特許第6015380号(P6015380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015380
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ユニバーサルジョイント
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/41 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   F16D3/41 E
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-257507(P2012-257507)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-105734(P2014-105734A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(72)【発明者】
【氏名】戸島 由嗣
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−077873(JP,A)
【文献】 特開2006−090343(JP,A)
【文献】 特開2006−183832(JP,A)
【文献】 実開昭52−127641(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0155988(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/38, 3/40, 3/41
F16B 5/02
F16B 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの軸部の外周に軌道面が形成された十字軸と、
前記軸部の軌道面を転動する複数の転動体と、
前記転動体を介して前記各軸部に揺動可能に取り付けられるベアリングカップと、
を備え、
前記ベアリングカップは、
ヨークとの接合面に前記ヨーク側に向けて突出するキー部と、
前記キー部の両側位置に形成されたボルト挿通孔と、
が形成され、
前記キー部は前記ヨークに形成されたキー溝に嵌め込まれ、
前記ボルト挿通孔にベアリング固定ボルトが挿通されるとともに、
前記ヨークのねじ孔と螺合され、
前記ヨークと接合固定されるユニバーサルジョイントにおいて、
前記ボルト挿通孔から前記ベアリングカップの外周側端部に延びる貫通孔が複数形成され、
前記貫通孔は、前記ベアリングカップの外周面の開口部と連通し、
前記開口部から注入されたグリースが、前記貫通孔を介して前記ベアリング固定ボルトと前記ボルト挿通孔との隙間に充填された状態で、前記開口部が封止されていることを特徴とするユニバーサルジョイント。
【請求項2】
請求項1に記載のユニバーサルジョイントであって、
前記ボルト挿通孔の孔径は、前記ベアリング固定ボルトのねじ部径よりも大きく、
前記ベアリング固定ボルトは、胴部径が前記ねじ部径よりも小さく、
前記ボルト挿通孔に前記ベアリング固定ボルトが挿通された状態で、前記胴部が前記ボルト挿通孔の中心に位置するようにガイドする円環状のガイド部を前記胴部の一方端または両端に有していることを特徴とするユニバーサルジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼用圧延設備等の駆動軸が備えるユニバーサルジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼用圧延設備では、駆動モータの回転を鉄鋼用圧延ローラへ伝達するために駆動軸が使用されている。この駆動軸は、駆動モータ側に接続される駆動軸部と、鉄鋼用圧延ローラ側に接続される従動軸部と、駆動軸部と従動軸部との間を接続する中間軸部とから構成されている。これらの軸部は同一軸上になく、各軸部を接続して回転を滑らかに伝達するために、駆動軸は各軸部との間にユニバーサルジョイントを備えている。
【0003】
このユニバーサルジョイントには、例えば、4つの軸部の外周に軌道面が形成された十字軸と、軸部の軌道面を転動する複数の針状ころと、針状ころを介して各軸部に揺動可能に取り付けられるベアリングカップとを備えたブロックタイプがある。このベアリングカップは、ヨークとの接合面にヨーク側に向けて突出するキー部と、キー部の両側位置に形成されたボルト挿通孔とが形成されている。そして、キー部をヨークに形成されたキー溝に嵌合させ、ボルトをボルト挿通孔に挿通するとともに、ヨークのねじ孔に螺合して、ベアリングカップとヨークとを接合固定する構成となっている。
【0004】
ところで、鉄鋼用圧延設備の熱間圧延工程は、圧延材が非常に高温であり、ワークロールや周辺機器の温度上昇を防ぐために圧延水と呼ばれる冷却水が常時機器にかけられている。このように、鉄鋼用圧延設備の駆動軸に使用されるユニバーサルジョイントは、高温かつ高負荷に加え、腐食しやすい厳しい環境下におかれており、長期間連続使用すると、圧延水の水分により各部が腐食することにより、破損に至る場合がある。例えば、特許文献1には、ベアリングカップのキー部に耐腐食性に優れた皮膜を形成することによりキー部の耐食性を向上させ、キー溝との間の隙間の発生を防止し、ボルトに対する過大な曲げ応力の作用を防止するユニバーサルジョイントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−77873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、腐食はキー部だけでなく、ベアリングカップとヨークとを接合固定しているボルト周辺が腐食することがあり、このボルト周辺の腐食が破損の要因となる場合がある。ボルトはねじ部径が胴部径よりも大であり、ボルト挿通孔はボルトを挿入しやすいようにねじ部径よりも大きくしているため、組み付けた状態でボルト挿通孔とボルトの胴部との間に隙間ができている。ボルト周辺の腐食は、ベアリングカップとヨークの接合面(または、ベアリングカップとボルト座面)から圧延水が浸入して、この隙間に水分が滞留することにより生じている。このため、ベアリングカップとヨークの接合面の境界には目張り等がされているが、長期にわたって十分に圧延水の浸入を防止することができないという問題があった。一方、ベアリングカップとヨークの接合面にOリング等のシール部材を配置する浸入防止策では、接合面の面積が小さくなるため、トルク伝達に影響を及ぼすという問題があった。また、鉄鋼用圧延設備の定期メンテナンスでは、駆動軸およびユニバーサルジョイントを取り外して点検されている。その際、重要部品であるボルトは非破壊検査されるため、ボルトは取り外し可能で、非破壊検査の妨げとなる異物が付着しないことが望まれている。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、鉄鋼用圧延設備の駆動系等の高負荷かつ腐食しやすい環境下で使用してもベアリングカップ固定ボルト周辺が腐食せず、長期にわたって安定した性能を発揮することのできるユニバーサルジョイントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、4つの軸部の外周に軌道面が形成された十字軸と、前記軸部の軌道面を転動する複数の転動体と、前記転動体を介して前記各軸部に揺動可能に取り付けられるベアリングカップと、を備え、前記ベアリングカップは、ヨークとの接合面に前記ヨーク側に向けて突出するキー部と、前記キー部の両側位置に形成されたボルト挿通孔と、形成され、前記キー部は前記ヨークに形成されたキー溝に嵌め込まれ、前記ボルト挿通孔にベアリング固定ボルトが挿通されるとともに、前記ヨークのねじ孔と螺合され、前記ヨークと接合固定されるユニバーサルジョイントにおいて、前記ボルト挿通孔から前記ベアリングカップの外周側端部に延びる貫通孔が複数形成され、前記貫通孔は、前記ベアリングカップの外周面の開口部と連通し、前記開口部から注入されたグリースが、前記貫通孔を介して前記ベアリング固定ボルトと前記ボルト挿通孔との隙間に充填された状態で、前記開口部が封止されていることを特徴とする。
【0009】
上記のように構成した請求項1の発明によれば、ユニバーサルジョイントの組み付けにおいて、ベアリングカップとヨークとをベアリング固定ボルトにより接合固定した後、開口部から注入されたグリースが貫通孔を介してベアリング固定ボルトとボルト挿通孔との隙間に充填された状態で開口部が封止されている。これにより、ベアリング固定ボルトとボルト挿通孔との隙間に圧延水が浸入できないので、隙間に水分が滞留することにともなうベアリング固定ボルト周辺の腐食を防ぐことができる。また、ベアリングカップとヨークとの接合面積および接合強度は従来と変わらないので、トルク伝達に影響を及ぼさない。さらに、ベアリング固定ボルトは取り外し可能であり、取り外した際に非破壊検査の妨げとなる異物が付着しないので、メンテナンスを容易におこなうことができる。
【0010】
請求項2に係わる発明は、請求項1に記載のユニバーサルジョイントであって、前記ボルト挿通孔の孔径は、前記ベアリング固定ボルトのねじ部径よりも大きく、前記ベアリング固定ボルトは、胴部径が前記ねじ部径よりも小さく、前記ボルト挿通孔に前記ベアリング固定ボルトが挿通された状態で、前記胴部が前記ボルト挿通孔の中心に位置するようにガイドする円環状のガイド部を前記胴部の一方端または両端に有していることを特徴とするユニバーサルジョイント。
【0011】
上記のように構成した請求項2の発明によれば、ベアリング固定ボルトの胴部の一方端または両端の円環状のガイド部により、ボルト挿通孔にベアリング固定ボルトを挿通した際に、ベアリング固定ボルトの胴部がボルト挿通孔の中心に位置するようガイドすることができる。ベアリング固定ボルトの胴部をボルト挿通孔の中心に位置させることで、胴部とボルト挿通孔との間に確実に隙間を形成することができる。これにより、注入したグリースを胴部の周囲にむらなく充填させることができるので、長期にわたって水分等が隙間に浸入することを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、鉄鋼用圧延設備の駆動系等の高負荷かつ腐食しやすい環境下で使用してもベアリングカップ固定ボルト周辺が腐食せず、長期にわたって安定した性能を発揮することのできるユニバーサルジョイントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るユニバーサルジョイントを備えた駆動軸の斜視図である。
図2】駆動モータおよび鉄鋼用圧延ローラが接続される駆動軸の説明図である。
図3】従来のブロックタイプのユニバーサルジョイントの要部分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るユニバーサルジョイントの一部断面図である。
図5図4のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態のユニバーサルジョイントを図面に従って説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るユニバーサルジョイント1は、鉄鋼用圧延設備の駆動軸Dに使用されるものである。この駆動軸Dは、鉄鋼用圧延ローラと駆動モータ(いずれも図示せず)を接続するためのものであって、駆動モータの回転を鉄鋼用圧延ローラへ伝達するものである。
【0015】
鉄鋼用圧延設備(図示せず)においては、2本の駆動軸Dが平行に配設され、それらの駆動軸Dに接続された2つの鉄鋼用圧延ローラの間にスラブ(図示せず)を通すことで圧延処理が施された鋼材(図示せず)が製造される。
【0016】
駆動軸Dは、図1および図2に示すように、駆動モータ側に接続される駆動軸部D1および鉄鋼用圧延ローラ側に接続される従動軸部D2と、駆動軸部D1と従動軸部D2との間を接続する中間軸部D3とから構成されている。
【0017】
これらの駆動軸部D1と中間軸部D3、および従動軸部D2と中間軸部D3は、それぞれユニバーサルジョイント1を介して接続されている。従って、図2に示すように、鉄鋼用圧延ローラの回転の中心線A1と駆動モータの回転の中心線A2が一致しない場合であっても、駆動モータの回転を鉄鋼用圧延ローラへ伝達するために、駆動軸Dの中間軸部D3が水平方向Hに対して傾いた状態を維持して回転している。
【0018】
図3に示すように、ユニバーサルジョイント1は、4つの軸部11を有する十字軸10と、軸部11の軌道面を転動する複数の針状ころ20と、針状ころ20を介して各軸部11に揺動可能に取り付けられるベアリングカップ30とを備えたブロックタイプである。
【0019】
駆動軸部D1と中間軸部D3とユニバーサルジョイント1とは、各軸部のヨーク40を介して、ベアリングカップ30とヨーク40とを接合固定する構成となっている。また、従動軸部D2と中間軸部D3と接続するユニバーサルジョイント1も同様の構成である。
【0020】
図4に示すように、ユニバーサルジョイント1は、4つの軸部11を有する十字軸10と、4つの軸部11にそれぞれ取り付けられる針状ころ20と、ベアリングカップ30等により構成されている。
【0021】
十字軸10は、4つの軸部11により十字状に形成され、胴部12と、胴部12から径方向外方へ突出した4つの円柱状の軸部11とから構成されている。軸部11の外周には、転動体である針状ころ20が転動する軌道面14が形成されている。
【0022】
ベアリングカップ30は、全体が扇形のような形状に形成されている。ベアリングカップ30は、針状ころ20を介して軸部11に対して揺動可能に取り付けられる。十字軸10の各軸部11に取り付けられたベアリングカップ30は、周方向に隣り合うベアリングカップ30との間に隙間Sが形成されている。
【0023】
十字軸10の4つの各軸部11は、それぞれベアリングカップ30によって覆われて、十字軸10が、ほとんど外部に露出されることなく駆動軸D内に組み込まれている。各軸部11に取り付けられたベアリングカップ30は、軸部11に対して揺動可能に取り付けられた揺動部材であり、ベアリングカップ30は、その軸部11の軸線を中心に揺動することができる。
【0024】
また、ベアリングカップ30には、内側に針状ころ20を介して軸部11を収容するために、内周側端面31に開口する円筒状凹部32が形成されている。この円筒状凹部32の内周33には、針状ころ20が転動する軌道面34が形成されている。
【0025】
図5図4のA−A断面図であり、図5に示すように、ベアリングカップ30には、ヨーク40との接合面にヨーク40側に向けて突出するキー部38が形成されている。このキー部38の両側位置には、ベアリング固定ボルト50が挿通されるボルト挿通孔39が形成されている。
【0026】
ベアリング固定ボルト50は、頭部51と胴部52とねじ部53からなり、胴部52の一方端に円環状のガイド部54を有している。また、ベアリング固定ボルト50の胴部径は、ねじ部径よりも小さく、組み付け時にボルトを挿入しやすいように、ボルト挿通孔39の孔径は、ねじ部径よりも大きくなっている。ガイド部54は、ボルト挿通孔39にベアリング固定ボルト50が挿通された状態で、胴部52がボルト挿通孔39の中心に位置するようにガイドしている。ベアリング固定ボルト50の胴部52がボルト挿通孔39の中心に位置することで、胴部52とボルト挿通孔39との間に隙間dが形成されている。
【0027】
図5に示すように、ボルト挿通孔39には、ベアリングカップ30の外周側端部35に延びる貫通孔36がボルト頭部側とねじ部側の2箇所に形成されている。この貫通孔36は、隙間dおよびベアリングカップ30の外周面37の開口部36aと連通している。開口部36aには、それぞれねじ溝が形成されており、グリースニップル62または埋栓61が螺合されている。
【0028】
以上のように構成されたユニバーサルジョイント1を介して、駆動軸部D1と中間軸部D3、および従動軸部D2と中間軸部D3が接続されている。具体的には、4つのベアリングカップ30のうち、互いに対向する一対のベアリングカップ30のキー部38がヨーク40に形成されたキー溝41に嵌め込まれ、ボルト挿通孔39にベアリング固定ボルト50が挿通されるとともに、ヨーク40のねじ孔と螺合され、駆動軸部D1または従動軸部D2に対して接合固定されている。
【0029】
そして、ベアリングカップ30とヨーク40とが接合固定された後、各ベアリングカップ30の一方の開口部36aの埋栓61を取り外し、開口させた状態で、他方の開口部36aに取り付けたグリースニップル62からグリースが注入される。注入されるグリースには、例えば、耐水性を有するリチウム石けん基グリースが使用されている。
【0030】
グリースが貫通孔36を介して隙間dに注入されるとともに、隙間d内の空気が一方の開口部36aから排出され、グリースがベアリング固定ボルト50胴部52の周囲の隙間dに充填される。そして、隙間dにグリースが充填された状態で、一方の開口部36aに埋栓61を取り付け、開口部36aが封止されている。
【0031】
上記実施形態のユニバーサルジョイント1によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0032】
ユニバーサルジョイント1を鉄鋼用圧延設備の駆動軸に使用した場合、高温かつ高負荷に加え、常時圧延水のかかる、腐食しやすい厳しい環境下におかれる。このため長期間連続使用すると、ベアリングカップ30とヨーク40の接合面(または、ベアリングカップ30とボルト座面)から圧延水が浸入するが、ベアリング固定ボルト50とボルト挿通孔39との隙間dは、グリースが充填された状態となっているので、この隙間dに圧延水は浸入できない。これにより、隙間dに水分が滞留することにともなうベアリング固定ボルト50周辺の腐食を防ぐことができる。
【0033】
また、ベアリング固定ボルト50のガイド部54は、ボルト挿通孔39にベアリング固定ボルト50が挿通された状態で、胴部52がボルト挿通孔39の中心に位置するようにガイドしているので、胴部52とボルト挿通孔39との間に確実に隙間dを形成することができる。これにより、注入したグリースを胴部52の周囲にむらなく充填させることができるので、長期にわたって隙間dに圧延水が浸入することを防止することができる。
【0034】
また、ベアリングカップ30とヨーク40との接合面積および接合強度は従来と変わらないので、トルク伝達に影響を及ぼさない。さらに、ベアリング固定ボルト50は取り外し可能であり、取り外した際に非破壊検査の妨げとなる異物が付着しないので、メンテナンスを容易におこなうことができる。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、ベアリングカップのキー部の両側位置にそれぞれ1つのボルト挿通孔を形成しているが、キー部の両側位置にそれぞれ複数のボルト挿通孔を形成し、複数のベアリング固定ボルトにより、ヨークと接合固定される高容量形のユニバーサルジョイントに適用してもよい。
【0036】
その際、最も径方向内側にくるボルト挿通孔等、組み付け後にグリースを注入する開口部をベアリングカップの外周面に設けることができない場合、複数のボルト挿通孔どうしを連通させる貫通孔を形成する。これにより、すべてのボルト挿通孔とベアリング固定ボルトとの間の隙間が連通するので、1箇所の開口部からグリースを注入することにより、連通するすべての隙間にグリースを充填させることができる。
【0037】
また、上記実施形態では、ユニバーサルジョイントを鉄鋼用圧延設備の駆動軸に使用しているが、建設機械や鉄道車両の駆動軸に使用してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:ユニバーサルジョイント、 10:十字軸、 11:軸部、 12:胴部、 14:軌道面、 20:針状ころ(転動体)、 30:ベアリングカップ、 31:内周側端面、 32:円筒状凹部、 33:内周、 34:軌道面、 35:外周側端部、 36:貫通孔、 36a:開口部、 37:外周面、 38:キー部、 39:ボルト挿通孔、 40:ヨーク、 41:キー溝、 50:ベアリング固定ボルト、 51:頭部、 52:胴部、 53:ねじ部、 54:ガイド部、 61:埋栓、 62:グリースニップル、 D:駆動軸、 D1:駆動軸部、 D2:従動軸部、 D3:中間軸部、 S:隙間、 d:隙間
図1
図2
図3
図4
図5