(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記目標位置算出部は、前記駐車区画線が前記駐車可能領域外に位置する場合、前記領域検出部による前記駐車可能領域の検出結果に加えて前記線検出部による前記駐車区画線の検出結果を用いて前記駐車目標位置を算出する請求項1または2に記載の駐車目標位置を算出する装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、駐車目標位置の算出に駐車区画線の検出結果を用いる場合には、駐車区画線が走行面に設けられていないと、駐車目標位置の設定ができない。また、一対の駐車区画線の片方の駐車区画線上に他車両が駐車している場合であっても、一対の駐車区画線の中間位置に駐車目標位置が設定されてしまうため、駐車目標位置が他車両に寄りすぎてしまう。
【0005】
一方、駐車目標位置の算出に駐車可能空間の検出結果を用いる場合には、他車両(障害物)が存在しなければ、駐車目標位置の設定ができない。また、他車両が駐車区画線に対して傾いて駐車していると、その傾きに合わせて駐車目標位置が駐車区画線に対して傾いて設定されてしまう。
【0006】
特許文献2では、駐車区画線の検出結果を用いる方法または駐車可能空間の検出結果を用いる方法を用いて駐車目標位置を設定している。しかしながら、駐車可能空間と駐車区画線との両方が検出された場合には、一対の駐車区画線の中間位置に駐車可能空間が設定されてしまうので、駐車目標位置が他車両に寄りすぎてしまう。
【0007】
この種の駐車支援装置では、一例として、駐車可能空間と駐車区画線との両方が検出された場合に、駐車目標位置が他車両に対して近くなりすぎることを抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の駐車目標位置を算出する装置は、車両が駐車可能な駐車可能領域を検出する領域検出部と、走行面に設けられた駐車区画線を検出する線検出部と、前記領域検出部によって前記駐車可能領域が検出され且つ前記線検出部によって前記駐車区画線が検出され、前記駐車区画線が前記駐車可能領域外に位置する場合、前記領域検出部による前記駐車可能領域の検出結果を用いて駐車目標位置を算出する目標位置算出部と、を備え
た。前記目標位置算出部は、前記領域検出部によって前記駐車可能領域が検出され、且つ前記線検出部によって、走行面に設けられた一対の前記駐車区画線のうちの一方のみが検出された場合、前記駐車目標位置を前記線検出部によって検出された前記駐車区画線に沿わせる。また、前記駐車目標位置を算出する装置は、前記車両の後進中に前記車両の後側方の障害物を検出し、該検出の結果に基づいて前記駐車可能領域を補正し、前記目標位置算出部は、補正された前記駐車可能領域を用いて前記駐車目標位置を算出する。したがって、当該駐車目標位置を算出する装置によれば、一例として、駐車可能空間と駐車区画線との両方が検出された場合に、駐車可能領域の検出結果が用いられるので、駐車目標位置が他車両に対して近くなりすぎることを抑制することができる。
また、当該駐車目標位置を算出する装置によれば、一例として、一対の駐車区画線の他方が検出されない場合であっても駐車目標位置が駐車区画線に対して傾くことを抑制することができる。
【0009】
前記駐車
目標位置を算出する装置にあっては、前記領域検出部は、前記車両に設けられ前記車両の側方に波を発射して当該波の反射波を検出する発射部から出力された検出結果を用いて前記駐車可能領域を検出し、前記線検出部は、前記車両に設けられ前記車両の後方を撮像する撮像部から出力された前記車両の後進過程の撮像データを用いて、前記駐車区画線を検出し、前記目標位置算出部は、前記車両の後進過程で前記駐車目標位置を繰り返し算出してよい。当該駐車
目標位置を算出する装置によれば、一例として、車両の後進に伴って車両の後方の状況を順次検出できるので、その検出結果に応じて駐車目標位置を順次変更することができる。
【0010】
前記駐車
目標位置を算出する装置にあっては、前記目標位置算出部は、前記駐車区画線が前記駐車可能領域外に位置する場合、前記領域検出部による前記駐車可能領域の検出結果に加えて前記線検出部による前記駐車区画線の検出結果を用いて前記駐車目標位置を算出してよい。当該駐車
目標位置を算出する装置によれば、一例として、駐車可能領域の検出結果と駐車区画線の検出結果と用いて、駐車目標位置が他車両に対して近くなりすぎることを抑制することができる。
【0011】
前記駐車
目標位置を算出する装置にあっては、前記線検出部は、走行面に設けられた一対の駐車区画線を検出し、前記目標位置算出部は、一対の前記駐車区画線のうちの一方が前記駐車可能領域内に位置し一対の前記駐車区画線のうちの他方が前記駐車可能領域外に位置した場合、前記一対の駐車区画線の間で前記一方の駐車区画線に寄せて前記駐車目標位置を設定してよい。当該駐車
目標位置を算出する装置によれば、一例として、駐車目標位置を一対の駐車区画線の間に位置させながら駐車目標位置が他車両に対して近くなりすぎることを抑制することができる。
【0013】
実施形態の駐車目標位置を算出する方法は、領域検出部が、車両が駐車可能な駐車可能領域を検出するステップと、線検出部が、走行面に設けられた駐車区画線を検出するステップと、目標位置算出部が、前記領域検出部によって前記駐車可能領域が検出され且つ前記線検出部によって前記駐車区画線が検出され、前記駐車区画線が前記駐車可能領域外に位置する場合、前記領域検出部による前記駐車可能領域の検出結果を用いて駐車目標位置を算出するステップと、
前記目標位置算出部が、前記領域検出部によって前記駐車可能領域が検出され、且つ前記線検出部によって、走行面に設けられた一対の前記駐車区画線のうちの一方のみが検出された場合、前記駐車目標位置を前記線検出部によって検出された前記駐車区画線に沿わせるステップと、前記車両の後進中に前記車両の後側方の障害物を検出し、該検出の結果に基づいて前記駐車可能領域を補正するステップと、前記目標位置算出部が、補正された前記駐車可能領域を用いて前記駐車目標位置を算出するステップと、を含む。当該駐車目標位置を算出する方法によれば、一例として、駐車可能空間と駐車区画線との両方が検出された場合に、駐車可能領域の検出結果が用いられるので、駐車目標位置が他車両に対して近くなりすぎることを抑制することができる。
【0014】
実施形態のプログラムは、車両が駐車可能な駐車可能領域を検出するステップと、走行面に設けられた駐車区画線を検出するステップと、前記駐車可能領域が検出され且つ前記駐車区画線が検出され、前記駐車区画線が前記駐車可能領域外に位置する場合、前記駐車可能領域の検出結果を用いて駐車目標位置を算出するステップと、
前記駐車可能領域が検出され且つ走行面に設けられた一対の前記駐車区画線のうちの一方のみが検出された場合、前記駐車目標位置を検出された前記駐車区画線に沿わせるステップと、前記車両の後進中に前記車両の後側方の障害物を検出し、該検出の結果に基づいて前記駐車可能領域を補正するステップと、補正された前記駐車可能領域を用いて前記駐車目標位置を算出するステップと、をコンピュータに実行させる。当該プログラムによれば、一例として、駐車可能空間と駐車区画線との両方が検出された場合に、駐車可能領域の検出結果が用いられるので、駐車目標位置が他車両に対して近くなりすぎることを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態では、車両1は、例えば、内燃機関(エンジン、図示されず)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ、図示されず)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式や、数、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0017】
図1に示されるように、車体2は、乗員(図示されず)が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4や、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。本実施形態では、一例として、操舵部4は、ダッシュボード(インストルメントパネル)から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、運転者の足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、運転者の足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、センターコンソールから突出したシフトレバーであるが、これらには限定されない。
【0018】
また、車室2a内には、表示装置8(表示出力部)や、音声出力装置9(音声出力部)が設けられている。表示装置8は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置9は、一例として、スピーカである。また、本実施形態では、一例として、表示装置8は、透明な操作入力部10(例えば、タッチパネル等)で覆われている。乗員等は、操作入力部10を介して表示装置8の表示画面に表示される映像(画像)を視認することができる。また、乗員等は、表示装置8の表示画面に表示される映像(画像)に対応した位置で手指等で操作入力部10を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力(指示入力)を実行することができる。また、本実施形態では、一例として、表示装置8や、音声出力装置9、操作入力部10等は、ダッシュボードの車幅方向(左右方向)の中央部に位置されたモニタ装置11に設けられている。モニタ装置11は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の操作入力部(図示されず)を有することができる。また、モニタ装置11とは異なる車室2a内の他の位置に音声出力装置(図示されず)を設けることができるし、モニタ装置11の音声出力装置9と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。また、本実施形態では、一例として、モニタ装置11は、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されているが、駐車支援装置用のモニタ装置を、これらのシステムとは別に設けてもよい。また、音声出力装置9の他に、ブザー24(
図3参照)等の音声出力部から、警報音等が出力されるように構成することができる。
【0019】
また、
図1,2に示されるように、本実施形態では、一例として、車両1は、四輪車(四輪自動車)であり、左右二つの前輪3Fと、左右二つの後輪3Rとを有する。本実施形態では、これら四つの車輪3のうち、左右二つの前輪3Fが操舵されうるように(転舵可能に)構成されている。具体的には、
図3に示されるように、車両1は、前輪3Fを操舵する前輪操舵システム12を有している。前輪操舵システム12は、駐車支援ECU14(electronic control unit)等によって電気的に制御されて、そのアクチュエータ12aを動作させる。前輪操舵システム12は、例えば、電動パワーステアリングシステムや、SBW(steer by wire)システム等である。前輪操舵システム12は、アクチュエータ12aによって操舵部4にトルク(アシストトルク)を付加して操舵力を補ったり、前輪3Fを操舵(自動操舵)したりする。また、本実施形態では、一例として、二つの前輪3Fは、互いに同相で略平行に転舵される。なお、前輪3Fの他に後輪3Rも操舵してよい。また、後輪3Rだけを操舵してもよい。また、駆動輪は種々に設定可能である。
【0020】
また、本実施形態では、一例として、
図2に示されるように、車両1(車体2)には、撮像部16が設けられている。撮像部16は、例えば、CCD(charge coupled device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部16は、一例として、単眼カメラである。撮像部16は、所定のフレームレートで画像データ(動画データ、フレームデータ)を出力することができる。撮像部16は、広角レンズを有し、一例として、水平方向には140°〜190°の範囲(視野角)を撮影することができる。また、撮像部16の光軸は下方(斜め下方)に向けて設定されている。よって、撮像部16は、路面を含む車体2(車両1)の周辺を撮影することができる。本実施形態では、一例として、撮像部16は、車体2の後側(車両前後方向の後方側)の端部2eに位置され、リヤトランクのドア2hの下方の壁部に設けられている。撮像部16の撮像データは、一例として、駐車支援ECU14のRAM14cに記憶されうる。駐車支援ECU14は、撮像部16で得られた画像データに基づいて演算処理や画像処理を実行する。また、駐車支援ECU14は、撮像部16の画像から、車両1の周辺に位置され移動する車両1と干渉する可能性がある物体(障害物)を検出(抽出)することができる。
【0021】
また、本実施形態では、一例として、
図1,2に示されるように、車両1(車体2)には、複数(本実施形態では、一例として二つ)の測距部17(17a,17b、発射部、探知部)が設けられている。本実施形態では、一例として、測距部17aは、車体2の左側(車幅方向の左側)の端部2dに位置されている。測距部17bは、車体2の右側(車幅方向の右側)の端部2fに位置されている。これらの測距部17a,17bは、車体2の前側(車両前後方向の前方側)の端部2c(平面視での端部)に寄せて位置されている。つまり、これらの測距部17a,17bは、車体2の前部に設けられている。また、これらの測距部17a,17bは、一例として、前輪3Fの上方に位置されている。測距部17は、例えば、波として超音波を発射(放射)してその反射波を捉える(検出する)ソナー(ソナーセンサ、超音波探知器、アクティブ方式の距離センサ)である。駐車支援ECU14は、測距部17の検出結果により、車両1(車体2)の側方に位置された物体(障害物)の有無や距離を測定することができる。すなわち、測距部17は、物体検出部の一例である。
【0022】
また、本実施形態では、一例として、
図3に示されるように、駐車支援システム100では、駐車支援ECU14や、モニタ装置11、前輪操舵システム12、測距部17等の他、ブレーキシステム18、舵角センサ19(角度センサ)、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等が、車内ネットワーク23(電気通信回線)を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク23は、一例としては、CAN(controller area network)として構成されている。駐車支援ECU14は、車内ネットワーク23を通じて制御信号を送ることで、前輪操舵システム12や、ブレーキシステム18等を制御することができる。また、駐車支援ECU14は、車内ネットワーク23を介して、トルクセンサ12b、測距部17、ブレーキセンサ18b、舵角センサ19、アクセルセンサ20、シフトセンサ21、車輪速センサ22等の検出結果、ならびに、操作入力部10等の指示信号(制御信号、切替信号、操作信号、入力信号、データ)を受け取ることができる。
【0023】
駐車支援ECU14は、一例として、CPU14a(central processing unit)や、ROM14b(read only memory)、RAM14c(random access memory)、表示制御部14d、音声制御部14e、SSD14f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。CPU14aは、例えば、表示装置8で表示される画像に関連した画像処理や、車両1の移動経路の演算、物体との干渉の有無の判断等の各種の演算処理を実行することができる。CPU14aは、ROM14b等の不揮発性の記憶装置に記憶された(インストールされた)プログラムを読み出し、当該プログラムにしたがって演算処理を実行することができる。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部14dは、駐車支援ECU14での演算処理のうち、主として、撮像部16で得られた画像データを用いた画像処理や、表示装置8で表示される画像データの画像処理(一例としては合成等)等を実行する。また、音声制御部14eは、駐車支援ECU14での演算処理のうち、主として、音声出力装置9で出力される音声データの処理を実行する。また、SSD14fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、駐車支援ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU14aや、ROM14b、RAM14c等は、同一パッケージ内に集積されることができる。また、駐車支援ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD14fやHDDは、駐車支援ECU14とは別に設けられてもよい。
【0024】
ブレーキシステム18は、ブレーキのロックを抑制するABS(anti-lock brake system)や、コーナリング時の車両1の横滑りを抑制する横滑り防止装置(ESC:electronic stability control)、ブレーキ力を増強させる(ブレーキアシストを実行する)電動ブレーキシステム、BBW(brake by wire)等である。ブレーキシステム18は、アクチュエータ18aを介して、車輪3(車両1)に制動力を与える。
【0025】
舵角センサ19は、操舵部4(本実施形態では、一例としてステアリングホイール)の操舵量(回動角度)を検出するセンサであり、一例としては、ホール素子などを用いて構成される。駐車支援ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量や、自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、舵角センサ19から取得して各種制御を実行する。なお、トルクセンサ12bは、運転者が操舵部4に与えるトルクを検出する。
【0026】
車輪速センサ22は、車輪3の回転量や単位時間当たりの回転数を検出するセンサであり、一例としては、ホール素子などを用いて構成される。駐車支援ECU14は、車輪速センサ22から取得したデータに基づいて車両1の移動量などを演算し、各種制御を実行する。車輪速センサ22は、ブレーキシステム18に設けられている場合もある。また、ブレーキシステム18は、左右の車輪3の回転差などからブレーキのロックや、車輪3の空回り、横滑りの兆候等を検出して、各種制御を実行することができる。車輪速センサ22がブレーキシステム18に設けられている場合には、駐車支援ECU14は、ブレーキシステム18を介してデータを取得する。ブレーキセンサ18bは、ブレーキペダルの操作量を検出するセンサであり、駐車支援ECU14は、ブレーキシステム18を介して情報を取得する。駐車支援ECU14は、例えば、自動操舵中に制動操作部6が操作されたような場合に、自動操舵には適さない状況にあるとして自動操舵を中断したり中止したりすることができる。
【0027】
シフトセンサ21は、一例としては、変速操作部7の可動部(レバーや、アーム、ボタン)の位置を検出するセンサ(スイッチ)であり、変位センサなどを用いて構成される。例えば、駐車支援ECU14は、可動部がリバースにセットされた場合に支援制御を開始したり、リバースから前進に変更された場合に支援制御を終了させたりすることができる。
【0028】
なお、上述した各種センサやアクチュエータの構成や、配置、電気的な接続形態等は、あくまで一例であって、種々に設定(変更)することができる。
【0029】
また、本実施形態では、一例として、駐車支援ECU14は、ハードウエアとソフトウエア(プログラム)との協働によって、駐車支援装置30の少なくとも一部として機能(動作)する。すなわち、本実施形態では、一例として、
図4に示されるように、駐車支援ECU14は、領域検出部51、線検出部52、目標位置算出部53等として機能(動作)する。駐車支援ECU14は、一例として、変速操作部7の可動部がリバースにセットされた場合に、上記の各部として機能して駐車支援処理(駐車支援方法)を実行する。なお、プログラムには、一例としては、
図4に示される各ブロックに対応したモジュールが含まれうる。
【0030】
領域検出部51は、車両1が駐車可能な駐車可能領域201(駐車可能空間、
図7参照)を検出する。領域検出部51は、車両1の側方に波を発射して当該波の反射波を検出する測距部17から出力された検出結果を用いて、駐車可能領域201を検出する。
【0031】
測距部17の検出結果を用いての駐車可能領域201の検出方法を、
図5,6を参照して説明する。測距部17は、他車両300等の障害物の反射部S(音波等の反射点の集合)を点列で出力する。出力されたデータは、一例として、出力周期毎にRAM14bに記憶される。そして、領域検出部51は、測距部17の検出結果(点列)に基づいて、車両1の側方に位置する駐車可能領域201を検出する。領域検出部51は、左右の測距部17a,17bによる検出結果に基づいて、車両左右側方に位置する駐車可能領域201を、左右で独立且つ並列的に検出する。左右のそれぞれの検出方法は同一であってよい。ここでは、車両1の一方の一側方における駐車可能領域201の検出方法について説明する。領域検出部51は、第一の規定長さの点列が検出され、且つ、その後第二の規定長さ以上点列が存在しなくなった場合、第一の規定長さの点列にかかる障害物の横側(点列検出時の車両1の進行方向前方側)に、駐車可能領域201が存在すると判断する。第二の規定長さは、車両1が駐車可能な領域として必要な最小幅である。したがって、第二の規定長さは、車両1の車幅に依存して設定される。また、測距部17は、測距部17の検出結果(点列)に基づいて、車両1の側方に位置する障害物の外形を検出可能である。なお、測距部17の検出結果は、駐車支援処理以外の時の測距部17の検出結果もRAM14bに記憶されてよい。
【0032】
線検出部52は、走行面101(地面、路面、
図7参照)に設けられた駐車区画線102(白線、ガイド線、
図7参照)を検出する。線検出部52は、車両1の後方を撮像する撮像部16から出力された撮像データを用いて駐車区画線102を検出する。線検出部52は、撮像部16から出力された車両1の後進過程や前進過程、停止時の撮像データを用いて駐車区画線102を検出可能である。撮像データは、一例としてRAM14bに記憶される。線検出部52は、一例として、走行面101に設けられた一対の駐車区画線102を、撮像部16から出力された撮像データからエッジ抽出を行うことで検出する。詳細には、線検出部52は、規定の閾値以上の輝度変化点(特徴点)を抽出する。次に、線検出部52は、各画素の撮像(カメラ)座標系から実座標系への変換を歪曲補正によって行う。次に、線検出部52は、特徴点の点列に対して直線近似処理を行い、特徴点の輪郭線を得る。そして、線検出部52は、一例として、規定以上の長さの輪郭線を含む部位を、駐車区画線102として検出する。なお、線検出部52は、別例として、規定以上の間隔をあけた一対(二つ)の相互に平行な輪郭線を、一対の駐車区画線102として検出するようにしてもよい。なお、駐車支援処理以外の時の撮像部16の撮像データもRAM14bに記憶してよい。
【0033】
目標位置算出部53は、
図7に示されるように、領域検出部51によって駐車可能領域201が検出され且つ線検出部52によって駐車区画線102が検出され、一対の駐車区画線102が駐車可能領域201内に位置する場合、線検出部52による駐車区画線102の検出結果を用いて駐車目標位置200を算出する。このとき、目標位置算出部53は、駐車目標位置200の中心が、一対の駐車区画線102間の中間に位置するように、駐車目標位置200を設定する。目標位置算出部53は、一例として、駐車区画線102が検出された場合、駐車区画線102の前端部を駐車区画線102の前端部に合わせる。なお、このとき、目標位置算出部53は、一例として、一対の駐車区画線102間の距離L1(破線202間の距離)が規定の駐車幅以上ある場合に、駐車目標位置200を算出し、一対の駐車区画線102間の距離(破線202間の距離)が規定の駐車幅以上ない場合には、駐車目標位置200を算出しなくてもよい。ここで、規定の駐車幅は、一例として、自車両1の車幅に規定の幅を加えたものである。
【0034】
また、目標位置算出部53は、
図8に示されるように、領域検出部51によって駐車可能領域201が検出され且つ線検出部52によって駐車区画線102が検出され、駐車区画線102が駐車可能領域201外に位置する場合、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果を用いて駐車目標位置200を算出する。この場合、目標位置算出部53は、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果を用いればよく、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果とともに、線検出部52による駐車区画線102の検出結果も用いてよい。即ち、目標位置算出部53は、駐車区画線102が駐車可能領域201外に位置する場合、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果と線検出部52による駐車区画線102の検出結果とを用いて駐車目標位置200を算出してよい。
【0035】
ここで、
図8には、一方(左)の駐車区画線102が駐車可能領域201内に位置し、他方(右)の駐車区画線102上に他車両300が位置して、他方(右)の駐車区画線102が駐車可能領域201外に位置する例が示されている。この
図8の例の場合、目標位置算出部53は、一例として、駐車可能領域201内に位置する一方(
図8中左側)の駐車区画線102と、駐車可能領域201外に位置する他方の駐車区画線102上に位置する他車両300(
図8中右側の他車両300、障害物)との間の距離L2(破線202間の距離)が、規定の駐車幅以上ある場合には、一方の駐車区画線102に寄せて駐車目標位置200を設定する。即ち、目標位置算出部53は、一例として、線検出部52が検出した一対の駐車区画線102のうちの一方が駐車可能領域201内に位置し、一対の駐車区画線102のうちの他方が駐車可能領域201外に位置した場合、それら一対の駐車区画線102の間で一方の駐車区画線102に寄せて駐車目標位置200を設定する。
【0036】
一方、目標位置算出部53は、一例として、駐車可能領域201内に位置する一方(
図8中左側)の駐車区画線102と、駐車可能領域201外に位置する他方の駐車区画線102上に位置する他車両300(
図8中右側の他車両300、障害物)と、の間の距離L2が、規定の駐車幅未満の場合には、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果と駐車区画線102の検出結果とのうち、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果だけを用いて駐車目標位置200を設定する。詳細には、この場合、目標位置算出部53は、駐車可能領域201の幅方向の中心と駐車目標位置200の幅方向の中心とが一致するように、駐車目標位置200を設定する(図示せず)。なお、別例として、駐車可能領域201内に位置する一方(
図8中左側)の駐車区画線102と、駐車可能領域201外に位置する他方の駐車区画線102上に位置する他車両300(
図8中右側の他車両300、障害物)と、の間の距離L2が、規定の駐車幅未満の場合、目標位置算出部53が駐車目標位置200を設定せず、駐車支援装置30が駐車支援処理を中止するようにしてもよい。
【0037】
また、目標位置算出部53は、
図8に示されるように、線検出部52が検出した一対の駐車区画線102のうちの一方が駐車可能領域201内に位置し、一対の駐車区画線102のうちの他方が駐車可能領域201外に位置した場合、駐車目標位置200を一方の駐車区画線102に沿わせる。更には、目標位置算出部53は、領域検出部51によって駐車可能領域201が検出され、且つ線検出部52によって、走行面101に設けられた一対の駐車区画線102のうちの少なくとも一方が検出された場合、駐車目標位置200をその検出された駐車区画線102に沿わせる。詳細には、目標位置算出部53は、駐車目標位置200を一方の駐車区画線102と平行にする。
【0038】
また、目標位置算出部53は、
図9に示されるように、領域検出部51によって駐車可能領域201が検出され且つ線検出部52によって駐車区画線102が検出されない場合、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果を用いて駐車目標位置200を算出する。一例として、
図9には、他車両300の側方に駐車可能領域201が検出された例が示されている。この場合、目標位置算出部53は、駐車可能領域201の幅L3方向の中心位置(破線202間の中心位置)と駐車目標位置200の幅方向の中心とが一致するように、駐車目標位置200を設定する。
【0039】
また、目標位置算出部53は、領域検出部51が駐車可能領域201を検出せず、線検出部52が駐車区画線102を検出した場合、目標位置算出部53は、線検出部52による駐車区画線102の検出結果を駐車目標位置200に反映する。このような状況は、一例としては、多数の車両が駐車可能な駐車場において、自車両1の周囲に駐車車両が存在しない場合等である。この場合、目標位置算出部53は、駐車目標位置200の中心が、一対の駐車区画線102間の中間に位置するように、駐車目標位置200を設定する。
【0040】
また、目標位置算出部53は、一例として、車両1の後進過程で駐車目標位置200を繰り返し算出し、更新する。即ち、本実施形態では、車両1が後退しながら撮像部16によって画像認識(線検出部52による駐車区画線102の検出)を繰り返し実行しながら(ビジュアルサーボ)、駐車目標位置200を設定する。
【0041】
次に、駐車支援処理の一例の流れを
図10に示すフローチャートに沿って説明する。本処理は、上述のとおり、一例として、変速操作部7の可動部がリバースにセットされた場合に実行される。
【0042】
領域検出部51が駐車可能領域201を検出し(ステップS1のYes)、線検出部52が駐車区画線102を検出した場合(ステップS3のYes)、目標位置算出部53が、駐車区画線102が駐車可能領域201内に入っているか否かを判定する(ステップS4)。目標位置算出部53は、一対の駐車区画線102の両方が駐車可能領域201内に入っていると判定した場合(ステップS4のYes)、線検出部52による駐車区画線102の検出結果を駐車目標位置200に反映する(ステップS5)。この場合の駐車目標位置200の一例は、
図7に示されている。なお、駐車可能領域201の検出や駐車区画線102の検出は、一例として、車両1の停止時や後進時に行われる。
【0043】
また、ステップS4において、目標位置算出部53は、一対の駐車区画線102のうち少なくとも一方が駐車可能領域201外に位置していると判定した場合(ステップS4のNo)、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果を駐車目標位置200の位置の設定に反映する(ステップS6)。換言すると、ステップS6では、検出した駐車区画線102と駐車可能領域201とのうち、駐車可能領域201の検出結果のみに基づいて駐車目標位置200の位置を設定する。この場合の駐車目標位置の一例は、
図8に示されている。
【0044】
また、領域検出部51が駐車可能領域201を検出し(ステップS1のYes)、線検出部52が駐車区画線102を検出しない場合(ステップS3のNo)、目標位置算出部53は、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果を駐車目標位置200に反映する(ステップS6)。この場合の駐車目標位置の一例は、
図9に示されている。
【0045】
また、領域検出部51が駐車可能領域201を検出せず(ステップS1のNo)、線検出部52が駐車区画線102を検出した場合(ステップS2のYes)、目標位置算出部53は、線検出部52による駐車区画線102の検出結果を駐車目標位置200に反映する。
【0046】
また、領域検出部51が駐車可能領域201を検出せず(ステップS1のNo)、線検出部52が駐車区画線102を検出しない場合(ステップS2のNo)には、ステップS1とステップS2が繰り返される。以上の処理は、車両1の後進過程で所定間隔で繰り返し行われる。
【0047】
また、駐車支援処理で、駐車支援装置30(駐車支援ECU14)は、操舵部4を制御して駐車目標位置200に車両1を誘導してよい(自動操舵部)。また、駐車支援装置30(駐車支援ECU14)は、操舵部4や加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等を制御して駐車目標位置200に車両1を自動で駐車させてもよい(自動駐車部)。また、駐車支援装置30(駐車支援ECU14)は、駐車支援情報として駐車目標位置を表示装置8に表示させてもよい(支援情報表示部)。このとき、駐車支援装置30(駐車支援ECU14)は、駐車目標位置と駐車区画線および障害物との相対位置関係を表示装置8に表示させてよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、領域検出部51によって駐車可能領域201が検出され且つ線検出部52によって駐車区画線102が検出され、駐車区画線102が駐車可能領域201外に位置する場合、目標位置算出部53が、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果を用いて駐車目標位置200を算出する。したがって、本実施形態によれば、領域検出部51によって駐車可能領域201が検出され且つ線検出部52によって駐車区画線102が検出された場合には、少なくとも駐車可能領域201の検出結果が用いられて、駐車目標位置200が算出されるので、線検出部52の検出結果だけを用いる場合に比べて、駐車目標位置200が他車両300に対して近くなりすぎることを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、線検出部52は、車両1の後方を撮像する撮像部16から出力された車両1の後進過程の撮像データを用いて、駐車区画線102を検出し、目標位置算出部53は、車両1の後進過程で駐車目標位置200を繰り返し算出する。したがって、本実施形態によれば、一例として、車両1の後進に伴って車両の後方の状況を順次検出できるので、その検出結果に応じて駐車目標位置を順次変更することができる。例えば、車両1の後進直後に駐車可能領域201が検出され駐車区画線102が検出されていない状態では、駐車目標位置200は駐車可能領域201の検出結果を用いて算出される。その後、車両1の後進に伴って一対の駐車区画線102が検出されて当該一対の駐車区画線102が駐車可能領域201内であれば、一対の駐車区画線102の検出結果を用いて駐車目標位置200が算出される。その後、一例として、
図8に示されるように、車両1の後進に伴って一対の駐車区画線102のうちの他方が他車両300に踏まれて駐車可能領域201外に位置していることが検出された場合には、一例として、駐車目標位置200は、駐車可能領域201を用いて算出される。
【0050】
また、本実施形態では、目標位置算出部53は、駐車区画線102が駐車可能領域201外に位置する場合、領域検出部51による駐車可能領域201の検出結果と線検出部52による駐車区画線102の検出結果とを用いて駐車目標位置200を算出する。したがって、本実施形態によれば、一例として、駐車可能領域201の検出結果と駐車区画線102の検出結果とを用いて、駐車目標位置200が他車両300に対して近くなりすぎることを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、目標位置算出部53は、一対の駐車区画線102のうちの一方が駐車可能領域201内に位置し一対の駐車区画線102のうちの他方が駐車可能領域201外に位置した場合、一対の駐車区画線102の間で一方の駐車区画線102に寄せて駐車目標位置200を設定する。したがって、本実施形態によれば、一例として、駐車目標位置200を一対の駐車区画線102の間に位置させながら駐車目標位置200が他車両300に対して近くなりすぎることを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、目標位置算出部53は、領域検出部51によって駐車可能領域201が検出され、且つ線検出部52によって、走行面101に設けられた一対の駐車区画線102のうちの少なくとも一方が検出された場合、駐車目標位置200をその検出された駐車区画線102に沿わせる(平行にする)。したがって、本実施形態によれば、一例として、一対の駐車区画線102の他方が検出されない場合であっても駐車目標位置200が駐車区画線102に対して傾くことを抑制することができる。
【0053】
なお、駐車目標位置200への後退中にも測距部17による他車両300等の検出を行い、
図5にて説明したように、前進中に検出された駐車可能領域201を補正(更新)した上で、上述した処理を行ってもよい。具体的には、一例として、測距部17a,17bに加え、車両1の後側方の障害物を検出するために、車体2の後側(車体前後方向の後方方向)の端部2eに寄せて位置され測距部17a、17bと同様に車両の左右側方に向けて超音波(波)を発射(放射)する2つの測距部を車体2に更に備えた構成とする。そして、この更に備えた2つの測距部により、駐車目標位置200への後退による走行中に他車両300等の検出を随時行い、当該検出結果に基づいて駐車可能領域201を補正(更新)しながら、
図10に示される駐車支援処理等を実行する。このように構成することで、例えば、
図5中右側の他車両300が、前輪は駐車区画線102上に位置しないが後輪が駐車区画線102上に位置するように傾いて駐車されている場合であっても、駐車目標位置200の奥側に進入するに従って狭くなる駐車可能領域201を適切に特定することが可能になり、好適な駐車目標位置200に車両1を誘導させることができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態および変形例を各種採用することができる。