特許第6015309号(P6015309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015309
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ステアリングホイール内表示装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20161013BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B62D1/06
   B60R16/027 T
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-216598(P2012-216598)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69671(P2014-69671A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】安原 真史
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 秀則
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−012597(JP,A)
【文献】 特開平09−066841(JP,A)
【文献】 特開2004−148911(JP,A)
【文献】 特開2008−072963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
B60R 16/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の自動運転に関する情報を呈示するステアリングホイール内表示装置であって、
前記車両に実装されるステアリングホイールの車両前側の全周のうち、少なくとも一部の領域に設置された発光素子と、
前記車両が自動運転中であること、または前記ステアリングホイールが回転していることが外部から視認できるように、前記発光素子を発光させる発光制御部と、
を有することを特徴とするステアリングホイール内表示装置。
【請求項2】
前記発光制御部は、前記ステアリングホイールの全周のうち、予め定めた一部の領域に配置された発光素子だけを発光させることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール内表示装置。
【請求項3】
前記発光制御部は、前記ステアリングホイールの回転に依らず、外部から見て一定の基準位置から前記ステアリングホイールに沿って前記回転の方向へ伸びる領域であって、前記ステアリングホイールの回転角度に応じてその広さが変化する領域に在る発光素子を発光させることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール内表示装置。
【請求項4】
前記発光制御部は、前記ステアリングホイールが回転している時に、外部から見て前記ステアリングホイールが回転する方向へ発光位置が移動するように、前記発光素子を発光させることを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール内表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動運転に関する情報を呈示するステアリングホイール内表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライバが運転操作(オーバーライド)した場合に自動運転から手動運転に切り替える自動運転車両制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の自動運転車両制御装置は、自動運転の目標進路を生成し、目標進路と実際の車両進路との差が閾値未満であり、オーバーライドが検出されていない場合、手動運転から自動運転に切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−51441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動運転車両制御装置によれば、自動運転と手動運転とを切り替えることはできるが、車両が現在、自動運転中であるか否かを車内或いは車外にいる者へ報知することはできない。
【0005】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、車両の自動運転に関する情報を、車内或いは車外に居る者から見て分かり易く呈示するステアリングホイール内表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わるステアリングホイール内表示装置は、車両に実装されるステアリングホイールの車両前側の全周のうち、少なくとも一部の領域に設置された発光素子を備え、車両が自動運転中であること、またはステアリングホイールが回転していることが外部から視認できるように、発光素子を発光させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のステアリングホイール内表示装置によれば、車両の自動運転に関する情報を、車内或いは車外に居る者から見て分かり易く呈示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)は、本発明の第1実施形態に係わるステアリングホイール内表示装置が装備されたステアリングホイール1aの全体を示す外観図である。図1(b)は、図1(a)のA−A切断面に沿ったホイール本体11の断面図である。
図2図2は、ステアリングホイール1aに装備されたステアリングホイール内表示装置10の構成を示すブロック図である。
図3図3は、具体的な自動運転の状況に沿った、ステアリングホイール内表示装置10の動作の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係わるステアリングホイール内表示装置が装備されたステアリングホイール1bの全体を示す外観図である。
図5図5は、図4のステアリングホイール1bの回転角が45°の時の発光状態を示す外観図である。
図6図6は、図4のステアリングホイール1bの回転角が90°の時の発光状態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0010】
図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係わるステアリングホイール内表示装置が装備されたステアリングホイール1aの構成を説明する。ステアリングホイール内表示装置は、ステアリングホイール1aが実装される車両の自動運転に関する情報を呈示する。自動運転に関する情報には、車両が自動運転中であることを示す情報、及びステアリングホイール1aが回転していることを示す情報が含まれる。図1(a)は、ステアリングホイール1aを正面(運転者側)から見た時の外観図である。
【0011】
ステアリングホイール1aは、図示しないステアリングシャフトの先端に固定されるロッド12と、ロッド12により支持されたホイール本体11とを備える。ホイール本体11は、ロッド12の外側に配置され、円形の形状を有する。
【0012】
ステアリングホイール1aが回転中心CTを中心として回転することにより、当該回転がステアリングシャフトに伝わり、車輪の向きが変化する、つまり転舵操作が行われる。車両が自動運転中である場合、転舵操作の主体は、車両が備えるステアリング駆動手段(図示省略)である。
【0013】
図1(a)は、車両が直進する時のステアリングホイール1aの向きを示す。この時のステアリングホイール1aの角度を0°とする。図1(a)の矢印UDは鉛直上方を示す。ホイール本体11の全周のうち、鉛直上方を含む一部の領域、及び鉛直下方を含む他の一部の領域に、複数の発光素子13がそれぞれ設置されている。具体的には、ホイール本体11の全周のうち、鉛直上方を含む角度D1の領域、及び鉛直下方を含む角度D2の領域にそれぞれ、ホイール本体11に沿って溝21a、21bが形成され、複数の発光素子13が溝21a、21bの中にそれぞれ配列されている。
【0014】
ホイール本体11はアルミニウムを削り出すことにより形成され、ホイール本体11上の溝21a、21bも、同様に削り出しにより形成されている。
【0015】
発光素子13は、例えば発光ダイオード(LED)からなる。発光素子13は、光の三原色(RGB)を発光可能な発光ダイオードからなり、各色の発光をその割合を変えて混合することにより、様々な色を表すことが可能である。
【0016】
第1実施形態においては、予め定めた、鉛直上方及び鉛直下方を含む領域にのみ、発光素子13が配置され、それ以外の領域には配置されていない。なお、複数の発光素子13がホイール本体11に沿って一例に配列されているが、2列以上に配列されていても構わない。
【0017】
図1(b)は、図1(a)のA−A切断面に沿ったホイール本体11の断面図である。ホイール本体11の運転者側に溝21aが形成されている。溝21aの底部にLED基板15が固定され、LED基板15上に発光素子13の一例である発光ダイオードが設置されている。そして、溝21aは、発光素子13の上方において拡散板14により封止されている。発光素子13から射出される光は、拡散板14を通じてホイール本体11外部へ放出される。これにより、運転者側に居る者は容易に発光素子13の発光を視認することができる。なお、溝21bの構成は溝21aと同じであり、説明を省略する。
【0018】
図1(b)では、運転者側にホイール本体11の溝21aが形成され、運転者側に向けて発光素子13が発光する例を示したが、これに限らず、図1(b)において運転者側とは角度が180°異なる、つまり車両進行方向側に溝が形成され、車両進行方向側に発光するようにしても構わない。或いは、ステアリングホイール1aの回転中心CTから最も遠いホイール本体11の位置に溝を形成し、ステアリングホイール1aの半径方向に発光するようにしても構わない。また、上記した複数の方向に形成された溝を組み合わせて実施しても構わない。これによって、より広い範囲に向けて、自動運転に関する情報を発信することができる。
【0019】
図2を参照して、ステアリングホイール内表示装置10の構成を説明する。ステアリングホイール内表示装置10は、ステアリングホイール1aに内蔵されている。ステアリングホイール内表示装置10は、複数の発光素子13と、複数の発光素子13を個別に駆動するLEDドライバ16と、複数の発光素子13の発光を個別に制御するマイコン17とを備える。本発明の「発光制御部」は、「マイコン17」に相当する。
【0020】
マイコン17には、ステアリングホイール内表示装置10の動作に必要な電源、及び自動運転に関する情報としてCAN(Controller Area Network)情報が入力される。CAN情報には、車両が自動運転中であることを示す情報、車両がセキュリティモードであることを示す情報、ステアリングホイール1aの回転方向及び回転角度、シフトポジション情報が含まれる。
【0021】
次に、車両が自動運転中であること、及びステアリングホイール1aが回転していることが外部から視認できるように、発光素子13を発光させる発光制御の一例について説明する。
【0022】
マイコン17は、車両が自動運転中である時に、ホイール本体11の全周のうち、鉛直上方を含む一部の領域、及び鉛直下方を含む他の一部の領域に設けられた発光素子13を発光させる。車両が自動運転中でない時、例えば、手動運転中である場合、発光素子13を発光させない。これにより、車両が自動運転中であることを視認することができる。また、ステアリングホイール1aの全周のうち、予め定めた一部の領域に配置された発光素子13を発光させることによって、ステアリングホイール1aの回転に伴って、発光している発光素子13の位置も回転する。これにより、ステアリングホイール1aが回転していることが外部から視認することができる。また、ステアリングホイール1aが回転する方向も外部から視認することができる。このようにして、マイコン17は、車両が自動運転中であること、及びステアリングホイール1aが回転していることが外部から視認できるように、発光素子13を発光させることができる。
【0023】
なお、発光素子13の発光させ方として、時間の経過において輝度を変えずに一定の輝度で発光させる方法、或いは、時間の経過において特定の周期で輝度を変えながら発光させる方法が挙げられる。また、発光させる色は何れでも構わない。更に、時間の経過において色を変化させても、色を変化させなくても構わない。
【0024】
本発明の第1実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0025】
車両が自動運転中であること、及びステアリングホイール1aが回転していることが視認できるように、発光素子13の発光を制御することにより、自動運転に関する情報を、車内或いは車外に居る者から見て分かり易く呈示することができる。
【0026】
マイコン17は、ステアリングホイール1aの全周のうち、特定の領域に配置された発光素子13だけを発光させることによって、ステアリングホイール1aの回転に伴って、発光している発光素子13の位置も回転する。これにより、ステアリングホイール1aが回転していることが外部から視認することができる。また、ステアリングホイール1aが回転する方向も外部から視認することができる。
【0027】
(実施例)
次に、図3を参照して、具体的な自動運転の状況に沿った、ステアリングホイール内表示装置10の動作の一例を説明する。ここでは、車両が自動運転のもとで並列駐車処理を行い、その後、セキュリティモードを経て、再び自動運転で初期位置まで移動する例を示す。
【0028】
先ず、運転者は、自動運転を開始する初期位置まで手動運転にて車両を移動させる。この時、マイコン17は、CAN情報から手動運転であることを認識し、発光素子13を発光させない。
【0029】
その後、運転者による切り替え操作により、車両が手動運転から自動運転に切り替わる(ステップS01)。これにより、車両運転の主導権は、運転者から車両へ移行する。マイコン17は、CAN情報から、自動運転への切り替わりを認識する。そして、ステップS02において、マイコン17は、ホイール本体11の全周のうち、鉛直上方を含む一部の領域、及び鉛直下方を含む他の一部の領域に設けられた発光素子13を発光させる。これにより、車両が自動運転中であることを外部から視認することができる。例えば、マイコン17は、時間の経過と共に輝度が一定周期で変化するように発光素子13を単色(例えば白色)で発光させる。
【0030】
ステップS03において、車両は、自動運転のもと、車両前方に歩行者を検知する。検知手段は、特に問わず、カメラ画像の解析、レーダー或いはソナー等を用いることとができる。マイコン17は、CAN情報から歩行者検知を認識し、総ての発光素子13或いは一部の発光素子13を、注意を喚起する色、例えば赤色で発光させる。これにより、自動運転に係わる情報の一例である歩行者検知の情報を、分かり易く呈示することができる。マイコン17は、赤色の発光を、歩行者を検知している間だけ続け、歩行者を検知しなくなれば、自動運転を示す白色の発光へ戻す。
【0031】
その後、ステップS04において、車両は、自動運転のもと、並列駐車処理を実行する。詳細には、先ず、車両は、カメラ画像の解析、レーダー或いはソナー等を用いて、並列駐車枠を認識する。車両は、障害物に衝突せずに、並列駐車枠まで移動するための目標軌跡を設定する。そして、車両は、目標軌跡に沿って移動するために、前進及び後退を制御し、同時に、車両が備えるステアリング駆動手段を用いてステアリングホイール1aの回転を制御する。
【0032】
このような並列駐車処理において、マイコン17は、鉛直上方を含む一部の領域、及び鉛直下方を含む他の一部の領域に設けられた発光素子13を発光させる。これにより、ステアリングホイール1aが回転していることを外部から視認することができる。また、ステアリングホイール1aが回転する方向も外部から視認することができる。なお、ステアリングホイール1aが回転しているときだけ、輝度を増減させずに、一定の輝度のまま発光させても構わない。これにより、自動運転のもとでステアリングホイール1aが回転していることを更に分かり易く呈示することができる。
【0033】
並列駐車枠までの移動が完了すると、ステップS05において、車両は、自動運転からセキュリティモードへ移行し、車両に近づく不審者を監視する。ステップS06において、マイコン17は、CAN情報からセキュリティモードへの移行を認識し、発光素子13を、時間の経過と共に輝度が一定周期で変化するように、注意を喚起する色、例えば赤色で発光させる。
【0034】
ステップS07において、車両に近づく不審者を検知した場合、ステップS08に進み、マイコン17は、発光素子13の輝度を変化させる周期を短くする。これにより、不審者を検知したことを、外部に対して分かり易く呈示することができる。周期の短縮と同時に、最大輝度を大きくしてもよい。ステップS07において、車両に近づく不審者を検知しない場合、ステップS14へ進む。
【0035】
ステップS09において、不審者が車両に更に接近した場合、ステップS10に進み、車両は、運転者が所有するスマートフォンなどの携帯端末に向けて不審者の接近を示す情報を送信する。当該情報を受信した運転者は、ステップS11において、携帯端末を用いて、不審者に対する警告を車両に対して指示する。ステップS12に進み、車両はカーアラームを発し、マイコン17は、警告の指示をCAN情報により認識し、発光素子13の輝度を変化させる周期を更に短くする。これにより、不審者に対して警告を発していることを、外部に対して分かり易く呈示することができる。なお、周期の短縮と同時に、最大輝度を更に大きくしてもよい。ステップS09において、不審者が車両に更に接近しない場合、ステップS14へ進む。
【0036】
マイコン17は、短い周期での赤色の発光を、不審者を検知している間だけ続け、不審者を検知しなくなれば、通常の周期に戻す。
【0037】
ステップS14において、運転者の指示により、車両はセキュリティモードから自動運転に移行する。マイコン17は、自動運転への移行を受けて、時間の経過と共に輝度が一定周期で変化するように発光素子13を単色(例えば白色)で発光させる。車両は、並列駐車枠から初期位置まで自動運転により移動する。この際、マイコン17は、鉛直上方を含む一部の領域、及び鉛直下方を含む他の一部の領域に設けられた発光素子13を発光させる。初期位置まで移動した車両は、ステップS16において自動運転から手動運転に切り替わる。マイコン17は、発光素子13の発光を停止する。以上により、一連の自動運転の流れは終了する。
【0038】
(第2実施形態)
第2の実施形態におけるステアリングホイール1bは、図1(a)の構成に比べて、ホイール本体11の全周にわたって、発光素子13が設けられている点が相違し、その他の点について図1(a)と共通する。ステアリングホイール1bのホイール本体11には、その全周にわたって溝21cが形成されている。溝21cは、ステアリングホイール1bの回転中心CTを中心とする円形状を有する。溝21cの内部に、図1(b)と同じようにして、発光素子13が埋め込まれている。複数の発光素子13は、ホイール本体11の全周にわたって、ホイール本体11に沿って一列に配列されている。
【0039】
次に、図4のステアリングホイール1bを用いて、ステアリングホイール1bが回転していることが外部から視認できるように、発光素子13を発光させる発光制御の一例を説明する。なお、車両が自動運転中であることが外部から視認できるように、発光素子13を発光させる発光制御については、第1実施形態と同じであり説明を省略する。
【0040】
マイコン17は、ステアリングホイール1bの回転に応じて、発光させる発光素子13の位置をステアリングホイール1bの回転と逆の方向に移動させる。具体的には、ステアリングホイール1bの回転方向と逆の方向にステアリングホイール1bの回転角度と同じ角度だけ、発光させる発光素子13の位置を移動させる。これにより、ステアリングホイール1bの回転に依らず、外部から見て一定の基準位置に在る発光素子を発光させる。すなわち、ステアリングホイール1b上の発光位置をステアリングホイール1bの回転に依らず、固定することができる。ステアリングホイール1bの回転方向及び回転角度の情報は、CAN情報として取得することができる。
【0041】
鉛直上方を基準位置の一例とすると、図4に示す回転角0°の時に、鉛直上方に在る発光素子13Xを発光させる。図5に示す回転角45°(右方向を正とする)の時に、鉛直上方に在る発光素子13Yを発光させる。この時、当時に、マイコン17は、鉛直上方からホイール本体11に沿ってステアリングホイール1bの回転方向(右方向)へ伸びる領域であって、ステアリングホイール1bの回転角度に応じてその広さが変化する領域RG1に在る発光素子を発光させる。図5に示す例では、鉛直上方から右方向に並ぶ3つの発光素子13を発光素子13Yと共に発光させる。
【0042】
更に、図6に示す回転角90°の時に、鉛直上方に在る発光素子13Zを発光させる。これと同時に、鉛直上方から右方向に並ぶ9つの発光素子13を発光素子13Zと共に発光させる。図6において発光させる発光素子13が在る領域RG2は、図5における領域RG1よりも広い。つまり、ステアリングホイール1bの回転角度が大きくなるほど、発光させる発光素子13が在る領域を広くする。ここでは、右回転の例を説明したが、左回転の場合は、鉛直上方から左方向に並ぶ発光素子13を発光させればよい。
【0043】
このように、基準位置(鉛直上方)からステアリングホイール1bの回転方向へ伸びる領域であって、ステアリングホイール1bの回転角度に応じてその広さが変化する領域RG1、RG2に在る発光素子13を発光させる。これにより、ステアリングホイール1bの回転方向及びその角度に応じて、発光する発光素子13の位置及び領域が変化する。よって、ステアリングホイール1bが回転していることが外部から視認することができる。また、ステアリングホイール1bが回転する方向及び回転の角度も外部から視認することができる。
【0044】
また、マイコン17は、ステアリングホイール1bの回転に依らず、外部から見て一定の基準位置(鉛直上方)を基準として、領域RG1、RG2を制御している。よって、車内或いは車外に居る者は、外部から見て一定の基準位置(鉛直上方)を見ていれば、ステアリングホイール1bが回転する方向及び回転の角度も外部から視認することができる。よって、自動運転に関する情報を、車内或いは車外に居る者から見て分かり易く呈示することができる。
【0045】
更に、ステアリングホイール1bの向きが同じであっても、ステアリングホイール1bの回転角度を識別できる。例えば、ステアリングホイール1bの向きが図4に示す状態である時に、ステアリングホイール1bの回転角度が0°であるのか、或いは360°であるのかを容易に識別できる。
【0046】
(第3実施形態)
第3実施形態では、図4のステアリングホイール1bを用いて、第2実施形態とは異なる方法で、ステアリングホイール1bが回転していることが外部から視認できるように、発光素子13を発光させる発光制御の例を説明する。なお、車両が自動運転中であることが外部から視認できるように、発光素子13を発光させる発光制御については、第1実施形態と同じであり説明を省略する。
【0047】
マイコン17は、ステアリングホイール1bが回転している時に、外部から見てステアリングホイール1bが回転する方向へ発光位置が移動するように、発光素子13を発光させる。例えば、ステアリングホイール1bの回転角度が0°である場合、第2実施形態で述べた基準位置に在る発光素子13のみ或いは基準位置を含む一部の領域に在る複数の発光素子13のみを発光させる。ステアリングホイール1bが回転し始めた場合、その回転方向へ基準位置を移動させる。この時、基準位置を移動させる速度は、ステアリングホイール1bの回転速度に係わらず、一定の速度とする。これにより、ステアリングホイール1bが回転している時に、ステアリングホイール1bの回転速度に係わらず、発光位置を回転する方向へ一定の速度で移動させることができる。もちろん、鉛直上方のみを基準位置とすることに限定されず、その他のステアリングホイール1bの位置を基準位置としてもよい。また、同時に、複数のステアリングホイール1bの位置を基準位置としても構わない。これにより、複数の発光位置が、同じ方向に同じ速度で回転することになるので、ステアリングホイール1bが回転していることが外部から更に容易に視認することができる。
【0048】
以上説明したように、マイコン17は、ステアリングホイール1bが回転している時に、外部から見てステアリングホイール1bが回転する方向へ発光位置が移動するように、発光素子13を発光させる。これにより、ステアリングホイール1bが回転していることが外部から視認することができる。また、ステアリングホイール1bが回転する方向も外部から視認することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
第1実施形態に示した発光制御の例は、図4に示したように、ホイール本体11の全周に発光素子13が配置されているステアリングホイール1bであっても、実現可能である。具体的には、ホイール本体11の全周に設置された発光素子13のうち、一部の領域の発光素子だけを発光させることにより、第1実施形態に示した発光制御を実現することができる。
【0050】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【符号の説明】
【0051】
1a、1b ステアリングホイール
10 ステアリングホイール内表示装置
13、13X、13Y、13Z 発光素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6