(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1照射光が照射された第1領域により反射された反射光を受光して受光量を示す信号を検出する第1検出部と、前記第1照射光よりも照射範囲が狭い第2照射光が照射された第2領域により反射された反射光を受光して受光量を示す信号を検出する第2検出部とを備える画像形成装置のコンピュータを、
決められた方向に移動する媒体のうち前記第1領域を通過する第1部分に、当該方向に沿って予め決められた長さを有する複数の第1画像を、当該方向に沿って予め決められた第1間隔をあけてそれぞれ形成する第1画像形成部と、
前記媒体のうち前記第2領域を通過する第2部分に、前記方向に沿った長さが前記第1画像よりも短い複数の第2画像を、当該方向に沿って前記第1間隔よりも短い第2間隔をあけてそれぞれ形成する第2画像形成部と、
予め決められた濃度を基準とした濃度ずれ量の特定に用いる第3画像を前記第1部分に形成する第3画像形成部と、
前記第1領域を複数の前記第1画像が通過したときに前記第1検出部によって検出される前記信号に基づいて、前記第1部分において形成される画像の位置ずれ量を特定する第1特定部と、
前記第2領域を複数の前記第2画像が通過したときに前記第2検出部によって検出される前記信号に基づいて、前記第2部分において形成される画像の位置ずれ量を特定する第2特定部と、
前記第1領域を前記第3画像が通過したときに前記第1検出部によって検出された前記信号に基づいて、前記濃度ずれ量をそれぞれ特定する第3特定部
として機能させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
1−1.画像形成装置の全体構成
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の全体構成を示す図である。同図に示すように、画像形成装置1は、制御部11と、記憶部12と、現像部13Y,13M,13C,13Kと、転写部14と、加熱部15と、搬送部16と、操作部17と、検出部18とを備えている。なお、符号のY,M,C,Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーに対応した構成であることを意味している。現像部13Y,13M,13C,13Kのそれぞれは、用いるトナーが異なること以外に大きな差異はない。以下、現像部13Y,13M,13C,13Kのそれぞれを特に区別する必要がない場合には、トナーの色を示す符号末尾のアルファベットを省略して「現像部13」とする。
【0010】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有し、CPUがROMや記憶部12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読み出して実行することにより画像形成装置1の各部を制御する。
【0011】
操作部17は各種の指示をするための操作ボタンなどの操作子を備えており、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部11に供給する。
記憶部12はハードディスクドライブなどの大容量の記憶手段であり、制御部11のCPUに読み込まれるプログラムを記憶する。また、記憶部12は、媒体上に形成する画像を示す画像データなど種々のデータのほか、位置ずれ検出用の画像を示す画像データと濃度ずれ検出用の画像を示す画像データとを記憶する。
【0012】
搬送部16は、容器と搬送ロールとを有する。容器には、予め定められたサイズにカットされた、媒体としての用紙Pが収容される。容器に収容されている用紙Pは、制御部11の指示により搬送ロールによって1枚ずつ取り出され、用紙搬送路を経由して転写部14へと搬送される。なお、媒体は用紙に限らず、例えば樹脂製のシートなどであってもよい。要するに、媒体は、表面に画像を記録し得るものであればよい。
【0013】
各現像部13は、感光体ドラム31と、帯電器32と、露光装置33と、現像器34と、一次転写ロール35と、ドラムクリーナ36とを備えている。感光体ドラム31は電荷発生層や電荷輸送層を有する像保持体であり、図示しない駆動部により図中の矢印D13の方向に回転させられる。帯電器32は感光体ドラム31の表面を帯電させる。露光装置33はレーザ発光源やポリゴンミラーなど(いずれも図示せず)を備え、制御部11の制御の下、画像データに応じたレーザ光を、帯電器32により帯電させられた後の感光体ドラム31に向けて照射する。これにより、各感光体ドラム31には潜像が保持される。なお、上記の画像データは、制御部11が図示しない通信部を介して外部装置から取得したものであってもよい。外部装置とは、例えば原画像を読み取る読取装置や画像を示すデータを記憶した記憶装置などである。
【0014】
現像器34はY,M,C,Kのいずれかの色のトナーを含む現像剤を収容する。感光体ドラム31の表面で露光装置33により露光された部分、すなわち静電潜像の画線部に、現像器34から供給されるこれらのトナーが付着し、感光体ドラム31に画像が形成(現像)される。
【0015】
一次転写ロール35は転写部14の中間転写ベルト41が感光体ドラム31と対向する位置において予め定めた電位差を生じさせ、この電位差によって中間転写ベルト41に画像を転写する。ドラムクリーナ36は、画像の転写後に感光体ドラム31の表面に残留している未転写のトナーを取り除き、感光体ドラム31の表面を除電する。
【0016】
転写部14は、中間転写ベルト41と、二次転写ロール42と、ベルト搬送ロール43と、バックアップロール44とを備えており、現像部13によって形成された画像を、ユーザの操作に応じて決められた紙種の用紙Pに転写する転写部である。中間転写ベルト41は無端のベルト部材であり、その形状は環状である。ベルト搬送ロール43およびバックアップロール44はこの中間転写ベルト41を張架する。ベルト搬送ロール43およびバックアップロール44の少なくとも1つには駆動部(図示せず)が備えられており、中間転写ベルト41を図中の矢印D14方向に移動させる。すなわち、中間転写ベルト41は、環状の周方向であるこの矢印D14方向に移動する。なお、駆動部を有さないベルト搬送ロール43またはバックアップロール44は、中間転写ベルト41の移動に従動して回転する。中間転写ベルト41が図中の矢印D14方向に移動して回転することにより、中間転写ベルト41上の画像は、二次転写ロール42とバックアップロール44とに挟まれる領域に移動させられる。
【0017】
二次転写ロール42は、中間転写ベルト41との電位差によって、中間転写ベルト41上の画像を搬送部16から搬送されてきた用紙Pに転写する。ベルトクリーナ49は、中間転写ベルト41の表面に残留している未転写のトナーを取り除く。そして、転写部14または搬送部16は、画像が転写された用紙Pを加熱部15へと搬送する。なお、現像部13および転写部14は、本発明における媒体に画像を形成する画像形成手段の一例である。加熱部15は、加熱によってトナーを溶融し、用紙Pに転写された画像を定着させる。加熱部15を経て画像が定着した用紙Pは、搬送部16によって画像形成装置1の筺体外部に設けられた用紙置場に搬送される。
【0018】
検出部18は、中間転写ベルト41に形成された濃度ずれ検出用の画像または位置ずれ検出用の画像に光を照射してその反射光を受光し、受光した光に基づいて濃度ずれ量または位置ずれ量を特定する構成である。検出部18は、4つの現像部13の下流であって、中間転写ベルト41が二次転写ロール42とバックアップロール44とに挟まれる領域よりも上流に、中間転写ベルト41と対向するように配置されている。
【0019】
1−2.検出部の構成
図2は、検出部18の各構成の配置を示した図である。検出部18は、中間転写ベルト41の移動方向である矢印D14方向にほぼ直交する方向に並ぶ3箇所にそれぞれ配置された検出部を含む。これらの検出部は第1検出部81と第2検出部82の2種類である。第1検出部81は、濃度ずれ量の特定および位置ずれ量の特定に兼用される検出部である。第2検出部82は、位置ずれ量の特定に用いられる検出部である。
中間転写ベルト41の幅方向における中央には1つの第1検出部81が配置されている。また、中間転写ベルト41の幅方向における中央よりも右側および左側には、第2検出部82がそれぞれ1つずつ配置されている。つまり、第1検出部81は、いずれの第2検出部82よりも中間転写ベルト41の幅の方向における中央に近い位置に配置されている。
【0020】
中間転写ベルト41の幅方向における中央に対向する位置に配置された第1検出部81は、中間転写ベルト41の表面の第1領域A1に光を照射し、反射した反射光の光量などに基づいて位置ずれの量や濃度ずれの量を特定する。
中間転写ベルト41の幅方向における右側に対向する位置に配置された第2検出部82(82R)は、中間転写ベルト41の表面の第2領域A2(A2R)に光を照射し、反射した反射光の光量などに基づいて位置ずれの量を特定する。
中間転写ベルト41の幅方向における左側に対向する位置に配置された第2検出部82(82L)は、中間転写ベルト41の表面の第2領域A2(A2L)に光を照射し、反射した反射光の光量などに基づいて位置ずれの量を特定する。
【0021】
中間転写ベルト41は、表面に画像が転写された媒体(転写媒体)である。中間転写ベルト41は、上述した図示しない駆動部によって図中の矢印D14方向に移動させられて、検出部18に対向する位置を通過する。中間転写ベルト41のうち、第1領域A1を通過する部分は、
図2で示した第1部分P1である。中間転写ベルト41のうち、第2領域A2(A2L,A2R)を通過する部分は、
図2で示した第2部分P2(P2L,P2R)である。
【0022】
図3は、第1検出部81と第2検出部82との違いを説明するための図である。
図3(a)に示すように、第1検出部81は、第1領域A1に向けて第1照射光を照射する第1照射部811と、第1領域A1から反射した反射光を受光して受光量を示す信号を検出する第1受光部812とを備える。第1照射部811は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。第1受光部812は、例えばフォトダイオード(PD;Photodiode)である。第1受光部812は、第1照射部811から照射された第1照射光が第1領域A1において反射されたときの正反射光の光路上に設けられている。
【0023】
一方、第2検出部82は、照射部から照射領域までの間に光学系を備える点が第1検出部81と異なる。
図3(b)に示すように、第2検出部82は、第2領域A2に向けて第2照射光を照射する第2照射部821と、第2領域A2から反射した反射光を受光して受光量を示す信号を検出する第2受光部822とに加え、第2照射部821から第2領域A2までの間に設けられ、集光することにより第2照射光の光径を絞る光学系である集光部823を備える。第2照射部821は、例えばLEDである。第2受光部822は、例えばフォトダイオードである。第2受光部822は、第2照射部821から照射された第2照射光が第2領域A2において反射されたときの正反射光の光路上に設けられている。集光部823は、例えばレンズ、アパーチャ、およびこれらの組み合わせなどである。集光部823によって集束した第2照射光の照射範囲は、第1照射光の照射範囲よりも狭くなっている。
【0024】
図4は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、画像形成装置1の制御部11は、記憶部12、現像部13、転写部14、加熱部15、搬送部16、操作部17、および検出部18を制御する。記憶部12は、第1画像データ21、第2画像データ22、および第3画像データ23を記憶する。位置ずれ量の特定は、中間転写ベルト41の表面に形成された画像を検出するMOB(Marks On Belt)方式によって行われ、制御部11は、特定された位置ずれ量に基づいて感光体ドラム31の表面において露光装置33によって露光される静電潜像の位置を調整するように、現像部13を制御する。すなわち、制御部11は、特定された位置ずれ量に基づいて、媒体に形成する画像の位置を調整する位置調整部として機能する。
【0025】
第1画像データ21および第2画像データ22は、中間転写ベルト41の表面において形成される画像の位置ずれ量を特定するための画像を示す画像データである。
【0026】
第3画像データ23は、予め決められた濃度を基準とした濃度ずれ量の特定に用いる画像を示す画像データである。特定された濃度ずれ量は、自動濃度制御に用いられて、形成される画像の光学的濃度が調整される。自動濃度制御において、画像形成装置1の制御部11は、感光体ドラム31を帯電器32により決められた電位に一様帯電させ、露光装置33により基準となる電位のいわゆる濃度基準パッチを作成し、この濃度基準パッチを現像器34により現像した後、検出部18でその光学的濃度を検出する。そして制御部11は、検出結果に応じて現像剤中のトナー濃度、現像バイアス、露光量、帯電量等の画像濃度を決定するパラメータの制御を行う。すなわち、制御部11は、特定された濃度ずれ量に基づいて、媒体に形成する画像の濃度を調整する濃度調整部として機能する。なお、第3画像データ23の画像は、例えば、一辺が20mm(ミリメートル)の矩形内を基準濃度で埋め尽くすトナーによって形成される。
【0027】
1−3.画像データの構成
図5は、第1画像データ21と第2画像データ22の各画像を示す図である。
図5(a)に示す4つの矩形は、それぞれ第1画像データ21が示す画像(第1画像という)である。第1画像は、中間転写ベルト41の移動方向である矢印D14方向に沿った長さがL1である。現像部13により、転写部14の中間転写ベルト41の表面には、複数の第1画像が矢印D14方向に沿って予め決められた第1間隔G1を空けてそれぞれ形成される。
【0028】
図5(b)に示す6つの矩形は、それぞれ第2画像データ22が示す画像(第2画像という)である。第2画像は、中間転写ベルト41の移動方向である矢印D14方向に沿った長さがL2である。第2画像の矢印D14方向に沿った長さL2は、第1画像の長さL1よりも短い。例えば、長さL1は1.5mmであり、長さL2は1.0mmである。
そして、現像部13により、転写部14の中間転写ベルト41の表面には、複数の第2画像が矢印D14方向に沿って予め決められた第2間隔G2を空けてそれぞれ形成される。複数の第2画像間の矢印D14方向に沿った第2間隔G2は、複数の第1画像間の第1間隔G1よりも短い。例えば、第1間隔G1は1.5mmであり、第2間隔GL2は1.0mmである。
【0029】
1−4.画像形成装置の機能的構成
図6は、画像形成装置1の機能的構成を示す図である。制御部11は、第1画像形成部111、第2画像形成部112、第3画像形成部113、第1特定部114、第2特定部115、および第3特定部116として機能する。
【0030】
第1画像形成部111は、現像部13を制御して、決められた方向に移動する媒体のうち第1領域を通過する第1部分に、その方向に沿って予め決められた長さを有する複数の第1画像を、その方向に沿って予め決められた第1間隔をあけてそれぞれ形成する。すなわち、第1画像形成部111と現像部13とは、
図1に示した矢印D14方向に移動する転写媒体である中間転写ベルト41のうち、
図2に示した第1領域A1を通過する第1部分P1に、その方向に沿って予め決められた長さL1を有する複数の第1画像を、その方向に沿って予め決められた第1間隔G1をあけてそれぞれ形成する(
図5参照)。
【0031】
第2画像形成部112は、現像部13を制御して、上述した媒体のうち第2領域を通過する第2部分に、この媒体が移動する方向に沿った長さが第1画像よりも短い複数の第2画像を、その方向に沿って第1間隔よりも短い第2間隔をあけてそれぞれ形成する。すなわち、第2画像形成部112と現像部13とは、
図1に示した矢印D14方向に移動する中間転写ベルト41のうち、
図2に示した第2領域A2を通過する第2部分P2に、その方向に沿った長さL2が第1画像の長さL1よりも短い複数の第2画像を、その方向に沿って第1間隔G1よりも短い第2間隔G2をあけてそれぞれ形成する(
図5参照)。
【0032】
第3画像形成部113は、現像部13を制御して、予め決められた濃度を基準とした濃度ずれ量の特定に用いる第3画像を第1部分P1に形成する。
【0033】
第1特定部114は、第1領域A1を複数の第1画像が通過したときに第1検出部81によって検出される信号に基づいて、第1部分P1において形成される画像の位置ずれ量を特定する。
【0034】
第2特定部115は、第2領域A2を複数の第2画像が通過したときに第2検出部82によって検出される信号に基づいて、第2部分P2において形成される画像の位置ずれ量を特定する。
【0035】
第3特定部116は、第1領域A1を第3画像が通過したときに第1検出部81によって検出された信号に基づいて、濃度ずれ量を特定する。
【0036】
1−5.画像形成装置の動作
図7は、画像形成装置1の動作の流れを説明するためのフロー図である。画像形成装置1の制御部11は、利用者の操作を操作部17によって受け付け、操作があるか否かを判断する(ステップS101)。操作がないと判断した場合(ステップS101;NO)、制御部11は、この判断を継続する。操作があったと判断した場合(ステップS101;YES)、制御部11は、その操作が位置ずれ量の特定を指示する操作であるか否かを判断する(ステップS102)。受け付けた操作が位置ずれ量の特定を指示する操作であると判断した場合(ステップS102;YES)、制御部11は、記憶部12から第1画像データ21を読み出し、現像部13を制御して転写部14の中間転写ベルト41のうち
図2で示した第1部分P1にこの第1画像データ21に基づいた複数の第1画像を形成する(ステップS103)。第1画像は、中間転写ベルト41の移動方向に沿って長さL1を有し、複数の第1画像は、この移動方向に沿って第1間隔G1をあけてそれぞれ形成される。
【0037】
また、制御部11は、記憶部12から第2画像データ22を読み出し、現像部13を制御して転写部14の中間転写ベルト41のうち
図2で示した第2部分P2にこの第2画像データ22に基づいた複数の第2画像を形成する(ステップS104)。第2画像は、中間転写ベルト41の移動方向に沿って長さL1よりも短い長さL2を有し、複数の第2画像は、この移動方向に沿って第1間隔G1よりも短い第2間隔G2をあけてそれぞれ形成される。なお、ステップS103とステップS104とは順序が逆であってもよい。
【0038】
第1画像を形成した第1部分P1が第1領域A1を通過すると、制御部11は、第1検出部81に受光量を示す信号を検出させ、第2画像を形成した第2部分P2が第2領域A2を通過すると、制御部11は、第2検出部82に受光量を示す信号を検出させる(ステップS105)。そして、制御部11は、第1検出部81および第2検出部82によってそれぞれ検出される信号に基づいて、第1部分P1および第2部分P2において形成される画像の位置ずれ量を特定し(ステップS106)、処理を終了する。
【0039】
一方、操作部17で受け付けた操作が位置ずれ量の特定を指示する操作でないと判断した場合(ステップS102;NO)、制御部11は、この操作が濃度ずれ量の特定を指示する操作であるか否かを判断する(ステップS107)。上述した操作が濃度ずれ量の特定を指示する操作でないと判断した場合(ステップS107;NO)、制御部11は、その操作が示す指示に応じたその他の処理を実行し(ステップS111)、処理を終了する。
【0040】
上述した操作が濃度ずれ量の特定を指示する操作であると判断した場合(ステップS107;YES)、制御部11は、記憶部12から第3画像データ23を読み出し、現像部13を制御して転写部14の中間転写ベルト41のうち
図2で示した第1部分P1に、この第3画像データ23に基づいた第3画像を形成する(ステップS108)。第3画像を形成した第1部分P1が第1領域A1を通過すると、制御部11は、第1検出部81に受光量を示す信号を検出させる(ステップS109)。そして、制御部11は、第1検出部81によって検出される信号に基づいて、第1部分P1において形成される画像の濃度のずれ量を特定し(ステップS110)、処理を終了する。
【0041】
以上、説明した通り、画像形成装置1は位置ずれ量の特定と濃度ずれ量の特定を兼ねた検出部18を備えているので、これらのずれ量を特定する検出部をそれぞれ別々に備える画像形成装置に比べて、検出部18を配置するスペースが小さくて済む。そして、検出部18は、位置ずれ量の特定と濃度ずれ量の特定を兼ねているが、濃度ずれ量の特定を重視する第1検出部81と、位置ずれ量の特定を重視する第2検出部82とを備えているので、どちらか一方の精度を重視することにより他方の精度を犠牲にする必要がない。また、位置ずれ量の特定のために用いる画像が2種類用意されているので、この画像を1種類しか用意していない構成に比べて、各検出部によって特定される位置ずれ量の精度に差が生じ難くなる。
【0042】
なお、上記は濃度ずれ量の特性を重視したため、濃度ずれ量の特定を中央のみのセンサ(第1検出部81)で実施したが、両端のセンサ(第2検出部82)も濃度ずれ量の特定をするようにしてもよい。この場合、上述した第3画像形成部113は、第3画像を第1部分P1と第2部分P2の両方に形成すればよい。すなわち、上述したステップS108において、制御部11は、現像部13を制御して、転写部14の中間転写ベルト41のうち第1部分P1と第2部分P2とに第3画像をそれぞれ形成すればよい。
【0043】
また、第3特定部116は、第1領域A1を第3画像が通過したときに第1検出部81によって検出された信号と、第2領域A2を第3画像が通過したときに第2検出部82によって検出された信号とに基づいて、濃度ずれ量をそれぞれ特定すればよい。これにより、検出部18が濃度ずれ量を特定する周期を短くすることができる。
【0044】
さらに、位置ずれ量の特定を重視したセンサ(第1検出部81)によって、特にブラック(黒色)のトナー画像について、濃度ずれ量の特定に誤差が生じ易くなる場合に、中央のみのセンサ(第1検出部81)はブラックを含めた全色について濃度ずれ量を特定し、両端のセンサ(第2検出部82)はブラック以外の色の濃度ずれ量を特定するようにすれば、中央のみのセンサ(第1検出部81)で濃度ずれ量を特定する時間よりも短時間に処理を終了することができ、且つ、濃度ずれ量の特定の精度を犠牲にすることがない。
また、本実施例では、位置ずれ量の特定と、画像の位置を調整するサイクル(周期)と、濃度ずれ量の特定と、画像の濃度を調整するサイクル(周期)が操作パネル上の設定で実施されたが、この設定は、温度や湿度などを測定して環境に何らかの変化が生じたことを検知したときや、画像形成をした用紙の枚数が閾値に到達したとき、あるいは画像形成装置1の起動直後などのタイミングで自動に実施されてもよい。
【0045】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
2−1.変形例1
上述した実施形態において、現像部13は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類のトナーを用いていたが、例えばブラックのトナーだけを用いる構成であってもよい。この場合、現像部13は1つでもよい。
【0046】
2−2.変形例2
上述した実施形態において、検出部18は、中間転写ベルト41の表面に形成した画像が決められた領域に移動したときに、その領域から反射した反射光を受光して受光量を示す信号を検出していたが、受光する反射光は中間転写ベルト41といった転写媒体から反射した反射光に限られない。例えば、検出部18は、移動する用紙Pに形成された画像に光を照射して、その反射光を受光することで用紙Pにおける濃度ずれ量や位置ずれ量を特定してもよい。要するに、位置ずれ量を特定するための第1画像、第2画像、および濃度ずれ量を特定するための第3画像は、媒体に形成されればよい。
【0047】
2−3.変形例3
上述した実施形態において、第2検出部82が照射部から照射領域までの間に光学系を備えており、第1検出部81は、上述した光学系を備えていなかったが、第1検出部81もこの光学系を備えていてもよい。要するに、第1検出部81の第1照射部811から照射されて第1領域A1に到達するまでの第1照射光の光径よりも、第2検出部82の第2照射部821から照射されて第2領域A2に到達するまでの第2照射光の光径の方が絞られて、照射範囲が狭くなっていればよい。
【0048】
2−4.変形例4
また、上述した実施形態において、第2検出部82は、集光することにより第2照射光の光径を絞る集光部823を第2照射部821から第2領域A2までの間に備えていたが、さらに、第2領域A2から反射した反射光の光径を絞る集光部824(
図3(b)破線により図示)を備えていてもよい。この場合、集光部824は、第2領域A2から第2受光部822までの間に設けられていればよい。集光部824は、例えばレンズ、アパーチャ、およびこれらの組み合わせなどである。
【0049】
2−5.変形例5
上述した実施形態において、第1画像の長さL1は一律でそれぞれ1.5mmであり、第2画像の長さL2は一律でそれぞれ1.0mmであったが、これらは変化してもよい。要するに、第1画像の長さのうち最も短いものよりも第2画像の長さのうち最も短いものの方が短ければよい。また、上述した実施形態において、第1間隔G1は一律でそれぞれ1.5mmであり、第2間隔G2は一律でそれぞれ1.0mmであったが、これらは変化してもよい。要するに、第1間隔のうち最も短いものよりも第2間隔のうち最も短いものの方が短ければよい。
【0050】
2−6.変形例6
上述した実施形態において、第1画像および第2画像の形状はいずれも矩形であったが、これらの形状は矩形に限られない。例えば、中間転写ベルト41の移動方向に対して傾きを有する山形の形状(いわゆるシェブロンパターン)であってもよい。つまり、中間転写ベルト41といった媒体の移動方向に沿った第1画像の長さよりも、その移動方向に沿った第2画像の長さが短く、その移動方向に沿った第1間隔の長さよりも、その移動方向に沿った第2間隔の長さが短ければ、第1画像および第2画像の形状はどのようなものであってもよい。
【0051】
2−7.変形例7
上述した実施形態において、第2検出部82は、濃度ずれ量の特定にも用いられる検出部であって第1検出部81よりも位置ずれ量の特定を重視した構成であったが、位置ずれ量の特定のみに用いられる構成であってもよい。この場合、第3画像形成部113は、現像部13を制御して上述した第3画像を第1部分に形成すればよく、また、第3特定部116は、第1領域A1を第3画像が通過したときに第1検出部81によって検出された信号に基づいて濃度ずれ量を特定すればよい。
【0052】
2−8.変形例8
画像形成装置1の制御部11によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、例えばインターネットなどの通信回線を経由してダウンロードさせることも可能である。なお、上記の制御部11によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサなどが用いられる。