【実施例】
【0047】
以下において、得られたリン酸水素チタンの平均粒子径、粉末X線回折、BET法比表面積及び水銀圧入法による細孔容積は以下のようにして測定した。
【0048】
平均粒子径
透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製JEM−1200EX II)による倍率2000〜50000倍の写真において、100個の粒子の定方向径を計測し、累積分布の平均値として平均粒子径D1を求めた。次に、上記定方向径と直交する方向の定方向径を同様に計測して、平均粒子径D2を求めた。上記平均粒子径D1/D2からアスペクト比を求めた。
【0049】
粉末X線回折
(株)リガク製Ultima III(銅管球)を用いて測定した。
比表面積
(株)マウンテック製Macsorb HM model−1220を用いて測定した。
細孔容積
マイクロメリティクス製AutoPore IV 9500を用いて測定した。
【0050】
実施例1
水冷式還流冷却器とフッ素樹脂製攪拌機を備え、マントルヒーターで加熱し得るようにした1L容量のガラス製三口フラスコを反応容器とし、これに市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。
【0051】
別に、市販の硫酸チタン水溶液(TiO
2 として90g/L)1.109L(TiO
2 として100g、1.252モル)をガラス製の2L容量ビーカーに計量し、攪拌しながら、90℃でこれに30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、pHを3.0とした。生成した固形物を濾過、水洗し、再度、水に懸濁させて、その容量を0.5Lとし、かくして、メタチタン酸のスラリー(TiO
2 として200g/L)を調製した。
【0052】
上記95℃に加熱した濃リン酸346.4gに上記メタチタン酸のスラリー0.5L(TiO
2 として100g、1.252モル、P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて2時間かけて連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。
【0053】
上記メタチタン酸のスラリーの添加終了後、得られた反応混合物を温度95℃で2時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。
【0054】
この後、反応混合物を常温に冷却し、固形物を濾過、回収し、純水で洗浄し、次いで、105℃で12時間加熱して乾燥した。
【0055】
このようにして得られた反応生成物は、その粉末X線回折チャートを
図1に示すように、α型リン酸水素チタン1水和物であることが確認された。また、走査型電子顕微鏡写真を
図2及び
図3に示すように、平均粒子径(D1)14.8μm、平均粒子径(D2)10.3μm、アスペクト比1.44の球状粒子であった。また、
図3に示す電子顕微鏡写真から明らかなように、本発明による反応生成物の表面は網目状を呈していた。
【0056】
また、表1に示すように、反応生成物のBET法による比表面積は55.4m
2/gであり、水銀圧入法による細孔容積は1.11mL/gであった。
【0057】
実施例2
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として143g/L)を調製した。
【0058】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.7L(TiO
2 として100g、1.252モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて4時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で6時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。
【0059】
この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、本発明による多孔質結晶性α型リン酸水素チタン1水和物球状粒子を反応生成物として得た。
【0060】
このようにして得られた反応生成物の平均粒子径(D1)、平均粒子径(D2)、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0061】
実施例3
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として100g/L)を調製した。
【0062】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.5L(TiO
2 として50g、0.626モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比2.40)をマイクロチューブを用いて2時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で2時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。
【0063】
この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、本発明による多孔質結晶性α型リン酸水素チタン1水和物球状粒子を反応生成物として得た。
【0064】
このようにして得られた反応生成物の粒子形状、平均粒子径(D1)、平均粒子径(D2)、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0065】
実施例4
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として333.3g/L)を調製した。
【0066】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.3L(TiO
2 として100g、1.252モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて1時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で1時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。
【0067】
この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、本発明による多孔質結晶性α型リン酸水素チタン1水和物球状粒子を反応生成物として得た。
【0068】
このようにして得られた反応生成物の平均粒子径(D1)、平均粒子径(D2)、アスペクト比、P
2O
5量、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0069】
実施例5
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら75℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として333.3g/L)を調製した。
【0070】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.3L(TiO
2 として100g、1.252モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて2時間かけて上記温度75℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を75℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度75℃で6時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。
【0071】
この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、本発明による多孔質結晶性α型リン酸水素チタン1水和物球状粒子を反応生成物として得た。
【0072】
このようにして得られた反応生成物の平均粒子径(D1)、平均粒子径(D2)、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0073】
実施例6
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら60℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として200g/L)を調製した。
【0074】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.5L(TiO
2 として100g、1.252モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて3時間かけて上記温度60℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を60℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、得られた反応混合物を温度95℃で6時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、本発明による多孔質結晶性α型リン酸水素チタン1水和物球状粒子を反応生成物として得た。
【0075】
このようにして得られた反応生成物の平均粒子径(D1)、平均粒子径(D2)、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0076】
実施例7
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。
【0077】
ガラス製の2L容量ビーカーに10重量%塩酸1Lを入れた。温度5℃に維持した冷水浴に上記このビーカーを入れ、ビーカー内の塩酸を撹拌しながら、これに市販の四塩化チタン237.5g(TiO
2 として100g)を投入した。この後、ビーカー内の混合物の液温を30℃以下に保ちながら、30重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、混合物のpHを3.0とした。このようにして、生成した固形物を濾過、水洗し、再度、水に懸濁させて、その容量を1Lとし、かくして、オルトチタン酸のスラリー(TiO
2 として100g/L)を調製した。
【0078】
実施例1において、上記オルトチタン酸のスラリー1.0L(TiO
2 として100g、1.252モル、P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明による多孔質結晶性α型リン酸水素チタン1水和物球状粒子を反応生成物として得た。
【0079】
このようにして得られた反応生成物の平均粒子径(D1)、平均粒子径(D2)、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0080】
実施例8
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸を希釈して、H
3PO
4 として50重量%としたリン酸588.9g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。
【0081】
実施例1と同様にしてメタチタン酸スラリーを調製し、固形分を濾過し、乾燥し、105℃で加熱して、メタチタン酸を粉体として得た。
【0082】
このメタチタン酸粉体をTiO
2 として100g(1.252モル、P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)を2時間をかけて上記95℃に加熱したリン酸に少量ずつ、加えた以外は、実施例1と同様にして、本発明による多孔質結晶性α型リン酸水素チタン1水和物球状粒子を反応生成物として得た。
【0083】
このようにして得られた反応生成物の平均粒子径(D1)、平均粒子径(D2)、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0084】
実施例9
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として200g/L)を調製した。
【0085】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.5L(TiO
2 として100g、1.252モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて2時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、得られた反応混合物を温度95℃で2時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。
【0086】
この後、反応混合物を常温に冷却し、固形物を濾過、回収し、純水で洗浄し、次いで、105℃で12時間加熱して乾燥して、本発明による多孔質結晶性α型リン酸水素チタン1水和物球状粒子を反応生成物として得た。次いで、このリン酸水素チタン1水和物球状粒子を空気中、500℃で3時間焼成して、多孔質結晶性無水α型リン酸水素チタン球状粒子を得た。
【0087】
このようにして得られた反応生成物の粒子形状、平均粒子径(D1)、平均粒子径(D2)、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0088】
実施例10
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として333.3g/L)を調製した。
【0089】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.4L(TiO
2 として133.1g、1.667モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比0.90)をマイクロチューブを用いて2時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で2時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、反応生成物を得た。
【0090】
このようにして得られた反応生成物は、表面が網目状多孔質の球状粒子であった。また、反応生成物は、粉末X線回折の結果、結晶性α型リン酸水素チタン1水和物であった
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0091】
比較例1
実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として200g/L)を調製し、これを実施例1と同じ反応容器に入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。
【0092】
上記95℃に加熱したメタチタン酸のスラリー0.5L(TiO
2 として100g、1.252モル)に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル、P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて2時間かけて連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。
【0093】
上記濃リン酸の添加終了後、得られた反応混合物を温度95℃で2時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。
【0094】
この後、反応混合物を常温に冷却し、固形物を濾過、回収し、純水で洗浄し、次いで、105℃で12時間加熱して乾燥した。
【0095】
このようにして得られた反応生成物は、不揃いな板状粒子と球状粒子の混合物であった。また、反応生成物は、粉末X線回折の結果、結晶性α型リン酸水素チタン1水和物とアナターゼ型二酸化チタンの混合物であった。
【0096】
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0097】
比較例2
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら60℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として200g/L)を調製した。
【0098】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.5L(TiO
2 として100g、1.252モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて15時間かけて上記温度60℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を60℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度60℃で15時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、反応生成物を得た。
【0099】
このようにして得られた反応生成物は、不揃いな板状粒子と球状粒子の混合物であった。また、反応生成物は、粉末X線回折の結果、無定形リン酸水素チタンとアナターゼ型二酸化チタンの混合物であった。
【0100】
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0101】
比較例3
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として100g/L)を調製した。
【0102】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー1.0L(TiO
2 として100g、1.252モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて15時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で15時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、反応生成物を得た。
【0103】
このようにして得られた反応生成物は、不揃いな板状粒子と球状粒子の混合物であった。また、反応生成物は、粉末X線回折の結果、結晶性α型リン酸水素チタン1水和物とアナターゼ型二酸化チタンの混合物であった。
【0104】
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0105】
比較例4
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として333.3g/L)を調製した。
【0106】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.3L(TiO
2 として100g、1.252モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて15時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で15時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、反応生成物を得た。
【0107】
このようにして得られた反応生成物は、結晶性α型リン酸水素チタン1水和物の板状粒子であった。
【0108】
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0109】
比較例5
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として200g/L)を調製した。
【0110】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.2L(TiO
2 として40g、0.501モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比3.00)をマイクロチューブを用いて2時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で2時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、反応生成物を得た。
【0111】
このようにして得られた反応生成物は、結晶性α型リン酸水素チタン1水和物の板状粒子であった。
【0112】
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0113】
比較例6
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。
【0114】
実施例1において、メタチタン酸のスラリーに代えて、硫酸チタン水溶液(TiO
2 として90.2g/L)1.109L(TiO
2 として100g、P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて2時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で2時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、反応生成物を得た。
【0115】
このようにして得られた反応生成物は、アスペクト比が大きく、大きさと形状の不揃いの球状粒子であった。また、反応生成物は、粉末X線回折の結果、無定形リン酸水素チタン化合物とアナターゼ型二酸化チタンの混合物であった。
【0116】
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0117】
比較例7
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として200g/L)を調製した。
【0118】
予め、95℃に加熱したメタチタン酸のスラリー(TiO
2 として200g/L)0.5L(TiO
2 として100g、P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)を上記95℃に加熱した濃リン酸に一時に加えた。反応混合物を95℃で4時間撹拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、反応生成物を得た。
【0119】
このようにして得られた反応生成物は、粉末X線回折の結果、結晶性α型リン酸水素チタン1水和物であったが、大きさが不揃いの板状粒子であった。
【0120】
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0121】
比較例8
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。
【0122】
実施例1において、メタチタン酸のスラリーに代えて、四塩化チタン水溶液(TiO
2 として100g/L)1L(TiO
2 として100g、P
2O
5/TiO
2 モル比1.20)をマイクロチューブを用いて2時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で2時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、反応生成物を得た。
【0123】
このようにして得られた反応生成物は、粉末X線回折の結果、結晶性α型リン酸水素チタン1水和物であったが、大きさが不揃いの板状粒子が凝集した粒子であった。
【0124】
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0125】
比較例9
実施例1と同じ反応容器に市販の濃リン酸(H
3PO
4 として85重量%)346.4g(H
3PO
4 として294.4g、3.005モル)を入れ、攪拌しながら95℃に加熱した。実施例1と同様にしてメタチタン酸のスラリー(TiO
2として333.3g/L)を調製した。
【0126】
実施例1と同様にして、上記メタチタン酸のスラリー0.45L(TiO
2 として150g、1.878モル)(P
2O
5/TiO
2 モル比0.80)をマイクロチューブを用いて2時間かけて上記温度95℃に加熱した濃リン酸に連続的に加えた。この間、反応混合物を攪拌しながら、その温度を95℃に維持した。反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。得られた反応混合物を温度95℃で2時間攪拌して、熟成した。この間、反応混合物から蒸発する水分は、上記水冷式還流冷却器にて凝縮させ、反応混合物に戻した。この後、実施例1と同様に反応混合物を処理して、反応生成物を得た。
【0127】
このようにして得られた反応生成物は、表面が網目状多孔質の球状粒子であった。また、反応生成物は、粉末X線回折の結果、結晶性α型リン酸水素チタン1水和物と少量のアナターゼ型二酸化チタンの混合物であった。
【0128】
得られた混合物の平均粒子径D1、平均粒子径D2、アスペクト比、比表面積及び細孔容積を表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
本発明の方法によれば、常圧下に温和な反応条件下に、板状粒子、無定形粉末、二酸化チタン等の混入なしに、多孔質結晶性α型リン酸水素チタン1水和物球状粒子を得ることができる。
【0131】
これに対して、比較例1においては、含水酸化チタンのスラリーに濃リン酸を加えており、反応生成物は、不揃いな板状粒子と球状粒子の混合物であって、微粒子を含む。比較例1による反応生成物においては、この微粒子間の空隙が細孔容積として測定されたために、比表面積と細孔容積が大きくなっているとみられる。比較例2及び3においても、同様の理由によって、比表面積と細孔容積が大きくなっているとみられる。
【0132】
比較例4においては、含水酸化チタンをリン酸に加える際の時間と熟成時間が長すぎ、また、比較例5においては、P
2O
5/TiO
2モル比が高すぎて、得られたα型リン酸水素チタン1水和物は板状であった。
【0133】
比較例6においては、チタン源として、硫酸チタンを用いたので、得られた反応生成物は、無定形リン酸水素チタンとアナターゼ型二酸化チタンの混合物であって、比較例2におけると同じく、比表面積と細孔容積が大きくなっているとみられる。
【0134】
比較例7においては、含水酸化チタンを一括して濃リン酸に加えたので、反応生成物は、球状を維持しつつ、一様な粒子成長や結晶成長することが阻害された結果、不揃いな板状粒子を生成したものとみられる。比較例8においては、チタン源として、四塩化チタン水溶液を用いたので、比較例6同様の結果となったとみられる。
【0135】
比較例9においては、P
2O
5/TiO
2モル比が0.80であるので、アナターゼ型酸化チタンが未反応のまま、一部、残留したものとみられる。