(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
間隔をおいて互いに対向している多角形状の第1の主壁部及び第2の主壁部と、前記第1の主壁部と前記第2の主壁部との間に配されており、前記第1及び第2の主壁部と共に発光体が封入される内部空間を区画形成している側壁部と、
を備え、
前記側壁部は、
前記第1及び第2の主壁部の一の辺に沿って配されており、幅方向の一部において長さ方向の一方側端部から他方側端部にまで至るように前記第1及び第2の主壁部のそれぞれと融着されている第1の側壁部と、
前記第1及び第2の主壁部の前記一の辺に隣接した他の辺に沿い、且つ一方の端部が、前記第1の側壁部との間で間隔を設けて前記第1の側壁部に臨むように配されており、幅方向の一部において長さ方向の一方側端部から他方側端部にまで至るように前記第1及び第2の主壁部のそれぞれと融着されている第2の側壁部と、
前記第2の側壁部の一方の端部と前記第1の側壁部とに接続されていると共に、前記第1及び第2の主壁部のそれぞれと融着されており、前記第2の側壁部よりも幅方向寸法が小さな接続部と、
を有する、発光デバイス用セル。
前記接続部は、前記第2の側壁部の一方の端部の幅方向における外側部分と前記第1の側壁部とに接続されており、全体が前記第1及び第2の主壁部のそれぞれに融着されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光デバイス用セル。
第1のガラス板と、前記第1のガラス板に間隔をおいて対向した第2のガラス板と、前記第1及び第2のガラス板の間において、前記第1及び第2のガラス板の複数の辺のそれぞれに沿って配された複数のガラスリボンとを備える積層体であって、前記複数のガラスリボンは、前記第1及び第2のガラス板の第1の辺に沿って配された第1のガラスリボンと、前記第1及び第2のガラス板の前記第1の辺に隣接した第2の辺に沿って配された第2のガラスリボンとを含み、前記第2のガラスリボンの前記第1の辺側の端部が、前記第2の辺と前記第1のガラスリボンとの間に介在し、且つ前記第1のガラスリボンとの間で間隔を設けて配された積層体を作製する工程と、
レーザー光を、前記積層体の複数の辺のそれぞれに沿って、当該辺の一方側端部から他方側端部に至るまで走査することにより前記第1及び第2のガラス板のそれぞれと前記複数のガラスリボンとを融着させる融着工程と、
を備え、
前記融着工程において、前記第1の辺に沿った前記レーザー光の走査を、前記第2の辺とは反対側から前記第2の辺側に向かって行う、発光デバイス用セルの製造方法。
前記第2のガラスリボンの前記第1の辺側の端部と前記第1のガラスリボンとの間隔が、0.1mm〜1.0mmである、請求項8に記載の発光デバイス用セルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0018】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発光デバイスの略図的斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係る発光デバイスの略図的平面図である。
図3は、
図2の線III−IIIにおける略図的断面図である。
図4は、
図2の線IV−IVにおける略図的断面図である。
図5は、発光デバイスがx方向に沿って湾曲した際の、
図4のV部分を拡大した略図的断面図である。
図1〜5を参照しながら、本実施形態に係る発光デバイス1の構成について説明する。なお、
図2及び後述する
図13において、融着部14a1,14b1,14c1,14d1に、ハッチングを附しているが、ハッチングが附された部分は、断面を表していない。
【0020】
発光デバイス1は、励起光が入射したときに、励起光とは異なる波長の光を出射するデバイスである。発光デバイス1は、励起光の一部を通過させ、励起光と励起光の照射により生じた光との混合光を出射するものであってもよい。
【0021】
発光デバイス1は、セル10を有する。
図2に示すように、セル10は、内部空間10aを有する。内部空間10aの厚みは、例えば5〜500μm程度であり、10〜100μm程度であることが好ましい。
【0022】
内部空間10a内には、発光体が封入されている。具体的には、内部空間10a内には、分散媒と、分散媒中に分散している発光体とを備える発光部材11が封入されている。分散媒は、発光体を好適に分散できるものである限りにおいて特に限定されない。分散媒は液体であってもよいし、樹脂、ガラスなどであってもよい。
【0023】
発光体の種類は特に限定されない。発光体としては、例えば無機蛍光体、有機蛍光体などの蛍光体が挙げられる。これらの中でも無機蛍光体が好ましい。
【0024】
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の可視光(波長440〜480nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Sr
5(PO
4)
3Cl:Eu
2+、(Sr,Ba)MgAl
10O
17:Eu
2+などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、SrAl
2O
4:Eu
2+、SrGa
2S
4:Eu
2+などが挙げられる。波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、SrAl
2O
4:Eu
2+、SrGa
2S
4:Eu
2+などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、ZnS:Eu
2+などが挙げられる。波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Y
3(Al,Gd)
5O
12:Ce
2+などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Gd
3Ga
4O
12:Cr
3+、CaGa
2S
4:Mn
2+などが挙げられる。波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Mg
2TiO
4:Mn
4+、K
2SiF
6:Mn
4+などが挙げられる。なお、無機蛍光体は、粒子径が5μm〜50μm程度のものを用いることができる。
【0025】
無機蛍光体は、量子ドットであってもよい。量子ドットは、励起光が入射したときに、励起光とは異なる波長の光を出射するものである。量子ドットから出射される光の波長は、量子ドットの粒子径に依存する。すなわち、量子ドットの粒子径を変化させることにより、得られる光の波長を調整することができる。このため、量子ドットの粒子径は、得ようとする光の波長に応じた粒子径とされている。
【0026】
量子ドットとしては、例えば、粒子径が2nm〜10nm程度のものを用いることができる。例えば、波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の可視光(波長400〜440nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が2.0nm〜3.0nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.0nm〜3.3nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.3nm〜4.5nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が4.5nm〜10nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。
【0027】
内部空間10a内には、励起光の波長域や発光させたい色に合わせて、1種類または複数種類の発光体が封入されている。
【0028】
図3及び
図4に示すように、セル10は、第1の主壁部12と第2の主壁部13とを備える。第1の主壁部12と第2の主壁部13とは、x、y方向において、間隔をおいて互いに対向している。第1の主壁部12と第2の主壁部13とは平行である。第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれは、多角形状を有する。具体的には、第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれは、四角形状を有する。
【0029】
第1及び第2の主壁部12,13の両方が励起光及び発光体から発する光を透過させるものである必要は必ずしもない。しかしながら、第1及び第2の主壁部12,13の少なくとも一方は、励起光を透過させるものである必要がある。また、第1及び第2の主壁部12,13の少なくとも一方は、発光体から発する光を透過させるものである必要がある。例えば、第1の主壁部12が励起光を透過させるものであり、第2の主壁部13が発光体から発する光を透過させるものであってもよい。
【0030】
第1及び第2の主壁部12,13を構成する材料としては、例えばガラス、樹脂、セラミックスなどが挙げられる。ガラスは、光の透過性が高く、加工性、耐候性にも優れている。このため、第1及び第2の主壁部12,13は、ガラスからなることが好ましい。
【0031】
第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれの厚みは特に限定されないが、例えば0.02mm〜10mm程度とすることができる。
【0032】
第1の主壁部12と第2の主壁部13との間には、側壁部14が配されている。この側壁部14と第1及び第2の主壁部12,13とにより、発光部材11が封入される内部空間10aが区画形成されている。
【0033】
側壁部14を構成する材料としては、例えばガラス、樹脂、セラミックスなどが挙げられる。光の透過性、加工性、耐候性等の観点から、側壁部14はガラスからなることが好ましい。
【0034】
側壁部14は、4つの側壁部14a,14b,14c,14dを含む。
【0035】
側壁部14aは、第1及び第2の主壁部12,13の一の辺12a,13aに沿って配されている。側壁部14aは、y1側端部14a3が第1及び第2の主壁部12,13のy1側端面に至っている一方、y2側端部14a2はy2側端面には至っていない。側壁部14aのy2側端部14a2と第1及び第2の主壁部12,13のy2側端面との間には側壁部14dが位置している。側壁部14aのy2側端部14a2と側壁部14dとの間には間隔W3が設けられている。
【0036】
側壁部14bは、第1及び第2の主壁部12,13の辺12a,13aに隣接した辺12b,13bに沿って配されている。側壁部14bは、x1側端部14b3が第1及び第2の主壁部12,13のx1側端面に至っている一方、x2側端部14b2はx2側端面には至っていない。側壁部14bのx2側端部14b2と第1及び第2の主壁部12,13のx2側端面との間には側壁部14aが位置している。側壁部14bのx2側端部14b2と側壁部14aとの間には間隔W1が設けられている。
【0037】
側壁部14cは、第1及び第2の主壁部12,13の辺12b、13bに隣接した辺12c,13cに沿って配されている。側壁部14cは、y2側端部14c3が第1及び第2の主壁部12,13のy2側端面に至っている一方、y1側端部14c2はy1側端面には至っていない。側壁部14cのy1側端部14c2と第1及び第2の主壁部12,13のy1側端面との間には、側壁部14bが位置している。側壁部14cのy1側端部14c2と側壁部14bとの間には間隔W2が設けられている。
【0038】
側壁部14dは、第1及び第2の主壁部12,13の辺12c、13cに隣接した辺12d,13dに沿って配されている。側壁部14dは、x2側端部14d3が第1及び第2の主壁部12,13のx2側端面に至っている一方、x1側端部14d2はx1側端面には至っていない。側壁部14dのx1側端部14d2と第1及び第2の主壁部12,13のx1側端面との間には、側壁部14cが位置している。側壁部14dのx1側端部14d2と側壁部14cとの間には間隔W4が設けられている。
【0039】
間隔W1〜W4のそれぞれは、0.1〜1.0mmであることが好ましく、0.1〜0.5mmであることがより好ましい。間隔W1〜W4は、互いに等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0040】
側壁部14bは、一方の端部14b2が側壁部14aに臨むように配されている。より詳細には、側壁部14bは、一方の端部14b2が側壁部14aの端部14a3に対向するように配されている。側壁部14cは、一方の端部14c2が側壁部14bの端部14b3に臨むように配されている。側壁部14dは、一方の端部14d2が側壁部14cの端部14c3に臨むように配されている。
【0041】
側壁部14aは、融着部14a1を有する。融着部14a1は、側壁部14aの幅方向であるx方向の一部に設けられている。融着部14a1は、側壁部14aの長さ方向であるy方向の一方側端部から他方側端部に至るように設けられている。融着部14a1の全体が第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれに融着されている。側壁部14aの融着部14a1以外の部分は、第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれと融着されていない。すなわち、側壁部14aは、側壁部14aの幅方向であるx方向の一部において第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれと融着されている。
【0042】
側壁部14bは、融着部14b1を有する。融着部14b1は、側壁部14bの幅方向であるy方向の一部に設けられている。融着部14b1は、側壁部14bの長さ方向であるx方向の一方側端部から他方側端部に至るように設けられている。融着部14b1の全体が第1及び第2の主壁部12,13に融着されている。側壁部14bの融着部14b1以外の部分は、第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれと融着されていない。すなわち、側壁部14bは、側壁部14bの幅方向であるy方向の一部において第1及び第2の主壁部12,13とのそれぞれ融着されている。
【0043】
側壁部14cは、融着部14c1を有する。融着部14c1は、側壁部14cの幅方向であるx方向の一部に設けられている。融着部14c1は、側壁部14cの長さ方向であるy方向の一方側端部から他方側端部に至るように設けられている。融着部14c1の全体が第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれに融着されている。側壁部14cの融着部14c1以外の部分は、第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれと融着されていない。すなわち、側壁部14cは、側壁部14cの幅方向であるx方向の一部において第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれと融着されている。
【0044】
側壁部14dは、融着部14d1を有する。融着部14d1は、側壁部14aの幅方向であるy方向の一部に設けられている。融着部14d1は、側壁部14dの長さ方向であるx方向の一方側端部から他方側端部に至るように設けられている。融着部14d1の全体が第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれに融着されている。側壁部14dの融着部14d1以外の部分は、第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれと融着されていない。すなわち、側壁部14dは、側壁部14dの幅方向であるy方向の一部において第1及び第2の主壁部12,13とのそれぞれ融着されている。
【0045】
側壁部14aのy2側端部14a2と側壁部14dとは、例えば、レーザー等の加熱により互いに融着し接続部16aが形成されることによって接続されている。接続部16aの全体は、第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれに融着されている。接続部16aの幅方向(x方向)における寸法は、側壁部14aの幅方向(x方向)における寸法よりも小さい。接続部16aの幅方向(x方向)における寸法は、側壁部14aの幅方向(x方向)における寸法の0.5倍以下であることが好ましく、0.2倍以下であることがより好ましい。具体的には、接続部16aは、側壁部14aのy2側端部14a2の幅方向における外側部分と側壁部14dとを接続している。側壁部14aのy2側端部14a2の幅方向における内側部分と側壁部14dとは接続部16aによって接続されていない。
【0046】
側壁部14bのx2側端部14b2と側壁部14aとは、接続部16bによって接続されている。接続部16bの全体は、第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれに融着されている。接続部16bの幅方向(y方向)における寸法は、側壁部14bの幅方向(y方向)における寸法よりも小さい。接続部16bの幅方向(y方向)における寸法は、側壁部14bの幅方向(y方向)における寸法の0.5倍以下であることが好ましく、0.2倍以下であることがより好ましい。具体的には、接続部16bは、側壁部14bのx2側端部14b2の幅方向における外側部分と側壁部14aとを接続している。側壁部14bのx2側端部14b2の幅方向における内側部分と側壁部14aとは接続部16bによって接続されていない。
【0047】
側壁部14cのy1側端部14c2と側壁部14bとは、接続部16cによって接続されている。接続部16cの全体は、第1及び第2の主壁部12,13のそれぞれに融着されている。接続部16cの幅方向(x方向)における寸法は、側壁部14cの幅方向(x方向)における寸法よりも小さい。接続部16cの幅方向(x方向)における寸法は、側壁部14cの幅方向(x方向)における寸法の0.5倍以下であることが好ましく、0.2倍以下であることがより好ましい。具体的には、接続部16cは、側壁部14cのy1側端部14c2の幅方向における外側部分と側壁部14bとを接続している。側壁部14cのy1側端部14c2の幅方向における内側部分と側壁部14bとは接続部16cによって接続されていない。
【0048】
側壁部14dのx1側端部14d2と側壁部14cとの間には、内部空間10aに連通する開口10bを構成している。この開口10bは、発光部材11を内部空間10a内に注入するためのものである。開口10bは、封止部材15によって封止されている。
【0049】
具体的には、本実施形態では、セル10の第1の主壁部12及び第2の主壁部13のそれぞれは、ガラス板により構成されている。側壁部14a〜14dのそれぞれは、ガラスリボンにより構成されている。
【0050】
ところで、発光デバイス1のセル10には、曲げ応力が加わることがある。
図5に示すように、セル10に曲げ応力が加わり、セル10が湾曲すると、例えば、端部14b2と側壁部14aとの最短距離が短くなる場合がある。ここで、端部14b2と側壁部14aとが接触している場合は、第1及び第2の主壁部12,13に融着していない、端部14b2の融着部14b1以外の部分と、側壁部14aの融着部14a1以外の部分とが接触し、破損してしまう虞がある。
【0051】
これに対して、発光デバイス1では、端部14b2,14c2,14d2,14a2と側壁部14a、14b、14c、14dとの間に間隔が設けられている。このため、セル10が湾曲したとしても、端部14b2,14c2,14d2,14a2と側壁部14a、14b、14c、14dとが接触しにくい。従って、側壁部14a〜14dが損傷することを抑制することができる。
【0052】
側壁部14a〜14dがガラスからなる場合は、側壁部14a〜14dが接触により破損しやすいため、本実施形態の側壁部14a〜14dの破損を抑制できる技術は、側壁部14a〜14dがガラスからなる場合に特に有効である。
【0053】
次に、本実施形態に係る発光デバイス1の製造方法の一例について説明する。但し、以下の製造方法は、単なる一例であって、本発明に係る発光デバイスの製造方法は、以下の製造方法に何ら限定されない。
【0054】
図6は、本実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明するための略図的平面図である。
図7は、本実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明するための略図的平面図である。
図8は、
図7の線VII−VIIにおける略図的断面図である。
図9は、本実施形態に係る発光デバイスの製造方法を説明するための略図的断面図である。
【0055】
次に、
図6〜
図9を参照しながら、本実施形態に係る発光デバイス1の製造方法の一例について説明する。但し、以下の製造方法は、単なる一例であって、本発明に係る発光デバイス1の製造方法は、以下の製造方法に何ら限定されない。
【0056】
(発光デバイスの製造方法)
まず、主壁部12,13を構成するための第1及び第2のガラス板20,21を用意する。次に、
図6に示すように、ガラス板21の周縁部に側壁部14a〜14dを構成するためのガラスリボン30a〜30dを配置する。この際、ガラスリボン30a〜30dの端部30a2,30b2,30c2,30d2とガラスリボン30d、30a、30b、30cとの間には間隔W30,W10,W20,W40それぞれを設けておく。
【0057】
次に、
図7,
図8に示すように、第2のガラス板21の上に、ガラスリボン30a,30b,30c,30dを介在させて、第1ガラス板20を積層する。これにより、第2のガラス板21と、ガラスリボン30a,30b,30c,30dと、第1のガラス板20とがこの順に積層した積層体40を得る。
【0058】
第1のガラス板20と第2のガラス板21とは、間隔をおいて対向している。第1及び第2のガラス板20,21の間において、ガラスリボン30a〜30dは、第1及び第2のガラス板20,21の複数の辺20a〜20d,21a〜21dのそれぞれに沿って環状に配する。具体的には、ガラスリボン30bは、第1及び第2のガラス板20,21の辺20b,21bに沿って配する。ガラスリボン30aは、第1及び第2のガラス板の辺20b,21bに隣接した辺20a,21aに沿って配する。ガラスリボン30dは、第1及び第2のガラス板20,21の辺20a,21aに隣接した辺20d,21dに沿って配する。ガラスリボン30cは、第1及び第2のガラス板20,21の辺20d,21dに隣接した第2の辺20c,21cに沿って配する。
【0059】
ガラスリボン30aの辺20b,21b側の端部30a3は、辺20a,21aとガラスリボン30bとの間に介在させる。より詳細には、ガラスリボン30bの辺20a,21a側の端部30b2と辺20a,21aとの間には、ガラスリボン30aの端部30a3を配置する。この際、ガラスリボン30bの端部30b2とガラスリボン30aとの間には、間隔W10を設ける。
【0060】
ガラスリボン30bの辺20c,21c側の端部30b3は、辺20b,21bとガラスリボン30cとの間に介在させる。より詳細には、ガラスリボン30cの辺20b,21b側の端部30c2と辺20b,21bとの間に、ガラスリボン30bの端部30b3を配置する。この際、ガラスリボン30cの端部30c2とガラスリボン30bとの間には間隔W20を設ける。
【0061】
ガラスリボン30cの辺20d,21d側の端部30c3は、辺20c,21cとガラスリボン30dとの間に介在させる。より詳細には、ガラスリボン30dの辺20c,21c側の端部30d2と辺20c,21cとの間に、ガラスリボン30cの端部30c3を配置する。この際、ガラスリボン30dの端部30d2とガラスリボン30cとの間には間隔W40を設ける。
【0062】
ガラスリボン30dの辺20a,21a側の端部30d3は、辺20d,21dとガラスリボン30aとの間に介在させる。より詳細には、ガラスリボン30aの辺20d,21d側の端部30a2と辺20d,21dとの間に、ガラスリボン30dの端部30d3を配置する。この際、ガラスリボン30aの端部30a2とガラスリボン30dとの間に間隔W30を設ける。
【0063】
間隔W10〜W40のそれぞれは、0.1mm〜1.0mmであることが好ましく、0.1mm〜0.5mmであることがより好ましい。間隔W10〜W40は、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0064】
積層体40において、第1及び第2のガラス板20,21の外側側面20a3〜20d3,21a3〜21d3とガラスリボン30a〜30dの外側側面30a1〜30d1とは、それぞれ面一である。
【0065】
次に、融着工程において、積層体40にレーザー光50を照射することにより、ガラスリボン30a〜30dとガラス板20,21とを融着させる。
【0066】
レーザー光50は、積層体40の辺20a,21a、辺20b,21b、辺20c,21c、辺20d,21dのそれぞれに沿って、当該辺の一方側端部20a1,21a1,20b1,21b1,20c1,21c1,20d1,21d1から他方側端部20a2,21a2,20b2,21b2,20c2,21c2,20d2,21d2にそれぞれ至るまで走査する。
【0067】
この際、第1及び第2のガラス板20,21の辺20c,21cに沿ったレーザー光50の走査は、辺20b,21bとは反対側であるy2側から辺20b,21b側であるy1側に向かって行う。より詳細には、
図7,
図9に示すように、第1及び第2のガラス板20,21の辺20c,21cに沿ったレーザー光50の走査は、ガラスリボン30cの外側側面30c1のy2側端部30c3からy1側に向かって順に行う。これにより、ガラスリボン30cのy1側端部30c2とガラスリボン30bとのそれぞれが融解し、接続される。
【0068】
第1及び第2のガラス板20,21の辺20b,21bに沿ったレーザー光50の走査は、辺20a,21aとは反対側であるx1側から辺20a,21a側であるx2側に向かって行う。より詳細には、第1及び第2のガラス板20,21の辺20b,21bに沿ったレーザー光50の走査は、ガラスリボン30bの外側側面30b1のx1側端部30b3からx2側に向かって順に行う。これにより、ガラスリボン30bのx2側端部30b2とガラスリボン30aとのそれぞれが融解し、接続される。
【0069】
第1及び第2のガラス板20,21の辺20a,21aに沿ったレーザー光50の走査は、辺20d,21dとは反対側であるy1側から辺20d,21d側であるy2側に向かって行う。より詳細には、第1及び第2のガラス板20,21の辺20a,21aに沿ったレーザー光50の走査は、ガラスリボン30aの外側側面30a1のy1側端部30a3からy2側に向かって順に行う。これにより、ガラスリボン30aのy1側端部30a2とガラスリボン30dとのそれぞれが融解し、接続される。
【0070】
第1及び第2のガラス板20,21の辺20d,21dに沿ったレーザー光50の走査は、ガラス板20,21の辺20c,21cとは反対側であるx2側から辺20c,21c側であるx1側に向かって行う。第1及び第2のガラス板20,21の辺20d,21dに沿ったレーザー光50の走査は、ガラスリボン30dの外側側面30d1のx2側端部30d3からx1側に向かって順に行う。積層体40の端部30d2とガラスリボン30cとの間の間隔W40が位置する部分にはレーザー光50を照射しない。すなわち、ガラスリボン30aとガラスリボン30bとは互いに接続しない。これは、発光デバイス1に貫通孔10bを設けるためである。
【0071】
第1及び第2のガラス板20,21とガラスリボン30a,30b,30c,30dのそれぞれとを融着する順序は特に限定されない。例えば、以下のような順序で行うことができる。すなわち、第1及び第2のガラス板20,21の互いに隣り合わない辺20a,21aと辺20c,21cにおける融着を連続して行う。その次に、第1及び第2のガラス板20,21の互いに隣り合わない辺20b,21bと辺20d,21dにおける融着を連続して行う。この際、互いに隣り合わない辺20a,21aと辺20c,21cとの両方に隣り合う辺20b,21b及び辺20d,21dにおける融着は、辺20a,21aと辺20c,21cを融着する際のレーザー光50の出力の70%程度〜95%程度とし、複数回レーザー光50を照射することによって行うことが好ましい。これにより、第1及び第2のガラス板20,21の辺20a〜20d,21a〜21dにおけるガラス板20,21とガラスリボン30a〜30dとの融着をより均一に行うことが可能となる。
【0072】
なお、レーザー光50の照射は、レーザー光照射装置51を用いて、CO
2レーザーなど照射することにより行うことができる。
【0073】
以上によりセル10を完成させることができる。
【0074】
次に、貫通孔10bから、内部空間10a内に発光体を封入する。発光体の封入方法は、特に限定されない。好ましく用いられる発光体の封入方法としては、例えば、内部空間10aを減圧雰囲気にした状態で、発光体が分散した液体からなる発光部材11を内部空間10aに供給する方法が挙げられる。
【0075】
最後に、貫通孔(封入孔)10bを覆うように封止部材15を配し、レーザーを照射することにより、封止部材15をセル10に融着させることによって、貫通孔10bを塞ぐ。以上の工程により、発光デバイス1を製造することができる。
【0076】
ところで、例えば、第1及び第2のガラス板20,21の辺20c,21cに沿ったレーザー光50の照射を、y1側端部20c2,21c2から、ガラスリボン30cのy1側端部30c2とガラスリボン30bとの間の間隔W20が位置する部分を経て、y2側端部30c3に向かって順に行うことも考えられる。しかしながら、この場合は、レーザー光を照射した際にガラスリボンやガラス板が割れやすい。これは、レーザー光50の照射開始後、ガラスリボンが連続しない部分(間隔W20付近)がすぐに加熱されることになり、局所的に大きな温度差や熱膨張差が生じやすいためであると考えられる。
【0077】
これに対して、本実施形態の製造方法では、第1及び第2のガラス板20,21の辺20c,21cに沿ったレーザー光50の走査は、辺20b,21bとは反対側であるy2側から辺20b,21b側であるy1側に向かって順に行う。そして、ガラスリボン30cにおいて、y1側端部30c2とガラスリボン30bとの間の間隔W20が位置する部分へのレーザー光50の照射は、最後に行う。すなわち、ガラスリボンが連続しない部分(間隔W20付近)へのレーザー光50の照射に先立ち、第1及び第2のガラス板20,21の辺20c,21cに沿った加熱と膨張が連続的になされる。この際、間隔W20付近がレーザー光によって直接加熱される前に、間隔W20付近の温度は上昇している。よって、間隔W20付近がレーザー光によって直接加熱される際に、急激な温度差や熱膨張が生じることを抑制することができる。これは、第1及び第2のガラス板20,21の辺20a,21a、辺20b,21bに沿ったレーザー光50の照射においても同様である。従って、本実施形態に係る製造方法では、レーザー光50を用いる積層体40の融着工程において、ガラス板20,21やガラスリボン30a〜30dが破損し難いという優れた効果が奏される。
【0078】
ところで、例えば、
図10に示すように、ガラスリボン30cの外側側面30c1がガラス板20,21の外側側面20c3,21c3よりも大きく外側に位置している場合、
図11に示すように、ガラスリボン30cの外側側面30c1がガラス板20,21の外側側面20c3,21c3よりも大きく内側に位置している場合、及び
図12に示すように、第1のガラス板20の外側側面20c3が第2のガラス板21の外側側面21c3よりも大きく外側に位置している場合には、突出した部分だけが過剰に加熱されやすいため、ガラス板やガラスリボンが割れやすくなる。このため、
図10に示す距離W50は、0.3mm以下であることが好ましい。
図11に示す距離W51は、0.3mm以下であることが好ましい。
図12に示す距離W52は、0.3mm以下であることが好ましい。さらには、ガラス板20の端面と、ガラス板21の端面と、ガラスリボンの端面とが面一であることが好ましい。
【0079】
なお、
図10〜
図12に示す参考例において、上記実施形態と実質的に同様の機能を有する部材を同様の符号で参照し、説明を省略している。
【0080】
以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0081】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態における発光デバイス2の略図的平面図である。上記第1の実施形態では、
図2に示されるように、側壁部14dの一方側端部14d2と側壁部14cとの間に貫通孔10b及び封止部材15が形成されている例について説明した。それに対して、本実施形態では、
図13に示されるように、主壁部12の内面に貫通孔10bが設けられている。そして、貫通孔10bは、主壁部12に融着された封止部材15により封止されている。
【0082】
側壁部14dの一方の端部14d2と側壁部14cとは、接続部16dにより接続されている。このような構成を有する発光デバイスにおいても、上記第1の実施形態と同様の効果が奏される。
【0083】
上記第1及び第2の実施形態においては、主壁部12,13は、それぞれ四角形状である場合について説明した。本発明は、これに限定されない。本発明において、主壁部12,13は、それぞれ多角形状であればよく、例えば、三角形状、五角形状、六角形状、七角形状、八角形状等であってもよい。