(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一の電子書籍との関係付け情報と該電子書籍のコンテンツデータの再生表示を制御する設定情報とを含んだコンテンツ管理データによって電子書籍の再生表示を制御する電子書籍管理手段を搭載した閲覧装置と、
ユーザー識別子とそのユーザーが使用するものとして登録された閲覧装置を特定するデバイス識別子とを対応付けたデバイス管理データを格納する管理サーバー装置と、
がネットワークを介して論理的に接続されて構成されるシステムにおける電子書籍管理方法であって、
前記電子書籍管理手段は、
電子書籍閲覧機能の実行が許可される閲覧装置を特定するデバイス識別子の記録(d1)と、ユーザー識別子の記録(u1)と、を所定の記憶領域に保有しており、
前記管理サーバー装置は、一の電子書籍が購入されたときには、この電子書籍のコンテンツデータと関係付ける記述子を含むコンテンツ管理データであって、購入者のユーザー識別子(uk)と購入者が使用する閲覧装置のデバイス識別子(dk)との組み合わせを記録したコンテンツ管理データを購入者の閲覧装置に配布し、
閲覧対象とする電子書籍の選択指示を受付けた購入者の閲覧装置上の電子書籍管理手段は、前記内蔵するデバイス識別子(d1)およびユーザー識別子(u1)の記録と、閲覧対象電子書籍に対応するコンテンツ管理データに含まれる購入者が使用する閲覧装置のデバイス識別子(dk)および購入者のユーザー識別子(uk)とを照合して両方とも一致する場合のみ対象電子書籍のコンテンツデータの再生表示を行うものであって、
その上で、
貸方である電子書籍購入者が貸出し対象電子書籍を指定し、電子書籍購入者の閲覧装置上で、指定した貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データの該電子書籍の再生表示を制御する設定情報に所定の期間経過するまで閲覧不可能とする情報を書き込むことで貸出し対象電子書籍を所定の期間閲覧不可能とする第1の段階、
貸方の閲覧装置と借方の閲覧装置との間で近接通信による通信接続を確立し、貸方の閲覧装置が近接通信により借方の閲覧装置のデバイス識別子および借方のユーザ識別子を取得する第2の段階、
貸方の閲覧装置において借方が用いる貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データを、該電子書籍の再生表示を制御する設定情報に所定の期間のみ閲覧可能であることを示す情報を書き込んで準備する第3の段階、
借方が用いる貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データと貸出し対象電子書籍のコンテンツデータが貸方の閲覧装置から借方の閲覧装置に近接通信によって転送される第4の段階、
借方の閲覧装置において借入れた電子書籍の閲覧が所定の期間可能となる第5の段階、
を含む手順により購入した電子書籍を他のユーザーに所定の期間貸し出すことを可能とする電子書籍管理方法。
前記第1の段階において、貸方の閲覧装置において貸出し対象電子書籍が閲覧不可能となったことを証明する閲覧不可証明データを作成し、前記第4の段階でこのデータが借方の閲覧装置に転送され、前記第5の段階において、借方の閲覧装置は、この閲覧不可証明データの正当性を検証できた後に借入れ対象電子書籍を閲覧可能とすることができることを特徴とする請求項1に記載の電子書籍管理方法。
前記第5の段階の後で、電子書籍の再生表示を制御する設定情報に指定された閲覧が可能な期間の満了前に借入れ電子書籍を返却する場合は、借方の閲覧装置から借入れ電子書籍を返却することを意味する何らかのデータを貸方の閲覧装置に送信する第6の段階、借方の閲覧装置上で借入れ電子書籍のコンテンツデータおよびコンテンツ管理データを削除する第7の段階、電子書籍の返却を受けた貸方の閲覧装置上で貸出した電子書籍のコンテンツ管理データを、その貸出した電子書籍を閲覧可能な状態に復帰させる第8の段階を含む手順により電子書籍の返却がなされる請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の電子書籍管理方法。
前記第6の段階の前に前記第7の段階を実行し、前記第7の段階で借方の閲覧装置は借り入れ電子書籍のコンテンツ識別子を含む削除証明データを作成し、前記第6の段階では、この削除証明データを貸方の閲覧装置に転送することで借入れ電子書籍の返却がされたとし、前記第8の段階では、貸方の閲覧装置は削除証明データの正当性が検証できた後に貸出していた電子書籍のコンテンツ管理データを、その貸出した電子書籍を閲覧可能な状態に復帰させるものである請求項3に記載の電子書籍管理方法。
一の電子書籍との関係付情報と該電子書籍のコンテンツデータの再生表示を制御する設定情報とを含んだコンテンツ管理データによって電子書籍の再生表示を制御する電子書籍管理手段を搭載した閲覧装置と、
ユーザー識別子とそのユーザーが使用するものとして登録された閲覧装置を特定するデバイス識別子とを対応付けたデバイス管理データを、一のユーザー識別子につき所定の数(m)までとして格納する管理サーバー装置と、
がネットワークを介して論理的に接続されて構成されるシステムにおける電子書籍管理方法であって、
前記電子書籍管理手段は、
電子書籍閲覧機能の実行が許可される閲覧装置を特定するデバイス識別子の記録(d1)と、ユーザー識別子の記録(u1)と、を所定の記憶領域に保有しており、
前記管理サーバー装置は、一の電子書籍が購入されたときには、この電子書籍のコンテンツデータと関係付ける記述子を含むコンテンツ管理データであって、購入者のユーザー識別子(uk)と購入者が使用する閲覧装置のデバイス識別子(dk)との組み合わせを含むコンテンツ管理データを購入者の閲覧装置に配布し、
閲覧対象とする電子書籍の選択指示を受付けた購入者の閲覧装置上の電子書籍管理手段は、前記内蔵するデバイス識別子(d1)およびユーザー識別子(u1)の記録と、閲覧対象電子書籍に対応するコンテンツ管理データに含まれる購入者が使用する閲覧装置のデバイス識別子(dk)および購入者のユーザー識別子(uk)とを照合して両方とも一致する場合のみ対象電子書籍のコンテンツデータの再生表示を行うものであって、
その上で、
貸方である電子書籍購入者が貸出し対象電子書籍を指定し、電子書籍購入者の閲覧装置上で貸出し対象電子書籍を第1の所定の期間閲覧不可能とする第1の段階、
貸方の閲覧装置と借方の閲覧装置との間で近接通信による通信接続を確立し、借方の閲覧装置のデバイス識別子および借方のユーザ識別子を貸方の閲覧装置が取得する第2の段階、
貸方の閲覧装置において借方が用いる前記第1の所定の期間より短い第2の所定期間貸出し対象電子書籍を閲覧可能とするコンテンツ管理データを準備する第3の段階、
借方が用いる貸出し対象電子書籍の前記コンテンツ管理データと貸出し対象電子書籍のコンテンツデータが貸方の閲覧装置から借方の閲覧装置に近接通信によって転送される第4の段階、
借入れ電子書籍閲覧用コンテンツ管理データとコンテンツデータを入手した借方の閲覧装置が第2の所定の期間借入れ電子書籍を閲覧可能とするとともに、これと並行して、
貸方の閲覧装置からのリクエストを受付けた管理サーバー装置が、貸出し対象電子書籍が貸方の各閲覧装置上で前記第1の所定の期間閲覧不可能となったことを管理するための、貸方ユーザ、対象電子書籍の識別子を含む貸出し管理記録の1件のレコードを作成する第5の段階、
貸方の閲覧装置からのリクエストを受付けた管理サーバー装置が、前記貸出し管理記録の1件のレコードを更新して、リクエストした貸方の閲覧装置上で前記貸出し対象電子書籍が所定の期間閲覧不可能な状態になったことを記録する第6の段階、
管理サーバー装置が、特定の貸出し中の電子書籍についての前記貸出し管理記録が、貸方の全登録閲覧装置上で前記第1の所定の期間閲覧不可能となった状態であるときに、借方の閲覧装置からの貸出し状態問合せを受けた場合は、貸出し(借入れ)の継続を意味するデータを借方の閲覧装置に返送する第7の段階、
前記貸出し(借入れ)の継続を意味するデータを受信した借方の閲覧装置が、借入れていた電子書籍のコンテンツ管理データを更新することにより前記第1の所定の期間対象電子書籍を閲覧可能とする第8の段階
を含む手順により購入した電子書籍を他のユーザーに一定期間貸し出すことを可能とする電子書籍管理方法。
前記第1の段階において、貸方の閲覧装置の貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データの該電子書籍の再生表示を制御する設定情報に第1の所定の期間経過するまで閲覧不可能とした情報を書き込み、
前記第3の段階において、借方が借入れる電子書籍のコンテンツ管理データには、該電子書籍の再生表示を制御する設定情報に前記第1の所定の期間より短い第2の期間のみ閲覧可能であることを示す情報を書き込むこととした請求項6に記載の電子書籍管理方法。
前記第1の段階において、貸方の閲覧装置において貸出し対象電子書籍が閲覧不可能となったことを証明する閲覧不可証明データを作成し、前記第4の段階でこのデータが借方の閲覧装置に転送され、前記第5の段階において、借方の閲覧装置は、この閲覧不可証明データの正当性を検証できた後に借入れ対象電子書籍を閲覧可能とすることができることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電子書籍管理方法。
前記第6の段階において、管理サーバー装置は、貸方の閲覧装置において貸出し対象電子書籍が閲覧不可能となったことを証明する閲覧不可証明データをリクエストと同時に受取り、この閲覧不可証明データの正当性を検証できた後に前記貸出し管理記録の1件のレコードを更新して、リクエストした貸方の閲覧装置上で前記貸出し対象電子書籍が所定の期間閲覧不可能な状態になったことを記録することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電子書籍管理方法。
前記第8の段階の後で、電子書籍の再生表示を制御する設定情報に指定された閲覧が可能な期間の満了前に借入れ電子書籍を返却する場合は、借方の閲覧装置から借入れ電子書籍を返却することを意味する何らかのデータを貸方の閲覧装置に送信する第9の段階、借方の閲覧装置上で借入れ電子書籍のコンテンツデータおよびコンテンツ管理データを削除する第10の段階、電子書籍の返却を受けた貸方の閲覧装置上で貸出した電子書籍のコンテンツ管理データを、その貸出した電子書籍を閲覧可能な状態に復帰させる第11の段階を含む手順により電子書籍の返却がなされる請求項6に記載の電子書籍管理方法。
前記第9の段階の前に前記第10の段階を実行し、前記第10の段階で借方の閲覧装置は借入れ電子書籍のコンテンツ識別子を含む削除証明データを作成し、前記第9の段階では、この削除証明データを貸方の閲覧装置に転送することで借入れ電子書籍の返却がされたとし、前記第11の段階では、貸方の閲覧装置は削除証明データの正当性が検証できた後に貸出していた電子書籍のコンテンツ管理データを、その貸出した電子書籍を閲覧可能な状態に復帰させるものである請求項10に記載の電子書籍管理方法。
一の電子書籍との関係付け情報と該電子書籍のコンテンツデータの再生表示を制御する設定情報とを含んだコンテンツ管理データによって電子書籍の再生表示を制御する電子書籍管理手段を搭載した閲覧装置に対して、購入電子書籍を提供し、また電子書籍購入者による購入電子書籍の貸出しの管理を行う管理サーバー装置であって、
ユーザー識別子で特定される登録ユーザーのユーザー認証データを少なくとも含む登録ユーザーデータと、ユーザー識別子とそのユーザーが使用する閲覧装置を特定するデバイス識別子を対応付けたデバイス管理データと、少なくとも電子書籍識別子で特定される電子書籍のダウンロード要求先の記録を含むコンテンツ書誌データと
を記憶する記憶手段と、
前記閲覧装置からの管理アプリ登録リクエストに対して、1件のデバイス管理データを作成して前記記憶手段に記録するとともに、登録完了通知をリクエスト元に返信するデバイス管理登録手段と、
前記閲覧装置からの購入電子書籍リクエストに対して、購入ユーザーのユーザー識別子,閲覧装置のデバイス識別子、購入電子書籍のダウンロード要求先アドレスを含むコンテンツ管理データを作成してリクエスト元に返信する電子書籍配布手段と、
前記閲覧装置からの貸出し対象電子書籍を特定する電子書籍識別子を指定した貸出し登録リクエストに対して、貸出し対象電子書籍が貸方の各登録閲覧装置上で所定の期間閲覧不可能となったことを管理するための、貸方ユーザ、対象電子書籍の識別子を含む貸出し管理記録の1件のレコードを作成し、記録保持する貸出し登録手段と、
貸方の閲覧装置からのデバイス識別子と貸出し管理記録を特定する情報とを付した貸出し追加リクエストに対して、対象となる貸出し管理記録が存在する場合は、指定されたデバイス識別子を前記所定の期間閲覧不可能となった閲覧装置の識別子として該貸出し管理記録を更新する貸出し追加手段と、
前記閲覧装置からの貸出し管理記録を特定する情報を伴った貸出し状態問合せに対して、
該当する貸出し管理記録を参照し、該貸出し管理記録で特定される貸方ユーザが登録している全ての閲覧装置で貸出し対象電子書籍が閲覧不可能となっているかどうかを検査して、その結果に基づき、貸出し終了(強制返却)かまたは、貸出し(借入れ)継続を意味する情報を問合せ元に応答するとともに、貸出し終了(強制返却)の場合は貸出し管理記録に返却日を記録する借入れ継続手段と、
を備えたことを特徴とする管理サーバー装置。
前記借入れ継続手段は、貸出し(借入れ)継続の場合は、問合せ元の閲覧装置上で対象電子書籍を前記所定の期間閲覧可能とするよう閲覧期間を延長した新たなコンテンツ管理データを作成して問合せ元に返信するようにした請求項14に記載のサーバー装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明の課題は、購入した電子書籍を、紙の書籍や雑誌と同様に親しい友達同士など購入者の限られた範囲内で手軽に貸し借りすることを可能とする電子書籍管理方法、サーバー装置、コンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
課題を解決するための第1の発明は、一の電子書籍との関係付け情報と該電子書籍のコンテンツデータの再生表示を制御する設定情報とを含んだコンテンツ管理データによって電子書籍の再生表示を制御する電子書籍管理手段を搭載した閲覧装置と、
ユーザー識別子とそのユーザーが使用するものとして登録された閲覧装置を特定するデバイス識別子とを対応付けたデバイス管理データを格納する管理サーバー装置と、
がネットワークを介して論理的に接続されて構成されるシステムにおける電子書籍管理方法であって、
前記電子書籍管理手段は、
電子書籍閲覧機能の実行が許可される閲覧装置を特定するデバイス識別子の記録(d1)と、ユーザー識別子の記録(u1)と、を所定の記憶領域に保有しており、
前記管理サーバー装置は、一の電子書籍が購入されたときには、この電子書籍のコンテンツデータと関係付ける記述子を含むコンテンツ管理データであって、購入者のユーザー識別子(uk)と購入者が使用する閲覧装置のデバイス識別子(dk)との組み合わせを記録したコンテンツ管理データを購入者の閲覧装置に配布し、
閲覧対象とする電子書籍の選択指示を受付けた購入者の閲覧装置上の電子書籍管理手段は、前記内蔵するデバイス識別子(d1)およびユーザー識別子(u1)の記録と、閲覧対象電子書籍に対応するコンテンツ管理データに含まれる購入者が使用する閲覧装置のデバイス識別子(dk)および購入者のユーザー識別子(uk)とを照合して両方とも一致する場合のみ対象電子書籍のコンテンツデータの再生表示を行うものであって、
その上で、
貸方である電子書籍購入者が貸出し対象電子書籍を指定し、電子書籍購入者の閲覧装置上で貸出し対象電子書籍を所定の期間閲覧不可能とする第1の段階、
貸方の閲覧装置と借方の閲覧装置との間で近接通信による通信接続を確立し、貸方の閲覧装置が近接通信により借方の閲覧装置のデバイス識別子および借方のユーザ識別子を取得する第2の段階、
貸方の閲覧装置において借方が用いる貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データを準備する第3の段階、
借方が用いる貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データと貸出し対象電子書籍のコンテンツデータが貸方の閲覧装置から借方の閲覧装置に近接通信によって転送される第4の段階、
借方の閲覧装置において借入れた電子書籍の閲覧が所定の期間可能となる第5の段階、
を含む手順により購入した電子書籍を他のユーザーに所定の期間貸し出すことを可能とする電子書籍管理方法である。
【0014】
ここで電子書籍という語は、いわゆる書籍だけでなく、コミックや雑誌など冊子形態の印刷物が電子化されたものとして人間が認識し取り扱う1単位の対象を意味する。電子書籍は、閲覧装置の表示部にレンダリングされるためのデータであるコンテンツデータと、それ以外の、電子書籍が電子書籍として利用されるために必要な様々な制御や管理のためのデータであるコンテンツ管理データにより構成されると考える。また、以後の説明では電子書籍を貸し出す側を貸方または貸方ユーザー、借入れる側を借方または借方ユーザーという場合もある。このとき、貸方が「貸出した」電子書籍は、借方の閲覧端末で受入れれば「借入れた」電子書籍に直接的に対応する。実際には、貸出した電子書籍と借入れた電子書籍はそれらのコンテンツデータは一致するが、コンテンツ管理データは相違する。
【0015】
上記電子書籍管理方法によれば、貸方ユーザーが貸出し対象電子書籍を閲覧できない状態としてから借方ユーザーが貸出し対象電子書籍を借り入れるので、有料電子書籍が購入者と購入者でない者との間で同時に閲覧可能な状態となることを防ぐことができると同時に、紙の書籍では可能であった、自分が購入した書籍を一定期間友人等に貸し出すことができるので紙の書籍に対する電子書籍の弱点である使い勝手の悪さを解消できる。また、電子書籍の移動に近接通信を用いるので、物理的にその場に居合わさなければ電子書籍の貸し借りができないので、無用な電子書籍コンテンツの拡散を抑制することができる。
【0016】
前記第1の段階において、貸方の閲覧装置の貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データの該電子書籍の再生表示を制御する設定情報に所定の期間経過するまで閲覧不可能とした情報を書き込み、前記第3の段階において、借方が用いる借入れる電子書籍のコンテンツ管理データには、該電子書籍の再生表示を制御する設定情報に所定の期間のみ閲覧可能であることを示す情報を書き込む手順としてもよい。これにより借方ユーザが貸出し期限超過後も借入れた電子書籍を返却しなくても貸出し期限満了後は自動的に返却されたことと同様の効果が得られる。
【0017】
第1の発明において、前記第1の段階において、貸方の閲覧装置において貸出し対象電子書籍が閲覧不可能となったことを証明する閲覧不可証明データを作成し、前記第4の段階でこのデータが借方の閲覧装置に転送され、前記第5の段階において、借方の閲覧装置は、この閲覧不可証明データの正当性を検証できた後に借入れ対象電子書籍を閲覧可能とすることができるものとしてよい。閲覧不可証明データを用いることにより、電子書籍コンテンツが不正に複製され拡散されることを防ぐことができる。
【0018】
第1の発明において、前記第5の段階の後で、電子書籍の再生表示を制御する設定情報に指定された閲覧が可能な期間の満了前に借入れ電子書籍を返却する場合は、借方の閲覧装置から借入れ電子書籍を返却することを意味する何らかのデータを貸方の閲覧装置に送信する第6の段階、借方の閲覧装置上で借入れ電子書籍のコンテンツデータおよびコンテンツ管理データを削除する第7の段階、電子書籍の返却を受けた貸方の閲覧装置上で貸出した電子書籍のコンテンツ管理データを、その貸出した電子書籍を閲覧可能な状態に復帰させる第8の段階を含む手順により電子書籍の返却がなされるものとしてもよい。これにより借方ユーザーは貸出し期限前でも借入れた電子書籍を返却することが可能となる。また電子書籍の返却は、借入れ電子書籍のコンテンツ管理データを貸方の閲覧装置に転送することで返却がされたとしてもよいし、借入れ電子書籍のコンテンツ識別子を含む削除証明データを貸方の閲覧装置に送信することで返却されたとしてもよい。
【0019】
課題を解決する第2の発明は、
一の電子書籍との関係付情報と該電子書籍のコンテンツデータの再生表示を制御する設定情報とを含んだコンテンツ管理データによって電子書籍の再生表示を制御する電子書籍管理手段を搭載した閲覧装置と、
ユーザー識別子とそのユーザーが使用するものとして登録された閲覧装置を特定するデバイス識別子とを対応付けたデバイス管理データを、一のユーザー識別子につき所定の数(m)までとして格納する管理サーバー装置と、
がネットワークを介して論理的に接続されて構成されるシステムにおける電子書籍管理方法であって、
前記電子書籍管理手段は、
電子書籍閲覧機能の実行が許可される閲覧装置を特定するデバイス識別子の記録(d1)と、ユーザー識別子の記録(u1)と、を所定の記憶領域に保有しており、
前記管理サーバー装置は、一の電子書籍が購入されたときには、この電子書籍のコンテンツデータと関係付ける記述子を含むコンテンツ管理データであって、購入者のユーザー識別子(uk)と購入者が使用する閲覧装置のデバイス識別子(dk)との組み合わせを含むコンテンツ管理データを購入者の閲覧装置に配布し、
閲覧対象とする電子書籍の選択指示を受付けた購入者の閲覧装置上の電子書籍管理手段は、前記内蔵するデバイス識別子(d1)およびユーザー識別子(u1)の記録と、閲覧対象電子書籍に対応するコンテンツ管理データに含まれる購入者が使用する閲覧装置のデバイス識別子(dk)および購入者のユーザー識別子(uk)とを照合して両方とも一致する場合のみ対象電子書籍のコンテンツデータの再生表示を行うものであって、
その上で、
貸方である電子書籍購入者が貸出し対象電子書籍を指定し、電子書籍購入者の閲覧装置上で貸出し対象電子書籍を第1の所定の期間閲覧不可能とする第1の段階、
貸方の閲覧装置と借方の閲覧装置との間で近接通信による通信接続を確立し、借方の閲覧装置のデバイス識別子および借方のユーザ識別子を貸方の閲覧装置が取得する第2の段階、
貸方の閲覧装置において借方が用いる前記第1の所定の期間より短い第2の所定期間貸出し対象電子書籍を閲覧可能とするコンテンツ管理データを準備する第3の段階、
借方が用いる貸出し対象電子書籍の前記コンテンツ管理データと貸出し対象電子書籍のコンテンツデータが貸方の閲覧装置から借方の閲覧装置に近接通信によって転送される第4の段階、
借入れ電子書籍閲覧用コンテンツ管理データとコンテンツデータを入手した借方の閲覧装置が第2の所定の期間借入れ電子書籍を閲覧可能とするとともに、これと並行して、
貸方の閲覧装置からのリクエストを受付けた管理サーバー装置が、貸出し対象電子書籍が貸方の各登録閲覧装置上で前記第1の所定の期間閲覧不可能となったことを管理するための、貸方ユーザ、対象電子書籍の識別子を含む貸出し管理記録の1件のレコードを作成する第5の段階、
貸方の閲覧装置からのリクエストを受付けた管理サーバー装置が、前記貸出し管理記録の1件のレコードを更新して、リクエストした貸方の閲覧装置上で前記貸出し対象電子書籍が所定の期間閲覧不可能な状態になったことを記録する第6の段階、
管理サーバー装置が、特定の貸出し中の電子書籍についての前記貸出し管理記録が、貸方の全登録閲覧装置上で前記第1の所定の期間閲覧不可能となった状態であるときに、借方の閲覧装置からの貸出し状態問合せを受けた場合は、貸出し(借入れ)の継続を意味するデータを借方の閲覧装置に返送する第7の段階、
前記貸出し(借入れ)の継続を意味するデータを受信した借方の閲覧装置が、借入れていた電子書籍のコンテンツ管理データを更新することにより前記第1の所定の期間対象電子書籍を閲覧可能とする第8の段階
を含む手順により購入した電子書籍を他のユーザーに一定期間貸し出すことを可能とする電子書籍管理方法である。
【0020】
第2の発明に係る電子書籍管理方法によれば、登録一ユーザーにつき所定の数までの閲覧装置の登録を許容するシステムにおいて、
貸方ユーザー側において全ての登録閲覧装置において貸出し対象電子書籍の閲覧不可設定を行わなくても、一つの閲覧装置についての閲覧不可設定を行った後ならば借方ユーザーに電子書籍の貸出しを行うことができて便利であるとともに、
貸方ユーザーは一定時間以内に他の全ての登録閲覧装置で貸出し対象電子書籍の閲覧不可設定を行わないと、借方ユーザーは借入れ電子書籍の閲覧がその段階で中止されるため、貸方借方の両方で対象電子書籍が閲覧可能となる事態を実質的に回避できる。第2の所定の期間は貸方ユーザーが他の全ての登録閲覧装置についての閲覧不可設定を行うのに要する時間に見合って定めることが望ましい。
【0021】
前記第1の段階において、貸方の閲覧装置の貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データの該電子書籍の再生表示を制御する設定情報に第1の所定の期間経過するまで閲覧不可能とした情報を書き込み、
前記第3の段階において、借方が借入れる電子書籍のコンテンツ管理データには、該電子書籍の再生表示を制御する設定情報に前記第1の所定の期間より短い第2の期間のみ閲覧可能であることを示す情報を書き込むこととしてもよい。
これによれば、第2の期間が経過すると借方閲覧装置では一旦借入れ電子書籍の閲覧ができなくなるため、無用な電子コンテンツの拡散を防ぐことができる。
【0022】
前記第1の段階において、貸方の閲覧装置において貸出し対象電子書籍が閲覧不可能となったことを証明する閲覧不可証明データを作成し、前記第4の段階でこのデータが借方の閲覧装置に転送され、前記第5の段階において、借方の閲覧装置は、この閲覧不可証明データの正当性を検証できた後に借入れ対象電子書籍を閲覧可能としてもよい。これにより不正な電子コンテンツの複製拡散を防ぐことができる。
また、前記第6の段階において、管理サーバー装置は、貸方の閲覧装置において貸出し対象電子書籍が閲覧不可能となったことを証明する閲覧不可証明データをリクエストと同時に受取り、この閲覧不可証明データの正当性を検証できた後に前記貸出し管理記録の1件のレコードを更新して、リクエストした貸方の閲覧装置上で前記貸出し対象電子書籍が所定の期間閲覧不可能な状態になったことを記録することとしてもよい。これにより不正な電子コンテンツの複製拡散を防ぐことができる。
【0023】
第2の発明において、第8の段階の後で、電子書籍の再生表示を制御する設定情報に指定された閲覧が可能な期間の満了前に借入れ電子書籍を返却する場合は、借方の閲覧装置から借入れ電子書籍を返却することを意味する何らかのデータを貸方の閲覧装置に送信する第9の段階、借方の閲覧装置上で借入れ電子書籍のコンテンツデータおよびコンテンツ管理データを削除する第10の段階、電子書籍の返却を受けた貸方の閲覧装置上で貸出した電子書籍のコンテンツ管理データを、その貸出した電子書籍を閲覧可能な状態に復帰させる第11の段階を含む手順により電子書籍の返却がなされるものとしてもよい。これにより貸出し期限前に借方ユーザーが借入れ電子書籍を貸方に返すことができる。
【0024】
この場合において第9の段階は、借入れ電子書籍のコンテンツ管理データを近接通信により貸方の閲覧装置に転送することで行ってもよい。
【0025】
あるいは、前記第9の段階の前に前記第10の段階を実行し、前記第10の段階で借方の閲覧装置は借入れ電子書籍のコンテンツ識別子を含む削除証明データを作成し、前記第9の段階では、この削除証明データを貸方の閲覧装置に転送することで借入れ電子書籍の返却がされたとし、前記第11の段階では、貸方の閲覧装置は削除証明データの正当性が検証できた後に貸出していた電子書籍のコンテンツ管理データを閲覧可能な状態に復帰させるようにしてもよい。
【0026】
第11の段階の後で、さらに、返却を受けた貸方閲覧装置が返却日登録リクエストを発行し、これを受けた管理サーバー装置が該当する貸出し管理記録に返却日を記録する第12の段階、貸方の他の閲覧装置が貸出し管理記録を特定する識別子を伴う特定の電子書籍についての返却問合せを行う第13の段階、返却問合せを受けた管理サーバ装置が該当する貸出し管理記録に返却日の記録があれば返却済を、なければ未返却を返信する第14の段階、返却済の応答を受けた閲覧装置が当該電子書籍のコンテンツ管理データを閲覧可能な状態に復帰させる第15の段階を含む手順により電子書籍の返却がなされる電子書籍管理方法であってもよい。こうすれば、返却を受けた貸方の閲覧装置以外の貸方の閲覧装置でも貸出し前の状態に復帰できる。また、借方の閲覧装置が借入れ継続できなかった場合も、貸方の電子書籍を貸出した閲覧装置は返却問合せを行うことにより容易に貸出し前の状態に復帰できる。
【0027】
課題を解決する第3の発明は、
一の電子書籍との関係付け情報と該電子書籍のコンテンツデータの再生表示を制御する設定情報とを含んだコンテンツ管理データによって電子書籍の再生表示を制御する電子書籍管理手段を搭載した閲覧装置に対して、購入電子書籍を提供し、また電子書籍購入者による購入電子書籍の貸出しの管理を行う管理サーバー装置であって、
ユーザー識別子で特定される登録ユーザーのユーザー認証データを少なくとも含む登録ユーザーデータと、ユーザー識別子とそのユーザーが使用する閲覧装置を特定するデバイス識別子を対応付けたデバイス管理データと、少なくとも電子書籍識別子で特定される電子書籍のダウンロード要求先の記録を含むコンテンツ書誌データと
を記憶する記憶手段と、
前記閲覧装置からの管理アプリ登録リクエストに対して、1件のデバイス管理データを作成して前記記憶手段に記録するとともに、登録完了通知をリクエスト元に返信するデバイス管理登録手段と、
前記閲覧装置からの購入電子書籍リクエストに対して、購入ユーザーのユーザー識別子,閲覧装置のデバイス識別子、購入電子書籍のダウンロード要求先アドレスを含むコンテンツ管理データを作成してリクエスト元に返信する電子書籍配布手段と、
前記閲覧装置からの貸出し対象電子書籍を特定する電子書籍識別子を指定した貸出し登録リクエストに対して、貸出し対象電子書籍が貸方の各登録閲覧装置上で所定の期間閲覧不可能となったことを管理するための、貸方ユーザ、対象電子書籍の識別子を含む貸出し管理記録の1件のレコードを作成し、記録保持する貸出し登録手段と、
貸方の閲覧装置からのデバイス識別子と貸出し管理記録を特定する情報とを付した貸出し追加リクエストに対して、対象となる貸出し管理記録が存在する場合は、指定されたデバイス識別子を前記所定の期間閲覧不可能となった閲覧装置の識別子として該貸出し管理記録を更新する貸出し追加手段と、
前記閲覧装置からの貸出し管理記録を特定する情報を伴った貸出し状態問合せに対して、
該当する貸出し管理記録を参照し、該貸出し管理記録で特定される貸方ユーザが登録している全ての閲覧装置で貸出し対象電子書籍が閲覧不可能となっているかどうかを検査して、その結果に基づき、貸出し終了(強制返却)かまたは、貸出し(借入れ)継続を意味する情報を問合せ元に応答するとともに、貸出し終了(強制返却)の場合は貸出し管理記録に返却日を記録する借入れ継続手段と、
を備えたことを特徴とする管理サーバー装置である。
【0028】
前記借入れ継続手段は、貸出し(借入れ)継続の場合は、問合せ元の端末上で対象電子書籍を前記所定の期間閲覧可能とするよう閲覧期間を延長した新たなコンテンツ管理データを作成して問合せ元に返信するように構成してもよい。
【0029】
第3の発明に係る管理サーバー装置において、貸出していた電子書籍の返却を受けた閲覧装置からの返却日登録リクエストに対して、指定された貸出し管理記録の所定の項目欄に返却日を記録する返却日登録手段と、
他の閲覧装置からの貸出し管理記録を特定する情報を伴う返却問合せに対して、貸出し管理記録が存在する場合は、その貸出し管理記録に返却日の記録があるかどうかに従って、返却済または未返却を意味するデータを返信する返却照会応答手段を更に備えた構成とすればより好ましい。貸方ユーザが複数の閲覧装置を使用する場合で、貸出した電子書籍が返却された場合に、返却を受けた閲覧装置以外の貸方ユーザの閲覧装置における貸出し前の状態への復帰が円滑に行えるからである。
【0030】
課題を解決する第4の発明は、コンピュータに解釈実行されることにより第3の発明に係る管理サーバー装置として動作する一連の命令を含んだコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0031】
本願発明によれば、
購入した電子書籍を、紙の書籍や雑誌と同様に、購入者に近しい範囲で手軽に貸し借りすることを可能とする電子書籍管理方法、サーバー装置、コンピュータプログラムを実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1は本願第1の発明の一実施形態に係る電子書籍を管理するシステムにおけるコンテンツ管理方法を利用する一つの実施形態としての電子コンテンツ配信システム1の概略全体構成図である。電子コンテンツ配信システム1は、ユーザーが使用する閲覧端末100、管理サーバー装置300、とがネットワーク2に接続して構成される。ネットワーク2は典型的にはインターネットである。閲覧端末100(閲覧装置の一形態)は、携帯電話装置、スマートフォン等であって、Webブラウザと後述する専用プログラムを搭載したものである。閲覧端末100は、3G回線接続により基地局600と無線接続してゲートウェイ610を経由してネットワーク2上の管理サーバー装置300と論理的に接続される。あるいは、閲覧端末100は、ネットワーク2上に設置されたWi-Fiアクセスポイントを通じて無線LANにより管理サーバー装置300と論理的に接続されていてもよい。管理サーバー装置300は、公知のデータベース管理プログラムを備えたサーバーコンピュータに後述する専用プログラムを搭載したものである。
【0034】
図2、
図3は電子コンテンツ配信システム1の利用手順概要を説明する図である。次に、
図2、
図3を参照して、電子コンテンツ配信システム1の利用手順の概略とコンテンツ保護の仕組みを説明する。尚、
図2、
図3、
図4で説明される内容は、本願出願人と同一出願人による特許文献4に開示されている内容と共通するものである。
【0035】
まず、ユーザーは電子コンテンツ配信システム1で配信される電子書籍をユーザー端末上で閲覧するために必要な電子書籍管理プログラム(以下電子書籍管理アプリ、または略して管理アプリ)のインストールファイルを閲覧端末100にダウンロードし、同プログラムをインストールする(
図2「1」)。管理アプリのインストールファイルはインターネット上のURLが公開された所定のサイトに置かれ、ダウンロード自体は無料で誰でもできるようになっているものとする。また、このダウンロードに先立ちユーザーは電子コンテンツ配信システム1の管理サイトにおいてユーザー登録を行い自身が使用するユーザー名(ユーザー識別子)、認証パスワードを得ているものとする。管理アプリは、購入した電子書籍を管理する機能、表示選択のためのリスト表示、書棚表示などのグラフィカルユーザーインターフェースを提供する機能、選択した電子書籍のコンテンツデータの暗号を解いて(暗号化されている場合)、復号された電子書籍のコンテンツデータの様式に合ったビュワープログラムを呼び出してコンテンツを閲覧表示させる機能、の各機能を実行するプログラムと幾つかのビュワープログラムの集合体である。
【0036】
管理アプリインストール直後は未だコンテンツを閲覧させる機能が有効でない(これを管理アプリが不活性な状態という)ので、管理アプリを活性化させるための手続を行う必要がある。そこでユーザーは、管理アプリを起動して、初回起動画面からユーザー識別子(ユーザーID),パスワードを指定して、管理アプリ中に予め指定されたインターネットアドレス(電子コンテンツ配信システム1の管理サイトのアドレス)に管理アプリ登録リクエストを送信する(
図2「2」)。
【0037】
管理アプリ登録リクエストは、電子コンテンツ配信システム1の管理サイトのアドレスに対応付けられた管理サーバー装置300により、リクエストに含まれる発信元を特定する情報(一例としてIMSI− HYPERLINK "http://ja.wikipedia.org/wiki/International#Mobile#Subscriber#Identity" \o "International Mobile Subscriber Identity" International Mobile Subscriber Identity等、後に機器識別子(機器ID)として利用する)とともに受領される。尚、閲覧端末100から管理サーバー装置に発信される各種リクエスト(問合せ)には全て発信元を特定する情報が含まれ、管理サーバー装置300はこの情報を取得可能であるものとする。管理サーバー装置300は、ユーザー識別子(ユーザーID)及びパスワードを登録済ユーザーのアカウントデータと照合してユーザー認証を行う(
図2「3」)。ユーザー認証がパスできた場合は、管理サーバー装置300は、ユーザーIDと機器IDの組から1件のデバイス管理データを生成し、これを記録保持する(
図2「4」)。デバイス管理データの新規登録が終了した後、管理サーバー装置300は、管理アプリ登録リクエストの送信元である閲覧端末100に「登録完了」通知を返信する(
図2「5」)。「登録完了」通知を受けた閲覧端末100の管理アプリは、ユーザーIDと機器IDを、管理アプリの中の所定の記憶領域に書き込む(
図2「6」)。この結果、以後のユーザー操作でコンテンツが選択されたときにコンテンツを閲覧表示させる機能が有効(管理アプリが活性化された状態)となる。
【0038】
図5は
図2「4」で生成されるデバイス管理データ392を説明する図である。デバイス管理データ392はユーザーID192とそのユーザーが使用する閲覧端末を特定するデバイスID191を組にした記録である。電子コンテンツ配信システム1が購入した電子書籍を閲覧する端末を複数台まで許容する場合は、同一のユーザーID192に対して異なるデバイスIDを対応させたデバイス管理データ392が許容台数分まで生成される可能性がある。管理サーバー装置300は生成された全てのデバイス管理データ392を記憶領域に保持管理する。
【0039】
次に
図3を参照して、登録済(活性化済)管理アプリによるコンテンツの購入と購入電子書籍の閲覧操作を説明する。閲覧端末100上で管理アプリを起動すると、管理アプリは、管理アプリの中の所定の記憶領域に書き込まれている機器IDと閲覧端末100に固定されている機器ID(IMSIの場合には、SIMカード内に記録された識別情報)を照合し、一致する場合には、初期登録画面以外の機能が有効になる(
図3「1」)。ユーザーは、電子コンテンツ配信システム1の管理サイト(または管理サイトとは異なる書店サイトでもよい)において電子書籍を購入する。購入対象電子書籍の識別情報とともに、図示しない決済処理の機能により、購入対象である電子書籍の代金がユーザーにより支払われる(支払われた)ことを確認したことを表す情報を含む購入電子書籍リクエストが、管理サーバー装置300に受領される(
図3「2」)。前記情報は、例えばクレジット払いの場合には、クレジット会社から応答される情報である。電子マネー決済の場合には、電子マネーにより支払いが正常に終了したことを表す情報である。
【0040】
管理サーバー装置300は、購入対象電子書籍の識別子(コンテンツ識別子)から電子書籍の書誌情報を得て、さらに、購入ユーザーのユーザーID,ユーザー端末のデバイスIDを含むコンテンツ管理データを作成する(
図3「3」)。管理サーバー装置300は、コンテンツ管理データをファイルとしたコンテンツ管理ファイルとコンテンツデータ自体を閲覧端末100に返信する(
図3「4」、「5」)。
図6は
図3「3」で生成されるコンテンツ管理データ394の説明図である。コンテンツ管理データ394は、購入者のユーザーID3941、購入者が使用するデバイスID3942、購入した電子書籍の識別子(コンテンツ識別子)および該電子書籍のタイトルや著者情報を含む書誌情報3943、閲覧制限情報3944などを含む。後に説明するが購入電子書籍の貸し借りはこの閲覧制限情報3944の値を操作して実現する。
【0041】
図4は、閲覧端末100が1つの電子書籍を購入し、ダウンロードし終わった状態を示した図である。閲覧端末100の不揮発記憶領域には、管理アプリの他に購入した電子書籍のコンテンツデータ(内容自体)とコンテンツデータと対になるコンテンツ管理ファイルが保持されている。この状態で、ユーザーが管理アプリを起動し、購入電子書籍をリスト表示させ、閲覧するための選択指示をすると、管理アプリは管理アプリの中の所定の記憶領域に書き込まれている機器ID(d1)とユーザーID(u1)とを、選択された電子書籍に対応付けられるコンテンツ管理ファイルに設定された機器ID(dk),ユーザーID(uk)を照合して、両者とも一致する場合に限り当該電子書籍のデータ形式に対応したビュワープログラムを呼び出す。いずれか一つでも一致しない場合はビュワープログラムを呼び出さずに処理を中止する。このようにして、正規購入ユーザーの登録端末以外では電子書籍の閲覧ができないように制御する。
【0042】
実際には、管理アプリは、コンテンツデータ(内容自体)とコンテンツデータと対になるコンテンツ管理ファイルの組合せが正当なものかどうかの検証も行い、コンテンツ管理ファイルの不正偽造対策も行っている。そのためには、管理アプリは、コンテンツ管理ファイルを取得した直後に、同ファイルにコンテンツデータの一部を使用した「コンテンツの整合性確認」に使用する情報を作成し、整合性確認情報としてコンテンツ管理ファイルに書き込む処理を行うということもしている。
【0043】
次に、このような電子コンテンツ配信システム1において、購入電子書籍を家族や友人など電子書籍購入者に近しい他人へ貸し出す手順を説明する。
図15は、購入電子書籍を貸し出す手順をもっとも単純化して説明するブロック図である。購入電子書籍の貸出し/借入れの概略手順は次の5つの段階を経て実行される。
第1の段階:貸方が貸し出す側の端末Aにて貸し出す準備を行う。
第2の段階:近接通信により、貸し出す側の端末Aが借入れる側の端末Bから借方ユーザのユーザ識別子と端末Bのデバイス識別子を取得する。近接通信としては、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication:登録商標)等を利用できる。
第3の段階:貸方が端末A上で貸出す電子書籍のコンテンツ管理データ(端末Bが使用するコンテンツ管理データ)を作成する。
。
第4の段階:貸方端末Aから、貸出し電子書籍のコンテンツデータと上記コンテンツ管理データが端末Bに近接通信により転送される。
第5の段階:借方の端末Bにて借入れる電子書籍の入手・閲覧を行う。
以下、これら5つのステップを詳しく説明して行くが、本実施形態では、貸出し先ユーザー(借方ユーザー)は既に電子コンテンツ配信システム1の登録ユーザーであることを前提とする。まず、
図10に従って説明する。
【0044】
(基本の貸出し/借入れ手順)
図10は第1の段階から第5の段階を詳細に説明するシーケンス図である。貸出し側ユーザーは使用するユーザー端末Aで管理アプリを動作させ、購入電子書籍を貸し出す手順を開始する指示を行うとともに、貸出し対象の電子書籍を指定する(S501)。管理アプリは指定された電子書籍のコンテンツ識別子(以下、貸出し対象電子書籍のコンテンツ識別子をCIDにより表すことがある)を特定し、該電子書籍のコンテンツ管理データを読み出して貸出し制限情報を確認する。もし貸出しできない電子書籍である場合は、その旨の表示を出力して処理を中断する。そうでない場合は次に進む(S503)。尚、貸出し制限情報については後述する。貸し出しに支障がない場合は管理アプリは、CIDで特定される貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データを一定期間閲覧不可能とする内容のコンテンツ管理データに置き換える。その結果、対象電子書籍は端末A上で一定期間閲覧不可能となる(S507)。ただし、端末A上で対象電子書籍の存在は認識されるので、購入電子書籍のリスト表示や書棚表示には貸し出し中の状態表示とともに表示される。また、このとき、CIDで特定される貸出し対象電子書籍を管理アプリの貸出しの準備のための処理により所定の期間閲覧不可としたことを証明するデータである閲覧不可証明が管理アプリ内に一時記憶される。閲覧不可証明にはCID,閲覧不可期間の情報が含まれる。以上が第1の段階の動作である。
【0045】
なお、上記S503における貸出し制限情報の確認であるが、一の実施形態においては、電子書籍毎に発行者等が事前に指定する貸出し許容回数の上限を設定し(この情報は書誌情報に設定される)、一方で購入電子書籍毎に貸出しが行われるたびに貸出し回数をカウントすることとして、S503において、貸出し許容回数以内かどうかを検査して、許容回数に達しているときは貸出しを行わせないように動作する。この場合、貸出し許容回数の上限と貸出し回数は、例えばコンテンツ管理データにその記録を保持させておくようにしてもよい。あるいは、
図8に示すような貸出し回数を管理するライセンス管理データ396を購入電子書籍毎にコンテンツ管理データとは別に管理してもよい。尚、貸出し回数をこのように管理する場合は、登録ユーザ毎、または購入電子書籍毎に貸し出し処理を行える閲覧端末を固定する方式をとれば、複数の端末間で貸出し回数情報の同期をとる必要がなくシステムをシンプルに実現できて望ましい。
【0046】
次に、管理アプリは近接通信機能を有効に働かせる。端末Aに備えられる無線通信部108は近接通信手順により接続可能な相手を検索し始める(S510)。一方借方ユーザが使用する端末である端末Bにおいては、借方ユーザは、管理アプリのメニューから電子書籍借入れのメニューを選択する(S601)。すると管理アプリは、端末Bに備えられる近接通信機能を働かせ、無線通信部108は近接通信手順により接続可能な相手を検索し始める(S610)。端末Aと端末Bが互いに相手を認識し、近接通信の手順に定められた識別子情報等を交換すると、近接通信の接続が確立する(S512,S612)。この後、端末Bの管理アプリは端末Bのデバイス識別情報と借方ユーザーの識別子(KID)を送信する(S614)。端末Aはこれを受信する(S514)。以上で第2の段階まで進んだことになる。
【0047】
端末Bのデバイス識別情報と借方ユーザーの識別子(KID)を受領した端末Aの管理アプリは、貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データの複製を作り、これを元に借方ユーザが端末Bで対象電子書籍を閲覧するためのコンテンツ管理データを作成する(S520)。
図6に示したように、コンテンツ管理データ394は、購入者のユーザーID3941、購入者が使用するデバイスID3942、購入した電子書籍のタイトルや著者情報を含む書誌情報3943、閲覧制限情報3944などを含む。S520では、貸出し対象電子書籍のコンテンツ管理データの複製データにおいて、ユーザーID3941の項に貸方ユーザID(KID)を、デバイスID3942の項に端末Bのデバイス識別情報を、閲覧制御情報3944の項には、貸出し期限に基づく閲覧が可能な期限の日時情報を書き込んで、借方ユーザが端末Bで対象電子書籍を閲覧するためのコンテンツ管理データとする。
図16は、このとき作成されるコンテンツ管理データを説明する図である。このコンテンツ管理データ394kは、借入れ手続データ399に対応する貸出し管理レコード398の内容に基づいて作成される。購入者のユーザーID3941kには借入れ側ユーザーのユーザー識別子を、購入者が使用するデバイスID3942kには借方DIDを、購入した電子書籍のコンテンツ識別子、タイトル、著者情報を含む書誌情報3943kは、対象電子書籍のコンテンツ管理データの該当する書誌情報を書き写す。閲覧制限情報3944kには貸出し期限3985に基づく制限情報を記録する。(貸方ユーザーの登録端末が端末A1台の場合には、閲覧制限情報3944kには貸出し期限3985で示される期日=端末Aで閲覧ができない時間の終端日時とすればよい。しかし後述するように、貸方ユーザーの登録端末が複数台存在する場合は、閲覧制限情報3944kには貸方端末Aで閲覧ができない時間の終端日時よりもずっと前の日時を指定する。詳細は後述する。)このほか、実施態様によっては対象電子書籍の内容データのダウンロード要求先URL3945kを含む。(これも対象電子書籍のコンテンツ管理データの該当する箇所をコピーする。)
【0048】
次に、貸出し側ユーザーの管理アプリは、1件の貸出し記録レコード399を作成し、記憶部109に記録する(S522)。貸出し記録レコード399は、貸出す側の端末(この場合は端末A)上で、電子書籍を貸出した事実の記録を残すためのものである。
図14は1件の貸出し記録レコード399を説明する図である。貸出し対象のコンテンツ識別子(CID)の記録欄3991、借方ユーザの識別子(KiD)の記録欄3992、借方端末(この場合は端末B)のデバイス識別子(DID)の記録欄3993、貸出し日時の記録欄3994を含む。以上で第3の段階まで進んだことになる。
【0049】
この後は、再び近接通信にて、S520で作成したコンテンツ管理データを端末Bに送信する(S530,S630)。次に端末Aから貸出し対象電子書籍のデータとS507で作成した閲覧不可証明データを送信する(S532)。端末Bでは、これらのデータを受信し、閲覧不可証明データを検証し、正当性が確認できれば、これらのデータを所定の記憶領域に記録する(S622)。端末Bでは、コンテンツ管理データに設定された閲覧期限まで借入れた電子書籍を閲覧可能となる(S624)。
【0050】
閲覧不可証明を検証する手順としては、例えば次のような手順を用いることができる。閲覧不可証明はS507で更新された端末Aのコンテンツ管理データのコピーを所定の暗号鍵で暗号化したものとする。端末Bでは受け取った閲覧不可証明を復号し、復号したデータが貸出し対象電子書籍を一定期間閲覧不可能とする内容になっていれば、閲覧不可証明の検証が正常に行われたこととする。または、閲覧不可証明としては、端末B用に作成したコンテンツ管理データを所定のハッシュ関数により処理したハッシュ値を用いることとする。この場合、閲覧不可証明の検証は、端末B側で、受取ったコンテンツ管理データを同じハッシュ関数にかけてハッシュ値を求め、これが閲覧不可証明として受信したデータと一致すれば、閲覧不可証明の検証が正常に行われたこととする。いずれにせよ、
図10における近接通信による端末AB間のデータの転送はそれぞれの端末の管理アプリの制御の下で動作されるので、受取った閲覧不可証明が端末Aの管理アプリで正常に処理されたものという確認ができればよいものと考える。
【0051】
(貸出し/借入れ手順2:貸方ユーザーの登録端末全てを閲覧不可とする場合)
以上説明した手順は、貸方ユーザーの登録端末が1台の場合には合理的な手順であるが、貸方ユーザーの登録端末が2台以上ある場合は、貸方ユーザーの全ての登録端末で貸出し電子書籍を閲覧不可とすべきである。以下の説明では、貸方ユーザーは端末A以外の登録端末として端末A2、A3を所有している場合を説明する。なお、以下の説明で端末A2,A3を追加端末ということもある。
【0052】
この場合においても、端末Aにおける操作手順と端末Bにおける操作手順は
図10で説明した手順でありこれまで説明したことと同じである。但し、貸方ユーザーがすべての登録端末で貸出し電子書籍を不可とする処理(=電子書籍貸し出し処理)をしてからでないと、端末Bで電子書籍の借り入れ閲覧ができないという手順では使い勝手が悪いので、端末Bは端末Aとの間だけで対象電子書籍の貸出し借入れ処理(S501からS622までの処理)を行うことができ、借入れ処理が終わればすぐに電子書籍の閲覧が可能となることが好ましい。そこで、S520において、借入れ(貸出し)電子書籍用のコンテンツ管理データ394を作成する際、端末Aの管理アプリは、閲覧制限情報3944kには、貸方端末Aで閲覧ができない時間の終端日時よりもずっと前の日時を指定する。例えば、貸出し開始が2012年9月16日で、本来の貸出し期限(=貸出し管理レコード398の貸出し期限3985の値=第1の所定の期間)が同年10月15日の場合に閲覧制限情報3944には、同年9月18日と設定する。同年9月18日は第1の所定の期間より短い第2の所定の期間の一例である。これは、借方ユーザーには当初はごく短い期間の仮の閲覧資格を与えて、貸方ユーザーが全ての登録端末において貸出し処理を完了したことが確認された後で本来の閲覧期間を与えることを意図している。このごく短い期間の仮の閲覧期間は、貸方ユーザーが追加端末での貸出し処理を怠った場合でも、借方での電子書籍閲覧は3日目以降は不可能とすることで貸方と借方が同時に対象電子書籍を閲覧可能な状態になることを実質的に回避している。この当初設定される仮の閲覧期間は、利便性を考慮してのことであるが、貸方ユーザーが追加端末での貸出し処理を完了するまでに要する時間に見合って設定する。(不必要に長い期間とすることは著作権上の問題を生じさせることになる。)
【0053】
図11は貸方ユーザーの登録端末が2台以上ある場合において、ユーザー端末Aが貸出し電子書籍を端末B送信後(
図10のS532以降)に行うことができる、追加端末で行う処理手順を説明するシーケンス図である。
【0054】
貸方ユーザは管理アプリのメニューから今貸し出した電子書籍を指定して貸出し登録のメニューを選択する。管理アプリはコンテンツ識別子をキーに保持している貸出し記録レコード399を検索し、その電子書籍に対応する貸出し記録399を抽出する。管理アプリは399の記録に基づき、管理サーバー装置300に格納する貸出し管理レコード398を作成する(S540)。ここで、貸出し管理レコード398の貸出し期限3985は貸出し記録399の貸出し日時3994に基づき、本来の貸出し期限(貸出し日時から第1の所定の期間経過した日時)を設定する。
【0055】
貸出し管理レコード398は、ユーザ端末A,A2,A3,およびユーザ端末Bの間でコンテンツ貸出しに関する情報を共有するために必要な情報を保持するためのものである。
【0056】
図9(a)は、1件の貸出し管理レコードのデータ構造を説明する図である。1件の貸出し管理レコードは、貸出し管理レコードの通し番号3980(KKNo)、貸し出す側のユーザー識別子3981(貸方UID)、電子書籍ID3982、借り入れる側のユーザー識別子3983(借方UID)、借り入れるユーザーが借入れリクエスト時に用いる認証情報である貸出し用パスワード3984(貸出し用Pwd)、貸出し期限となる日時3985(貸出し期限)、借方ユーザーが用いる端末(端末B)のデバイスID3986(借方DID)、閲覧不可証明が検証済の貸方DID(貸出し済貸方DID)3987の各項目を含む。貸出し済貸方DID3987には、貸出し登録リクエストを発信するユーザー端末AのデバイスIDが設定される。このうち貸出し管理レコードの通し番号3980はサーバでデータベースに登録された際にデータベースが自動的に付与する通し番号なので、端末Aで準備している段階では空欄である。
【0057】
貸出し管理レコード398を準備した端末Aの管理アプリは、このデータにS507で作成した閲覧不可証明を添えて、貸出し管理レコードの新規登録リクエストとしての貸出し登録リクエストを管理サーバー装置300に発信する(S542)
管理サーバー装置300はこのリクエストを受けると(S800), レコードの通し番号(KKNo)を付けて貸出し管理記録の1件としてデータベースに登録する(S802)。番号KKNoは貸出し管理レコードの登録が正常終了したことを示す応答データとして管理サーバー装置300から端末Aに返信される(S802)。これを受信した端末Aは、この貸出し処理に関わる貸出し情報399の所定の項目欄3995にKKNoを記録する(S544)。これにより端末A上の記録399と管理サーバー装置300上の記録との対応が取れることになる。KKNoとK認証(パスワード)は、貸出し管理記録が管理サーバー装置300に正常に記録されたことを示すために端末Aの表示部103に出力される(S550)。
【0058】
ここからは、
図17のシーケンス図に沿って説明する。
図17は、貸し出し追加処理を説明するシーケンス図である。S544で貸出し管理レコードのシリアル番号3980とパスワード3984を端末Aに受信した貸方ユーザーは、これを画面表示させて(S550)参照することにより、追加端末にて起動された管理アプリにおいて、シリアル番号3980とパスワード3984を入力して管理サーバー装置300宛に貸出し追加リクエストを発信する(S700)。管理サーバー装置300は貸出し追加リクエストを受信すると(S810)、シリアル番号3980とパスワード3984および追加端末のデバイスIDから、シリアル番号3980の貸出し管理レコード398の存在と、追加端末のデバイスIDをキーにデバイス管理データ392を検索して、追加端末の登録ユーザー識別子がその貸出し管理レコード398の貸方ユーザー3981に一致することを検証する(S812)。検証ができた場合は、管理サーバー装置300は、シリアル番号3980の貸出し管理レコード398の内容を参照して対象コンテンツ識別子(CID)を取得して、貸出し追加リクエストに対する応答として対象コンテンツ識別子(CID)を追加端末に返信する(S814)。尚、S812で貸出し管理レコードの検証ができなかった場合はエラーを返す。
【0059】
追加端末は対象コンテンツ識別子(CID)を受信すると、S507と同様な処理により対象電子書籍を追加端末で閲覧不可能な状態とする(S704)。そして貸出し管理レコードのシリアル番号3980とパスワード3984に閲覧不可証明を添えて貸出し手続リクエストを発行する(S706)。管理サーバー装置300はこの貸出し手続リクエストを受けると(S816)、閲覧不可証明が正当であることが確認できれば、シリアル番号3980の貸出し管理レコードの末尾に、追加端末のデバイスIDを記録して、この端末について対象電子書籍の閲覧不可設定済であることを記録する(S818)。
図9(b)は、ユーザー端末Aの他に二つの追加端末についてS818の処理が終わった状態の貸出し管理レコード398を模式的に表した図である。追加端末A2,A3に対して閲覧不可設定がすんだことを示す項目3988,3989が追加されている。管理サーバー装置300は、貸出し管理レコード398の更新が正常に終了した場合は、貸出し手続リクエストへの応答として、貸出し管理レコードのシリアル番号3980をはじめとする貸し出し管理レコード398の内容である3981−3986の項目の値を、正常終了を意味するフラグ値とともに追加端末に返信する。(更新が正常にできなかった場合はエラーを返す)。正常終了を受信した追加端末は、受領したデータに基づいて1件の貸出し記録399を生成し保持する(S708)。
【0060】
図22は、貸し出し追加処理の変形例を説明するシーケンス図である。次に、
図17のシーケンスの変形例である
図22を説明する。端末AにてS544までの手順を行った貸方ユーザーは、追加端末にて貸出し対象電子書籍を選択してその識別子CIDを一時記憶し、管理アプリのメニュー選択等により管理サーバー装置300宛に貸出し追加リクエスト2を発信する(S701)。貸出し追加リクエスト2には貸方ユーザ識別子(UID)と貸出し対象電子書籍の識別子(CID)が指定されるものとする。管理サーバー装置300は貸出し追加リクエスト2を受信すると(S811)、UID、CIDをキーにしてこの二つの識別子が一致する貸出し管理レコード398の存在を調べる(S813)。そのような管理レコードが存在しない場合または複数レコード存在する場合は貸出し追加リクエスト2に対する応答としてエラーを返す。該当する貸出し管理レコードが存在しなかった場合は電子書籍の選択ミスだった場合が考えられるので、貸方ユーザはS701をやり直せばよい。UID、CIDの二つの識別子が一致する貸出し管理レコード398が唯一存在する場合は、管理サーバー装置300は貸出し追加リクエスト2に対する正常応答として該貸出し管理レコード398のシリアル番号KKNoを返信する(S815)。
【0061】
追加端末は正常応答を受信すると、S507と同様な処理によりCIDにより特定される対象電子書籍を追加端末で閲覧不可能な状態とする(S705)。そして貸出し管理レコードのシリアル番号3980とパスワード3984に閲覧不可証明を添えて貸出し手続リクエストを発行する(S706)。以後の処理(S706,S816,S818,S708)は
図17と同じなので説明は省略する。
貸出し追加リクエスト2の利点は、追加端末の管理アプリの画面上で端末Aにより貸出したのと同じ電子書籍を選択するだけで貸出し追加の処理を始められるため、操作が容易であるということである。貸出したばかりの電子書籍を貸方ユーザが忘れることはないので、
図22の処理は追加端末だけで行える。
【0062】
図18は、借方ユーザー端末BのS624以降の動作手順を説明するシーケンス図である。
図10のS624の時点において、借方ユーザー端末Bには借入れた電子書籍のコンテンツデータと借入れた電子書籍のコンテンツ管理データ394がダウンロードされている。コンテンツ管理データ394には閲覧制限情報3944にS520で設定された当初の閲覧期限日時(第1の所定の期間より短い第2の所定の期間に基づく閲覧期限日時)が記録されている。したがって、ユーザー端末Bではこの閲覧期限日時を過ぎると、借入れ電子書籍が閲覧できなくなる(S640)。
【0063】
このとき、借方ユーザーは端末Bの管理アプリを操作して、貸出し状態問合せを管理サーバー装置300に発信することができる(S642)。ここで、貸出し状態問合せは第2の所定の期間(端末Bが保持するコンテンツ管理データ394kの3944kに記録されている)経過前は端末Bから発信できないこととし、貸出し状態問合せには、貸出し管理レコードを特定するために、貸方のユーザ識別子、借り入れた電子書籍のコンテンツ管理データ394kのコピー394m(394mから借入れた電子書籍のコンテンツ識別子,借方ユーザのユーザ識別子を特定可能)を指定するものとする。貸出し状態問合せを受けた管理サーバー装置300は(S830)、該当する貸出し管理レコード398が存在すれば記憶手段から読み出す(S832)。そして現在日時が貸出し管理レコード398の貸し出し期限3985に設定されている期限(=本来の期限)より前であるか後であるかを検査する。現在日時が貸し出し期限3985に設定されている期限(=本来の期限)の後であれば、もはや端末Bは借入れ電子書籍を閲覧することは不可能なので、「貸出し期限切れ」を意味するコードを問合せ元に返信する。そうでない場合は、管理サーバ装置300は、貸し出し側端末の状態を検査する(S834)。具体的には、貸出し管理レコード398の「貸出し設定済DID」の項目を全て読み出し、一方貸方ユーザーが登録している全てのデバイスをデバイス管理データを検索して確認する。このとき貸出し管理レコード398に貸方ユーザーが登録する閲覧端末の全てについての記録がなければ、応答情報として「貸出し終了」を設定する(S836)。この際、端末Bではもはや借入れ電子書籍を閲覧不可能となるため、借入れた電子書籍を返却したことと結果的には同じとなるため、管理サーバ装置300は、当該貸出し管理レコード398の返却日時の記録欄にその日時のデータを書き込んで「返却された」とする(S837)。
【0064】
一方、貸出し管理レコード398に貸方ユーザーが登録する全ての閲覧端末の記録が存在すれば、管理サーバー装置300は、コンテンツ管理データ394kのコピー394mの閲覧制限情報3944mを当初の日時より延長した日時(本来の日時=貸出し管理レコード398の貸し出し期限3985に設定されている期限)に書き換える(S838)。貸出し状態問合せへの応答情報としてこの書き換えられた394mを端末Bに返信する(S842)。
【0065】
端末Bは応答情報を受信する(S644)。応答情報が「貸出し期限切れ」または「貸出し終了」を表すデータである場合は何もしない。したがって、閲覧期限は最初に設定された閲覧期限日時のままであり、既にこの期限を過ぎている場合は端末Bではもはや借入れ電子書籍を閲覧できない。応答情報がコンテンツ管理データ394kのコピー394mの場合には、394mをコンテンツ管理データとして置き換える(S648)。その結果、端末Bは延長された期限(本来の期限)まで借入れ電子書籍の閲覧が可能となる。
【0066】
以上説明した手順によれば、借方ユーザーは、貸方ユーザーが端末Aにおいて貸出し対象電子書籍を閲覧不可としたことによって、まず仮の期間(第2の所定の期間)、借入れ電子書籍を閲覧することが可能となり、貸方ユーザーが全ての登録端末について貸出し対象電子書籍を閲覧不可とした後は、借方ユーザーは貸出し状態問合せを行うことにより本来の貸出し期間(第1の所定の期間)の間借入れ電子書籍を閲覧することができる。
【0067】
以上、本願発明のコンテンツ管理方法による購入電子書籍を家族や友人など電子書籍購入者に近しい他人へ貸し出す手順を電子コンテンツ配信システム1の端末−サーバー装置間の処理シーケンスにより説明した。次に、説明した処理シーケンスを実現する閲覧端末装置100、管理サーバー装置300を説明する。
【0068】
図12は、電子コンテンツ配信システム1の閲覧端末装置100のハードウエア構成と記憶部の内容を説明する図である。閲覧端末装置100は、少なくとも、CPU101と、表示部103と、入力検知部102と、電子カメラ104と、スピーカー106と、電源部107と、記憶部109と専用プログラムとを備える。CPU101と、表示部103と、入力検知部102と、電子カメラ104と、マイク105と、スピーカー106と、記憶部109とは、BUS199で接続される。
【0069】
CPU101は、中央演算装置である。表示部103は、液晶表示器や有機EL表示器などである。入力検知部102は、タッチセンサーである。入力検知部102は、入力操作する者の指が画面に触れた時の位置を検知して、座標情報を出力する。
表示部103とタッチセンサーとにより、タッチパネルを構成する。なお、入力検知部102は、キーボタンでもよい。電源部107は、二次電池である。電源部107は、他の回路に電源を供給する。
【0070】
閲覧端末装置100は、無線通信部108を備える。無線通信部108は、W−CDMA方式の無線通信機能を備える。W−CDMA方式は、国際電気通信連合(ITU)が定める通信規格「IMT−2000」に準拠した第3世代移動通信システムの一つの無線通信形式である。無線通信部108は、アンテナコイルを接続した無線発振回路(RF回路)である。無線発振回路は、無線信号をデータに変換する受信回路、および、データを無線信号に変換する送信回路などから構成されている。無線信号は、アンテナコイルを経由して基地局600と送受信される。あるいは、無線通信部108はIEEE802.11/g/b/n規格準拠の無線通信(WI−FI通信)機能を備えるものとしてもよい。前者の場合には第3世代移動通信網上に設置されるゲートウェイを通じてインターネット網に接続可能となる。後者の場合には適当なアクセスポイントを通して直接インターネット網に接続される。
無線通信部108はさらに、BlueTooth(登録商標)等の近接通信機能も備える。
【0071】
記憶部109は、半導体メモリーや磁気メモリーである。記憶部109は、オペレーティングシステム185(=OS)と、WEBブラウザー184と、デバイスID格納領域1091と、電子書籍管理アプリ格納領域1093と、コンテンツ格納領域1095と、専用プログラムとを記憶する。
【0072】
オペレーティングシステム185は、閲覧端末装置100のハードウェア(たとえば、CPU101と、表示部103と、入力検知部102と、ネットワーク通信部108と、記憶部109と、その他など)を管理・制御して、応用ソフトウエア(たとえば、WEBブラウザー184や電子書籍用管理アプリ193、専用プログラムなど)に対して、これらのハードウェアを利用できるようなサービスを提供する基本ソフトウエアである。
【0073】
WEBブラウザー184は、インターネット上のアクセス先のWebサーバーと通信して取り寄せたリソース(たとえば、HTMLで記述されたテキスト、画像など)を表示閲覧するプログラムである。また、WEBブラウザー184は、表示閲覧されたテキスト、画像などに対する入力操作(テキストの入力やハイパーリンクの選択など)を受け付ける。
【0074】
デバイスID格納領域1091は、デバイスIDデータ191を書き換え不能に格納する。デバイスIDとしてIMSIを利用する場合はSIMカードがデバイスID格納領域1091の役割を果たす。
電子書籍管理アプリ格納領域1093は、デバイスID(d1)とユーザーID(u1)の記録を内蔵する電子書籍管理アプリ193を格納する。ビュワー格納領域1092は、各種電子書籍のフォーマットに応じて内容(コンテンツデータ)をレンダリングするビューワープログラを格納する。コンテンツ格納領域1095は、電子書籍393(電子書籍の内容データであるコンテンツデータのファイル)とコンテンツ管理データ394を格納する。
貸出し記録格納領域1096は、貸出し記録レコード399を記録保持する記憶エリアである。
【0075】
電子書籍管理アプリ193は、様々な機能を発揮するコンピュータプログラムモジュールが集まったものである。それらのプログラムモジュールとは、
インストール直後の管理アプリの初回起動画面にユーザーが入力したユーザーID、パスワード等管理アプリ活性化手続きに必要な情報を受付けると管理アプリ中に予め指定されたインターネットアドレス宛に管理アプリ登録リクエストを発信し(
図2「2」の処理)、その応答として管理サーバー装置300から返信される登録完了通知を受けて管理アプリの活性化処理(
図2「6」として説明した)を行う登録設定機能モジュール、
特定の電子書籍を購入する意思表示を管理サーバー装置300に対して発信させ(
図3「2」で説明した処理)、その応答としてのコンテンツ管理ファイルを受け取る処理、および受領したコンテンツ管理ファイルをチェックして、電子書籍内容ファイルのダウンロード要求先アドレスを取得して、ダウンロード要求を行い最終的に電子書籍内容ファイルを受領すると、コンテンツ管理ファイルおよび内容ファイルをコンテンツ格納領域1095に収める処理(
図3「4」、「5」に対応した処理)を行うコンテンツ取得機能モジュール、
図10および
図11で説明した閲覧端末100側の処理、すなわちS501〜S550を実行するコンテンツ貸出し機能モジュール、
図10で説明した借方ユーザーの閲覧端末Bの処理、すなわちS601〜S622を実行するコンテンツ借入れ機能モジュール、
起動時のデバイスIDによる照合(
図3「1」で説明した処理)、ユーザーが購入した電子書籍の一覧表示、書棚表示、選択された電子書籍のデバイス管理データに記録されたユーザーID、デバイスIDと内臓記録しているユーザーID、デバイスIDとの照合(
図4「6」で説明した処理)、選択された電子書籍に適したビュワーの呼び出し、その他の処理を行う管理機能モジュール、等である。
【0076】
図13は、管理サーバー装置300の詳細な構成図である。管理サーバー装置300は、CPU301と、表示部303と、入力部302と、ネットワーク通信部304と、記憶部309と専用プログラムとを備える。CPU301と、表示部303と、入力部302と、ネットワーク通信部304と、記憶部(記憶手段)309とは、BUS399で接続される。
【0077】
CPU301は、中央演算装置である。表示部303は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。入力部302は、たとえば、マウスやキーボードである。ネットワーク通信部304は、LANアダプターである。
【0078】
記憶部309は、半導体メモリーや磁気メモリーである。記憶部309は、オペレーティングシステム385(=OS)と、公知のデータベース管理プログラム383と、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)によるリクエストメッセージを受けると要求されるリソース(HTMLファイル、画像ファイル、サーバープログラムの実行結果等を返信する公知のWebサーバプログラム384と、幾つかの専用プログラムとを格納する。また、記憶部309は、コンテンツ格納領域3091と、登録ユーザー格納領域3094と、デバイス管理格納領域3095と、ビューワー格納領域(図示しない)、を有する。
【0079】
コンテンツ格納領域3091は、コンテンツ識別子により特定される電子書籍の内容データファイルのダウンロード要求先情報を含む書誌情報データベースと電子書籍ファイル(内容データ)を格納する。実施形態によっては、管理サーバー装置300は書誌情報データベースのみ扱う。
【0080】
ビューワー格納領域3093は、ビューワーを格納する。登録ユーザー格納領域3094は、ユーザー認証用データ395を含むユーザーアカウント情報を記録する登録ユーザーレコードを格納する。デバイス管理格納領域3095は、デバイス管理データ392を1件のレコードとして全ての登録デバイスのレコードを格納する。
図7にユーザー認証用データ395を示す。ユーザ−ID3951、認証情報3952、その他の情報を含む。
【0081】
オペレーティングシステム385は、管理サーバー装置300のハードウェアを管理・制御して、応用ソフトウエア(たとえば、データベース管理プログラム383や専用プログラムなど)に対して、これらのハードウェアを利用できるようなサービスを提供する基本ソフトウエアである。
【0082】
データベース管理プログラム383は、データベースを構成するファイルや、ファイル中のデータ(=レコード)に対して、操作(たとえば、検索・読み出し・更新・削除など)、保守、管理をする公知のプログラムである。本発明に於いては、上述した書誌情報データベースのほか、登録ユーザーレコードと、デバイス管理レコードと、ビューワーインストールデータ391は、データベース管理プログラム383の機能により管理データベースとしてデータベース化され、専用プログラムから検索・参照される。
【0083】
この他に、CPU301に解釈実行されることによって、デバイス管理登録手段320、電子書籍配付手段330、貸出し登録手段340、返却照会応答手段310、返却日登録手段350、貸出し追加手段360、借入れ継続手段370として機能する専用プログラムを備える。これらの専用プログラムは、以下の説明では、「CPU301に解釈実行されることによって○○手段として機能するプログラム」という意味で簡略に「○○手段」を用いる。これらの専用プログラムは、管理サーバー装置300がHTTPリクエストを受けるとWebサーバプログラム384を仲立ちとして呼び出される。
【0084】
デバイス管理登録手段320は、管理サーバー装置300が閲覧端末100から送信された管理アプリ登録リクエストを受けると起動される。管理アプリ登録リクエストに指定された登録ユーザーIDのユーザー認証を行う処理(
図2「3」)と、認証されたユーザーIDと、受信したビューワーリクエストのデバイスIDと、を対応付けたデバイス管理データを作成して、作成したデバイス管理データを管理データベースに登録して記録する処理(
図2「4」)と、登録完了通知をビューワーリクエスト元の閲覧端末100に返信する処理(
図2「5」)と、を実行する。
【0085】
電子書籍配付手段330は、管理サーバー装置300が閲覧端末100により送信された購入電子書籍リクエストを受けると起動される。購入対象電子書籍の識別子から該電子書籍のの書誌情報を得て、さらに、購入ユーザーのユーザーID,ユーザー端末のデバイスIDを含むコンテンツ管理データを作成し(
図3「3」)、コンテンツ管理データをファイルとしたコンテンツ管理ファイルとコンテンツデータ自体を閲覧端末100に返信する(
図3「4」、「5」)。または、ある実施形態では、コンテンツ内容データ(コンテンツデータ)のダウンロード要求先アドレスをコンテンツ管理データに含ませてコンテンツ管理ファイルを作成し、コンテンツ管理ファイルのみを返信する。
【0086】
貸出し登録手段340は、管理サーバー装置300が閲覧端末100が送信した貸出し登録リクエストを受けると起動される。管理サーバー装置300は、閲覧端末100が送信した貸出し登録リクエストを受けて、貸出し管理レコードの作成と記録(S802)、およびリクエスト元へのシリアル番号KKNoの返信(S802)を行う。
図13に図示していないが、生成された貸出し管理レコード398は記憶部309内の所定の領域に格納保持される。
【0087】
貸出し追加手段360は、管理サーバー装置300が閲覧端末100により送信された貸出し追加リクエストを受ける(S810)と起動される。指定された番号の貸出し管理レコードが存在するかどうか調べ、存在が確認された場合は、対象電子書籍のコンテンツ識別子をリクエスト元に返信する(S814の処理)。引き続いて、同じリクエスト元から閲覧不可証明を伴った貸出し手続リクエストを受けると、受信した閲覧不可証明が、S814で返答したコンテンツ識別子で特定される電子書籍についての閲覧不可証明であるかどうか、および、定められたアルゴリズムに基づく処理により前記リクエストに含まれる閲覧不可証明データの正当性を検証し、正当なものであることが検証できた場合は、指定された番号の貸出し管理レコードを更新する。貸出し管理レコードの更新が正常に終了した場合は正常終了をリクエスト元に返信する(
図17で説明したS816〜S818の処理)。
【0088】
別の実施形態では、貸出し追加手段360は、閲覧端末100から送信された貸出し追加リクエストの代わりに貸出し追加リクエスト2を受ける(S811)と起動されるように構成してもよい。この場合は、指定されたコンテンツ識別子と(貸方)ユーザ識別子で特定される貸出し管理レコードが存在するかどうか調べ、存在が確認された場合は、その貸出し管理レコードのシリアル番号KKNoをリクエスト元に返信する(S815の処理)。引き続いて、同じリクエスト元から閲覧不可証明を伴った貸出し手続リクエストを受けると、受信した閲覧不可証明が、S811で受信したコンテンツ識別子で特定される電子書籍についての閲覧不可証明であるかどうか、および、定められたアルゴリズムに基づく処理により前記リクエストに含まれる閲覧不可証明データの正当性を検証し、正当なものであることが検証できた場合は、指定された番号の貸出し管理レコードを更新する。貸出し管理レコードの更新が正常に終了した場合は正常終了をリクエスト元に返信する(
図12のS816〜S818の処理)。
【0089】
借入れ継続手段370は、管理サーバー装置300が閲覧端末100が送信した貸出し状態問合せを受けると起動される。貸出し状態問合せで指定された番号の貸出し管理レコードを読み出して貸出し側ユーザーの登録端末の状態をチェックして、全ての貸出し側ユーザー登録端末において対象電子書籍についての閲覧不可設定がされている場合には閲覧期限を本来の期限に延長したコンテンツ管理データを作成して応答情報としてリクエスト元への返信を行うが、そうでない場合は貸出し終了を意味する内容を応答情報としてリクエスト元への返信を行う(
図19で説明したS830〜S842の処理)。
【0090】
返却日登録手段350は、管理サーバー装置300が閲覧端末100が送信した返却日登録リクエストを受けると起動される。指定された番号の貸出し管理レコードに指定された返却日を書き入れる。返却日照会応答手段310は、閲覧端末100が送信した返却日問合せを受けると起動される。指定された番号の貸出し管理レコードを参照して返却日の記録があるかどうか検査して、その結果(返却済、未返却)を問合せ元に返信する。
【0091】
なお、電子コンテンツ配信システム1が1登録ユーザーが登録できる閲覧端末を1台までと限定する場合や、当初期間の貸し出し期間終了後の借方の貸出し期間延長を許容しない場合には、貸出し追加手段360、借入れ継続手段370を省略した構成の管理サーバー装置300も可能である。
【0092】
図13では、記憶部309の中にコンテンツ格納領域3091が設けられているが、管理サーバー装置の構成は様々に可能であり、電子書籍ファイルやビュワープログラムが管理サーバー装置300上ではなくインターネット上の別の場所に格納されていてもかまわない。このほか本願発明の実施形態で記載した内容は本発明の技術思想を分かりやすいように具体的な形で説明したものに過ぎないから、本願発明は実施形態の項で記載した事項に必ずしも限定されるわけではない。例えば、管理サーバー装置300は1台のサーバーコンピュータで構成されるとして説明しているが、管理サーバー装置の機能は複数のサーバーコンピュータにより構成される形態でもかまわない。閲覧端末装置100は第3世代より後の高速移動体通信技術によりネットワーク2に接続されてもよい。また、閲覧端末100は有線通信でネットワーク2に接続されてもよい。
【0093】
(電子書籍を貸出し満了前に返却する手順動作:貸方登録端末1台の場合)
図19は、貸方登録端末が1台の場合の、借方ユーザーが借入れたコンテンツを貸出し期間満了前に返却する場合のシーケンス図である。貸方ユーザ端末(端末A)では、管理アプリにおいて返却受入れメニューが選択され、近接通信検索状態となる(S560)。借方ユーザ端末(端末B)では、借入れ電子書籍を選択して返却メニューが選択されると、近接通信検索状態となる(S660)。相互に相手端末を認識すると接続が確立され(S562,S662)、その後、借入れ電子書籍のコンテンツ管理データが端末Bから端末Aに送信される(S564、S664)。端末Bでは、コンテンツ管理データの送信が正常に終了したことを確認すると、当該コンテンツ管理データを削除する。この結果、端末Bでは借入れ電子書籍の閲覧はもはや不可能となる。引き続き、借入れ電子書籍の内容データや、付随するデータを削除する(S668)。一方端末Aでは、受信したコンテンツ管理データに記録されるコンテンツ識別子を検査して、(貸出したどの電子書籍が返却されたか確認し)その識別子に対応する貸出し記録レコード399を削除する(S566)。返却された電子書籍のコンテンツ管理データ(貸出されたためインアクティヴ状態となっていた)を通常の有効状態に戻す(S568)。この結果、端末Aでは対象電子書籍に関しては(を除き)貸出し前の状態に戻る。端末Bにおいても対象電子書籍について借入れ前の状態に戻る。
【0094】
(電子書籍を貸出し満了前に返却する手順動作:貸方登録端末複数台の場合)
貸方登録台数が複数台の場合の、借方ユーザーが借入れた電子書籍を貸出し期間満了前に返却する場合のシーケンスは、端末Bと端末Aの間のやりとりに関しては全段落の説明と一点を除いて同じである。相違する1点とは、ステップS566において、返却動作の対象となるコンテンツ識別子に対応する貸出し記録レコード399を削除するのではなく返却日の日時データおよび「返却済」を意味するステータス値を設定するということである。その後の端末A上での操作を
図20により説明する。
【0095】
(電子書籍を貸出し満了前に返却する手順動作:貸方登録端末複数台の場合)
図20は、借方端末(端末B)から貸出した電子書籍を返却された端末Aがその状態を管理サーバー装置300に通知する手順を説明するシーケンス図である。端末Aのアプリは、所定のタイミングで「返却済」状態の貸出し記録399が存在するかどうかを検査し、存在する場合には、これを管理サーバ装置300に通知するかどうかを利用者に確認する画面表示を行う(S580,582)。利用者からの通知する旨の意思表示を受けた管理アプリは、返却日時、貸出し管理レコードを特定する番号KKNo、ユーザ識別子を含む返却日登録リクエストを発信する(S584)。同リクエストを受けた管理サーバー装置300は(S850)、KKNoで指定される貸出し管理レコードの存在を確認し(S852)、
存在する場合は、その管理レコードの返却日時欄に返却日時を記録する(854)。管理サーバー装置300は返却日時の記録ができた場合は正常終了をリクエスト元に返す。(それ以外の場合は異常終了を返す。)正常終了を受けた端末Aはこの時点で当該「返却済」状態の貸出し記録399を削除する(S586)。
【0096】
(電子書籍を貸出し満了前に返却する手順動作:貸方登録端末複数台の場合)
図21は、端末A以外の貸方の端末A2,A3(追加端末)の操作を説明するシーケンス図である。端末Aに貸出した電子書籍が返却されたことを知っている貸方ユーザーは、追加端末上で任意のタイミングで、管理サーバー装置300に対し、KKNo、コンテンツ識別子、ユーザ識別子を含む返却問合せリクエストを発行する(S722)。管理サーバー装置300は、同リクエストを受信する(S860)と、貸出し管理レコード398の存在を調べ(S862)、存在する場合は、返却日の記録の有無を検査する(S864)。返却日の記録がある場合は「返却済」を返信する(S866)。返却日の記録がない場合は「未返却」を返信する(S868)。この応答を受けた(S724)追加端末は、応答が「返却済」なら、当該電子書籍のコンテンツ管理データを閲覧可能な状態設定に戻す(S728)。そして対応する貸出し記録レコード399を削除する(S730)。以上の処理により追加端末上では、追加貸出しする前の状態に戻る。尚ステップS724で「未返却」の応答を受けた場合は、ステップS728,S740の処理は行わない。
【0097】
(返却処理の変形)
図19において、端末BでS664を行う前にS666およびS668を実行し、対象電子書籍に関する削除証明を作成して置き、S664において、借入れ電子書籍のコンテンツ管理データを返す代わりに、対象電子書籍の識別子および削除証明を端末Aに返信する。端末Aでは、受信した削除証明の正当性を検査し、正当と認められる場合には対象電子書籍の識別子に基づいてS566、S568を実行し、さらに、返却日登録リクエスト(S582)の際に、端末Bが作成した借入れ電子書籍の削除証明も添えて返却日登録リクエストを行い。管理サーバー装置300はS852の後、削除証明の正当性チェックを行い(S853)、削除証明が正当であると認められた場合に返却日の記録を行う(S854)としてもよい。ここで削除証明は、借入れ電子書籍返却処理のために管理アプリにより正常に処理されたことを証明するデータである。作成手順、正当性検証手順は閲覧不可証明と同様に考えることができる。