特許第6015235号(P6015235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6015235光電気複合ケーブル、光コネクタ用カバーおよび接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015235
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】光電気複合ケーブル、光コネクタ用カバーおよび接続方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/38 20060101AFI20161013BHJP
   G02B 6/40 20060101ALI20161013BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20161013BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20161013BHJP
   H01B 11/22 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   G02B6/38
   G02B6/40
   G02B6/44 356
   H01R13/46 D
   H01B11/22
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-184450(P2012-184450)
(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-41299(P2014-41299A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島津 貴之
(72)【発明者】
【氏名】井上 亨
(72)【発明者】
【氏名】田村 充章
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−045936(JP,A)
【文献】 特開2005−227330(JP,A)
【文献】 特開2011−075814(JP,A)
【文献】 特開2005−181419(JP,A)
【文献】 特開2008−253626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255−6/27
G02B 6/30− 6/34
G02B 6/36− 6/43
H01R 12/00−12/91
H01R 13/40−13/72
H01R 24/00−24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の光ケーブルと、
一対の電気ケーブルと、
一対の前記光ケーブルを互いに光接続する一対の光コネクタと、
一対の前記電気ケーブルを互いに電気接続する一対の電気コネクタと、
一対の前記光コネクタの接続状態を維持する弾性変形可能なカバーと、
前記光コネクタおよび前記電気コネクタを収容するハウジングと、を有し、
前記カバーは、接続された一対の前記光コネクタが収容される収容空間を有し、
前記収容空間には、一対の前記光コネクタの接続方向と交差する方向に開口する開口部が設けられ、
前記開口部には、前記収容空間に収容された前記光コネクタの脱出を防ぐ突起が設けられ、
前記カバーは、前記収容空間を形成する側壁のうち前記収容空間に収容した前記光コネクタの接続方向に対向する部分に形成された側壁スリットを有し、
接続された一対の前記光コネクタは、前記突起より前記収容空間の内側に収容されているとともに、前記カバーの弾性復元力により前記接続方向に沿う方向および前記接続方向に交差する方向に挟まれて前記収容空間内に保持されていることを特徴とする光電気複合ケーブル。
【請求項2】
接続された一対の前記光コネクタが収容された前記収容空間のうち、前記開口部と前記光コネクタの一面とで形成される空間に、前記電気コネクタが搭載されていることを特徴とする請求項1に記載の光電気複合ケーブル。
【請求項3】
光電気複合ケーブルの一対の光コネクタを接続状態に維持する弾性変形可能なカバーであって、
前記カバーは、接続された一対の前記光コネクタが収容される収容空間を有し、
前記収容空間には、一対の前記光コネクタの接続方向と交差する方向に開口する開口部が設けられ、
前記開口部には、前記収容空間に収容された前記光コネクタの脱出を防ぐ突起が設けられ、
前記カバーは、前記収容空間を形成する側壁のうち前記収容空間に収容した前記光コネクタの接続方向に対向する部分に形成された側壁スリットを有し、
接続された一対の前記光コネクタは、前記突起より前記収容空間の内側に収容されるとともに、前記カバーの弾性復元力により前記接続方向に沿う方向および前記接続方向に交差する方向に挟まれて前記収容空間内に保持されることを特徴とする光コネクタ用カバー。
【請求項4】
接続された一対の前記光コネクタが収容された前記収容空間のうち、前記開口部と前記光コネクタの一面とで空間が形成されており、
光電気複合ケーブルの一対の電気コネクタは、前記空間に搭載可能であることを特徴とする請求項3に記載の光コネクタ用カバー。
【請求項5】
前記カバーは、前記接続方向と交差する方向に延びる横スリットを有していることを特徴とする請求項3または4に記載の光コネクタ用カバー。
【請求項6】
前記カバーは、前記開口部と向かい合う底壁を有し、
前記底壁には、前記接続方向に沿う方向に延びる縦スリットが設けられていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の光コネクタ用カバー。
【請求項7】
前記側壁スリットからは、前記光コネクタから延びる光ケーブルが外部へ延出されていることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の光コネクタ用カバー。
【請求項8】
前記カバーは、樹脂の一体成形により形成されていることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の光コネクタ用カバー。
【請求項9】
光電気複合ケーブルの一対の光コネクタ同士を接続してカバーを装着することで、接続された一対の前記光コネクタ同士を接続状態に保持する接続方法であって、
前記カバーは、接続された一対の前記光コネクタが収容される収容空間と、前記収容空間の一面が開口した開口部と、前記開口部に設けられ前記収容空間に収容した前記光コネクタの脱出を防ぐ突起と、前記収容空間を形成する側壁のうち前記収容空間に収容した前記光コネクタの接続方向に対向する部分に形成された側壁スリットとを有し、
前記カバーを前記側壁スリットの幅を拡げる方向に弾性変形させることで、前記開口部を拡げ、
拡げられた前記開口部から、接続された一対の前記光コネクタをその接続方向に交差する方向に前記収容空間に挿入し、
前記カバーの弾性変形を戻して、前記突起より前記収容空間の内側に前記光コネクタを収容するとともに、接続された一対の前記光コネクタを、前記カバーの弾性復元力により前記接続方向に沿う方向および前記接続方向に交差する方向に挟んで前記収容空間内に保持することを特徴とする接続方法。
【請求項10】
接続された一対の前記光コネクタが収容された前記収容空間のうち、前記開口部と前記光コネクタの一面とで空間が形成されており、
光電気複合ケーブルの一対の電気コネクタ同士を接続して、接続された一対の前記電気コネクタを前記空間に搭載することを特徴とする、請求項9に記載の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気複合ケーブル、光コネクタ用カバーおよび接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルを接続する光コネクタを突き合わせた状態で保持する光コネクタ保持器として、特許文献1のものが知られている。特許文献1は光コネクタが丁度収まる収容空間を有する箱型のホルダ本体と、このホルダ本体を覆うためのスライドカバーとを備えた光コネクタ保持器を開示している。この光コネクタ保持器では、スライドカバーを光ケーブルの接続方向にずらしてホルダ本体を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−227330
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、映像や音声などのデジタルデータ等を高速伝送するための通信ケーブルとして、例えばHDMI(High-Definition Multimedia Interface)ケーブルが知られている。このようなHDMIケーブルとして、映像データや音声データなどの高速度の信号を伝送する光ケーブルと、機器の制御信号などの低速度の信号を伝送する電線とを備えた光電気複合ケーブルが用いられている。
【0005】
特許文献1の光コネクタ保持器を光電気複合ケーブルに適用することが考えられる。ところが、光電気複合ケーブルからは光ケーブルのほかに電気ケーブルも密集した状態で延びているため、複数本の光ケーブルや電気ケーブルを避けてスライドカバーを接続方向にずらしてホルダ本体に被せることは容易ではなく、現実的では無い。
【0006】
そこで本発明は、簡単に取り付けることのできる光コネクタ用カバー、これを用いた光電気複合ケーブル、および接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の光電気複合ケーブルは、
一対の光ケーブルと、
一対の電気ケーブルと、
一対の前記光ケーブルを互いに光接続する一対の光コネクタと、
一対の前記電気ケーブルを互いに電気接続する一対の電気コネクタと、
一対の前記光コネクタの接続状態を維持する弾性変形可能なカバーと、
前記光コネクタおよび前記電気コネクタを収容するハウジングと、を有し、
前記カバーは、接続された一対の前記光コネクタが収容される収容空間を有し、
前記収容空間には、一対の前記光コネクタの接続方向と交差する方向に開口する開口部が設けられ、
前記開口部には、前記収容空間に収容された前記光コネクタの脱出を防ぐ突起が設けられ、
前記カバーは、前記収容空間を形成する側壁のうち前記収容空間に収容した前記光コネクタの接続方向に対向する部分に形成されたスリットを有し、
接続された一対の前記光コネクタは、前記突起より前記収容空間の内側に収容されているとともに、前記カバーの弾性復元力により前記接続方向に沿う方向および前記接続方向に交差する方向に挟まれて前記収容空間内に保持されていることを特徴とする。
【0008】
上記本発明の光電気複合ケーブルにおいて、
接続された一対の前記光コネクタが収容された前記収容空間のうち、前記開口部と前記光コネクタの一面とで形成される空間に、前記電気コネクタが搭載されていてもよい。
【0009】
上記課題を解決することのできる本発明の光コネクタ用カバーは、
光電気複合ケーブルの一対の光コネクタを接続状態に維持する弾性変形可能なカバーであって、
前記カバーは、接続された一対の前記光コネクタが収容される収容空間を有し、
前記収容空間には、一対の前記光コネクタの接続方向と交差する方向に開口する開口部が設けられ、
前記開口部には、前記収容空間に収容された前記光コネクタの脱出を防ぐ突起が設けられ、
前記カバーは、前記収容空間を形成する側壁のうち前記収容空間に収容した前記光コネクタの接続方向に対向する部分に形成されたスリットを有し、
接続された一対の前記光コネクタは、前記突起より前記収容空間の内側に収容されるとともに、前記カバーの弾性復元力により前記接続方向に沿う方向および前記接続方向に交差する方向に挟まれて前記収容空間内に保持されることを特徴とする。
【0010】
上記本発明の光コネクタ用カバーにおいて、
接続された一対の前記光コネクタが収容された前記収容空間のうち、前記開口部と前記光コネクタの一面とで空間が形成されており、
光電気複合ケーブルの一対の電気コネクタは、前記空間に搭載可能としてもよい。
【0011】
上記本発明の光コネクタ用カバーにおいて、
前記カバーは、前記接続方向と交差する方向に延びる横スリットを有していてもよい。
【0012】
上記本発明の光コネクタ用カバーにおいて、
前記カバーは、前記開口部と向かい合う底壁を有し、
前記底壁には、前記接続方向に沿う方向に延びる縦スリットが設けられていてもよい。
【0013】
上記本発明の光コネクタ用カバーにおいて、
前記縦スリットからは、前記光コネクタから延びる光ケーブルが外部へ延出されていてもよい。
【0014】
上記本発明の光コネクタ用カバーにおいて、
前記カバーは、樹脂の一体成形により形成されていてもよい。
【0015】
上記課題を解決することのできる本発明の接続方法は、
光電気複合ケーブルの一対の光コネクタ同士を接続してカバーを装着することで、接続された一対の前記光コネクタ同士を接続状態に保持する接続方法であって、
前記カバーは、接続された一対の前記光コネクタが収容される収容空間と、前記収容空間の一面が開口した開口部と、前記開口部に設けられ前記収容空間に収容した前記光コネクタの脱出を防ぐ突起と、前記収容空間を形成する側壁のうち前記収容空間に収容した前記光コネクタの接続方向に対向する部分に形成されたスリットとを有し、
前記カバーを前記スリットの幅を拡げる方向に弾性変形させることで、前記開口部を拡げ、
拡げられた前記開口部から、接続された一対の前記光コネクタをその接続方向に交差する方向に前記収容空間に挿入し、
前記カバーの弾性変形を戻して、前記突起より前記収容空間の内側に前記光コネクタを収容するとともに、接続された一対の前記光コネクタを、前記カバーの弾性復元力により前記接続方向に沿う方向および前記接続方向に交差する方向に挟んで前記収容空間内に保持することを特徴とする。
【0016】
上記本発明の接続方法において、
上記の接続方法により光コネクタを接続することにより、
接続された一対の前記光コネクタが収容された前記収容空間のうち、前記開口部と前記光コネクタの一面とで空間が形成されており、
光電気複合ケーブルの一対の電気コネクタ同士を接続して、接続された一対の前記電気コネクタを前記空間に搭載してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光コネクタ用カバー、光電気複合ケーブルおよび接続方法によれば、簡単な構成により光ケーブルの光接続を安定的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る光電気複合ケーブルを示す概略図である。
図2図1のコネクタ部を拡大して示す側断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るカバーの斜視図である。
図4図3のカバーを光コネクタに取り付けた様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る光電気複合ケーブルの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、実施形態に係る光電気複合ケーブルを示す概略図である。
図1に示したように、本実施形態に係る光電気複合ケーブル2は、一対の外部機器1a,1bを接続するために用いられる。一対の外部機器1a,1bからはそれぞれ機器側光電気複合ケーブル2a,2bが延出されている。この機器側光電気複合ケーブル2a,2bが、それぞれの接続端部に設けられたコネクタ部3a,3bを介して、接続用光電気複合ケーブル2cに接続されている。なお、機器側光電気複合ケーブル2a,2bには光電変換部が設けられていても良い。その場合には、外部機器1a,1bと電気コネクタのみで接続可能となる。
【0021】
なお、本発明でいう光電気複合ケーブル2とは、接続側光電気複合ケーブル2cと、少なくとも一方の機器側光電気複合ケーブル2a,2bと、対応する少なくとも一方のコネクタ部3a,3bを含むものを指す。
【0022】
このような光電気複合ケーブル2は、例えば、商業ステーションなどに設置された大型ディスプレイと、この大型ディスプレイに表示する情報を送信するサーバとを接続するケーブルとして用いられる。このような用途では、大型ディスプレイとサーバとの距離が比較的長い。このため、接続用光電気複合ケーブル2cを、外部機器1a,1bとは別に用意し、接続用光電気複合ケーブル2cのみを配線経路に沿って敷設し、その後、接続用光電気複合ケーブル2cの両接続端部に機器側光電気複合ケーブル2a,2bを介して外部機器1a,1bを接続すると、配線作業が容易である。
【0023】
図2は、一方のコネクタ部3aを拡大して示す側断面図である。なお、コネクタ部3bもコネクタ部3aと同様の構成であるので、その説明は省略する。図示したように、光電気複合ケーブル2は、複数本の光ファイバ心線が束ねられた光ケーブル5と、複数の電気ケーブル6とを備え、光ケーブル5と電気ケーブル6とがまとめて樹脂製の外被4により覆われて保護されている。
【0024】
コネクタ部3aは、内部を保護するためのハウジング9を備えている。ハウジング9には、光ケーブル5および電気ケーブル6を覆う外被4が気密に取り付けられている。コネクタ部3aの内部には、光ケーブル5の接続側端部に設けられた光コネクタ7a,7bと、電気ケーブル6の接続側端部に設けられた電気コネクタ8a,8bとが収容されている。
【0025】
電気コネクタ8a,8bとしては、周知の構造のものを採用することができる。例えば、一方の電気ケーブル6の接続側端部には電気コネクタ8aとしてオス端子を設け、他方の電気ケーブル6の接続側端部には電気コネクタ8bとしてメス端子を設け、オス端子とメス端子の嵌合により、複数組の電気ケーブル6,6の電気接続を維持することができる。
【0026】
光コネクタ7a,7bには、その接続側端面に光ファイバ心線の端面が露出された状態で光ケーブル5が取り付けられている。一対の光コネクタ7a,7bは、ガイドピンなどを用いて互いの光ファイバ心線が向かい合うように位置合わせされている。このように互いの光ファイバ心線が位置合わせされた状態で、光コネクタ7a,7bの接続側端面同士を突き合わせることにより、機器側光電気複合ケーブル2aの光ケーブル5と接続側光電気複合ケーブル2cの光ケーブル5とが光接続されている。このとき、光接続されている一対の光ファイバ心線の端面同士を互いに突き合わせるような外力を作用させつづけていないと、光接続が安定的に維持されない。
【0027】
そこで本実施形態に係る光電気複合ケーブル2においては、弾性変形可能なカバー10の弾性復元力により、一対の光コネクタ7a,7bの接続側端面同士を押し付け合い、光ケーブル5の光接続を維持している。図3および図4は、カバー10の拡大斜視図である。なお、図3はカバー10のみを示し、図4はカバー10が一対の光コネクタ7a,7bに取り付けられた様子を示している。
【0028】
図3および図4に示すように、カバー10は、箱側形状の弾性部材により形成されている。弾性部材としては、適度な弾性を有するウレタンゴムなどを採用することができる。
【0029】
カバー10の内部には、上述した一対の光コネクタ7a,7bが接続された状態で収容される収容空間Sが形成されている。このカバー10の上面には開口部11が形成されており、収容空間Sはこの開口部11を介して上方に開口している。なお、ここでは図3に示した姿勢に基づき、開口部11側を上方、その反対側を下方と呼び、後述する接続方向Cを縦方向、接続方向Cと交差する方向を横方向と呼ぶことがあるが、カバー10の使用時の姿勢はこれに限られない。
【0030】
図3に示すようにカバー10に外力が作用しない状態での収容空間Sの接続方向C(図4の矢印C方向)の長さL1は、図4に示す光接続された状態の一対の光コネクタ7a,7bの接続方向Cの長さL2よりもわずかに小さく設定されている。また、カバー10に外力が作用しない状態での図3に示す収容空間Sの接続方向Cに直交する方向の幅W1は、図4に示す光接続された状態の一対の一対の光コネクタ7a,7bの接続方向Cに直交する方向の幅W2よりもわずかに小さく設定されている。したがって、カバー10が接続方向Cおよび接続方向Cに直交する方向に若干拡げられた状態で、光コネクタ7a,7bは収容空間Sに収容されている。
【0031】
またカバー10は、開口部11と向かい合う底壁12と、底壁12から立ち上がり収容空間Sを側方から囲む第一の側壁13と第二の側壁14とを備えている。第一の側壁13は、光ケーブル5の接続方向Cに互いに向かい合う一対の側壁である。また、第二の側壁14は、この接続方向Cに沿って延びて接続方向Cと交差する方向(図示の例では直交する方向)に互いに向かい合う一対の側壁である。
【0032】
底壁12には、第二の側壁14に近接した位置に接続方向Cに延びる縦スリット15と、第一の側壁13に近接した位置に接続方向Cと交差する方向に延びる横スリット16が設けられている。また、第一の側壁13には、上方に開口して下方へ延びるスリット17が設けられている。図4に示したように、このスリット17からは、光コネクタ7a,7bから延びる光ケーブル5が外部に向けて延出されている。
【0033】
また、第二の側壁14の開口部11側(上方側)には、互いに向かい合うように接続方向Cと交差する方向へ突出する一対の突起18が設けられている。この突起18は、図4に示すように、収容空間S内に光コネクタ7a,7bを収容した際に、光コネクタ7a,7bの上面の一部を覆うように突出する。これにより、収容空間Sに収容された一対の光コネクタ7a,7bが開口部11から外部に脱出することを防止している。
【0034】
このように、本実施形態に係るカバー10によれば、カバー10に作用する弾性復元力によって光コネクタ7a,7bが縦方向および横方向それぞれでカバー10の内壁に挟まれて、収容空間S内に保持され、特に光コネクタ7a,7b同士が接続方向Cに押し付けられているので、簡単な構成により一対の光ケーブル5,5の光接続を安定的に維持することができる。また、突起18によって光コネクタ7a,7bが収容空間Sから外部に脱出することを防止している。
【0035】
また、図2および4に示したように、接続された一対の光コネクタ7a,7bが収容された収容空間Sのうち、開口部11と光コネクタ7a,7bの上面とで形成される空間Eに、電気コネクタ8a,8bが搭載されている。これにより、カバー10の開口部11を形成する壁13,14及び突起18が電気コネクタ8a,8bの移動を阻止し、カバー10に安定的に電気コネクタ8a,8bが搭載される。また、電気コネクタ8a,8bを光コネクタ7a,7bに接するように配置できるので、ハウジング9の上下方向の寸法が、カバー10の厚みの分だけ小さくすることができる。
【0036】
なお、図示していないが、電気コネクタ8a,8bを搭載する空間Eをカバー10の下部にも設けても良い。光コネクタ7a,7bの上下に電気コネクタ8a,8bを接するように、電気コネクタ8a,8bをカバー10に対して取り付けることができる。これにより、小さな空間に整然と光コネクタ7a,7bおよび電気コネクタ8a,8bを収容することができる。
【0037】
次に、上述したような光コネクタ7a,7bの接続方法を説明する。機器側光電気複合ケーブル2aと接続側光電気複合ケーブル2cとを接続するには、光コネクタ7a,7b同士を突き合わせて固定することにより、光ケーブル5,5同士を光接続する。なお、各電気コネクタ8a,8b同士を接続させて固定することにより、各電気ケーブル6,6同士を電気的に接続する。電気コネクタ8a,8bは、上述したように公知のものなので、電気コネクタ8a,8b同士の接続方法については説明を省略する。また、機器側光電気複合ケーブル2bと接続側光電気複合ケーブル2cとを接続する方法も、機器側光電気複合ケーブル2aと接続側光電気複合ケーブル2cとを接続する方法と同様である。
【0038】
光ケーブル5,5同士は、以下に詳述するように、光コネクタ7a,7bをカバー10に取り付けることにより、光接続が維持される。まず、例えば指で第二の側壁14を矢印Aで示すように外側へ開き、スリット17を幅方向に拡げるように、すなわち開口部11を横方向へ拡げるようにカバー10を弾性変形させる。
このとき、接続方向Cに延びる縦スリット15が設けられているので、カバー10が変形しやすく、開口部11を横方向へ大きく拡げることができる。また、横スリット16によって、図3の矢印B方向に撓みやすくされており、第一の側壁13が縦方向に拡がるようにカバー10が弾性変形しやすくされている。これにより、開口部11を縦方向にも拡げて光コネクタ7a,7bを収容空間Sに挿入しやすくされている。
【0039】
次に、カバー10が弾性変形した状態を維持したまま、光コネクタ7a,7bの接続側端部同士を突き合わせて光ケーブル5,5同士を光接続させた状態で、拡げた開口部11から一対の光コネクタ7a,7bを接続方向Cに交差する方向に収容空間Sに挿入する。このとき、光コネクタ7a,7bから延出する光ケーブル5をスリット17から外部に延出させるように配置する。
【0040】
一対の光コネクタ7a,7bを収容空間S内に配置したら、例えば第二の側壁14を押えていた指を離すなどして、カバー10に負荷していた外力を解除し、カバー10に弾性変形から復元する復元力を作用させる。すると、収容空間Sの接続方向長さL1は、収容している一対の光コネクタ7a,7bの接続方向長さL2よりも短いので、一対の第一の側壁13は接続方向Cに沿う方向にわずかに拡がる。すると、カバー10の弾性変形から戻ろうとする力により、光コネクタ7a,7bの接続端面同士を突き合わせるように、一対の第一の側壁13は光コネクタ7a,7bを押圧する。つまり、接続方向Cにおいて、カバー10の弾性変形により生じる復元力が、一対の光コネクタ7a,7bを互いに接続方向Cに押し付けあうように作用する。
【0041】
また、収容空間Sの幅W1は、収容している光コネクタ7a,7bの幅W2よりも短いので、収容空間Sに光コネクタ7a,7bを収容した状態において、一対の第二の側壁14は接続方向Cと直交する方向にわずかに広がる。したがって、カバー10に生じた復元力により、一対の第二の側壁14が光コネクタ7a,7bの側面(接続端面と交差する面)を横方向から押圧し、光コネクタ7a,7bを収容空間S内に保持する。つまり、接続方向Cと交差する方向において、カバー10の弾性変形により生じる復元力によって一対の光ファイバが収容空間S内に保持される。
【0042】
さらに、カバー10が元の形状に戻ることで、突起18が光コネクタ7a,7bの上面で横方向に突き出し、光コネクタ7a,7bが収容空間Sから外部に脱出することを防止する。
【0043】
このように、本実施形態に係る光電気複合ケーブル2の接続方法によれば、開口部11を拡げるようにカバー10を弾性変形させて収容空間Sに光コネクタ7a,7bを挿入した後に弾性変形を戻して復元力を作用させるという簡単な操作で、光コネクタ7a,7bにカバー10を取り付けることができる。このとき、カバー10に設けられたスリット17の幅を広げることで、開口部11を横方向に拡げるようにカバー10を弾性変形させやすい。これにより、ハウジング9の内部に光コネクタ7a,7bと電気コネクタ8a,8bとが配置されるような狭い空間でも、光コネクタ7a,7b同士を確実に光接続することができ、またこの光接続状態を良好に維持することができる。
【0044】
またこのとき、収容空間Sの接続方向長さL1が一対の光コネクタ7a,7bの接続方向長さL2よりも短いので、カバー10の復元力によって一対の光コネクタ7a,7bの接続端面同士を押し付けあうことができる。これにより、簡単な操作で安定的に一対の光ケーブル5の光接続を維持することができる。
【0045】
さらに、収容空間Sに収容された光コネクタ7a,7bの上面に突出する突起18により、光コネクタ7a,7bが開口部11を介して外部に脱出することが防止されている。これにより、より確実に光コネクタ7a,7b同士の光接続が維持されている。
【0046】
なお、光コネクタ同士を突き合わせるために、特許文献1のように、金属バネを光コネクタ保持器に組み込む場合には、光コネクタ保持器や金属バネが小さい部品であるため、その組み付け作業性が悪い。また、金属バネを取り付ける際に専用治具が必要になるので、組み立てコストが嵩む。さらに、金属バネの取付時に光ファイバを損傷する虞がある。
しかし本実施形態に係る光コネクタの接続方法によれば、カバー10全体が弾性体で形成されているので金属バネなどを取り付ける作業がなく、また組み立て時に専用の治具が不要であり、組み立て作業性がよい。また、カバー10が光ケーブル5中の光ファイバに損傷を与える虞が無い。
【0047】
なお、底壁12を厚く形成した場合であっても、縦スリット15や横スリット16が底壁12に設けられていることにより、底壁12の剛性が低減され、開口部11を横方向や縦方向に拡げることが容易とされている。
【0048】
なお、スリット17が開口部11側に開口しているため、光コネクタ7a,7bを収容空間Sに挿入する際、光ケーブル5をこのスリット17を介して外部に延出させると、容易に挿入することができる。
【0049】
また、図3に示したように、本実施形態においては、カバー10に接続方向Cと交差する方向に延びる横スリット16が設けられている。これにより、収容空間Sに光コネクタ7a,7bを押し込む際に、カバー10が図3の矢印B方向に撓みやすくなり、光コネクタ7a,7bを押し込みやすくなる。この横スリット16は、図示したように底壁12に設けてもよいし、第二の側壁14に設けても良い。
【0050】
また、本実施形態によれば、上述のように光コネクタ7a,7bにカバー10を取り付けた後、収容空間Sの光コネクタ7a,7bに占められなかった空間が電気コネクタ8a,8bの一部を収容する空間Eとして利用されている。これにより、ハウジング9の内部のように狭い空間に整然と光コネクタ7a,7bおよび電気コネクタ8a,8bを配置することができる。
【0051】
以上、本発明の光コネクタ用カバー、光コネクタの接続方法および光電気複合ケーブルを実施形態を挙げて説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【0052】
例えば、カバー10や光コネクタ7a,7bの形状は上述した形状に限らず、適宜変更してもよい。また、上述した実施形態においては、機器側光電気複合ケーブル2a,2bおよび接続用光電気複合ケーブル2cがそれぞれ一本ずつ光ケーブル5を備えた構造を例に挙げて説明したが、機器側光電気複合ケーブル2a,2bおよび接続用光電気複合ケーブル2cがそれぞれ複数本の光ケーブル5を備えていてもよい。
【0053】
また、カバー10の側面にも、電気コネクタ8a,8bの形状に沿った形状に形成され、電気コネクタ8a,8bを搭載可能な電気コネクタ受け部を設けても良い。これにより、ハウジング9内に光コネクタ7a,7bと多くの電気コネクタ8a,8bとを収容する際に、光コネクタ7a,7bと電気コネクタ8a,8bとを一体に取り扱うことができ、作業性を向上することができる。また、開口部11の形状を電気コネクタ8a,8bに対応する形状とし、光コネクタ7a,7bの上面と開口部11とが形成する段差に、電気コネクタ8a,8bが搭載されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1a,1b:外部機器、2:光電気複合ケーブル、2a,2b:機器側光電気複合ケーブル、2c:接続用光電気複合ケーブル、3a,3b:コネクタ部、4:外被、5:光ケーブル、6:電気ケーブル、7a,7b:光コネクタ、8a,8b:電気コネクタ、9:ハウジング、10:カバー、S:収容空間、11:開口部、12:底壁、13:第一の側壁、14:第二の側壁、15:縦スリット、16:横スリット、17:スリット、18:突起
図1
図2
図3
図4