【実施例】
【0009】
本発明の第1の実施例に係るVCSELアレイを
図1に示す。
図1(A)は、VCSELアレイの一部の概略平面図であり、
図1(B)は、そのX−X線断面図である。VCSELアレイ10は、ウエハーまたは基板上に複数の発光素子を含んで形成されるが、
図1(A)には、代表的な1つの発光素子が示されている。本実施例の発光素子は、VCSEL素子であり、当該VCSEL素子は、円筒状のメサ(柱状構造)Mによって規定された発光部を有する。
図1(A)には、メサMに隣接する他の2つのメサM1、M2が仮想的に示されている。メサM、M1、M2を含む複数のVCSEL素子は、溝20によってパッド形成領域30と隔離され、溝20内には、後述するように比誘電率が小さい絶縁材が充填される。
図1(A)の鎖線22は、溝20とパッド形成領域30との境界を表している。なお、溝の形は本実施の形態に開示する形状に限定されるものではなく、本実施例における機能を達成する形状であれば、他の凹部形状や段差形状で構成されてもよい。
【0010】
パッド形成領域30上には、各VCSEL素子に対応する電極パッドが形成され、
図1(A)には、メサMに電気的に接続されるn型の電極パッド114とp側の電極パッド124との一組が示されている。n側の電極パッド114は、引き出し配線112を介してn側電極110に接続され、p側の電極パッド124は、引き出し配線122を介してp側電極120に接続される。n側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122とは、絶縁材140を介して互いに平行に重複するように延在する。言い換えれば、p側の引き出し配線122は、絶縁材140の上面を通ってメサ頂部のp側電極120に接続され、n側の引き出し配線112は、絶縁材140の底面すなわち溝20を通ってn側電極110に接続される。
【0011】
具体的には、
図1(B)に示すように、半絶縁性のGaAs基板100上に、n型のGaAsコンタクト層102が一定の厚さで形成され、さらにその上に、Al組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたn型の下部分布ブラック型反射鏡(Distributed Bragg Reflector:以下、DBRという)104、下部DBR104上に形成された、上部および下部スペーサ層に挟まれた量子井戸層を含む活性領域106、活性領域106上に形成されたAl組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたp型の上部DBR108が形成される。また、必要に応じて、上部DBR108上にp型のGaAsコンタクト層が形成される。
【0012】
n型のコンタクト層102は、例えば、n型不純物であるシリコンをドーピングした後のキャリア濃度が、1×10
19cm
-3である不純物濃度が高い半導体層である。n型の下部DBR104は、例えば、Al
0.9Ga
0.1As層とAl
0.3Ga
0.7As層とのペアの複数層積層体で、各層の厚さはλ/4n
r(但し、λは発振波長、n
rは媒質の屈折率)であり、これらを交互に40周期で積層している。n型不純物であるシリコンをドーピングした後のキャリア濃度は、例えば、3×10
18cm
-3である。活性領域106の下部スペーサ層は、アンドープのAl
0.6Ga
0.4As層であり、量子井戸活性層は、アンドープAl
0.11Ga
0.89As量子井戸層およびアンドープのAl
0.3Ga
0.7As障壁層であり、上部スペーサ層は、アンドープのAl
0.6Ga
0.4As層である。p型の上部DBR108は、例えば、Al
0.9Ga
0.1As層とAl
0.3Ga
0.7As層とのペアの複数層積層体で、各層の厚さはλ/4n
rであり、これらを交互に22周期積層してある。p型不純物であるカーボンをドーピングした後のキャリア濃度は、例えば、3×10
18cm
-3である。また、上部DBR108の最上層に、p型のGaAsからなるコンタクト層が形成し、上部DBR108の内部に、p型のAlAsまたはAlGaAsからなる電流狭窄層を形成するようにしてもよい。なお、上記のVCSELの構成は、典型的な一つの例であって、本発明は、これに限定されるものではない。
【0013】
上部DBR108から下部DBR104の一部に至る半導体層をエッチングすることにより、基板上に溝20が形成され、これにより、複数のメサMとパッド形成領域30とが隔離される。メサMおよびパッド形成領域30を含む基板上に層間絶縁膜130が形成され、層間絶縁膜130には、n側電極用の開口およびp側電極用の開口が形成される。n側電極用の開口は、メサMの底部にかつメサMと同心円状に形成され、n型の下部DBR104を露出させる。他方、p側電極用の開口は、メサMの頂部に円形状に形成され、p型の上部DBR108を露出させる。好ましい態様では、n側電極用の開口によって露出された下部DBR104をエッチングすることにより、n型のコンタクト層102に至るコンタクトホール150が形成され、当該コンタクトホール150内にAu/Geなどの金属からなるn側電極110が形成される。従って、図に示されるように、n側電極110は、メサMの底部においてメサMを取り囲むように環状に形成され、n型のコンタクト層102に電気的に接続される。他方、メサ頂部には、層間絶縁膜130の開口を介して、AuまたはTi/Auなどの金属からなる環状のp側電極120が形成され、p側電極120は上部DBR108に電気的に接続される。p側電極120の中央の開口は、レーザ光を出射する窓として機能する。
【0014】
メサMの周囲に形成された溝20は、電気的に絶縁性の絶縁材140によって充填される。絶縁材140は、例えば、感光性BCB(ベンゾシクロブテン)や感光性ポリイミド樹脂などから構成される。また、絶縁材140は、比誘電率が小さい材料であることが望ましく、例えば、SiO
2(比誘電率は約3.9)、SiN(比誘電率は約7)よりも比誘電率が小さい材料から構成される。例えば、ポリイミド樹脂などをスピンコートすることにより、メサMの頂部とパッド形成領域30との間に大きな段差が生じないように平坦化された絶縁材140が形成されることが望ましい。
【0015】
絶縁材140の表面を延在するようにp側の引き出し配線122が形成される。p側の引き出し配線の一方の端部は、p側電極120を介して、上部DBR108と電気的に接続される。なお、上部DBR108への接続は、コンタクト層等の他の層を介して電気的に接続されてもよい。また、他方の端部は、p側の電極パッド124に接続される。パッド形成領域30において、p側の引き出し配線122およびp側の電極パッド124は、層間絶縁膜130により上部DBR108と電気的に絶縁されている。好ましくは、p側電極120、引き出し配線122および電極パッド124は、同時にパターン形成される。なお、パッド形成領域30に溝20が延びていても良く、充填された絶縁材140上にp側の電極パッド124またはn側の電極パッド114の少なくとも一方が形成されても良い。厚い絶縁材上に電極パッドが形成された場合、電極パッド部の寄生容量が低減され、高速化に有利になる。
【0016】
ここで、n側の引き出し配線112は、p側の引き出し配線122の下方でこれと平行になるように、絶縁材140の底部側を延在する。n側の引き出し配線の一方の端部は、n側電極110に接続され、他方の端部は、n側の電極パッド114に接続される。
図2(A)には、
図1(A)のX−X1線断面図が示され、
図2(B)には、n側の引き出し配線112と電極パッド114との接続例の斜視図が示されている。好ましくは、
図2(B)に示すように、絶縁材140には、傾斜面144が形成されるようなコンタクト領域142が形成される。コンタクト領域142によりn側の引き出し配線112の端部112Aが露出され、当該端部112Aは、傾斜面144上を延在するパッド接続配線114Aを介して電極パッド114に接続される。傾斜面144を利用することで、n側引き出し配線112と電極パッド114間の段差を緩和し、断線を防ぐことができる。また、このような構成では、p側の電極パッド124、引き出し配線122、p側電極120と同時に、n側の電極パッド114およびパッド接続配線114Aを形成することができる。
【0017】
図2(C)は、n側の引き出し配線112と電極パッド114の他の接続例を示す断面図である。例えば、n側の引き出し配線112上に絶縁材140を形成したのち、絶縁材140にスルーホール144Aを形成し、n側の引き出し配線112を露出させ、その後、電極パッド114およびパッド接続配線114Aを形成するようにしてもよい。
【0018】
このように本実施例では、n側の引き出し配線112上に絶縁材140による埋め込み構造を形成し、絶縁材140上のn側の引き出し配線112と重なるような位置にp側の引き出し配線122を形成することで、1本の配線で形成した時と同じサイズで素子の配線構造を作製でき、素子アレイの小型化が可能になる。言い換えれば、n側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122とを立体化または3次元化することで、n側の引き出し配線およびp側の引き出し配線を同一平面に形成するときと比較して、引き出し配線のための面積を小さくすることができ、その結果、VCSEL素子単体ないしアレイ化されたときのVCSEL素子M1とM2のピッチを狭めることができる。また、n側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122が重複しても、絶縁材140を比誘電率が小さい材料から構成するため、高速動作されるVCSELにおいてクロストークなどのノイズを効果的に防止することができる。さらに、n側およびp側の電極パッド114、124は、同一平面にあるため、ワイヤボンディングやフリップチップ実装などの外部リードとの接続を容易にすることができる。
【0019】
次に、本実施例の幾つかの変形例について説明する。
図1、
図2に示す構成では、n側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122の少なくとも一部は、絶縁材140の上下に平行に重複して延在するものであり、重複する部分の配線の幅は等しい。しかしながら、n側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122の幅は、必ずしも等しくなくてもよい。
図3は、n側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122とが重複する部分の断面図であるが、
図3(A)に示すように、n側の引き出し配線112の幅W1がp側の引き出し配線122の幅W2よりも大きくてもよいし、その反対に、n側の引き出し配線112の幅W1がp側の引き出し配線122の幅W2よりも小さくてもよい。
【0020】
さらに、上方すなわち出射面側から見たとき、n側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122とが重複することが素子の小型化の点で望ましいが、これ以外にも、
図3(C)に示すようにn側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122とが部分的に重複するようにオフセットされてもよいし、あるいは
図3(D)のようにn側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122との間に間隙Sが形成されるような重複関係であってもよい。なお、
図3(D)の構成は、実際には出射面側から見たときに引き出し配線同士が重なっていないものの、引き出し配線を同一面に平行に設けた構成と比較して占有幅が狭くできる範囲のオフセットであれば、引き出し配線同士が重なった状態と定義する。
図3(C)、(D)に示すような構成であっても、n側の引き出し配線112とp側の引き出し配線112とは、絶縁材140の上下方向に立体的に配置されるので、n側の引き出し配線とp側の引き出し配線とを同一平面に配置する場合と比べれば、引き出し配線に必要な面積を小さくすることができ、素子の小型化に寄与することができる。
【0021】
さらに上記実施例では、上方から見たとき、n側の引き出し配線112とp側の引き出し配線122との延在部分の引き出す方向を完全に一致される例を示したが、引き出し方向は、完全に一致している必要はなく、n側およびp側の引き出し配線を同一面に平行に設けた構成と比較して占有幅が狭くできる範囲であれば、n側およびp側の引き出し配線の引き出し方向の間に多少の角度が形成されてもよい。
【0022】
次に、本発明の第2の実施例について
図4を参照して説明する。第1の実施例と同様の構成については同一参照番号を附す。第1の実施例では、コンタクト層102に到達するようなコンタクトホール150がメサMの全周を取り囲むように連続的に形成されたのに対し、第2の実施例では、そのようなコンタクトホール150は、メサMの一部を取り囲むが、p側の引き出し配線122の直下には形成されない。
【0023】
図4(A)に示すように、n側電極110を形成するためのコンタクトホール150の端部150A、150Bは、p側の引き出し配線122またはn側の引き出し配線112の手前で終端している。コンタクトホール150の端部150A、150Bの間には平坦な配線層160が形成され、平坦な配線層160は、コンタクトホール150の端部150A、150Bに存在するn側電極110を電気的に連結する。流動性または粘性のある絶縁材140を溝20内に充填したとき、コンタクトホール150上には、その形状に倣うように凹部または段差140A(
図4(B)を参照)が形成される。しかし、p側の引き出し配線122の直下には、コンタクトホール150が形成されないため、そこでの絶縁材140の表面は容易に平坦化される。このため、絶縁材140上に形成されるp側の引き出し配線122も平坦な面上に形成されるため、引き出し配線122の断線等を防止され、素子アレイの作製が容易になる。
【0024】
次に、本発明の第1の実施例に係るVCSELアレイの製造方法について
図5および
図6を参照して説明する。
図5(A)は、VCSELアレイ上の1つの素子を示している。
図5(A)に示す状態では、基板100上の半導体層をエッチングすることにより溝20が形成され、メサMとパッド形成領域30が形成されている。そして、基板全面を覆うように層間絶縁膜130が形成され、層間絶縁膜130には、メサMを取り囲むような環状の開口130Aが形成され、さらにメサMの頂部に円形状の開口130Bが形成される。
【0025】
次に、図示しないエッチング用のマスクパターンを用いて、開口130Aによって露出された下部DBR104をエッチングし、
図5(B)に示すように、コンタクト層102に到達する環状のコンタクトホール150を形成する。エッチング用のマスクパターンを除去した後、
図5(C)に示すように、n側電極110およびn側の引き出し配線112のパターンを形成する。次に、
図6(D)に示すように、感光性ポリイミド樹脂を溝20内に滴下し、溝20内を絶縁材140で充填する。この際、メサMとパッド形成領域30との間に段差が生じない程度に絶縁材140を供給する。
【0026】
次に、図示しないマスクパターンを形成し、感光性ポリイミド樹脂の露光および現像を行い、
図6(E)に示すように、n側の引き出し配線112の端部112Aが露出されるように感光性ポリイミド樹脂内にコンタクト領域142を形成する。このとき、傾斜面144が形成されるように、グレイティングマスク(ハーフトーンマスク)等を用いて感光性ポリイミド樹脂への露光量を調整する。
【0027】
次に、
図1および
図2に示すように、p側電極120、p側の引き出し配線122、p側の電極パッド124とともに、パッド接続配線114Aおよびn側の電極パッド114が同時に形成される。
【0028】
なお、上記実施例では、基板上に複数の発光部(メサ)が形成されるVCSELアレイを主に例示したが、本発明は、基板上に単一の発光部が形成される単ビット構造のVCSELにも適用することが可能であり、n側およびp側の引き出し配線を同一平面に形成するような従来の高速VCSELに比べて、本発明の単ビット構造の高速VCSELの小型化を図ることができる。
【0029】
次に、本発明の実施例に係るVCSELアレイを用いた光伝送装置について説明する。
図7は、第1の実施例により形成されたVCSELアレイの概略平面図を示す。同図に示すVCSELアレイは、7つのVCSEL素子を含んで構成される。すなわち、中央に1つのメサMが形成され、これと同心円状にかつ回転対称となる位置に6つのメサM1〜M6が形成される。この場合、各メサ間のピッチは等しい。通常、中央に位置するメサMの引き出し配線は、メサM1、M2間の間を通過するため引き回しが難しくなるが、本実施例では、引き出し配線122は1本分のスペースしか必要としないため、引き回しが容易になり、しかもメサM1、M2間のピッチを狭くすることができる。メサM1とメサM2のピッチを狭くすることで、これに合わせて他のメサ間のピッチも小さくすることができ、アレイの小型化が可能になる。メサM1〜M6にそれぞれ対応する引き出し配線122は、放射状に延び、パッド形成領域30上の電極パッド114、124に接続される。なお、円形の鎖線22は、パッド形成領域30と溝20との境界である。
【0030】
図8(A)は、マルチコアファイバの200の断面図である。マルチコアファイバ200は、1本のファイバの中に等間隔で配列された複数のコア202を含んで構成される。マルチコアファイバ200の各コア202の数および位置は、VCSELアレイ上のメサ(発光部)の数および位置に対応し、VCSELアレイから発せられた複数のレーザ光は、対応するコア202に入射され、伝送される。このようなマルチコアファイバ200の使用は、空間多重により大容量のデータ伝送を可能にする。
【0031】
図8(B)は、光伝送装置の一例を示す概略断面図である。光伝送装置300は、金属ステム302上に導電性接着剤を介してVCSELアレイのチップ310を搭載する。金属ステム302には、絶縁処理された貫通孔を介して複数の外部リード304が取付けられ、外部リード304は、チップ310上の各VCSEL素子に電気的に接続される。ステム302上に中空のキャップ320が固定され、キャップ320の中央の開口内に光学部材としてのボールレンズ330が固定される。ボールレンズ330の光軸は、VCSELチップ310上に形成された複数のVCSELの中心とほぼ一致する。さらに、ステム302上には円筒状の筐体340が固定され、筐体340の端面に一体に形成されたスリーブ342内にフェルール350が保持され、フェルール350によってマルチコアファイバ200が保持される。マルチコアファイバ200は、ボールレンズ330に正確に位置合わせされる。外部リード304により各VCSEL素子を同時駆動または個別駆動することにより、チップ310の各発光部から発せられたレーザ光はそれぞれのコア202に集光される。
【0032】
図8(C)は、他の光伝送装置300Aの構成例を示している。本例では、ボールレンズ330を用いることなく、VCSELアレイのチップ310とマルチコアファイバ200とを直接的に光学結合させている。上記したように、本実施例では、VCSEL素子の狭ピッチ化を図ることができるため、VCSEL素子のピッチを、マルチコアファイバ200のコア202のピッチに一致させることが可能となる。このため、VCSEL素子をマルチコアファイバ200の入射面に接近させることで、VCSEL素子から発せられたレーザ光を直接コア202に集光させることができる。これにより、部品点数を削減し、低コスト、かつ小型の光伝送装置300Aを得ることができる。
【0033】
図9は、本実施例のVCSELアレイを光情報処理装置の光源に適用した例を示す図である。光情報処理装置400は、VCSELアレイを搭載した面発光型半導体レーザ装置410からのレーザ光を入射するコリメータレンズ420、一定の速度で回転し、コリメータレンズ420からの光線束を一定の広がり角で反射するポリゴンミラー430、ポリゴンミラー430からのレーザ光を入射し反射ミラー450を照射するfθレンズ440、ライン状の反射ミラー450、反射ミラー450からの反射光に基づき潜像を形成する感光体ドラム(記録媒体)460を備えている。このように、VCSELからのレーザ光を感光体ドラム上に集光する光学系と、集光されたレーザ光を光体ドラム上で走査する機構とを備えた複写機やプリンタなど、光情報処理装置の光源として利用することができる。面発光型半導体レーザ装置410は、例えば、
図8(B)の構成から筐体340およびマルチコアファイバ200を取り外したものであることができる。
【0034】
次に、本実施例の異なるパターンをもつVCSELアレイを
図10に示す。同図に示すVCSELアレイは、線形に配列された7つのVCSEL素子を含む。すなわち、メサM1、M3、M5、M7が線形に配列され、メサM2、M4、M6が線形に配列され、各メサのピッチは等しい。メサM2、M4、M6のp側の引き出し配線122は、メサM1、M3、M5、M7の間を延在してパッド形成領域30へ延在する。鎖線22は、溝20とパッド形成領域30との境界である。本例でも、p側の引き出し配線122およびn側の引き出し配線112を立体構造とすることで、1本の引き出し配線で形成したときと同じサイズでアレイを形成することが可能になり、アレイの小型化を図ることができる。また、アレイ内部に配置された発光部(M2、M4、M6)の引き出し配線を外側に引き出すのも容易になる。
【0035】
図10に示す例では、出射面側から見たとき、p側の引き出し配線122とn側の引き出し配線112の延在部分が2つの隣接する発光部間で重なる例を示しているが、発光部、電極パッドのレイアウト等に応じて、p側の引き出し配線122とn側の引き出し配線112の延在部分は、2つの隣接する電極パッド間、あるいは発光部と電極パッドとの間を重なるように延在することも可能である。すなわち、
図10に示すM1ないしM7は、電極パッドのレイアウトでもよく、p側の引き出し配線122とn側の引き出し配線112は、電極パッド間、あるいは電極パッドと発光部の間を重複して延在する。
【0036】
図11は、本発明のさらなる他の実施例のVCSELアレイを説明する図である。
図11(A)に示すように、複数のメサMが等しいピッチで円周方向に配列され、その内部に2つのメサMが配列されている。本例では、n側電極110またはn側電極110のためのコンタクト溝150がメサMの全周を取り囲むのではなく、パッド形成領域30側に形成される。例えば、n側電極110またはコンタクト溝150は、内角が約90となるような扇状または円弧状に形成される。このような構成にすることで、発光部間(メサ間)にn側電極を形成する必要がなくなるため、さらにアレイの高密度化が可能になる。
【0037】
上記実施例では、GaAs、AlAs、AlGaAsの半導体材料を用いたGaAs系のVCSELを例示したが、本発明は、他のIII−V族の化合物半導体を用いたVCSELにも適用することができる。また、上記実施例では、基板上にn型の半導体層を積層し、その上にp型の半導体層を積層する構成を示したが、これと反対に、p型の半導体層上にn型の半導体層を積層する構成であってもよい。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。