(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、画像形成装置を実施するための形態について、
図1〜
図8を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0014】
1.画像形成装置の構成例
まず、実施の形態に係る画像形成装置の構成例について、
図1を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置を示す全体構成図である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真方式により用紙に画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。この画像形成装置1は、原稿搬送部10と、用紙収納部20と、画像読取部30と、画像形成部40と、像担持体である中間転写ベルト50と、2次転写部60と、定着部80と、制御基板90とを有する。
【0016】
原稿搬送部10は、原稿Gをセットする原稿給紙台11と、複数のローラ12と、搬送ドラム13と、搬送ガイド14と、原稿排出ローラ15と、原稿排出トレイ16とを有している。原稿給紙台11にセットされた原稿Gは、複数のローラ12及び搬送ドラム13によって、画像読取部30の読取位置に1枚ずつ搬送される。搬送ガイド14及び原稿排出ローラ15は、複数のローラ12及び搬送ドラム13により搬送された原稿Gを原稿排出トレイ16に排出する。
【0017】
画像読取部30は、原稿搬送部10により搬送された原稿G又は原稿台31に載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。具体的には、原稿Gの画像がランプLによって照射される。原稿Gからの反射光は、第1ミラーユニット32、第2ミラーユニット33、レンズユニット34の順に導かれて、撮像素子35の受光面に結像する。撮像素子35は、入射した光を光電変換して所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換されることにより画像データとして作成される。
【0018】
また、画像読取部30は、画像読取制御部36を有している。画像読取制御部36は、A/D変換によって作成された画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施して、制御基板90のRAM103(
図2参照)に格納する。なお、画像データは、画像読取部30から出力されるデータに限定されず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置などの外部装置から受信したものであってもよい。
【0019】
用紙収納部20は、装置本体の下部に配置されており、用紙Sのサイズや種類に応じて複数設けられている。この用紙Sは、給紙部21により給紙されて搬送部23に送られ、搬送部23によって転写位置を有する転写部である2次転写部60に搬送される。また、用紙収納部20の近傍には、手差部22が設けられている。この手差部22からは、用紙収納部20に収納されていないサイズの用紙やタグを有するタグ紙、OHP(Overhead projector)シート等の特殊紙が転写位置へ送られる。
【0020】
画像読取部30と用紙収納部20との間には、画像形成部40と中間転写ベルト50が配置されている。画像形成部40は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成するために、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを有する。すなわち、画像形成部40は、中間転写ベルト50にトナーを付着させて補正パッチ用のトナー像又は画像形成用のトナー像を形成する。
【0021】
第1の画像形成ユニット40Yは、イエローのトナー像を形成し、第2の画像形成ユニット40Mは、マゼンダのトナー像を形成する。また、第3の画像形成ユニット40Cは、シアンのトナー像を形成し、第4の画像形成ユニット40Kは、ブラックのトナー像を形成する。これら4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1の画像形成ユニット40Yの構成について説明する。
【0022】
第1の画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43と、現像部44と、クリーニング部45を有している。感光体41は、不図示の駆動モータによって回転する。帯電部42は、感光体41に電荷を与え感光体41の表面を一様に帯電する。露光部43は、原稿Gから読み取られた画像データ又は外部装置から送信された画像データに基づいて、感光体41の表面に対して露光操作を行うことにより感光体41上に静電潜像を形成する。
【0023】
現像部44は、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いて、感光体41上に形成された静電潜像を現像する。この現像部44は、感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させる。これにより、感光体41の表面は、イエローのトナー画像が形成される。
【0024】
感光体41にトナーを付着させトナー画像を形成する際に、感光体41と現像部44との間には、所定の電圧、いわゆる現像DCバイアスが印加される。この現像DCバイアスを調整することで、感光体41に付着するトナーの量を調整することができ、画像の濃度を調整することができる。
【0025】
なお、第2の画像形成ユニット40Mの現像部44は、感光体41にマゼンタのトナーを付着させ、感光体41の表面にマゼンタのトナー画像を形成する。また、第3の画像形成ユニット40Cの現像部44は、感光体41にシアンのトナーを付着させ、感光体41の表面にシアンのトナー画像を形成する。そして、第4の画像形成ユニット40Kの現像部44は、感光体41にブラックのトナーを付着させ、感光体41の表面にブラックのトナー画像を形成する。
【0026】
感光体41上に形成されたトナー画像は、中間転写体の一例を示す中間転写ベルト50に一次転写される。クリーニング部45は、トナー画像を中間転写ベルト50に一次転写後に感光体41の表面に残留しているトナーを除去する。
【0027】
像担持体の一例を示す中間転写ベルト50は、無端状に形成されており、複数のローラに掛け渡されている。この中間転写ベルト50は、不図示の駆動モータで感光体41の回転(移動)方向とは逆方向に回転駆動する。
【0028】
中間転写ベルト50における各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41と対向する位置には、1次転写部51が設けられている。この1次転写部51は、中間転写ベルト50にトナーと反対の極性の電圧を印加させることで、感光体41上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト50に一次転写する。
【0029】
そして、中間転写ベルト50が回転駆動することで、中間転写ベルト50の表面には、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kで形成されたトナー画像が順次一次転写される。これにより、中間転写ベルト50上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像が重なり合いカラーのトナー画像が形成される。
【0030】
また、中間転写ベルト50には、ベルトクリーニング装置53が対向している。このベルトクリーニング装置53は、用紙Sへのトナー画像の転写を終えた中間転写ベルト50の表面を清掃する。
【0031】
中間転写ベルト50の近傍で、かつ搬送部23の用紙搬送方向下流には、本発明の転写部の一例を示す2次転写部60が配置されている。この2次転写部60は、搬送部23によって送られてきた用紙Sを中間転写ベルト50に接触させて、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに2次転写する。
【0032】
2次転写部60は、2次転写ローラ61を有している。2次転写ローラ61は、対向ローラ52に圧接されている。そして、2次転写ローラ61と中間転写ベルト50が接触する部分は、2次転写ニップ部62となる。この2次転写ニップ部62は、中間転写ベルト50の外周面上に形成されたトナー画像を用紙Sに転写する転写位置である。
【0033】
2次転写部60における用紙Sの排出側には、定着部80が設けられている。この定着部80は、用紙Sを加圧及び加熱して、2次転写されたトナー像を用紙Sに定着させる。定着部80は、例えば、一対の定着部材である定着上ローラ81及び定着下ローラ82で構成されている。定着上ローラ81及び定着下ローラ82は、互いに圧接した状態で配置されており、定着上ローラ81と定着下ローラ82との圧接部が、用紙Sを加圧及び加熱する定着ニップ部である。
【0034】
定着上ローラ81の内部には、加熱部が設けられている。この加熱部からの輻射熱により定着上ローラ81の外周部が温められる。そして、定着上ローラ81の外周部の熱が用紙Sへ伝達されることにより、用紙S上のトナー画像が熱定着される。
【0035】
用紙Sは、2次転写部60によりトナー画像が転写された面(定着対象面)が定着上ローラ81と向き合うように搬送され、定着ニップ部を通過する。したがって、定着ニップ部を通過する用紙Sには、定着上ローラ81と定着下ローラ82とによる加圧と、定着上ローラ81のローラ部の熱による加熱が行われる。
【0036】
定着部80の用紙搬送方向下流には、切換ゲート24が配置されている。切換ゲート24は、定着部80を通過した用紙Sの搬送路を切り換える。すなわち、切換ゲート24は、片面画像形成における画像形成面を上方に向けて排紙するフェースアップ排紙を行う場合に、用紙Sを直進させる。これにより、用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。また、切換ゲート24は、片面画像形成における画像形成面を下方に向けて排紙するフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合に、用紙Sを下方に案内する。
【0037】
フェースダウン排紙を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、表裏が反転されて画像形成面が下方に向いた用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。
両面画像形成を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転し、再給紙路27により再び転写位置へ送られる。
【0038】
一対の排紙ローラ25の下流側には、用紙Sを折ったり、用紙Sに対してステープル処理等を行ったりする後処理装置を配置してもよい。
【0039】
また、中間転写ベルト50におけるベルトクリーニング装置53と、2次転写部60の間には、画像濃度検出センサであるIDC(イメージ・デンシティ・コントローラ:Image・Density・Control)センサ91が配置されている。すなわち、IDCセンサ91は、中間転写ベルト50の回転方向における2次転写部60よりも下流側に配置される。このIDCセンサ91は、中間転写ベルト50の表面に向けて光を照射する発光部と、中間転写ベルト50からの反射光を受光する受光部とを有している。また、IDCセンサ91の受光部及び発光部は、中間転写ベルト50の表面と対向している。
【0040】
[画像形成装置の各部のハードウェア構成]
次に、画像形成装置1の各部のハードウェア構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、画像形成装置1の各部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0041】
図2に示すように、画像形成装置1は、制御部100を備えている。この制御部100は、上述の制御基板90(
図1参照)上に構成されている。
【0042】
制御部100は、例えばCPU(中央演算処理装置)101と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)102と、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)103とを有している。なお、ROM102としては、例えば、通常電気的に消去可能なプログラマブルROMを用いる。
【0043】
CPU101は、装置全体を制御する。このCPU101は、HDD104、操作表示部105、通信部108にそれぞれシステムバス107を介して接続されている。さらに、CPU101は、画像読取部30、画像処理部106、画像形成部40、給紙部21、定着部80、2次転写部60、IDCセンサ91にシステムバス107を介して接続されている。
【0044】
HDD104は、画像読取部30で読み取って得た原稿画像の画像データを記憶したり、出力済みの画像データ等を記憶したりする。操作表示部105は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部105は、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部105は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付けて、入力信号を制御部100に出力する。
【0045】
通信部108は、外部の情報処理装置であるPC(パーソナルコンピュータ)120から送信されるジョブ情報を、通信回線を介して受け取る。そして、受け取ったジョブ情報を、システムバス107を介して制御部100に送る。ジョブ情報には、形成する画像の画像データと、その画像データに対応付けられた使用する用紙の種類及び枚数などの情報が含まれている。
【0046】
なお、本実施形態では、外部装置としてパーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置としては、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を適用することができる。
【0047】
IDCセンサ91は、中間転写ベルト50に光を照射すると共に、中間転写ベルト50から反射された光を受光する。このIDCセンサ91は、中間転写ベルト50に付着するトナーの濃度を検出し、その検出結果を制御部100に送信する。制御部100は、IDCセンサ91からの情報に基づいて、画像形成部40が画像を形成する際の作像条件を補正する。なお、作像条件の補正方法の詳細は、後述する。
【0048】
画像読取部30は、原稿画像を光学的に読み取って電気信号に変換する。例えば、カラー原稿を読み取る場合は、一画素当たりRGB各10ビットの輝度情報をもつ画像データを生成する。画像読取部30によって生成された画像データや、画像形成装置1に接続された外部装置の一例を示すPC120から送信される画像データは、画像処理部106に送られ、画像処理される。画像処理部106は、受信した画像データに対してアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理を行う。
【0049】
例えば、画像形成装置1でカラー画像を形成する場合、画像読取部30等によって生成されたR・G・Bの画像データを画像処理部106における色変換LUT(Look up Table)に入力する。そして、画像処理部106は、R・G・BデータをY・M・C・Kの画像データに色変換する。そして、色変換した画像データに対して、階調再現特性の補正、濃度補正LUTを参照した網点などのスクリーン処理、あるいは細線を強調するためのエッジ処理などを行う。
【0050】
画像形成部40は、制御部100により駆動制御され、用紙S上にトナー画像を形成する。定着部80は、制御部100により駆動制御され、用紙Sを加圧及び加熱して、トナー画像を用紙Sに定着させる。
【0051】
2.作像条件の補正方法
次に、上述した画像形成装置1にかかる作像条件の補正方法について説明する。
形成される画像の濃度を安定させるために、画像形成装置1では、IDCセンサ91を用いて作像条件の補正、いわゆる画像間安定化補正処理を行っている。この、画像間安定化補正処理は、所定の画像形成の実行回数毎や所定の時間毎に行われる。
【0052】
[画像間安定化補正]
本発明の目的である画像間安定化補正処理について
図3〜
図8を参照して説明する。
図3は、画像間安定化補正処理を示すフローチャート、
図4は、画像間安定化補正処理における要部を拡大して示す説明図である。
【0053】
なお、制御部100は、初期状態の中間転写ベルト50、すなわち中間転写ベルト50を交換したときに、IDCセンサ91のセンサ出力を調整する。そして、制御部100は、センサ出力を調整する際に用いたIDCセンサ91の初期補正光量を取得する。この初期補正光量は、次のようにして取得される。
【0054】
IDCセンサ91の発光部を発光させ、トナー像や補正パッチが形成されていない状態の中間転写ベルト50に対して光を照射する。そして、IDCセンサ91は、中間転写ベルト50から反射された光を受光部で受光し、検出値を制御部100に送信する。制御部100は、検出値が所定の値となるように、IDCセンサ91の発光部の光量を補正する。そして、制御部100は、設定したIDCセンサ91の初期補正光量を予めRAM103に記録させる。
【0055】
画像間安定化補正処理が開始されると、まず、
図3及び
図4に示すように、制御部100は、IDCセンサ91の発光部の光量を補正し、センサ出力を調整する(ステップS11)。このステップS11の処理では、IDCセンサ91の発光部を発光させ、トナー像や補正パッチが形成されていない中間転写ベルト50に光を照射する。そして、制御部100は、IDCセンサ91の検出値が所定の値となるように、IDCセンサ91の発光部の光量を補正する。このときのIDCセンサ91の光量を現行補正光量とする。
【0056】
次に、制御部100は、中間転写ベルト50上にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナーからなる画像間補正パッチP1を作成する(ステップS12)。各色の画像間補正パッチP1は、中間転写ベルト50に形成される画像形成のためのトナー像の間に形成される。すなわち、画像間安定化補正処理は、複数の用紙に対して連続して画像を形成する処理の中で行われる。
【0057】
また、
図4に示すように、画像間補正パッチP1は、中間転写ベルト50と2次転写ローラ61が接触する2次転写ニップ部62を通過する。このとき、2次転写ローラ61は、中間転写ベルト50に接触している。これにより、2次転写ローラ61を中間転写ベルト50に対して離間及び接触させる動作を省略することができ、画像形成処理の生産性が低下することを防止することができる
【0058】
また、補正パッチのトナーが2次転写ローラ61へ転移する量を軽減させるために、2次転写部60に補正パッチのトナーと同極性のバイアスを印加させる。すなわち、通常の2次転写時とは、逆のバイアスを2次転写部60に印加し、反発力によって補正パッチのトナーが2次転写ローラ61に転移する量を少なくしている。
【0059】
また、
図4に示すように、画像間補正パッチP1が2次転写ニップ部62を通過すると、2次転写ローラ61には、画像間補正パッチP1のトナーP2が付着する。また、この2次転写ローラ61に付着するトナーP2の量は、中間転写ベルト50の表面性や、2次転写ローラ61の使用経過等の外乱によって変動するため、2次転写ニップ部62を通過した画像間補正パッチP1のトナー量が変動する。そのため、
図4に示すように、制御部100は、2次転写ニップ部62を通過した画像間補正パッチP1のトナー残量比率Q3を算出する(ステップS13)。トナー残量比率Q3は、画像間補正パッチP1における2次転写部60を通過する前のトナー量に対する2次転写部60を通過した後のトナー量の割合を示す。
【0060】
ここで、トナー残量比率Q3の変動を与える外乱の一因である中間転写ベルト50の表面性及び2次転写ローラの使用経過情報について
図5〜
図7を参照して説明する。
【0061】
図5は、IDCセンサ91の補正光量と、中間転写ベルト50の回転数、いわゆる使用経過情報との関係を示すグラフである。
中間転写ベルト50は、ベルトクリーニング装置53によって表面が均される。そのため、中間転写ベルト50の表面は、回転数が増加、すなわち使用する時間が長くなるにつれて、平滑化し、光の反射率が上昇する。そして、中間転写ベルト50の回転数が増加すると、光の反射率が上昇し、IDCセンサ91の受光部が受光する光量が増加するため、発光部の発光光量を抑える必要がある。したがって、
図5に示すように、発光部の現行補正光量は、初期補正光量よりも減少する。そのため、初期補正光量と現行補正光量との差分を算出することで、現在の中間転写ベルト50の表面性を推測することができる。
【0062】
図6は、中間転写ベルト50の回転数、いわゆる使用経過情報と、トナー残量比率Q3との関係を示すグラフである。
中間転写ベルト50の回転数が増加すると、ベルトクリーニング装置53によって均されて中間転写ベルト50の表面がより滑らかになり、トナーが付着し易くなる。中間転写ベルト50にトナーが付着し易くなることで、2次転写ローラ61にトナーが付着し難くなるため、トナー残量比率Q3も増加する。そのため、
図6に示すように、中間転写ベルト50の回転数が増加すると、トナー残量比率Q3も増加することが分かる。これにより、現在の中間転写ベルト50の表面性を推測することで、トナー残量比率Q3を推測することができる。
【0063】
また、トナー残量比率Q3は、2次転写ローラ61の使用経過によっても変動する。
図7は、2次転写ローラ61の使用経過情報である2次転写ローラ61の回転数と、トナー残量比率Q3との関係を示すグラフである。
2次転写ローラ61の回転数が増加すると、経年劣化によってその表面にトナーが付着し易くなる。
図7に示すように、2次転写ローラ61の回転数が増加すると、トナー残量比率Q3が低下していることが分かる。
【0064】
トナー残量比率Q3は、例えば次のようにして算出される。まず、制御部100は、ROM102から記録したIDCセンサ91の初期補正光量と、ステップS11の処理で補正した、IDCセンサ91の現行補正光量との差分である光量変動値を算出する。また、制御部100は、2次転写ローラ61の使用経過情報である2次転写ローラ61の回転数をカウントする。
【0065】
そして、制御部100は、算出した光量変動値と2次転写ローラ61の回転数からトナー残量比率Q3を算出する。なお、
図6及び
図7に示すように、トナー残量比率Q3の変動は、2次転写ローラの使用経過情報よりも中間転写ベルト50の表面性に大きく影響を受ける。そのため、トナー残量比率Q3は、IDCセンサ91の初期補正光量と現行補正光量の差分である光量変動値のみで算出してもよい。
【0066】
次に、
図3及び
図4に示すように、2次転写ニップ部62を通過した画像間補正パッチP1の濃度をIDCセンサ91で検出する(ステップS14)。
【0067】
図8は、IDCセンサ91の出力と濃度の関係を示すグラフである。
この
図8に示すように、IDCセンサ91が検出した補正パッチ検出値である検出値Q2が目標値Q1よりも高い場合、画像間補正パッチの濃度は、標準濃度よりも薄いことが分かる。そして、制御部100は、この目標値Q1からのズレ、すなわち目標値Q1と検出値Q2の差分値を画像形成部40の作像条件にフィードバックする。
【0068】
次に、
図3に示すように、制御部100は、ステップS13で算出したトナー残量比率Q3と、ステップS14で検出したIDCセンサ91の検出値Q2から作像条件の補正値Q4を算出する(ステップS15)。なお、この補正値Q4は、例えば露光部43の露光量である。
【0069】
作像条件の補正値Q4は、例えば下記式1によって算出される。
[式1]
補正値Q4={(目標値Q1−検出値Q2)/トナー残量比率Q3}×補正係数W1
なお、補正係数W1は、IDCセンサ91のセンサ出力値を光量へ変換する係数である。
【0070】
次に、制御部100は、算出した補正値Q4を画像形成部40の作像条件にフィードバックする(ステップS16)。これにより、画像形成装置1の画像間安定化補正が終了する。
【0071】
なお、ステップS14で行われるトナー残量比率Q3の算出工程は、ステップS11において画像間補正パッチP1を作成する際に行ってもよい。
【0072】
本例の画像形成装置1によれば、トナーの転移量を変動させる外乱である中間転写ベルト50の表面性及び2次転写ローラ61の使用経過情報を用いて、2次転写ニップ部62を通過した画像間補正パッチP1のトナー残量比率を算出している。そして、算出したトナー残量比率Q3を用いてIDCセンサ91の検出値Q2及び目標値Q1を補正している。これにより、トナーの転移量を予測して、外乱を考慮した補正を行うことができる。その結果、作像条件を補正する補正値Q4の算出精度を向上させることができ、画像濃度の安定性を向上させて高品質の画像を安定して形成することが可能となる。
【0073】
以上、画像形成装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の画像形成装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0074】
上述した実施の形態例では、4組の画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを用いてカラー画像を形成する構成としたが、本発明に係る画像形成装置としては、1つの画像形成部を用いて単色画像を形成する構成としてもよい。
【0075】
また、上述した画像形成装置1は、感光体に形成されたトナー像を一次転写させる転写材として中間転写ベルトを有し、中間転写ベルトから用紙に画像を2次転写させる構成とした。しかし、本発明に係る画像形成装置としては、感光体からベルト部材によって搬送された用紙に直接トナー像を転写させる構成であってもよい。さらに、像担持体が中間転写ベルトである場合について示したが、像担持体として感光体を用いてもよい。