(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の充電ポート構造を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1の充電ポート構造の構成を、「電気自動車の全体構成」、「電気自動車の車体前部構成」、「充電ポートユニットの構成」、「ポートリッドロック機構の構成」に分けて説明する。
【0011】
[電気自動車の全体構成]
図1は、実施例1の充電ポート構造が適用された電気自動車の主要構造を示す全体斜視図である。以下、
図1に基づき、実施例1の電気自動車の全体構成を説明する。
【0012】
実施例1の電気自動車(電動車両)1は、
図1に示すように、駆動モータ2と、駆動モータインバータ3と、DC/DCジャンクションボックス4と、バッテリパック5と、充電ポートユニット6と、車載充電器7と、エアコンユニット8と、を備えている。なお、
図1中9で示すものは、12ボルト車載バッテリである。
【0013】
前記駆動モータ2は、電気自動車1の走行駆動源であり、車両前部に設けられたモータルーム(駆動源ルーム)Mに配置される。この駆動モータ2の不図示の出力軸は、駆動輪である左右前輪FL,(他方図示せず)に連結される。この駆動モータ2は、駆動モータインバータ3に対して正のトルク指令が出力されている時には、バッテリパック5からの放電電力を使って駆動トルクを発生する駆動動作をし、左右前輪FL,(他方図示せず)を駆動する(力行)。一方、駆動モータインバータ3に対し負のトルク指令が出力されている時には、左右前輪FL,(他方図示せず)からの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電動作をし、発電した電力をバッテリパック5の充電電力とする(回生)。
【0014】
前記DC/DCジャンクションボックス4は、DC/DCコンバータを内蔵し、バッテリパック5からの高電圧の放電電力を分配し、12ボルト電源系システムへの電力供給及び12ボルト車載バッテリ9への充電を行う。また、このDC/DCジャンクションボックス4は、普通充電リレー及び急速充電リレーを有しており、充電モードに合わせて充電回路の切り替えができるようにしている。
【0015】
前記バッテリパック5は、車室空間(車室)Rと床下空間Yを区画するフロアパネル10の下側、つまり床下空間Yであって、ここでは、ホイールベースの中央部位置に配置される。このバッテリパック5は、駆動モータ2の電力源となると共に、エアコンユニット8に内蔵されたPTCヒータ(図示せず)の電力源となる。
【0016】
前記充電ポートユニット6は、充電スタンドや家庭用充電設備等の車外電源からの電力を供給する充電コネクタが接続される部位であり、車両前部中央に設けられる。この充電ポートユニット6は、普通充電ポート62aと急速充電ポート62bを有する充電ポート62と、この充電ポート62を開閉可能に覆うポートリッド63と、を有している。前記普通充電ポート62aは、家庭用充電設備や普通充電スタンド等による充電時に用いる充電ポートであり、車載充電器7を介してDC/DCジャンクションボックス4に接続されている。前記急速充電ポート62bは、急速充電スタンド等による充電時に用いる充電ポートであり、DC/DCジャンクションボックス4に直接接続されている。なお、この充電ポートユニット6の詳細構造については後述する。
【0017】
前記エアコンユニット8は、フロアパネル10の上側、つまり車室空間Rであって、バッテリパック5よりも車両前方側に配置されている。ここでは、モータルームMと車室空間Rを区画するダッシュパネルDと、ここでは図示しないインストルメントパネルとの間に配置される。このエアコンユニット8は、車室空間R内へ温調風を送風する。
【0018】
[電気自動車の車体前部構成]
図2は、実施例1の電気自動車の車体前部を示す斜視図である。
図3は、実施例1の電気自動車の車体前部を示す縦断面図である。
図4は、実施例1においてフロントフードが開いた状態での電気自動車の車体前部を示す平面図である。なお、図中UPは車両上方を示し、FRは車両前方を示し、Lは車両左側方を示し、Rは車両右側方を示す。以下、
図2〜
図4に基づき、実施例1の電気自動車の車体前部構成を説明する。
【0019】
実施例1の電気自動車1は、車体前部にモータルームMが形成され、このモータルームMの前側下部に車幅方向に沿ったバンパー11が延設されている。さらに、このバンパー11の車幅方向中央部の上側に充電ポートユニット6が配置されている。
【0020】
前記モータルームMは、車体前部のアウタパネル(車体面)1aの内部に形成された車体内空間であり、車両上方に開放したルーム開口部(車体開口部)12aを有している。このルーム開口部12aは、フロントフード(開口部リッド、フード)12(
図3参照)によって開閉可能に覆われている。また、ルーム開口部12aとフロントフード12との間には、フロントフード12の閉状態を維持するフードロック機構(開口部リッドロック機構)13が設けられている。このフードロック機構13は、車室空間R内からの操作によってロック解除可能となっている。ここで、「車室空間R内からの操作」とは、車室空間R内に設けられたスイッチやレバーを操作することにより、フードロック機構13のロック解除を行うことである。なお、フードロック機構13の詳細構成については、周知の構成であるので、ここでは説明を省略する。
さらに、車室空間Rには図示しないドアが設けられており、このドアを開放することによって内部に入ることができる。このドアは、ドアロック機構によってロック可能となっている。つまり、車室空間Rは、このドアロック機構により、内部へのアクセスが制限される。
【0021】
そして、前記モータルームMの中央部には、駆動モータインバータ3が配置され、駆動モータインバータ3の車両左側に12ボルト車載バッテリ9が配設されている(
図2参照)。また、駆動モータ2は、
図3に示すように、駆動モータインバータ3の下方に配置され、DC/DCジャンクションボックス4は、図示しないが、駆動モータインバータ3の車両後側に配置される。
【0022】
前記充電ポートユニット6は、
図3に示すように、モータルームMの前側に起立する充電ポートブラケット14によって、モータルームMの車両前方側に支持されている。この充電ポートブラケット14は、ロアクロスメンバ15aとアッパークロスメンバ15bとの間に立設しており、垂直リテーナ14aと、サポートプレート14bと、を有している。
【0023】
前記垂直リテーナ14aは、ロアクロスメンバ15aの車幅方向中央部に立設した骨格部材である。この垂直リテーナ14aと駆動モータ2との間には、エアコンユニット8内のエバポレータ内を流れる冷媒と走行風との間で熱交換を行う室外熱交換器16aや、ファンユニット16b等が配置されている。
【0024】
前記サポートプレート14bは、垂直リテーナ14aの上部に取り付けられた骨格部材である。このサポートプレート14bは、水平上壁14cと、下端壁14dと、この水平上壁14cと下端壁14dの間を連結すると共に充電ポートユニット6を支持するポート支持壁14eと、を有している。水平上壁14cは、車両後方に向かう先端部がアッパークロスメンバ15bに固定されている。下端壁14dは下端部がボルトBによって垂直リテーナ14aに固定されている。また、ポート支持壁14eには、普通充電ポート62a及び急速充電ポート62bがそれぞれ貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0025】
そして、前記ルーム開口部12aの内側には、エアガイド17が配置されている。このエアガイド17は、モータルームM内を流れる空気の流れ方向を規制すると共に、モータルームMの内部が外部に晒されることを防止する。このエアガイド17は、水平上壁14cの上側に着脱可能に載置され、
図4に示すように、充電ポートユニット6近傍のルーム開口部12aの前側部分を覆う。
【0026】
[充電ポートユニットの構成]
図5は、実施例1においてポートリッドが開いた状態での充電ポートユニットを示す分解斜視図である。
図6は、実施例1の充電ポートユニットを示す縦断面図である。
図7(a)は、ポートキャップが開いた状態でのポートハウジング内部を示す正面図であり、
図7(b)は、ポートキャップが閉じた状態でのポートハウジング内部を示す正面図である。
図8は、実施例1のポートハウジングの要部を示す斜視図である。なお、図中UPは車両上方を示し、FRは車両前方を示し、Lは車両左側方を示し、Rは車両右側方を示す。以下、
図5〜
図8に基づき、充電ポートユニットの構成を説明する。
【0027】
前記充電ポートユニット6は、
図5及び
図6に示すように、ポートハウジング61と、充電ポート62と、ポートリッド63と、ポートカバー64と、ポートリッドロック機構65と、電動ロック解除機構66と、アクセス開口67と、を有している。
【0028】
前記ポートハウジング61は、モータルームMと充電ポートユニット6とを区画するハウジング本体61aと、このハウジング本体61aを充電ポートブラケット14のサポートプレート14bに固定するためのブラケットプレート61bと、を有している。
ここで、ブラケットプレート61bは、サポートプレート14bの車両前方側に固定されるため、ポートハウジング61は、電気自動車1の車体前端部1b(
図2参照)に設けられることとなる。また、ルーム開口部12aは、内側に配置されたエアガイド17によってルーム開口部12aの前側部分が覆われているので、モータルームMと充電ポートユニット6とを区画するハウジング本体61aも、エアガイド17によって覆われる。これにより、ポートハウジング61は、ルーム開口部12a内を目視した際の可視範囲よりも車両前方側の領域に配置されることとなる。
ここで、「ルーム開口部12a内を目視した際の可視範囲」とは、車両上方に開放したルーム開口部12aを開放した方向、つまり車両上方から目視した際に目視可能な範囲であり、ルーム開口部12aに臨む範囲(開放領域の内側)である。つまり、実施例1における「可視範囲」は、ルーム開口部12a内にエアガイド17を配置したことで、ルーム開口部12aのうちエアガイド17によって覆われていない領域(
図4において一点鎖線で囲んだ領域)となる。
【0029】
前記ハウジング本体61aは、車両前方に開放した前方開口部(正面開口部)61cと、車両後方に開放してサポートプレート14bのポート支持壁14eが臨む後方開口部61dと、を有し、モータルームMの内部に向かってへこんだ凹形状の筐体である。このハウジング本体61aの内側には、充電ポート62が配置されると共に、前方開口部61c側からポートカバー64が嵌着固定される。また、前方開口部61cの外周位置及び後方開口部61dの外周位置には、それぞれ緩衝部材Sが設けられている。
前記ブラケットプレート61bは、ハウジング本体61aの内側に固定され、後方開口部61dの内側に延在した一対のブラケット部61e,61eを介してポート支持壁14eにボルト固定されている。このブラケットプレート61bには、ポートリッドロック機構65が固定される。
【0030】
前記充電ポート62は、普通充電ポート62a及び急速充電ポート62bを有しており、両充電ポート62a,62bは、車幅方向(横方向)に近接して並設されている。各充電ポート62a,62bは、それぞれサポートプレート14bのポート支持壁14eに形成された貫通孔に挿入されると共に、このポート支持壁14eにボルト固定される。両充電ポート62a,62bからは、それぞれ車両後方に向けて充電ハーネス62cが延在される。
【0031】
前記普通充電ポート62aは、車両左側に配置され、普通充電コネクタ(不図示)を接続する接続口62dが、
図7(a),7(b)に示すようにポートキャップ62eによって開閉可能に覆われている。このポートキャップ62eは、接続口62dの周縁部のうち、ポートカバー64の左カバー側面64bの近傍位置に設けられたヒンジ部62fを中心に車両左側方に向かって回動する。ここで、ポートキャップ62eは、ヒンジ部62fに設けられたスプリング(不図示)によって、常時開放方向に付勢されている。一方、接続口62dの周縁部のうちポートカバー64の幅方向中央部の近傍位置には、ポートキャップ62eに係合するリリースレバー62gが設けられている。このリリースレバー62gのポートキャップ62eに対する係合を解除すると、スプリング付勢力によってポートキャップ62eが回動し、普通充電ポート62aの接続口62dが開放する。
さらに、この接続口62dの上部位置には、普通充電コネクタを接続した際に、この普通充電コネクタが係合するコネクタ係合凹部62hが形成されている。なお、このコネクタ係合凹部62hは、いたずら防止(例:通りすがりに出来心で充電コネクタを抜こうとする)のために設けられるものである。
【0032】
前記急速充電ポート62bは、車両右側に配置され、急速充電コネクタ(不図示)を接続する接続口62jが、
図7(a),7(b)に示すようにポートキャップ62kによって開閉可能に覆われている。このポートキャップ62kは、接続口62jの周縁部のうち、ポートカバー64の右カバー側面64cの近傍位置に設けられたヒンジ部62mを中心に車両右側方に向かって回動する。ここで、ポートキャップ62kは、ヒンジ部62mに設けられたスプリング(不図示)によって、常時開放方向に付勢されている。一方、接続口62jの周縁部のうちポートカバー64の幅方向中央部の近傍位置には、ポートキャップ62kに係合するリリースレバー62nが設けられている。このリリースレバー62nのポートキャップ62kに対する係合を解除すると、スプリング付勢力によってポートキャップ62kが回動し、急速充電ポート62bの接続口62jが開放する。
【0033】
前記ポートリッド63は、一対のポートリッドヒンジ63a,63aを介してポートハウジング61のブラケットプレート61bに支持され、ハウジング本体61aの前方開口部61cを開閉可能に覆う。このポートリッド63は表面形状をフロントフード12に沿った形状にされ、前方開口部61cを開放したときには、ポートリッドヒンジ63aによりリッド開度を確保する。さらに、ポートリッド63の内側面63b、すなわちポートハウジング61の内部に対向する面には、ストライカ63cが設けられている。
【0034】
前記ポートカバー64は、
図5に示すように、ポートハウジング61の内側に嵌着可能な凹形状を呈しており、図示しない固定手段によってポートハウジング61のハウジング本体61aに対して一体に固定されている。このポートカバー64は、後方開口部61dを覆うカバー背面64aと、左右カバー側面64b,64cと、カバー下面64dと、カバー上面64eと、を有している。
また、このポートカバー64の車両前方に開放した前面開口の外周位置には、ポートリッド63の閉鎖位置にてシール性を向上するためのパーティングシールPが設けられる。このパーティングシールPは、ポートリッドロック機構65によるポートリッド63のロックを解除したとき、復元弾性力によりポートリッド63をポップアップさせる。なお、このパーティングシールPは、前面開口の上側には設けられていない。
【0035】
前記カバー背面64aには、普通充電ポート62a及び急速充電ポート62bがそれぞれ貫通する一対のポート貫通開口68a,68aが形成されている。また、このカバー背面64aの車幅方向中央部には、ポートハウジング61内を照明する図示しないポートランプが設けられる。
【0036】
前記左右カバー側面64b,64cは、カバー背面64aの左右端部からそれぞれ車両前方に向かって延在され、充電ポート62の両側方を覆う。この左右カバー側面64b,64cには、ポートリッドヒンジ63a,63aが貫通するヒンジ挿通スリット68bがそれぞれ形成されている。
【0037】
前記カバー下面64dは、カバー背面64aの下端部から車両前方に向かって延在され、充電ポート62の下方を覆う。このカバー下面64dには、ストライカ63cが差し込まれるストライカ溝68cを有する隆起部68dと、一対の水抜き穴68e,68eが形成されている。ここでは、隆起部68dが車幅方向中央部に形成され、その両側に一対の水抜き穴68e,68eが形成されている。
【0038】
前記カバー上面64eは、カバー背面64aの上端部から車両前方に向かって延在され、充電ポート62の上方を覆う。このカバー上面64eの下側には、車幅方向に延びたガイドプレート69が設けられている。ここで、このガイドプレート69は、カバー上面64eよりも車両前方に突出すると共に、カバー上面64eとの間に隙間をあけて保持されている(
図6参照)。さらに、カバー上面64e及びガイドプレート69は、車両後方側よりも車両前方側の方が、車両上方に位置するように傾斜している。
そして、ガイドプレート69は、ポートリッド63の周囲からポートハウジング61内に流れ込んできた水を受けて、左右カバー側面64b,64cに向けて案内する。
【0039】
前記ポートリッドロック機構65は、ポートリッド63の閉鎖位置においてストライカ63cと係合し、ポートリッド63の閉状態を維持するものである。このポートリッドロック機構65は、ポートハウジング61の内側下部であって、ポートカバー64の隆起部68dに囲まれる位置に設けられている。なお、このポートリッドロック機構65の詳細構成については後述する。
【0040】
前記電動ロック解除機構66は、ポートハウジング61の側部に設けられ、電動アクチュエータ66aによって、ポートリッドロック機構65のロック解除を行うものである。この電動ロック解除機構66は、電動アクチュエータ66aと、ワイヤー66bと、を有している。
【0041】
前記電動アクチュエータ66aは、ポートハウジング61のハウジング本体61aの右側面に貫通固定され、一部がモータルームM内に突出している。つまり、電動ロック解除構造66は、電気自動車1に設けられた車体内空間であるモータルームMの内側に配置されることとなる。この電動アクチュエータ66aは、モータ66c及びリール機構66dを防水性のケースに内蔵することで構成されている。
前記モータ66cは、車室空間Rに設けられたスイッチやインテリジェントキーに設けられたスイッチからの操作指令に基づいて駆動し、リール機構66dを回転させる。
前記ワイヤー66bは、一端が電動アクチュエータ66a内のリール機構66dに接続され、他端がポートリッドロック機構65のレバー65bに形成されたワイヤー接続部654bに接続されている。このワイヤー66bは、電動アクチュエータ66a内のモータ66cが駆動することで回転するリール機構66dに巻き取られ、レバー65bを牽引する。
【0042】
前記アクセス開口67は、ポートハウジング61のハウジング本体61aの車両下方に面した下側面61fを矩形状に切り欠くことで形成されており、ルーム開口部12aから直接視認できない領域に設定されることとなる。ここで、「直接視認できない領域」とは、モータルームM内に配置された他部品の下側や影に隠れ、ルーム開口部12aを車両上方から目視した際に視認することができない領域である。この「直接視認できない領域」には、例えば、車両上方から目視した際には視認できないが、鏡やカメラ等を使って覗き込んだときに見える範囲は含まれる。
【0043】
そして、このアクセス開口67は、ルーム開口部12aからポートリッドロック機構65へのアクセスを可能にする。ここで、「アクセス」とは、作業者の手動操作によってポートリッドロック機構65のロック解除操作を行うことである。これにより、このアクセス開口67が、手動操作によるポートリッドロック機構65のロック解除を可能にする手動ロック解除構造に相当する。
【0044】
さらに、このアクセス開口67には、ポートハウジング61の外側、つまりモータルームMに向かって回動する蓋部材67aが設けられている。この蓋部材67aは、手動により車両下方に引っ張ると、車両前側部分を中心に車両下方に向かって回動し、アクセス開口67を開放する。
【0045】
また、このアクセス開口67からは、
図8に示すように、ポートリッドロック機構65のレバー65bの手動操作部652bが、ポートハウジング61の外側、つまりモータルームM内に突出している。ここで、蓋部材67aは、アクセス開口67から突出した手動操作部652bとの干渉を避けるため、手動操作部652bの形状に合うようにモータルームM側に突出した凸部67bを有している(
図6参照)。
【0046】
[ポートリッドロック機構の構成]
図9は、ストライカをロックしている状態のポートリッドロック機構を示す図であり、(a)は車両下側から見たときの平面図を示し、(b)は車両下側から見たときの斜視図を示す。以下、
図9に基づき、ポートリッドロック機構の構成を説明する。
【0047】
前記ポートリッドロック機構65は、
図9に示すように、取付カバー65aと、レバー65bと、回転部材65cと、付勢バネ65dと、保持プレート65eと、を有している。
【0048】
前記取付カバー65aは、ポートハウジング61のブラケットプレート61bにボルト固定され、レバー65b等のポートリッドロック機構65の他部品を覆う。この取付カバー65aは、ストライカ溝68cに対向すると共に、ストライカ63cが差し込まれるストライカ差込口651aを有している。
【0049】
前記レバー65bは、取付カバー65aに対して第1軸65gを中心に回動可能に取り付けられた長尺部材である。このレバー65bは、バネ固定部651bと、手動操作部652bと、回転部材当接部653bと、ワイヤー接続部654bと、を有している。
前記バネ固定部651bは、付勢バネ65dの一端が固定される部分であり、レバー65bの一端部に形成されている。
前記手動操作部652bは、ポートハウジング61に形成されたアクセス開口67からモータルームM内に突出し、作業者の手動操作によってレバー65bを回動可能とする部分である。この手動操作部652bは、レバー65bの他端部に形成されている。
前記回転部材当接部653bは、回転部材65cに接触する部分であり、第1軸65gと手動操作部652bとの間に形成されている。
前記ワイヤー接続部654bは、電動ロック解除機構66のワイヤー66bが接続される部分であり、回転部材当接部653bと手動操作部652bとの間に形成されている。
【0050】
前記回転部材65cは、取付カバー65aに対して第2軸65hを中心に回動可能に取り付けられた円板形状の部材である。この回転部材65cは、バネ固定部651cと、ストライカ係止部652cと、レバー当接部653cと、を有している。
前記バネ固定部651cは、付勢バネ65dの他端が固定される部分である。
前記ストライカ係止部652cは、ストライカ63cを挟み込む部分であり、回転部材65cの周縁部の一部をU字状に切り欠くことで形成されている。
前記レバー当接部653cは、レバー65bに接触する部分であり、回転部材65cの周縁部の一部に形成されている。
【0051】
前記付勢バネ65dは、レバー65bを
図9(a)において右回り(反時計回り方向)に常時付勢すると同時に、回転部材65cを
図9(a)において左回り(時計回り方向)に常時付勢するバネである。すなわち、この付勢バネ65dにより、レバー65bと回転部材65cは、互いに接触しあう方向に付勢される。この付勢バネ65dは、上述のように、一端がレバー65bに固定され、他端が回転部材65cに固定され、中間部は第2軸65hに巻きつけられている。
【0052】
前記保持プレート65eは、レバー65b及び回転部材65cを、取付カバー65aとの間に保持する板部材である。この保持プレート65eの中間部には、付勢バネ65dを規制する規制部651eが形成されている。
【0053】
次に、実施例1の充電ポート構造における作用を、「ポートリッドのロック作用」、「ポートリッドの電動ロック解除作用」、「ポートリッドの手動ロック解除作用」、「手動ロック解除構造の配置作用」、「電動ロック解除機構の配置作用」に分けて説明する。
【0054】
[ポートリッドのロック作用]
図10は、ポートリッドをロックする際のポートリッドロック機構の動きを示す説明図であり、(a)はストライカを差し込む前の状態を示し、(b)はストライカを差し込んでいる途中の状態を示し、(c)はストライカが係合した後の状態を示す。以下、
図10に基づき、ポートリッドのロック作用を説明する。
【0055】
実施例1の充電ポート構造では、ポートリッド63を閉じたときに、ストライカ63cがストライカ溝68c及びストライカ差込口651aに差し込まれ、このストライカ63cに回転部材65cが係合することで、ポートリッド63の閉状態が維持される。
【0056】
ここで、ポートリッドロック機構65は、
図10(a)に示すように、ストライカ63cが差し込まれる前は、付勢バネ65dの付勢力により、レバー65bの回転部材当接部653bと、回転部材65cのレバー当接部653cが接触した状態で保持される。
【0057】
そして、ストライカ63cが差し込まれていくと、このストライカ63cは、回転部材65cのストライカ係止部652cの近傍に接触する。これにより、回転部材65cは、付勢バネ65dの付勢力に抗して、第2軸65hを中心に
図10(b)において右回り(反時計回り方向)へ回転する。そして、レバー65bの回転部材当接部653bに対して、回転部材65cのレバー当接部653cは離間する。しかし、レバー65bには、レバー当接部653cの離間と同時に回転部材65cのストライカ係止部652cの周囲部が当接する。このため、レバー65bは回動しない状態が保持される。
【0058】
そして、レバー65bと回転部材65cの間にストライカ63cが入り込んだら、さらにストライカ63cを差し込んでいく。そして、ストライカ63cが回転部材65cのストライカ係止部652cの内側に入り込むと、ストライカ63cと回転部材65cとの接触がなくなる。これにより、回転部材65cは、付勢バネ65dの付勢力によって第2軸65hを中心に
図10(c)において左回り(時計回り方向)へ回転する。
【0059】
このとき、レバー65bには、回転部材65cの回転とほぼ同時にレバー当接部653cが接触するため、このレバー65bは回動しない状態が保持され続ける。
また、回転部材65cは、レバー65bの回転部材当接部653bに接触するので、それ以上の回転が阻止される。この結果、ストライカ63cとの係合状態が保持され、ストライカ63cがポートリッドロック機構65に係合して、ポートリッド63の閉状態が維持される。
【0060】
[ポートリッドの電動ロック解除作用]
図11は、電動ロック解除機構によってロック解除する際のポートリッドロック機構の動きを示す説明図であり、(a)はロック解除前の状態を示し、(b)はロック解除途中の状態を示し、(c)はロック解除した直後の状態を示す。以下、
図11に基づき、ポートリッドの電動ロック解除作用を説明する。
【0061】
実施例1のポートリッドロック機構65では、
図11(a)に示すように、レバー65bのワイヤー接続部654bに、電動ロック解除機構66の電動アクチュエータ66aに一端が接続したワイヤー66bの他端が接続されている。そして、電動アクチュエータ66a内のモータ66cに外部スイッチからの操作指令が入力されると、このモータ66cが駆動してリール機構66dを回転させる。
【0062】
これにより、ワイヤー66bがリール機構66dに巻き取られ、
図11(b)に示すように、レバー65bは、第1軸65gを中心に
図11(b)において左方向(時計回り方向)に回転する。なお、この
図11(b)に示す状態では、レバー65bの回転部材当接部653bと回転部材65cのレバー当接部653cが接触しているので、回転部材65cは回動しない状態が保持される。
【0063】
そして、
図11(c)に示すように、さらにワイヤー66bが巻き取られ、レバー65bの回転部材当接部653bと回転部材65cのレバー当接部653cの接触が解除されると、つまり、回転部材65cがレバー65bから外れると、付勢バネ65dの付勢力によって、回転部材65cは、第2軸65hを中心に
図11(c)において左方向(時計回り方向)に回転する。
【0064】
これにより、回転部材65cとストライカ63cとの係合が解除され、ポートリッド63は、ポートカバー64に設けられたパーティングシールPの復元弾性力によってポップアップする。
【0065】
[ポートリッドの手動ロック解除作用]
図12は、手動操作によるポートリッドロック機構のロック解除の説明図であり、(a)は電気自動車の前部平面図を示し、(b)は充電ポートユニットの要部断面図を示す。以下、
図12に基づき、ポートリッドの手動ロック解除作用を説明する。
【0066】
実施例1の充電ポート構造では、電動ロック解除機構66の電動アクチュエータ66a等に不具合が生じ、電動ロック解除機構66によるポートリッドロック機構65のロック解除を行うことができない場合には、手動操作によってポートリッドロック機構65のロック解除が可能となっている。
【0067】
手動操作でポートリッドロック機構65をロック解除するには、作業者は、まず、ドアロック機構等のロック解除を行い、図示しないドアを開放して車室空間Rの内部へ入る。そして、この車室空間R内からの操作によって、ルーム開口部12aとフロントフード12との間に設けられたフードロック機構13のロック解除を行う。これにより、フロントフード12がポップアップする。そして、作業者は、車室空間Rから車外に出て、手動操作によってフロントフード12を車両上方に回動させて、ルーム開口部12aを開放する。
【0068】
続いて、
図12(a)において矢印で示すように、ルーム開口部12aからモータルームMの内部に手を差し入れ、アクセス開口67にアクセスする。このとき、
図12(a)に示すように、充電ポートユニット6はエアガイド17によって覆われているので、このエアガイド17を取り外すことでアクセス開口67に手が届きやすくなる。
【0069】
そして、アクセス開口67に手が届いたら、
図12(b)に示すように、蓋部材67aを車両下方に回動させ、アクセス開口67を開放する。アクセス開口67が開放されると、アクセス開口67からポートハウジング61の外側、つまりモータルームM内に突出しているポートリッドロック機構65のレバー65bの手動操作部652bが露出する。
その後、この手動操作部652bに対し、
図12(b)において矢印で示すように差し入れた指先を掛け、レバー65bを付勢バネ65dの付勢力に抗して回動させる。
【0070】
なお、このときのポートリッドロック機構65の動作については、電動ロック解除機構66による解除動作と同じである。つまり、レバー65bが回動することで回転部材65cとの係合が解除され、回転部材65cが付勢バネ65dの付勢力でストライカ63cを開放する方向に回動する。これにより、回転部材65cとストライカ63cとの係合が解除され、ポートリッド63は、ポートカバー64に設けられたパーティングシールPの復元弾性力によってポップアップする。
【0071】
このように、手動操作によってポートリッドロック機構65のロック解除を行う場合には、ドアロック機構を解除して車室空間Rに入り込む。続いて、車室空間Rからフードロック機構13を解除してルーム開口部12aを開放する。最後に、ルーム開口部12aからモータルームM内に手を差し入れ、このルーム開口部12aからの操作によってロック解除を行う。
すなわち、ポートリッドロック機構65のロック解除を行うには、複数のロック機構(ドアロック機構、フードロック機構13)のロック解除が必要である。
【0072】
ここで、各ロック機構(ドアロック機構、フードロック機構13)を不正なアクセスによってそれぞれロック解除することは困難であり、電気自動車1に設けたドアや、フロントフード12を簡単に開放することはできない。そして、これらのロック機構(ドアロック機構、フードロック機構13)をロック解除して、車室空間Rに入ったり、ルーム開口部12aを開放したりできない以上、ルーム開口部12aから手動操作によってポートリッドロック機構65のロック解除を行うことはできない。
この結果、不正な手動操作によるポートリッドロック機構65のロック解除を抑制し、防盗性を向上させることができる。
【0073】
[手動ロック解除構造の配置作用]
実施例1の充電ポート構造では、
図12(a)に示すように、ルーム開口部12aからのポートリッドロック機構65へのアクセスを可能にするアクセス開口67を、ポートハウジング61のハウジング本体61aの車両下方に面した下側面61fに形成している。
ここで、電気自動車1のアウタパネル1aに形成したルーム開口部12aは、車両上方に向かって開放している。そのため、ハウジング本体61aの下側面61fは、ルーム開口部12aの開放方向とは逆の方向に面することになり、ルーム開口部12aから直接視認できない領域となる。
【0074】
そのため、このようにルーム開口部12aから直接視認できない領域であるハウジング本体61aの下側面61fにアクセス開口67を形成することで、例えば不正な手段によってフードロック機構13を解除し、フロントフード12を開いてルーム開口部12aを開放しても、ルーム開口部12aの上方からアクセス開口67を直接見ることはできない。
【0075】
これにより、アクセス開口67の存在を知らない場合には、ルーム開口部12aからモータルームM内に手を差し入れても、アクセス開口67を容易に発見できず、手動操作によるポートリッドロック機構65のロック解除を簡単に行うことはできない。このため、不正な手動操作によるポートリッドロック機構65のロック解除を抑制し、防盗性を向上させることができる。
【0076】
特に、実施例1では、車両上方に開放するルーム開口部12aに対して、車両下方に面したハウジング本体61aの下側面61fにアクセス開口67を形成している。つまり、ルーム開口部12aからモータルームM内を見るためには、ルーム開口部12aの上方から見なければならない。そのため、例えば、車両側方に開放した車体開口部に対して、車両内部に面した部分にアクセス開口を形成する場合に比べて、モータルームM内が見にくくなる。この結果、アクセス開口67の存在を知らない者に対して、アクセス開口67をさらに容易に発見できないようにし、防盗性を向上することができる。
【0077】
また、実施例1の充電ポート構造では、アクセス開口67に開閉可能な蓋部材67aが設けられている。そのため、この蓋部材67aにより、アクセス開口67は、ポートリッドロック機構65の手動操作によるロック解除を行わないときには閉鎖される。
これにより、アクセス開口67からポートハウジング61のハウジング本体61a内に雨や雪等が浸水することを防止できる。
【0078】
さらに、このアクセス開口67からは、ポートリッドロック機構65のレバー65bに形成した手動操作部652bが、ポートハウジング61の外側であるモータルームM内に突出している。そのため、モータルームMに差し入れた作業者の手に手動操作部652bが接触しやすくなる。つまり、不正なアクセスではなく、アクセス開口67の存在を知っている作業者が、手動操作によってポートリッドロック機構65のロック解除を行う場合には、ルーム開口部12aから直接視認できない領域に設定したアクセス開口67を発見しやすくすることができる。
【0079】
特に実施例1では、アクセス開口67に設けた蓋部材67aが、アクセス開口67からポートハウジング61の外側に突出した手動操作部652bの形状に合わせた凸部67bを有している。そのため、ルーム開口部12aから直接視認できない領域であっても、アクセス開口67をさらに発見しやすくすることができる。
【0080】
そして、実施例1の充電ポート構造のように、モータルームMのルーム開口部12aをフロントフード12で開閉可能に覆い、このルーム開口部12aからの手動操作によってポートリッドロック機構65のロック解除を可能にしたことで、既存の車体構造を利用してアクセス開口67を見えにくくし、防盗性を向上することができる。
【0081】
[電動ロック解除機構の配置作用]
実施例1の充電ポート構造において、電動ロック解除機構66のうち、電動アクチュエータ66aは、
図5に示すように、ポートハウジング61の側面を貫通している。つまり、この電動アクチュエータ66aの一部はポートハウジング61の内部に配置され、残りの部分はポートハウジング61の側方であるモータルームM内に突出している。また、電動ロック解除機構66のうち、ワイヤー66bは、ポートハウジング61に内蔵されている。
一方、このポートハウジング61は、
図12(a)に示すように、電気自動車1の車体前端部1bに配置されると共に、モータルームMのルーム開口部12a内を目視した際の可視範囲よりも車両前方側の領域に配置されている。
【0082】
このため、電動ロック解除機構66は、ポートハウジング61の近傍であって、ルーム開口部12a内を目視した際の可視範囲よりも車両前方側の領域に配置されることとなる。つまり、電動ロック解除機構66のうち、ワイヤー66b及び電動アクチュエータ66aの一部はポートハウジング61の内部に配置されているため、ルーム開口部12a内を目視した際の可視範囲に配置されることはない。また、電動アクチュエータ66aの一部は、ポートハウジング61の側方に突出しているが、ポートハウジング61がエアガイド17によって覆われて、ルーム開口部12a内を目視した際の可視範囲よりも車両前方側の領域に配置される。このため、ポートハウジング61の側方に突出した電動アクチュエータ66aの一部も、エアガイド17によって覆われて、ルーム開口部12a内を目視した際の可視範囲よりも車両前方側の領域に配置される。
【0083】
これにより、ルーム開口部12aの開口部分に対向しない領域に電動ロック解除機構66が配置され、電動ロック解除機構66を目立たなくすることができる。そして、電動ロック解除機構66の存在を知らない者がルーム開口部12aからモータルームM内を目視した際に、電動ロック解除機構66を発見しにくくできる。この結果、電動ロック解除機構66がいたずら等の不正な手段によって操作され、ポートリッドロック機構65がロック解除されてしまうことを防止できる。
しかも、この電動ロック解除機構66を、ルーム開口部12a内を目視した際の可視範囲よりも車両前方側の領域に配置することで、ルーム開口部12aの周囲のアウタパネル1aによって電動ロック解除構造66を覆うことができる。これにより、例えば雨水等がルーム開口部12aからモータルームM内に滴り落ちても、電動ロック解除機構66に水がかかりにくくすることができる。すなわち、電動ロック解除機構66の周囲のアウタパネル1aやエアガイド17が屋根のようになり、電動ロック解除機構66への雨水等の浸入を防止できる。この結果、電動ロック解除機構66の耐候性を向上することができる。
【0084】
特に、実施例1では、ルーム開口部12aをフロントフード12によって覆っており、モータルームM内に突出した電動ロック解除機構66は、このフロントフード12によって覆われることになる。ここで、このフロントフード12の閉状態は、車室空間Rからの操作によってロック解除されるフードロック機構13によって維持される。
そのため、ルーム開口部12aを介して電動ロック解除機構66にアクセスするためには、ドアロック機構を解除して車室空間R内に入ると共に、フードロック機構13のロック解除を行ってフロントフード12を開放しなければならない。これにより、電動ロック解除機構66がいたずら等の不正な手段によって操作されることが防止でき、防盗性の更なる向上を図ることができる。
【0085】
さらに、実施例1の充電ポート構造では、ポートハウジング61を、電気自動車の車体前端部1bに配置する。そして、ルーム開口部12aを車両上方に向けて開放させると共に、電動ロック解除構造66の電動アクチュエータ66aをポートハウジング61の側方に配置している。
そのため、例えばポートハウジング61の車両後方側や車両前方側に電動ロック解除構造66を配置した場合と比べて、車両前後方向の長さが長くなってしまうことを抑えることができる。そして、電動ロック解除構造66を発見しにくくして、防盗性の向上を図ることができる。
【0086】
次に、効果を説明する。
実施例1の充電ポート構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0087】
(1) 電気自動車(電動車両)1に設けたポートハウジング61の内部に設けられる充電ポート62と、
前記ポートハウジング61の前面開口部(正面開口部)61cを開閉可能に覆うポートリッド63と、
前記ポートリッド63の閉状態を維持するポートリッドロック機構65と、
前記充電ポート62の近傍のアウタパネル(車体面)1aに設けられるルーム開口部(車体開口部)12aと、
前記ポートリッドロック機構65に近接配置され、前記ポートリッドロック機構65のロック解除を電動アクチュエータ66aによって行う電動ロック解除機構66と、
を備え、
前記電動ロック解除機構66を、前記ルーム開口部(車体開口部)12aの近傍であって、前記ルーム開口部(車体開口部)12a内を目視した際に目視可能な可視範囲から外れた領域に設定する構成とした。
これにより、電動ロック解除機構66を目立たなくして、不正な手段によってポートリッドロック機構65がロック解除されてしまうことを防止すると共に、電動ロック解除機構66に水がかかりにくくして、この電動ロック解除機構66の耐候性を向上することができる。
【0088】
(2) 前記ルーム開口部(車体開口部)12aを開閉可能に覆うフロントフード(開口部リッド)12と、
前記フロントフード(開口部リッド)12の閉状態を維持すると共に、車室空間(車室)R内からの操作によってロック解除されるフードロック機構(開口部リッドロック機構)13と、を備える構成とした。
これにより、ルーム開口部12aを介して電動ロック解除機構66にアクセスするためには、複数のロック機構の解除が必要となり、防盗性の更なる向上を図ることができる。
【0089】
(3) 前記車体開口部を、駆動モータ(走行駆動源)2を配置するモータルーム(駆動源ルーム)Mのルーム開口部12aとし、
前記開口部リッドを、前記ルーム開口部12aを開閉するフロントフード(フード)12とする構成とした。
これにより、既存の車体構造を利用して、電動ロック解除構造66を発見しにくくして、防盗性を向上することができる。
【0090】
(4) 前記ポートハウジング61を、前記電気自動車(電動車両)1の車両前端部(前端部)1bに配置し、
前記ルーム開口部(車体開口部)12aを、車両上方に向かって開放させ、
前記電動ロック解除機構66を、前記ポートハウジング61の側方に設ける構成とした。
これにより、車両前後方向の長さが長くなってしまうことを抑えつつ、ルーム開口部12aの内部を目視した際に、電動ロック解除構造66を発見しにくくして、防盗性を向上することができる。
【0091】
(5) 前記ルーム開口部(車体開口部)12aからの手動操作による前記ポートリッドロック機構65のロック解除を可能にする手動ロック解除構造(アクセス開口)67を設ける構成とした。
これにより、電動ロック解除構造66に故障等が発生し、電動アクチュエータ66aによるポートリッドロック機構65のロック解除ができなくなった場合であっても、ロック解除可能とすることができる。
【0092】
(6) 前記ポートリッドロック機構65を、前記ポートハウジング61の内部に設け、
前記手動ロック解除構造を、前記ポートハウジング61に設け、前記ポートリッドロック機構65へのアクセスを可能にするアクセス開口67とすると共に、前記アクセス開口67を、前記ルーム開口部(車体開口部)12aから直接視認できない領域に設定する構成とした。
これにより、車体開口部であるルーム開口部12aから直接視認できない領域にアクセス開口67を設定することにより、アクセス開口67の位置を知らない者に対し、容易にアクセス開口67を発見できないようにでき、防盗性を向上することができる。
【0093】
(7) 前記アクセス開口67に、開閉可能な蓋部材67aを設ける構成とした。
これにより、アクセス開口67からポートハウジング61の内部に雨水や雪等が浸入することを防止できる。
【0094】
(8) 前記ポートリッドロック機構65の手動操作部(少なくとも一部)652bを、前記アクセス開口67から前記ポートハウジング61の外側に突出させる構成とした。
これにより、アクセス開口67の存在を知っている作業者が、ポートリッドロック機構65の手動操作によるロック解除を行う際に、アクセス開口67を発見しやすくすることができる。
【0095】
以上、本発明の充電ポート構造を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0096】
実施例1では、車体開口部を車両上方に開放したモータルームMのルーム開口部12aとする例を示したが、これに限らない。車体開口部は、ポートリッドロック機構65のロック解除を手動操作するために車体面に設けた専用の開口部であってもよいし、トランクルームの開口部であってもよい。また、実施例1では、モータルームMを車体前部に設けた例を示したが、充電ポートユニット6を車体後部に配置した際には、車体後部に設けてもよい。
さらに、実施例1では、本発明の充電ポート構造を走行駆動源が電気のみを利用する電気自動車1に適用した例を示したが、外部電源からの充電が可能な車両であれば、走行駆動源に駆動モータとエンジンを有するハイブリッド車両であってもよい。
【0097】
また、実施例1では、手動ロック解除構造を、ポートハウジング61に形成したアクセス開口67とし、ポートリッドロック機構65のレバー65bに直接接触可能とする例を示したがこれに限らない。例えば、ポートリッドロック機構65のレバー65bに電動アクチュエータ66aに接続したワイヤー66bとは別の第2ワイヤーを接続し、この第2ワイヤーを手動操作によって引っ張ることを可能にしたものであってもよい。