特許第6015265号(P6015265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015265
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】近接通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 5/02 20060101AFI20161013BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20161013BHJP
   H04B 7/15 20060101ALI20161013BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20161013BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H04B5/02
   G06K7/10 172
   G06K7/10 176
   H04B7/15
   H04Q9/00 301E
   H04M1/00 U
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-201288(P2012-201288)
(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公開番号】特開2014-57235(P2014-57235A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123940
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 辰一
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸之
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4887431(JP,B2)
【文献】 特開2009−135865(JP,A)
【文献】 特開2010−218417(JP,A)
【文献】 特開2004−234162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/02
G06K 7/10
H04B 7/15
H04M 1/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接通信を行う第1近接通信部を備えた第1機器と、
前記近接通信よりも高速な通信を行う第1高速通信部を備えた第2機器と、
前記近接通信を行う第2近接通信部と、前記高速通信を行う第2高速通信部と、前記第1機器を認証するための認証情報を記憶した記憶部と、前記第2近接通信部が前記第1機器と通信を開始したとき、前記認証情報を用いて前記第1機器を認証し、この認証が成功した場合に、前記第2近接通信部および前記第2高速通信部を用いて前記第1機器と前記第2機器との通信を中継する制御部と、を備えた第3機器と、
を有する近接通信システムであって、
前記第1機器の制御部は、前記第3機器によって前記第2機器との通信の中継が開始されたとき、その時点での当該第1機器の動作状態を表す動作情報、そのときの当該第1機器の機能設定状態を表す設定情報の一方または両方を前記第3機器を介して前記第2機器に送信し、
前記第2機器の制御部は、前記動作情報および/または設定情報を受信したとき、その受信した情報に基づいて動作を開始し、
さらに、前記第1機器の制御部は、前記第2機器に送信した情報に基づく動作を停止させる
近接通信システム。
【請求項2】
前記動作情報は、音声ファイルを指定する選択情報および該音声ファイルの再生位置情報を含み、
前記第2機器の制御部は、前記選択情報および再生位置情報を受信したとき、前記選択情報で指定される音声ファイルを、前記再生位置情報で指定される位置から再生する
請求項1に記載の近接通信システム。
【請求項3】
前記設定情報は、アラームの発生時刻を指定するアラーム設定情報を含み、
前記第2機器の制御部は、前記アラーム設定情報を受信した場合、前記アラーム設定情報で指定された時刻にアラームを発生させる
請求項1または請求項2に記載の近接通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯機器と据置機器などの機器間の近接通信を容易にした近接通信システム関する。
【背景技術】
【0002】
NFC(Near Field Communication)と呼ばれる近接通信が実用化されている。この近接通信を用いたシステムとして、携帯電話機などの携帯端末装置を据置機器に接近させることで、据置装置と近接通信を行い、据置機器に対応する動作を実行させるものが多く提案されている(たとえば特許文献1など)。
【0003】
特許文献1には、携帯端末装置を複合機に接近させると、近接通信を用いて複合機から携帯端末装置に対してBluetooth(登録商標)のペアリング情報が送信され、携帯端末装置はBluetoothを用いてプリントデータを複合機に送信して印刷させるシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近接通信は、通信する機器同士が0cm〜10cm程度に極めて接近して行う通信であり、1対1通信が容易に実現される反面、文字通り機器同士を接近させること、特許文献1の例では携帯端末装置を据置機器に接近させることが条件であり、離れた場所から近接通信を用いた機能を据置機器に実行させることができなかった。
【0006】
この発明は、近接通信を据置機器から離れた場所から行うことができる近接通信システム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の近接通信システムは、近接通信を行う第1近接通信部を備えた第1機器(携帯端末装置)と、前記近接通信よりも高速な通信を行う第1高速通信部を備えた第2機器(据置機器)と、前記近接通信を行う第2近接通信部と、前記高速通信を行う第2高速通信部と、前記第1機器を認証するための認証情報を記憶した記憶部と、前記第2近接通信部が前記第1機器と通信を開始したとき、前記認証情報を用いて前記第1機器を認証し、この認証が成功した場合に、前記第2近接通信部および前記第2高速通信部を用いて前記第1機器と前記第2機器との通信を中継する制御部と、を備えた第3機器(充電器)と、を有する。前記第1機器の制御部は、前記第3機器によって前記第2機器との通信が中継されたとき、その時点での第1機器の動作状態を表す動作情報、そのときの第1機器の機能設定状態を表す設定情報の一方または両方を前記第3機器を介して前記第2機器に送信し、前記第2機器の制御部は、前記動作情報および/または設定情報を受信したとき、その受信した情報に基づいて動作を開始する。前記第1機器の制御部は、前記第2機器に送信した情報に基づく動作を停止させる。
【0008】
前記動作情報が音声ファイルを指定する選択情報および該音声ファイルの再生位置情報を含み、前記第2機器の制御部は、前記選択情報および再生位置情報を受信したとき、前記選択情報で指定される音声ファイルを、前記再生位置情報で指定される位置から再生してもよい。
【0009】
前記設定情報がアラームの発生時刻を指定するアラーム設定情報を含み、前記第2機器の制御部は、前記アラーム設定情報を受信した場合、前記アラーム設定情報で指定された時刻にアラームを発生させてもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、第1機器は、第3機器と近接通信を行うことで、第2機器と直接近接通信を行った場合と同様の通信を行うことができ、第2機器から離れた場所で実質的に近接通信を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施形態であるオーディオシステムの構成図
図2】オーディオシステムの携帯端末装置のブロック図
図3】オーディオシステムの親機のブロック図
図4】オーディオシステムの充電器のブロック図
図5】オーディオシステムの通信確立手順を示すフローチャート
図6】オーディオシステムの通信確立手順を示すフローチャート
図7】オーディオシステムの動作引継手順を示すフローチャート
図8】親機の通信確立中の動作を示すフローチャート
図9】携帯端末装置の通信確立中の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照してこの発明の実施形態であるオーディオシステムについて説明する。
【0017】
図1は、オーディオシステムのシステム構成を示す図である。オーディオシステムは、携帯端末装置1、据置機器である親機2、および、充電器3を有している。携帯端末装置1は、多機能携帯電話機(いわゆるスマートフォン)が好適である。また、親機2は、いわゆるデスクトップオーディオと呼ばれるアンプ、スピーカ、チューナ、CDプレーヤを内蔵したオールインワンのオーディオ機器が好適である。充電器3は、携帯端末装置1を載置するトレイとして設けられ、非接触電力伝送(WPC)で携帯端末装置1のバッテリを充電するとともに、親機2に対する子機(サテライト)として携帯端末装置1と親機2との通信を仲介する。
【0018】
携帯端末装置1は、3G/4Gの携帯電話通信機能を備えるとともに、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)など、複数の通信機能を備えている。ここで、Wi−Fiは、IEEE802.11に規定される無線LANの通信規格である。Bluetoothは、2.4GHz帯を用いて10〜100m程度の近距離通信を行う通信規格である。通信速度は最大2Mbps程度である。NFCは、10cm程度の極近接無線通信を行う通信規格であり、13.56MHzの電磁誘導を用いて200kbps程度の速度の通信が可能である。
【0019】
NFCが本発明の近接通信に対応する。NFCは、通信可能距離が極めて短いため、1対1通信が保証され、3者で混信が生じる余地がないことから、通信確立のための設定が簡易な通信方式である。ただし、NFCは一例であり、同じ場所に複数の充電器3が存在した場合でも、ユーザが意図して携帯端末装置1を近づけた充電器3のみが通信を行うことができる程度の極近接通信方式であればNFC以外の方式であってもよい。
【0020】
携帯端末装置1は、NFCの通信コイル22、および、非接触電力伝送(WPC)の受電コイル23を筐体背面に内蔵している。ここで、非接触電力伝送とは、電磁誘導、電界結合、共振結合などの方式を用いて無接点で電力を伝送する技術であり、たとえば、電磁誘導方式の場合、100〜200kHz程度の周波数の電磁波を用いて、送電コイルから受電コイルへ12W程度の電力が伝送される。
【0021】
また、携帯端末装置1は、基本機能として、アラーム機能、メール送受信機能、MP3などの音楽ファイルの再生機能、ラジオ(サイマル)放送の受信機能、TV(ワンセグ)放送の受信機能などを備えている。
【0022】
充電器3は、携帯端末装置1を載置するトレイ状の形状をしており、上面に載置部3Aを有している。載置部3Aは、ユーザが、ポケットやバッグに入れて持ち歩いていた携帯端末装置1をポケットやバッグから取り出して、置く場所として設けられている。充電器3は、親機2の近傍に設置する必要はなく、Bluetoothの通信範囲(たとえば10m:class2)にあればよい。充電器3は、載置部3Aの裏側に、NFCの通信コイル68および非接触電力伝送の送電コイル69を備えている。
【0023】
また、親機2は、Bluetoothの通信機能、音楽ファイルの再生機能、ラジオ放送の受信機能、CDの再生機能などを備えている。親機2は、Bluetoothを介して携帯端末装置1または充電器3と通信する。
【0024】
携帯端末装置1が充電器3の載置部3A上に載置されることにより、携帯端末装置1と充電器3は、NFCによる通信を開始する。このとき、充電器3は、携帯端末装置1に対して認証を行う。携帯端末装置1が機器として認証されれば充電を開始し、携帯端末装置1が登録された機器(ユーザ)として認証されれば、充電器3は、(1)親機2との通信を中継する、または、(2)親機2のペアリング情報を携帯端末装置1に送信して携帯端末装置1と親機 これによって、携帯端末装置1は親機2と通信可能になる。
【0025】
ここで、機種の認証は、携帯端末装置1のベンダーコードや機種コードなどで行えばよい。以下、これらの情報を機種識別情報と呼ぶ。また、その携帯端末装置1が登録されているか否かの認証は、この携帯端末装置1に割り当てられたユニークな番号(シリアル番号等)、電話番号、ユーザの氏名を番号化したもの、ユーザの生年月日、ユーザが任意に設定した数値や文字列などで行えばよい。以下、これらの情報を個体識別情報と呼ぶ。
【0026】
通信が可能になると、携帯端末装置1は親機2と以下のような通信を行う。携帯端末装置1は、動作情報および設定情報を親機2に送信する。親機2は、この動作情報および設定情報を引き継いで動作を開始する。動作情報とは、再生中のオーディオソースに関する情報を含む携帯端末装置1の現在の動作状態を示す情報である。たとえば、再生中の音楽ファイルのファイル名、アルバム名(選曲リスト名)、再生中タイミング情報、または、受信中のラジオ局、テレビ局の情報などである。具体的には、現在再生中のアルバム(選曲リスト)の総トラック数、トータル時間、再生中トラック番号、再生中時刻情報などである。また、携帯端末装置1が放送を受信している場合、動作情報は、再生中のラジオ・テレビなどの放送局の局情報またはURL情報を含んでいてもよい。設定情報とは、アラーム時刻などの設定情報である。
【0027】
上記の情報に基づいて親機2が引き継ぐ動作とは、たとえば以下のようなものである。
【0028】
携帯端末装置1が音楽ファイルを再生中であった場合、親機2が同じ音楽ファイルの再生を開始する。この場合、携帯端末装置1の再生と同期したタイミングから再生を開始する。
【0029】
携帯端末装置1がラジオ放送またはテレビ放送を受信中であった場合、親機2が同じ放送の受信再生を開始する。テレビ放送の受信機能を備えていない親機2がHDMI等でテレビ受像機と接続されている場合、そのテレビ受像機をHDMI/CECで制御して同じ放送の視聴を開始させてもよい。また、親機2は、単体のオーディオ機器に限定されず、コンポーネント機器であってもよい。
【0030】
携帯端末装置1にアラームが設定されている場合、親機2が同様のアラームを自装置に設定し、設定時刻になったときアラームを鳴動させる、または、テレビ、ラジオの受信をスタートさせる。
【0031】
携帯端末装置1が携帯電話機である場合、電話の着信、メールの受信を親機2に通知し、親機2が着信音、メール受信音を発生する。これにより、携帯端末装置(携帯電話機)1がマナーモードのままでもユーザに着信、メール受信を知らせることができる。
【0032】
以下、ブロック図を参照して、携帯端末装置1、親機2、および、充電器3の構成について説明する。
【0033】
図2は、携帯端末装置1のブロック図である。上述したように、この実施形態において、携帯端末装置1は多機能携帯電話機(スマートフォン)である。携帯端末装置1では、制御部であるMCU11に、3G/4G通信回路12、Wi−Fi通信回路13、Bluetooth通信回路14、NFC通信回路15、充電回路16、TV(ワンセグ)チューナ17、音声プロセッサ18、画像プロセッサ19、メディアインタフェース20および操作部21が接続されている。また、MCU11はメモリ11Aを内蔵している。メモリ11Aには、上述の機種識別情報および個体識別情報が記憶されている。
【0034】
3G/4G通信回路12は、第3世代/第4世代移動通信網を用いて音声通話およびデータ通信を行う回路である。Wi−Fi通信回路13は、IEEE802.11規格の無線LANの通信を行う。Wi−Fi通信回路13は、複数のWi−Fi機器がネットワークを統括する無線アクセスポイントを介して通信し、互いに直接通信しないインフラストラクチャーモード(infrastructure mode)、および、複数のWi−Fi機器が互いに直接通信をする形態のアドホック・モード(ad−hoc mode)の両モードで通信を行う。Bluetooth通信回路14は、Bluetooth(IEEE802.15.1)で、予め設定された通信相手とPNPの通信を行う通信回路である。Bluetoothは、主として相手装置との文字情報やデジタル音声信号などの伝送に用いられる。
【0035】
NFC通信回路15は、13.56MHzの高周波電流による磁束を生じさせるための通信用コイル22を備えている。NFCでは、通信する2台の通信コイルを対向させ、送信側のコイルに信号で変調された13.56MHzのキャリア電流を流すことにより、受信側のコイルに信号で変調された相互誘導電流を生じさせる。また、送信側のコイルに強い電流を流すことにより、受信側のコイルに電力を送ることも可能である。この電力で受信側の通信回路を起動することにより、受信側のNFC通信回路を待機電力無しで待機させることが可能になる。
【0036】
NFC通信回路15は、カードエミュレーションモード、リーダ/ライターモード、および、P2Pモードの3つのモードでの動作が可能である。NFC通信回路25は、モードスイッチを内蔵しており、情況に応じて動作モードを上の3つのモードのいずれかに切り換える。
【0037】
カードエミュレーションモードは、非接触ICカードとして機能するモードであり、非接触ICカードのリーダ・ライタとの通信が可能である。リーダ/ライタモードは、非接触ICカードへのデータの読み込み・書き込みを実現するモードである。カードエミュレーションモードのNFC機器とリーダ/ライタモードのNFC機器とが接近した場合、リーダ/ライタモードのNFC機器がカードエミュレーションモードのNFC機器を検出して通信を開始する。
【0038】
また、P2Pモードは、NFC機器間のピアツーピア通信を実現するモードである。P2Pモードにより、NFC機器間で直接、各種の情報を交換することが可能になる。
【0039】
この実施形態では、携帯端末装置1のNFC通信回路15は、リーダ/ライタモードにデフォルト設定される。また、後述の充電器3ののNFC通信回路65は、カードエミュレーションモードにデフォルト設定される。これにより、携帯端末装置1が充電器3の載置部3A上に置かれたとき、NFC通信回路15がNFC通信回路65を検出して通信を開始する。なお、NFC通信回路25とNFC通信回路65のデフォルト設定は逆であってもよい。また、NFC通信回路25とNFC通信回路65が最初からP2Pモードに設定されていてもよい。
【0040】
充電回路16は、内蔵のバッテリ24を充電する回路である。充電回路16は、非接触電力伝送によって電力の供給を受けるため、受電コイル23を備えている。受電コイル23は、筐体の背面側に、通信用コイル22と中心軸を共通にして設けられている。非接触電力伝送の代表的な規格であるWPCは、100〜200KHz程度の周波数の電磁波を用いて12W程度の電力伝送が可能である。
【0041】
TVチューナ17は、テレビ(ワンセグ)放送を受信する。受信した映像および音声は、音声プロセッサ18および画像プロセッサ19に入力される。
【0042】
音声プロセッサ18は、圧縮されたデジタルの音声信号を伸長してビットストリームの音声信号に変換する処理部である。音声プロセッサ18は、テレビ放送の音声処理のほか、通話音声、デジタルの音楽ファイルの再生などの処理を行う。音声プロセッサ18は、再生した音声信号をアンプ25に入力する。アンプ25は、入力された音声信号を増幅し、スピーカ26およびイヤホン端子27に出力する。
【0043】
画像プロセッサ19は、圧縮されたテレビ放送の動画や画像ファイルなどをディスプレイサイズの画像に展開してVRAM28に書き込む。VRAM28に展開された画像は表示部29に出力される。表示部29は、携帯端末装置1前面に設けられたディスプレイ29Aを含み、画像プロセッサ19から入力された画像をディスプレイ29Aに表示する。
【0044】
操作部21は、ディスプレイ29A表面に形成されたタッチパネルを含み、ユーザによる操作を検出してMCU11に伝達する。メディアインタフェース20は、メモリカードスロットを有し、メモリカード5が接続される。メモリカード5は、たとえばマイクロSDカードなどであり、前述の音声プロセッサ18に出力する圧縮されたデジタルの音声信号である複数の音楽ファイルなどを記憶している。
【0045】
次に、図3のブロック図を参照して親機2について説明する。上述したように親機2はデスクトップオーディオ機器であり、制御部としてMCU41を有している。そして、このMCU41に、音声プロセッサ42、アンプ43、FMチューナ46、CDドライブ47、メディアインタフェース48、表示部49、操作部50、および、Bluetooth通信回路51が接続されている。
【0046】
MCU41はメモリ41Aを内蔵している。メモリ41Aには、登録された携帯端末装置1を認証するための個体識別情報が記憶されている。上述したように、個体識別情報としては、この携帯端末装置1に割り当てられたユニークな番号(シリアル番号等)、電話番号、ユーザの氏名を番号化したもの、ユーザの生年月日、ユーザが任意に設定した数値や文字列などがあるが、これらの全てを記憶してもよく、その一部のみを記憶してもよい。携帯端末装置1の個体識別情報は、事前に行われる登録処理によってメモリ41Aに書き込まれる。
【0047】
デスクトップオーディオ機器である親機2は、音声プロセッサ42で処理された音声をアンプ43で増幅してスピーカ44から放音することを主たる機能としている。音声プロセッサ42は、デジタルの音声信号をビットストリームの音声信号に変換する処理部である。音声プロセッサ42には、CDドライブ47が接続されている。また、音声プロセッサ42には、メディアインタフェース48を介してメモリーカード6から読み出された音楽ファイルのデジタルオーディオ信号も入力される。メディアインタフェース48には、たとえば、SDカードやUSBメモリなどの半導体メディアであるメモリーカード6が接続される。メモリーカード6には、携帯端末装置1のメモリーカード5と同様にMP3などで圧縮された複数の音楽ファイルが記憶されている。ここで、親機2のメモリーカード6には、携帯端末装置1のメモリーカード5に記憶されている音楽ファイルを包含する音楽ファイルが記憶されているものとする。これらメモリカード5,6に記憶される音楽ファイルが、何らかの手順で同期されるようにしてもよい。
【0048】
また、アンプ43には、音声プロセッサ42のほかFMチューナ46からの音声も入力される。アンプ43は入力されたオーディオ信号をMCU41から指示されたボリューム値で増幅する。増幅された音声信号はスピーカ44に出力される。
【0049】
表示部49は正面パネルに設けられた液晶ディスプレイを含み、現在時刻や再生中の曲名などを表示する。操作部50は、各種ボタンやボリュームつまみなどを含み、ユーザの操作をMCU41に伝達する。
【0050】
Bluetooth通信回路51は、Bluetooth(IEEE802.15.1)の通信を行う通信回路である。Bluetooth通信回路51は、携帯端末装置1または充電器3と通信を行う。
【0051】
次に、図4のブロック図を参照して充電器3について説明する。充電器3は、制御部としてMCU61を有している。MCU61には、表示部62、操作部63、電源制御回路64、NFC通信回路65、送電回路66、および、Bluetooth通信回路67が接続されている。
【0052】
MCU61はメモリ61Aを内蔵している。メモリ61Aには、通信相手である携帯端末装置1を認証するため、携帯端末装置1の機種識別情報および個体識別情報が記憶される。機種識別情報は、この充電器3を利用可能な機種の情報として出荷時に予めメモリ61Aに書き込まれており、さらに親機2との通信によって適宜更新される。また、個体識別情報は、親機2に個体識別情報が登録される都度または適宜に親機2との通信によってメモリ61Aに書き込まれる。
【0053】
なお、携帯端末装置1の個体識別情報が、親機2に登録されて充電器3に転送されてくるのでなく、充電器3に直接登録されてもよい。また、充電器3が、携帯端末装置1を認証する度ごとに、親機2に個体識別情報を要求するようにしてもよい。
【0054】
Bluetooth通信回路67は、親機2とBluetooth(IEEE802.15.1)の通信を行う通信回路である。NFC通信回路65は、携帯端末装置1とNFC通信を行う通信回路である。NFC通信回路65は、通信コイル68を有している。上述したように、NFC通信回路65は、カードエミュレーションモードにデフォルト設定される。
【0055】
NFC通信回路65には電源制御回路64が接続されている。電源制御回路64は、充電器3の電源のオン/オフを切り換える回路である。電源制御回路64は、NFC通信回路65から入力されるオン信号、および、MCU61から入力されるオフ信号に応じて充電器3の電源をオン/オフする。
【0056】
なお、NFC通信回路65は、電源制御回路64を介して供給される電源によって動作するが、通信の相手装置である携帯端末装置1のNFC通信回路15(通信コイル22)から電磁波(キャリア)によって供給される電力でも動作する。
【0057】
NFC通信回路65は、携帯端末装置1のNFC通信回路15から供給された電力で起動し、NFC通信回路15との通信を確立すると、充電器3の電源をオンするよう、電源制御回路64に対してオン信号を入力する。電源がオンされると、NFC通信回路65も電源回路から供給される電力で動作する。このように、充電器3は携帯端末装置1からの給電によって起動するため、待機電力を殆ど0にすることができる。また、NFC通信回路65が内部電源で動作するようになったとき、携帯端末装置1のNFC通信回路15は発生する電磁波を弱くして電力の消費を抑えるようにしてもよい。
【0058】
送電回路66は、100〜200kHzの非接触電力伝送の電流を発生させる回路であり、送電コイル69を有している。送電コイル69は、通信コイル68と同軸に載置部3Aの裏側に設けられている。
【0059】
この実施形態では、通信コイル22、68と送電コイル69、受電コイル23とを別々に設けているが、NFCの周波数で電力伝送(充電)を行う場合には、1つのコイルでも構わない。
【0060】
なお、表示部62および操作部63は、必須の構成ではないが、充電器3側から親機2との通信を開始する場合に使用される。
【0061】
図5図6のフローチャートを参照して、携帯端末装置1が充電器3に載置されたときの動作について説明する。
【0062】
図5のフローチャートに示す動作は、携帯端末装置1が充電器3の載置部3Aに載置されたとき、携帯端末装置1と充電器3がNFCで通信し、充電器3がその通信内容をBluetoothで親機2に中継する動作を示している。
【0063】
携帯端末装置1が、NFC通信回路15がオンされた状態で(S1)、充電器3の載置部3Aに載置されたとき、リーダ・ライタモードのNFC通信回路15がカードエミュレーションモードのNFC通信回路65を検出する(S2)。このとき充電器3のNFC通信回路65は、携帯端末装置1の通信コイル22から送信される13.56MHzの電磁波によって給電され(S11)、NFC通信回路65が起動する(S12)。充電器3のNFC通信回路65が起動すると、携帯端末装置1のNFC通信回路15と充電器3のNFC通信回路65が相互に識別情報を送信し合ってNFC通信を確立する(S3,S13)。なお、NFC通信は超近接通信であり、1対1通信がほぼ保証されているため、通信確立の手順は簡易である。
【0064】
携帯端末装置1と充電器3とのNFC通信が確立されると、携帯端末装置1は充電器3に対して機種識別情報を送信する(S4)。上述したように機種識別情報とは、ベンダーコード、機種コードなど、この携帯端末装置1の識別するための情報である。充電器3は、携帯端末装置1から受信した機種認証情報に基づいて、携帯端末装置1の機種を認証する。機種認証の結果、携帯端末装置1がこの充電器3を介した親機2との通信に対応している機種か否か(S15)およびWPC充電に対応している機種か否か(S17)を判断する。携帯端末装置1が親機2との通信に対応していない機種であれば (S15でNO)、充電器3は通信を拒否する旨のメッセージを携帯端末装置1に送信して(S16)動作を終了する。このとき充電器3の電源をオフすればよい。
【0065】
携帯端末装置1が、親機2との通信に対応している機種であり(S15でYES)、且つ、WPC充電に対応している機種であれば(S17でYES)、充電器3は、送電回路66を起動して送電コイル69に100〜200kHzの高周波電流を供給し、電磁誘導で携帯端末装置1の受電コイル23に対する送電を開始する(S18)。なお、携帯端末装置1が、親機2との通信に対応している機種であるが(S15でYES)、WPC充電に対応していない機種であれば(S17でNO)、充電器3は、S18の動作をスキップしてS19の処理に進む。
【0066】
携帯端末装置1は、機種認証を終えると、個体識別情報を充電器3に対して送信する(S5)。上述したように個体識別情報は、携帯端末装置1の電話番号やユーザのIDなど、携帯端末装置1およびそのユーザを認証するための情報である。充電器3は、携帯端末装置1から受信した個体識別情報に基づいて、携帯端末装置1およびそのユーザを認証する。機種認証の結果、携帯端末装置1およびユーザが親機2に登録されているか否かを判断する(S20)。携帯端末装置1およびユーザが親機2に登録されていない場合には(S20でNO)、充電器3は通信を拒否する旨のメッセージを携帯端末装置1に送信して(S21)動作を終了する。このとき充電器3の電源をオフしてもよく、送電回路66の動作を継続してもよい。
【0067】
携帯端末装置1およびユーザが親機2に登録されている場合には(S21でYES)、アプリケーションレベルのNFC通信が許可される。これにより、携帯端末装置1が充電器3に対してNFC通信により、上述の設定情報を送信する等の通信を行い(S6)、充電器3は、Bluetoothにより、親機2との間でこの通信を中継する(S22)。これにより、携帯端末装置1が親機2と離れた場所に置かれても、親機2との間でNFCと同等の通信を行うことが可能になる。なお、親機2がスタンバイ状態の場合、S22のタイミングで充電器3が親機2を起動させればよい。
【0068】
また、図6のフローチャートに示す動作は、充電器3が通信を中継するのではなく、充電器3が親機2のBluetoothのペアリング情報を携帯端末装置1に送信し、携帯端末装置1が親機2とのBluetoothの通信を確立して直接通信する形態の手順を示している。図6において、携帯端末装置1のS1〜S4の手順、および、充電器3のS11〜S21の手順は、図5に示したフローチャートのものと同一であるため、同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0069】
図6において、携帯端末装置1およびユーザが親機2に登録されている場合には(S21でYES)、充電器3が親機2のBluetoothのペアリング情報を携帯端末装置1に対して送信する(S35)。携帯端末装置1は、このペアリング情報を受信して、親機2とBluetoothのペアリングを行い通信を確立する(S31)。こののち、携帯端末装置1および充電器3は、NFC通信回路15,65の動作を停止させる(S32,S36)。携帯端末装置1は、通信が確立されたBluetoothを用いて親機2と直接通信する(S33)。以上の動作により、充電器3とのNFC通信から親機2とのBluetooth通信へ、異なる機器へのhand overが行われる。
【0070】
図7は、図5で説明した中継による通信、または、図6で説明したBluetoothによる直接通信によって携帯端末装置1と親機2が通信可能になったとき行われる通信手順の例を示すフローチャートである。このフローチャートは、携帯端末装置1から親機2への音楽の再生動作を引き継ぐ手順を例示している。この動作は、たとえば以下のような場面を想定している。ユーザが、携帯端末装置1で音楽を聴きながら帰宅する。帰宅後、携帯端末装置1を充電器3の載置部3A上に置く。そうすると、親機2が携帯端末装置1で実行されていた音楽の再生を引き継ぎ、携帯端末装置1は音楽の再生を自動停止する。すなわち、移動中の携帯端末装置1から自宅の親機2に、ユーザによる特段の操作無しで、シームレスに音楽の再生が引き継がれる。なお、図7のフローチャートでは、MP3等の音楽ファイルの再生を移行する場合を例にあげて説明しているが、他のソースの再生、例えばラジオ放送、テレビ放送の受信を移行する場合にも同様に適用可能である。
【0071】
図7のS41〜S43は、携帯端末装置1がユーザに携帯されているときの動作である。ユーザの操作によりメモリーカード5などに記憶された複数の音楽ファイルの中から、再生する曲(音楽ファイル)が選択される(S41)。この曲の選択は、1つの音楽ファイルの選択、アルバムの選択、ユーザが作成した選曲リストの選択等を含む。ユーザによって曲が選択されると、この選択操作によって選択された音楽ファイルをメモリーカード5から読み出して(S42)、そのデジタルオーディオ信号を再生する(S43)。
【0072】
この状態で携帯端末装置1が充電器3の載置部3Aに載置されると、図5で説明した充電器3による中継、または、図6で説明したBluetoothによる直接通信によって携帯端末装置1と親機2との通信が確立される(S44,S51)。相互の通信が確立されると、携帯端末装置1は、親機2に対して動作情報および設定情報を送信する(S7、S8)。動作情報は、上述したように、再生中のオーディオソースに関する情報であり、例えば、どの音楽ファイルの何分何秒の位置を再生中である旨や、どのアルバムのどの音楽ファイルのどの位置(何分何秒)を再生中である旨の情報である。設定情報は、アラーム時刻などの動作設定の情報である。
【0073】
親機2は、携帯端末装置1から送信されてきた動作情報および設定情報を受信して記憶する(S52、S53)。そして、受信した動作情報で指定される音楽ファイルをメモリーカード6などから読み出し(S54)、動作情報で指定された再生タイミングから再生を開始してフェードインさせる(S55)。このフェードインに並行して、携帯端末装置1は、音楽ファイルの再生をフェードアウトして停止させる(s47)。そして、携帯端末装置1は、設定情報に基づく動作(たとえばアラームなど)を停止し (S48)、親機2は、受信した設定情報に従ってアラームなどの設定を行って動作を開始する(S56)。
【0074】
以上の処理動作により、携帯端末装置1が充電器3の載置部3Aに載置されたとき、ユーザの何らの操作なしで、携帯端末装置1から親機2への動作の引き継ぎが可能になる。以後、親機2で音楽ファイルなどオーディオソースの再生が行われる。
【0075】
親機2によるオーディオソースの再生中、親機2は、オーディオソースの再生に変更が生じた場合ごとに、携帯端末装置1へその変更情報を送信する。変更情報を逐次携帯端末装置1に送信しておくことにより、携帯端末装置1が再度ユーザによって携帯されたとき、携帯端末装置1が、親機2で再生されていた状態を引き継いで、オーディオソースの再生を再開することができる。
【0076】
なお、上述のオーディオソースの再生に変更が生じるとは、再生する音楽ファイルが変わる(次の曲の再生を開始する)場合、ユーザが早送り、巻き戻し、スキップ等の操作をした場合、再生するオーディオソースを(たとえばラジオ放送に)変更した場合など、時間経過のみでは追尾できない事象が生じた場合である。たとえば、ボリュームの上下は、オーディオソースの再生に変更を生じさせる操作に含まれない。
【0077】
図8は、携帯端末装置1が充電器3の載置部3A上に載置されており、親機2がオーディオソースの再生を行っているときの親機2の動作を示すフローチャートである。この動作は、携帯端末装置1との間で定期的に(たとえば100m秒に1回)実行される。この動作では、ユーザによるオーディオソースの再生を変更する操作があったか(S60)、曲(音楽ファイル)が終了したか(S61)、または、携帯端末装置1との通信が切断されたか(S62)を監視する。
【0078】
オーディオソースの再生を変更する操作があった場合には(S60でYES)、この操作に対応する動作を行うとともに(S63)、この操作を示す変更情報を携帯端末装置1に送信する(S64)。
【0079】
曲が終了すると(S61でYES)、再生を予約されている次の曲があるか否かを判断する(S65)。次の曲がある場合には(S65でYES)、その次の曲の音楽ファイルを読み出して再生をスタートする(S66)。そして、その旨(次の曲の曲名(ファイル名)およびその再生をスタートした旨)を変更情報として携帯端末装置1に送信する(S67)。一方、次の曲がない場合には(S65でNO)、何もしないでこの動作を終了する。次の曲がなく再生が終了した後、たとえば新たな曲を選曲する操作やソースをラジオ放送に切り換える操作などが行われると、その後の動作のS60でその操作が検出され、変更情報が携帯端末装置1に送信される。
【0080】
また、携帯端末装置1との通信が切断されたことを検出した場合には(S62でYES)、携帯端末装置1がユーザによって携帯されたと判断し、10秒間だけ現在の再生状態を継続し、10秒が経過すると再生を停止して電源をオフする(S68)。再生停止時は、ボリュームをフェードアウトさせてもよい。
【0081】
なお、親機2は携帯端末装置1との通信が切断されたとき即座に再生動作を停止してもよいが、ユーザが携帯端末装置1を取り上げ、イヤホンを耳に差し込み、再生される音楽を聴けるようになるまで、若干の時間が掛かるため、親機2は、携帯端末装置1が天板2Aから取り上げられたのち(NFC通信が切断されたのち)、10秒程度経過したのちに楽曲の再生を停止し、自己の電源をオフしている。なお、この10秒間は、ユーザによる「オーディオソースの再生に変更を生じさせる操作」を受け付けないようにしてもよい。また、電源オフの操作以外の操作を受け付けないようにしてもよい。また、上記電源オフまでの時間(10秒)を、ユーザによって選択・設定可能にしても良い。このように、携帯端末装置1と親機2との通信が切断されると、携帯端末装置1がユーザによって携帯されたと判断され、オーディオソースの再生動作は再び携帯端末装置1に引き継がれる。
【0082】
なお、携帯端末装置1が充電器3とNFC通信をしており、充電器3がBluetoothで親機2との通信を中継している場合には、携帯端末装置1が充電器3の載置部3Aから取り上げられることで相互の通信が切断され、S62,S71ではこれが通信の切断として検出される。
【0083】
一方、携帯端末装置1と親機2とがBluetoothで直接通信している場合には、ユーザが携帯端末装置1を操作して親機2とのBluetooth通信を切断することで相互の通信が切断され、S62,S71ではこれが通信の切断として検出される。
【0084】
図9は、携帯端末装置1が充電器3の載置部3A上に載置されており、親機2がオーディオソースの再生を行っているときの携帯端末装置1の動作を示すフローチャートである。携帯端末装置1の据置機器監視ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、親機2との間でNFC通信が確立されているとき、定期的に(たとえば100m秒に1回)実行される。このルーチンでは、親機2から送られてきた変更情報を受信したか(S70)、親機2との通信が切断されたか(S71)を監視している。
【0085】
変更情報を受信すると(S70でYES)、この制御情報を記憶するとともに(S72)、その受信時刻をこの制御情報に対応づけて記憶する(S73)。一方、親機2との通信が切断されたことを検出すると(S71でYES)、記憶している変更情報および変更情報の受信時刻に基づいて、親機2が、現在どの曲のどのタイミングを再生しているかを推定し(S74)、その曲の音楽ファイルを読み出して、その推定された箇所から再生を開始する(S75)。以上の動作により、親機2から携帯端末装置1へのオーディオ再生の引き継ぎがシームレスに行われる。
【0086】
以上は、MP3等の音楽ファイルの再生を移行する場合を例にあげて説明したが、他のソースの再生、例えばラジオ放送、テレビ放送の受信を移行する場合にも同様に適用可能である。たとえば、ユーザが携帯端末装置1でラジオ放送(サイマルラジオ)を聴いていた場合には、携帯端末装置1はS45で受信中の放送局の情報を動作情報として送信し、親機2はS54でその放送局を受信するようFMチューナ46を制御するようにすればよい。
【0087】
また、ラジオ放送は、デジタルラジオ放送(DAB:Digital Audio Broadcast)であってもよい。
【0088】
また、シームレスな動作の引き継ぎは、オーディオの再生に限定されない。アラームの設定情報を移行した場合、アラーム時刻になると親機2がアラーム音を鳴動させる。携帯端末装置1は、親機2と通信が確立されている間は、アラーム音を停止させればよい。
【0089】
また、電話の着信があった場合、メールを受信した場合、携帯端末装置1はその旨を親機2に通知し、親機2が着信音、メール受信音を発生させる。ユーザは電話に応答するため、または、メールを見るために、携帯端末装置1を親機2から取り上げるが、この取り上げによってNFC通信が切断しても、図8のS62→S68、および、図9のS71→S74、S75に示す通信切断時の動作は行わない。
【0090】
また、この実施形態では、親機2から携帯端末装置1に再生動作を引き継がせる時のために、親機2においてオーディオソースの再生に変更が生じた場合にその変更情報を携帯端末装置1に送信するようにしているが、オーディオソースの再生に変更が生じた場合のみならず、定期的に動作状態を転送するようにしてもよい。
【0091】
また、充電器3の形態はトレイ状に限定されない。たとえば、引っ掛けるフック、立て掛けるスタンドなどの形態であってもよい。また、本発明における近接はこれら載置部に載置された状態を指すのみならず、載置されていなくてもNFC通信が可能な程度に近接した状態をも含むものとする。
【0092】
なお、本発明の高速通信は、Bluetoothに限定されない。Wi−Fiでもよく、また、有線通信であってもよい。たとえば、電力線通信(PLC)であってもよい。
【0093】
また、携帯端末装置1は、多機能電話機(スマートフォン)に限らず、携帯オーディオプレーヤ、タブレット端末、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)などであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 携帯端末装置(第1機器)
2 親機(第2機器)
3 充電器(第3機器)
3A 載置部
14,51,67 Bluetooth通信回路
15,65 NFC通信回路

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9