特許第6015258号(P6015258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015258
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】電圧調整制御回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   H02M3/155 U
   H02M3/155 V
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-196128(P2012-196128)
(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-54050(P2014-54050A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】古橋 匡規
(72)【発明者】
【氏名】斉島 淳男
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−022092(JP,A)
【文献】 特開2004−248453(JP,A)
【文献】 特開平11−178347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ電圧を昇圧して複数の電圧を得るための電圧調整制御回路において、
バッテリの正極と負極との間に直列に接続されたコイル及び第1トランジスタと、前記第1トランジスタと並列に接続された第1コンデンサと、を有し、前記第1トランジスタのON・OFFによって目標電圧V1を得る第1電圧調整制御回路と、
前記目標電圧V1に基づいて目標電流を生成する定電流回路と、前記目標電流に基づいて目標電圧V2を生成する第2コンデンサと、を有し、前記定電流回路のON・OFFによって前記第2コンデンサに流れる前記目標電流の電流量を調整して前記第2コンデンサが生成する電圧を前記目標電圧V2に調整する第2電圧調整制御回路と
を備えことを特徴とする電圧調整制御回路。
【請求項2】
前記第1電圧調整制御回路は、前記第1トランジスタに流れる電流を検出する電流検出回路と、前記第1コンデンサが生成する電圧を検出する第1電圧検出回路とを有し、前記電流検出回路と前記第1電圧検出回路との検出値に基づいて前記第1トランジスタON・OFF制御して前記第1コンデンサが生成する電圧が前記目標電圧V1となるように調整する
請求項1記載の電圧調整制御回路。
【請求項3】
前記定電流回路は、前記定電流回路のON・OFFを制御する第2トランジスタを有し、
前記第2電圧調整制御回路は、前記第2コンデンサが生成する電圧を検出する第2電圧検出回路を有し、前記第2電圧検出回路の検出値に基づいて前記第2トランジスタのON・OFFを制御して前記第2コンデンサが生成する電圧が前記目標電圧V2となるように調整し、
前記目標電流は、前記第2コンデンサが生成する電圧をv、前記第2コンデンサの静電容量をC、前記第2コンデンサに流れる前記目標電流をi、前記第2コンデンサの充電時間をtとすると、
v(t)=(1/C)×∫i(t)・dt
によって表される式に基づいて設定される
請求項1又は2記載の電圧調整制御回路。
【請求項4】
複数の前記第2電圧調整制御回路を備える
請求項1乃至3の何れか一項に記載の電圧調整制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンなどのエンジンに燃料を噴射する噴射システムにおいて、インジェクタや高圧ポンプを駆動するための電圧調整制御回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5はコモンレールを用いたディーゼルエンジンの燃料噴射システムを示したものである。エンジンの各気筒毎にインジェクタ51が設けられる。各インジェクタ51は、高圧管52を通じてコモンレール53に接続され、コモンレール53内に貯留されたコモンレール圧の高圧燃料が常時供給されている。コモンレール53への燃料圧送は、高圧ポンプ54によって行われる。すなわち、燃料タンク55内の燃料がフィルタ56を通して燃料供給ポンプ57に吸引され、燃料供給管58を通じて高圧ポンプ54に送られ、高圧ポンプ54にて、数10〜数100MPaに加圧されて、高圧管59を通じてコモンレール53に供給される。インジェクタ51にはコモンレール53から高圧の燃料が常時供給され、電磁ソレノイド60の作動で、燃料が気筒内に噴射され、またインジェクタ51で噴射に費やされなかった燃料はリーク管61を通して燃料タンク55に戻され、また高圧ポンプ54による圧力制御で余剰の燃料は戻り管62を通じて燃料タンク55に戻される。
【0003】
電磁ソレノイド60によるインジェクタ51での燃料噴射量と噴射時期が電子制御装置(ECM)63により制御され、またコモンレール53に設けたコモンレール圧センサ64の値に基づいて高圧ポンプ54が制御される。
【0004】
この燃料噴射システムにおいて、安定してインジェクタ51や高圧ポンプ54に設けられるプレッシャーコントロールバルブ(図示せず)等のアクチュエータを作動させるために、バッテリ電圧(例えば12V)以上の高電圧を得る電圧調整制御回路が必要である。
【0005】
図3は、従来の電圧調整制御回路30を示したものである。
【0006】
この電圧調整制御回路30は、DC−DCコンバータで構成されるもので、バッテリBの正極と負極間に、コイルLとFET31と抵抗Rの直列回路が接続され、FET31と並列に、ダイオード32とコンデンサCの直列回路が接続されて主に構成され、FET31のソース側の抵抗Rと負極間に、電流比較器33からなる電流検出回路34が接続され、コンデンサCと抵抗Rの直列回路に対し並列に電圧比較器35からなる電圧検出回路36が接続されて構成される。
【0007】
この電圧調整制御回路30によるバッテリ電圧の昇圧は、FET31のONでコイルLに電流ILが流れると共にその電流ILが徐々に上昇し、FET31がOFFとなるとコイルLの両端に高い電圧が発生し、これが誘導電圧としてバッテリ電圧と加算された電圧となり、その電流IcがコンデンサCに流れて溜められるもので、電流検出回路34の電流比較器33で、コイルLに流れる電流ILと基準電圧Vccから生成される設定電流とを比較し、また電圧検出回路36の電圧比較器35で、基準電圧Vccから生成される設定電圧とコンデンサCに蓄積された電圧とを比較し、これら電流検出と電圧検出に基づいて、アンド回路37がゲートを介してFET31をON・OFFが制御して目標電圧とする。
【0008】
この図3の電圧調整制御回路の制御フローを図4により説明する。
【0009】
イグニッションキーがONとされて制御が開始(ステップS40)され、電圧調整制御がなされ(ステップS41)、ステップS42で、目標電圧≦実電圧かどうかが判断され、実電圧が目標電圧に達していないとき(NO)には、ステップS43で、目標電流≦実電流(Ic)かどうかが判断され、実電流が目標電流に達していないとき(NO)、ステップS44でイグニッションキーがOFFかどうかを判断し、イグニッションキーがOFFでないとき(NO)、トランジスタ(FET等)をONとし(ステップS45)、コイルに電流を流してコイルにエネルギーを蓄え(ステップS46)、ステップS43の判断に戻す。ステップS43で、実電流が目標電流に達したとき(YES)、トランジスタ(FET等)をOFFとし(ステップS47)、コンデンサに電流(IC)を流して、コンデンサにエネルギーを蓄える(ステップS48)、その後、ステップS42の判断に戻し、実電圧が目標電圧に達したかどうかを判断し、達していないときには(NO)、再度ステップS43の判断に戻し、目標電圧に達したならば、ステップS49でイグニッションキーがOFFかどうかを判断し、イグニッションキーがOFFでないとき(NO)は、ステップS42の判断に戻して、電圧のチェックと電流のチェックを行い、上述の制御フローで、トランジスタをON・OFFしてコイルとコンデンサに交互に電流を流して目標電圧に昇圧する。
【0010】
ところで、噴射システムに採用されるアクチュエータには種々の仕様があり、電圧調整制御回路は、アクチュエータに応じた目標電圧(例えば52V、85V、130V)を設定する必要がある。
【0011】
現状、目標電圧の異なる複数のアクチュエータによって構成された噴射システムでは、複数の同じ構成の電圧調整制御回路を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−329027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、2つ以上の異なる目標電圧の電圧調整制御では、複数の同じ構成の電圧調整制御回路が必要となり、以下の問題点があった。
(1)コイル等の高価な部品を多く使うことになり、コストが高くなる。
(2)部品点数が増えることにより、実装面積が大きくなる。
(3)トランジスタ(FET等)のON・OFFによってコイルに電流を流す回路が複数あるので、回路全体より発生するノイズが増大する。
【0014】
特に、異なる目標電圧の電圧調整制御回路が必要な噴射システムを3つ以上必要な場合は、上記の3点の問題が、より大きな問題となる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、コイル等の部品が1つでも多数の目標電圧を得ることができる電圧調整制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明は、バッテリ電圧を昇圧して複数の電圧を得るための電圧調整制御回路において、バッテリの正極と負極との間に直列に接続されたコイル及び第1トランジスタと、前記第1トランジスタと並列に接続された第1コンデンサと、を有し、前記第1トランジスタのON・OFFによって目標電圧V1を得る第1電圧調整制御回路と、前記目標電圧V1に基づいて目標電流を生成する定電流回路と、前記目標電流に基づいて目標電圧V2を生成する第2コンデンサと、を有し、前記定電流回路のON・OFFによって前記第2コンデンサに流れる前記目標電流の電流量を調整して前記第2コンデンサが生成する電圧を前記目標電圧V2に調整する第2電圧調整制御回路とを備え電圧調整制御回路を提供する
【0017】
前記第1電圧調整制御回路は、前記第1トランジスタに流れる電流を検出する電流検出回路と、前記第1コンデンサが生成する電圧を検出する第1電圧検出回路とを有し、前記電流検出回路と前記第1電圧検出回路との検出値に基づいて前記第1トランジスタON・OFF制御して前記第1コンデンサが生成する電圧が前記目標電圧V1となるように調整することが望ましい。
【0018】
前記定電流回路は、前記定電流回路のON・OFFを制御する第2トランジスタを有し、前記第2電圧調整制御回路は、前記第2コンデンサが生成する電圧を検出する第2電圧検出回路を有し、前記第2電圧検出回路の検出値に基づいて前記第2トランジスタのON・OFFを制御して前記第2コンデンサが生成する電圧が前記目標電圧V2となるように調整し、前記目標電流は、前記第2コンデンサが生成する電圧をv、前記第2コンデンサの静電容量をC、前記第2コンデンサに流れる前記目標電流をi、前記第2コンデンサの充電時間をtとすると、v(t)=(1/C)×∫i(t)・dtによって表される式に基づいて設定されることが望ましい。
【0019】
複数の前記第2電圧調整制御回路を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、2つ以上の異なる目標電圧制御を行う場合、コイルとコンデンサからなる第1電圧調整制御回路と、第1電圧調整制御回路の電流を調整し、これをコンデンサに充電する簡素化した第2電圧調整制御回路を用いることにより、以下の効果が得られる。
(1)コイル、トランジスタ(FET等)等といった高価な部品の使用を最小限に抑えることができるため、コスト低減ができる。
(2)部品点数の大幅な削減ができるので、実装面積も縮小できる。
(3)トランジスタ(FET等)のON・OFFによって、コイルに電流を流す回路が1つだけとなるので、回路全体より発生するノイズが低減できる。
【0021】
特に、異なる目標電圧の電圧調整制御回路が必要な噴射システムを3つ以上必要となる場合は、上記3点の効果がより大きな効果として得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の電圧調整制御回路の一実施の形態を示す図である。
図2図1の制御フローを示す図である。
図3】従来の電圧調整制御回路を示す図である。
図4図3の制御フローを示す図である。
図5】コモンレールを用いたディーゼルエンジンの燃料噴射システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0024】
図1は、本発明の電圧調整制御回路を示したもので、基本的には、従来と同様にコイルLと第1コンデンサC1で目標電圧V1を生成する第1電圧調整制御回路10と、この第1電圧調整制御回路10を基準に定電流回路21によって第2コンデンサC2に充電して目標電圧V2を生成する簡素化した第2電圧調整制御回路20とを組合せて構成される。
【0025】
第1電圧調整制御回路10は、バッテリBの正極と負極間に、コイルLと第1FET(第1トランジスタ)11と抵抗Rの直列回路が接続され、FET11と並列に、ダイオード12と第1コンデンサC1の直列回路が接続されて主に構成される。
【0026】
FET11のソース側の抵抗Rと負極間には、電流比較器13からなる電流検出回路14が接続される。電流検出回路14は、電流比較器13の一方にFET11に流れる電流値ILが抵抗Rを介して入力され、また、コンデンサC1に流れる電流IC1が抵抗Rを介して入力され、他方に基準電圧Vccから分圧抵抗RCにて基準電流が入力され、これらを電流比較器13にて比較して電流を検出する。
【0027】
また第1コンデンサC1と抵抗Rの直列回路に対し並列に、電圧比較器15からなる電圧検出回路16が接続される。この電圧検出回路16は、正極と負極間にダイオードD1を通し、分圧抵抗RA、RBで分圧された電圧が電圧比較器15の一方に入力され、電圧比較器15の他方に、基準電圧Vccから分圧抵抗RC、RCにて分圧された基準電圧が入力され、これらを電圧比較器15にて比較して電圧を検出する。
【0028】
電流検出回路14と電圧検出回路16の電流・電圧検出値は、基準値に達していないとき「H」、達しているときに「L」としてアンド回路17に入力され、電流・電圧が共に基準値に達したときにFET11がOFFとされ、それ以外はONとされる。
【0029】
第2電圧調整制御回路20は、正極側がダイオードD2にて第1電圧調整制御回路10に接続され第1電圧調整制御回路10で調整した目標電圧V1から目標電流に調整する定電流回路21と、その定電流回路21の目標電流から目標電圧V2を生成する第2コンデンサC2とからなる。定電流回路21は、2つのトランジスタTR1、TR2と抵抗R2で構成され、一定の電流を生成する目標電流生成回路22からなり、その目標電流生成回路22に流れる電流を、ON・OFF制御する第2FET(第2トランジスタ)23を有する。
【0030】
第2コンデンサC2には、電圧比較器25からなる電圧検出回路26が接続される。この電圧検出回路26の電圧比較器25の一方には、トランジスタTR1と第2コンデンサC2間の電圧をダイオードD3を通し、分圧抵抗RD、REで分圧した電圧が入力され、他方に、基準電圧Vccから分圧抵抗RC、RCにて分圧された基準電圧が入力され、これらを電圧比較器25にて比較して電圧を検出し、その電圧が目標電圧V2に達していないときには、第2FET(第2トランジスタ)23をON、達したときにはOFFするよう制御する。
【0031】
以上において、第1電圧調整制御回路10によるバッテリ電圧の昇圧は、図3で説明した電圧調整制御回路30と同様で、第1FET(第1トランジスタ)11のONでコイルLに電流ILが流れると共にその電流ILが徐々に上昇し、第1FET11がOFFとなるとコイルLの両端に高い電圧が発生し、これが誘導電圧としてバッテリ電圧と加算された電圧となり、その電流Ic1が第1コンデンサC1に流れて溜められるもので、電流検出回路14と電圧検出回路16で、電流・電圧が検出され、アンド回路17がゲートを介して第1FET11をON・OFF制御して目標電圧V1とする。
【0032】
次に第2電流調整制御回路20では、定電流回路21が、第1電圧調整制御回路10で生成した目標電圧V1を電源として所定の電流値を第2コンデンサC2に流し、そのコンデンサC2にて目標電圧V2を生成する。
【0033】
ここで、コンデンサと電流、電圧の関係は、充電時間をtとし、電圧をv(t)、静電容量をC、電流をi(t)とすると
v(t)=1/C ×∫i(t)・dt
である。
【0034】
よって、目標電圧V2は、第2コンデンサC2に入力される電流の積分値に比例し、定電流回路21で流す電流値と第2コンデンサC2の静電容量(F)を適宜設定することで、種々の電圧に調整でき、異なる目標電圧の電圧調整制御を容易に行うことができる。また、異なる目標電圧V2の電圧調整制御が2つ以上必要な場合、簡素化した第2電圧調整制御回路20を増やし、定電流回路21での電流値と第2コンデンサC2の静電容量を適宜選定すれば、対応可能となる。
【0035】
ここで4つの電圧調整制御回路が必要な場合は、(第1電圧調整制御回路)×1、(第2電圧調整制御回路)×3となる。
【0036】
次に、図2に基づいて図1の制御フローを説明する。
【0037】
先ず、第1電圧調整制御回路の制御フローは、図4で説明した制御フローと同一であり、これを簡単に説明すると、ステップ10で、イグニッションキーがONとされて制御が開始され、ステップS11で電圧調整制御1がなされ、ステップS12で、目標電圧V1≦実電圧かどうかが判断され、実電圧が目標電圧V1に達していないとき(NO)には、ステップS13で、目標電流≦実電流(IL)かどうかが判断され、実電流が目標電流に達していないとき(NO)、ステップS14でイグニッションキーがOFFかどうかを判断し、イグニッションキーがOFFでないとき(NO)、第1トランジスタ(FET等)をONとし(ステップS15)、コイルに電流を流してコイルにエネルギーを蓄え(ステップS16)、ステップS13の判断に戻す。ステップS13で、実電流が目標電流に達したとき(YES)、第1トランジスタ(FET等)をOFFとし(ステップS17)、第1コンデンサに電流(IC1)を流して、第1コンデンサにエネルギーを蓄える(ステップS18)、その後、ステップS12の判断に戻し、実電圧が目標電圧V1に達したかどうかを判断し、達していないときには(NO)、再度ステップS13の判断に戻し、目標電圧V1に達したならば、ステップS19でイグニッションキーがOFFかどうかを判断し、イグニッションキーがOFFでないとき(NO)は、ステップS12の判断に戻して、電圧のチェックと電流のチェックを行い、上述の制御フローで、第1トランジスタをON・OFFしてコイルと第1コンデンサに交互に電流を流して目標電圧V1に昇圧する。
【0038】
次に第2電圧調整制御回路20の制御フローを説明する。
【0039】
この第2電圧調整制御回路20の制御フローは、第1電圧調整制御回路10のフローと並行して行うもので、ステップS21で、電圧調整制御2がなされ、ステップS22で、目標電圧V2≦実電圧かどうかが判断され、実電圧が目標電圧V2に達していないとき(NO)には、ステップS23でイグニッションキーがOFFかどうかを判断し、イグニッションキーがOFFでないとき(NO)、定電流回路をONとし(ステップS24)、第2コンデンサに電流を流して第2コンデンサにエネルギーを蓄え(ステップS25)、その後ステップS22に戻す。ステップS22で、実電圧が目標電圧に達したとき(YES)、定電圧回路をOFF(ステップS26)し、ステップS27でイグニッションキーがOFFかどうかを判断し、イグニッションキーがOFFでないとき(NO)、再度ステップS22に戻して、目標電圧V2≦実電圧かどうかを判断し、ステップS27でイグニッションキーがOFFのとき(YES)には制御を終了する(ステップS20)。
【0040】
このように、2つ以上の異なる目標電圧制御を行う場合、コイルとコンデンサからなる1つの電圧調整制御回路と、定電流回路とコンデンサを用いた簡素化した電圧調整制御回路を用いることにより、実質的に一つの制御回路で複数の異なる電圧を調整することが可能となり、コストを低減できると共に部品点数の大幅な削減ができるので、実装面積も縮小できる。また昇圧用のコイルは一つですむため、ON・OFFによって、コイルで発生するノイズが低減できる。
【符号の説明】
【0041】
10 第1電圧調整制御回路
11 第1FET(第1トランジスタ)
20 第2電圧調整制御回路
21 定電流回路
B バッテリ
C1 第1コンデンサ
C2 第2コンデンサ
L コイル
V1、V2 目標電圧
図1
図2
図3
図4
図5