【0012】
まず、
図1(a)に示すように、出発ロッド部20の周囲に例えば四塩化珪素(SiCl
4)からなるガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子堆積体10を形成し、多孔質ガラス母材1を作製する。具体的には、原料ガスである四塩化珪素(SiCl
4)と、燃料ガスである水素ガス(H
2)および酸素ガス(O
2)等を用いて加水分解反応若しくは熱酸化反応によりガラス微粒子を生成し、出発ロッド部20の外周にガラス微粒子を堆積させる。
【0017】
穿孔工具としては、筒状部材の先端にダイアモンド等で形成されるヘッドが取り付けられたものが用いられる。穿孔工具の筒部の内径は穿孔時の出発ロッド部20bの外径D
0’よりも大きいものであることが好ましい。出発ロッド部20bと周囲の透明ガラス体10bとの界面にはガラス微粒子堆積体10を形成する際に発生するOH基などの不純物が付着している。また、出発ロッド部20b自体も不純物を含んでいる。穿孔後に出発ロッド部20bの部分が残るとOH基などの不純物に起因する伝送ロスが生じるため、穿孔時の出発ロッド部20bの外径D
0’を穿孔工具の筒部の内径よりも小さくなるようにして出発ロッド部20bの部分を完全に除去することが必要である。
【0021】
また、式(1)のうち、「α」は以下の式(2)で表されるものであり、焼結される際のガラス微粒子堆積体10の軸方向における収縮率を示す。
【数2】
・・・式(2)
L(mm):ガラス微粒子堆積時の出発ロッド部20のロッド長
L’(mm):焼結後の出発ロッド部20aのロッド長
【実施例】
【0023】
異なる外径D
0を有する複数の出発ロッド部20を用いて
図1(a)〜(d)に示す製造方法にて複数のガラス管1cを製造し、それぞれのガラス管1cにおけるロス良好率を測定した結果を表1に示している。表1に示すように、穿孔工具の内径D
2が11.8mmであり、焼結される際のガラス微粒子堆積体10の収縮率αが0.8である場合、式(1)は、D
0≦19.44となる。
そこで、式(1)を満たす実施例1〜3として、焼結前の出発ロッド部20の外径D
0を17.0〜19.0mmとして作製されたガラス管1cを用いて光ファイバ用ガラス母材を製造し、これを線引して得られた光ファイバについて評価を行った。また、式(1)を満たさない比較例1〜5として、焼結前の出発ロッド部20の外径D
0を19.5〜23.0mmとしたガラス管1cについて、同様に評価を行った。
なお、本実施形態における「ロス良好率」とは、波長1550nmの場合の伝送損失が0.175dB/km以下である割合を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
その結果、表1に示すように実施例1〜3においては、ロス良好率がいずれも100%であったが、比較例1〜5においては、ロス良好率が0〜85%であった。
【0026】
以上より、式(1)の関係を満たしている実施例1〜3においては、出発ロッド部20bの部分を完全に除去することができるため、伝送ロスの発生を抑制できることが確認された。
【0027】
次に、実施例4〜8および比較例6〜8として、出発ロッド部20の平均フッ素添加濃度とガラス微粒子堆積体10を焼結した部分であるガラス管部(透明ガラス体10a,10b)の平均フッ素添加濃度との差(以下、「フッ素添加濃度の差」という)、および出発ロッド部20bの部分を穿孔して除去する際にガラス管1cに割れが生じる確率(以下、「ガラス管割れ発生率」という)を比較した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
表2に示すように、出発ロッド部20のフッ素添加濃度を1.20〜0wt%の各値とし、ガラス管部(透明ガラス体10a,10b)のフッ素添加濃度を1.05wt%として、フッ素添加濃度の差に基づく、穿孔時のガラス管割れ発生率を比較評価した。
その結果、フッ素添加濃度の差が−0.15〜0.75wt%である実施例4〜8においては、ガラス管割れ発生率は0〜0.5%であった。
一方、フッ素添加濃度の差が0.84〜1.05wt%である比較例6〜8においては、ガラス管割れ発生率は45〜100%であり、実施例4〜8と比べてガラス管割れ発生率が大幅に上がった。
【0030】
以上より、ガラス管割れ発生率をほぼ0%に抑えるためには、フッ素添加濃度の差を0.8wt%以下とすることが好適であることが確認された。
【0031】
以上説明した本実施形態に係るガラス管1cの製造方法によれば、フッ素が添加されたガラスロッドが出発ロッド部20として用いられているため、出発ロッド部20とガラス管部との間の熱膨張率の差を最小限にすることができ、出発ロッド部20とガラス管部との界面における歪みの発生を抑えることができる。これにより、穿孔工具による穿孔の際に生じる割れの発生を抑制することができる。
【0032】
また、焼結・延伸後の出発ロッド部20bの外径が穿孔工具の内径よりも小さく設定されていることで、出発ロッド部20bの部分を穿孔工具により完全に除去することができ、出発ロッド部20bの残留による伝送ロスの発生を抑制することができる。
【0033】
さらに、出発ロッド部20の平均フッ素添加濃度とガラス管部の平均フッ素添加濃度との差を0.8wt%以下とすることで、穿孔の際のガラス管1cの割れの発生を有意に抑制することができる。
【0034】
以上において本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものでなく、必要に応じて他の構成を採用することが可能である。
【0035】
例えば、上記実施形態においては、ガラス微粒子堆積体10の焼結時にフッ素を添加したが、スス付け時にフッ素を添加してもよい。また、細径の出発ロッド部20の周囲にガラス微粒子を堆積させる方法としては、VAD法(気相軸付け法)でもよいし、OVD法(外付け法)、MMD法(多バーナ多層付け法)などの他のガラス母材の製造方法でもよい。