(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015324
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】圧縮機不純物除去システム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/50 20060101AFI20161013BHJP
B01D 53/56 20060101ALI20161013BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20161013BHJP
B01D 53/75 20060101ALI20161013BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20161013BHJP
F25J 1/00 20060101ALI20161013BHJP
F25J 3/08 20060101ALI20161013BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20161013BHJP
C01B 31/20 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
B01D53/50 230
B01D53/56 200
B01D53/68 120
B01D53/75ZAB
B01D53/78
F25J1/00 D
F25J3/08
F23J15/00 A
F23J15/00 B
F23J15/00 Z
C01B31/20 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-223819(P2012-223819)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-76405(P2014-76405A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 俊之
【審査官】
森井 隆信
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/107953(WO,A1)
【文献】
特開2012−143699(JP,A)
【文献】
特表2010−507773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34− 53/78
C01B 31/20
F25J 1/00− 3/08
F23J 15/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素燃焼装置からの二酸化炭素主体の排ガスを二酸化炭素液化装置に供給する前の排ガス中の不純物を除去する圧縮機不純物除去システムであって、
酸素燃焼装置からの排ガスを二酸化炭素を液化するための目的圧力まで段階的に圧縮する複数段の圧縮機と、各圧縮機で圧縮した排ガスを冷却し、冷却によって凝縮した水分をドレンとして取り出すようにしたアフタークーラとを有する複数段の不純物分離装置と、
少なくとも最前段の不純物分離装置におけるアフタークーラの上流側にアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給装置を備え、
排ガス中の不純物を、不純物分離装置によって分離されるアルカリ剤を含むドレンにより取り出すよう構成した
ことを特徴とする圧縮機不純物除去システム。
【請求項2】
最前段の不純物分離装置におけるアフタークーラからのドレンを貯留するドレンタンクと、該ドレンタンクに貯留されたドレンのpHを計測するpH検出器と、該pH検出器により検出されるpH検出値に基づいて前記アルカリ剤供給装置によるアルカリ剤の供給量を調節する制御器とを備えることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機不純物除去システム。
【請求項3】
最後段の不純物分離装置におけるアフタークーラの下流側に備えた不純物検出器を有し、該不純物検出器の不純物検出値が入力されてアルカリ剤の供給量を調節する前記制御器を備え、該制御器は、不純物検出器の不純物検出値が所定値を超えたときに前記アルカリ剤供給装置によるアルカリ剤の供給を増加するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の圧縮機不純物除去システム。
【請求項4】
最前段の不純物分離装置よりも後段の不純物分離装置におけるアフタークーラの上流側に、アルカリ剤を供給するアルカリ剤供給装置を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の圧縮機不純物除去システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮機不純物除去システムに係わり、特に酸素燃焼装置からの排ガス中に含まれる不純物を簡単な装置によって除去できるようにした圧縮機不純物除去システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の原因の一つと言われている二酸化炭素(CO
2)の排出量を低減する技術の一つとして、酸素燃焼装置が検討されており、例えば微粉炭を酸素燃焼する石炭焚ボイラが注目されている。この石炭焚ボイラは、酸化剤として空気の代わりに酸素を使用することで、二酸化炭素(CO
2)を主体とする燃焼排ガスが発生し、この高二酸化炭素濃度の排ガスを圧縮・冷却することで液化二酸化炭素として回収し処分することが考えられている。又、処分の1つとして液化二酸化炭素を地中に貯蔵することも考えられている。このような酸素燃焼用石炭焚ボイラの排ガス処理装置としては特許文献1がある。
【0003】
上記特許文献1に示すように、石炭焚ボイラによって石炭を酸素燃焼した場合の排ガス中には、二酸化炭素(CO
2)以外に、石炭原料由来の窒素酸化物(NO
x)、硫黄酸化物(SO
x)、水銀(Hg)、塩化水素(HCl)、煤塵等の不純物が含まれる。
【0004】
上記不純物のうち、硫黄酸化物(SO
x)は水と接触することにより水に溶解して硫酸(H
2SO
4)となり、塩化水素(HCl)は水に溶解して塩酸となるため、このような水溶性を示す硫黄酸化物及び塩化水素については水と接触させることで分離できる。
【0005】
一方、前記不純物である窒素酸化物(NO
x)のうち、二酸化窒素(NO
2)は水と接触することにより水に溶解して硝酸(HNO
3)となる。しかし、石炭焚ボイラからの排ガス中には酸素(O
2)が少ないために、窒素は殆どが一酸化窒素(NO)として存在しており、この一酸化窒素は水に不溶であるためにスプレー等を行っても除去することはできない。
【0006】
前記、硫酸、塩酸及び硝酸は排ガス処理装置の機器を腐食させる問題を有しており、又、前記微量金属である水銀は熱交換器の低温のアルミニウム部材を損傷させることが分かっている。従って、これらの不純物は早い段階において除去することが好ましい。又、前記不純物が排ガスに混入すると、二酸化炭素の純度が低下するために、圧縮・冷却による液化が大変であり装置機器が大型化するという問題がある。更に、二酸化炭素を液化して地中に所蔵する際に硫黄酸化物が混入していると、硫黄酸化物が地中のカルシウムと反応して貯蔵の密閉性に問題を生じる可能性があることが懸念されている。従って、酸素燃焼を行う石炭焚ボイラ等のように、二酸化炭素主体の排ガスを生じさせてその二酸化炭素を処分するシステムにおいては、排ガス中の不純物を除去することが非常に重要となる。
【0007】
このため、酸素燃焼を行う石炭焚ボイラ等においては、特許文献1に示すように、従来の空気焚ボイラ等で用いられているスプレー塔方式或いは充填塔方式等からなる湿式と言われる脱硫装置を備えることにより硫黄酸化物を除去することが行われている。又、酸素燃焼を行う石炭焚ボイラ等からの排ガス中には石炭原料由来の窒素及び窒素酸化物が発生するため、前記脱硫装置の上流に、触媒方式等による脱硝装置を備えて、窒素及び窒素酸化物を除去することが行われている。
【0008】
又、上記した湿式の脱硫装置では、水溶性の硫黄酸化物及び塩化水素が除去されると共に、煤塵が除去され、更に、窒素酸化物も一部が除去されると共に、元々含有量が少ない水銀も僅かに除去されることが知られている。又、上記排ガス処理を行っても排ガス中の水銀の濃度が高い場合には、水銀除去塔を設置して水銀を吸着剤等により除去することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−172878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の排ガス処理システムにおいては、特許文献1に示すように、スプレー塔方式或いは充填塔方式等からなる湿式の脱硫装置と、触媒方式等による脱硝装置の両方を通常の排ガスラインに備えて排ガス中の不純物を除去しているために、処理する排ガスの量(容積)が大きいことから不純物除去のための装置が非常に大型となり、しかも複雑な構成が必要となって設備コストが増加するという問題を有していた。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたものであり、酸素燃焼装置からの排ガス中に含まれる特に水溶性の不純物を簡単な装置により効果的に除去して、設備コストの低減を図れるようにした圧縮機不純物除去システムを提供するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、酸素燃焼装置からの二酸化炭素主体の排ガスを二酸化炭素液化装置に供給する前の排ガス中の不純物を除去する圧縮機不純物除去システムであって、
酸素燃焼装置からの排ガスを二酸化炭素を液化するための目的圧力まで段階的に圧縮する複数段の圧縮機と、各圧縮機で圧縮した排ガスを冷却し、冷却によって凝縮した水分をドレンとして取り出すようにしたアフタークーラとを有する複数段の不純物分離装置と、
少なくとも最前段の不純物分離装置におけるアフタークーラの上流側にアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給装置を備え、
排ガス中の不純物を、不純物分離装置によって分離されるアルカリ剤を含むドレンにより取り出すよう構成した
ことを特徴とする圧縮機不純物除去システム、に係るものである。
【0013】
上記圧縮機不純物除去システムにおいて、最前段の不純物分離装置におけるアフタークーラからのドレンを貯留するドレンタンクと、該ドレンタンクに貯留されたドレンのpHを計測するpH検出器と、該pH検出器により検出されるpH検出値に基づいて前記アルカリ剤供給装置によるアルカリ剤の供給量を調節する制御器とを備えることは好ましい。
【0014】
又、上記圧縮機不純物除去システムにおいて、最後段の不純物分離装置におけるアフタークーラの下流側に備えた不純物検出器
を有し、該不純物検出器の不純物検出値が入力され
てアルカリ剤の供給量を調節する前記制御器
を備え、該制御器は、不純物検出器の不純物検出値が所定値を超えたときに前記アルカリ剤供給装置によるアルカリ剤の供給を増加するように構成することが好ましい。
【0015】
又、上記圧縮機不純物除去システムにおいて、最前段の不純物分離装置よりも後段の不純物分離装置におけるアフタークーラの上流側に、アルカリ剤を供給するアルカリ剤供給装置を備えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の圧縮機不純物除去システムによれば、圧縮機とアフタークーラからなる最前段の不純物分離装置におけるアフタークーラの上流側にアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給装置を備えて、排ガス中の不純物をドレンに溶解させて除去するようにしたので、二酸化炭素の液化に必要な圧縮機とアフタークーラを用いて排ガス中の特に水溶性の不純物を効果的に除去することができ、結果的に装置の大型化及び複雑化を防止して設備コストの大幅な低減が図れるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】酸素燃焼装置に備えた本発明の圧縮機不純物除去システムの一実施例を示す系統図である。
【
図2】本発明における圧縮機不純物除去システムの他の実施例を示す系統図である。
【
図3】本発明における圧縮機不純物除去システムの変形例を示す系統図である。
【
図4】最前段の不純物分離装置におけるアフタークーラの上流側に供給するアルカリ剤の添加量と硫黄酸化物除去率との関係を示した線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を、添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1は酸素燃焼装置に備えた本発明の圧縮機不純物除去システム100の一実施例を示す系統図であり、
図1中、1は微粉炭を酸素燃焼する石炭焚ボイラ1a等からなる酸素燃焼装置であり、該酸素燃焼装置1からは二酸化炭素(CO
2)を主体とする排ガス2が排出される。このような酸素燃焼装置1からの二酸化炭素主体の排ガス2を二酸化炭素液化装置3に供給して液化するために、二酸化炭素液化装置3の前段において、所定の目的圧力まで排ガス2を圧縮すると共に排ガス2中の不純物を除去する圧縮機不純物除去システム100を設ける。
【0020】
図1に示す圧縮機不純物除去システム100は、前記酸素燃焼装置1からの排ガス2を段階的に目的圧力まで圧縮する複数段の圧縮機4a,4b,4cと、各圧縮機4a,4b,4cで圧縮した排ガス2を冷却し、冷却によって凝縮した水分をドレンとして取り出すようにしたアフタークーラ5a,5b,5c(冷却機)とを有する複数段(図示例では3段)の不純物分離装置6a,6b,6cを有している。一般に、多段の圧縮機間に備えられるクーラはインタークーラと称されるが、本発明では説明を簡略化するため全てのクーラをアフタークーラ5a,5b,5cとして説明する。
【0021】
二酸化炭素を液化するために前記不純物分離装置6a,6b,6cを色々な温度・圧力条件で運転した場合について検討した結果、二酸化炭素液化装置3に供給する前に、二酸化炭素を2.5MPaまで昇圧し、−30℃まで温度を下げた場合に圧縮機4とアフタークーラ5の合計の作動エネルギーが最も小さくなるという知見を得た。このため、2.5MPaを目的圧力とした。ここで、不純物分離装置6a,6b,6cに設定する温度・圧力は、排ガス2の組成、水分量、運搬手段(運搬船等)の条件によって変化するため、前記目的圧力2.5MPaは目安として設定したものである。又、ここで、−40℃以下に冷却する必要がある場合には、一般的な代替フロン冷媒が使えなくなり、アンモニア冷凍機を用いる必要があるため設備が高価になる問題がある。従って、アフタークーラ5による冷却温度は−30℃程度とすることが好ましい。
【0022】
1台の圧縮機4では排ガス2を目的圧力である2.5MPaまで一気に昇圧することはできないため、本実施例では、3台の圧縮機4a,4b,4cを設置して0.75MPa、1.5MPa、2.5MPaのように三段階に圧縮するようにした不純物分離装置6a,6b,6cを構成している。尚、前記圧縮機4a,4b,4cの設置台数(不純物分離装置6a,6b,6cの設置数)は4台以上でもよく任意の台数を設置することができる。
【0023】
上記圧力に設定した最前段の不純物分離装置6aにおいては、排ガス2中の殆どの水分がドレンとして取り出されるようになり、中段の不純物分離装置6bにおいては少量のドレンが取り出され、最後段の不純物分離装置6cでは更に少量のドレンが取り出される。
【0024】
前記圧縮機不純物除去システム100によって排ガス2中の不純物は除去されるが、圧縮機不純物除去システム100を経た二酸化炭素中における水銀(Hg)の濃度が、設定した目標値よりも高い場合には、水銀除去塔7を設置して吸着剤等により水銀を除去するようにしている(図面では水銀除去塔7を破線で示している)。又、前記二酸化炭素液化装置3の前段には、二酸化炭素液化装置3に供給される二酸化炭素に含まれる水分を除去するための乾燥機8を設けている。
【0025】
図1に示す圧縮機不純物除去システム100では、最前段の不純物分離装置6aにおけるアフタークーラ5aの排気ガス2の入口(上流側)に、アルカリ剤タンク9のアルカリ剤10をポンプ11により供給するようにしたアルカリ剤供給装置12を設けている。アルカリ剤10としては分散性がよく且つ固着等が生じない苛性ソーダ(NaOH)、水酸化マグネシウム等を用いることができるが、分散性が維持され且つ固着等の問題を解消できる場合には、石灰石(CaCO
3)、生石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH)
2)等を用いることができる。ここでアルカリ剤供給装置12によりアルカリ剤10を供給する位置は、アフタークーラ5aに近い入口とすることができるが、アフタークーラ5aと該アフタークーラ5aの上流側における圧縮機4aとの間の任意の位置とすることができる。
【0026】
更に、最前段の不純物分離装置6aには、アフタークーラ5aから取り出されるドレンを一定量貯留するようにしたドレンタンク13を設けている。ドレンタンク13にはレベル調節計14が設けてあり、該レベル調節計14は検出値が常に一定値を保持するようにドレンタンク13のドレン出口(下流側)に設けた取出弁15の開度を調節する。
【0027】
更に、前記ドレンタンク13には、貯留されたドレンのpHを計測するpH検出器16が設けてあり、該pH検出器16により検出したpH検出値16aは制御器17に入力されている。そして、制御器17は、前記pH検出器16により検出されるpH検出値16aが所定の値に保持されるようにポンプ11を制御して、前記アルカリ剤供給装置12によるアルカリ剤10の供給量を調節している。
【0028】
又、最後段の不純物分離装置6cにおけるアフタークーラ5cから排ガス2が導出される出口(下流側)には、排ガス2中の不純物(例えば、硫黄酸化物、塩化水素)を検出する不純物検出器18を設置して、その不純物検出値18aを前記制御器17に入力しており、該制御器17は、前記不純物検出器18による硫黄酸化物或いは塩化水素の不純物検出値18aが所定値を超えたとき、緊急時として前記アルカリ剤供給装置12によるアルカリ剤10の供給を増加する制御を行うようにしている。ここで不純物検出器18の設置場所は、排ガス2中の不純物を速やかに検出し得るようにアフタークーラ5cの出口が好ましいが、アフタークーラ5cの下流側でアフタークーラ5cから乾燥機8(または水銀除去塔7)までの位置に設置することも可能である。
【0029】
又、最前段の不純物分離装置6aにおける圧縮機4aには、酸素燃焼装置1からの不純物を含んだ排ガス2が供給されることから腐食を生じることが懸念されるため、最前段の不純物分離装置6aの圧縮機4aは、耐熱性のニッケル合金であるハステロイ(登録商標)等の腐食防止材料によって構成することが好ましい。ここで腐食防止材料は、耐熱性のニッケル合金に限定されるものではなく、耐腐食性及び耐熱性を有するならば、他の金属、合金、無機物等であってもよい。又、前記圧縮機4aは、ブレード(羽根)を有する圧縮機以外に、ブレードを有しないギヤターボチャージャ方式の圧縮機であってもよい。
【0031】
酸素燃焼装置1で酸素燃焼した二酸化炭素主体の排ガス2は、例えば0.1MPa(1気圧)で圧縮機不純物除去システム100の最前段の不純物分離装置6aにおける圧縮機4aに導かれ、該圧縮機4aにより0.7MPaに圧縮される。圧縮機4aで0.7MPaに圧縮された排ガス2は、アルカリ剤供給装置12から供給されるアルカリ剤10と共に、隣接するアフタークーラ5cに供給されて冷却され、冷却によって多量に生成したドレンはアルカリ剤10と共にドレンタンク13に取り出される。
【0032】
最前段の不純物分離装置6aは、圧縮機4aによる圧縮とアフタークーラ5aによる冷却とを行うことでドレンの発生が最も多い部位であり、この最前段の不純物分離装置6aにおけるアフタークーラ5cの上流側にアルカリ剤10を供給することでpHが高くなることにより、特に排ガス中の水溶性の不純物である硫黄酸化物及び塩化水素は、ドレンへの溶け込み性が高められて、効果的に除去される。ここで、ドレンタンク13内のドレンのpHはおよそ4〜6の範囲に設定することができる。又、前記圧縮機4aでの圧縮により窒素の一部も窒素酸化物となり水溶性となることによりドレンに溶け込んで除去される。
【0033】
最前段の不純物分離装置6aを出た排ガス2は、後段の不純物分離装置6bに導かれるが、前記排ガス2には反応に供し得なかったアルカリ剤10が一部存在しているため、後段の不純物分離装置6bにおいても、少ないドレンと共に不純物の除去が行われ、更に、排ガス2は、最後段の不純物分離装置6cに導かれて、更に少ないドレンと共に不純物が除去される。不純物を含むドレンは排水処理装置に供給されて処理される。
【0034】
ここで、最前段の不純物分離装置6aにおけるアフタークーラ5aの上流側にアルカリ剤10を供給すると、排ガスのpHが高められることにより、後段の不純物分離装置6b,6cにおける圧縮機4b,4cの材料を腐食環境から守ることができる。
【0035】
ここで、本発明者らは、最前段の不純物分離装置6aにおけるアルカリ剤(NaOH)の添加量(kg/hr)と、硫黄酸化物(SO
2)除去率との関係を求めるシミュレーション試験を実施し、その結果を
図4に示した。
【0036】
図4に示すように、上記試験では、アルカリ剤の添加量が小さいときは硫黄酸化物除去率は2%前後であったものが、アルカリ剤の添加量が増加して2.4(kg/hr)付近となったときに硫黄酸化物除去率は急激に上昇し、添加量が2.7(kg/hr)付近では98%程度まで上昇することが判明した。尚、この硫黄酸化物の除去率の傾向は塩化水素においても同様となることが推測される。
【0037】
従って、上記したように、硫黄酸化物除去率が急激に上昇して高い値を示すときのアルカリ剤10の添加量と、その時のドレンタンク13のpHを予め測定しておき、実際の運転時には、予め測定しておいたpHが維持されるようにアルカリ剤供給装置12によるアルカリ剤10の供給量を制御すると、特に腐食性が高いとされる硫黄酸化物及び塩化水素からなる水溶性の不純物は、極めて高い除去率で効果的に除去されるようになる。
【0038】
更に、後段の不純物分離装置6b,6cにおいては、ドレンと共に残りの硫黄酸化物及び塩化水素が除去されるため、硫黄酸化物及び塩化水素の除去率は更に高められる。
【0039】
又、不純物分離装置6a,6b,6cによって排ガスの圧力が段階的に高められるため、排ガス2中の窒素も圧力の増加により酸化が促進されて水溶性の窒素酸化物となることから、後段の不純物分離装置6b,6cに向かうほど、ドレンと共に多くの窒素酸化物が取り出されるようになるので、窒素酸化物も除去される。
【0040】
前記したように圧縮機不純物除去システム100によって排ガス2中の不純物が除去された二酸化炭素は、必要に応じて水銀除去塔7により水銀を除去し、乾燥機8に送られて水分が除去された後、二酸化炭素液化装置3に供給され、冷却により液化される。
【0041】
図2は本発明における圧縮機不純物除去システムの他の実施例を示す系統図であり、この実施例では、最前段の不純物分離装置6aの後段に設けられる不純物分離装置6bに、最前段の不純物分離装置6aに備えたものと同一のアルカリ剤供給装置12、ドレンタンク13及び制御器17を備えたものである。
【0042】
図2の実施例によれば、後段の不純物分離装置6bでの不純物の除去率が高まるため、
図1の実施例に対して不純物の除去率を更に高めることができる。尚、上記アルカリ剤供給装置12、ドレンタンク13及び制御器17の構成は、前記後段の不純物分離装置6bよりも更に後段の(最後段の)不純物分離装置6cに設けることもできる。
【0043】
図3は本発明における圧縮機不純物除去システムの変形例を示す系統図であり、この変形例では、前記圧縮機不純物除去システム100の下流である最後段の不純物分離装置6cの出口に、バイパスダクト20を設けると共に、該バイパスダクト20に湿式の脱硫・脱硝装置21を設け、更に、切替弁22,23,24を備えて前記脱硫・脱硝装置21に排ガス2を通す流れと通さない流れとに切り替えられるようにしている。
【0044】
前記バイパスダクト20に脱硫・脱硝装置21を備えた構成では、排ガス2を必要に応じて脱硫・脱硝装置21に導くことにより、排ガス中の不純物を更に低減することができる。このとき、前記圧縮機不純物除去システム100の各圧縮機4a,4b,4cによる圧縮によって圧縮機不純物除去システム100から導出される排ガス2の流量は著しく小さくなっているため、前記脱硫・脱硝装置21には著しく小型(従来の数十分の1)のものを用いることができる。
【0045】
上記したように、本発明の圧縮機不純物除去システム100によれば、圧縮機4aとアフタークーラ5aからなる最前段の不純物分離装置6aにおけるアフタークーラ5aの上流側に、アルカリ剤10を供給するアルカリ剤供給装置12を備えたことにより、二酸化炭素の液化に必要な圧縮機4とアフタークーラ5を用いて、排ガス2中の不純物を効果的に除去することができ、結果的に装置の大型化及び複雑化を防止して設備コストの大幅な低減を図ることができる。
【0046】
又、本発明の圧縮機不純物除去システム100において、最前段の不純物分離装置6aにおけるアフタークーラ5aからのドレンを貯留するドレンタンク13と、該ドレンタンク13に貯留されたドレンのpHを計測するpH検出器16と、該pH検出器16により検出されるpH検出値16aに基づいて前記アルカリ剤供給装置12によるアルカリ剤10の供給量を調節する制御器17を備えると、アルカリ剤10を適切に供給して排ガス2中の不純物をより効果的に除去でき、更に、アルカリ剤10の使用量を適切に制御することによりコストを抑制することができる。
【0047】
又、本発明の圧縮機不純物除去システム100において、最後段の不純物分離装置6cにおけるアフタークーラ5cの下流側に備えた不純物検出器18と、該不純物検出器18の不純物検出値18aが入力される前記制御器17を備えると、該制御器17は、不純物検出器18の不純物検出値18aが所定値を超えたときには前記アルカリ剤供給装置12によるアルカリ剤10の供給を増加するように制御して、圧縮機不純物除去システム100を経た排ガス2中の不純物が急激に増加するような問題を防止することができる。
【0048】
又、本発明の圧縮機不純物除去システム100において、最前段の不純物分離装置6aよりも後段の不純物分離装置6b,6cにおけるアフタークーラ5b,5cの上流側に、アルカリ剤10を供給するアルカリ剤供給装置12を備えると、水溶性の不純物の殆どを除去できることに加えて、非水溶性の不純物である窒素を窒素酸化物に変化させて高い除去率で除去することができる。
【0049】
又、本発明の圧縮機不純物除去システム100においては、最前段の不純物分離装置6aの圧縮機4aによる圧縮とアフタークーラ5aによる冷却とにより最も多くのドレンが発生する部位の排ガス2にアルカリ剤10を供給したので、簡単な装置により、水溶性の不純物である硫黄酸化物及び塩化水素を極めて高い除去率で効果的に除去することができる。
【0050】
又、本発明の圧縮機不純物除去システム100においては、最前段の不純物分離装置6aにおけるアフタークーラ5aの上流側にアルカリ剤10を供給したことにより、排ガスのpHが高められることにより、後段の不純物分離装置6b,6cにおける圧縮機4b,4cの材料を腐食環境から守ることができる。
尚、本発明の本発明の圧縮機不純物除去システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1 酸素燃焼装置
1a 石炭焚ボイラ(酸素燃焼装置)
2 排ガス
3 二酸化炭素液化装置
4 圧縮機
4a,4b,4c 圧縮機
5 アフタークーラ
5a,5b,5c アフタークーラ
6a,6b,6c 不純物分離装置
10 アルカリ剤
12 アルカリ剤供給装置
13 ドレンタンク
16 pH検出器
16a pH検出値
17 制御器
18 不純物検出器
18a 不純物検出値
100 圧縮機不純物除去システム