特許第6015384号(P6015384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015384
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】半導体圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   G01L19/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-260154(P2012-260154)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-106151(P2014-106151A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水上 憲三
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−207931(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0126347(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/00− 9/18
H01L 23/00−23/26
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の圧力を検出する感圧素子と、
表面に溝が形成された平板の基板と、
前記基板の前記表面に搭載された前記感圧素子と、
前記基板の前記表面側に配置され、前記感圧素子を被覆し、前記基板の前記表面に当接する端縁を有するキャップと、
前記基板と前記キャップとを接合する接合樹脂と、
を備え、
前記溝は、前記キャップの前記端縁に対向する部分を有し、
前記基板と前記キャップの端縁は、前記基板の前記表面における前記溝と異なる部分において前記接合樹脂によって接合されている、
導体圧力センサ。
【請求項2】
前記溝は前記感圧素子よりも幅が狭く、前記感圧素子は前記溝の上部に配置された、請求項1に記載の半導体圧力センサ。
【請求項3】
前記溝は、複数である、
請求項2に記載の半導体圧力センサ。
【請求項4】
前記溝は前記感圧素子よりも幅が広く、前記感圧素子は前記溝内に配置された、請求項1に記載の半導体圧力センサ。
【請求項5】
前記溝は、2つであり、
該2つの溝は、前記感圧素子よりも幅が狭く、前記感圧素子の両端部近傍に、前記感圧素子を挟むようにして形成されている、請求項1に記載の半導体圧力センサ。
【請求項6】
前記溝は、延びる方向に沿って深さおよび幅が一定である、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体圧力センサ。
【請求項7】
前記溝は、前記平板の対向する端面の間にわたって形成されている、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の半導体圧力センサ。
【請求項8】
前記溝には、導体パターンが形成されていない、
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の半導体圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感圧素子がキャップで被覆された半導体圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体圧力センサには、周囲の圧力を検知する感圧素子などをキャップにより被覆して、これらを保護しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図5(A)は、特許文献1に示されているのと同様の構成である、従来の半導体圧力センサの上面図である。図5(B)は、図5(A)に示した従来の半導体圧力センサのA−A断面図である。図5(C)は、キャップを取り付ける前の従来の半導体圧力センサの上面図である。なお、説明を簡略化するために、図5には感圧素子を備え、出力調整チップを備えていない半導体圧力センサを示している。
【0004】
図5(B)に示すように、半導体圧力センサ501は、周囲の圧力を検出する感圧素子510、この感圧素子510が搭載された基板520、感圧素子510を被覆するキャップ530を備えている。図5(A),図5(B)に示すように、キャップ530には、その上面に貫通孔(導圧孔)531が形成されている。キャップ530は、接着樹脂540により基板520に接着されている。図5(C)に示すように、接着樹脂540は、基板520の外周に沿って全周にわたり塗布されており、キャップ530の端縁の全周が基板520に接着されている。
【0005】
半導体圧力センサ501の周囲の圧力(キャップの外部の気圧)は、貫通孔531を介して、キャップ530内部の感圧素子510に伝わる。感圧素子510のダイヤフラム511は、圧力に応じて歪み、ピエゾ抵抗素子(不図示)の抵抗値が圧力に応じて変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−193900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の半導体圧力センサにおいて、キャップに貫通孔を設けるためには穴開け加工が必要であり、製造コストが上昇するという問題が生じる。また、キャップに貫通孔を設けると、キャップの強度が低下するという問題が生じる。さらに、図5(A),図5(B)に示したようにキャップ530の上面に貫通孔531を設けると、キャップ530の取り付け時にこの貫通孔531の存在によりピックアップノズルの形状によっては、キャップ530を吸着できないことがある。そのため、ピックアップノズルの先端形状が限定されるという問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、キャップに貫通孔を設けることなく、キャップの内部に配置した感圧素子により、キャップの外部の圧力を測定できる半導体圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の半導体圧力センサは、上記課題を解決し、その目的を達するために、以下のように構成している。
【0010】
半導体圧力センサは、感圧素子と、基板と、キャップと、を備えている。感圧素子は、周囲の圧力を検出する。基板は、溝が形成され、感圧素子が搭載されている。キャップは、基板上において感圧素子を被覆する。また、基板とキャップとの間には、キャップの端縁の一部を基板に接合する接合部と、キャップの端縁における他の一部と基板とを非接合状態にする非接合部と、が設けられている。溝は、非接合部においてキャップの端縁と対向する。
【0011】
この構成においては、基板に設けた溝が、キャップの内外を連通する透孔として機能する。そのため、キャップの外部の圧力が溝を介してキャップの内部に伝わるので、キャップに貫通孔を設けることなく、キャップの内部に配置した感圧素子により、キャップの外部の圧力を測定できる。また、キャップに貫通孔を設けていないので、ピックアップノズルの先端形状にかかわらず、キャップを吸着できる。
【0012】
上記発明において、溝は感圧素子よりも幅が狭く、感圧素子は溝の上部に配置されていてもよい。
【0013】
この構成においては、キャップの外部の圧力が、溝を介してキャップの内部に配置された感圧素子の周囲に伝わる。そのため、キャップの内部に配置した感圧素子により、キャップの外部の圧力の変化を短時間で正確に測定できる。
【0014】
また、溝は感圧素子よりも幅が広く、感圧素子は溝内に配置されてもよい。
【0015】
この構成においては、基板の底面から感圧素子の上面までの高さが、溝の厚み分低くなる。そのため、キャップの高さを溝の厚み分低くすることができるので、半導体圧力センサの低背化が可能となる。また、感圧素子を基板にダイボンド材(接着材)により接着する際に、溝によりダイボンド材の濡れ広がりを防止できる。そのため、感圧素子と基板上の電極との間隔に予め余裕をもたせる必要がなく、半導体圧力センサ全体の小型化が図れる。
【0016】
また、溝は、感圧素子よりも幅が狭く、感圧素子の両端部近傍に形成されてもよい。
【0017】
この構成においても、溝によりダイボンド材の濡れ広がりを防止できるので、同様に半導体圧力センサ全体の小型化が図れる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、キャップに貫通孔を設けることなく、キャップの内部に配置した感圧素子により、キャップの外部の圧力を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る半導体圧力センサの上面図である。図1(B)は、図1(A)に示した半導体圧力センサのB−B断面図である。図1(C)は、キャップを取り付ける前の半導体圧力センサの上面図である。
図2図2(A)は、本発明の第2実施形態に係る半導体圧力センサの上面図である。図2(B)は、図2(A)に示した半導体圧力センサのC−C断面図である。図2(C)は、キャップを取り付ける前の半導体圧力センサの上面図である。
図3図3(A)は、本発明の第3実施形態に係る半導体圧力センサの上面図である。図3(B)は、図3(A)に示した半導体圧力センサのD−D断面図である。図3(C)は、キャップを取り付ける前の半導体圧力センサの上面図である。
図4図4(A)は、本発明の第4実施形態に係る半導体圧力センサの上面図である。図4(B)は、図4(A)に示した半導体圧力センサのE−E断面図である。図4(C)は、キャップを取り付ける前の半導体圧力センサの上面図である。
図5図5(A)は、従来の半導体圧力センサの上面図である。図5(B)は図5(A)に示した従来の半導体圧力センサのA−A断面図である。図5(C)は、キャップを取り付ける前の従来の半導体圧力センサの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る半導体圧力センサについて説明する。半導体圧力センサは、溝が形成されて感圧素子が取り付けられた基板と、感圧素子を被覆し基板に接合されたキャップと、を備えている。溝は、キャップの端縁に対向するように形成されており、キャップの内外を連通する透孔として機能する。これにより、キャップに孔を設けることなく、キャップの内部に配置した感圧素子により、キャップの外部の圧力を測定できる。
【0021】
図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る半導体圧力センサの上面図である。図1(B)は、図1(A)に示した半導体圧力センサのB−B断面図である。図1(C)は、キャップを取り付ける前の半導体圧力センサの上面図である。
【0022】
図1(A)、図1(B)に示すように、本発明の第1実施形態に係る半導体圧力センサ1は、周囲の圧力を検出する感圧素子10、感圧素子10が搭載された基板20、基板20上において感圧素子10を被覆するキャップ30を備えている。
【0023】
感圧素子10は、接着材である接合樹脂により基板20の中心部に接着されている。感圧素子10のダイヤフラム11は、圧力に応じて歪み、ピエゾ抵抗素子(不図示)の抵抗値が圧力に応じて変化する。基板20に設けられた複数の電極は、感圧素子10に設けられた複数の電極とワイヤによりそれぞれ接続されている。図1(A)に示すように、キャップ30には、図5に示した半導体圧力センサ501とは異なり、貫通孔が形成されていない。
【0024】
基板20の中央部には、複数の溝21が、基板20の2つの対向する端面20A、20Bの間にわたって、端面20A、20Bに対して垂直に形成されている。図1(A)には、4つの溝が形成されている例を示している。複数の溝21は、同じ深さで平行に形成されている。複数の溝21は、感圧素子10の底面に対向している。すなわち、感圧素子10は、溝21の上部に配置されている。
【0025】
基板20とキャップ30との間には、接合部41と非接合部42が設けられている。
【0026】
図1(C)に示すように、基板20には、その外周に沿って、接合樹脂40が一部を除きほぼ全周にわたり、所定の厚みとなるように帯状に塗布されている。接合樹脂40はキャップ30の端縁と基板20とを接合する接着材である。この基板20とキャップ30との間において、接合樹脂40が塗布された部分を接合部41と称する。図1(B)、図1(C)に示すように、キャップ30の端縁は、接合部41において、基板20にほぼ当接している。
【0027】
図1(C)に示すように、複数の溝21の両端部には、接合樹脂40が塗布されていない。そのため、感圧素子10を被覆するようにキャップ30を基板20に取り付けたときに、キャップ30の端縁の他の一部、すなわち、キャップ30の端縁が複数の溝21と対向する部分は、基板20に接着されておらず非接合状態である。この部分が非接合部42である。
【0028】
非接合部42は、上記のようにキャップ30の端縁が基板20に接着されておらず、溝21が接着材により封止されないので、キャップ30の内外を連通する透孔として機能する。これにより、半導体圧力センサ1は、キャップ30に貫通孔を設けなくても、溝21を介してキャップ30の内部の感圧素子10によりキャップ30の外部の圧力(例えば周囲の媒質が空気のときには気圧)を測定できる。また、キャップ30に貫通孔を設けていないので、キャップ30の取り付け時にピックアップノズルの先端形状にかかわらず、キャップ30を確実に吸着できる。
【0029】
また、非接合部42または溝21を2つ以上設けることで、基板20とキャップ30の間に複数の透孔を形成することになる。これにより、キャップ30の外部と内部の間において気体または液体の流体抵抗を小さくすることができ、キャップ外部の圧力の変動に応じて、キャップ内部の圧力が瞬時に変化する。したがって、半導体圧力センサ1の応答性を高めることができる。
【0030】
また、感圧素子10を溝21の上部に配置することで、キャップ30の外部の圧力が、溝21を介してキャップの内部に配置された感圧素子10の周囲に伝わる。そのため、キャップ30の内部に配置した感圧素子10により、キャップ30の外部の圧力の変化を短時間で正確に測定できる。
【0031】
次に、半導体圧力センサ1とは、溝の形状が異なる半導体圧力センサについて説明する。図2(A)は、本発明の第2実施形態に係る半導体圧力センサの上面図である。図2(B)は、図2(A)に示した半導体圧力センサのC−C断面図である。図2(C)は、キャップを取り付ける前の半導体圧力センサの上面図である。以下の説明では、半導体圧力センサ1との相違点について主に説明する。
【0032】
図2(A)〜図2(C)に示すように、本発明の第2実施形態に係る半導体圧力センサ2は、感圧素子110、基板120、キャップ130を備えている。基板120は、その中央部に、感圧素子110よりも幅の広い1つの溝121が形成されている。この溝121は、基板120の2つの対向する端面120A、120Bの間にわたって、端面120Aに対して垂直に形成されている。感圧素子110は、接着材により溝内、すなわち溝121の底面に接着されている。
【0033】
基板120とキャップ130との間には、接合部141と非接合部142が設けられている。
【0034】
図2(C)に示すように、基板120には、その外周に沿って、接着材である接合樹脂140が溝121の部分を除くほぼ全周にわたり、所定の厚みとなるように帯状に塗布されている。基板120とキャップ130との間において、接合樹脂140が塗布された部分が接合部141である。
【0035】
また、図2(C)に示すように、溝121と対向する部分は、上記のように接合樹脂140が塗布されておらず、基板120とキャップ130とは非接合状態である。この部分が非接合部142である。
【0036】
半導体圧力センサ2は、半導体圧力センサ1と同様に、非接合部142において溝121が接着材により封止されないので、キャップ130の内外を連通する透孔として機能する。したがって、半導体圧力センサ2は、キャップ130に貫通孔を設けなくても、非接合部142を介してキャップ130の内部の感圧素子110によりキャップ130の外部の圧力を測定できる。
【0037】
また、上記のように、半導体圧力センサ2では、感圧素子110が接着材により溝121の底面に接着されているので、基板120の底面から感圧素子110の上面までの高さが、溝の厚み分(=t)だけ低くなる。そのため、キャップ130の高さを溝の厚み分(=t)低くする加工を施すことで、半導体圧力センサ2の高さをtだけ低背化することが可能となる。
【0038】
さらに、上記のように溝内に感圧素子110を配置することで、感圧素子110を溝の121の底面に接着する接着材(ダイボンド材)の濡れ広がりを防ぐ役割を溝121に対して期待できる。これにより、感圧素子110と基板120上の電極とのギャップを小さくすることができ、半導体圧力センサ2のさらなる小型化が可能になる。
【0039】
また、キャップ130の外部の圧力が、溝121を介してキャップ130の内部に配置された感圧素子110の周囲に伝わるので、キャップ130の外部の圧力を短時間で正確に測定できる。
【0040】
次に、溝の位置がさらに異なる半導体圧力センサについて説明する。図3(A)は、本発明の第3実施形態に係る半導体圧力センサの上面図である。図3(B)は、図3(A)に示した半導体圧力センサのD−D断面図である。図3(C)は、キャップを取り付ける前の半導体圧力センサの上面図である。以下の説明では、半導体圧力センサ1との相違点について主に説明する。
【0041】
図3(A)〜図3(C)に示すように、本発明の第3実施形態に係る半導体圧力センサ3は、感圧素子210、基板220、キャップ230を備えている。基板220は、その中央部に、感圧素子210の幅よりも広い間隔で、感圧素子210よりも幅の狭い2つの溝221が形成されている。すなわち、この2つの溝221は、感圧素子210の両端部近傍において、基板220の2つの対向する端面220A、220Bの間にわたって、端面220A、220Bに対して垂直に形成されている。感圧素子210は、基板220上において、2つの溝221の間に接着材により接着されている。
【0042】
基板220とキャップ230との間には、接合部241と非接合部242が設けられている。
【0043】
図3(C)に示すように、基板220には、その外周に沿って、接着材である接合樹脂240がほぼ全周にわたり塗布されている。接合樹脂240が塗布されている部分が接合部241であり、接合樹脂240が塗布されていない部分が非接合部242である。
【0044】
なお、接合樹脂240は、同図における基板220の上部のように、溝221の部分だけ塗布しないようにすることも、同図における基板220の下部のように、2つの溝221の間を塗布しないようにすることも可能である。半導体圧力センサ3のサイズや、基板220とキャップ230との接着強度に応じて、いずれかを選択すればよい。
【0045】
半導体圧力センサ3は、半導体圧力センサ1と同様、溝221が接着材により封止されていないので、キャップ230の内外を連通する透孔として機能する。そのため、半導体圧力センサ3は、キャップ230に貫通孔を設けなくても、非接合部242を介してキャップ230の内部の感圧素子210によりキャップ230の外部の圧力を測定できる。
【0046】
また、このように、感圧素子210の両端部に2つの溝221を設けた場合にも、キャップ230の外部の圧力が溝221を介して、キャップ230の内部に配置された感圧素子210の周囲に伝わるので、キャップの外部の圧力を短時間で正確に測定できる。
【0047】
また、感圧素子210を基板220にダイボンド材(接着材)により接着する際に、2つの溝221によりダイボンド材の濡れ広がりを防止できる。そのため、感圧素子210と基板220上の電極との間隔に予め余裕をもたせる必要がなく、半導体圧力センサ3全体の小型化が図れる。
【0048】
次に、溝の形状がさらに異なる半導体圧力センサについて説明する。図4(A)は、本発明の第4実施形態に係る半導体圧力センサの上面図である。図4(B)は、図4(A)に示した半導体圧力センサのE−E断面図である。図4(C)は、キャップを取り付ける前の半導体圧力センサの上面図である。以下の説明では、半導体圧力センサ1との相違点について主に説明する。
【0049】
図4(C)に示すように、本発明の第4実施形態に係る半導体圧力センサ4は、感圧素子310、基板320、キャップ330を備えている。
【0050】
感圧素子310は、接着材である接合樹脂により基板320の中心部に接着されている。基板320には、同図における基板320の中央下部において、基板320の端面320Aから感圧素子310の取り付け位置の直前までの間に、感圧素子310よりも幅の狭い1つの溝321が形成されている。
【0051】
基板320とキャップ330との間には、接合部341と非接合部342が設けられている。
【0052】
接着材である接合樹脂340は、基板320の外周に沿ってほぼ全周にわたり塗布され、溝321の部分には塗布されていない。接合樹脂340が塗布された部分が接合部341であり、接合樹脂340が塗布されていない部分が非接合部342である。
【0053】
半導体圧力センサの基板に設ける溝は、キャップの端縁に対向し、キャップの内外において通気する構造であればよい。すなわち、半導体圧力センサ1〜3のように、必ずしも基板の対向する2つの端面間にわたって溝を形成しなくてもよく、半導体圧力センサ4のように溝を形成してもよい。
【0054】
半導体圧力センサ4では、半導体圧力センサ1〜3と同様に、溝321は接着材により封止されないので、キャップ330の内外を連通する透孔として機能する。そのため、半導体圧力センサ4は、キャップ330に貫通孔を設けなくても、非接合部342を介してキャップ330の内部の感圧素子310によりキャップ330の外部の圧力を測定できる。
【0055】
以上のように、基板に溝を設けて、感圧素子を被覆するキャップの端縁を、接着材で接合しない非接合部とすることで、溝のこの部分を透孔として透孔として機能する。したがって、半導体圧力センサでは、キャップに貫通孔を設けなくても、非接合部を介してキャップの内部の感圧素子によりキャップの外部の圧力を測定できる。
【符号の説明】
【0056】
1〜4,501…半導体圧力センサ
10,110,210,310,510…感圧素子
11,111,211,311,511…ダイヤフラム
20,120,220,320,520…基板
20A,20B,120A,120B,220A,220B,320A…端面
21,121,221,321…溝
30,130,230,330,530…キャップ
40,140,240,340,540…接合樹脂
41,141,241,341…接合部
42,142,242,342…非接合部
531…貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5