経路の情報が示す道路である。
【0029】
さらに、表示制御手段は、第1表示状態において、案内画像を下地画像上に重畳し、下地画像を前方風景上に重畳して表示部に表示させてもよい。案内画像を下地画像上に重畳することにより、前方風景の色に依存することなく案内画像の視認性を確保することができる。一方、表示制御手段は、第2表示状態において、案内画像を案内交差点の像に直接重畳すればよい。これにより、案内画像と案内交差点の像とを直接対比でき、案内画像が表す進行方向により退出すべき道路を直感的に認識しやすくすることができる。
【0030】
また、表示制御手段は、車両と案内交差点との間の道路上に案内対象でない交差点が存在する場合に、車両と案内交差点との間の道路上に案内対象でない交差点が存在しない場合よりも接近度の閾値を大きく設定してもよい。これにより、案内交差点の像と案内対象でない交差点の像とが前方風景において明瞭に区別できる程度、あるいは、案内対象でない交差点の像が前方風景に存在しなくなる程度に、車両が案内交差点に接近した段階で、第2表示状態へと遷移することができる。第1表示状態において、接続線画像によって明確に案内交差点の像を表すことができるため、案内交差点の像と案内対象でない交差点の像とが前方風景において紛らわしい場合でも、案内交差点の誤認が防止できる。
【0031】
さらに、表示制御手段は、車両と案内交差点との間の道路上に障害物が存在する場合に、車両と案内交差点との間の道路上に障害物が存在しない場合よりも接近度の閾値を大きく設定してもよい。これにより、案内交差点の像が障害物に遮蔽される場合に、第1表示状態から第2表示状態への遷移を遅らせることができる。ここで、障害物による案内交差点の像の遮蔽率が高い場合、第2表示状態に遷移しても、案内交差点の像と案内画像とを対比して進行方向を認識することが困難となる。これに対して、第1表示状態から第2表示状態への遷移を遅らせることにより、第1表示状態において案内交差点の像外に重畳した案内画像により進行方向が理解できる状態を維持することができる。そして、障害物による案内交差点の像の遮蔽率が低くなり、案内交差点の像と案内画像とが対比可能となった段階で、第2表示状態に遷移することができる。案内交差点に対する接近度が大きくなるほど、前方風景における案内交差点の像のサイズが大きくなり、障害物による案内交差点の像の遮蔽率が低くなる可能性が高くなるからである。
【0032】
さらに、本発明のように案内画像によって案内交差点における進行方向を案内する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1はナビゲーション装置のブロック図である。
図2図2Aは道路の平面図、図2Bは案内画像を示す図、図2Cは形状画像を示す図、図2Dは案内画像を重畳した形状画像を示す図、図2Eは案内交差点の路面の平面図である。
図3図3Aは残距離Sと案内画像のサイズとの関係を示すグラフ、図3Bは残距離Sと接続線画像の長さとの関係を示すグラフである。
図4図4A,4Bは第1表示状態における前方画像を示す図、図4Cは第2表示状態における前方画像を示す図である。
図5図5は交差点案内処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1) ナビゲーション装置の構成:
(1−1)基準案内画像および基準形状画像:
(1−2)第1表示状態:
(1−3)第2表示状態:
(2)交差点案内処理:
(3)他の実施形態:
【0035】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる交差点案内システムとしてのナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、車両に備えられている。ナビゲーション装置10は、制御部20と記録媒体30とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備え、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行する。記録媒体30は、地図情報30aと表示設定データ30bと基準画像データベース(DB)30cとを記録する。地図情報30aは、道路の端点(交差点の中央位置)に対応して設定されたノードの位置を特定するためのノードデータと、ノード間の道路を示すリンクデータと、ノード間の道路の幅方向の中央線上に設定された形状補間点の位置を特定するための形状補間点データ等を含んでいる。リンクデータは、ノード間の道路の幅を示す情報を含む。表示設定データ30bは、交差点についての案内表示を行うための各種設定情報が記録されたデータである。基準画像DB30cは、交差点における進行方向を表す基準案内画像と、交差点に接続する接続道路の形状を表す基準形状画像とを記録するデータである。表示設定データ30bおよび基準案内画像と基準形状画像の詳細については後述する。
【0036】
車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とカメラ44とディスプレイ45とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を出力する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。ジャイロセンサ43は、車両に作用する角加速度に対応した信号を出力する。そして、制御部20は、GPS受信部41、車速センサ42、及びジャイロセンサ43等から出力された信号や地図情報30aに基づいて車両の現在位置を特定する。さらに、制御部20は、ジャイロセンサ43の信号や現在位置の軌跡等に基づいて車両の前方が向いている方位である現在方位を特定する。
【0037】
カメラ44は、車両の前方正面の前方風景を撮影し、当該前方風景を表す前方画像を生成するイメージセンサである。カメラ44が撮影した前方画像は、図示しないインタフェースを介して制御部20に出力される。本実施形態において、カメラ44は、車両の幅方向の中央位置に備えられている。ディスプレイ45は、制御部20から出力された映像信号に基づいて各種案内を出力する映像出力装置である。ディスプレイ45は、前方画像を表示する。前方画像の左右方向は車両の左右方向に対応し、実空間の路面上において車両から前方に遠い位置にある物体の像ほど前方画像の上方に位置する。また、前方画像の下辺の中央がカメラ44(車両の現在位置)に対応し、前方画像の横方向の中央線が車両の前方正面の位置に対応する。なお、カメラ44の光学的な仕様(画角、光軸方向、歪曲特性等)は表示設定データ30bに記録されている。
【0038】
制御部20は交差点案内プログラム21を実行する。交差点案内プログラム21は、経路情報取得部21aと進行方向取得部21bと表示制御部21cとを含む。
経路情報取得部21aは、車両の経路の情報を取得する機能を制御部20に実行させるモジュールである。本実施形態において、制御部20は、目的地点に到達するための走行予定経路を地図情報30aに基づいて探索し、当該走行予定経路を示す情報を取得する。走行予定経路は目的地点に到達するために車両が走行すべき一連の道路で構成される。なお、走行予定経路は、制御部20が通信等を介して外部の装置やリムーバブルメモリから取得した経路であってもよい。
【0039】
進行方向取得部21bは、経路の情報に基づいて、車両の前方の案内交差点における車両の進行方向を取得する機能を制御部20に実行させるモジュールである。本実施形態において、制御部20は、走行予定経路上において車両が走行する予定の交差点であって、車両が旋回をともなって退出する交差点を案内交差点として特定する。制御部20は、経路の情報に基づいて、案内交差点への進入道路と、案内交差点からの退出道路とを特定する。進入道路は案内交差点を走行する直前に走行する走行予定経路上の道路であり、退出道路は案内交差点を走行した直後に走行する走行予定経路上の道路である。制御部20は、進入道路内の形状補間点のうち交差点に最も近い形状補間点の位置と交差点の中央位置とを接続するベクトルの方向を交差点への進入方向として特定する。同様に、制御部20は、退出道路内の形状補間点のうち交差点に最も近い形状補間点の位置と交差点の中央位置とを接続するベクトルの方向を交差点からの退出方向として特定する。交差点の中央位置と形状補間点とは、それぞれ地図情報30aのノードデータと形状補間点データに基づいて特定できる。そして、進行方向取得部21bの機能により制御部20は、進入方向に対して退出方向がなす角である旋回角を特定し、当該旋回角が表示設定データ30bに記録された閾値以上である交差点を案内交差点として特定する。
【0040】
図2Aは、案内交差点Cを含む道路の平面図である。制御部20は、案内交差点Cについて特定した進入方向d1と退出方向d2とを案内交差点Cにおける進行方向として取得する。本実施形態において、左方向に旋回する場合の旋回角θを正とし、右方向に旋回する場合の旋回角θを負とする。
【0041】
表示制御部21cは、案内交差点Cに対する接近度が閾値以上となった場合に、ディスプレイ45における表示状態を第1表示状態から第2表示状態へと遷移させる機能を制御部20に実行させるモジュールである。本実施形態において、制御部20は、車両の案内交差点Cに対する接近度の指標として、車両から案内交差点Cまでの残距離Sを用いる。残距離Sは、値が小さいほど車両の案内交差点Cに対する接近度が大きいことを示す指標である。制御部20は、車両の現在位置から案内交差点Cまでの直線距離を残距離Sとして特定し、当該特定した残距離Sが閾値Sth以下となった場合に、案内交差点Cに対する接近度が閾値以上となったと判定する。
【0042】
本実施形態において、残距離Sの閾値Sthは、前方画像において平均形状の交差点の像の大きさが所定サイズとなる際の残距離Sとされ、表示設定データ30bに記録されている。なお、残距離Sの閾値Sthは、カメラ44の光学的な仕様に基づいて、前方画像における平均形状の交差点の像の残距離Sごとの大きさを推定することにより設定できる。平均形状の交差点は、地図情報30aに規定された道路の幅の平均値が四辺の長さとなる正方形状の交差点であってもよい。表示制御部21cの機能により制御部20は、車両の案内交差点Cに対する接近度が閾値未満である場合、すなわち案内交差点までの残距離Sが閾値Sthよりも大きい場合、ディスプレイ45の表示状態を第1表示状態とする。第1表示状態の説明を行う前に、第1表示状態にて使用する基準案内画像と基準形状画像とについて説明する。
【0043】
(1−1)基準案内画像および基準形状画像:
図2Bは、基準案内画像GSを示す図である。基準案内画像GSは、交差点における進行方向を表す仮想的な矢印を、進入方向d1の後方側(手前側)から俯瞰したと仮定した場合の像である。基準案内画像GSは、進入部分Iと退出部分Oとを含む。進入部分Iの幅方向の中央線i(二点鎖線)と退出部分Oの幅方向の中央線o(二点鎖線)とは、屈曲点Tにて交差している。案内画像Gは、進入部分Iの中央線iの方向に対して、退出部分Oの中央線oの方向が旋回角θだけ変化していることを表す。つまり、進入部分Iの長さ方向が案内交差点Cへの進入方向d1を表し、退出部分Oの長さ方向が案内交差点Cからの退出方向d2を表す。退出部分Oの先端に、矢印の頭部O1が形成されている。進入方向d1は基準案内画像GSの縦方向に表され、退出方向d2は旋回角θに応じた方向に表される。進入部分Iは、旋回角θに拘わらず不変となる。
【0044】
基準画像DB30cにおいて、旋回角θの区分ごとに基準案内画像GSが記録されている。本実施形態では、7通りの旋回角θの区分が定義されており、旋回角θの各区分の中央値がそれぞれ0,45,90,135,−45,−90,−135度と定義されている。すなわち、本実施形態では、7通りの基準案内画像GSが基準画像DB30cに記録されている。図2Bは、中央値が90度の旋回角θの区分について記録された基準案内画像GSを示している。
【0045】
図2Cは、基準形状画像MSを示す図である。基準形状画像MSは、交差点の接続道路の概略的な形状を、進入道路の後方側(手前側)から俯瞰したと仮定した場合の像である。基準形状画像MSにおいて交差点の像Vに対して接続道路の像Aが接続する。各接続道路の像Aの幅方向の中央線aが中央点Fにて交差する。接続道路の像Aには、進入道路の像A1が含まれ、進入道路の像A1の幅方向の中央線a1(二点鎖線)は縦方向となる。各接続道路の像Aが交差点の像Vに対して接続する方向は、実空間において各接続道路が交差点に接続する方向を表す。
【0046】
基準画像DB30cにおいて、接続道路の接続角γの各区分における接続道路の有無の組み合わせごとに基準形状画像MSが記録されている。ここで、接続道路の接続角γとは、進入道路の方向に対して他の接続道路の方向がなす角を意味する。つまり、接続角γは、進入道路から他の接続道路に退出したと仮定した場合の旋回角θを意味する。図2Cにおいて、接続道路としての右折道路についての接続角γ(−90度)を示す。接続角γの区分は旋回角θの区分と一致し、本実施形態のように7通りの旋回角θの区分を定義した場合には、27個の基準形状画像MSが基準画像DB30cに記録されていることとなる。図2Cの形状画像Mにおいて、接続角γの各区分における接続道路の有無の組み合わせは、0度(有り),45度(無し),90度(有り),135度(無し),−45度(無し),−90度(有り),−135度(無し)となる。なお、必ず案内交差点Cには進入道路が接続するため、いずれの基準形状画像MSにも進入道路の像A1が含まれる。
【0047】
(1−2)第1表示状態:
表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、案内交差点Cにおける進行方向を表す案内画像を車両の前方画像における案内交差点Cの像以外の部分に重畳してディスプレイ45に表示させるとともに、前方画像における案内交差点Cの像と案内画像とを接続する接続線画像を前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる機能を制御部20に実行させるモジュールである。まず、案内画像について説明する。
【0048】
案内画像は図2Bに示す基準案内画像GSを拡大した画像である。表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、接近度が大きくなるほど案内画像Gのサイズが大きくなるように案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。すなわち、制御部20は、案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなるほど、サイズが大きい案内画像Gを生成する。制御部20は、案内交差点Cまでの残距離Sに対応する案内画像Gの拡大率を表示設定データ30bから取得する。そして、制御部20は、基準案内画像GSを残距離Sに応じた拡大率で拡大することにより、案内画像Gを生成する。
【0049】
図3Aは、案内交差点Cまでの残距離Sと案内画像Gの拡大率X(実線)との関係を示すグラフである。図3Aにおいて、横軸が残距離Sを示し、縦軸が案内画像Gの拡大率Xを示す。残距離Sが閾値Sthよりも大きくなる期間が第1表示状態となる期間に対応し、残距離Sが0以上かつ閾値Sth以下となる期間が第2表示状態となる期間に対応する。図3Aに示すように、第1表示状態において、案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなるほど、案内画像Gの拡大率Xが単調的に大きくなる。
【0050】
案内交差点Cが特定されると、表示制御部21cの機能により制御部20は、案内交差点Cにおける進行方向に対応する旋回角θが属する旋回角θの区分を特定し、当該旋回角θの区分に対応付けられている基準案内画像GSを基準画像DB30cから拡大対象として取得する。そして、制御部20は、残距離Sに対応する拡大率Xを表示設定データ30bから取得し、当該拡大率Xで案内交差点Cにおける進行方向に対応する基準案内画像GSを拡大することにより、案内画像Gを生成する。従って、案内画像Gのサイズは、残距離Sが小さくなるほど、すなわち接近度が大きくなるほど大きくなる。
【0051】
表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、案内交差点Cに接続する接続道路の形状を表す形状画像Mを前方画像に重畳し、経路の情報に基づく案内交差点Cへの進入道路と、経路の情報に基づく案内交差点Cからの退出道路とを案内画像Gが形状画像M上において表すように、案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。案内交差点Cが特定されると、表示制御部21cの機能により制御部20は、案内交差点Cにおいて接続している各接続道路の接続角γの区分を特定し、接続道路が接続している接続角γの区分の組み合わせに対応する基準形状画像MSを基準画像DB30cから拡大対象として取得する。そして、制御部20は、残距離Sに応じた拡大率Xを表示設定データ30bから取得し、当該拡大率Xで案内交差点Cに接続する接続道路の形状を表す基準形状画像MSを拡大することにより、形状画像Mを生成する。すなわち、制御部20は、基準案内画像GSと基準形状画像MSとを同一の拡大率Xによって拡大することにより、案内画像Gと形状画像Mとを生成する。
【0052】
表示制御部21cの機能により制御部20は、案内画像Gを形状画像M上に重畳する。具体的に制御部20は、案内画像Gの屈曲点Tが形状画像Mの中央点F上に重なるように、案内画像Gを形状画像M上に重畳する。図2Dは、案内画像Gが重畳された形状画像Mを示す。同図に示すように、案内画像Gの進入部分Iが形状画像Mの進入道路の像A1上に重畳され、案内画像Gの退出部分Oが形状画像Mの退出道路の像A2上に重畳される。これにより、形状画像M上の案内画像Gによって、案内交差点Cへの進入道路と、案内交差点Cからの退出道路とを表すことができる。以上のように案内画像Gを形状画像M上に重畳することにより、案内画像Gの下端と形状画像Mの下端(進入道路の像A1の下端)とが縦方向において同一位置となる。すなわち、基準案内画像GSにおける進入部分Iの中央線iの長さ(図2B)と、基準形状画像MSにおける進入道路の像A1の中央線a1の長さ(図2C)とが一致する基準案内画像GSと基準形状画像MSが基準画像DB30cに記録されている。
【0053】
さらに、表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、案内画像Gを下地画像上に重畳し、下地画像を前方画像上に重畳してディスプレイ45に表示させる。制御部20は、案内画像Gおよび形状画像Mが収まる形状、かつ、案内画像Gおよび形状画像Mと異なる色の下地画像を生成する。例えば、制御部20は、形状画像Mの高さと同一の高さを有し、形状画像Mの幅と同一の幅を有する矩形状の下地画像を生成する。そして、制御部20は、形状画像Mの上下端と下地画像の上下端とが一致し、かつ、形状画像Mの左右端と下地画像の左右端とが一致するように、案内画像Gが重畳された形状画像Mをさらに下地画像上に重畳する。これにより、案内画像Gの下端(進入部分Iの下端)と、形状画像Mの下端(進入道路の像A1の下端)と下地画像の下端とが縦方向において同一位置となる。なお、案内画像Gと形状画像Mと下地画像との色は、それぞれ色相角や彩度や明度が所定基準以上異なることが望ましい。
【0054】
表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、前方画像における案内交差点Cの像以外の部分において進行方向を表す案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。制御部20は、前方画像における案内交差点Cの像以外の部分として、前方画像における消失点Wよりも上の部分に案内画像Gの重畳位置を設定する。前方画像における消失点Wの高さは表示設定データ30bに記録されたカメラ44の光学的な仕様に基づいて特定できる。従って、少ない処理負荷で案内画像Gの重畳位置が設定できる。
【0055】
図4A,4Bは前方画像を示す図である。図4Aの前方画像は図4Bの前方画像よりも残距離Sが大きい場合に表示される前方画像である。図4A,4Bに示すように、消失点Wよりも高い領域Jには、基本的に道路の像が存在しないため、案内画像Gを前方画像における案内交差点Cの像(ハッチング)以外の部分に重畳できる。また、残距離Sが小さい図4Bの前方画像の方が、残距離Sが大きい図4Aの前方画像よりもサイズが大きい案内画像Gが重畳されている。なお、制御部20は、前方画像における案内交差点Cの像の位置を画像認識(交差点固有の地物の像の認識)や地図情報30aに基づいて特定し、当該特定した案内交差点Cの像の位置とは異なる位置に案内画像Gの重畳位置を設定してもよい。これにより、消失点Wよりも下方においても、案内画像Gの重畳位置を確保し得る。本実施形態において、案内画像Gの重畳位置は接続線画像Rに依存するため、案内画像Gの詳細な重畳位置については後述する。
【0056】
表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、前方画像における案内交差点Cの像と案内画像Gとを接続する接続線画像Rを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。すなわち、制御部20は、前方画像における案内交差点Cの像の位置に接続線画像Rの一端の位置を設定し、前方画像における案内画像Gの重畳位置に接続線画像Rの他端の位置を設定する。まず、制御部20は、案内交差点Cの中央位置Qに対応する前方画像内の位置に接続線画像Rの下端の位置を設定する。制御部20は、案内交差点Cの中央位置Qを地図情報30aのノードデータに基づいて特定し、当該中央位置Qと車両の現在位置と現在方位とカメラ44の光学的な仕様とに基づいて案内交差点Cの中央位置Qに対応する前方画像内の位置を特定する。むろん、制御部20は、前方画像における画像認識により案内交差点Cの中央位置Qに対応する位置を特定してもよい。本実施形態の接続線画像Rは頂角が下方に存在する二等辺三角形状であり、頂角から底辺までの高さが長さLとされている。接続線画像Rは案内画像Gよりも幅が狭い線状であればよく、形状は二等辺三角形でなくてもよい。
【0057】
表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、接近度が大きくなるほど接続線画像Rの長さLが短くなるように接続線画像Rを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。表示制御部21cの機能により制御部20は、表示設定データ30bを参照して接続線画像Rの長さを取得する。図3Bは、表示設定データ30bに規定された接続線画像Rの長さL(実線)を示すグラフである。図3Bにおいて、横軸が残距離Sを示し、接続線画像Rの長さLを示す。同図に示すように、表示設定データ30bには、案内交差点Cに対する接近度が大きくなるほど、すなわち案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなるほど、短い接続線画像Rの長さLが規定されている。さらに、残距離Sが小さくなるほど、残距離Sの単位減少量あたりの接続線画像Rの長さLの減少量が増加するように接続線画像Rの長さLが規定されている。制御部20は、残距離Sに応じた接続線画像Rの長さLを取得すると、底辺から頂角までの高さが長さLと一致する接続線画像Rを生成する。
【0058】
表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、接近度が大きくなるほど、前方画像において案内画像Gが案内交差点Cの像に向けて降下するように案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。すなわち、制御部20は、残距離Sが小さくなるほど、案内画像Gの重畳位置を前方画像における低い位置に設定する。具体的に、制御部20は、案内交差点Cの中央位置Qに対応する位置の高さYから接続線画像Rの長さLだけ上方の位置に接続線画像Rの上端の重畳位置を設定し、さらに接続線画像Rの上端の位置を案内画像G(形状画像M、下地画像B)の下端の重畳位置に設定する。残距離Sが小さくなるほど、前方画像における案内交差点Cの像が降下し、かつ、接続線画像Rの長さLが短くなるため、案内画像Gを降下させることができる。以上により、案内画像G(形状画像M、下地画像B)の縦方向における重畳位置が設定できる。
【0059】
残距離Sが小さい図4Bの前方画像の方が、残距離Sが大きい図4Aの前方画像よりも長さLが短い接続線画像Rが重畳され、案内画像Gが低い位置に重畳されている。なお、案内交差点Cに対する残距離Sが小さくなるほど、前方画像における案内交差点Cの像の位置は降下する。従って、残距離Sが閾値Sthの場合に、案内交差点Cの像の位置が最も低くなるとともに、接続線画像Rの長さLが最短となる。この場合でも、消失点Wよりも上方の領域Jにおいて案内画像Gが重畳できるように、接続線画像Rの長さLが設定されている。具体的に、残距離Sが閾値Sthとなる場合における平均形状の交差点の中央位置Qに対応する前方画像内の位置をカメラ44の光学的な仕様に基づいて特定する。そして、当該特定した位置と消失点Wとの縦方向の距離よりも、残距離Sが閾値Sthの場合の接続線画像Rの長さLが長くなるように設定する。これにより、第1表示状態において、案内画像Gを消失点Wよりも上方の領域Jに重畳できる。
【0060】
表示制御部21cの機能により制御部20は、前方画像における接続線画像Rの幅方向の中央線rの傾きが一定に維持されるように接続線画像Rを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。本実施形態において、制御部20は、接続線画像Rの幅方向の中央線rを前方画像の縦方向(前方画像の垂直方向)に維持することにより、接続線画像Rの幅方向の中央線rの傾きを一定に維持する。なお、接続線画像Rの幅方向の中央線rの傾きは、前方画像の縦方向に対して傾斜した状態で一定に維持されてもよい。
【0061】
表示制御部21cの機能により制御部20は、案内画像Gの進入部分Iを前方画像における接続線画像Rの幅方向の中央線rの延長線上に重畳するように案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。すなわち、制御部20は、案内画像Gの進入部分Iの幅方向の中央線iと接続線画像Rの幅方向の中央線rとがともに基準線U(破線)上に位置するように、案内画像Gの横方向の重畳位置を設定する。従って、進入道路の像A1の下端と案内画像Gの下端とが、接続線画像Rの上端と接続する。案内交差点Cの中央位置Qに対応する前方画像内の位置に接続線画像Rの下端が設定されるため、基準線Uは案内交差点Cの中央位置Qに対応する前方画像内の位置を縦方向に通過する。次に、第2表示状態について説明する。
【0062】
(1−3)第2表示状態:
表示制御部21cの機能により制御部20は、第2表示状態において、案内画像Gを前方画像における案内交差点Cの像上に重畳してディスプレイ45に表示させる。すなわち、制御部20は、第2表示状態において、第1表示状態のように接続線画像Rとともに案内画像Gを重畳するのではなく、案内画像Gのみを前方画像に重畳する。以下、第2表示状態における案内画像Gのサイズと重畳位置について説明する。
【0063】
表示制御部21cの機能により制御部20は、第2表示状態において、第1表示状態にて前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させた案内画像Gと相似する案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。より具体的に、制御部20は、第2表示状態において、第1表示状態にて前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させた案内画像Gを拡大した案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。第2表示状態においても、第1表示状態と同様の手法により案内画像Gを生成する。すなわち、制御部20は、残距離Sに応じた案内画像Gの拡大率Xを表示設定データ30b(図3A)から取得し、案内交差点Cにおける進行方向を表す基準案内画像GSを拡大率Xで拡大することにより、案内画像Gを生成する。第1表示状態と第2表示状態とのいずれにおいても、基準案内画像GSを拡大した案内画像Gが生成されるため、第1表示状態における案内画像Gと第2表示状態における案内画像Gとは相似する。
【0064】
また、図3Aに示すように、第2表示状態における案内画像Gの拡大率Xは、第1表示状態における案内画像Gの拡大率Xよりも大きく設定されている。従って、第1表示状態において表示した案内画像Gを拡大した案内画像Gが第2表示状態において表示されることとなる。表示制御部21cの機能により制御部20は、第2表示状態において、接近度が大きくなるほど案内画像Gのサイズが大きくなるように案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させる。図3Aに示すように、案内交差点Cに対する接近度が大きくなるほど、すなわち案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなるほど、案内画像Gの拡大率Xが大きくなる。従って、制御部20は、案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなるほど、案内画像Gのサイズを大きくすることができる。
【0065】
なお、第2表示状態における案内画像Gの拡大率Xは、平均形状の交差点の前方画像における像が残距離Sの減少に応じて拡大していく拡大率の傾きと同じ傾きとなるように設定されている。これにより、残距離Sの減少に応じて前方画像における案内交差点Cの像が大きくなるのに追従するように、案内画像Gのサイズを大きくしていくことができる。拡大率Xの傾きは、第2表示状態よりも第1表示状態の方が緩やかとなっている。これにより、残距離Sが大きい第1表示状態において案内画像Gのサイズが小さくなりすぎることが防止できる。
【0066】
表示制御部21cの機能により制御部20は、第2表示状態において、案内交差点Cの像上に案内画像Gが存在するように、前方画像における案内画像Gの重畳位置を設定する。本実施形態において制御部20は、案内交差点Cの中央位置Qに対応する前方画像内の位置に案内画像Gの屈曲点Tが重なるように、案内画像Gの重畳位置を設定する。図4Cは、第2表示状態における前方画像を示す。同図に示すように、案内交差点Cの像上に案内画像Gが重畳されている。
【0067】
以上の構成において、案内交差点Cまでの残距離Sが閾値Sthよりも大きい段階、すなわち案内交差点Cの像が前方画像において小さい段階において、ディスプレイ45における表示状態が第1表示状態とされる。この第1表示状態において、制御部20は、案内画像Gを案内交差点Cの像上に重畳するのではなく、案内画像Gを前方画像における案内交差点の像以外の部分に重畳する。従って、案内交差点Cに対する残距離Sが閾値Sthよりも大きい段階で、案内交差点Cの像の大きさに制約されることなく案内画像Gの大きさを確保することができる。従って、案内交差点Cにおける進行方向を確実に認識できる。
【0068】
一方、案内交差点Cまでの残距離Sが閾値以下の段階、すなわち案内交差点Cの像が前方画像において大きく視認できる段階において、ディスプレイ45における表示状態が第2表示状態とされる。この第2表示状態において、制御部20は、案内画像Gを前方画像における案内交差点Cの像上に重畳する。従って、前方画像における案内交差点Cの像と案内画像Gとを対比することにより、案内交差点Cにおける進行方向の先に像がある退出道路であることを容易に認識することができる。すなわち、運転者が前方画像または実風景において案内交差点Cの像を明確に認識できる状況において、案内交差点Cにおける退出道路を認識できる。
【0069】
さらに、第1表示状態から第2表示状態へと遷移することにより、案内交差点Cに対する残距離Sに適した表示態様で案内交差点Cの進行方向を案内することができる。第1表示状態においては、案内画像Gを前方画像における案内交差点Cの像上に重畳することはない。従って、案内交差点Cに対する残距離Sが閾値Sthよりも大きい段階において、前方画像における案内交差点Cの像以外の部分に重畳された案内画像Gを迷うことなく視認できる。同様に、第2表示状態においては、案内画像Gを前方画像における案内交差点Cの像以外の部分に重畳することはない。従って、案内交差点Cに対する残距離Sが閾値Sth以下の段階において、前方画像における案内交差点Cの像上に重畳された案内画像Cを迷うことなく視認することができる。
【0070】
さらに、第1表示状態と第2表示状態とのいずれおいても前方画像内において案内交差点Cの像と当該案内交差点Cでの進行方向とを対応付けて認識できる。すなわち、第1表示状態から第2表示状態へと遷移しても、継続して案内交差点Cの位置と当該案内交差点Cでの進行方向とを対応付けて認識できる。さらに、第1表示状態から第2表示状態へと遷移することにより、案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなったことを認識できる。
【0071】
また、第1表示状態における案内画像Gと第2表示状態における案内画像Gとが相似することにより、第1表示状態から第2表示状態に遷移しても案内画像Gが継続して同一の案内交差点Cについて同一の進行方向を案内していることを直感的に認識できる。第2表示状態における案内画像Gを、第1表示状態における案内画像Gを拡大した画像とすることにより、第2表示状態において大きくなった案内交差点Cの像に対して案内画像Gを対比しやすくすることができる。
【0072】
さらに、制御部20は、第1表示状態において、案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなるほど接続線画像Rの長さLを短くする。第1表示状態において、予め接続線画像Rの長さが短くなるため、第1表示状態から第2表示状態へと遷移するタイミングにおいて接続線画像Rが消失する印象を和らげることができる。接続線画像Rの長さLは前方画像の投影面上における一次元の方向で変化するため、前方画像において接続線画像Rの長さLを容易に認識できる。従って、案内交差点Cまでの残距離Sを容易に認識できる。また、案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなることと、接続線画像Rの長さLが短くなることとを観念的に対応付けることができ、接続線画像Rの長さが短くなるほど残距離Sが小さくなっていることを観念的に認識しやすい。さらに、接続線画像Rの長さLを短くすることにより、接続線画像Rによって接続された案内交差点Cの像と案内画像Gとが互いに接近することとなる。従って、案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなるほど、案内交差点Cの像と案内画像Gとの結びつきを強調することができ、案内交差点Cにおいて案内画像Gが表す進行方向へ車両を走行させるタイミングが迫っていること、すなわち案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなっていることを観念的に認識できる。また、接続線画像Rは案内交差点Cの像と案内画像Gとの間に存在するため、案内交差点Cの像と案内画像Gとの間から視線を移動させることなく案内交差点Cまでの残距離Sを認識できる。さらに、図3Bに示すように、残距離Sが小さくなるほど、残距離Sの単位減少量あたりの接続線画像Rの長さLの減少量が増加するため、残距離Sが短くなるほど残距離Sが小さくなっていることを強調して表現できる。
【0073】
また、第1表示状態において案内交差点Cの像よりも上方に重畳された案内画像Gを予め案内交差点Cの像に向けて降下させておけば、第1表示状態から第2表示状態へと遷移するタイミングにおいて案内画像Gが急激に案内交差点Cの像上に降下する印象を和らげることができる。また、第1表示状態において案内画像Gが徐々に降下してから、第2表示状態にて案内画像Gが案内交差点Cの像上に至るため、同一の案内交差点Cの進行方向が継続して案内されていることを直感的に認識できる。また、第1表示状態において残距離Sが小さくなるほど、前方画像における近い位置にて案内交差点Cの像と案内画像Gとが上下に並ぶこととなるため、案内交差点Cの像と案内画像Gが表す進行方向とを対比しやすくすることができる。また、案内画像Gの高さが低くなることと対応付けて、案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなっていることを容易に認識できる。
【0074】
さらに、制御部20は、第1表示状態において、残距離Sが小さくなるほど案内画像Gのサイズが大きくなるように案内画像Gを前方画像に重畳する。これにより、第1表示状態において、案内交差点Cへの残距離Sが小さくなるほど、案内画像Gの注意を強く惹くことができる。さらに、案内画像Gのサイズが大きくなるのと対照的に接続線画像Rの長さLが短くなるため、残距離Sが小さくなっていることをより強く認識できる。また、第2表示状態における案内画像Gを第1表示状態における案内画像Gを拡大した画像とするため、第1表示状態において大きくなってきた案内画像Gのサイズが、第2表示状態への遷移時において引き続き大きくなるようにすることができる。従って、第1表示状態から第2表示状態へとスムーズに遷移することができる。従って、第1表示状態から第2表示状態への遷移時において、同一の案内交差点の進行方向が継続して案内されていることを直感的に認識できる。
【0075】
また、制御部20は、第2表示状態において、残距離Sが小さくなるほど案内画像Gのサイズが大きくなるように案内画像Gを前方画像に重畳する。これにより、第2表示状態において、残距離Sが小さくなるほど案内交差点Cの像のサイズが大きくなるのに追従するように案内画像Gのサイズも大きくしていくことができる。従って、案内交差点Cの像のサイズと、当該案内交差点Cの像上に重畳される案内画像Gのサイズとが乖離して、案内交差点Cの像と案内画像Gが表す進行方向との対比が困難となることが防止できる。
【0076】
また、制御部20は、第1表示状態において、案内交差点Cに接続する接続道路の形状を表す形状画像Mを前方画像に重畳し、案内画像Gが形状画像M上において案内交差点Cへの進入道路と案内交差点Cからの退出道路とを表すように、案内画像Gを前方画像に重畳する。これにより、第1表示状態において、案内交差点Cに接続する接続道路のうちどの道路が進入道路と退出道路であるかを容易に認識できる。
【0077】
さらに、第1表示状態において、案内画像Gを下地画像B上に重畳することにより、前方画像の色に依存することなく下地画像B上の案内画像Gの視認性を確保することができる。一方、第2表示状態において、下地画像Bに重畳することなく案内画像Gを案内交差点Cの像に直接重畳することより、案内画像Gと案内交差点Cの像と直接対比でき、案内画像Gが表す進行方向を認識しやすくすることができる。
【0078】
さらに、制御部20は、第1表示状態において、前方画像における接続線画像Rの幅方向の中央線rの傾きが一定に維持されるように接続線画像Rを前方画像に重畳する。これにより、接続線画像Rの長さLが短くなっていく方向を一定に保つことができるため、接続線画像Rが短くなっていることを容易に認識させることができる。さらに、接続線画像Rが短くなっていく方向を一定に保つため、接続線画像Rが短くなるのにともなって案内交差点Cの像と案内画像Gとを直線的に接近させることができる。これにより、案内交差点Cに対する残距離Sが小さくなっていることを明確に認識できる。さらに、案内画像Gを案内交差点Cの像に向けて直線的に移動させることにより、案内画像Gの移動方向の先に案内交差点Cの像が存在することが認識できる。
【0079】
また、制御部20は、第1表示状態において、進入部分Iを前方画像における接続線画像Rの幅方向の中央線rの延長線上に重畳するように案内画像Gを前方画像に重畳する。これにより、案内交差点Cの像から接続線画像Rを長さ方向に辿ることにより、そのまま案内画像Gの進入部分Iに進入できるような印象を運転者に与えることができる。すなわち、接続線画像Rと案内画像Gの進入部分Iとによって、案内交差点Cでの進入方向d1を連続的に表現できる。さらに、案内交差点Cに対する進入方向d1を進入部分Iとともに表現する接続線画像Rの長さLを残距離Sに応じて短くすることにより、案内交差点Cに進入するまでの距離が短くなっていることを直感的に認識できる。
【0080】
(2)交差点案内処理:
図5は、交差点案内処理のフローチャートである。交差点案内処理は、車両の案内交差点Cに対する残距離Sが更新されるごとに、ディスプレイ45における表示状態を更新する処理である。まず、経路情報取得部21aの機能により制御部20は、経路の情報を取得する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、目的地点に到達するための走行予定経路を地図情報30aに基づいて探索し、当該走行予定経路を示す情報を取得する。次に、進行方向取得部21bの機能により制御部20は、車両の現在位置と現在方位とを取得する(ステップS105)。さらに、表示制御部21cの機能により制御部20は、前方画像を取得する(ステップS110)。
【0081】
次に、表示制御部21cの機能により制御部20は、案内交差点Cにおける進行方向を取得する(ステップS115)。まず、制御部20は、交差点に対する進入方向d1に対して退出方向d2がなす角度である旋回角θが閾値以上である走行予定経路上の交差点のうち、次に車両が走行する交差点を案内交差点Cとして特定する。そして、制御部20は、案内交差点Cへの進入道路の方向と案内交差点Cからの退出道路の方向とに基づいて、案内交差点Cにおける進入方向d1と退出方向d2とを進行方向として取得する。次に、表示制御部21cの機能により制御部20は、案内交差点Cまでの残距離Sを取得する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、車両の現在位置から案内交差点Cの中央位置Qまでの直線距離を残距離Sとして特定する。
【0082】
次に、表示制御部21cの機能により制御部20は、車両が案内交差点Cを通過したか否かを判定する(ステップS125)。具体的に、制御部20は、残距離Sが0である場合、案内交差点Cを通過したと判定する。車両が案内交差点Cを通過したと判定した場合(ステップS125:Y)、制御部20は、ステップS100に戻る。すなわち、制御部20は、すでに車両が案内交差点Cを通過した場合、これまで進行方向を案内していた案内交差点Cについての案内を継続する必要がないとして、次の案内交差点Cについての処理を実行する。
【0083】
一方、車両が案内交差点Cを通過したと判定しなかった場合(ステップS125:N)、表示制御部21cの機能により制御部20は、案内交差点Cまでの残距離Sが閾値Sth以下であるか否かを判定する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、案内交差点Cに対する接近度が閾値以上であるか否かを判定する。そして、案内交差点Cまでの残距離Sが閾値Sth以下であると判定されなかった場合(ステップS130:N)、表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態の表示を行うための準備処理を行う(ステップS135)。以下、第1表示状態の表示を行うための準備処理について説明する。
【0084】
まず、制御部20は、案内交差点Cにおける進行方向に対応する旋回角θが属する旋回角θの区分を特定し、当該旋回角θの区分に対応付けられている基準案内画像GSを基準画像DB30cから取得する。さらに、制御部20は、案内交差点Cにおいて接続している各接続道路の接続角γの区分を特定し、接続道路が接続している接続角γの区分の組み合わせに対応する基準形状画像MSを基準画像DB30cから取得する。また、制御部20は、表示設定データ30bを参照して、残距離Sに対応する案内画像Gの拡大率Xを取得する。そして、制御部20は、当該取得した拡大率Xによって、基準案内画像GSと基準形状画像MSとを拡大することにより、残距離Sに応じた案内画像Gと形状画像Mとを生成する。すなわち、制御部20は、接近度が大きくなるほど(残距離Sが小さくなるほど)、サイズが大きい案内画像Gと形状画像Mとを生成する。そして、制御部20は、案内画像Gと形状画像Mと色が異なる下地画像Bを生成する。
【0085】
さらに、制御部20は、表示設定データ30bを参照して、残距離Sに対応する接続線画像Rの長さLを取得し、当該取得した長さLの接続線画像Rを生成する。すなわち、制御部20は、接近度が大きくなるほど(残距離Sが小さくなるほど)、長さLが短い接続線画像Rを生成する。そして、制御部20は、前方画像における案内交差点Cの中央位置Qに対応する位置を地図情報30aと現在位置と現在方位とカメラ44の光学的な仕様に基づいて特定し、当該案内交差点Cの中央位置Qに対応する位置を縦方向に通過する基準線Uを設定する。そして、制御部20は、基準線U上において、接続線画像Rが案内交差点Cの中央位置Qに対応する位置と案内画像Gの進入部分Iとを接続するように、接続線画像Rと案内画像G(形状画像M、下地画像B)の重畳位置を設定する。
【0086】
そして、制御部20は、ステップS135における準備処理にて生成した接続線画像Rと案内画像Gと形状画像Mと下地画像Bとを、ステップS135における準備処理にて設定した重畳位置に重畳してディスプレイ45に表示させる(ステップS140)。これにより、図4A図4Bに示すように、案内交差点Cの中央位置Qに対応する前方画像内の位置を通過する基準線U上において、案内交差点Cの像と案内画像Gの進入部分Iとを接続線画像Rによって接続することができる。なお、最終的に、案内画像Gと形状画像Mと下地画像Bとが前方画像に重畳されていればよく、重畳順序は上述した例に限られない。
【0087】
一方、案内交差点Cまでの残距離Sが閾値Sth以下であると判定された場合(ステップS130:Y)、表示制御部21cの機能により制御部20は、第2表示状態の表示を行うための準備処理を行う(ステップS145)。すなわち、制御部20は、案内交差点Cにおける旋回角θが属する区分に対応付けられている基準案内画像GSを基準画像DB30cから取得する。さらに、制御部20は、表示設定データ30bを参照して、残距離Sに対応する案内画像Gの拡大率Xを取得する。そして、制御部20は、当該取得した拡大率Xによって、基準案内画像GSを拡大することにより、残距離Sに応じた案内画像Gを生成する。すなわち、制御部20は、接近度が大きくなるほど(残距離Sが小さくなるほど)、サイズが大きい案内画像Gを生成する。さらに、制御部20は、案内交差点Cの中央位置Qに対応する前方画像内の位置に案内画像Gの屈曲点Tが重なるように案内画像Gの重畳位置を設定する。
【0088】
そして、表示制御部21cの機能により制御部20は、案内画像Gを、以上のように設定された重畳位置に重畳してディスプレイ45に表示させる(ステップS150)。これにより、図4Cに示すように、案内画像Gを案内交差点Cの像上に重畳することができる。以上の処理を繰り返して行うことにより、徐々に減少していく残距離Sに応じてディスプレイ45の表示状態を遷移させることができる。
【0089】
(3)他の実施形態:
表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態から第2表示状態へと遷移する前後において、案内画像Gの進入部分Iが前方画像における同一直線上に維持されるように案内画像Gを前方画像に重畳してディスプレイ45に表示させてもよい。制御部20は、第1表示状態となる期間のうち終了時刻を含む所定の維持期間において、案内画像Gの進入部分Iの幅方向の中央線iと接続線画像Rの幅方向の中央線rとがともに重畳される基準線Uの位置を前方画像の横方向の中央線上に維持する。そして、制御部20は、第2表示状態となる期間のうち開始時刻を含む期間において、案内画像Gの進入部分Iの幅方向の中央線iを前方画像の横方向の中央線上に維持された基準線U上に重畳する。これにより、第1表示状態から第2表示状態へと遷移するタイミングにおいて、進入部分Iの幅方向の中央線iを前方画像の横方向の中央線上に維持された基準線U上に維持することができる。車両が案内交差点Cに接近するほど案内交差点Cが車両の前方正面に存在する可能性が高くなるため、常に、前方画像の横方向の中央線上に案内交差点Cの像が存在すると見なすことができる残距離Sの基準値(閾値Sthより大きい)を設定してもよい。そして、第1表示状態において、案内交差点Cまでの残距離Sが基準値以下となった場合に、基準線Uの位置を前方画像の横方向の中央線上に維持する維持期間を開始させ、さらに残距離Sが閾値Sth以下となった場合に基準線Uの位置を維持したまま第2表示状態に遷移させてもよい。これにより、第1表示状態から第2表示状態へと遷移する前後において、案内交差点Cの像上に基準線Uを設定できる。むろん、制御部20は、前方画像の画像認識等に基づいて前方画像の横方向の中央線上に案内交差点Cの像が存在すると判定した場合に、基準線Uの位置を前方画像の横方向の中央線上に維持する維持期間を開始させてもよい。
【0090】
また、第1表示状態の終了時刻において、案内画像Gの進入部分Iが重畳される基準線Uの位置が変化し得る場合、すなわち第1表示状態において維持期間を設けない場合、制御部20は、第1表示状態の終了時刻における基準線Uを取得し、当該取得した基準線U上に第2表示状態の開始時刻における案内画像Gの進入部分Iの幅方向の中央線iを設定してもよい。例えば、制御部20は、残距離Sが閾値Sth以下となり、かつ、第1表示状態における基準線Uが前方画像の横方向の中央線から所定距離以内となった場合に、第1表示状態を終了させ第2表示状態へと遷移させてもよい。ここで、案内交差点Cの中央位置Qに対応する前方画像内の横方向の位置(第1表示状態の基準線U)が、前方画像の横方向の中央線から所定距離以内にある場合、すでに案内交差点Cの中央位置Qは車両の前方正面付近に位置しており、案内交差点Cの像の位置が前方画像の横方向において大きく移動しないと見なすことができる。従って、残距離Sが閾値Sth以下となり、かつ、第1表示状態における基準線Uが前方画像の横方向の中央線から所定距離以内となった場合に、第2表示状態へと遷移させ、当該基準線U(第1表示状態の終了時刻における基準線U)上に案内画像Gの進入部分Iの幅方向の中央線iを設定することにより、案内交差点Cの像上に案内画像Gの進入部分Iの幅方向の中央線iを重畳できる。
【0091】
このように、第1表示状態から第2表示状態へと遷移する前後において、案内画像Gの進入部分Iを前方画像における同一の基準線U上に維持することにより、案内画像Gが同一の案内交差点Cについての進入方向d1を表していることを運転者が認識できる。また、第1表示状態から第2表示状態へと遷移する前後において、案内画像Gの進入部分Iが前方画像内でぶれることにより、運転者が違和感を覚えることが防止できる。特に、第1表示状態から第2表示状態へと遷移する前後において、進入部分Iが前方画像における横方向の中央線である基準線U上に維持されるため、車両が前方正面に進行してそのまま進入部分Iが示す進入方向d1に車両が走行できる印象を与えることができる。
【0092】
表示制御部21cの機能により制御部20は、前方画像における案内交差点Cの像のサイズが所定値以上の場合、接近度が閾値以上であると見なしてもよい。すなわち、制御部20は、前方画像における案内交差点Cの像のサイズが所定値以上である場合、ディスプレイ45の表示状態を第1表示状態から第2表示状態へと遷移させてもよい。例えば、制御部20は、案内交差点Cの像内に案内画像Gが収まるサイズまで案内交差点Cの像が大きくなった場合に、案内交差点Cの像のサイズが所定値以上となると判定してもよい。さらに、制御部20は、案内交差点Cの像のサイズが案内画像Gのサイズに対して所定比率となる場合に、前方画像における案内交差点Cの像のサイズが所定値以上となると判定してもよい。これにより、案内交差点Cの像のサイズが案内画像Gに対して小さすぎる状態で、案内画像Gが案内交差点Cの像上に重畳されることが防止できる。制御部20は、案内交差点Cの像のサイズを前方画像の画像認識により特定してもよい。例えば、制御部20は、案内交差点Cの手前にて車両を停止させるために形成された停止線の像を前方画像にて画像認識し、当該画像認識した停止線の像の位置に基づいて案内交差点Cの像のサイズを特定してもよい。すなわち、制御部20は、案内交差点Cへの進入道路上に形成された案内交差点Cのための停止線の像の縦方向の位置と、案内交差点Cに接続する直進道路の対向道路上に形成された案内交差点Cのための停止線の像の縦方向の位置との間の距離が案内交差点Cの像の縦方向のサイズであると特定してもよい。対向道路とは、案内交差点Cに接続する直進道路とは反対方向に車両が走行する道路であって、直進道路と幅方向に並んで設けられる道路である(図2Aにて不図示)。
【0093】
表示制御部21cの機能により制御部20は、案内交差点Cの形状に基づいて残距離Sの閾値Sthを設定してもよい。例えば、制御部20は、地図情報30aに基づいて案内交差点Cの大きさを特定し、当該案内交差点Cの大きさが平均形状の交差点の大きさよりも大きい場合に、残距離Sの閾値Sthを上方修正してもよい。反対に、制御部20は、案内交差点Cの大きさが平均形状の交差点の大きさよりも小さい場合に、残距離Sの閾値Sthを下方修正してもよい。これにより、前方画像における案内交差点Cの像のサイズが大きい場合に早期に第2表示状態へと遷移することができるとともに、前方画像における案内交差点Cの像のサイズが小さい場合に第2表示状態へと遷移するタイミングを遅らせることができる。制御部20は、案内交差点C以外の交差点の像が前方画像において存在しないと見なす残距離Sを閾値Sthとして設定してもよい。案内交差点C以外の交差点の像が前方画像において存在しないと見なす残距離Sの閾値Sthは、地図情報30aのリンクデータが示すリンクの長さの最小値に基づいて設定されてもよい。
【0094】
表示制御部21cの機能により制御部20は、車両と案内交差点Cとの間の道路上に案内対象でない交差点が存在する場合に、車両と案内交差点Cとの間の道路上に案内対象でない交差点が存在しない場合よりも残距離Sの閾値Sthを小さく設定してもよい。すなわち、制御部20は、走行予定経路上において案内交差点Cよりも先に車両が走行する案内交差点C以外の交差点が存在するか否かを判定し、案内交差点C以外の交差点が存在する場合には閾値Sthを小さく補正してもよい。これにより、案内交差点Cの像と案内対象でない交差点の像とが前方画像において紛らわしい場合に、第1表示状態から第2表示状態への遷移を遅らせることができる。すなわち、案内交差点Cの像と案内対象でない交差点の像とが前方画像において明瞭に区別できる程度に、車両が案内交差点Cに接近した段階で、第2表示状態へと遷移することができる。第1表示状態において、接続線画像R(下端の頂角)によって明確に案内交差点Cの像を表すことができるため、案内交差点Cの像と案内対象でない交差点の像とが前方画像において紛らわしい場合でも、案内交差点Cの誤認が防止できる。
【0095】
また、案内交差点Cの像と案内対象でない交差点の像とが前方画像において紛らわしい場合に、制御部20は、第2表示状態において、図3Aの拡大率Xによって特定される本来のサイズよりもサイズを小さくした案内画像Gを案内交差点Cの像に重畳させてもよい。第2表示状態において、案内画像Gのサイズが小さいほど明確に案内交差点Cの像を表すことができるため、案内交差点の誤認が防止できる。
【0096】
さらに、表示制御部21cの機能により制御部20は、車両と案内交差点Cとの間の道路上に障害物が存在する場合に、車両と案内交差点Cとの間の道路上に障害物が存在しない場合よりも残距離Sの閾値Sthを小さく設定してもよい。例えば、制御部20は、前方画像において案内交差点Cの像が画像認識できなかった場合には、車両と案内交差点Cとの間の道路上に障害物が存在するとして、残距離Sの閾値Sthを小さく補正してもよい。これにより、案内交差点Cの像が障害物の像に遮蔽される場合に、第1表示状態から第2表示状態への遷移を遅らせることができる。ここで、障害物による案内交差点Cの像の遮蔽率が高い場合、第2表示状態に遷移しても、案内交差点Cの像と案内画像Gとを対比して進行方向を認識することが困難となる。これに対して、第1表示状態から第2表示状態への遷移を遅らせることにより、第1表示状態において案内交差点Cの像外に重畳した案内画像Gにより進行方向が理解できる状態を維持することができる。そして、障害物による案内交差点Cの像の遮蔽率が低くなり、案内交差点Cの像と案内画像Gとが対比可能となった段階で、第2表示状態に遷移することができる。案内交差点Cまでの残距離Sが小さくなるほど、前方画像における案内交差点Cの像のサイズが大きくなり、障害物による案内交差点Cの像の遮蔽率が低くなる可能性が高くなるからである。
【0097】
表示制御部21cの機能により制御部20は、車両の現在位置と案内交差点Cの中央位置Qまでの道なりの距離を残距離Sとして特定してもよい。さらに、制御部20は、車両の現在位置から案内交差点Cと進入道路との境界線までの距離を残距離Sとして特定してもよい。案内交差点Cと進入道路との境界線の位置は、案内交差点Cにおいて進入道路に交差する接続道路の幅に基づいて特定できる。進入道路に交差する接続道路の幅は、地図情報30aのリンクデータに基づいて特定できる。さらに、制御部20は、前方画像内における案内交差点C(中央位置や進入道路との境界線の位置)の像の位置を前方画像の画像認識によって特定し、当該案内交差点Cの像の位置に基づいて残距離Sを特定してもよい。
【0098】
表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、案内画像Gと接続線画像Rとがともに前方画像に重畳されている状態を形成すればよく、案内画像Gと接続線画像Rとを結合した画像を一括して前方画像に重畳してもよい。接続線画像Rは、案内交差点Cの像と案内画像Gとを接続している印象を運転者に与えればよく、必ずしも接続線画像Rの長さ方向の両端のそれぞれが案内交差点Cの像上と案内画像G上に存在しなくてもよい。また、表示制御部21cの機能により制御部20は、第1表示状態において、少なくとも案内画像Gと接続線画像Rとを重畳すればよく、必ずしも形状画像Mと下地画像Bとを重畳しなくてもよい。さらに、制御部20は、第1表示状態と第2表示状態との少なくとも一方において残距離Sが小さくなるほど案内画像Gのサイズを大きくしなくてもよい。さらに、第1表示状態から第2表示状態へと遷移するタイミングにおいて、案内画像Gが互いに相似しない画像に切り替わってもよい。なお、案内画像Gは退出道路が認識できる画像であればよく、必ずしも進入部分Iを含まなくてもよい。
【0099】
ここで、案内交差点Cの像とは、案内交差点Cの路面の像を意味する。図2Eは、4個の接続道路が接続している案内交差点Cの路面の例を示す。案内交差点Cの路面には、少なくとも案内交差点Cに接続する接続道路が重なっている領域の路面である交差点内路面C1(右肩上がりハッチング)が含まれていればよく、さらに接続道路の路面のうち交差点内路面C1から所定距離k以内の領域の路面である交差点付近路面C2(右肩下がりハッチング)が含まれていてもよい。すなわち、制御部20は、第2表示状態において、案内画像Gを交差点内路面C1から所定距離k以内の交差点付近路面C2のいずれかの像上に重畳してもよい。交差点内路面C1から所定距離k以内の交差点付近路面C2の像上であれば、交差点内路面C1の像上に案内画像Gが重畳されなくても、案内画像Gと案内交差点Cの像とを対比することができる。例えば案内画像Gを案内交差点Cへの進入道路における交差点付近路面C2の像上に重畳すれば、交差点の手前の路面上において退出方向d2を案内する道路標識(矢印)のような表現が実現できる。
【0100】
前記実施形態において、前方画像は、地図情報30aに基づいて前方風景を描画することにより得られてもよい。地図情報30aに基づいて前方風景を描画する場合、前方画像と同時に案内画像Gを描画するようにしてもよい。ここで、案内画像Gを前方風景に重畳してディスプレイ45に表示させるとは、案内画像Gをディスプレイ45に表示させることにより、結果的に案内画像Gを前方風景に重畳することであってもよい。例えば、ディスプレイ45は、少なくとも案内画像Gを表示すればよく、前方画像を表示しなくてもよい。すなわち、ディスプレイ45は、案内画像Gを、車両のフロントガラス越しに運転者が視認する現実の前方風景に重畳してもよい。例えば、ディスプレイ45を半透過型とし、ディスプレイ45から現実の前方風景が透けて見えるようにすることにより、案内画像Gを現実の前方風景に重畳してもよい。
【符号の説明】
【0101】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…交差点案内プログラム、21a…経路情報取得部、21b…進行方向取得部、21c…表示制御部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…表示設定データ、30c…基準画像DB、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…カメラ、45…ディスプレイ、G…案内画像、C…案内交差点、I…進入部分、M…形状画像、Q…中央位置、R…接続線画像、S…残距離。
図1
図2
図3
図4
図5