(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
母材に溶接する溶接部材上に、3次元位置計測器のレーザー光を照射するターゲットを配置する工程と、該ターゲットの配置位置のデータと、上記母材における基準位置の測定データ、及び、設計データに基づいて、仮溶接するときに上記ターゲットが配置される3次元座標を求める工程と、該求めた3次元座標を通るように上記3次元位置計測器のレーザー光を照射する工程と、上記求めた3次元座標と、上記ターゲットに上記3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される3次元座標とが一致するまで、上記溶接部材を移動させる工程と、を有することを特徴とする溶接部材の溶接位置決め方法。
溶接部材を移動させる工程の後に、他のターゲットの配置位置のデータと母材の基準位置の測定データ及び設計データに基づいて求めた仮溶接するときに上記他のターゲットが配置される他の3次元座標と、上記他のターゲットに3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される他の3次元座標とが一致するまで、上記溶接部材の姿勢を調整する工程を行うようにする請求項1記載の溶接部材の溶接位置決め方法。
母材に固定するための取付部材と、該取付部材上で溶接部材と母材表面との間の距離を調整可能に該溶接部材を支持する支持フレーム部材と、上記溶接部材上に配置したターゲットの配置位置のデータと母材の基準位置の測定データと設計データとに基づいて求めた仮溶接するときに上記ターゲットが配置される3次元座標と上記ターゲットに3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される3次元座標との一致を検出する検出装置と、を備えた構成を有することを特徴とする溶接部材の溶接位置決め方法に用いる溶接部材調整装置。
設置した母材の基準位置を測定する3次元位置計測器と、該母材の基準位置の測定データと溶接部材上に配置したターゲットの配置位置のデータと設計データとに基づいて仮溶接するときに上記ターゲットが配置される3次元座標を求める演算装置と、該求めた3次元座標を通るように上記3次元位置計測器にレーザー光を照射させる制御器と、上記求めた3次元座標と上記溶接部材上に配置したターゲットに上記3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される3次元座標との一致を検出する検出装置と、を備えた構成を有することを特徴とする溶接部材の溶接位置決め装置。
検出装置に、溶接部材上に配置した複数のターゲットの配置位置のデータと母材の基準位置の測定データと設計データとに基づいて求めた仮溶接するときに上記各ターゲットが配置される複数の3次元座標と、上記ターゲットに3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される複数の3次元座標との一致を検出する機能を備えるようにした請求項4記載の溶接部材の溶接位置決め装置。
【背景技術】
【0002】
母材に対して溶接部材の溶接を行う場合、一般的には、母材に対して溶接部材の溶接位置の基準となるケガキ線を引くと共に、該母材のケガキ線に合わせるためのケガキ線を溶接部材に引き、その後、上記母材に引いたケガキ線に、上記溶接部材に引いたケガキ線の位置を合わせて、母材に対する溶接部材の溶接位置の位置決めを行うようにしている。
【0003】
ところが、母材及び溶接部材にケガキ線を引く場合には、母材、溶接部材に対して精度よくケガキ線が引かれていないと、母材に対する溶接部材の溶接位置の位置決め精度が悪くなるという問題がある。このため、現在では、母材及び溶接部材に対してケガキ線を引かずに、母材に対する溶接部材の溶接位置の位置決めを行う方法が提案されてきている。
【0004】
このような溶接部材の溶接位置の位置決め方法としては、テーブルに、該テーブル上をX,Y軸方向に水平移動し水平面内で旋回する管継手固定治具を設けると共に、上記テーブルに立設させたサポートに、昇降及びY軸回りに旋回する第3キャリアを設け、該第3キャリアに設けた取付台上に、水平面内で旋回するチューブクランプ装置を設けて、管継手にチューブを仮付け溶接する際に、該チューブの下端部が垂直となるように該チューブの任意の位置Pを上記チューブクランプ装置にクランプし、該位置Pを原点(0,0)とする上記管継手中心位置の座標(x,y)、管継手の上面から上記任意の位置Pまでの高さz、チューブの位置P部分のX軸回りの傾き角θX及びY軸回りの傾き角θY、管継手の水平面内における回転角θZを、それぞれ配管製作図面から算出し、その結果に基づいて、チューブ及び管継手の位置、姿勢を、それぞれ上記管継手固定治具、上記第3キャリア、上記チューブクランプ装置を用いて調整して、管継手に対するチューブの溶接位置の位置決めを行う方法が提案されてきている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
なお、部材の位置決めを行う方法としては、複数の反射板を外周部に取り付けた部材としてのヘッダを、伸縮継手と該伸縮継手の両端部に設けた反射板とを備える位置決め用ロッドを介して固定梁に複数個所支持させた状態で、上記ヘッダの各反射板と上記各位置決め用ロッドの各反射板に、3次元位置計測器より光線を照射して、上記ヘッダの各反射板と上記各位置決め用ロッドの各反射板の現在位置を求め、次に、該現在位置での上記各位置決め用ロッド両端部の反射板同士の距離と、上記ヘッダの反射板を正規の位置に移動させたときの上記各位置決め用ロッド両端部の反射板同士の距離とを比較して、各位置決め用ロッドの伸縮継手を伸縮させる伸縮量を演算し、しかる後、該演算された伸縮量に基づいて上記各位置決め用ロッドの伸縮継手を伸縮させて、各位置決め用ロッドの長さを調節することにより、上記ヘッダを正規の位置に位置決めするようにする方法が提案されてきている(たとえば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献1に記載されたものは、管継手固定治具、第3キャリア、チューブクランプ装置による、チューブ及び管継手の位置及び姿勢の調整を、人が目視で確認しながら人力でハンドルを操作して行うものであるため、管継手に対するチューブの溶接位置の位置決めにずれが生じることがある。このため、管継手に対するチューブの溶接位置の位置決めを高精度に行うことができない。又、テーブル上のサポートに支持させたチューブに対して、管継手を、管継手固定治具により、X,Y軸方向に水平移動させたり、水平面内で旋回させたりするものであるため、管継手が大型なものである場合には、管継手固定治具も大きくする必要がある。このため、装置全体が大型化してしまうことが懸念される。
【0008】
なお、上記特許文献2に記載されたものは、事後的に各位置決め用ロッドの伸縮継手の長さを調整することにより、ヘッダを現在位置から移動させて、ヘッダの正規の位置への移動を推定するものであり、ヘッダの移動位置が正規の位置からずれてしまうことが懸念される。よって、ヘッダの位置決めを高精度に行うことができるものではない。又、3次元位置計測器によりヘッダの現在位置を計測するものであるため、ヘッダの正規の位置に3次元位置計測器の光線を照射するものではなく、3次元位置計測器の光線の照射位置にヘッダを移動させるものでもない。よって、本発明を示唆するものでもない。
【0009】
そこで、本発明は、母材に対する溶接部材の溶接位置の位置決めを高精度に行うことができる溶接部材の溶接位置決め方法及び該溶接位置決め方法に用いる溶接部材調整装置並びに溶接部材の溶接位置決め装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、母材に溶接する溶接部材上に、3次元位置計測器のレーザー光を照射するターゲットを配置する工程と、該ターゲットの配置位置のデータと、上記母材における基準位置の測定データ、及び、設計データに基づいて、仮溶接するときに上記ターゲットが配置される3次元座標を求める工程と、該求めた3次元座標を通るように上記3次元位置計測器のレーザー光を照射する工程と、上記求めた3次元座標と、上記ターゲットに上記3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される3次元座標とが一致するまで、上記溶接部材を移動させる工程と、を有する構成とする。
【0011】
又、請求項2に対応して、上記構成における溶接部材を移動させる工程の後に、他のターゲットの配置位置のデータと母材の基準位置の測定データ及び設計データに基づいて求めた仮溶接するときに上記他のターゲットが配置される他の3次元座標と、上記他のターゲットに3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される他の3次元座標とが一致するまで、上記溶接部材の姿勢を調整する工程を行うようにする構成とする。
【0012】
更に、請求項3に対応して、母材に固定するための取付部材と、該取付部材上で溶接部材と母材表面との間の距離を調整可能に該溶接部材を支持する支持フレーム部材と、上記溶接部材上に配置したターゲットの配置位置のデータと母材の基準位置の測定データと設計データとに基づいて求めた仮溶接するときに上記ターゲットが配置される3次元座標と上記ターゲットに3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される3次元座標との一致を検出する検出装置と、を備えるようにした構成とする。
【0013】
更に又、請求項4に対応して、設置した母材の基準位置を測定する3次元位置計測器と、該母材の基準位置の測定データと溶接部材上に配置したターゲットの配置位置のデータと設計データとに基づいて仮溶接するときに上記ターゲットが配置される3次元座標を求める演算装置と、該求めた3次元座標を通るように上記3次元位置計測器にレーザー光を照射させる制御器と、上記求めた3次元座標と上記溶接部材上に配置したターゲットに上記3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される3次元座標との一致を検出する検出装置とを備えるようにした構成とする。
【0014】
又、請求項5に対応して、上記請求項4における検出装置に、溶接部材上に配置した複数のターゲットの配置位置のデータと母材の基準位置の測定データと設計データとに基づいて求めた仮溶接するときに上記各ターゲットが配置される複数の3次元座標と、上記ターゲットに3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される複数の3次元座標との一致を検出する機能を備えるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の溶接部材の溶接位置決め方法及び該溶接位置決め方法に用いる溶接部材調整装置並びに溶接部材の溶接位置決め装置によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)母材に対する溶接部材の溶接位置の位置決めを高精度に行うことができ、製品の品質を向上させることができる。
(2)溶接部材と母材表面との間の距離を調整して、溶接部材を移動させることにより、上記溶接部材上に配置したターゲットの配置位置のデータと母材における基準位置の測定データと設計データとに基づいて求めた3次元座標と、上記ターゲットに3次元位置計測器のレーザー光が照射されることにより計測される3次元座標とを一致させることができ、母材に対する溶接部材の溶接位置の位置決めを高精度に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1及至
図6は本発明の実施の一形態として、平板状としてある母材1に対して、六角柱部2aと該六角柱部2aの内接円より小径の外径とした円柱部2bとを備えてなる溶接部材2の溶接位置の位置決めを行う場合について示すもので、まず、溶接作業を行う工場内に母材1を所要の位置及び姿勢(角度)で設置する。次に、該母材1における基準面1aの所要3箇所にターゲットとしてのリフレクター3a,3b,3cを配置する。次いで、該各リフレクター3a,3b,3cに、任意の位置に設置したレーザートラッカー4の如き3次元位置計測器のレーザー光4aをそれぞれ照射して、各リフレクター3a,3b,3cの3次元座標(X1,Y1,Z1)、(X2,Y2,Z2)、(X3,Y3,Z3)を測定し、母材1の基準位置の測定データとして、上記母材1における基準面1aの所要3箇所の基準用3次元座標(X1´,Y1´,Z1´)、(X2´,Y2´,Z2´)、(X3´,Y3´,Z3´)と、母材1の基準面1aの位置及び姿勢とを求める。又、これらの作業に並行して、母材1に溶接する溶接部材2を、該溶接部材2と母材1表面との間の距離及び溶接部材2の姿勢を調整する溶接部材調整装置5に取り付けると共に、該溶接部材調整装置5の所要3箇所にリフレクター6a,6b,6cを取り付けておく。その後、上記母材1の基準位置の測定データと、母材1に溶接部材2を溶接してなる製品の図面データの如き設計データと、溶接部材2を取り付ける溶接部材調整装置5の図面データの如き設計データと、該溶接部材調整装置5に取り付けたリフレクター6a,6b,6cの配置位置のデータとに基づいて、溶接部材2を母材1に仮溶接するときに上記溶接部材調整装置5に取り付けた3つのリフレクター6a,6b,6cが配置されるリフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)をそれぞれ求める。しかる後、該求めたリフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)のうちの1つ(X4,Y4,Z4)を通るように、上記レーザートラッカー4からレーザー光4aを照射させる。次に、上記レーザートラッカー4のレーザー光4aの照射位置を目標に、上記溶接部材2及びリフレクター6a,6b,6cを取り付けた溶接部材調整装置5の移動を開始し、上記求めたリフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)のうちの1つ(X4,Y4,Z4)と、上記溶接部材調整装置5に取り付けたリフレクター6aに上記レーザートラッカー4のレーザー光4aが照射されることにより計測される3次元座標とが一致したら、溶接部材調整装置5の移動を停止して、該溶接部材調整装置5を母材1上に固定する。次いで、上記母材1に対する上記溶接部材2の姿勢を調整するために、上記溶接部材調整装置5を操作したり、溶接部材2を溶接部材調整装置5に対して回転させたりして、上記求めたリフレクター配置用3次元座標の残りの2つ(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)と、上記溶接部材調整装置5に取り付けた残りの2つのリフレクター6b,6cに上記レーザートラッカー4のレーザー光4aが照射されることにより計測される3次元座標とを一致させる。しかる後、姿勢を調整した溶接部材2を上記溶接部材調整装置5に固定して、母材1に対する溶接部材2の溶接位置の位置決めを終了するようにする。
【0019】
詳述すると、まず、溶接部材2を、
図3(a)(b)(c)に二点鎖線で示す如く、六角柱部2aと該六角柱部2aの内接円より小径の外径とした円柱部2bとを備えてなる構成として、該溶接部材2を溶接する対象となる平板状の母材1を、溶接作業を行う工場内に搬入し、
図2(a)に示す如く、該母材1を、工場内に設けた定盤7上の所要位置に、所要の姿勢で設置する。
【0020】
次に、上記母材1に上記溶接部材2を溶接してなる製品の図面データから母材1の基準面1a、たとえば、データム記号が付された面を求めて、
図2(a)に示す如く、上記母材1における基準面1aの所要3箇所、たとえば、上記母材1における基準面1aの4頂点のうちの3頂点からX軸、Y軸、Z軸方向にそれぞれ所要寸法離れた位置に、レーザートラッカー4のレーザー光4a(可視光線)の照射対象とするリフレクター3a,3b,3cをそれぞれ取り付けて配置すると共に、該各リフレクター3a,3b,3cの配置位置をデータとして演算装置8に記憶させるようにする。上記各リフレクター3a,3b,3cは、
図2(b)に拡大図を示す如く、たとえば、磁石9aと該磁石9aに取り付けた鋼板の如き板部材9bとを備えてなるリフレクター取付具9に取り付けるようにしてあり、該リフレクター取付具9の上記磁石9a部分を上記母材1の基準面1aに吸着させることで、上記母材1の基準面1aが鉛直面であったとしても、上記各リフレクター3a,3b,3cを上記母材1上に配置できるようにしてある。
【0021】
次いで、レーザートラッカー4を工場内の任意の位置に設置して、該レーザートラッカー4から上記各リフレクター3a,3b,3cにレーザー光4aを照射し、上記レーザートラッカー4から上記各リフレクター3a,3b,3cまでの距離と2つの角度(XY平面に対する角度とYZ平面に対する角度)とを測定して、レーザートラッカー4を原点(0,0,0)とした場合の各リフレクター3a,3b,3cの3次元座標(X1,Y1,Z1)、(X2,Y2,Z2)、(X3,Y3,Z3)を求める。その後、該各リフレクター3a,3b,3cの3次元座標(X1,Y1,Z1)、(X2,Y2,Z2)、(X3,Y3,Z3)と、上記演算装置8に記憶させた各リフレクター3a,3b,3cの母材基準面1aにおける配置位置のデータとを基に、該演算装置8により、母材1の基準位置の測定データとして、上記母材1における基準面1aの上記所要3箇所の基準用3次元座標、たとえば、上記母材1における基準面1aの4頂点のうちの3頂点の3次元座標(X1´,Y1´,Z1´)、(X2´,Y2´,Z2´)、(X3´,Y3´,Z3´)と、上記母材1の基準面1aの実際の位置及び姿勢を求めるようにする。
【0022】
一方、上記溶接部材2は、これらの作業に並行して、該溶接部材2と母材1表面との間の距離及び溶接部材2の姿勢を調整する溶接部材調整装置5に取り付けるようにする。該溶接部材調整装置5は、
図3(a)(b)(c)(d)に示す如く、上記母材1に取り付けるための4つの取付部材5aと、該各取付部材5a上に載置されて上記溶接部材2と上記母材1表面との間の距離及び上記溶接部材2の姿勢を調整可能に溶接部材2を支持する支持フレーム部材5bと、上記溶接部材2上にリフレクター6a,6b,6cを配置するためのリフレクター取付部材5cと、該リフレクター取付部材5cを介して溶接部材2上に配置したリフレクター6a,6b,6cにレーザートラッカー4のレーザー光4aが照射されることにより計測される3次元座標と後述するリフレクター配置用3次元座標との一致を検出する図示してない検出装置とを備えてなる構成としてある。
【0023】
上記取付部材5aは、上記溶接部材2の外側の前後左右方向4ヶ所に所要間隔で配置される磁石としてあり、該各取付部材5aを上記母材1に吸着させることで、溶接部材調整装置5を母材1に固定して取り付けることができるようにしてある。又、該各取付部材5aには、
図3(d)に詳細を示す如く、ボルト10をそれぞれ立設するようにしてあると共に、該各ボルト10に、緩み止め用のナット11を螺合するようにしてある。
【0024】
上記支持フレーム部材5bは、略四角柱形状として、該支持フレーム部材5bのコーナー部に、上記各取付部材5aをそれぞれ対向させて配置するようにしてあり、該支持フレーム部材5bの各コーナー部に、上記ボルト10を挿通させる貫通孔12と、上記ボルト10を挿通して上記貫通孔12の上端(反取付部材5a側端)開口部に当接させる球面座金13と、上記ボルト10を挿通して球面座金13に当接させるカラー14と、上記ボルト10におけるヘッド部と上記カラー14との間に螺合される固定用ナット15とを設けるようにしてある。又、支持フレーム部材5bの各コーナー部には、該支持フレーム部材5bの高さ及び姿勢を調整するための昇降装置としての調整用ボルト16を、該支持フレーム部材5bを厚さ方向(母材1表面に直交する方向)に螺合させて設けて、該各調整用ボルト16の先端部を、上記各取付部材5aにそれぞれ当接させるようにしてある。これにより、上記固定用ナット15を緩めた状態で、上記支持フレーム部材5bに対する上記各調整用ボルト16のねじ込み量を調整することにより、該支持フレーム部材5bを介して、上記母材1表面と上記溶接部材2との間の距離を調整できるようにしてあると共に、上記溶接部材2の母材1表面に対する姿勢を、上記貫通孔12内で上記ボルト10が傾斜できる角度範囲で調整できるようにしてある。又、上記支持フレーム部材5bには、該支持フレーム部材5bの中央部に、該支持フレーム部材5bの厚さ方向に貫通する上記溶接部材2の六角柱部2aよりも大径の溶接部材用貫通孔17を設けるようにしてあると共に、上記支持フレーム部材5bにおける前後左右に隣接する上記各取付部材5aの間の位置に、上記溶接部材2の円柱部2bを嵌入して六角柱部2aを支持するための支持部材18を、上記溶接部材用貫通孔17の内側に突出させて着脱自在に設けるようにしてある。これにより、上記溶接部材2を上記溶接部材用貫通孔17の軸心を中心に回動させることで、母材1表面に平行な平面内での溶接部材2の姿勢を調整することができるようにしてあると共に、上記溶接部材2を上記母材1に仮溶接した後、上記各支持部材18を溶接部材調整装置5から取り外すことで、上記母材1に仮溶接した溶接部材2から上記溶接部材調整装置5の取付部材5aと支持フレーム部材5bを一体に取り外せるようにしてある。更に、上記各支持部材18には、上記溶接部材用貫通孔17の直径方向に貫通させて溶接部材固定用ボルト19を螺合させるようにしてあり、該溶接部材固定用ボルト19の先端部を、上記溶接部材2における円柱部2bにそれぞれ押圧させることで、母材1表面に平行な平面内での溶接部材2の姿勢を固定できるようにしてある。
【0025】
更に、上記リフレクター取付部材5cは、溶接部材2の六角柱部2aに取り付けるようにしてあり、該リフレクター取付部材5cの中央位置と、該中央位置の前後位置と左右位置に、リフレクター6a,6b,6cを取り付けるための取付孔20を厚さ方向にそれぞれ貫通させて設けるようにしてある。これにより、リフレクター6a,6b,6cを、上記リフレクター取付部材5cの任意の取付孔20を介して上記溶接部材2上に配置できるようにしてある。又、該リフレクター取付部材5cの側端部には、母材1表面側に突出する屈曲部21を設けて、該屈曲部21の内面を、上記溶接部材2の六角柱部2aの外側面に沿わせるようにして、該屈曲部21に、上記中央位置の取付孔20の中心線に直交する直線、たとえば、上記中央位置と前後位置の取付孔20の軸心を結ぶ直線、上記中央位置と左右位置の取付孔20の軸心を結ぶ直線、を中心線とする心合わせ用のボルト22を貫通させてそれぞれ設けて、該各心合わせ用のボルト22の先端部を、上記溶接部材2の六角柱部2aの外側面に当接させるようにしてある。これにより、各心合わせ用のボルト22のリフレクター取付部材5cに対するねじ込み量を調整することで、上記溶接部材2に対して上記リフレクター取付部材5cを相対的に移動させ、上記中央位置の取付孔20に取り付けたリフレクター6aの軸心と、上記溶接部材2の軸心とを一致させることができるようにしてある。
【0026】
かかる構成の溶接部材調整装置5に上記溶接部材2を取り付ける場合、まず、リフレクター取付部材5cの中央位置の取付孔20と、前又は後位置の取付孔20と、左又は右位置の取付孔20に、
図4に示す如く、それぞれリフレクター6a,6b,6cを取り付け、該各リフレクター6a,6b,6cの配置位置(たとえば、溶接部材調整装置5のリフレクター取付部材5cの任意の位置からの座標)をデータとして上記演算装置8に記憶させておくようにする。次に、上記リフレクター取付部材5cの各心合わせ用のボルト22を緩めた状態で、該各心合わせ用のボルト22の先端部の間に、上記溶接部材2の六角柱部2aを配置する。次いで、上記各心合わせ用のボルト22の上記リフレクター取付部材5cに対するねじ込み量を調整し、上記溶接部材2に対して上記リフレクター取付部材5cを相対的に移動させ、上記中央位置の取付孔20に取り付けたリフレクター6aの軸心と、上記溶接部材2の軸心とを一致させる。その後、該溶接部材2の円柱部2bを、
図3(a)(c)に示す如く、上記支持フレーム部材5bの支持部材18に嵌入させて、該溶接部材2の六角柱部2aを支持フレーム部材5bの支持部材18に支持させる。しかる後、該支持部材18に螺合させた溶接部材固定用ボルト19をねじ込み、該溶接部材固定用ボルト19の先端部を、上記溶接部材2の円柱部2bにそれぞれ押圧させて、母材表面に平行な平面内での溶接部材2の姿勢を固定するようにする。
【0027】
このように、上記構成の溶接部材調整装置5によれば、調整用ボルト16の支持フレーム部材5bに対するねじ込み量を調整するだけで、溶接部材2と母材1表面との間の距離及び母材1表面に対する溶接部材2の姿勢を調整することができる。又、溶接部材固定用ボルト19を緩めて該溶接部材固定用ボルト19の先端部を溶接部材2から離反させることにより、溶接部材2を溶接部材用貫通孔17内で回動させられるようにしてあるので、母材1表面に平行な平面内での溶接部材2の姿勢を調整することができる。更に、各心合わせ用のボルト22のリフレクター取付部材5cに対するねじ込み量を調整することにより、溶接部材2に対してリフレクター取付部材5cを相対的に移動させるようにしてあるので、リフレクター取付部材5cの中央位置の取付孔20に取り付けたリフレクター6aの軸心と、溶接部材2の軸心とを容易に一致させることができる。更に又、支持フレーム部材5bには、溶接部材2よりも大径の溶接部材用貫通孔17を設けるようにしてあるので、溶接部材2を母材1に仮溶接した後、支持フレーム部材5bから支持部材18を取り外すことで、母材1に仮溶接した溶接部材2から取付部材5aと支持フレーム部材5bを一体に取り外すことができる。
【0028】
その後、上記母材1に上記溶接部材2を溶接してなる製品の図面データと、上記溶接部材調整装置5の図面データと、上記溶接部材調整装置5のリフレクター取付部材5cに取り付けたリフレクター6a,6b,6cの配置位置のデータとから、上記演算装置8により、図面データ上における、溶接部材2を母材1に仮溶接するときに溶接部材調整装置5に取り付けた3つのリフレクター6a,6b,6cが配置される仮の3次元座標(X4´,Y4´,Z4´)、(X5´,Y5´,Z5´)、(X6´,Y6´,Z6´)を求め、該仮の3次元座標(X4´,Y4´,Z4´)、(X5´,Y5´,Z5´)、(X6´,Y6´,Z6´)を、上記演算装置8により、上記母材1の基準位置の測定データに合わせて座標変換し、溶接部材2を母材1に仮溶接するときに溶接部材調整装置5に取り付けた3つのリフレクター6a,6b,6cが実際に配置されるリフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)をそれぞれ求めるようにする。
【0029】
しかる後、該求めたリフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)のうち、上記リフレクター取付部材5cの中央位置に取り付けたリフレクター6aが配置されるリフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)と、上記レーザートラッカー4からレーザー光4aを最後に照射したリフレクター3cの基準用3次元座標(X3,Y3,Z3)とに基づいて、上記演算装置8により、上記レーザートラッカー4のレーザー光4aを上記リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)に通過させるために要するレーザートラッカー4の駆動角度(XY平面に対する角度とYZ平面に対する角度)を求め、該求めた駆動角度に基づいて、図示してない制御器により、上記レーザートラッカー4を駆動させて、
図4に示す如く、該レーザートラッカー4からレーザー光4aを照射させるようにする。
【0030】
次に、レーザートラッカー4のレーザー光4aの照射位置を目標に、溶接部材2を取り付けた溶接部材調整装置5の移動を開始し、該溶接部材調整装置5に備えた図示してない検出装置により、上記リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)と、上記溶接部材調整装置5のリフレクター取付部材5cの中央位置の取付孔20に取り付けたリフレクター6aに上記レーザートラッカー4のレーザー光4aが照射されることにより計測される3次元座標との一致が検出されるまで、上記溶接部材調整装置5を移動させるようにする。その後、上記検出装置により、上記リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)と上記計測された3次元座標との一致が検出されると、該検出装置の検出信号が、図示してない表示装置、警報装置又は振動装置の如き伝達装置に送られて、作業者に溶接部材調整装置5の移動の停止を知らせるので、その位置で作業者は溶接部材調整装置5の移動を停止し、該溶接部材調整装置5の取付部材5aを母材1に吸着させて、溶接部材調整装置5を母材1に固定する。この際、リフレクター6aの位置がレーザートラッカー4のレーザー光4aの照射位置に対して母材1表面に直交する方向(図ではZ軸方向)にずれている場合には、上記溶接部材調整装置5の固定用ナット15を緩めた状態で、
図4において矢印で示す如く、上記各調整用ボルト16を回転させて、上記各調整用ボルト16の支持フレーム部材5bに対するねじ込み量を調整することにより、上記母材1表面と上記溶接部材2との間の距離を調整して、レーザートラッカー4のレーザー光4aがリフレクター6aに照射されるようにする。
【0031】
次いで、残りのリフレクター配置用3次元座標(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)のうち、上記リフレクター取付部材5cの前位置の取付孔20に取り付けたリフレクター6bが配置されるリフレクター配置用3次元座標(X5,Y5,Z5)と、上記レーザートラッカー4からレーザー光4aを最後に照射したリフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)とに基づいて、上記演算装置8により、上記レーザートラッカー4のレーザー光4aを上記リフレクター配置用3次元座標(X5,Y5,Z5)に通過させるために要するレーザートラッカー4の駆動角度を求め、該求めた駆動角度に基づいて、図示してない制御器により、レーザートラッカー4を駆動させて、該レーザートラッカー4からレーザー光4aを照射させるようにする。その後、
図5に示す如く、該レーザートラッカー4のレーザー光4aの照射位置を目標に、母材1表面に平行な平面内での溶接部材2の姿勢を、上記各溶接部材固定用ボルト19を緩めた後、上記溶接部材2を上記溶接部材用貫通孔17の軸心を中心に回動させることにより調整するようにしたり、母材1表面に対する溶接部材2の姿勢を、上記調整用ボルト16の支持フレーム部材5bに対するねじ込み量を変えることにより調整するようにしたりして、該溶接部材調整装置5に備えた図示してない検出装置により、上記リフレクター配置用3次元座標(X5,Y5,Z5)と、上記溶接部材調整装置5のリフレクター取付部材5cの前位置に取り付けたリフレクター6bに上記レーザートラッカー4のレーザー光4aが照射されることにより計測される3次元座標との一致が検出されるようにする。この際、上記検出装置により、上記リフレクター配置用3次元座標(X5,Y5,Z5)と上記計測された3次元座標との一致が検出されると、該検出装置の検出信号が、上記図示してない伝達装置に送られて、作業者に溶接部材調整装置5の調整の停止を知らせるので、この溶接部材2の姿勢で作業者は溶接部材調整装置5の調整を一旦停止し、上記溶接部材固定用ボルト19を締め付けて、母材1表面に平行な平面内での溶接部材2の姿勢を固定するようにする。
【0032】
同様に、残りのリフレクター配置用3次元座標(X6,Y6,Z6)と、上記レーザートラッカー4からレーザー光4aを最後に照射したリフレクター配置用3次元座標(X5,Y5,Z5)とに基づいて、上記演算装置8により、上記レーザートラッカー4のレーザー光4aを上記リフレクター配置用3次元座標(X6,Y6,Z6)に通過させるために要するレーザートラッカー4の駆動角度を求め、該求めた駆動角度に基づいて、図示してない制御器により、レーザートラッカー4を駆動させて、該レーザートラッカー4からレーザー光4aを照射させるようにする。その後、該レーザートラッカー4のレーザー光4aの照射位置を目標に、溶接部材2の母材1表面に対する姿勢を調整し、上記溶接部材調整装置5に備えた図示してない検出装置により、上記リフレクター配置用3次元座標(X6,Y6,Z6)と、上記溶接部材調整装置5のリフレクター取付部材5cの左位置の取付孔20に取り付けたリフレクター6cに上記レーザートラッカー4のレーザー光4aが照射されることにより計測される3次元座標との一致が検出されるようにする。この際、上記検出装置により、上記リフレクター配置用3次元座標(X6,Y6,Z6)と上記計測された3次元座標との一致が検出されると、該検出装置の検出信号が、上記図示してない伝達装置に送られて、作業者に溶接部材調整装置5による溶接部材2の姿勢の調整の停止を知らせるので、この溶接部材2の姿勢で作業者は溶接部材調整装置5の調整を停止するようにする。
【0033】
しかる後、
図6に示す如く、上記溶接部材調整装置5の各固定用ナット15を締め付けることにより、溶接部材2の母材1表面に対する姿勢を固定して、母材1に対する溶接部材2の溶接位置の位置決めを終了するようにする。
【0034】
このように、本発明の溶接部材の溶接位置決め方法によれば、上記リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)と、溶接部材2を取り付けた溶接部材調整装置5の各リフレクター6a,6b,6cにレーザートラッカー4のレーザー光4aが照射されることにより計測される3次元座標とが一致するまで、溶接部材2の移動及び姿勢の調整を行うようにしてあるので、母材1に対する溶接部材2の溶接位置の位置決めを高精度(たとえば、設計上の溶接位置とのずれ量を1mm以下)に行うことができる。よって、製品の品質を向上させることができる。
【0035】
又、上記リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)と、溶接部材2を取り付けた溶接部材調整装置5の各リフレクター6a,6b,6cにレーザートラッカー4のレーザー光4aが照射されることにより計測される3次元座標とを一致させることにより、溶接部材2の母材1に対する溶接位置の位置決めを行うようにしてあるので、母材1及び溶接部材2にケガキ線を引く作業を省略することができる。
【0036】
更に、リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)を求めるのに、母材1の基準位置の測定データを用いるようにしてあるので、リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)を高精度に求めることができる。よって、母材1に対する溶接部材2の位置及び姿勢を高精度に求めることができる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、母材1における基準面1aの所要3箇所に設けたリフレクター3a,3b,3cに、レーザートラッカー4のレーザー光4aを照射することにより、母材の基準位置の測定データとして、上記母材1における基準面1aの所要3箇所の基準用3次元座標(X1´,Y1´,Z1´)、(X2´,Y2´,Z2´)、(X3´,Y3´,Z3´)と、母材1の基準面1aの位置及び姿勢とを求める場合について説明したが、予め、レーザートラッカー4に対する母材1の基準面1aの姿勢が決まっていれば、母材1における基準面1a上に1箇所設けたリフレクターに、レーザートラッカー4のレーザー光4aを照射することにより、該リフレクターの3次元座標を求め、該3次元座標から、母材1における基準面1aの1箇所の基準用3次元座標と、母材1の基準面1aの位置を求めればよい。
【0038】
又、上記実施の形態では、一例として、六角柱部2aと該六角柱部2aの内接円より小径の外径とした円柱部2bとを備えてなる溶接部材2を母材1に対して溶接位置の位置決めを行う場合について説明したが、これに限られるものではなく、たとえば、溶接部材2を四角柱としてもよい。なお、この場合には、磁石と鋼板とを備えてなる支持治具における上記磁石を溶接部材2の側面に吸着させて、該支持治具を介して溶接部材2を上記溶接部材調整装置5の支持部材18に支持させるようにすればよい。
【0039】
更に、溶接部材2と母材1表面との間の距離の調整と、溶接部材2の母材1表面に対する姿勢の調整とを行う昇降装置として、調整用ボルト16を用いる場合について説明したが、これに限られるものではなく、たとえば、溶接部材調整装置5の取付部材5aと支持フレーム部材5bとの間に設けた油圧ピストンなどのアクチュエータを用いるようにしてもよい。
【0040】
更に又、上記実施の形態では、溶接部材調整装置5の取付部材5aを磁石にした場合について説明したが、これに限られるものではなく、たとえば、溶接部材2の溶接位置が水平面であれば、溶接部材調整装置5の取付部材5aを鋼板としてもよい。
【0041】
又、溶接部材調整装置5に取り付けるリフレクター6a,6b,6cの位置は任意の位置に変更したり、個数を適宜増減したりしてもよい。
【0042】
更に、各リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)に、1台のレーザートラッカー4から順次レーザー光4aを照射させる場合について説明したが、レーザートラッカー4をリフレクター配置用3次元座標の個数に対応した個数として、該レーザートラッカーのうちの1つを基準に他のレーザートラッカーの3次元座標を予め求めておいて、該他のレーザートラッカーの3次元座標と、基準のレーザートラッカーを用いて求めた上記リフレクター配置用3次元座標と、基準のレーザートラッカーが最後にレーザー光を照射したリフレクターの基準用3次元座標とに基づいて、全てのレーザートラッカーの駆動角度をそれぞれ求め、該求めた駆動角度に基づいて、制御器により、全てレーザートラッカーを駆動させ、該全てレーザートラッカーから全てのリフレクター配置用3次元座標にレーザー光を照射し、該各レーザー光の照射位置を目標に、溶接部材2の移動と姿勢の調整とを行うようにして、より高精度の母材1に対する溶接部材2の位置決めを行うようにしてもよい。
【0043】
更に又、上記実施の形態では、仮の3次元座標(X4´,Y4´,Z4´)、(X5´,Y5´,Z5´)、(X6´,Y6´,Z6´)を求めてから、母材1の基準位置の測定データに合わせて座標変換して、リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)を求める場合について説明したが、製品の図面データと、溶接部材調整装置5の図面データと、溶接部材調整装置5のリフレクター取付部材5cに取り付けたリフレクター6a,6b,6cの配置位置のデータと、母材1の基準位置の測定データとから、リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)を直接求めるようにしてもよい。
【0044】
又、リフレクター6a,6b,6cは、溶接部材2に直接取り付けてもよく、この場合には、リフレクター配置用3次元座標(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)を求めるのに、溶接部材調整装置5の図面データを用いずに、リフレクター6a,6b,6cの配置位置のデータを、たとえば、溶接部材2の任意の位置からの座標とすればよい。
【0045】
更に、3次元位置計測器の種類は、レーザートラッカー4に限定されるものではないこと、母材は平板でなくともよいこと、支持フレーム部材5bの形状は任意の形状でよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。